説明

基地局とユーザー装置との間のデータ中継

無線通信システムの基地局とユーザー装置との間でデータを中継するように動作可能な中継器、中継器および基地局の組、方法、およびコンピュータ・プログラム製品が開示される。中継器は、中継器にサポートされる各ユーザー装置ごとに、そのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するように動作可能なキューイング・ロジックであって、保留データ・キューは、ユーザー装置と中継器との間の通信チャネル経由で中継器によって伝送されていない、そのユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納するキューイング・ロジックと、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と中継器との間の通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能なスケジューリング・ロジックとを含む。このようにして、基地局と中継器との間で伝送される不必要なトラフィックの量が減少し、基地局で必要とされる処理リソースの量も減少し、その結果として、マクロ・ネットワーク内での中継器の展開がはるかに拡張可能になる。その結果、複雑で慎重なネットワーク計画を必要とすることなく、必要なときに容易に新しい中継器を展開することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムの基地局とユーザー装置との間でデータを中継するように動作可能な中継器、中継器および基地局の組、方法、ならびにコンピュータ・プログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システム内での中継器の使用が知られている。中継器は、マクロ・セル内で強化された有効範囲を提供するために、そのマクロ・セル内で提供することができる。たとえば、中継器は、たとえば建物の近辺など、高減衰量の領域にあるマクロ・セル内で提供することができる。中継器は、高減衰量の領域においてマクロ基地局および任意のユーザー装置と通信する。マクロ基地局は、ユーザー装置と通信するときに、データをユーザー装置に直接または中継器を介してルーティングするべきかを判断する。この配置によって有効範囲が改善されるが、そのような中継器の使用によって、望ましくない結果がもたらされることがある。
【0003】
したがって、無線通信システムの基地局とユーザー装置との間でデータを中継するために改善された技術を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によると、無線通信システムの基地局とユーザー装置との間でデータを中継するように動作可能な中継器が提供され、中継器は、前記中継器にサポートされる各ユーザー装置ごとに、そのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するように動作可能なキューイング・ロジックであって、保留データ・キューは、ユーザー装置と中継器との間の通信チャネルを介して中継器によってまだ伝送されていない、そのユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納するキューイング・ロジックと、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と中継器との間の通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能なスケジューリング・ロジックと、を含む。
【0005】
第1の態様では、既存の中継器実装に関する問題は、基地局が中継器からユーザー装置までのデータの伝送を制御する集中化された手法を基地局が実装することであることが認識される。この集中化された手法では、制御情報が基地局と中継器との間で伝送されることが必要となる。さらに、データをユーザー装置に伝送するための最も効率的な方法を基地局が正確に評価できるようにするために、基地局は、中継器内のあらゆるユーザー・データ・キューの状態を認識している必要があると同時に、中継器とユーザー装置との間の通信リンクの品質に関する情報を保持している必要がある。この情報は、中継器と基地局との間で伝送する必要があり、基地局は、ユーザー装置にサービスを提供する最善の方法を決定するためにその情報を迅速に処理する必要がある。特に複数のアンテナ中継器を配置する場合など、リンク品質の単純なスカラー・フィードバックが可能でないとき、中継器の数が増加するのに合わせて、基地局と中継器との間の制御チャネルを介して必要となる信号の量は膨大な量に増える。さらに、実行するべき最も適切なデータ伝送を正確かつ適時に評価するために基地局で必要とされる処理の量は大きい。したがって、基地局が効率的に動作することができ、利用可能な資源を超えないことを保証するために、慎重なネットワーク計画を行う必要がある。
【0006】
したがって、保留データ・キューを形成するキューイング・ロジックを持つ中継器が提供され、各保留データ・キューは異なるユーザー装置に関連付けられる。各保留データ・キューは、基地局から受信したが、まだユーザー装置に送られていないデータを格納する。保留データ・キューの保留データの各ユーザー装置への伝送をスケジューリングするスケジューリング・ロジックも提供される。データ伝送のスケジューリングは、保留データ・キューのサイズ、ユーザー装置と中継器との間の通信チャネルのチャネル状態、および保留データの優先度の1つまたは複数に基づく。このようにして、スケジューリング決定の一部を中継器側に移動することによって、中継器自身がこれらの決定を行い、制御する基地局からそれらの中継器に制御情報を提供する必要をなくすことができることがわかる。さらに、中継器から基地局に提供する必要のあるフィードバック情報の量が減少する。必要なフィードバックの量は、特に複数のアンテナ中継器が展開される場合、膨大な量に増加することは理解されるであろう。よって、基地局と中継器との間で伝送される不必要なトラフィックの量が減少し、基地局で必要とされる処理リソースの量も減少し、その結果として、マクロ・ネットワーク内での中継器の展開がはるかに拡張可能になる。したがって、新しい中継器は、複雑で慎重なネットワーク計画を必要とすることなく、必要なときに容易に展開することができる。
【0007】
一実施形態では、スケジューリング・ロジックは、優先度の低い保留データより、優先度の高い保留データの伝送を優先してスケジューリングすることにより、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である。したがって、中継器は、優先度の高い保留データが保留データ・キュー内にキューされている場合、優先度の高い保留データが、優先度の低い保留データより先に伝送されることを保証するように動作可能である。そのような優先度の高いデータの例としては、リアルタイム伝送または他の時間依存のデータが含まれていることは理解されるであろう。
【0008】
一実施形態では、スケジューリング・ロジックは、各ユーザー装置に関連付けられている保留データ・キューのサイズ、および各ユーザー装置と中継器との間の通信チャネルのチャネル状態情報から、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である。したがって、スケジューリング・ロジックは、考えられる各ユーザー装置に対するキューイング・ロジックによって保存されたデータの保留キューのサイズに関する情報に併せて、ユーザー装置と中継器との間のチャネルのチャネル状態情報に基づいて、次にどのデータを伝送するべきかを決定する。このようにして、最も適切なデータ伝送が行われることを保証するためにトレードオフが行われることが理解できよう。
【0009】
一実施形態では、スケジューリング・ロジックは、次のアルゴリズムに従って、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である。
【0010】
【数1】

ここで、
【0011】
【数2】

は、通信チャネルlの速度の推定であり、すべてのユーザー装置の組はM={1,...,K}として表され、
【0012】
【数3】

は、基地局のユーザー装置jおよび時間フレームtの開始時のi番目の中継器に対するキューのサイズを示し、次の時間フレームの最適なアクティブ・リンクは、次のように選択される。
【0013】
【数4】

【0014】
したがって、スケジューリング・ロジックは、各通信チャネルの利用可能な伝送速度および各ユーザー装置のキューのサイズを評価する。最大のキュー・サイズおよび最高の伝送速度をともに持つ保留データが、次に伝送される。
【0015】
一実施形態では、中継器は、他の中継器からの伝送を識別する情報を受信するように動作可能な測定ロジック、および他の中継器が干渉を引き起こしているという測定ロジックからの指示に応じて、中継器間で協調的な伝送を行うように動作可能な協調ロジックを含む。したがって、他の中継器からの伝送に関する情報を受信する測定ロジックが提供される。そのような感知は、直接中継器自体によって、またはユーザー装置によって行われた測定レポートから実行できることを理解されるであろう。他の中継器が、中継器からの伝送と干渉を引き起こしているという指示を受信した場合は、動作ロジックは中継器に伝送を協調させる。ここでも、スケジューリングに関する決定を中継器側に移すことによって、中継器間の局所的かつ自律的な協調が可能になる。したがって、中継器を展開させることにより達成される利得を制限するはずの干渉は、中継器間の協調を通じて減らすことができる。そのような手法が可能なのは、干渉する中継器が干渉の量をほぼ瞬間的に推定できるようにすることによって、その干渉を減らすための協調が可能だからである。
【0016】
一実施形態では、協調ロジックは、他の中継器に、その中継器の受け入れ可能な伝送特性を示すように動作可能である。したがって、干渉が識別されると、中継器は、干渉を減らすために行われる可能性がある伝送に関係する情報を他の中継器に送信することができる。たとえば、中継器は、該当する他の中継器に、ユーザー装置に現在割り当てられている1組のキャリアを伝送することができ、該当する他の中継器が、それらのキャリアを割り当てることを防止することができる。あるいは、ユーザー装置は、中継器との伝送のために現在割り当てられている1組のキャリアを、該当する他の中継器に転送することができる。あるいは、そのような干渉が感知されると、中継器は自身で使用するために異なるチャネルを選択することによって、そのような干渉を回避することを自身で決定できるため、他の中継器に情報を伝送する必要性を回避することになる。
【0017】
第2の態様によると、無線通信システムの基地局とユーザー装置との間でデータを中継する方法が提供され、この方法は、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューを中継器で形成するステップであって、保留データ・キューは、通信チャネル経由でユーザー装置に伝送されていないそのユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納するステップと、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、中継器から各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするステップと、を含む。
【0018】
第3の態様によると、中継器および基地局の組が提供され、この中継器および基地局の組は、基地局にサポートされる各ユーザー装置に対して、そのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するように動作可能な基地局キューイング・ロジックであって、保留データ・キューは、ユーザー装置と基地局との間で通信チャネル経由で基地局によって伝送されていない、そのユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納する基地局キューイング・ロジックと、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と基地局との間での通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能な基地局スケジューリング・ロジックを含む基地局と、第1の態様の中継器とを含む。
【0019】
したがって、基地局および中継器の両方はともに2段階の分散型スケジューリング技術を提供することができ、この技術により、基地局および中継器の両方は、それらの装置によって評価されるものを保留データ伝送にとって最も効果的なスケジューリング決定にすることができる。基地局は、2者間の通信チャネルの品質と組み合わせて、保留データの優先度を評価することによって、および基地局および中継器の両方で保留データ・キューの相対的なサイズを評価することによって、中継器に対して同様の決定プロセスを利用する。このような個別であるが優待的かつ相乗効果的な決定プロセスは、保留データが、最も効率的な方法で基地局とユーザー装置との間で伝送されることを保証するのに役立つ。
【0020】
一実施形態では、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と基地局との直接的な間および基地局と各ユーザー装置をサポートする任意の中継器との間の通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、基地局スケジューリング・ロジックは、保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能である。したがって、基地局スケジューリング・ロジックは、その基地局とユーザー装置との直接的な間で提供される通信チャネルの品質とともに、基地局とそのユーザー装置をサポートする任意の中継器との間の通信リンクの品質を評価する。このようにして、基地局は、データを伝送するために可能なかぎり最適な通信チャネルを選択する。
【0021】
一実施形態では、基地局スケジューリング・ロジックは、優先度の低い保留データより優先度の高い保留データの伝送を優先してスケジューリングすることによって、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である。したがって、より高い優先度を持つデータが、より低い優先度のデータに優先して伝送され、可能なかぎり適時に受信されることを保証する。
【0022】
一実施形態では、基地局スケジューリング・ロジックは、基地局と中継器との間の通信チャネルを使用して、次に伝送される保留データが伝送されるときに、中継器および基地局で関連する保留データ・キュー・サイズの差に基づいて、どの保留データを伝送するかを決定するように動作可能である。したがって、スケジューリング・ロジックは、基地局および中継器でデータ・キューのサイズの相対差を決定することになる。1ユーザーに対する基地局でのデータ・キューが非常に高いが、そのユーザーに対する中継器でのデータ・キューは低い場合、そのデータは、基地局での保留データ・キューは低いが、中継器での保留データ・キューは高い別のユーザーのデータより優先することができる。
【0023】
一実施形態では、基地局スケジューリング・ロジックは、次のアルゴリズムに従って、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である。
【0024】
【数5】

ここで、
【0025】
【数6】

は、時間tにおいてj番目のユーザー装置に対する基地局でのキューのサイズを示す。
【0026】
一実施形態では、中継器は、各保留データ・キューのサイズの指示を基地局に提供するように動作可能である。
【0027】
一実施形態では、中継器は、各保留データ・キューのサイズの変化の指示を基地局に提供するよう動作可能である。したがって、各キューのサイズについて常に報告するよりも、キューのサイズが変更されたときを示す情報のみを伝送するほうが、より効率的である可能性がある。
【0028】
第4の態様によると、無線通信システムの中継器および基地局の組とユーザー装置との間でデータを中継する方法が提供され、この方法は、基地局にサポートされる各ユーザー装置に対して、基地局でそのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するステップであって、保留データ・キューは、ユーザー装置と基地局との間の通信チャネル経由で基地局によって伝送されていない、そのユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納するステップと、各ユーザー装置に関連する保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と基地局との間の通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置に対する保留データの伝送をスケジューリングするステップと、第3の態様による方法のステップ、とを含む。
【0029】
第5の態様によると、コンピュータ上で実行されたときに、第2の態様による方法のステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0030】
第6の態様によると、コンピュータ上で実行されたときに、第4の態様による方法のステップを実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0031】
他の好ましい特定の態様については、添付の独立請求項および従属請求項に述べられている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴と適切に組み合わせることができ、また、請求項に明示的に述べられている組み合わせ以外に組み合わせることができる。
【0032】
ここで、本発明の実施形態について、添付の図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】1つのマクロ・セル内の一般的な中継器の展開を示す図である。
【図2】一実施形態に従った図1に示す中継器の主要構成要素を示す図である。
【図3】一実施形態に従った図1に示す基地局の主要構成要素を示す図である。
【図4】図1に示す中継器および基地局の主な処理ステップを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、基地局によってサポートされるマクロ・セル内の中継器の展開例を示す。ユーザー装置UEは、無線通信システム内を移動する。それぞれのマクロ・セルをサポートする基地局BSが提供される。典型的には、そのような多数の基地局BSが提供され、ユーザー装置UEに広い有効範囲を提供するために地理的に分散される。ユーザー装置UEが基地局BSにサポートされるマクロ・セル内にある場合、関連する無線リンク経由でユーザー装置UEと基地局UEとの間で通信を確立することができる。各基地局BSは、典型的には多数のセクターをサポートする。典型的には、基地局BS内の異なるアンテナまたはアンテナ列が関連するセクターをサポートする。したがって、各基地局BSは複数のアンテナを持ち、異なるアンテナを介して送信された信号は電子的に重み付けされて、セクター化された手法が提供される。もちろん、図1は、典型的な通信システムに存在できるユーザー装置および基地局の総数の一部を示していることを理解されるだろう。
【0035】
マクロ・セル内には、多数の中継器RS、RSが提供される。中継器RS、RSは、それらの近辺でユーザー装置をサポートするために局所的な無線通信有効範囲を提供する。この例では、RSはユーザー装置UEおよびUEをサポートする。同様に、中継器RSはユーザー装置UE、UE、およびUEをサポートする。もちろん、中継器はこれより多くのユーザー装置をサポートすることができ、ユーザー装置は複数の中継器にサポートされてもよい。無線通信リンクlが、各中継器とサポートするユーザー装置との間に提供される。すでに述べたように、これらの無線通信リンクの状態は、ユーザー装置に対する中継器の相対的位置および干渉する伝送または他のノイズなど、現地条件に依存して時間とともに変化する。したがって、特定のときに、これらのリンクのそれぞれでサポートされるデータ転送速度は変化して、一部のリンクは他のリンクより高いデータ転送速度をサポートすることができる。各中継器RS、RSはデータ・キューQを維持し、データ・キューQは、基地局BSから受信されたが、対象とするユーザー装置に伝送されていない保留データ・パケットを格納する。通常の運用においては、その中継器と基地局BSとの間の通信リンク経由で基地局BSからデータ・パケットを受信する速度、およびそれらの関連する通信リンク経由で対象とするユーザー装置にこれらのデータ・パケットを中継できる速度に依存して、これらの保留データ・キューのサイズは増減する。
【0036】
基地局BSは、その基地局にサポートされる各ユーザー装置に対して、保留データ・キューQにデータ・パケットを格納する。また、このキューのサイズは、データ・パケットが基地局BSによってコア・ネットワーク(図示せず)から受信される速度、および基地局BSとそのユーザー装置との間の通信リンクl経由で直接、これらのパケットを対象とするユーザー装置に送ることができる速度、またはデータ・パケットがそのユーザー装置をサポートする中継器に提供できる速度に依存して変化する。
【0037】
図2は、一実施形態に従った中継器Rのより詳細な構成要素に示す。中継器の他の構成要素は、明瞭さを向上するために省略されていることを理解されるであろう。中継器は、複数のアンテナ・アレー20と結合され、それぞれのリンク経由で基地局BSおよびユーザー装置の両方と通信するように動作可能な送受信装置ロジック10を含む。この実施形態では、中継器は半二重であるが、中継器は全二重でもよいことを理解されるだろう。送受信装置10はキューイング・ロジック30に結合され、キューイング・ロジック30は、先入れ先出し方式(FIFO)のキューを作るように動作可能であり、FIFOキューは、その中継器にサポートされる各ユーザー装置のために受信されたユーザー・データを格納する。各キューのサイズを確立するためにキューイング・ロジック30に問い合わせ、中継器と各ユーザー装置との間の各無線通信リンクに対して、瞬間的な信号と干渉およびノイズの比(SINR)の推定を示すチャネル状態情報を受信するスケジューリング・ロジック40が提供される。より詳細には下に説明するように、スケジューリング・ロジック40は、各ユーザーのキューの状態、および基地局から中継へのリンク、および基地局または中継器からユーザー装置のリンクの間で資源の直交分離を想定しない瞬間的なSINRの推定に基づいて、スケジューリング決定を行うことによって、ユーザーの公平性を保証するのに役立つ。効果的な方法として協調が中継器間で生じるようにする協調ロジック50も提供され、それらの中継器によって行われる伝送間の干渉に対処する。これについても、詳細には以下に説明する。
【0038】
協調ロジック50は、送受信装置ロジック10を介して干渉する伝送に関する情報を受信する。次に、協調ロジック50は中継器に伝送を調節させるか、送受信装置10を介してその中継器へのメッセージを伝送することによって干渉する中継器の伝送を調節するステップを取る。
【0039】
図3は、一実施形態に従った基地局BSの主要構成要素を示す。ここでも、この実施形態をサポートするのに必要な主要構成要素だけを図示し、他の構成要素は明瞭さを向上するために省略されている。アンテナ・アレー30と結合され、中継器とユーザー装置との間の無線通信リンク経由での無線送信をサポートする送受信装置60が提供される。送受信装置60にはキューイング・ロジック70が結合され、その基地局にサポートされる各ユーザー装置に対して、キューイング・ロジック70は、S1リンク経由でコア・ネットワークから受信されたが、そのユーザー装置に直接または中継器を介して伝送されていないデータを含むFIFOキューQを維持する。ここでも、これらの各キューのサイズは、このデータを直接または中継器を介してユーザー装置に伝送できる速度でコア・ネットワークからデータが受信される速度に依存して変化する。ユーザー装置のキューの状態、ならびに基地局とユーザー装置との間の直接的な無線リンクおよび基地局と中継器との間の無線リンクの瞬間的なSINRの推定に基づいて、スケジューリング決定を行うスケジューリング・ロジック80が提供される。また、効果的な方法として中継器間で協調を生じさせる協調ロジック90が提供され、それらの中継器によって行われる伝送間の干渉に対処する。これについても、詳細には以下に説明する。
【0040】
協調ロジック90は、送受信装置ロジック90を介して干渉する伝送に関する情報を受信する。次に、協調ロジック90は、送受信装置60を介してその中継器へのメッセージを伝送することによって中継器に伝送を調節させる。
【0041】
基地局および各中継器の動作は、図4により詳細に図示する。概要を述べると、中継器と基地局との間でチャネル状態情報を提供する必要をなくし、基地局から中継器に中継制御情報を伝送する必要をなくす分散型で2段階のスケジューリング・スキームが提供される。
【0042】
第1段階では、基地局BSは、基地局とユーザー装置との直接的な間の無線リンクのチャネル状態、基地局と中継器との間の無線リンクのチャネル状態、および基地局および中継器の両方のユーザー装置のキューのサイズを考慮して、次のタイム・スロットに対してスケジューリング決定を行う。次のタイム・スロットの伝送のために選択された宛先は、中継器またはユーザー装置のいずれでもよい。
【0043】
第2段階では、各中継器は半二重なので、第1段階の基地局BSから伝送を受信するために選択されていない中継器は、その中継器とユーザー装置との間の無線リンクのチャネル状態を考慮し、その中継器でのユーザー装置のキューの状態に基づいて、タイム・スロットにおけるユーザー装置への伝送に関するスケジューリング決定を行う。
【0044】
次に、動作について詳細に説明すると、ステップS10において、基地局BSは、新しいデータ・パケットがコア・ネットワークから受信されたかどうかをチェックする。新しいデータ・パケットが受信されている場合は、そのデータ・パケットは適切なユーザー装置のキューに加えられる。新しいデータ・パケットが受信されていない場合は、処理はS30に進む。もちろん、基地局BSは全二重を支援するため、新しいデータ・パケットを受信し、同じタイム・スロットにおいてキューされたデータ・パケットを伝送できることを理解されるだろう。
【0045】
ステップS30では、基地局BSとユーザー装置との直接的な間で無線リンクを使用して、次のタイム・スロットでそのユーザー装置に伝送するかどうかが評価される。この評価は次の方法で行われる。マクロ基地局内のすべての送信機の組はT={1,...,N+1}として表され、N台の中継器および単一の基地局BSに対応する。同様に、すべてのユーザーの組はM={1,...,K}として示される。基地局が見なす無線リンクの総数はL=N+Kから得られ、これは、基地局とユーザーとの間、および基地局と中継器との間のすべての無線リンクを含む。一般的なリンクlについて、簡潔さのために、伝送速度は、
【0046】
【数7】

としてシャノンの公式を使用して推定することができる。ここで、他のすべての同時にアクティブなリンクが干渉していると仮定して、
【0047】
【数8】

は、時間フレームtのl番目のリンクの宛先でのSINRである。したがって、集中化されたスケジューリング手法とは違い、空間的な再利用を最大限にするためにスケジューリングされた受信機に生成される干渉を考慮することなく、1組の送信機がアクティブになる。一方、中継器は、協調スケジューリングを使用することによって干渉に対処するように動作可能である。これについて詳細は、以下に説明する。
【0048】
【数9】

および
【0049】
【数10】

は、それぞれ、次の時間フレームの最初において、マクロ・セルのユーザー装置jの基地局、およびユーザー装置jのI番目の中継器におけるキューのサイズを示すものとする。基地局がその評価を行えるようにするために、中継器は、基地局が中継器のキューのサイズを決定できるようにする情報を伝送する。これについて詳細は、以下に説明する。
(t)を
【0050】
【数11】

と定義する。
ここで、第1のケースはユーザー装置に対する直接的な伝送に対応し、第2のケースはI番目の中継器に対する伝送に対応する。次の時間フレームtに対する最適なアクティブ・リンクは以下のように選択される。
【0051】
【数12】

ユーザーに対する直接的な伝送が選択されている場合、スケジューリング・ロジック80は、キューイング・ロジック70によって格納された関連するユーザー・キュー内の次のデータ・パケットを送受信装置60を介してユーザー装置に伝送し、処理はステップS10に戻る。次の時間フレームに対する基地局BSとI番目の中継器との間のリンクとして最適なリンクが選択されている場合、処理はステップ50に進む。
【0052】
ステップS50では、パケットがこのリンク経由で伝送されるユーザー装置が、次のアルゴリズムに従って選択される。
【0053】
【数13】

【0054】
ステップS60では、スケジューリング・ロジック80は、キューイング・ロジック70に、ユーザー装置のキュー内に格納されている次のデータ・パケットを送受信装置ロジック60を介して選択された中継器に伝送させる。
【0055】
一方、各中継器において、次の時間フレームでデータ・パケットを受信するように、その中継器が選択されていることを基地局からの制御情報が示すかどうかが、その中継器によって評価される。各中継器は半二重なので、これが意味するのは、そのタイム・スロットにおいてデータ・パケットをユーザー装置に伝送できないということである。しかし、中継器が全二重である場合、データ・パケットを同時に受信および送信することが可能になる。
【0056】
データ・パケットを受信するように中継器が選択されている場合は、受信したデータ・パケットは適切なユーザー装置キューに加えられる。データ・パケットが基地局から受信されない場合は、処理はS90に進む。
【0057】
ステップS90において、スケジューリングの第2段階が中継器で始まる。スケジューリング・ロジック40は、データ・パケットを伝送するために、中継器からユーザー装置へのどの無線リンクを使用するべきかを選択する。I番目の中継器を考えると、
【0058】
【数14】

を次のように定義する。
【0059】
【数15】

ここで、
【0060】
【数16】

はリンクlの速度の推定であり、基地局BSのスケジューリング決定を考慮に入れている。次の時間フレームtのための最適なリンクは、以下のように選択される。
【0061】
【数17】

【0062】
ステップS120では、局所的な協調を生じさせられるように、中継器の伝送と他の中継器の伝送との間の干渉が識別される。そのような局所的な協調は、2台の中継器間の干渉に対処するのに効果的な方法になりうる。たとえば、ユーザー装置UEは中継器RSによって対応することができるが、ユーザー装置UEは中継器RSを強力な干渉者と見なす。したがって、中継器RSとRSとの間に低速な協調が生じる。伝送干渉の識別は、以下のように生じる。ユーザー装置は、中継器または基地局など異なる送信機からパイロットを受信する。ユーザー装置は、受信した電力に応じて最適な送信機を選択し、そのパイロット電力を見ることによって干渉する主要な送信機を識別する。中継器RSが最適な送信機であり、中継器RSが主要な干渉者である例を考えると、中継器RSから受信した電力と中継器RSから受信した電力の間の比としてガンマγを定義する。
【0063】
【数18】

特定のしきい値に対して
【0064】
【数19】

の場合、ユーザー装置は、中継器RSと中継器RSとの間に協調を必要とする。
【0065】
したがって、ステップ130において、任意の改良処置が講じられる。たとえば、OFDMA調整を想定すると、中継器RSは、ユーザー装置に割り当てられた1組のキャリアを直接またはユーザー装置を介して中継器RSに伝送し、中継器RSは、それらのキャリアの割り当てを回避する。同じ手法は、中継器側に複数のアンテナがあると想定して、割り当てられた直角性のあるビーム(orthogonal beam)に対して使用することができる。
【0066】
ステップS100では、スケジューリング・ロジック40は、キューイング・ロジック30に次のデータ・パケットを、無線リンク経由で適切なユーザー装置のキューから送受信装置10を介してユーザー装置に伝送させる。
【0067】
ステップS110では、ユーザー装置のキューのサイズの変化は、制御チャネル経由で基地局BSに伝送される。もちろん、基地局から受信されるデータ・パケットによって引き起こされるユーザー装置のキューの増加は、このサイズの変化を伝送する必要なく、基地局BSによって推測できることを理解されるだろう。しかし、必要に応じて、ユーザー装置のキューのサイズの増加を伝送することもできる。
【0068】
この手順は、各中継器に対して繰り返される。この分散型スケジューリング手法については、各中継器は、キュー・サイズの更新だけを基地局にフィードバックする必要があることが理解できよう。集中化された手法とは違い、中継器とそのサポートされたユーザー装置との間のチャネル状態情報に関するフィードバックは必要ない。チャネル状態情報に関するフィードバックは、特に複数のアンテナが展開されている場合、かなりの量のビット数を必要とする場合があり、スカラー・フィードバックは、所与のリンクのSINRを推定するのには十分ではない。しかし、そのようなフィードバック(または部分的なフィードバック)が中継器から基地局に伝送される実施形態がある。
【0069】
したがって、基地局または中継器によって日和見的な方法で所与のユーザー装置に対応することができる、ダウン・リンク伝送のための分散型中継器スキームが提供されることが理解できよう。そのような分散型手法によって、特に単純なスカラー・フィードバックがチャネル品質の推定に十分でないときに、集中化された手法と比較してフィードバックの減少が可能になる。フィードバック要件が減った結果、システムはより拡張可能になり、慎重なネットワーク計画を必要とすることなく、必要なときに新しい中継器を展開することができる。分散型手法を使用することによって、異なるセルに属する中継器間であっても、局所的かつ低速の中継器から中継器および中継器から基地局への協調を実装することができる。
【0070】
上記のさまざまな方法のステップは、プログラムされたコンピュータによって実行できることを当業者であれば容易に認識できるであろう。本明細書において、一部の実施形態は、たとえば、デジタル・データ記憶メディアなど、プログラム記憶装置を包含するようにも意図されており、プログラム記憶装置は、読み取り可能な機械またはコンピュータであり、機械で実行可能またはコンピュータで実行可能な命令プログラムをエンコードし、前述の命令は、上記方法のステップの一部またはすべてを実行する。プログラム記憶装置は、たとえば、デジタル・メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶装置メディア、ハードドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ記憶装置メディアなどでもよい。また、実施形態は、上記方法の上述したステップを実行するようにプログラムされたコンピュータを包含することを意図するものである。
【0071】
「プロセッサ」または「ロジック」というラベルを付けた機能ブロックを含む、図に示すさまざまな要素の機能は、専用ハードウェアおよび適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行する機能を持つハードウェアの使用を通じて提供することができる。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または一部は共有できる複数の個々のプロセッサによって提供することができる。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」または「ロジック」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアだけを参照するものと解釈するべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレー(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性記憶装置を限定することなく暗黙的に含むことができる。従来型および/またはカスタムの他のハードウェアも含むことができる。同様に、図に示すすべてのスイッチは概念のみを示すものである。それらの機能は、プログラム・ロジックの動作によって、専用ロジックによって、プログラム制御および専用ロジックの対話によって、または手動でも実行することができ、文脈からより具体的に理解されるように特定の技術を実装者が選択することができる。
【0072】
本明細書に示すブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的な回路についての概念的な図を表していることは当業者には理解されるであろう。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータで読み取り可能なメディアに本質的に示すことができ、コンピュータまたはプロセッサによって実行できるさまざまなプロセスを表すものであり、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかは関係ないことを理解されるだろう。
【0073】
記述および図面は、単に本発明の原理を示すものである。それゆえ、本明細書に明示的に記述して示していないが、本発明の原理を具体化しその精神および範囲に含まれるさまざまな配置を当業者であれば考案できることは理解されるだろう。さらに、本明細書に列挙したすべての例は、技術を促進するために発明者によって提供された本発明の原理および概念を読者が理解するのを助けるために、特に教育的な目的のみを主に意図するものであり、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものと解釈するものである。さらに、本明細書において、本発明の原理、態様、実施形態、およびその特定の例を列挙したすべての記述は、その等価物を包含することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムの基地局(BS)とユーザー装置(UE)との間でデータを中継するように動作可能な中継器(RS;RS)であって、
前記中継器にサポートされる各ユーザー装置ごとに、そのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するように動作可能なキューイング・ロジック(30)を含み、前記保留データ・キューは、前記ユーザー装置と前記中継器との間の通信チャネル(L)経由で前記中継器によって伝送されていない、前記ユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納し、さらに、
各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と前記中継器との間の前記通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能なスケジューリング・ロジック(40)とを含む中継器。
【請求項2】
前記スケジューリング・ロジックは、優先度の低い保留データより、優先度の高い保留データの伝送を優先してスケジューリングすることにより、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である、請求項1に記載の中継器。
【請求項3】
前記スケジューリング・ロジックは、各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューの前記サイズ、および各ユーザー装置と前記中継器との間の前記通信チャネルのチャネル状態情報から、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である、請求項1または2に記載の中継器。
【請求項4】
前記スケジューリング・ロジックは、次のアルゴリズムに従って、次に伝送される保留データを識別するように動作可能であり、
【数1】

ここで、
【数2】

は通信チャネルlの速度の推定であり、すべてのユーザー装置の組はM={1,...,K}として示され、
【数3】

は、基地局のユーザー装置jおよび時間フレームtの開始時のi番目の中継器に対するキューのサイズを示し、次の時間フレームの最適なアクティブ・リンクは次のように選択される
【数4】

請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中継器。
【請求項5】
他の中継器からの伝送を識別する情報を受信するように動作可能な測定ロジック(10)と、
他の中継器が干渉を引き起こしているという前記測定ロジックからの指示に応じて、中継器間で協調的な伝送を行うように動作可能な協調ロジック(50)とを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中継器。
【請求項6】
前記協調ロジックは、前記他の中継器に、その中継器の受け入れ可能な伝送特性を示すように動作可能である、請求項5に記載の中継器。
【請求項7】
無線通信システムの基地局(BS)とユーザー装置(UE)との間でデータを中継する方法であって、
各ユーザー装置に関連する保留データ・キューを中継器(RS;RS)で形成するステップを含み、前記保留データ・キューは、通信チャネル経由で前記ユーザー装置に伝送されていない前記ユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納し、さらに、
各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および前記通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、前記中継器から各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリング・ステップ(S90)とを含む、方法。
【請求項8】
中継器および基地局の組(RS、BS;RS、BS)であって、
基地局(BS)を含み、前記基地局が、
前記基地局にサポートされた各ユーザー装置に対して、そのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するように動作可能な基地局キューイング・ロジック(70)を含み、前記保留データ・キューは、前記ユーザー装置と前記基地局との間の通信チャネル経由で前記基地局によって伝送されていない前記ユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納し、さらに、
各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と前記基地局との間の前記通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、各ユーザー装置への保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能な基地局スケジューリング・ロジック(80)を含み、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記中継器を含む、中継器および基地局の組。
【請求項9】
各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューの前記サイズ、保留データの優先度、ならびに各ユーザー装置と前記基地局との直接的な間および前記基地局と各ユーザー装置をサポートする任意の中継器との間の前記通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、前記基地局スケジューリング・ロジックは、保留データの伝送をスケジューリングするように動作可能である請求項8に記載の中継器および基地局の組。
【請求項10】
優先度の低い保留データより優先度の高い保留データの伝送を優先してスケジューリングすることによって、前記基地局スケジューリング・ロジックは、次に伝送される保留データを識別するように動作可能である請求項8または9に記載の中継器および基地局の組。
【請求項11】
前記基地局スケジューリング・ロジックは、前記基地局と中継器との間の前記通信チャネルを使用して、前記次に伝送される保留データが伝送されるときに、前記中継器および前記基地局の関連する保留データ・キュー・サイズの差に基づいて、どの保留データを伝送するかを決定するように動作可能である請求項8乃至10のいずれか1項に記載の中継器および基地局の組。
【請求項12】
前期基地局スケジューリング・ロジックは、次のアルゴリズムに従って、次に伝送される保留データを識別するように動作可能であり、
【数5】

ここで
【数6】

は、時間tにおいてj番目のユーザー装置に対する基地局でのキューのサイズを示す、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の中継器および基地局の組。
【請求項13】
前記中継器は、各保留データ・キューの前記サイズの指示を前記基地局に提供するように動作可能である、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の中継器および基地局の組。
【請求項14】
前記中継器は、各保留データ・キューのサイズの変化の指示を前記基地局に提供するよう動作可能である、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の中継器および基地局の組。
【請求項15】
無線通信システムの中継器および基地局の組(RS、BS;RS、BS)とユーザー装置(UE)との間でデータを中継する方法であって、
前記基地局にサポートされる各ユーザー装置に対して、基地局(BS)でそのユーザー装置に関連する保留データ・キューを形成するステップ(S10)を含み、前記保留データ・キューは、前記ユーザー装置と前記基地局との間の通信チャネル経由で前記基地局によって伝送されていない、前記ユーザー装置を対象とする受信されたデータを格納し、さらに、
各ユーザー装置に関連する前記保留データ・キューのサイズ、保留データの優先度、および各ユーザー装置と前記基地局との間の前記通信チャネルのチャネル状態情報の少なくとも1つに基づいて、保留データの各ユーザー装置への伝送をスケジューリングするステップ(S30)と、
請求項7に記載の前記方法のステップとを含む、方法。

【図1】
image rotate

image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

image rotate


【公表番号】特表2012−525031(P2012−525031A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506371(P2012−506371)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002258
【国際公開番号】WO2010/121725
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】