説明

基地局プロセッサにおける無線チャネルの割当て

【課題】無線ネットワークにおいて、加入者と基地局プロセッサとの間で送受信されるメッセージに基地局プロセッサの無線チャネルを割り当てるシステムおよび方法である。
【解決方法】待ち時間は、基地局を介して送信者から送信される送出メッセージに対して応答ノードから送信される返信メッセージに応じて決定される。基地局プロセッサの待ち時間マネージャは、待ち時間を計算し、その値を割当てテーブルに格納する。スケジューラは、返信メッセージの受信に先立って、割当てテーブル内で指定されている待ち時間の終了時点で利用できる1つのチャネルを予約する。待ち時間の終了時点近くにおいて、返信メッセージが受信され、スケジューラが割当てテーブルで予約されたチャネルを割り当てる。予約されたチャネルを利用して、対応する加入者との間でメッセージを送受信する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線ネットワークの基盤設備の利用はますます増大しており、それによりコンピュータ装置を無線媒体を介してインターネットのような有線ネットワークと通信可能にしている。無線データ・ネットワークでは、例えばPC(パーソナル・コンピュータ)のような複数のローカル・コンピュータ装置は、無線加入者アクセス・ユニットを介してサポートされている。加入者アクセス・ユニットは、基地局プロセッサへの無線方式の無線リンクを提供する。また基地局プロセッサは、有線ネットワークへのコネクションを提供するインターネット・ゲートウェイに接続されている。セルラー方式電話回線網と同様に、基地局プロセッサは要求に応じて複数の無線チャネルを割り当てして、加入者ユニットとの間のメッセージの送信・受信を可能にする。無線チャネルは、ローカル・コンピュータ装置に代わって、加入者ユニットとの間で送信・受信されるメッセージに割り当てられる。
【0002】
一般的な基地局プロセッサにとって、加入者ユニットと共有する無線チャネルは、稀少なリソース(資源)である。メッセージは、チャネルが利用可能になるまで待ち行列に入れられることが多い。さらに、有線ネットワークは一般に、受取人がメッセージを処理している速度を検出する各種方式を使用している。これらの方式は、メッセージを送信する速度を低下させ、それによりスループットを低下させて受取人への過負荷を回避することにより、輻輳を緩和する。このような方式は、基地局プロセッサにおけるメッセージの待ち行列を有線ネットワークにおける輻輳と解釈し、その結果、スループットを低下させる。特に、有線ネットワークで使用されるプロトコルは、無線コネクションを介する効率的な通信に適していない。
【0003】
TCP/IP方式のネットワークでは、例えば、スロー・スタート、輻輳回避、高速再伝送、および高速復帰のような輻輳制御方式が使用される。インターネットRFC 2581に規定されたスロー・スタート方式によれば、肯定応答メッセージ(ack)は送信された各メッセージに対する返信メッセージとみなされる。送信されるバイト数またはメッセージは、ackが適時に受信されるにつれ、徐々に増加する。ackが適時に受信されない場合、追加メッセージの送信数が減少し、スループットを低下させる。このことは、基地局プロセッサにおけるメッセージの待ち行列が、基地局プロセッサにおける輻輳を表わしているわけではなく、むしろ無線ネットワークに固有の伝播遅延を表わしている。しかしながら、この伝播遅延は、TCP/IPのような有線回線プロトコルにより輻輳と解釈される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、返信メッセージの到着を予測し、かつ利用可能なチャネルを予約して、基地局プロセッサを介してメッセージを伝送することにより、無線ネットワークのスループットが、スロー・スタートのような有線ネットワーク・プロトコルの輻輳制御機能により低下しないようにする方法および装置を提供することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無線通信システムにおいて、無線チャネルを割当てて、加入者と基地局プロセッサとの間のメッセージ伝送をサポートするシステムおよび方法を提供する。待ち時間は、基地局プロセッサを介して送信者から送信される送出メッセージに対して応答ノードからの予測される返信メッセージのタイミングにより決定される。基地局プロセッサ内の待ち時間マネージャは、待ち時間を計算し、その計算値を割当てテーブルに格納する。スケジューラは、返信メッセージの受信に先立って、割当てテーブルで示されている待ち時間の終了時点で利用できる1つのチャネルを予約する。待ち時間の終了間際に、返信メッセージが受信され、スケジューラが割当てテーブルで指定されたチャネルを割り当てる。予約されたチャネルを利用して、該当する加入者との間で返信メッセージを送受信する。
【0006】
待ち時間マネージャは、有線ネットワーク・プロトコルで指定された各種の伝送パラメータを使用して待ち時間を計算する。例えば、TCP/IP方式ネットワークにおいて、待ち時間を計算するのに使用される伝送パラメータには、ウィンドウ・サイズ、ウィンドウ内で利用できるスペース、平均メッセージ・サイズ、未処理のack(肯定応答メッセージ)数、メッセージのタイプ、セッション内で受信されるメッセージ数、未処理のack最大数、およびその他の伝送パラメータが含まれる。
【0007】
本発明の前述およびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示す本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明で明らかになるであろう。図面では、同一参照符号は異なる図面においても同一部品を指す。図面は必ずしも寸法通りでなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本明細書で定義される無線チャネル割当てを実行するのに適する通信システムのブロック図である。
【図2】複数の加入者アクセス・ユニットと通信している基地局プロセッサを示す。
【図3a】図2のシステムにおけるメッセージ伝送を示す。
【図3b】図3aのメッセージに対応するチャネル割当てテーブルを示す。
【図4】本明細書で定義されるチャネル割当てのフローチャートを示す。
【図5a】図1のシステムを使用するwebページの取り出しを示す。
【図5b】図5aのメッセージに対応するチャネル割当てテーブルを示す。
【図5c】図5bのチャネル割当てテーブルに対応するタイミング・チャートを示す。
【図6】本明細書で定義されるチャネル割当てに対する加入者プロファイル・テーブルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本明細書で定義される無線ネットワークにおけるチャネル割当てを実行する通信システム10のブロック図である。この通信システムは、PC12のようなローカル・コンピュータ装置、加入者アクセス・ユニット14、基地局プロセッサ16、およびインターネット・ゲートウェイ18を含む。PC12は有線コネクション20を介して加入者ユニット14と通信している。加入者ユニット14は無線コネクション26を介して基地局プロセッサ16と通信している。基地局プロセッサは有線リンク24を介してインターネット・ゲートウェイ18と通信している。インターネット・ゲートウェイ18は、インターネットのような公衆アクセス・ネットワークを介する通信に適合している。
【0010】
したがってPC12は、設けられた有線回線20、24および無線コネクション26の組合せを経由して(インターネットあるいは他のネットワーク上に位置する任意の遠隔エンティティである)ネットワーク・サーバ18へのアクセスが可能である。有線コネクション20、24は一般に、TCP/IPあるいはUDPのようなプロトコルによりサポートされる。無線コネクション26は、1999年9月2日にPCT出願No.WO99/44341として発行されている、係属中の米国特許出願「マルチチャネル伝送の動的フレーム・サイズ設定」に記載されているプロトコルのようなプロトコルによりサポートされる。一般にPC12は、(例えば、イーサネット(登録商標)仕様のコネクションである)有線コネクション20を介してインターネット・プロトコル(IP)・パケットを加入者14に提供する。加入者14は、IPパケットのフレーミングを取り外し、IPパケット内のデータを、無線コネクション26を介して無線リンク・プロトコルに従って基地局プロセッサ16に転送する。基地局プロセッサ16は、無線コネクション・フレームを抽出し、それらフレームを、IPパケット形式で、有線コネクション24を介してインターネット・ゲートウェイ18に送出する。したがって、加入者14および基地局プロセッサ16は無線コネクション26の“終点”と見なされる。
【0011】
図2では、基地局プロセッサ16が詳細に示されている。基地局プロセッサ16は複数の加入者14a〜14dと通信している。追加加入者ユニット14(x)を設けてもよい。加入者は、無線チャネル22a〜22jを介して基地局プロセッサと通信する。追加チャネル22(x)を設けてもよい。前述のように、チャネル22は、加入者14とメッセージを送受信するのに使用される。スケジューラ28は、要求に応じてチャネル22を割り当てし、利用可能なチャネルを加入者14と基地局プロセッサ16との間で伝送されるメッセージに割り当てる。
【0012】
チャネル22は加入者14とスイッチ16との間で単向性であるが、複数のチャネルを、特定加入者14から発信されたメッセージあるいは特定加入者14宛てのメッセージに割り当てできる。図示される例では、チャネル22aが、基地局プロセッサ16から加入者14bにメッセージを伝送するのに、割り当てられている。またチャネル22bを割り当てて、加入者14cからのメッセージを基地局プロセッサ16で受信している一方で、チャネル22cを割り当てて、加入者14cにメッセージを伝送している。さらに、チャネル22dおよび22eを割り当てて、加入者14dへメッセージを送信する一方で、チャネル22fを割り当てて、加入者14dからメッセージを受信している。前述のように、一般にスケジューラ28は加入者に即座にチャネルを割り当てて、加入者14とのメッセージの送受信に対するチャネル要求に応じる。
【0013】
すべての加入者14に共通である2つの専用チャネルを使用して、1つのチャネル上のメッセージ・トラヒックを起動する。加入者14は共通アクセス・チャネル30を使用して、基地局プロセッサ16にチャネルを要求する。共通ページング・チャネル32は、加入者14にチャネルが割り当てされていることを通知するのに使用される。次に加入者14は、メッセージの伝達方向に応じて、メッセージをPC12または基地局プロセッサ16に送出する。
【0014】
基地局プロセッサ16はまた、待ち時間遅延を決定する持ち時間マネージャ34と、割当てテーブル36とを含むが、これら両者は以下に詳細に述べる。前述のように、一般的なメッセージ伝送では、メッセージの送信者と受信者または応答ノードとの間に多数の待ち時間遅延が発生する。例えば、無線伝播遅延は、基地局16から加入者14へのメッセージ伝送(図1)において発生する。ネットワークの伝播遅延は、メッセージがインターネットまたは他の公衆アクセス・ネットワーク上を伝送される時に発生する。他の待ち時間遅延が存在するが、それについては以下に説明する。TCP/IPのようなプロトコルでは通常、応答ノードに伝送したメーセージに応答して、返信メッセージ、一般にはackが返信されることを予測している。本明細書で定義する本発明によれば、待ち時間マネージャを基地局プロセッサ内に備えて、待ち時間遅延を計算し、それに応じてチャネルを予約する。チャネル割当ては、いずれの伝達方向においても送信者から伝送されるメッセージにチャネルが割り当てられることをいう。例えば、返信メッセージは、メッセージを受信するノードにより送信者に返送される。したがって、返信メッセージに対するチャネル割当ての予約を、メッセージが加入者14との間で送受信されるときに予め行う。
【0015】
図3aおよび3bは、待ち時間マネージャ34、割当てテーブル36、およびスケジューラ28を含む基地局プロセッサ16の詳細な構成を示す。待ち時間マネージャ34は、応答ノード40により送信される返信メッセージに伴う待ち時間遅延を計算するプロセスである。割当てテーブル36は、割り当てされる各チャネル22b、22c用のエントリ38a、38bと、それらに伴う待ち時間T0およびT0+TLとを格納するメモリ構造体である。スケジューラ28は、割当てテーブル36および待ち時間情報を読み出して、予測されるメッセージへのチャネル割当てを決定する。
【0016】
一般的なメッセージ伝送では、PC12は、矢印42が示すように、コネクション要求メッセージを応答ノード40に送信する。メッセージ42は時間T0において送信される。したがって、割当てテーブル36には、時間T0において加入者14cに割り当てられるチャネル22b用のエントリ38aが書き込まれる。チャネル22bを介してメッセージ42が受け取られると、待ち時間マネージャ34はメッセージ42を調べる。待ち時間マネージャ34は、メッセージ42のタイプがTCP/IPコネクション要求であり、かつそれにより、返信メッセージとしてackを予測できることを決定する。
【0017】
待ち時間マネージャ34は、基地局プロセッサ16で返信メッセージが受信される時までに経過する待ち時間を決定する。例えば、待ち時間マネージャ34は、ΔT1で示されるISP(インターネット・サービス・プロバイダ)遅延44が、インターネット・ゲートウェイ18とインターネット50との間で発生するであろうと判断する。さらに、ΔT2で示されるネットワーク伝播遅延46が、インターネット50上をメッセージ42が伝送される時に発生し、ΔT3で示される応答ノード遅延48が、応答ノード40がメッセージ42を処理して返送メッセージを送信する時に発生するであろうと判断する。したがって、待ち時間TL52は待ち時間マネージャにより計算されて、TL=ΔT1+ΔT2+ΔT3となる。次に、待ち時間マネージャは割当てテーブル36にエントリ38bを書き込んで、待ち時間の後に、応答ノード40から加入者14cへの返信メッセージ54が予期されることを示す。これにより、チャネル22cは時間T0+TLにおいて、加入者14cに割り当てられる。返信メッセージ54は応答ノード40により送信され、時間T0+TLにおいて基地局プロセッサ16で受信される。割当てテーブル36に従って、スケジューラ28はチャネル22cを割り当てて、返信メッセージ54を加入者14cに伝送する。
【0018】
別の実施形態では、チャネルを、割当てテーブル内で一括プールとして予約し、返信メッセージを実際に受信するまで特定加入者に割り当てしない。
【0019】
上述の例として、待ち時間マネージャ34は、メッセージのタイプおよび対応する、予測される返信メッセージに基づいて、待ち時間TLを計算する。TCP/IPプロトコルを含む多くのプロトコルは、返信メッセージを指定するだけでなく、他の伝送パラメータも指定する。したがって、待ち時間遅延を決定する方法は、使用するプロトコル次第で複数のファクタに依存する。TCP/IPプロトコルでは、そのようなファクタには、例えばウィンドウ・サイズ、ウィンドウ内で利用可能なスペース、平均メッセージ・サイズ、未処理のackの数、メッセージのタイプ、セッションで受信されたメッセージ数、および未処理の最大ack数のような伝送パラメータ、ならびにその他の伝送パラメータが含まれる。例えば、TCP/IPは、インターネットRFC1323で定義されているスライディング・ウィンドウ性能強化機能を使用している。このような機能を伝送パラメータと併せて使用して、本明細書に定義した基地局プロセッサを介する性能を改良する。
【0020】
TCP/IPネットワークは、スライディング・ウィンドウ・プロトコルに従って動作して、高信頼性のストリ−ム配信を実現する一方で、帯域幅を最大にする。このプロトコルに従って、TCP/IPコネクションの両終点は、許容できるウィンドウ・サイズを取り決める。ウィンドウ・サイズは、受信ユニットから肯定応答を受け取る前に、送信ユニットにより伝送できる最大バイト数を表わす。一般にウィンドウは、肯定応答されないパケットの最大数に関して参照される。送信ユニットがウィンドウ内の第1パケットに対する肯定応答を受信すると、この送信ユニットはそのウィンドウをスライドさせ、次のパケットを送る。
【0021】
図3aの例で送信されたメッセージ42に関して、待ち時間マネージャは、非破壊的方法でTCP/IPパケットを検査して、メッセージのタイプを判別する。上に列挙したTCP/IPパケットの別の側面を検査して、伝送パラメータを取得し、それらパラメータを使用して返信メッセージに伴う待ち時間52を決定する。次の図4および図5a〜5cの例では、待ち時間マネージャ34はさらに、加入者14の各々に対応する伝送パラメータを格納する加入者プロファイル・テーブル56を含む。
【0022】
図4に示されるフローチャートおよび図3aのシステム図によれば、メッセージは、ステップ100に示すように、基地局プロセッサ16で受信される。待ち時間マネージャ34は、ステップ102に示すように、TCP/IPパケット情報を検査する。ステップ104に示すように、加入者プロファイル・テーブル内で検索を実行して、加入者に対応するエントリを見出す。ステップ106に示すように、対応する伝送パラメータが取り出される。ステップ108に示すように、伝送パラメータを更新して、ステップ102で検査したTCP/IPパケット情報を反映させる。ステップ110で、メッセージを補足するための返信メッセージが予測されるかどうか判別される。返信メッセージが予測されない場合、ステップ120に示すように、メッセージは送信され、ステップ122に示すように、制御ループはステップ100に戻り、次のメッセージを受信するまでその状態を維持する。返信メッセージが予測される場合、ステップ112に示すように、待ち時間マネージャ34は、ステップ108で更新された加入者の伝送パラメータを使用して待ち時間52を計算する。ステップ114に示すように、計算された待ち時間52に対応する新しいエントリが割当てテーブル36に格納される。次に、ステップ116に示すように、メッセージは応答ノード40に送信される。制御ループはステップ118に戻り、次のメッセージを受信するまでその状態を維持する。
【0023】
図5a〜5cは、図3bのメッセージ伝送シーケンスの別の実施形態を詳細に示す。コネクション要求42は、時間T0において、PC12から送信される。待ち時間マネージャ34はパケット情報を検査し、加入者14dを決定する。待ち時間マネージャは加入者プロファイル・テーブル56内の加入者14dの伝送パラメータを検索し、それに従ってパラメータを更新して、新しいパケット情報に一致させる。待ち時間マネージャ34は、コネクション肯定応答メッセージ54が返信メッセージとして返信されることを判断する。待ち時間マネージャ34は、更新された伝送パラメータの結果として待ち時間ΔT1、ΔT2、ΔT3を計算し、待ち時間TAをTA=ΔT1+ΔT2+ΔT3として計算する。待ち時間マネージャ34はエントリ58を割当てテーブル36に格納して、タイミング・チャート86のエントリ68が示すように、時間TAにおいて加入者14dにチャネル22dを割り当てるようにスケジューラ28に通知する。
【0024】
次に、応答ノード40が返信メッセージ54を送信する。基地局プロセッサ16は応答メッセージ54を受信し、待ち時間マネージャ34が応答メッセージ54のパケット情報を検査する。待ち時間マネージャは加入者プロファイル・テーブル56内の加入者14dの伝送パラメータを検索し、それに従ってエントリ58を更新する。待ち時間マネージャ34は、返信メッセージ54のタイプがコネクション可能の肯定応答であると判断し、要求メッセージを返信メッセージとしてPCから送信することを決定する。
【0025】
返信メッセージが加入者14dに送信される時、待ち時間は以下のように計算される。無線伝播時間ΔT4は、基地局プロセッサ16と加入者14dとの間の無線コネクション26を介する伝送に伴う待ち時間を表わす。加入者応答時間ΔT5は、加入者14dとPC12との間の有線20を介する伝送に伴う待ち時間を表わす。したがって、待ち時間マネージャ34は加入者プロファイル・テーブルを使用して、ΔT4+ΔT5から待ち時間ΔTBを計算する。対応するエントリ60を割当てテーブル36に書き込んで、タイミング・チャート86のエントリ70が示すように、時間TBにおいて加入者14dに対しチャネル22fを割り当てるようにスケジューラに通知する。
【0026】
PC12は、ack54を受信後、HTTPゲット(GET)メッセージ78を送信する。対応する伝送パラメータを加入者プロファイル・テーブル56内で検索し、それに従ってパラメータを更新してメッセージ78に一致させる。更新された伝送パラメータの結果として、待ち時間マネージャ34は、HTTPゲットack80およびHTTPデータ・メッセージ82が同時に返信メッセージとして送信されてくる可能性を判定する。これにより、待ち時間マネージャは、TC=ΔT1+ΔT2+ΔT3から待ち時間TCを計算し、割当てテーブル36に2つのエントリを書き込む。タイミング・チャート86のエントリ72および74により示されるように、時間TCにおいて加入者14dに対し、エントリ62はチャネル22dを割り当て、またエントリ64はチャネル22eを割り当てる。
【0027】
HTTPデータ・メッセージがスイッチ16で受信される時、タイミング・チャート86のエントリ76が示すように、待ち時間マネージャ34は、HTTPデータack84が返信メッセージであることを判断し、エントリ66を書き込んで、TD=ΔT4+ΔT5においてチャネル22fを割り当てる。
【0028】
図6は加入者プロファイル・テーブル56の例を示す。各エントリ86は、特定の加入者14が受信するメッセージに対応する伝送パラメータ88を格納する。このようなパラメータは、ウィンドウ・サイズ、ウィンドウ内で利用できるスペース、平均メッセージ・サイズ、未処理のack数、メッセージのタイプ、セッション内で受信されるメッセージ数、および未処理のackの最大数を含む。TCP/IPプロトコルあるいは基地局プロセッサにより使用されるような他のプロトコルで定義されている他のパラメータを指定できる。
【0029】
当業者には、本明細書で定義される動作および方法を定義するプログラムは、多くの形態で基地局プロセッサに適用できることは理解されるであろう。それらの形態には、a)ROM装置のような非書込み記憶媒体に永久的に格納される情報、b)フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD、RAMデバイスなどの書込み可能媒体、ならびに他の磁気媒体および光学的媒体に変更可能に格納される情報、c)例えば、インターネットまたは電話モデム回線のような電子ネットワークにおけるような、ベースバンド信号化方法またはブロードバンド信号化方法を利用して、通信媒体を介しコンピュータに転送される情報、を含むが、これらに限定されない。これらの動作および方法は、プロセッサによりメモリからの実行可能なソフトウェアで実現できる。代替方法として、これらの動作および方法は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、ステート・マシン(state machine)、コントローラあるいは他のハードウェア・コンポーネントまたはデバイスなどのようなハードウェア・コンポーネントを使用するか、またはハードウェアとソフトウェアのコンポーネントの組合せを使用して実現される。
【0030】
本発明を好ましい実施形態により詳細に図示し、説明してきたが、当業者には、特許請求項に限定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、形状または細部に各種の変更を加えることが可能であることは理解されるであろう。したがって、本発明は、特許請求項により限定される以外には、限定されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局であって、
インターネット・プロトコル(IP)データを加入者ユニットに伝達するように構成された回路を備え、
前記回路は、該基地局からのダウンリンク通信を受信するために前記加入者ユニットが待つ第1の時間期間を示す情報を前記加入者ユニットに送信するようにさらに構成され、該回路は、前記第1の時間期間の満了に応じて前記加入者ユニットにダウンリンクIPデータを送信するようにさらに構成され、前記第1の時間期間は時間期間のセットから選択されることを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記時間期間のセットは、テーブルに格納されることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記第1の時間期間は、IPメッセージデータのタイプに応じて選択されることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記回路は、該基地局からのダウンリンク通信を受信するために前記加入者ユニットが待つ第2の時間期間を示す第2の情報を前記加入者ユニットに送信するように構成され、前記第2の時間期間は、前記第1の時間期間とは異なり、かつ、前記時間期間のセットから選択されることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記回路は、前記加入者ユニットとの通信を予約するように構成されたスケジューラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記回路は、該基地局からのダウンリンク通信を受信するために前記加入者ユニットが待つ一連の時間期間を示す情報を前記加入者ユニットに送信するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項7】
前記第1の時間期間は、該基地局におけるIPデータの到達を予測するために選択されることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記無線基地局は、移動体基地局であることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記IPデータは、TCP/IPデータ及びUDP/IPデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項10】
無線加入者ユニットであって、
インターネット・プロトコル(IP)データを基地局に伝達するように構成された回路を備え、
前記回路は、前記基地局からのダウンリンク通信を受信するために該加入者ユニットが待つ第1の時間期間を示す情報を前記基地局から受信するようにさらに構成され、該回路は、前記第1の時間期間の満了に応じて前記基地局からダウンリンクIPデータを受信するようにさらに構成され、前記第1の時間期間は事前構成された時間期間のセットから選択されることを特徴とする無線加入者ユニット。
【請求項11】
前記回路は、前記基地局からのダウンリンク通信を受信するために該加入者ユニットが待つ第2の時間期間を示す第2の情報を前記基地局から受信するように構成され、前記第2の時間期間は、前記第1の時間期間とは異なり、かつ、事前構成された前記時間期間のセットから選択されることを特徴とする請求項10に記載の無線加入者ユニット。
【請求項12】
前記回路は、前記基地局からのダウンリンク通信を受信するために該加入者ユニットが待つ一連の時間期間を示す情報を前記基地局から受信するようにさらに構成されたことを特徴とする請求項10に記載の無線加入者ユニット。
【請求項13】
前記無線加入者ユニットは、移動体加入者ユニットであることを特徴とする請求項10に記載の無線加入者ユニット。
【請求項14】
前記IPデータは、TCP/IPデータ及びUDP/IPデータを含むことを特徴とする請求項10に記載の無線加入者ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−109702(P2011−109702A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8999(P2011−8999)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【分割の表示】特願2001−583070(P2001−583070)の分割
【原出願日】平成13年5月4日(2001.5.4)
【出願人】(504407103)アイピーアール ライセンシング インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】