説明

基地局上位装置、通信端末及び無線通信システム

【課題】複数の無線通信方式を用いて通信する通信端末の消費電力を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】ゲートウェイ4は、第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末を収容する基地局を制御する基地局上位装置である。ゲートウェイ4では、送信信号生成部41aが、第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を生成する。通信部40は、送信信号生成部41aで生成されたページング信号を基地局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、複数の無線通信方式を用いて通信する通信端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−358644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の無線通信方式を用いて通信を行う通信端末は、一つの無線通信方式を用いて通信を行う通信端末よりも消費電力が大きくなる傾向にある。
【0005】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、複数の無線通信方式を用いて通信する通信端末の消費電力を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る基地局上位装置は、第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末を収容する基地局を制御する基地局上位装置であって、前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を生成する生成部と、前記生成部で生成された前記ページング信号を基地局に送信する送信部とを備える。
【0007】
また、本発明に係る基地局上位装置の一態様では、前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信周期が短い方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる。
【0008】
また、本発明に係る基地局上位装置の一態様では、前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信電力が大きい方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる。
【0009】
また、本発明に係る基地局上位装置の一態様では、前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信周波数が低い方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる。
【0010】
また、本発明に係る通信端末は、第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末であって、前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部とを備え、前記無線通信部は、前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を受信し、前記制御部は、前記無線通信部が受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第1ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第1無線通信方式を用いて第1応答信号を送信させ、前記無線通信部が受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第2ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第2無線通信方式を用いて第2応答信号を送信させる。
【0011】
また、本発明に係る無線通信システムは、第1及び第2無線通信方式が用いられる無線通信システムであって、前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末と、前記通信端末を収容する基地局を制御する基地局上位装置とを備え、前記基地局上位装置は、前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を生成する生成部と、前記生成部で生成された前記ページング信号を基地局に送信する送信部とを有し、前記通信端末は、前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記無線通信部が基地局から受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第1ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第1無線通信方式を用いて第1応答信号を送信させ、前記無線通信部が基地局から受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第2ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第2無線通信方式を用いて第2応答信号を送信させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の無線通信方式を用いて通信する通信端末の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】単一方式基地局の構成を示す図である。
【図3】複数方式基地局の構成を示す図である。
【図4】単一方式端末の構成を示す図である。
【図5】複数方式端末の構成を示す図である。
【図6】ゲートウェイの構成を示す図である。
【図7】アイドル状態の複数方式端末の動作を示すフローチャートである。
【図8】無線通信システムの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本実施の形態に係る無線通信システム100の構成を示す図である。本実施の形態に係る無線通信システム100では、複数の無線通信方式、例えば2つの無線通信方式が使用される。本無線通信システム100では、例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)とLTE(Long Term Evolution)とが使用される。GSMとLTEとの組み合わせの代わりに、GSMとUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)との組み合わせ、LTEとUTMSとの組み合わせ等を使用しても良い。以後、無線通信システム100が使用する2つの無線通信方式を「第1方式」及び「第2方式」と呼ぶ。
【0015】
図1に示されるように、無線通信システム100には、複数の基地局1と、当該複数の基地局1を制御する基地局上位装置であるゲートウェイ4とが設けられている。各基地局1は複数の通信端末2を収容することが可能である。また無線通信システム100には、ルータ3が設けられており、このルータ3には、複数の基地局1、ゲートウェイ4及びネットワーク200が接続されている。ネットワーク200は例えばインターネットであって、ゲートウェイ4はルータ3を通じてネットワーク200に接続されている。またゲートウェイ4は、ルータ3を通じて複数の基地局1を制御する。
【0016】
<基地局の構成>
無線通信システム100には、第1及び第2方式のうちのどちらか一方だけを用いて通信を行う基地局1(以後、「単一方式基地局1a」と呼ぶ)と、第1及び第2方式の両方を用いて通信を行う基地局1(以後、「複数方式基地局1b」と呼ぶ)とが設けられている。第1方式を用いて通信する単一方式基地局1aを「第1方式基地局1aa」と呼び、第2方式を用いて通信する単一方式基地局1aを「第2方式基地局1ab」と呼ぶことがある。
【0017】
図2は単一方式基地局1aの構成を示す図である。図2に示されるように、単一方式基地局1aは、第1方式及び第2方式のどちらか一方だけを用いて通信端末2と無線通信する無線通信部10と、無線通信部10を制御する制御部11と、ルータ3を通じてゲートウェイ4と通信する上位側通信部12とを備えている。
【0018】
上位側通信部12は、ゲートウェイ4から送信される信号を受信するとともに、制御部11からの信号をゲートウェイ4に送信する。
【0019】
無線通信部10は、アンテナ10aで受信した受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。また、無線通信部10は、制御部11で生成されるベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、無線通信部10は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ10aから無線送信する。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びメモリなどで構成されている。制御部11では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部11a及び受信データ取得部11bなどの複数の機能ブロックが形成される。
【0021】
送信信号生成部11aは、通信端末2宛てのベースバンドの送信信号を生成して無線通信部10に出力する。この送信信号には、上位側通信部12がゲートウェイ4から受信した信号のうちの通信端末2宛ての信号などが含まれている。受信データ取得部11bは、無線通信部10から出力される受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。受信データ取得部11bで取得された信号のうち、ゲートウェイ4宛ての信号については上位側通信部12に入力される。
【0022】
図3は複数方式基地局1bの構成を示す図である。図3に示されるように、複数方式基地局1bは、第1及び第2方式を用いて通信端末2と無線通信する無線通信部15と、当該無線通信部15を制御する制御部18と、ルータ3を通じてゲートウェイ4と通信する上位側通信部19とを備えている。
【0023】
上位側通信部19は、ゲートウェイ4から送信される信号を受信するとともに、制御部18からの信号をゲートウェイ4に送信する。
【0024】
無線通信部15は、第1方式を用いて通信端末2と無線通信する第1方式通信部16と、第2方式を用いて通信端末2と無線通信する第2方式通信部17とで構成されている。第1方式通信部16は、通信端末2が送信する第1方式に応じた送信信号をアンテナ16aで受信する。そして、第1方式通信部16は、アンテナ16aでの受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。
【0025】
同様に、第2方式通信部17は、通信端末2が送信する第2方式に応じた送信信号をアンテナ17aで受信する。そして、第2方式通信部17は、アンテナ17aでの受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。
【0026】
また、第1方式通信部16は、制御部18で生成される、第1方式に応じたベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、第1方式通信部16は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ16aから無線送信する。これにより、複数方式基地局1bからは、第1方式を用いて通信する通信端末2に対して、第1方式に応じた送信信号が無線送信される。
【0027】
同様に、第2方式通信部17は、制御部18で生成される、第2方式に応じたベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、第2方式通信部17は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ17aから無線送信する。これにより、複数方式基地局1bからは、第2方式を用いて通信する通信端末2に対して、第2方式に応じた送信信号が無線送信される。
【0028】
制御部18は、CPU、DSP及びメモリなどで構成されている。制御部18では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部18a及び受信データ取得部18bなどの複数の機能ブロックが形成される。
【0029】
送信信号生成部18aは、第1方式に応じたベースバンドの送信信号を生成して第1方式通信部16に出力する。この送信信号には、上位側通信部19がゲートウェイ4から受信した信号のうちの第1方式に応じた信号などが含まれている。
【0030】
また送信信号生成部18aは、第2方式に応じたベースバンドの送信信号を生成して第2方式通信部17に出力する。この送信信号には、上位側通信部19がゲートウェイ4から受信した信号のうちの第2方式に応じた信号などが含まれている。
【0031】
受信データ取得部18bは、第1方式通信部16から出力される、第1方式に応じた受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。以後、この信号を「第1方式受信信号」と呼ぶ。
【0032】
また、受信データ取得部18bは、第2方式通信部17から出力される、第2方式に応じた受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。以後、この信号を「第2方式受信信号」と呼ぶ。
【0033】
受信データ取得部18bで取得された第1方式受信信号のうちのゲートウェイ4宛ての信号については上位側通信部19に入力される。受信データ取得部18bで取得された第2方式受信信号のうちのゲートウェイ4宛ての信号については上位側通信部19に入力される。
【0034】
<通信端末の構成>
無線通信システム100には、基地局1と同様に、第1及び第2方式のうちのどちらか一方だけを用いて通信を行う通信端末2(以後、「単一方式端末2a」と呼ぶ)と、第1及び第2方式の両方を用いて通信を行う通信端末2(以後、「複数方式端末2b」と呼ぶ)とが設けられている。第1方式を用いて通信する単一方式端末2aを「第1方式端末2aa」と呼び、第2方式を用いて通信する単一方式端末2aを「第2方式端末2ab」と呼ぶことがある。
【0035】
図4は単一方式端末2aの構成を示す図である。図4に示されるように、単一方式端末2aは、第1方式及び第2方式のどちらか一方だけを用いて基地局1と無線通信する無線通信部20と、無線通信部20を制御する制御部21と、バッテリ22とを備えている。
【0036】
無線通信部20は、アンテナ20aで受信した受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。また、無線通信部20は、制御部21で生成されるベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、無線通信部20は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ20aから無線送信する。
【0037】
制御部21は、CPU、DSP及びメモリなどで構成されている。制御部21では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部21a及び受信データ取得部21bなどの複数の機能ブロックが形成される。
【0038】
送信信号生成部21aは、ベースバンドの送信信号を生成して無線通信部20に出力する。受信データ取得部21bは、無線通信部20から出力される受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。
【0039】
バッテリ22は、単一方式端末2aの電源を生成する。バッテリ22の出力電圧(電源電圧)は、無線通信部20及び制御部21に含まれる各電子部品に対して供給される。
【0040】
図5は複数方式端末2bの構成を示す図である。図5に示されるように、複数方式端末2bは、第1及び第2方式を用いて基地局1と無線通信する無線通信部25と、当該無線通信部25を制御する制御部28と、バッテリ29とを備えている。
【0041】
無線通信部25は、第1方式を用いて基地局1と無線通信する第1方式通信部26と、第2方式を用いて基地局1と無線通信する第2方式通信部27とで構成されている。第1方式通信部26は、基地局1が送信する第1方式に応じた送信信号をアンテナ26aで受信する。そして、第1方式通信部26は、アンテナ26aでの受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。
【0042】
同様に、第2方式通信部27は、基地局1が送信する第2方式に応じた送信信号をアンテナ27aで受信する。そして、第2方式通信部27は、アンテナ27aでの受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して出力する。
【0043】
また、第1方式通信部26は、制御部28で生成される、第1方式に応じたベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、第1方式通信部26は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ26aから無線送信する。これにより、複数方式端末2bからは、第1方式を用いて通信する基地局1に対して、第1方式に応じた送信信号が無線送信される。
【0044】
同様に、第2方式通信部27は、制御部28で生成される、第2方式に応じたベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、第2方式通信部27は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ27aから無線送信する。これにより、複数方式端末2bからは、第2方式を用いて通信する基地局1に対して、第2方式に応じた送信信号が無線送信される。
【0045】
制御部28は、CPU、DSP及びメモリなどで構成されている。制御部28では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部28a及び受信データ取得部28bなどの複数の機能ブロックが形成される。
【0046】
送信信号生成部28aは、第1方式に応じたベースバンドの送信信号を生成して第1方式通信部26に出力する。また送信信号生成部28aは、第2方式に応じたベースバンドの送信信号を生成して第2方式通信部27に出力する。
【0047】
受信データ取得部28bは、第1方式通信部26から出力される、第1方式に応じた受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。また、受信データ取得部28bは、第2方式通信部27から出力される、第2方式に応じた受信信号に対して復調処理及び復号化処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データやユーザデータなどの信号を取得する。
【0048】
バッテリ29は、複数方式端末2bの電源を生成する。バッテリ29の出力電圧(電源電圧)は、無線通信部25及び制御部28に含まれる各電子部品に対して供給される。
【0049】
<ゲートウェイの構成>
図6はゲートウェイ4の構成を示す図である。本実施の形態に係るゲートウェイ4は、第1方式基地局1aa、第2方式基地局1ab及び複数方式基地局1bを制御する基地局上位装置である。したがって、ゲートウェイ4では、第1方式を用いた通信及び第2方式を用いた通信の両方が管理される。
【0050】
図6に示されるように、ゲートウェイ4は、ルータ3に接続され、当該ルータ3を通じて基地局1及びネットワーク200と通信する通信部40と、当該通信部40を制御する制御部41とを備えている。
【0051】
通信部40は、基地局1及びネットワーク200からの信号を受信して制御部41に出力する。また通信部40は、制御部41から出力される、基地局1宛ての信号を当該基地局1に送信する。また通信部40は、制御部41から出力される、ネットワーク200宛ての信号を当該ネットワーク200に送信する。
【0052】
制御部41は、CPU、DSP及びメモリなどで構成されている。制御部41では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部41aなどの複数の機能ブロックが形成される。送信信号生成部41aは、基地局1宛ての信号を生成して通信部40に出力する。また送信信号生成部41aは、ネットワーク200宛ての信号を生成して通信部40に出力する。
【0053】
<通信端末のページングについて>
次に本実施の形態に係る無線通信システム100での通信端末2のページングについて説明する。
【0054】
<ゲートウェイの動作>
ゲートウェイ4では、送信信号生成部41aが、第1方式に応じたページング信号である第1方式ページング信号と、第2方式に応じたページング信号である第2方式ページング信号とを生成する。そして、通信部40は、第1方式ページング信号を第1方式に応じた第1送信周期で送信するとともに、第2方式ページング信号を第2方式に応じた第2送信周期で送信する。第1方式ページング信号は、第1方式基地局1aa及び複数方式基地局1bに送信され、第2方式ページング信号は、第2方式基地局1ab及び複数方式基地局1bに送信される。
【0055】
第1方式ページング信号には、第1方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示すページング情報が含められる。具体的は、第1方式ページング信号には、第1方式端末2aaへのトラヒックが発生したことを示すページング情報と、複数方式端末2bでの第1方式を用いた通信のトラヒックが発生したことを示すページング情報とが含められる。
【0056】
第2方式ページング信号には、第2方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示すページング情報が含められる。具体的は、第2方式ページング信号には、第2方式端末2abへのトラヒックが発生したことを示すページング情報と、複数方式端末2bでの第2方式を用いた通信のトラヒックが発生したことを示すページング情報とが含められる。
【0057】
<基地局の動作>
第1方式基地局1aaでは、上位側通信部12がゲートウェイ4からルータ3を通じて第1方式ページング信号を受信すると、制御部11の送信信号生成部11aは、当該第1方式ページング信号を含む送信信号を生成して無線通信部10に出力する。無線通信部10は、第1方式ページング信号を含む送信信号をアンテナ10aから複数の通信端末2に向けて同報送信する。これにより、第1方式基地局1aaからは、第1方式ページング信号が第1送信周期で複数の通信端末2に同報送信される。
【0058】
第2方式基地局1abでは、上位側通信部12がゲートウェイ4からルータ3を通じて第2方式ページング信号を受信すると、送信信号生成部11aは、当該第2方式ページング信号を含む送信信号を生成して無線通信部10に出力する。無線通信部10は、第2方式ページング信号を含む送信信号をアンテナ10aから複数の通信端末2に同報送信する。これにより、第2方式基地局1abからは、第2方式ページング信号が第2送信周期で複数の通信端末2に同報送信される。
【0059】
複数方式基地局1bでは、上位側通信部19がゲートウェイ4からルータ3を通じて第1方式ページング信号を受信すると、送信信号生成部18aは、当該第1方式ページング信号を含む送信信号を生成して第1方式通信部16に出力する。第1方式通信部16は、第1方式ページング信号を含む送信信号をアンテナ16aから複数の通信端末2に同報送信する。これにより、複数方式基地局1bからは、第1方式が用いられて第1方式ページング信号が第1送信周期で複数の通信端末2に同報送信される。
【0060】
また、複数方式基地局1bでは、上位側通信部19がゲートウェイ4からルータ3を通じて第2方式ページング信号を受信すると、送信信号生成部18aは、当該2ページング信号を含む送信信号を生成して第2方式通信部17に出力する。第2方式通信部17は、第2方式ページング信号を含む送信信号をアンテナ17aから複数の通信端末2に同報送信する。これにより、複数方式基地局1bからは、第2方式が用いられて第2方式ページング信号が第2送信周期で複数の通信端末2に同報送信される。
【0061】
<単一方式端末の動作>
待ち受け状態、言い換えればアイドル状態の第1方式端末2aaは、基地局1から第1方式ページング信号が送信される第1送信周期に応じて間欠動作を行っている。具体的には、第1方式端末2aaは、基地局1から第1方式ページング信号が送信されるタイミングで通常動作を行い、それ以外のタイミングではスリープ動作を行っている。スリープ動作では、消費電力を低減するために、無線通信部20に対する電源供給が停止されており、無線通信部20では送信及び受信動作が行えないようになっている。無線通信部20に対する電源供給の制御は制御部21が行う。
【0062】
第1方式端末2aaでは、通常動作時に、無線通信部20が第1方式ページング信号を含む送信信号を受信すると、送信信号生成部21aは、受信データ取得部21bで取得される第1方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれているか否かを判定する。送信信号生成部21aは、受信された第1方式ページング信号に自装置宛てのページング情報が含まれている場合には、応答信号を含む送信信号を生成して無線通信部20に出力する。無線通信部20は、応答信号を含む送信信号をアンテナ20aから無線送信する。これにより、自装置宛てのページング情報を含む第1方式ページング信号を受信した第1方式端末2aaからは、当該第1方式ページング信号を送信した基地局1に対して応答信号が送信される。
【0063】
第1方式端末2aaから応答信号を受信した基地局1は、当該応答信号をゲートウェイ4に送信する。ゲートウェイ4は、第1方式端末2aaからの応答信号を受信すると、当該第1方式端末2aaの認証等を行う。その後、ゲートウェイ4は、ネットワーク200からの当該第1方式端末2aaへのトラヒックを基地局1を通じて当該第1方式端末2aaへ送信する。以後、当該第1方式端末2aaは基地局1及びゲートウェイ4を通じてネットワーク200とのデータ通信を行う。
【0064】
第2方式端末2abの動作については第1方式端末2aaと同様である。アイドル状態の第2方式端末2abは、アイドル状態の第1方式端末2aaと同様に、基地局1から第2ページングが送信される第2送信周期に応じて間欠動作を行っている。
【0065】
第2方式端末2abでは、通常動作時に、無線通信部20が第2方式ページング信号を含む送信信号を受信すると、送信信号生成部21aは、受信データ取得部21bで取得される第2方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれているか否かを判定する。送信信号生成部21aは、受信された第2方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれている場合には、応答信号を含む送信信号を生成して無線通信部20に出力する。無線通信部20は、応答信号を含む送信信号をアンテナ20aから無線送信する。これにより、自装置宛てのページング情報を含む第2方式ページング信号を受信した第2方式端末2abからは、当該第2方式ページング信号を送信した基地局1に対して応答信号が送信される。
【0066】
第2方式端末2abから応答信号を受信した基地局1は、当該応答信号をゲートウェイ4に送信する。ゲートウェイ4は、第2方式端末2abからの応答信号を受信すると、当該第2方式端末2abの認証等を行う。その後、ゲートウェイ4は、ネットワーク200からの当該第2方式端末2abへのトラヒックを基地局1を通じて当該第2方式端末2abへ送信する。以後、当該第2方式端末2abは基地局1及びゲートウェイ4を通じてネットワーク200とのデータ通信を行う。
【0067】
<複数方式端末の動作>
複数方式端末2bは、第1方式を用いた通信と、第2方式を用いた通信とを行うことから、第1及び第2方式のどちらか一方を用いて通信する単一方式端末2aよりも消費電力が大きくなる傾向にある。
【0068】
そこで、本実施の形態では、複数方式基地局1bが送信する第1及び第2方式ページング信号に関して、一方のページング信号に、他方のページング信号に含められるページング情報も含めるようにしている。これにより、複数方式端末2bは、当該一方のページング信号だけを受信するだけで良くなり、複数方式端末2bの消費電力を低減することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、互いにサービスエリアが重複する第1方式基地局1aa及び第2方式基地局1abがそれぞれ送信する第1及び第2方式ページング信号に関して、一方のページング信号に、他方のページング信号に含められるページング情報も含めるようにしている。これにより、複数方式端末2bは、当該一方のページング信号だけを受信するだけで良くなり、複数方式端末2bの消費電力を低減することができる。
【0070】
ゲートウェイ4では、送信信号生成部41aは、複数方式基地局1bに送信する第1及び第2方式ページング信号において、第1方式が用いられる通信のトラヒックの発生を示すページング情報(以後、「第1ページング情報」と呼ぶことがある)と、第2方式が用いられる通信のトラヒックの発生を示すページング情報(以後、「第2ページング情報」と呼ぶことがある)との両方を含めるページング信号を決定する。そして、送信信号生成部41aは、決定したページング信号に対して、それにもともと含めるべきページング情報だけではなく、もう一方のページング信号に含められるページング情報も含める。複数方式基地局1bに送信する第1及び第2方式ページング信号において、例えば、送信信号生成部41aは、第1方式ページング信号を、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号として決定すると、当該第1方式ページング信号に対して、もともと含めるべき第1ページング情報だけではなく、もう一方の第2方式ページング信号に含められる第2ページング情報を含めるようにする。
【0071】
また、送信信号生成部41aは、互いにサービスエリアが重複する第1方式基地局1aa及び第2方式基地局1abがそれぞれ送信する第1及び第2方式ページング信号において、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号を決定する。そして、送信信号生成部41aは、決定したページング信号に対して、それにもともと含めるべきページング情報だけではなく、もう一方のページング信号に含められるページング情報を含める。
【0072】
以後、第1及び第2ページング情報の両方を含むページング信号を「複数方式対応ページング信号」と呼ぶことがある。
【0073】
図7は、アイドル状態(待ち受け状態)の複数方式端末2bの動作を示すフローチャートである。図7に示されるように、複数方式端末2bでは、アイドル状態に移行すると、ステップs1において、第1方式通信部26が第1方式ページング信号の第1送信周期に応じて間欠動作を開始するとともに、第2方式通信部27が第2方式ページング信号の第2送信周期に応じて間欠動作を開始する。
【0074】
第1方式通信部26は、間欠動作において、基地局1から第1方式ページング信号が送信されるタイミングで動作を行い、それ以外のタイミングでは、電源供給が停止されて動作が停止する。また、第2方式通信部27は、間欠動作において、基地局1から第2方式ページング信号が送信されるタイミングで動作を行い、それ以外のタイミングでは電源供給が停止されて動作が停止する。第1方式通信部26及び第2方式通信部27に対する電源供給の制御は制御部28が行う。
【0075】
次にステップs2において、アイドル状態の複数方式端末2bにおいて、第1方式通信部26あるいは第2方式通信部27が複数方式対応ページング信号を受信すると、制御部28は、第1方式通信部26及び第2方式通信部27のうち、当該複数方式対応ページング信号を受信した通信部とは別の通信部に対する電源供給を完全に停止して、当該別の通信部の動作を完全に停止する。例えば、第1方式通信部26が複数方式対応ページング信号を受信すると、制御部28は、第2方式通信部27に対する電源供給が完全に停止して、当該第2方式通信部27の動作を完全に停止させる。なお、複数方式対応ページング信号を受信した通信部は間欠動作を維持する。
【0076】
その後、アイドル状態の複数方式端末2bでは、ステップs4において、ステップs2で複数方式対応ページング信号を受信した通信部が、複数方式対応ページング信号を受信しなくなると、つまり、当該通信部が用いる無線通信方式が用いられる通信のトラヒックの発生を示すページング情報だけを含むページング信号を受信するようになると、ステップs3で動作が完全に停止された通信部は、ステップs5において、間欠動作を再開してページング信号の受信を再開する。
【0077】
以後、アイドル状態の複数方式端末2bでは、ステップs2が実行されると同様の動作を行う。
【0078】
複数方式端末2bでは、間欠動作を行う第1方式通信部26が、複数方式対応ページング信号ではない第1方式ページング信号を含む送信信号を受信すると、送信信号生成部28aは、当該第1方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれているか否かを判定する。そして、送信信号生成部28aは、当該第1方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれている場合には、第1応答信号を含む送信信号を生成して第1方式通信部26に出力する。第1方式通信部26は、第1応答信号を含む送信信号をアンテナ26aから無線送信する。これにより、自装置宛てのページング情報を含む、複数方式対応ページング信号ではない第1方式ページング信号を受信した複数方式端末2bからは、当該第1方式ページング信号を送信した基地局1に対して第1応答信号が送信される。
【0079】
複数方式端末2bから第1応答信号を受信した基地局1は、当該第1応答信号をゲートウェイ4に送信する。ゲートウェイ4は、複数方式端末2bからの第1応答信号を受信すると、当該複数方式端末2bの認証等を行う。その後、ゲートウェイ4は、ネットワーク200からの当該複数方式端末2bへの第1方式が用いられる通信のトラヒックを、基地局1を通じて当該複数方式端末2bへ送信する。以後、当該複数方式端末2bは第1方式を用いて基地局1及びゲートウェイ4を通じてネットワーク200とのデータ通信を行う。
【0080】
同様にして、複数方式端末2bでは、間欠動作を行う第2方式通信部27が、複数方式対応ページング信号ではない第2方式ページング信号を含む送信信号を受信すると、送信信号生成部28aは、当該第2方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれているか否かを判定する。そして、送信信号生成部28aは、当該第2方式ページング信号に、自装置宛てのページング情報が含まれている場合には、第2応答信号を含む送信信号を生成して第2方式通信部27に出力する。第2方式通信部27は、第2応答信号を含む送信信号をアンテナ27aから無線送信する。これにより、自装置宛てのページング情報を含む、複数方式対応ページング信号ではない第2方式ページング信号を受信した複数方式端末2bからは、当該第2方式ページング信号を送信した基地局1に対して第2応答信号が送信される。
【0081】
複数方式端末2bから第2応答信号を受信した基地局1は、当該第2応答信号をゲートウェイ4に送信する。ゲートウェイ4は、複数方式端末2bからの第2応答信号を受信すると、当該複数方式端末2bの認証等を行う。その後、ゲートウェイ4は、ネットワーク200からの当該複数方式端末2bへの第2方式が用いられる通信のトラヒックを、基地局1を通じて当該複数方式端末2bへ送信する。以後、当該複数方式端末2bは第2方式を用いて基地局1及びゲートウェイ4を通じてネットワーク200とのデータ通信を行う。
【0082】
複数方式端末2bでは、第1方式通信部26あるいは第2方式通信部27が複数方式対応ページング信号を含む送信信号を受信すると、送信信号生成部28aは、受信データ取得部28bで取得される複数方式対応ページング信号に、自装置宛ての第1ページング情報が含まれているか否かと、自装置宛ての第2ページング情報が含まれているか否かを判定する。
【0083】
送信信号生成部28aは、受信された複数方式対応ページング信号に、自装置宛ての第1ページング情報が含まれている場合には、第1応答信号を含む送信信号を生成して第1方式通信部26に出力する。第1方式通信部26は、第1応答信号を含む送信信号をアンテナ26aから無線送信する。
【0084】
一方で、送信信号生成部28aは、受信された複数方式対応ページング信号に、自装置宛ての第2ページング情報が含まれている場合には、第2応答信号を含む送信信号を生成して第2方式通信部27に出力する。第2方式通信部27は、第2応答信号を含む送信信号をアンテナ27aから無線送信する。
【0085】
複数方式端末2bに対して、それ宛ての第1ページング情報を含む複数方式対応ページング信号が複数方式基地局1bから送信される際には、当該複数方式端末2bからの第1応答信号は当該複数方式基地局1bに送信される。また、複数方式端末2bに対して、それ宛ての第2ページング情報を含む複数方式対応ページング信号が複数方式基地局1bから送信される際には、当該複数方式端末2bからの第2応答信号は当該複数方式基地局1bに送信される。
【0086】
複数方式端末2bに対して、それ宛てのページング情報を含む複数方式対応ページング信号が単一方式基地局1aから送信される際には、当該ページング情報が対応する無線通信方式と、当該単一方式基地局1aが対応する無線通信方式とが一致する場合には、当該複数方式端末2bからの応答信号は当該単一方式基地局1aに送信される。これに対して、当該ページング情報が対応する無線通信方式と、当該単一方式基地局1aが対応する無線通信方式とが異なる場合には、当該複数方式端末2bからの応答信号は、当該単一方式基地局1aのサービスエリアと重複するサービスエリアを有する、当該単一方式基地局1aの無線通信方式とは異なる無線通信方式が用いられる単一方式基地局1aに送信される。
【0087】
例えば、複数方式端末2bに対して、それ宛ての第1ページング情報を含む複数方式対応ページング信号が第1方式基地局1aaから送信される際には、当該複数方式端末2bからの第1応答信号は当該第1方式基地局1aaに送信される。また、複数方式端末2bに対して、それ宛ての第1ページング情報を含む複数方式対応ページング信号が第2方式基地局1abから送信される際には、当該複数方式端末2bからの第1応答信号は、当該第2方式基地局1abのサービスエリアと重複するサービスエリアを有する第1方式基地局1aaに送信される。
【0088】
以上のように、本実施の形態では、ゲートウェイ4において、第1方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、第2方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、第1及び第2方式のどちらか一方に応じたページング信号(複数方式対応ページング信号)が生成される。したがって、複数方式端末2bでは、第1及び第2方式ページング信号の両方を受信する必要が無くなる。よって、複数方式端末2bの消費電力を低減することができる。
【0089】
<第1及び第2ページング情報を含めるページング信号の決定方法>
次に、ゲートウェイ4で行われる、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号の決定の方法について説明する。ここでは第1〜第4の決定方法について説明する。
【0090】
<第1の決定方法>
第1の決定方法では、第1及び第2方式ページング信号のうち、送信周期が長い方のページング信号に対して第1及び第2ページング情報の両方を含める。例えば、第1方式ページング信号の第1送信周期が1秒であって、第2方式ページング信号の第2送信周期が5秒である場合には、ゲートウェイ4の送信信号生成部41aは、第2方式ページング信号を、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号として決定する。これにより、複数方式端末2bでは、上述のステップs3において、複数方式対応ページング信号を受信する通信部とは別の通信部の動作が完全に停止された後は、送信周期の長い複数方式対応ページング信号だけを受信することになる。よって、複数方式端末2bでは、ページング信号の受信間隔が長くなる。その結果、複数方式端末2bの消費電力をさらに低減することができる。
【0091】
<第2の決定方法>
第2の決定方法では、第1及び第2方式ページング信号のうち、送信周期が短い方のページング信号に対して第1及び第2ページング情報の両方を含める。例えば、第1方式ページング信号の第1送信周期が1秒であって、第2方式ページング信号の第2送信周期が5秒である場合には、ゲートウェイ4の送信信号生成部41aは、第1方式ページング信号を、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号として決定する。これにより、複数方式端末2bは、複数方式対応ページング信号を短い周期で受信することができるため、消費電力を低減しつつ、自装置に対する呼び出し(ページング)に対してすぐに応答することができる。
【0092】
<第3の決定方法>
第3の決定方法では、第1及び第2方式ページング信のうち、送信電力が大きい方のページング信号に対して、第1及び第2ページング情報の両方を含ませる。例えば、第1方式で規定されている基地局1のサービスエリアの方が、第2方式で規定されている基地局1のサービスエリアよりも大きい場合には、ゲートウェイ4の送信信号生成部41aは、第1方式ページング信号の送信電力の方が、第2方式ページング信号の送信電力よりも大きいと判定して、第1方式ページング信号を、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号として決定する。これにより、複数方式端末2bは、複数方式対応ページング信号を受信し易くなる。
【0093】
<第4の決定方法>
第4の決定方法では、第1及び第2方式ページング信号のうち、送信周波数が低い方のページング信号に第1及び第2ページング情報を含ませる。例えば、第1方式でのシステム帯域が第2方式でのシステム帯域よりも低く設定されている場合には、ゲートウェイ4の送信信号生成部41aは、第1方式ページング信号の送信周波数が、第2方式ページング信号の送信周波数よりも低いと判定して、第1方式ページング信号を、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号として決定する。送信信号の周波数が低いほど、当該送信信号の拡散性及び透過性(浸透性)が強くなることから、当該送信信号を受信し易くなる。よって、第1及び第2方式ページング信号のうち、送信周波数が低い方のページング信号に第1及び第2ページング情報を含ませることによって、複数方式端末2bは、複数方式対応ページング信号を受信し易くなる。
【0094】
<変形例>
上記の例では、一つのゲートウェイ4で複数の無線通信方式での通信を管理していたたが、複数の無線通信方式にそれぞれ対応させて複数のゲートウェイを設けて、各ゲートウェイにおいて、それに対応する無線通信方式だけの通信を管理しても良い。図8はこの場合の無線通信システム100の構成例を示す図である。
【0095】
図8に示される無線通信システム100では、第1方式での通信を管理するゲートウェイ4aと、第2方式での通信を管理するゲートウェイ4bとが設けられている。ゲートウェイ4a,4bの構成は、上述の図6と同様であって、ネットワーク200を通じて互いに通信することが可能となっている。なお、ゲートウェイ4aとゲートウェイ4bとを有線等で接続して、ゲートウェイ4a,4bが直接互いに通信することが可能であっても良い。
【0096】
ゲートウェイ4aには、第1方式基地局1aaと複数方式基地局1bとが接続されている。複数方式基地局1bでの第1方式が用いられる通信についてはゲートウェイ4aで管理される。ゲートウェイ4aは、第1方式基地局1aaから同報送信される第1方式ページング信号を生成して出力する。またゲートウェイ4aは、複数方式基地局1bから第1方式を用いて同報送信される第1方式ページング信号を生成して出力する。
【0097】
ゲートウェイ4bには、ルータ3を通じて、第2方式基地局1abと複数方式基地局1bとが接続されている。複数方式基地局1bでの第2方式が用いられる通信についてはゲートウェイ4bで管理される。ゲートウェイ4bは、第2方式基地局1abから同報送信される第2方式ページング信号を生成して出力する。またゲートウェイ4bは、複数方式基地局1bから第2方式を用いて同報送信される第2方式ページング信号を生成して出力する。
【0098】
このような無線通信システム100において、例えば、第1方式ページング信号が、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号であるとすると、ゲートウェイ4bが、ゲートウェイ4aに対して、第2方式ページング信号に含める第2ページング情報をネットワーク200を通じて通知する。ゲートウェイ4aは、ゲートウェイ4bから第2ページング情報が通知されると、それを第1方式ページング信号に含めて、当該第1方式ページング信号を出力する。これにより、複数方式端末2bでは、第1及び第2方式ページング信号の両方を受信する必要が無くなり、複数方式端末2bの消費電量を低減することができる。
【0099】
一方で、第2方式ページング信号が、第1及び第2ページング情報の両方を含めるページング信号であるとすると、ゲートウェイ4aが、ゲートウェイ4bに対して、第1方式ページング信号に含める第1ページング情報をネットワーク200を通じて通知する。ゲートウェイ4bは、ゲートウェイ4aから第1ページング情報が通知されると、それを第2方式ページング信号に含めて、当該第2方式ページング信号を出力する。これにより、複数方式端末2bでは、第1及び第2方式ページング信号の両方を受信する必要が無くなり、複数方式端末2bの消費電量を低減することができる。
【0100】
また上記の例では、無線通信システム100では、2つの無線通信方式が使用されていたが、3つ以上の無線通信方式を使用しても良い。例えば、無線通信システム100において、GSM、UMTS及びLTEを使用しても良い。無線通信システム100において、N(≧3)個の無線通信方式が使用される場合には、当該N個の無線通信方式にそれぞれ応じたN個のページング信号において、一つのページング信号に、残りのページング信号に含まれるページ情報を含める。これにより、N個の無線通信方式を用いて通信する通信端末2では、N個のページング信号のすべてを受信する必要が無くなり、消費電力が低減する。
【符号の説明】
【0101】
2b 複数方式端末
4,4a,4b ゲートウェイ
25 無線通信部
28 制御部
40 送信部
41a 送信信号生成部
100 無線通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末を収容する基地局を制御する基地局上位装置であって、
前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記ページング信号を基地局に送信する送信部と
を備える、基地局上位装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局上位装置であって、
前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信周期が短い方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる、基地局上位装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基地局上位装置であって、
前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信電力が大きい方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる、基地局上位装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基地局上位装置であって、
前記生成部は、前記第1無線通信方式を用いて基地局から送信される第1方式ページング信号及び前記第2無線通信方式を用いて基地局から送信される第2方式ページング信号のうち、送信周波数が低い方のページング信号に前記第1及び第2ページング情報を含ませる、基地局上位装置。
【請求項5】
第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末であって、
前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する無線通信部と、
前記無線通信部を制御する制御部と
を備え、
前記無線通信部は、前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を受信し、
前記制御部は、
前記無線通信部が受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第1ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第1無線通信方式を用いて第1応答信号を送信させ、
前記無線通信部が受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第2ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第2無線通信方式を用いて第2応答信号を送信させる、通信端末。
【請求項6】
第1及び第2無線通信方式が用いられる無線通信システムであって、
前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する通信端末と、
前記通信端末を収容する基地局を制御する基地局上位装置と
を備え、
前記基地局上位装置は、
前記第1無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第1ページング情報と、前記第2無線通信方式が用いられる通信のトラヒックが発生したことを示す第2ページング情報の両方を含む、前記第1及び第2無線通信方式のどちらか一方を用いて基地局から送信されるページング信号を生成する生成部と、
前記生成部で生成された前記ページング信号を基地局に送信する送信部と
を有し、
前記通信端末は、
前記第1及び第2無線通信方式を用いて通信する無線通信部と、
前記無線通信部を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記無線通信部が基地局から受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第1ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第1無線通信方式を用いて第1応答信号を送信させ、
前記無線通信部が基地局から受信する前記ページング信号に自装置宛ての前記第2ページング情報が含まれている場合には、前記無線通信部に前記第2無線通信方式を用いて第2応答信号を送信させる、無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−74523(P2013−74523A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213036(P2011−213036)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】