説明

基地局及び無線通信システム

【課題】基地局と通信端末との間の通信性能が向上することが可能な技術を提供する。
【解決手段】判定部125は、周辺基地局が当該周辺基地局と通信する通信端末からの割り当て要求信号に応じて送信する割り当て通知信号で通知される無線リソースを通信部13が通信に使用しているかを判定する。通信部13は、判定部125において、周辺基地局が通信端末からの割り当て要求信号に応じて送信する割り当て通知信号で通知される無線リソースが通信に使用されていると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、複数のアンテナ110aでの送信指向性に関して、当該通信端末から当該割り当て要求信号とともに送信される既知信号を用いて当該通信端末にヌルを向けるヌルステアリングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末と通信する基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、通信端末と通信する基地局に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−101552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基地局と通信端末の間においては、通信性能を向上させることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、基地局と通信端末の間の通信性能を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る基地局は、通信端末と通信する基地局であって、複数のアンテナを有し、当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる無線リソース割り当て部とを備え、前記基地局の周辺に位置する周辺基地局と通信する通信端末は、当該周辺基地局に対して、当該周辺基地局との通信で使用する無線リソースの割り当てを要求するための割り当て要求信号を送信し、当該割り当て要求信号を受信した当該周辺基地局から、当該通信端末に対して割り当てられた無線リソースを通知するための割り当て通知信号を受信すると、当該割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定し、前記周辺基地局が当該周辺基地局と通信する通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを前記通信部が通信に使用しているかを判定する判定部をさらに備え、前記通信部は、前記判定部において、前記周辺基地局が通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースが通信に使用されていると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、当該通信端末から当該割り当て要求信号とともに送信される既知信号を用いて当該通信端末にヌルを向けるヌルステアリングを行う。
【0007】
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記通信部は、前記周辺基地局と通信する通信端末が、当該周辺基地局から通知される前記割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定する判定期間が終了すると、当該通信端末についての前記ヌルステアリングの実行を中止する。
【0008】
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記通信部は、前記周辺基地局と通信する通信端末が、当該周辺基地局から通知される前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを用いて通信を開始すると、当該通信端末についての前記ヌルステアリングの実行を中止する。
【0009】
また、本発明に係る無線通信システムは、それぞれが通信端末と通信し、互いに周辺に位置する第1及び第2基地局を備え、前記第1基地局は、複数のアンテナを有し、当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する第1通信部と、前記第1通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる第1無線リソース割り当て部とを有し、前記第2基地局は、第2通信部と、前記第2通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる第2無線リソース割り当て部とを有し、前記第2基地局では、前記第2通信部が、当該第2通信部と通信する通信端末から、当該第2通信部との通信で使用する無線リソースの割り当てを要求するための割り当て要求信号を受信すると、前記第2無線リソース割り当て部が、当該通信端末に対して、前記第2通信部との通信で使用する無線リソースを割り当てるとともに、前記第2通信部が、前記第2無線リソース割り当て部において当該通信端末に対して割り当てられた無線リソースを通知するための割り当て通知信号を当該通信端末に送信し、前記第2基地局と通信する通信端末は、前記第2基地局から前記割り当て通知信号を受信すると、当該割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定し、前記第1基地局は、前記第2基地局が当該第2基地局と通信する通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを前記第1通信部が通信に使用しているかを判定する判定部をさらに備え、前記第1基地局では、前記第1通信部は、前記判定部において、前記第2基地局が通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを通信に使用していると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、当該通信端末から当該割り当て要求信号とともに送信される既知信号を用いて当該通信端末にヌルを向けるヌルステアリングを行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基地局と通信端末との間の通信性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】基地局の構成を示す図である。
【図3】通信端末の構成を示す図である。
【図4】TDMAフレームの構成を示す図である。
【図5】リンクチャネル確立処理を示すフローチャートである。
【図6】基地局の送信指向性を示す図である。
【図7】基地局の動作を示すフローチャートである。
【図8】基地局の動作を示すフローチャートである。
【図9】基地局の送信指向性を示す図である。
【図10】基地局の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本実施の形態に係る無線通信システム100の構成を示す図である。無線通信システム100は、例えばPHS(Personal Handyphone System)であって、それぞれがTDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplexing)方式で通信端末2と通信する複数の基地局1を備えている。
【0013】
図1に示されるように、各基地局1のサービスエリア10は、周辺基地局1のサービスエリア10と部分的に重なっている。図1では、4つの基地局1だけしか示されていないため、1つの基地局1に対して周辺基地局1が2つあるいは3つだけしか存在していないが、実際には、1つの基地局1に対して例えば6つの周辺基地局1が存在することがある。
【0014】
複数の基地局1は、図示しないネットワークに接続されており、当該ネットワークを通じて互いに通信可能となっている。また、ネットワークには図示しないサーバ装置が接続されており、各基地局1は、ネットワークを通じてサーバ装置と通信可能となっている。
【0015】
図2は各基地局1の構成を示す図である。基地局1は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を制御することが可能である。
【0016】
図2に示されるように、基地局1は、無線処理部11と、当該無線処理部11を制御する制御部12とを備えている。無線処理部11は、複数のアンテナ110aから成るアレイアンテナ110を有している。無線処理部11は、アレイアンテナ110で受信される複数の受信信号のそれぞれに対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの複数の受信信号を生成して出力する。
【0017】
また、無線処理部11は、制御部12で生成されるベースバンドの複数の送信信号のそれぞれに対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の複数の送信信号を生成する。そして、無線処理部11は、生成した搬送帯域の複数の送信信号を、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aにそれぞれ入力する。これにより、各アンテナ110aから送信信号が無線送信される。
【0018】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びメモリなどで構成されている。制御部12では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、送信信号生成部120、受信データ取得部121、無線リソース割り当て部122、送信ウェイト処理部123、受信ウェイト処理部124及び判定部125などの機能ブロックが形成される。
【0019】
送信信号生成部120は、通信対象の通信端末2に送信する送信データを生成する。送信データには制御データ及びユーザデータが含まれる。そして、送信信号生成部120は、生成した送信データを含むベースバンドの送信信号を生成する。この送信信号は、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aの数だけ生成される。
【0020】
送信ウェイト処理部123は、送信信号生成部120で生成された複数の送信信号に対して、アレイアンテナ110での送信指向性を制御するための複数の送信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、送信ウェイト処理部123は、複数の送信ウェイトがそれぞれ設定された複数の送信信号を無線処理部11に出力する。
【0021】
受信ウェイト処理部124は、無線処理部11から入力される複数の受信信号に対して、アレイアンテナ110での受信指向性を制御するための複数の受信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、受信ウェイト処理部124は、複数の受信ウェイトがそれぞれ設定された複数の受信信号を合成して新たな受信信号を生成する。
【0022】
受信データ取得部121は、受信ウェイト処理部124で生成された新たな受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データ及びユーザデータを取得する。
【0023】
本実施の形態に係る基地局1では、無線処理部11、送信ウェイト処理部123及び受信ウェイト処理部124によって、アレイアンテナ110の指向性を適応的に制御しながら複数の通信端末2と通信を行う通信部13が構成されている。通信部13は、通信端末2と通信する際に、アレイアンテナ110の受信指向性及び送信指向性のそれぞれを制御する。具体的には、通信部13は、受信ウェイト処理部124において、受信信号に乗算する受信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での受信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。また、通信部13は、送信ウェイト処理部123において、送信信号に乗算する送信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での送信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。送信ウェイトは受信ウェイトから求めることができ、受信ウェイトは通信端末2からの既知信号に基づいて求めることができる。
【0024】
また、本実施の形態に係る基地局1では、受信ウェイトの算出に、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム及びRLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズムなどのMMSE(Minimum Mean Squared. Error、最小二乗誤差法)が使用される。受信ウェイトの算出にLMSアルゴリズムあるはRLSアルゴリズムが使用される場合には、ヌルステアリング及びビームフォーミングの両方が行われる。以後、アレイアンテナ110から信号を送信する際の当該アレイアンテナ110の送信指向性の制御を「アレイ送信制御」と呼ぶことがある。また、アレイアンテナ110で信号を受信する際の当該アレイアンテナ110の受信指向性の制御を「アレイ受信制御」と呼ぶことがある。
【0025】
無線リソース割り当て部122は、データ通信を行う通信端末2を決定するとともに、当該通信端末2に対して、当該通信端末2とのデータ通信で使用する上り無線リソース及び下り無線リソースを割り当てる。送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に割り当てた下り無線リソースに基づいて、当該通信端末2に送信すべきデータを含む送信信号を生成するとともに、当該下り無線リソースに基づいたタイミングで当該送信信号を送信ウェイト処理部123に入力する。これにより、通信端末2に送信すべきデータを含む送信信号が、当該通信端末2に割り当てられた下り無線リソースを用いて通信部13から送信される。また、送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に割り当てた無線リソース(上り無線リソース及び下り無線リソース)を当該通信端末2に通知するための制御データである割り当て通知信号を含む送信信号を生成して出力する。これにより、通信端末2は、基地局1が当該通信端末2に割り当てた上り無線リソース及び下り無線リソースを知ることができ、当該基地局1からの信号を適切に受信することができるとともに、当該基地局1で割り当てられた上り無線リソースを用いて当該基地局1に対してデータを無線送信することができる。
【0026】
判定部125は、受信データ取得部121において、自基地局1の周辺に位置する周辺基地局1が当該周辺基地局1と通信する通信端末2に送信する割り当て通知信号が取得されると、当該割り当て通知信号で通知される無線リソースを通信部13が通信に使用しているかを判定する。割り当て通知信号で通知される無線リソースを通信部13が通信に使用しているか否かについては、無線リソース割り当て部122での通信端末2に対する無線リソースの割り当て結果に基づいて判定することができる。判定部125での判定結果は、後述するように、通信部13でのアレイ送信制御で利用される。
【0027】
図3は各通信端末2の構成を示す図である。図3に示されるように、通信端末2は、アンテナ21aを用いて基地局1と無線通信を行う無線通信部21と、当該無線通信部21を制御する制御部22とを備えている。
【0028】
無線通信部21は、アンテナ21aで受信される受信信号に対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの受信信号を生成して制御部22に出力する。また、無線通信部21は、制御部22で生成されるベースバンドの送信信号に対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の送信信号を生成する。そして、無線通信部21は、生成した搬送帯域の送信信号をアンテナ21aに入力する。これにより、アンテナ21aから送信信号が無線送信される。
【0029】
制御部22は、CPU、DSP及びメモリなどで構成されている。制御部22では、CPU及びDSPがメモリ内の各種プログラムを実行することによって、様々な機能ブロックが形成される。
【0030】
制御部22は、通信対象の基地局1に送信する送信データを生成する。送信データには制御データ及びユーザデータが含まれる。そして、制御部22は、生成した送信データを含むベースバンドの送信信号を生成して出力する。また制御部22は、無線通信部21から入力される受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データ及びユーザデータを取得する。
【0031】
<TDMAフレームの構成>
次に基地局1が通信端末2との通信に使用するTDMAフレーム200の構成について説明する。図4はTDMAフレーム200の構成を示す図である。図4に示されるように、TDMAフレーム200は、基地局1が通信端末2に信号を送信するための下りフレーム200dと、基地局1が通信端末2からの信号を受信するための上りフレーム200uとで構成されている。下りフレーム200d及び上りフレーム200uのそれぞれは、4つのスロットSLで構成されている。
【0032】
以後、下りフレーム200dに含まれるスロットSLを「下りスロットSL」と呼ぶ。そして、下りフレーム200dに含まれる4つの下りスロットSLを先頭から順に第1〜第4下りスロットSLとそれぞれ呼ぶ。また、上りフレーム200uに含まれるスロットSLを「上りスロットSL」と呼ぶ。そして、上りフレーム200uに含まれる4つの上りスロットSLを先頭から順に第1〜第4上りスロットSLとそれぞれ呼ぶ。
【0033】
ここで、PHSにおいては、制御データの送受信だけに使用される制御用キャリアと、ユーザデータと一部の制御データの送受信に使用される通信用キャリアとが規定されている。制御用キャリアの周波数と通信用キャリアの周波数とは互いに異なっている。PHSでは、互いに周波数が異なる複数の通信用キャリアが規定されている。
【0034】
また、PHSにおいては、機能チャネル(論理チャネル)として、制御データの送受信に使用されるCCH(制御チャネル)と、ユーザデータの送受信に使用されるTCH(情報チャネル)とが規定されている。CCHには共通チャネルと個別チャネルが含まれる。CCHの共通チャネル、つまりBCCH(報知チャネル)、PCH(一斉呼び出しチャネル)及びSCCH(個別セル用チャネル)で送受信される制御データの送受信には制御用キャリアが用いられる。一方で、TCHで送受信されるユーザデータとCCHの個別チャネル、つまりACCH(付随制御チャネル)で送受信される制御データとの送受信には通信用キャリアが用いられる。ACCHとしては、低速ACCH(SACCH)と高速ACCH(FACCH)が存在する。
【0035】
以後、CCHの共通チャネルで送受信される制御データを「共通制御データ」と呼ぶ。また、CCHの個別チャネルで送受信される制御データを「個別制御データ」と呼ぶ。共通制御データの送受信に使用される周波数(制御用キャリアの周波数)と、ユーザデータ及び個別制御データの送受信に使用される周波数(通信用キャリアの周波数)とは互いに異なっている。以後、説明の便宜上、特に断らない限り、ユーザデータと言えば、個別制御データも含むものとする。
【0036】
本実施の形態では、基地局1は、第1〜第4下りスロットSLのうちの1つの第N下りスロットSL(1≦N≦4)と、第1〜第4上りスロットSLのうちの1つの第N上りスロットSLとを共通制御データの通信に使用する。つまり、基地局1は、制御用キャリアの周波数と第N下りスロットSLとで特定される下り無線リソースを共通制御データの下り通信に使用し、当該制御用キャリアの周波数と第N上りスロットSLとで特定される上り無線リソースを共通制御データの上り通信に使用する。共通制御データに関して、基地局1が上り通信で使用するスロットSLの番号と、下り通信で使用するスロットSLの番号とは一致している。
【0037】
また、基地局1の無線リソース割り当て部122は、通信端末2とのユーザデータの通信で使用する無線リソースとして、複数の通信用キャリアのうちの一つの通信用キャリアと、同一のTDMAフレーム200に含まれる、第M下りスロットSL(1≦M≦4、M≠N)及び第M上りスロットSLとを、当該通信端末2に対して割り当てる。つまり、無線リソース割り当て部122は、通信端末2とのユーザデータの下り通信で使用する下り無線リソースとして、一つの通信用キャリアの周波数と第M下りスロットSLとで特定される下り無線リソースを当該通信端末2に割り当てるとともに、当該通信端末2とのユーザデータの上り通信で使用する上り無線リソースとして、当該一つの通信用キャリアの周波数と第M上りスロットSLとで特定される上り無線リソースを当該通信端末2に割り当てる。無線リソース割り当て部122は、通信端末2に対して、同じ番号の下りスロットSL及び上りスロットSLを、ユーザデータの通信で使用するスロットSLとして割り当てる。
【0038】
また、基地局1の通信部13は、L個(L≧2)のTDMAフレーム200に1回、下りスロットSLを使用して共通制御データを送信する。このL個のTDMAフレーム200は「LCCH(Logical Control CHannel)スパーフレーム」と呼ばれている。互いに周辺に位置する複数の基地局1においては、共通制御データを送信する際に使用する下りスロットSLが一致しないようになっている。
【0039】
通信部13は、無線リソース割り当て部122において、通信端末2とのユーザデータの通信で使用する無線リソース(通信用キャリアの周波数及びスロットSL)が当該通信端末2に対して割り当てられると、当該無線リソースを通知するための割り当て通知信号を当該通信端末2に送信する。通信端末2は、基地局1からの割り当て通知信号で通知された無線リソースを用いて当該基地局1との間でユーザデータの通信を行う。
【0040】
以後、共通制御データの通信に使用されるスロットSLを「制御用スロットSL」と呼ぶことがある。そして、共通制御データの通信に使用される無線リソース(制御用キャリアの周波数及び制御用スロットSL)を「制御用無線リソース」と呼ぶことがある。一つの制御用スロットSLにおいては、共通制御データと「ユニークワード」と呼ばれる既知信号とが同じ制御用キャリアが用いられて送信される。制御用スロットSLで送信される既知信号を「第1既知信号」と呼ぶ。
【0041】
また、ユーザデータの通信に使用されるスロットSLを「通信用スロットSL」と呼ぶことがある。そして、ユーザデータの通信に使用される無線リソース(通信用キャリアの周波数及び通信用スロットSL)を「通信用無線リソース」と呼ぶことがある。一つの通信用スロットSLにおいては、ユーザデータと「ユニークワード」と呼ばれる既知信号とが同じ通信用キャリアが用いられて送信される。通信用スロットSLで送信される既知信号を「第2既知信号」と呼ぶ。
【0042】
<リンクチャネル確立処理>
次に、基地局1と通信端末2との間で行われるリンクチャネル確立処理について説明する。図5はリンクチャネル確立処理を示すフローチャートである。以後、説明の対象となる通信端末2を「対象通信端末2」と呼ぶ。
【0043】
図5に示されるように、ステップs1において、対象通信端末2は、接続対象の基地局1に対して、リンクチャネル確立要求メッセージを送信する。リンクチャネル確立要求メッセージは、基地局1に対してリンクの設定を要求するための信号であって、基地局1に対して、当該基地局1とのユーザデータの通信に使用する通信用無線リソース(チャネル)の割り当てを要求するための割り当て要求信号でもある。リンクチャネル確立要求メッセージには、通信端末2が対応しているRT(Radio Frequency Transmission Management)・MM(Mobility Management)のプロトコルのバージョンを示す情報及び通信端末2が対応可能な周波数帯域を示す情報などが含まれている。リンクチャネル確立要求メッセージは、CCHの共通チャネルの一種であるSCCHを用いて送信される。
【0044】
対象通信端末2からリンクチャネル確立要求メッセージを受信した基地局1では、ステップs2において、無線リソース割り当て部122が、対象通信端末2に対して、ユーザデータの通信で使用する通信用無線リソース(上り無線リソース及び下り無線リソース)を割り当てる。そして、基地局1では、ステップs3において、通信部13が、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に対して割り当てられた通信用無線リソースを通知するための割り当て通知信号であるリンクチャネル割当メッセージを対象通信端末2に送信する。リンクチャネル割当メッセージには、対象通信端末2に対して割り当てられた通信用無線リソース(通信用キャリアの周波数及び通信用スロットSL)を特定するための情報などが含まれている。リンクチャネル割当メッセージはSCCHを用いて送信される。
【0045】
基地局1からリンクチャネル割当メッセージを受信した通信端末2は、ステップs4において、当該リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該通信用無線リソースが使用可能かを判定するキャリアセンスを行う。通信端末2では、制御部22は、基地局1からのリンクチャネル割当メッセージを取得すると、当該リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースにおいて無線通信部21が受信する受信信号に基づいて、当該通信用無線リソースで受信される干渉波の信号レベルを求める。そして、制御部22は、求めた干渉波の信号レベルがしきい値以下の場合には、リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースが使用可能であると判定する。この場合には、キャリアセンスがOKとなる。一方で、制御部22は、求めた干渉波の信号レベルがしきい値よりも大きい場合には、リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースが使用不可であると判定する。この場合には、キャリアセンスがNGとなる。
【0046】
ステップs5において、対象通信端末2でキャリアセンスがOKとなると、リンクチャネル確立処理が終了し、対象通信端末2と基地局1との間にリンクが設定される。つまり、対象通信端末2は基地局1と接続される。
【0047】
一方で、ステップs5において、対象通信端末2でキャリアセンスがNGとなると、ステップs6において、対象通信端末2は、接続対象の基地局1に対して、リンクチャネル確立再要求メッセージを送信する。リンクチャネル確立再要求メッセージは、基地局1に対して、当該基地局1とのユーザデータの通信に使用する通信用無線リソースの割り当てを再度要求するための割り当て要求信号である。リンクチャネル確立再要求メッセージには、通信端末2が対応しているRT・MMのプロトコルのバージョンを示す情報などとともに、無線リソースの割り当てを再度要求する理由を示す情報、ここでは、割り当てられた通信用無線リソースが使用不可であることを示す情報が含まれている。リンクチャネル確立再要求メッセージはSCCHを用いて送信される。
【0048】
対象通信端末2からリンクチャネル確立再要求メッセージを受信した基地局1では、ステップs2が再度実行されて、無線リソース割り当て部122は、対象通信端末2に対して、前回割り当てた通信用無線リソースとは別の通信用無線リソースを割り当てる。以後、同様の処理が行われる。
【0049】
以上のようにして基地局1と対象通信端末2との間のリンクが確立し、その後、基地局1と対象通信端末2との間においてユーザデータの通信が開始すると、基地局1の通信部13は、対象通信端末2に割り当てられた通信用無線リソースを用いて対象通信端末2からのユーザデータを受信する際にはアレイ受信制御を行う。通信部13は、対象通信端末2が通信用スロットSLを用いて当該ユーザデータとともに送信する第2既知信号に基づいてアレイ受信制御を行う。
【0050】
ここで、基地局1が通信する対象通信端末2が送信する第2既知信号と、当該基地局1の周辺に位置する周辺基地局1が通信する通信端末2が送信する第2既知信号とが同じ通信用無線リソースを用いて送信されている場合には、基地局1が対象通信端末2から受信する第2既知信号には、周辺基地局1が通信する当該通信端末2が送信する第2既知信号が干渉波成分として含まれることになる。このような場合において、基地局1の通信部13が、対象通信端末2からの第2既知信号に基づいてアレイ受信制御を行うと、アレイアンテナ110の受信指向性に関して、対象通信端末2に対してビームを向けることができるとともに、周辺基地局1が通信する当該通信端末2に対してヌルを向けることができる。よって、基地局1は、周辺基地局1が通信する当該通信端末2からの干渉波を受信することを抑制することができる。
【0051】
また、基地局1の通信部13は、対象通信端末2に割り当てられた通信用無線リソースを用いてユーザデータを対象通信端末2に送信する際には、対象通信端末2が通信用スロットSLを用いて送信する第2既知信号に基づいてアレイ送信制御を行う。基地局1が通信する対象通信端末2が送信する第2既知信号と、周辺基地局1が通信する通信端末2が送信する第2既知信号とが同じ通使用無線リソースを用いて送信されている場合には、基地局1が対象通信端末2から受信する第2既知信号には、周辺基地局1が通信する当該通信端末2が送信する第2既知信号が干渉波成分として含まれることになる。このような場合において、基地局1の通信部13が、対象通信端末2からの第2既知信号に基づいてアレイ送信制御を行うと、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、対象通信端末2に対してビームを向けることができるとともに、周辺基地局1が通信する当該通信端末2に対してヌルを向けることができる。よって、基地局1は、周辺基地局1が通信する当該通信端末2に対して干渉を与えることを抑制することができる。
【0052】
また、基地局1の通信部13は、制御用無線リソースを用いて、対象通信端末2からの共通制御データを受信する際には、対象通信端末2が制御用スロットSLを用いて当該共通制御データとともに送信する第1既知信号に基づいてアレイ受信制御を行う。そして、基地局1の通信部13は、対象通信端末2に対して制御用無線リソースを用いて、割り当て通知信号等の共通制御データを送信する際には、対象通信端末2が制御用スロットSLを用いて送信する第1既知信号に基づいてアレイ送信制御を行う。
【0053】
以後、説明の便宜上、「リンクチャネル確立要求メッセージ」と言えば、リンクチャネル確立再要求メッセージも含むものとする。
【0054】
<キャリアセンスでの問題点>
上述のように、基地局1と通信する対象通信端末2が行うキャリアセンスでは、当該基地局1から送信される割り当て通知信号(リンクチャネル割当メッセージ)で通知される無線リソースが使用可能であるかについて、当該無線リソースで受信される干渉波の信号レベルに基づいて判定されている。したがって、基地局1と通信する対象通信端末2がキャリアセンスを行っている期間(以後、「キャリアセンス期間」と呼ぶ)において、当該基地局1の周辺に位置する周辺基地局1が、当該基地局1が送信する割り当て通知信号で通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて通信端末2に信号を送信する際には、周辺基地局1が送信する当該信号が、対象通信端末2ではキャリアセンス期間において干渉波として受信されるようになる。そうすると、対象通信端末2ではキャリアセンスがNGとなる可能性が高くなる。
【0055】
図6は、第1基地局1aとその周辺に位置する第2基地局1bでの送信指向性の一例を示す図である。図6の例では、第1基地局1aは、端末番号1の通信端末2との間においてリンクチャネル確立処理を行っている。また、第2基地局1bは、リンクチャネル確立処理において第1基地局1aによって端末番号1の通信端末2に割り当てられた通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて端末番号5の通信端末2に対してユーザデータの送信を行っている。
【0056】
第1基地局1aと端末番号1の通信端末2との間でリンクチャネル確立処理が行われている際には、第1基地局1aでの端末番号1の通信端末2からの第1既知信号に基づくアレイ送信制御によって、図6に示されるように、第1基地局1aの送信指向性に関するビーム300aは端末番号1の通信端末2に向いている。
【0057】
一方で、第2基地局1bにおいては、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号に基づくアレイ送信制御によって、送信指向性に関するビーム300bが端末番号5の通信端末2に向いている。
【0058】
ここで、リンクチャネル確立処理において端末番号1の通信端末2が送信する第1既知信号と、端末番号5の通信端末2がユーザデータとともに送信する第2既知信号とは、互いに異なった無線リソースを用いて必ず送信されることから、第2基地局1bは、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号を受信する際には、端末番号1の通信端末2が送信する第1既知信号を干渉波として受信することが無い。したがって、第2基地局1bが、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号に基づいて単にアレイ送信制御を行うだけでは、第2基地局1bの送信指向性に関するヌルを意図的に端末番号1の通信端末2に向けることができず、図6に示されるように、第2基地局1bの送信指向性に関するビーム301bが、端末番号1の通信端末2に向く可能性がある。よって、端末番号1の通信端末2においては、キャリアセンス期間において、第2基地局1bが端末番号5の通信端末2に送信する信号が干渉波として受信される可能性があり、キャリアセンスがNGとなる可能性が高くなる。
【0059】
これに対して、第1基地局1aと端末番号1の通信端末2との間のリンクが確立して、第1基地局1aと端末番号1の通信端末2とが、当該通信端末2に割り当てられた通信用無線リソースを用いてユーザデータの通信を開始すると、端末番号1の通信端末2は、割り当てられた通信用無線リソースを用いて、ユーザデータとともに第2既知信号を送信するようになる。したがって、端末番号1の通信端末2に割り当てられた通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて端末番号5の通信端末2と通信する第2基地局1bにおいては、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号を受信する際に、端末番号1の通信端末2からの第2既知信号を干渉波として受信するようになる。そのため、第2基地局1bにおいては、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号に基づくアレイ送信制御によって、送信指向性に関するヌルを端末番号1の通信端末2に意図的に向けることが可能となる。よって、第2基地局1bは、第1基地局1aとユーザデータの通信を行う端末番号1の通信端末2に対しては、干渉を与えることを抑制することができる。
【0060】
このように、第2基地局1bが、端末番号5の通信端末2からの第2既知信号に基づいて単にアレイ送信制御を行うだけでは、第2基地局1bでは、端末番号1の通信端末2がユーザデータの通信を行っているときには端末番号1の通信端末2にヌルを向けることができるものの、端末番号1の通信端末2がキャリアセンスを行っているときには端末番号1の通信端末2にヌルを向けることはできない。したがって、端末番号1の通信端末2においては、それを用いて実際にユーザデータの通信を行う際には適切な通信を行うことが可能となるような通信用無線リソースについてのキャリアセンスがNGとなって、当該通信用無線リソースが使用できないと判定される可能性が高くなる。対象通信端末2においてキャリアセンスがNGとなると、対象通信端末2からリンクチャネル確立再要求メッセージが送信されることになり、対象通信端末2が基地局1と接続するまでに時間がかかることになる。あるいは、対象通信端末2と基地局1との間にリンクが確立せず、対象通信端末2は基地局1とユーザデータの通信を行うことができない可能性がある。その結果、基地局1と対象通信端末2の間の通信性能が低下する。
【0061】
そこで、本実施の形態では、基地局1の周辺に位置する周辺基地局1が通信する通信端末2(以後、「周辺端末2」と呼ぶことがある)においてキャリアセンスが行われている際の当該基地局1でのアレイ送信制御を工夫することによって、当該基地局1での送信指向性に関して、当該周辺基地局1が通信する当該通信端末2に対してヌルが向くようにしている。これにより、周辺端末2においてキャリアセンスがNGとなることを抑制することができる。その結果、周辺基地局1と周辺端末2の間の通信性能を向上することができる。以下にこの点について詳細に説明する。以後、周辺端末2においてキャリアセンスが行われている際の基地局1でのアレイ送信制御を「周辺キャリアセンス時のアレイ送信制御」と呼ぶ。また、説明の対象となる周辺端末2を「対象周辺端末2」と呼ぶ。
【0062】
<周辺キャリアセンス時のアレイ送信制御>
図7は基地局1における周辺キャリアセンス時のアレイ送信制御を示すフローチャートである。図7に示されるように、ステップs21において、通信部13は、周辺基地局1と通信する対象周辺端末2が当該周辺基地局1に送信するリンクチャネル確立要求メッセージを受信すると、ステップs22において、通信部13は、対象周辺端末2が当該リンクチャネル確立要求メッセージとともに送信する第1既知信号を保存する。上述のように、リンクチャネル確立要求メッセージと第1既知信号は、同じ制御用スロットSLにおいて同じ制御用キャリアを用いて送信される。周辺基地局1は、対象周辺端末2からのリンクチャネル確立要求メッセージを受信すると、対象周辺端末2に対してリンクチャネル割当メッセージを送信する。
【0063】
ステップs22の後、ステップs23において、周辺基地局1が対象周辺端末2に送信するリンクチャネル割当メッセージを通信部13が受信すると、ステップs24において、判定部125は、通信部13が受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースが、通信部13で使用されているかを判定する。
【0064】
ステップs24において、通信部13が受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースが通信部13で使用されていると判定されると、ステップs25において、通信部13は、受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて信号を送信する際には、ステップs22で保存した、対象周辺端末2からの第1既知信号を用いて、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、対象周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行う。これにより、通信部13が、受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて信号を送信する際には、当該通信部13の送信指向性に関するヌルが、当該リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースについてのキャリアセンスを行っている対象周辺端末2に対して向くようになる。よって、基地局1は、キャリアセンスを行っている対象周辺端末2に対して干渉を与えることを抑制することができる。その結果、対象周辺端末2においてキャリアセンスのNGが発生することを抑制することができる。以後、ステップs25でのヌルステアリングを「改良ヌルステアリング」と呼ぶ。
【0065】
一方で、ステップs24において、通信部13が受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースが通信部13で使用されていないと判定されると、ステップs26において、通信部13は、ステップs22で保存した第1既知信号を破棄する。この場合には、通信部13は、通常通りに、通信端末2からの第2既知信号に基づいて送信ウェイトを算出し、当該送信ウェイトを送信信号に設定することによって、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングを行う。
【0066】
<改良ヌルステアリングの詳細>
次に改良ヌルステアリングの詳細について説明する。図8は改良ヌルステアリングを示すフローチャートである。以下の説明では、通信部13は、周辺基地局1から受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて対象通信端末2と通信するものとする。
【0067】
図8に示されるように、ステップs31において、通信部13では、受信ウェイト処理部124が、ステップs22で保存された第1既知信号に含まれる所望波成分のアレイ応答ベクトル(チャネル行列とも呼ばれる)を求める。ステップs22で保存された第1既知信号、つまり通信部13で受信された第1既知信号には、対象周辺端末2で生成された状態の第1既知信号、つまり理想的な状態の第1既知信号が所望波成分として含まれている。ステップs22で保存された第1既知信号の所望波成分のアレイ応答ベクトルは、ステップs22で保存した第1既知信号(複数のアンテナ110aでそれぞれ受信された複数の第1既知信号)と、第1既知信号の理想的な信号である参照信号との相関値を求めることによって求めることができる。通信部13で求められるアレイ応答ベクトルは、対象周辺端末2と、当該通信部13が属する基地局1との間の伝送路の特性を示している。
【0068】
次にステップs32において、受信ウェイト処理部124は、ステップs31で求めたアレイ応答ベクトルを用いて、対象周辺端末2からの干渉波と見なすことができる疑似干渉信号を生成する。ステップs32においては、ステップs31で求められたアレイ応答ベクトルと、複数のアンテナ110aにそれぞれ対応する、疑似干渉信号生成用の複数の既知信号(例えば、第1既知信号)から成る信号ベクトルとを乗算して得られる信号ベクトルが疑似干渉信号として求められる。このように、通信部13では、ステップs22で保存された第1既知信号に基づいて、対象周辺端末2からの干渉波と見なすことができる疑似干渉信号が生成される。
【0069】
次にステップs33において、受信ウェイト処理部124は、通信部13が周辺基地局1から受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースにおいて対象通信端末2から受信される第2既知信号(より詳細には、複数のアンテナ110aでそれぞれ受信された複数の第2既知信号から成る信号ベクトル)に対して疑似信号干渉信号を足し合わせて新たな第2既知信号を生成する。この新たな第2既知信号には、対象周辺端末2からの干渉波と見なすことができる疑似干渉信号が含まれている。
【0070】
そしてステップs34において、通信部13は、周辺基地局1から受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて対象通信端末2に信号を送信する際には、ステップs33で生成された新たな第2既知信号に基づいてアレイ送信制御を行う。
【0071】
具体的には、受信ウェイト処理部124は、ステップs33で生成された新たな第2既知信号に基づいて受信ウェイトを算出し、送信ウェイト処理部123が当該受信ウェイトに基づいて送信ウェイトを算出する。そして、送信ウェイト処理部123は、リンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて送信する送信信号に対して、算出した送信ウェイトを設定する。これにより、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、対象周辺端末2に対して意図的にヌルが向くヌルステアリングが行われる。
【0072】
図9は、図6に対応する図であって、第2基地局1bが、端末番号5の通信端末2に対して信号を送信する際に改良ヌルステアリングを行う際の第1基地局1a及び第2基地局1bの送信指向性を示す図である。上記の図7,8を用いた説明での基地局1、対象通信端末2、周辺基地局1、対象周辺端末2は、図9における第2基地局1b、端末番号5の通信端末2、第1基地局1a、端末番号1の通信端末2にそれぞれ対応している。
【0073】
図9に示されるように、第2基地局1bが、端末番号5の通信端末2に対して信号を送信する際に改良ヌルステアリングを行うことによって、第2基地局1bの送信指向性に関して、ヌル310bが端末番号1の通信端末2に向くようになり、図6では端末番号1の通信端末2に向いていたビーム301bが端末番号1の通信端末2に向かなくなる。よって、第2基地局1bは、キャリアセンスを行っている端末番号1の通信端末2に対して干渉を与えることを抑制することができ、端末番号1の通信端末2においてキャリアセンスのNGが発生することを抑制することができる。
【0074】
<改良ヌルステアリングの実行の中止>
本実施の形態に係る基地局1では、通信部13は、対象周辺端末2でのキャリアセンス期間が終了すると、対象周辺端末2についての改良ヌルステアリングの実行を中止するようになっている。通信部13は、改良ヌルステアリングの実行を中止すると、受信したリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて対象通信端末2に信号を送信する際には、通常通りに、対象通信端末2からの第2既知信号に基づいて送信ウェイトを算出し、当該送信ウェイトを送信信号に設定することによって、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングを行う。
【0075】
各通信端末2においては、接続対象の基地局1からのリンクチャネル割当メッセージの受信から一定期間キャリアセンスが行われることから、その一定期間を示す情報を各基地局1において予め記憶させることによって、各基地局1では、通信部13は、周辺基地局1が対象周辺端末2に送信するリンクチャネル割当メッセージを受信することによって、対象周辺端末2でのキャリアセンス期間を特定することができる。
【0076】
このように、通信部13が、対象周辺端末2でのキャリアセンス期間が終了すると、対象周辺端末2についての改良ヌルステアリングの実行を中止することによって、改良ヌルステアリングが無駄に行われることを抑制することができる。その結果、基地局1の通信性能が向上する。
【0077】
また、通信部13は、対象周辺端末2でのキャリアセンス期間が終了すると、対象周辺端末2についての改良ヌルステアリングの実行を中止する代わりに、キャリアセンスを行っていた対象周辺端末2が、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースを用いて通信を開始すると、言い換えれば、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースにおいて、対象周辺端末2からの干渉波の受信を開始すると、対象周辺端末2についての改良ヌルステアリングの実行を中止するようにしても良い。この場合であっても、改良ヌルステアリングが無駄に行われることを抑制することができ、基地局1の通信性能が向上する。
【0078】
対象周辺端末2が、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースを用いて通信を開始したかについては様々な方法では判断することができる。
【0079】
例えば、通信部13は、上述のステップs31で求めたアレイ応答ベクトルと、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースにおいて受信される第2既知信号に含まれる所望波成分(理想的な第2既知信号)のアレイ応答ベクトルとを比較する。そして、通信部13は、両者が近い場合には、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースにおいて受信された第2既知信号は対象周辺端末2が送信したものであると判定し、対象周辺端末2が、周辺基地局1からのリンクチャネル割当メッセージで通知される通信用無線リソースを用いて通信を開始したと判断する。
【0080】
以上のように、本実施の形態に係る基地局1では、通信部13は、判定部125において、周辺基地局1が対象周辺端末2からの割り当て要求信号(リンクチャネル確立要求メッセージ)に応じて送信する割り当て通知信号(リンクチャネル割当メッセージ)で通知される無線リソースが自基地局1において通信に使用されていると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、複数のアンテナ110aでの送信指向性に関して、対象周辺端末2から当該割り当て要求信号とともに送信される第1既知信号を用いて対象周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行う。これにより、基地局1は、キャリアセンスを行っている対象周辺端末2に対して干渉を与えることを抑制することができ。そのため、対象周辺端末2においてキャリアセンスのNGが発生することを抑制することができる。その結果、対象周辺端末2と周辺基地局1の間の通信性能を向上することができる。
【0081】
なお、各通信端末2においては、基地局1との間のリンクチャネル確立処理だけではなく、基地局1とのリンクが設定された後に、通信用無線リソースが他の通信用無線リソースに切り替えられる際にもキャリアセンスが行われる。したがって、基地局1は、周辺端末2が当該キャリアセンスを行っている際に、当該周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行っても良い。以下にこの場合の基地局1のアレイ送信制御について詳細に説明する。
【0082】
図10は基地局1のアレイ送信制御を示すフローチャートである。図10に示されるように、ステップs41において、通信部13は、周辺基地局1と通信する対象周辺端末2が、現在割り当てられている通信用無線リソースを用いて当該周辺基地局1に対して送信するTCH切替要求メッセージを受信すると、ステップs42において、対象周辺端末2が当該通信用無線リソースの通信用スロットSLにおいて当該TCH切替要求メッセージとともに送信する第2既知信号を保存する。
【0083】
ここで、TCH切替要求メッセージとは、通信端末2が基地局1に対して、使用している通信用無線リソースを他の通信用無線リソースに切り替えることを要求するための信号である。つまり、TCH切替要求メッセージとは、通信端末2が基地局1に対して、新たな通信用無線リソースの割り当てを要求するための割り当て要求信号である。通信端末2は、現在使用している通信用無線リソースにおいて干渉波の信号レベルが大きくなるなどして、当該通信用無線リソースを使用することができなくなったと判断した場合には、基地局1に対して、現在使用している通信用無線リソースを用いてTCH切替要求メッセージを送信する。TCH切替要求メッセージは、SACCHを用いて送信される個別制御データである。上述のように、個別制御データとユーザデータ(個別制御データを除く)と第2既知信号は、同じ通信用スロットSLにおいて同じ通信用キャリアを用いて送信されることから、対象周辺端末2は、周辺基地局1から割り当てられた通信用無線リソースを用いてTCH切替要求メッセージを送信する際には第2既知信号も送信する。
【0084】
ステップs42の後、ステップs43において、通信部13が、周辺基地局1が対象周辺端末2に送信するTCH切替指示メッセージを受信すると、ステップs44が実行される。TCH切替指示メッセージは、基地局1が、TCH切替要求メッセージを送信した通信端末2に対して新たに割り当てた通信用無線リソースを通知するための割り当て通知信号である。基地局1では、通信部13が通信端末2からTCH切替要求メッセージを受信すると、無線リソース割り当て部122は、当該通信端末2に対して、前回割り当てた通信用無線リソースとは別の新たな通信用無線リソースを割り当てる。通信部13は、当該通信端末2に対して新たな通信用無線リソースが割り当てられると、当該新たな通信用無線リソースを通知するためのTCH切替指示メッセージを当該通信端末2に対して送信する。
【0085】
ステップs44においては、判定部125は、通信部13が受信したTCH切替指示メッセージで通知される新たな通信用無線リソース(変更後の通信用無線リソース)が、通信部13で使用されているかを判定する。
【0086】
ステップs44において、通信部13が受信したTCH切替指示メッセージで通知される通信用無線リソースが通信部13で使用されていると判定されると、ステップs45において、通信部13は、受信したTCH切替指示メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて信号を送信する際には、ステップs42で保存した、対象周辺端末2からの第2既知信号を用いて、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、対象周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行う。上述の図8を参照して説明した改良ヌルステアリングと同様に、通信部13は、ステップs42に保存した第2既知信号の所望波成分のアレイ応答ベクトルを算出し、それを用いて、対象周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行う。
【0087】
ここで、基地局1に対してTCH切替要求メッセージを送信した通信端末2は、当該基地局1からTCH切替指示メッセージを受信すると、リンクチャネル割当メッセージを受信した場合と同様に、当該TCH切替指示メッセージで通知される新たな通信用無線リソースで受信される干渉波信号の信号レベルに基づいて当該通信用無線リソースが使用可能かを判定するキャリアセンスを行う。そして、通信端末2は、キャリアセンスがOKとなると、新たな通信用無線リソースを用いた基地局1とのユーザデータの通信を開始する。
【0088】
一方で、通信端末2は、キャリアセンスがNGとなると、基地局1に対して、TCH切替再要求メッセージを送信する。TCH切替再要求メッセージは、基地局1に対して、当該基地局1とのユーザデータの通信に使用する通信用無線リソースの変更を再度要求するための信号、言い換えれば、通信用無線リソースの新たな割り当てを要求するための割り当て要求信号である。TCH切替再要求メッセージはSACCHを用いて送信される。通信端末2からTCH切替再要求メッセージを受信した基地局1は、TCH切替要求メッセージを受信した場合と同様にして、当該通信端末2に対して新たな通信用無線リソースを割り当てて、当該新たな通信用無線リソースを通知するためのTCH切替指示メッセージを当該通信端末2に送信する。TCH切替指示メッセージを受信した通信端末2は、当該TCH切替指示メッセージで通知される新たな通信用無線リソースについてのキャリアセンスを行う。
【0089】
このように、通信端末2は、TCH切替指示メッセージを受信した場合には、当該TCH切替指示メッセージで通知される新たな通信用無線リソースについてのキャリアセンスを行う。したがって、上述のステップs45のように、通信部13が、周辺基地局1から受信したTCH切替指示メッセージで通知される通信用無線リソースと同じ通信用無線リソースを用いて信号を送信する際に、ステップs42で保存した、対象周辺端末2からの第2既知信号を用いて、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、対象周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行うことによって、当該通信部13の送信指向性に関するヌルが、当該TCH切替指示メッセージで通知される通信用無線リソースについてのキャリアセンスを行っている対象周辺端末2に対して向くようになる。よって、基地局1は、キャリアセンスを行っている対象周辺端末2に対して干渉を与えることを抑制することができる。その結果、対象周辺端末2においてキャリアセンスのNGが発生することを抑制することができる。
【0090】
一方で、ステップs44において、通信部13が受信したTCH切替指示メッセージで通知される通信用無線リソースが通信部13で使用されていないと判定されると、ステップs46において、通信部13は、ステップs42で保存した第2既知信号を破棄する。この場合には、通信部13は、通常通りに、通信端末2からの第2既知信号に基づいて送信ウェイトを算出し、当該送信ウェイトを送信信号に設定することによって、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングを行う。
【0091】
なお、PHSにおいては、通信用無線リソースで送信されるユーザデータ(個別制御データを含む)は暗号化されていることから、基地局1では、周辺基地局1が送信するTCH切替指示メッセージの内容を理解することは困難である。上記の例では、ユーザデータは暗号化されておらず、基地局1では、周辺基地局1が送信するTCH切替指示メッセージの内容を理解することができるものとして説明している。
【0092】
このように、周辺基地局1と周辺端末2との間にリンクが設定される場合に当該周辺端末2が行うキャリアセンスの実行期間だけではなく、周辺基地局1との間に既にリンクが設定されている周辺端末2に対して新たな通信用無線リソースが割り当てられる場合に当該周辺端末2が行うキャリアセンスの実行期間において、当該周辺端末2にヌルを向けるヌルステアリングを行うことによって、当該周辺端末2と周辺基地局1との間の通信性能をさらに向上することができる。
【0093】
また、上記の例では、本願発明をPHSに適用する場合について説明したが、本願発明は他の無線通信システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 基地局
1a 第1基地局
1b 第2基地局
2 通信端末
13 通信部
100 無線通信システム
122 無線リソース割り当て部
125 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と通信する基地局であって、
複数のアンテナを有し、当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる無線リソース割り当て部と
を備え、
前記基地局の周辺に位置する周辺基地局と通信する通信端末は、当該周辺基地局に対して、当該周辺基地局との通信で使用する無線リソースの割り当てを要求するための割り当て要求信号を送信し、当該割り当て要求信号を受信した当該周辺基地局から、当該通信端末に対して割り当てられた無線リソースを通知するための割り当て通知信号を受信すると、当該割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定し、
前記周辺基地局が当該周辺基地局と通信する通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを前記通信部が通信に使用しているかを判定する判定部をさらに備え、
前記通信部は、前記判定部において、前記周辺基地局が通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースが通信に使用されていると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、当該通信端末から当該割り当て要求信号とともに送信される既知信号を用いて当該通信端末にヌルを向けるヌルステアリングを行う、基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局であって、
前記通信部は、前記周辺基地局と通信する通信端末が、当該周辺基地局から通知される前記割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定する判定期間が終了すると、当該通信端末についての前記ヌルステアリングの実行を中止する、基地局。
【請求項3】
請求項1に記載の基地局であって、
前記通信部は、前記周辺基地局と通信する通信端末が、当該周辺基地局から通知される前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを用いて通信を開始すると、当該通信端末についての前記ヌルステアリングの実行を中止する、基地局。
【請求項4】
それぞれが通信端末と通信し、互いに周辺に位置する第1及び第2基地局を備え、
前記第1基地局は、
複数のアンテナを有し、当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する第1通信部と、
前記第1通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる第1無線リソース割り当て部と
を有し、
前記第2基地局は、
第2通信部と、
前記第2通信部が通信端末との通信で使用する無線リソースを当該通信端末に対して割り当てる第2無線リソース割り当て部と
を有し、
前記第2基地局では、前記第2通信部が、当該第2通信部と通信する通信端末から、当該第2通信部との通信で使用する無線リソースの割り当てを要求するための割り当て要求信号を受信すると、前記第2無線リソース割り当て部が、当該通信端末に対して、前記第2通信部との通信で使用する無線リソースを割り当てるとともに、前記第2通信部が、前記第2無線リソース割り当て部において当該通信端末に対して割り当てられた無線リソースを通知するための割り当て通知信号を当該通信端末に送信し、
前記第2基地局と通信する通信端末は、前記第2基地局から前記割り当て通知信号を受信すると、当該割り当て通知信号で通知される無線リソースにおいて受信される干渉波の信号レベルに基づいて当該無線リソースが使用可能かを判定し、
前記第1基地局は、前記第2基地局が当該第2基地局と通信する通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを前記第1通信部が通信に使用しているかを判定する判定部をさらに備え、
前記第1基地局では、前記第1通信部は、前記判定部において、前記第2基地局が通信端末からの前記割り当て要求信号に応じて送信する前記割り当て通知信号で通知される無線リソースを通信に使用していると判定されると、当該無線リソースを使用して信号を送信する際に、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、当該通信端末から当該割り当て要求信号とともに送信される既知信号を用いて当該通信端末にヌルを向けるヌルステアリングを行う、無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115536(P2013−115536A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258632(P2011−258632)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】