説明

基地局装置、基地局装置の通信方法及び処理部

【課題】複数のコンポーネントキャリアが存在するシステムにおいて基地局装置と移動局装置で保持する設定情報を効率的に管理し、速やかに通信を行うようにする。
【解決手段】基地局装置および移動局装置から構成される通信システムにおける基地局装置は、複数のコンポーネントキャリアが設定されるキャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアのセルに関する1つまたは複数の設定情報パラメータを移動局装置に対して管理し、移動局装置にコンポーネントキャリアのセルを追加する際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに関する複数の設定情報パラメータのうち一部の設定情報パラメータを移動局装置に通知し、移動局装置に通知されなかった設定情報パラメータには、移動局装置が現在アクセス中のコンポーネントキャリアのセルに関する設定情報パラメータが適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、基地局装置の通信方法及び処理部に関し、より詳細には、複数のコンポーネントキャリアが存在する通信システムに使用する基地局装置、該基地局装置の通信方法、及び該通信方法を実行する処理部に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rdGeneration Partnership Project:第3世代パートナーシッププロジェクト)は、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access:広帯域−符号分割多元接続)とGSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications:ジーエスエム)を発展させたネットワークを基本した携帯電話システムの仕様の検討・作成を行うプロジェクトである。
【0003】
3GPPでは、W−CDMA方式が第3世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度をさらに上げたHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access:エイチエスディーピーエー)も標準化され、サービスが開始されている。
【0004】
3GPPでは、第3世代無線アクセス技術の進化(LTE(Long Term Evolution)、もしくは、EUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)と称する)、および、より広帯域なシステム帯域幅を利用して、さらなる高速なデータの送受信を実現する移動通信システム(以下、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)、若しくは、Advanced−EUTRAと称する)に関する検討が進められている。
【0005】
EUTRAにおける下りリンク通信方式として、互いに直交するサブキャリアを用いてユーザ多重化を行うOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)方式が提案されている。
【0006】
また、OFDMA方式において、チャネル符号化等の適応無線リンク制御(リンクアダプテーション:Link Adaptation)に基づく適応変復調・誤り訂正方式(AMCS:Adaptive Modulation and Coding Scheme)といった技術が適用されている。
【0007】
AMCSとは、高速パケットデータ伝送を効率的に行うために、各移動局装置のチャネル品質に応じて、誤り訂正方式、誤り訂正の符号化率、データ変調多値数などの無線伝送パラメータ(AMCモードとも称する)を切り替える方式である。
【0008】
各移動局装置のチャネル品質は、CQI(Channel Quality Indicator:チャネル品質指標)を使って基地局装置へフィードバックされる。
【0009】
図8は、従来の無線通信システムで用いられているチャネル構成を示す図である。このチャネル構成は、EUTRAなどの無線通信システムで用いられている(非特許文献1参照)。図8に示す無線通信システムは、基地局装置100、移動局装置200a、200b、200cを備えている。R01は、基地局装置100の通信可能な範囲を示しており、基地局装置100は、この範囲R01内に存在する移動局装置と通信を行う。
【0010】
EUTRAにおいて、基地局装置100から移動局装置200a〜200cへ信号を送信する下りリンクでは、物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、物理マルチキャストチャネル(PMCH:Physical Multicast Channel)、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:Physical Control Format Indicator Channel)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)が用いられる。
【0011】
また、EUTRAにおいて、移動局装置200a〜200cから基地局装置100へ信号を送信する上りリンクでは、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)が用いられる。
【0012】
LTE−Aでは、EUTRAの基本的なシステムを踏襲している。さらに、LTE−Aでは、一般的なシステムでは使用する周波数帯域は連続であるのに対し、連続/不連続な複数の周波数帯域(以下、キャリア要素(Carrier Component、または、コンポーネントキャリア(Component Carrier))と呼称する)を複合的に用いて、1つの広周波数帯域(広帯域なシステム帯域)として運用する(周波数帯域集約:Spectrum aggregation、Carrier aggregation)ことが提案されている。すなわち、使用可能な周波数帯域であるシステム帯域の中の一部の帯域幅を有する複数のコンポーネントキャリアで、一つのシステム帯域を構成している。それぞれのコンポーネントキャリアでは、LTEやLTE−Aの移動局装置が動作することができる。また、移動通信システムに割り当てられた周波数帯域をより柔軟に使用するために、下りリンクの通信に使用される周波数帯域と上りリンクの通信に使用される周波数帯域が、異なる周波数帯域幅を持つことも提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】3GPP TS(Technical Specification) 36.300, V8.4.0 (2008-03), Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来から知られている無線通信システムにおいて、移動局装置が完全にコンポーネントキャリア数分の無線装置を上位層に渡るまで持つことは非常に効率が悪いという問題があった。また、従来から知られている無線通信システムにおいて、コンポーネントキャリアの追加時にすべての設定情報を基地局装置から移動局装置へ通知する必要があり、制御信号のオーバヘッドの増加、制御処理の煩雑さなどの問題があった。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のコンポーネントキャリアが存在するシステムにおいて基地局装置と移動局装置で保持する設定情報を効率的に管理することができ、速やかに通信を行うことができる基地局装置、基地局装置の通信方法及び処理部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による第1の技術手段は、基地局装置および移動局装置から構成される通信システムにおける基地局装置であって、複数のコンポーネントキャリアが設定されるキャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアのセルに関する1つまたは複数の設定情報パラメータを前記移動局装置に対して管理し、前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルを追加する際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに関する複数の設定情報パラメータのうち一部の設定情報パラメータを前記移動局装置に通知し、前記移動局装置に通知されなかった設定情報パラメータには、前記移動局装置が現在アクセス中のコンポーネントキャリアのセルに関する設定情報パラメータが適用されることを特徴とした基地局装置である。
【0017】
本発明による第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用する設定情報パラメータは、前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルが追加された際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用される設定情報パラメータとして通知されなかった設定情報パラメータであることを特徴とした基地局装置である。
【0018】
本発明による第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用する設定情報パラメータは、予め定められた特定の設定情報パラメータであることを特徴とした基地局装置である。
【0019】
本発明による第4の技術手段は、基地局装置および移動局装置から構成される通信システムにおける基地局装置の通信方法であって、複数のコンポーネントキャリアが設定されるキャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアのセルに関する1つまたは複数の設定情報パラメータを前記移動局装置に対して管理するステップと、前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルを追加する際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに関する複数の設定情報パラメータのうち一部の設定情報パラメータを前記移動局装置に通知するステップと、前記移動局装置に通知されなかった設定情報パラメータには、前記移動局装置が現在アクセス中のコンポーネントキャリアのセルに関する設定情報パラメータが適用されるステップと、を有することを特徴とした基地局装置の通信方法である。
【0020】
本発明による第5の技術手段は、第4の技術手段の通信方法を実行する処理部であって、複数の処理ブロック部と、前記複数の処理ブロック部を統合して制御する上位のブロックと、を用いて前記通信方法を実行することを特徴とした処理部である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の基地局装置、基地局装置の通信方法及び処理部は、複数のコンポーネントキャリアが存在するシステムにおいて基地局装置と移動局装置で保持する設定情報を効率的に管理することができ、速やかに通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態による通信システムで用いる下りリンクのチャネルの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による通信システムで用いる上りリンクのチャネルの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による通信システムの下りリンクで用いるフレーム構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による通信システムの上りリンクで用いるフレーム構成を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による基地局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による移動局装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による無線通信システムの処理を示すシーケンス図である。
【図8】従来の無線通信システムで用いられているチャネル構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。
【0024】
始めに、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態による無線通信システムは、1つ以上の基地局装置と1つ以上の移動局装置とを備えていて、その間の無線通信を行う。1つの基地局装置は、1つ以上のセルを構成し、1つのセルに1つ以上の移動局装置を収容できる。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態による通信システムで用いる下りリンクのチャネルの構成を示す図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態による通信システムで用いる上りリンクのチャネルの構成を示す図である。図1に示す下りリンクのチャネルと、図2に示す上りリンクのチャネルは、それぞれ論理チャネル、トランスポートチャネル、物理チャネルから構成されている。
【0026】
論理チャネルは、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層で送受信されるデータ送信サービスの種類を定義する。トランスポートチャネルは、無線インターフェースで送信されるデータがどのような特性をもち、そのデータがどのように送信されるのかを定義する。物理チャネルは、トランスポートチャネルを運ぶ物理的なチャネルである。
【0027】
下りリンクの論理チャネルには、報知制御チャネル(BCCH:Broadcast Control Channel)、ページング制御チャネル(PCCH:Paging Control Channel)、共通制御チャネル(CCCH:Common Control Channel)、専用制御チャネル(DCCH:Dedicated Control Channel)、専用トラフィックチャネル(DTCH:Dedicated Traffic Channel)、マルチキャスト制御チャネル(MCCH:Multicast Control Channel)、マルチキャストトラフィックチャネル(MTCH:Multicast Traffic Channel)が含まれる。上りリンクの論理チャネルには、共通制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用トラフィックチャネル(DTCH)が含まれる。
【0028】
下りリンクのトランスポートチャネルには、報知チャネル(BCH:Broadcast Channel)、ページングチャネル(PCH:Paging Channel)、下りリンク共用チャネル(DL−SCH:Downlink Shared Channel)、マルチキャストチャネル(MCH:Multicast Channel)が含まれる。上りリンクのトランスポートチャネルには、上りリンク共用チャネル(UL−SCH:Uplink Shared Channel)、ランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)が含まれる。
【0029】
下りリンクの物理チャネルには、物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)、物理マルチキャストチャネル(PMCH:Physical Multicast Channel)、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:Physical Control Format Indicator Channel)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)が含まれる。上りリンクの物理チャネルには、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)が含まれる。
【0030】
これらのチャネルは、従来技術で説明した図7のようにして基地局装置と移動局装置の間で送受信される。
【0031】
次に、論理チャネルについて説明する。報知制御チャネル(BCCH)は、システム制御情報を報知するために使用される下りリンクチャネルである。ページング制御チャネル(PCCH)は、ページング情報を送信するために使用される下りリンクチャネルであり、ネットワークが移動局装置のセル位置を知らないときに使用される。
【0032】
共通制御チャネル(CCCH)は、移動局装置とネットワーク間の制御情報を送信するために使用されるチャネルであり、ネットワークと無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)接続を有していない移動局装置によって使用される。
【0033】
専用制御チャネル(DCCH)は、1対1(point-to-point)の双方向チャネルであり、移動局装置とネットワーク間で個別の制御情報を送信するために利用するチャネルである。専用制御チャネル(DCCH)は、RRC接続を有している移動局装置によって使用される。
【0034】
専用トラフィックチャネル(DTCH)は、1対1の双方向チャネルであり、1つの移動局装置専用のチャネルであって、ユーザ情報(ユニキャストデータ)の転送のために利用される。
【0035】
マルチキャスト制御チャネル(MCCH)は、ネットワークから移動局装置へMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service:マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス)制御情報を、一対多(point-to-multipoint)送信するために使用される下りリンクチャネルである。これは、1対多でサービスを提供するMBMSサービスに使用される。
【0036】
MBMSサービスの送信方法としては、単セル一対多(SCPTM:Single-Cell Point-to-Multipoint)送信と、マルチメディアブロードキャストマルチキャストサービス単一周波数網(MBSFN:Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)送信とがある。MBSFN送信(MBSFN Transmission)とは、複数セルから同時に識別可能な波形(信号)を送信することで実現する同時送信技術である。一方、SCPTM送信とは、1つの基地局装置でMBMSサービスを送信する方法である。
【0037】
マルチキャスト制御チャネル(MCCH)は、1つまたは複数のマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)に利用される。マルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)は、ネットワークから移動局装置へトラフィックデータ(MBMS送信データ)を一対多(point-to-multipoint)送信するために使用される下りリンクチャネルである。
【0038】
なお、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)およびマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)は、MBMSを受信する移動局装置だけが利用する。
【0039】
次に、トランスポートチャネルについて説明する。報知チャネル(BCH)は、固定かつ事前に定義された送信形式によって、セル全体に報知される。下りリンク共用チャネル(DL−SCH)では、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request:ハイブリッド自動再送要求)、動的適応無線リンク制御、間欠受信(DRX:Discontinuous Reception)、MBMS送信がサポートされ、セル全体に報知される必要がある。
【0040】
また、下りリンク共用チャネル(DL−SCH)では、ビームフォーミングを利用可能であり、動的リソース割り当ておよび準静的リソース割り当てがサポートされる。ページングチャネル(PCH)では、DRXがサポートされ、セル全体に報知される必要がある。
【0041】
また、ページングチャネル(PCH)は、トラフィックチャネルや他の制御チャネルに対して動的に使用される物理リソース、すなわち物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)、にマッピングされる。
【0042】
マルチキャストチャネル(MCH)は、セル全体に報知される必要がある。また、マルチキャストチャネル(MCH)では、複数セルからのMBMS送信のMBSFN(MBMS Single Frequency Network)結合(Combining)や、拡張サイクリックプリフィックス(CP:Cyclic Prefix)を使う時間フレームなど、準静的リソース割り当てがサポートされる。
【0043】
上りリンク共用チャネル(UL−SCH)では、HARQ、動的適応無線リンク制御がサポートされる。また、上りリンク共用チャネル(UL−SCH)では、ビームフォーミングを利用可能である。動的リソース割り当ておよび準静的リソース割り当てがサポートされる。ランダムアクセスチャネル(RACH)は、限られた制御情報が送信され、衝突リスクがある。
【0044】
次に、物理チャネルについて説明する。物理報知チャネル(PBCH)は、40ミリ秒間隔で報知チャネル(BCH)をマッピングする。40ミリ秒のタイミングは、ブラインド検出(blind detection)される。すなわち、タイミング提示のために、明示的なシグナリングを行わなくても良い。また、物理報知チャネル(PBCH)を含むサブフレームは、そのサブフレームだけで復号できる(自己復号可能(self-decodable)である)。
【0045】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、下りリンク共用チャネル(PDSCH)のリソース割り当て、下りリンクデータに対するハイブリッド自動再送要求(HARQ)情報、および、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)のリソース割り当てである上りリンク送信許可(上りリンクグラント)を移動局装置に通知するために使用されるチャネルである。
【0046】
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)は、下りリンクデータまたはページング情報を送信するために使用されるチャネルである。物理マルチキャストチャネル(PMCH)は、マルチキャストチャネル(MCH)を送信するために利用するチャネルであり、下りリンク参照信号、上りリンク参照信号、物理下りリンク同期信号が別途配置される。
【0047】
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)は、主に上りリンクデータ(UL−SCH)を送信するために使用されるチャネルである。基地局装置100が、移動局装置200をスケジューリングした場合には、チャネルフィードバックレポート(下りリンクのチャネル品質識別子CQI(Channel Quality Indicator)、プレコーディングマトリックス識別子PMI(Precoding Matrix Indicator)、ランク識別子RI(Rank Indicator))や下りリンク送信に対するHARQ肯定応答(ACK:Acknowledgement)/否定応答(NACK:Negative Acknowledgement)も物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)を使用して送信される。
【0048】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、ランダムアクセスプリアンブルを送信するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)は、チャネルフィードバックレポート(CQI、PMI、RI)、スケジューリング要求(SR:Scheduling Request)、下りリンク送信に対するHARQ、肯定応答/否定応答などを送信するために使用されるチャネルである。
【0049】
物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH)は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)のために使用されるOFDMシンボル数を移動局装置に通知するために利用するチャネルであり、各サブフレームで送信される。
【0050】
物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)は、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを送信するために利用するチャネルである。
【0051】
次に、本発明の第1の実施形態による通信システムによるチャネルマッピングについて説明する。
【0052】
図1に示されるように、下りリンクでは、次のようにトランスポートチャネルと物理チャネルのマッピングが行われる。報知チャネル(BCH)は、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
【0053】
マルチキャストチャネル(MCH)は、物理マルチキャストチャネル(PMCH)にマッピングされる。ページングチャネル(PCH)および下りリンク共用チャネル(DL−SCH)は、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)にマッピングされる。
【0054】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH)は、物理チャネル単独で使用される。
【0055】
一方、上りリンクでは、次のようにトランスポートチャネルと物理チャネルのマッピングが行われる。上りリンク共用チャネル(UL−SCH)は、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)にマッピングされる。
【0056】
ランダムアクセスチャネル(RACH)は、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)にマッピングされる。物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)は、物理チャネル単独で使用される。
【0057】
また、下りリンクにおいて、次のように論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピングが行われる。ページング制御チャネル(PCCH)は、ページングチャネル(PCH)にマッピングされる。
【0058】
報知制御チャネル(BCCH)は、報知チャネル(BCH)と下りリンク共用チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。共通制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用トラフィックチャネル(DTCH)は、下りリンク共用チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
【0059】
マルチキャスト制御チャネル(MCCH)は、下りリンク共用チャネル(DL−SCH)とマルチキャストチャネル(MCH)にマッピングされる。マルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)は、下りリンク共用チャネル(DL−SCH)とマルチキャストチャネル(MCH)にマッピングされる。
【0060】
なお、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)およびマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)からマルチキャストチャネル(MCH)へのマッピングは、MBSFN送信時に行われる一方、SCPTM送信時は、このマッピングは下りリンク共用チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
【0061】
一方、上りリンクにおいて次のように論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピングが行われる。共通制御チャネル(CCCH)、専用制御チャネル(DCCH)、専用トラフィックチャネル(DTCH)は、上りリンク共用チャネル(UL−SCH)にマッピングされる。ランダムアクセスチャネル(RACH)は、論理チャネルとマッピングされない。
【0062】
次に、本発明の第1の実施形態による無線通信システムで用いるフレームの構成について説明する。
【0063】
図3は、本発明の第1の実施形態による通信システムの下りリンクで用いるフレーム構成を示す図である。また、図4は、本発明の第1の実施形態による通信システムの上りリンクで用いるフレーム構成を示す図である。図3及び図4において、横軸は時間を示しており、縦軸は周波数を示している。
【0064】
システムフレーム番号(SFN:System Frame Number)で識別される無線フレームは10ミリ秒(10ms)で構成されている。また、1サブフレームは1ミリ秒(1ms)で構成されており、無線フレームには10個のサブフレーム#F0〜#F9が含まれる。
【0065】
図3に示すように、下りリンクで用いる無線フレームには、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、物理下りリンク同期信号、物理報知チャネル(PBCH)、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)/物理マルチキャストチャネル(PMCH)、下りリンク参照信号が配置されている。
【0066】
図4に示すように、上りリンクで用いる無線フレームには、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)、上りリンク復調用参照信号、上りリンク測定用参照信号が配置されている。
【0067】
1サブフレーム(例えば、サブフレーム#F0)は、2つのスロット#S0、#S1に分離される。通常のサイクリックプレフィックス(normal CP)が使用される場合、下りリンクのスロットは7個のOFDMシンボルで構成され(図3参照)、上りリンクのスロットは7個のSC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボルで構成される(図4参照)。
【0068】
なお、拡張CP(long CP、または、extended CPとも称する)が使用される場合は、下りリンクのスロットは6個のOFDMシンボルで構成され、上りリンクのスロットは6個のSC−FDMAシンボルで構成される。
【0069】
また、1つのスロットは周波数方向に複数のブロックに分割される。15kHzのサブキャリア12本を周波数方向の単位として、1個の物理リソースブロック(PRB)を構成する。物理リソースブロック(PRB)数は、システム帯域幅に応じて、6個から110個までサポートされる。図3、図4では、物理リソースブロック(PRB)数が25個の場合を示す。また、上りリンクと下りリンクで異なるシステム帯域幅を使用することも可能である。また、アグリゲーションにより、全システム帯域幅を110個以上にすることも可能である。通常コンポーネントキャリアは100物理リソースブロックで構成し、コンポーネントキャリア間にガードバンドをはさんで、5個のコンポーネントキャリアで、全システム帯域幅を500物理リソースブロックにすることができる。これを、帯域幅で表現すると、例えば、コンポーネントキャリアは20MHzで構成し、コンポーネントキャリア間にガードバンドをはさんで、5個のコンポーネントキャリアで、全システム帯域幅を100MHzにすることができる。
【0070】
下りリンク、上りリンクのリソース割り当ては、時間方向にサブフレーム単位かつ周波数方向に物理リソースブロック(PRB)単位で行われる。すなわち、サブフレーム内の2つのスロットは、一つのリソース割り当て信号で割り当てられる。
【0071】
サブキャリアとOFDMシンボルまたはサブキャリアとSC−FDMAシンボルで構成される単位をリソースエレメントと称する。物理層でのリソースマッピング処理で各リソースエレメントに対して変調シンボルなどがマッピングされる。
【0072】
下りリンクトランスポートチャネルの物理層での処理では、物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)に対する24ビットの巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)の付与、チャネルコーディング(伝送路符号化)、物理層HARQ処理、チャネルインターリービング、スクランブリング、変調(QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:4相位相偏移変調)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)、64QAM)、レイヤマッピング、プレコーディング、リソースマッピング、アンテナマッピングなどが行われる。
【0073】
一方、上りリンクトランスポートチャネルの物理層での処理では、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)に対する24ビットの巡回冗長検査(CRC)の付与、チャネルコーディング(伝送路符号化)、物理層HARQ処理、スクランブリング、変調(QPSK、16QAM、64QAM)、リソースマッピング、アンテナマッピングなどが行われる。
【0074】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)および物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH)は、最初の3OFDMシンボル以下に配置される。
【0075】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)では、下りリンク共用チャネル(DL−SCH)およびページングチャネル(PCH)に対するトランスポートフォーマット(変調方式、符号化方式、トランスポートブロックサイズなどを規定する)、リソース割り当て、HARQ情報が送信される。
【0076】
また、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)では、上りリンク共用チャネル(UL−SCH)に対するトランスポートフォーマット(変調方式、符号化方式、トランスポートブロックサイズなどを規定する)、リソース割り当て、HARQ情報が送信される。
【0077】
また、複数の物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)がサポートされ、移動局装置は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)のセットをモニタリングする。
【0078】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)で割り当てられた物理下りリンク共用チャネル(PDSCH)は、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)と同一のサブフレームにマッピングされる。
【0079】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)で割り当てられた物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)は、予め定められた位置のサブフレームにマッピングされる。例えば、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)の下りリンクサブフレーム番号がNの場合、N+4番の上りリンクサブフレームにマッピングされる。
【0080】
また、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)による上り/下りリンクのリソース割り当てにおいて、移動局装置は、16ビットのMAC層識別情報(MAC ID)を用いて特定される。すなわち、この16ビットのMAC層識別情報(MAC ID)が物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)に含まれる。
【0081】
また、下りリンク状態の測定用および下りリンクデータの復調用に使用される下りリンク参照信号(下りリンクパイロットチャネル)は、各スロットの1番目、2番目、後ろから3番目のOFDMシンボルに配置される。
【0082】
一方、物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)の復調用に使用される上りリンク復調用参照信号(復調用パイロット(DRS:Demodulation Reference Signal))は、各スロットの4番目のSC−FDMAシンボルで送信される。
【0083】
また、上りリンク状態の測定用に使用される上りリンク測定用参照信号(スケジューリング用パイロット(SRS:Sounding Reference Signal))は、サブフレームの最後のSC−FDMAシンボルで送信される。
【0084】
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)の復調用参照信号は、物理上りリンク制御チャネルのフォーマットごとに定義され、各スロットの3および4および5番目、または、各スロットの2番目および6番目のSC−FDMAシンボルで送信される。
【0085】
また、物理報知チャネル(PBCH)、下りリンク同期信号は、システム帯域の中心6物理リソースブロック分の帯域に配置される。物理下りリンク同期信号は、1番目(サブフレーム#F0)および5番目(サブフレーム#F4)のサブフレームの各スロットの6番目、7番目のOFDMシンボルで送信される。
【0086】
物理報知チャネル(PBCH)は、1番目のサブフレーム(サブフレーム#F0)の1番目のスロット(スロット#S0)の4番目、5番目のOFDMシンボルと2番目のスロット(スロット#S1)の1番目、2番目のOFDMシンボルで送信される。
【0087】
また、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、周波数方向に6個の物理リソースブロック分の帯域幅、時間方向に1サブフレームで構成される。移動局装置から基地局装置にさまざまな理由で要求(上りリンクリソースの要求、上りリンク同期の要求、下りリンクデータ送信再開要求、ハンドオーバー要求、接続設定要求、再接続要求、MBMSサービス要求など)を行うために送信される。
【0088】
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)は、システム帯域の両端に配置され、物理リソースブロック単位で構成される。スロット間でシステム帯域の両端が交互に使用されるように周波数ホッピングが行われる。
【0089】
図5は、本発明の第1の実施形態による基地局装置100の構成を示す概略ブロック図である。基地局装置100は、データ制御部101、OFDM変調部102、無線部103、スケジューリング部104、チャネル推定部105、DFT−S−OFDM(DFT−Spread−OFDM)復調部106、データ抽出部107、上位層108、アンテナ部A1を備えている。
【0090】
無線部103、スケジューリング部104、チャネル推定部105、DFT−S−OFDM復調部106、データ抽出部107、上位層108およびアンテナ部A1は、受信部を構成している。また、データ制御部101、OFDM変調部102、無線部103、スケジューリング部104、上位層108およびアンテナ部A1は、送信部を構成している。それぞれの送信部、受信部の一部は、コンポーネントキャリアごとに別々に処理するように構成され、一部は、コンポーネントキャリア間で共通の処理を行うように構成されている。
【0091】
アンテナ部A1、無線部103、チャネル推定部105、DFT−S−OFDM復調部106およびデータ抽出部107は、上りリンクの物理層の処理を行う。アンテナ部A2、データ制御部101、OFDM変調部102および無線部103は、下りリンクの物理層の処理を行う。
【0092】
データ制御部101は、スケジューリング部104からトランスポートチャネルを取得する。データ制御部101は、トランスポートチャネルと、スケジューリング部104から入力されるスケジューリング情報に基づいて物理層で生成される信号およびチャネルを、スケジューリング部104から入力されるスケジューリング情報に基づいて、物理チャネルにマッピングする。以上のようにマッピングされた各データは、OFDM変調部102へ出力される。
【0093】
OFDM変調部102は、データ制御部101から入力されたデータに対して、スケジューリング部104から入力されるスケジューリング情報(下りリンク物理リソースブロック(PRB)割り当て情報(例えば、周波数、時間など物理リソースブロック位置情報)や、各下りリンク物理リソースブロック(PRB)に対応する変調方式および符号化方式(例えば、16QAM変調、2/3コーディングレート)などを含む)に基づいて、符号化、データ変調、入力信号の直列/並列変換、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理、サイクリックプレフィックス(CP)の挿入、並びに、フィルタリングなどOFDM信号処理を行い、OFDM信号を生成して、無線部103へ出力する。
【0094】
無線部103は、OFDM変調部102から入力された変調データを無線周波数にアップコンバートして無線信号を生成し、アンテナ部A1を介して、移動局装置200に送信する。また、無線部103は、移動局装置200からの上りリンクの無線信号を、アンテナ部A1を介して受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データをチャネル推定部105とDFT−S−OFDM復調部106とに出力する。
【0095】
スケジューリング部104は、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層の処理を行う。スケジューリング部104は、論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピング、下りリンクおよび上りリンクのスケジューリング(HARQ処理、トランスポートフォーマットの選択など)などを行う。スケジューリング部104は、各物理層の処理部を統合して制御するため、スケジューリング部104と、アンテナ部A1、無線部103、チャネル推定部105、DFT−S−OFDM復調部106、データ制御部101、OFDM変調部102およびデータ抽出部107との間のインターフェースが存在する。ただし、図示しない。
【0096】
スケジューリング部104は、下りリンクのスケジューリングでは、移動局装置200から受信したフィードバック情報(下りリンクのチャネルフィードバックレポート(チャネル品質(CQI)、ストリームの数(RI)、プレコーディング情報(PMI)など))や、下りリンクデータに対するACK/NACKフィードバック情報など)、各移動局装置の使用可能な下りリンク物理リソースブロック(PRB)の情報、バッファ状況、上位層108から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、各データを変調するための下りリンクのトランスポートフォーマット(送信形態)(物理リソースブロック(PRB)の割り当ておよび変調方式および符号化方式など)の選定処理、HARQにおける再送制御および下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行う。これら下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部101およびデータ抽出部107へ出力される。
【0097】
また、スケジューリング部104は、上りリンクのスケジューリングでは、チャネル推定部105が出力する上りリンクのチャネル状態(無線伝搬路状態)の推定結果、移動局装置200からのリソース割り当て要求、各移動局装置200の使用可能な下りリンク物理リソースブロック(PRB)の情報、上位層108から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、各データを変調するための上りリンクのトランスポートフォーマット(送信形態)(物理リソースブロック(PRB)の割り当ておよび変調方式および符号化方式など)の選定処理および上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行う。
【0098】
これら上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部101およびデータ抽出部107へ出力される。
【0099】
また、スケジューリング部104は、上位層108から入力された下りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングし、データ制御部101へ出力する。また、スケジューリング部104は、データ抽出部107から入力された上りリンクで取得した制御データとトランスポートチャンネルを、必要に応じて処理した後、上りリンクの論理チャネルにマッピングし、上位層108へ出力する。
【0100】
チャネル推定部105は、上りリンクデータの復調のために、上りリンク復調用参照信号(DRS:Demodulation Reference Signal)から上りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果をDFT−S−OFDM復調部106に出力する。また、上りリンクのスケジューリングを行うために、上りリンク測定用参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)から上りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果をスケジューリング部104に出力する。
【0101】
なお、上りリンクの通信方式は、DFT−S−OFDM等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、OFDM方式のようなマルチキャリア方式を用いても良い。
【0102】
DFT−S−OFDM復調部106は、チャネル推定部105から入力された上りリンクのチャネル状態推定結果に基づいて、無線部103から入力された変調データに対し、DFT(Discrete Fourier Transform:離散フーリエ変換)変換、サブキャリアマッピング、IFFT変換、フィルタリング等のDFT−S−OFDM信号処理を行って、復調処理を施し、データ抽出部107に出力する。
【0103】
データ抽出部107は、スケジューリング部104からのスケジューリング情報に基づいて、DFT−S−OFDM復調部106から入力されたデータに対して、正誤を確認するとともに、確認結果(肯定信号ACK/否定信号NACK)をスケジューリング部104に出力する。
【0104】
また、データ抽出部107は、スケジューリング部104からのスケジューリング情報に基づいて、DFT−S−OFDM復調部106から入力されたデータからトランスポートチャネルと物理層の制御データとに分離して、スケジューリング部104に出力する。
【0105】
分離された制御データには、移動局装置200から通知されたフィードバック情報(下りリンクのチャネルフィードバックレポート(CQI、PMI、RI)、下りリンクのデータに対するACK/NACKフィードバック情報)などが含まれている。
【0106】
上位層108は、パケットデータ統合プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)層、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)層、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)層の処理を行う。上位層108は、下位層の処理部を統合して制御するため、上位層108と、スケジューリング部104、アンテナ部A1、無線部103、チャネル推定部105、DFT−S−OFDM復調部106、データ制御部101、OFDM変調部102およびデータ抽出部107との間のインターフェースが存在する。ただし、図示しない。
【0107】
上位層108は、無線リソース制御部109を有している。また、無線リソース制御部109は、各種設定情報の管理、システム情報の管理、ページング制御、各移動局装置の通信状態の管理、ハンドオーバーなどの移動管理、移動局装置ごとのバッファ状況の管理、ユニキャストおよびマルチキャストベアラの接続設定の管理、移動局識別子(UEID)の管理などを行っている。上位層108は、別の基地局装置への情報および上位ノードへの情報の授受を行う。
【0108】
図6は、本発明の第1の実施形態による移動局装置200の構成を示す概略ブロック図である。移動局装置200は、データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202、無線部203、スケジューリング部204、チャネル推定部205、OFDM復調部206、データ抽出部207、上位層208、アンテナ部A2を備えている。
【0109】
データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202、無線部203、スケジューリング部204、上位層208およびアンテナ部A2は、送信部を構成している。また、無線部203、スケジューリング部204、チャネル推定部205、OFDM復調部206、データ抽出部207、上位層208およびアンテナ部A2は、受信部を構成している。また、スケジューリング部204は、選択部を構成している。
【0110】
アンテナ部A2、データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202および無線部203は、上りリンクの物理層の処理を行う。アンテナ部A2、無線部203、チャネル推定部205、OFDM復調部206およびデータ抽出部207は、下りリンクの物理層の処理を行う。それぞれの送信部、受信部の一部は、コンポーネントキャリアごとに別々に処理するように構成され、一部は、コンポーネントキャリア間で共通の処理を行うように構成されている。
【0111】
データ制御部201は、スケジューリング部204からトランスポートチャネルを取得する。データ制御部201は、トランスポートチャネルと、スケジューリング部104から入力されるスケジューリング情報に基づいて物理層で生成される信号およびチャネルを、スケジューリング部204から入力されるスケジューリング情報に基づいて、物理チャネルにマッピングする。このようにマッピングされた各データは、DFT−S−OFDM変調部202へ出力される。
【0112】
DFT−S−OFDM変調部202は、データ制御部201から入力されたデータに対し、データ変調、DFT処理、サブキャリアマッピング、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理、サイクリックプレフィックス(CP)挿入、フィルタリングなどのDFT−S−OFDM信号処理を行い、DFT−S−OFDM信号を生成して、無線部203へ出力する。
【0113】
なお、上りリンクの通信方式は、DFT−S−OFDM等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、代わりにOFDM方式のようなマルチキャリア方式を用いても良い。
【0114】
無線部203は、DFT−S−OFDM変調部202から入力された変調データを無線周波数にアップコンバートして無線信号を生成し、アンテナ部A2を介して、基地局装置100に送信する。
【0115】
また、無線部203は、基地局装置100からの下りリンクのデータで変調された無線信号を、アンテナ部A2を介して受信し、ベースバンド信号にダウンコンバートして、受信データを、チャネル推定部205およびOFDM復調部206に出力する。
【0116】
スケジューリング部204は、媒体アクセス制御層の処理を行う。スケジューリング部104は、論理チャネルとトランスポートチャネルのマッピング、下りリンクおよび上りリンクのスケジューリング(HARQ処理、トランスポートフォーマットの選択など)などを行う。スケジューリング部104は、各物理層の処理部を統合して制御するため、スケジューリング部104と、アンテナ部A2、データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202、チャネル推定部205、OFDM復調部206、データ抽出部207および無線部203との間のインターフェースが存在する。ただし、図示しない。
【0117】
スケジューリング部204は、下りリンクのスケジューリングでは、基地局装置100や上位層208からのスケジューリング情報(トランスポートフォーマットやHARQ再送情報)などに基づいて、トランスポートチャネルおよび物理信号および物理チャネルの受信制御、HARQ再送制御および下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行う。これら下りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報は、データ制御部201およびデータ抽出部207へ出力される。
【0118】
スケジューリング部204は、上りリンクのスケジューリングでは、上位層208から入力された上りリンクのバッファ状況、データ抽出部207から入力された基地局装置100からの上りリンクのスケジューリング情報(トランスポートフォーマットやHARQ再送情報など)、および、上位層208から入力されたスケジューリング情報などに基づいて、上位層208から入力された上りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングするためのスケジューリング処理および上りリンクのスケジューリングに使用されるスケジューリング情報の生成を行う。
【0119】
なお、上りリンクのトランスポートフォーマットについては、基地局装置100から通知された情報を利用する。これらスケジューリング情報は、データ制御部201およびデータ抽出部207へ出力される。
【0120】
また、スケジューリング部204は、上位層208から入力された上りリンクの論理チャネルをトランスポートチャネルにマッピングし、データ制御部201へ出力する。また、スケジューリング部204は、チャネル推定部205から入力された下りリンクのチャネルフィードバックレポート(CQI、PMI、RI)や、データ抽出部207から入力されたCRC確認結果についても、データ制御部201へ出力する。
【0121】
また、スケジューリング部204は、データ抽出部207から入力された下りリンクで取得した制御データとトランスポートチャネルを、必要に応じて処理した後、下りリンクの論理チャネルにマッピングし、上位層208へ出力する。
【0122】
チャネル推定部205は、下りリンクデータの復調のために、下りリンク参照信号(RS)から下りリンクのチャネル状態を推定し、その推定結果をOFDM復調部206に出力する。
【0123】
また、チャネル推定部205は、基地局装置100に下りリンクのチャネル状態(無線伝搬路状態)の推定結果を通知するために、下りリンク参照信号(RS)から下りリンクのチャネル状態を推定し、この推定結果を下りリンクのチャネルフィードバックレポート(チャネル品質情報など)に変換して、スケジューリング部204に出力する。
【0124】
OFDM復調部206は、チャネル推定部205から入力された下りリンクのチャネル状態推定結果に基づいて、無線部203から入力された変調データに対して、OFDM復調処理を施し、データ抽出部207に出力する。
【0125】
データ抽出部207は、OFDM復調部206から入力されたデータに対して、巡回冗長検査(CRC)を行い、正誤を確認するとともに、確認結果(ACK/NACKフィードバック情報)をスケジューリング部204に出力する。
【0126】
また、データ抽出部207は、スケジューリング部204からのスケジューリング情報に基づいて、OFDM復調部206から入力されたデータからトランスポートチャネルと物理層の制御データに分離して、スケジューリング部204に出力する。分離された制御データには、下りリンクまたは上りリンクのリソース割り当てや上りリンクのHARQ制御情報などのスケジューリング情報が含まれている。このとき、物理下りリンク制御信号(PDCCH)の検索空間(検索領域ともいう)をデコード処理し、自局宛の下りリンクまたは上りリンクのリソース割り当てなどを抽出する。
【0127】
上位層208は、パケットデータ統合プロトコル(PDCP:Packet Data Convergence Protocol)層、無線リンク制御(RLC:Radio Link Control)層、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)層の処理を行う。上位層208は、無線リソース制御部209を有している。上位層208は、下位層の処理部を統合して制御するため、上位層208と、スケジューリング部204、アンテナ部A2、データ制御部201、DFT−S−OFDM変調部202、チャネル推定部205、OFDM復調部206、データ抽出部207および無線部203との間のインターフェースが存在する。ただし、図示しない。
【0128】
無線リソース制御部209は、各種設定情報の管理、システム情報の管理、ページング制御、自局の通信状態の管理、ハンドオーバーなどの移動管理、バッファ状況の管理、ユニキャストおよびマルチキャストベアラの接続設定の管理、移動局識別子(UEID)の管理を行う。
【0129】
第1の実施形態の説明に戻り、基地局装置100と移動局装置200の処理について説明する。
【0130】
DLマスター領域(下りリンク一時的コンポーネントキャリアとも呼ぶ)とは、移動局装置が最初に下りリンク同期またはシステム情報を取得した下りリンク周波数層(コンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群)であり、移動局装置が最初にアクセスまたはモニタリングする下りリンク周波数層(コンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群)である。移動局装置は、一時的にこの領域の信号を取得した後、他の領域にアクセス可能である。少なくとも下りリンク同期を取得可能な下りリンク同期信号(SCH)が配置される。
【0131】
DLスレーブ領域とは、移動局装置がマスター領域での情報を取得後にアクセスまたはモニタリングする、または、基地局装置による追加指示後にアクセスまたはモニタリングする、下りリンク周波数層(コンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群)である。
【0132】
ULマスター領域(下りリンク一時的コンポーネントキャリアとも呼ぶ)とは、移動局装置が最初にアクセスする上りリンク周波数層(コンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群)であり、DLマスター領域で指定された、または、DLマスター領域と対応付けられたコンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群である。
【0133】
ULスレーブ領域とは、移動局装置がULマスター領域での通信後にアクセス可能、または、基地局装置による追加指示後にアクセス可能な、上りリンク周波数層(コンポーネントキャリアまたはコンポーネントキャリア群)である。
【0134】
以降、単にマスター領域、スレーブ領域と言う場合には、DLマスター領域および/またはULマスター領域、DLスレーブ領域および/またはULスレーブ領域を意味している。
【0135】
スレーブ領域では、特定のチャネル(下りリンク同期信号(SCH)および/または物理下りリンク報知チャネル(PBCH)および/または報知制御チャネル(BCCH)および/またはページング制御チャネル(PCCH)および/または共通制御チャネル(CCCH)および/または物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)など)が存在しない場合がある。
【0136】
それぞれの移動局装置にとってのマスター領域およびスレーブ領域は異なっても良い。すなわち、ある移動局装置にとってのマスター領域が、別の移動局装置にとってのスレーブ領域となるように構成されても良い。これは、移動局装置に対して、専用信号にてコンポーネントキャリアの追加が行われるため、移動局装置特有のコンポーネントキャリアの設定が可能であることを示している。その場合、ある移動局装置にとってのスレーブ領域においても下りリンク同期信号(SCH)が配置される場合がある。
【0137】
マスター領域とスレーブ領域は、隣接したキャリア周波数に配置されていても良いし、離れたキャリア周波数に配置されても良い。
【0138】
移動局装置では、システム情報の各コンテンツであるシステム情報フィールドと、一つ又は複数のシステム情報フィールドで構成されるシステム情報要素(IE:Information Element)を管理する。これらのシステム情報(システム情報フィールドおよびシステム
情報要素を含む)は、移動局装置と基地局装置のRRCでコンポーネントキャリアごとに管理される。システム情報は、移動局装置と基地局装置で通信を行うシステムで管理される設定情報パラメータであり、移動局装置がシステムで動作するために必要なパラメータでもある。
【0139】
RRCで管理されるシステム情報は、報知制御チャネル(BCCH)で報知されたり、共通制御チャネル(CCCH)および/または専用制御チャネル(DCCH)のRRCシグナリングで、基地局装置から移動局装置へ通知されたりする。
【0140】
このRRCで管理されるシステム情報を、コンポーネントキャリアごとに異なる(コンポーネントキャリアそれぞれで固有の)パラメータとして管理する。
【0141】
RRCシグナリングで、システム情報を通知する場合、コンポーネントキャリアの番号を指定してシステム情報を通知するような新たなRRCメッセージのタイプを用意しても良いし、コンポーネントキャリアの番号を指定してシステム情報を通知するような、RRC接続再設定メッセージ(RRCConnectionReconfiguration Message)を拡張し、コンポーネントキャリアの番号を指定してシステム情報を通知できるようにしても良い。
【0142】
報知制御チャネル(BCCH)を使って、SIB(SystemInformationBlock)(同じ送信周期で送られる複数システム情報のかたまり)でシステム情報を通知する場合にも、システム情報を適用するコンポーネントキャリアの番号を指定してシステム情報を通知する。または、システム情報を通知するSIBが配置されたコンポーネントキャリアが、そのシステム情報が適用されるコンポーネントキャリアとするようにしてもよい。
【0143】
図7は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの処理を示すシーケンス図である。
【0144】
移動局装置は、システム帯域の中の一部の帯域幅を有する一つ又は複数のコンポーネントキャリアのシステム情報を管理し、移動局装置にコンポーネントキャリアが追加された際に、現在アクセス中のコンポーネントキャリアのシステム情報を、追加された各コンポーネントキャリアにも適用する。また、移動局装置は、移動局装置にコンポーネントキャリアが追加された際に、追加されたコンポーネントキャリアに適用されるシステム情報として通知されなかったシステム情報に対しては、現在アクセス中のコンポーネントキャリアのシステム情報を、追加された各コンポーネントキャリアに対して適用する。また、移動局装置は、予め定められた特定のシステム情報については、移動局装置にコンポーネントキャリアが追加された際に、現在アクセス中のコンポーネントキャリアのシステム情報を、追加された各コンポーネントキャリアに対して適用する。また、移動局装置は、予め定められた特定のシステム情報については、移動局装置にコンポーネントキャリアが追加された際に、デフォルト値(初期値)のシステム情報を、追加された各コンポーネントキャリアに対して適用する。
【0145】
このようにすることにより、コンポーネントキャリアの追加のための制御情報に不必要なシステム情報の指定を必要とせず、効率的な制御が可能となる。また、現在アクセス中のコンポーネントキャリアを基本とすることで、コンポーネントキャリアの追加に伴う通信の中断を避けることができる。
【0146】
コンポーネントキャリアの追加は、アクティブなコンポーネントキャリアの追加またはコンポーネントキャリアの活性化という概念としても解釈できる。
【0147】
RRC接続確立処理中のRRC接続セットアップ(共通制御チャネル(CCCH)(RRCシグナリング))や、通信中の移動局装置200への専用制御チャネル(DCCH)(RRCシグナリング)にて、基地局装置100から移動局装置200へ、コンポーネントキャリア追加に関する情報(追加されるコンポーネントキャリア、追加されるコンポーネントキャリアの数、追加されるコンポーネントキャリアの周波数層、コンポーネントキャリア1のシステム情報、コンポーネントキャリア2のシステム情報などを示す情報)が通知される(ステップS101)。
【0148】
この際、基地局装置は、移動局装置の現在アクセス中のコンポーネントキャリアのシステム情報を管理し、追加するコンポーネントキャリアにシステム情報の通知が必要かどうか判断して、このコンポーネントキャリア追加に関する情報を通知する。
【0149】
コンポーネントキャリア追加に関する情報を取得した移動局装置200は、無線部203を追加されたコンポーネントキャリアを受信できるように調整する。
【0150】
移動局装置200は、コンポーネントキャリア追加に関する情報を取得後、各コンポーネントキャリアに適用するシステム情報を検出し、各コンポーネントキャリアに各システム情報を適用する(ステップS102)。
【0151】
例えば、移動局装置が管理するべきシステム情報がシステム情報1、システム情報2、システム情報3、システム情報4、システム情報5、システム情報6の6個あるとする。コンポーネントキャリア1(CC1)では、すでにシステム情報が管理されており、それぞれ、A1、A2、A3、A4、A5、A6の値が適用されている。移動局装置は、ステップS102でコンポーネントキャリア2(CC2)、コンポーネントキャリア3(CC3)を追加する。この際のRRCシグナリングには、コンポーネントキャリア2(CC2)のシステム情報2に対しては、B2、システム情報3に対しては、B3、システム情報6に対しては、B6を指定するシステム情報が含まれる。また、この際のRRCシグナリングには、コンポーネントキャリア3(CC3)のシステム情報3に対しては、C3、システム情報5に対しては、C5、システム情報6に対しては、C6を指定するシステム情報が含まれる。この際のRRCシグナリングには、コンポーネントキャリア1(CC1)のシステム情報2に対しては、A2からAA2に変更するような指示、システム情報4に対しては、A4からAA4に変更するような指示が含まれる。
【0152】
このRRCシグナリングを受信した移動局装置は、コンポーネントキャリアごとに指定されたシステム情報をそれぞれ適用する。コンポーネントキャリアごとに指定されなかったシステム情報には、コンポーネントキャリア1(CC1)で使用していたシステム情報を適用する。ただし、システム情報2に関しては、コンポーネントキャリア1(CC1)に対してA2からAA2への修正の指示があるため、コンポーネントキャリア2(CC2)に対しては、RRCシグナリングで指定されたB2、コンポーネントキャリア3(CC3)に対しては、修正後の値AA2が適用される。
【0153】
また、システム情報1、および、システム情報4に関しては、特に指定することなく、システム情報の種類として全コンポーネントキャリア共通で使用されることが予め定義されているため、そのままコンポーネントキャリア1(CC1)で使用していたシステム情報を適用する。ただし、システム情報4に関しては、コンポーネントキャリア1(CC1)に対して修正の指示があるため、同時に、コンポーネントキャリア1(CC1)以外のコンポーネントキャリアに対しても、修正後の値が適用される。このようにすることにより、最終的に各コンポーネントキャリアでのシステム情報は次のようになる。システム情報1、システム情報2、システム情報3、システム情報4、システム情報5、システム情報6の順に、コンポーネントキャリア1(CC1)では、A1、AA2、A3、AA4、A5、A6、コンポーネントキャリア2(CC2)では、A1、B2、B3、AA4、A5、B6、コンポーネントキャリア3(CC3)では、A1、AA2、C3、AA4、C5、C6、となる。
【0154】
また、コンポーネントキャリアは、単にセルと解釈することもでき、移動局装置が複数のセルのシステム情報を管理すると解釈することもできる。その場合、RRCシグナリングでは、コンポーネントキャリアの追加ではなく、アクティブな(活性化された)セルの追加またはセルの活性化と解釈する。複数のコンポーネントキャリアで通信するということは複数のアクティブなセルで通信すると解釈する。
【0155】
上記のそれぞれの実施形態においては、複数のコンポーネントキャリアで一つのシステムを構成するように説明したが、複数のシステムが、アグリゲーションされて、一つのシステムとして構成されると解釈することもできる。また、コンポーネントキャリアは、特定の受信側、又は、特定の送信側が、それぞれのコンポーネントキャリアの中心にキャリア周波数を合わせることによってシステムが動作する領域であることを示していると解釈することもできる。
【0156】
上記のそれぞれの実施形態においては、説明の都合上、基地局装置と移動局装置とが一対一の場合を例にとって説明したが、基地局装置および移動局装置は複数であっても良い。また、移動局装置とは、移動する端末に限らず、基地局装置や固定端末に移動局装置の機能を実装することなどにより実現しても良い。
【0157】
また、以上説明したそれぞれの実施形態において、基地局装置内の各機能や、移動局装置内の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより基地局装置や移動局装置の制御を行っても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0158】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0159】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
100…基地局装置、101…データ制御部、102…OFDM変調部、103…無線部、104…スケジューリング部、105…チャネル推定部、106…DFT−S−OFDM復調部、107…データ抽出部、108…上位層、200…移動局装置、201…データ制御部、202…DFT−S−OFDM変調部、203…無線部、204…スケジューリング部、205…チャネル推定部、206…OFDM復調部、207…データ抽出部、208…上位層、A1,A2…アンテナ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置および移動局装置から構成される通信システムにおける基地局装置であって、
複数のコンポーネントキャリアが設定されるキャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアのセルに関する1つまたは複数の設定情報パラメータを前記移動局装置に対して管理し、
前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルを追加する際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに関する複数の設定情報パラメータのうち一部の設定情報パラメータを前記移動局装置に通知し、
前記移動局装置に通知されなかった設定情報パラメータには、前記移動局装置が現在アクセス中のコンポーネントキャリアのセルに関する設定情報パラメータが適用されることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用する設定情報パラメータは、前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルが追加された際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用される設定情報パラメータとして通知されなかった設定情報パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記追加されたコンポーネントキャリアのセルに適用する設定情報パラメータは、予め定められた特定の設定情報パラメータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置および移動局装置から構成される通信システムにおける基地局装置の通信方法であって、
複数のコンポーネントキャリアが設定されるキャリアアグリゲーションにおける複数のコンポーネントキャリアのセルに関する1つまたは複数の設定情報パラメータを前記移動局装置に対して管理するステップと、
前記移動局装置にコンポーネントキャリアのセルを追加する際に、追加されたコンポーネントキャリアのセルに関する複数の設定情報パラメータのうち一部の設定情報パラメータを前記移動局装置に通知するステップと、
前記移動局装置に通知されなかった設定情報パラメータには、前記移動局装置が現在アクセス中のコンポーネントキャリアのセルに関する設定情報パラメータが適用されるステップと、
を有することを特徴とする基地局装置の通信方法。
【請求項5】
請求項4に記載の通信方法を実行する処理部であって、
複数の処理ブロック部と、前記複数の処理ブロック部を統合して制御する上位のブロック部と、を用いて前記通信方法を実行することを特徴とする処理部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130070(P2012−130070A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59825(P2012−59825)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2010−541278(P2010−541278)の分割
【原出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】