説明

基地局装置

【課題】汎用性が高く電力効率の高い、UPS機能を備えた基地局装置を提供する。
【解決手段】基地局装置は、第1の経路または第2の経路による電力供給を受ける無線通信部を有し、第1の経路は、商用電源からのAC入力をDC出力に変換する回路と、DC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換してから供給する第1の無線通信部用DC電圧変換回路とを含み、第2の経路は、AC/DC変換回路からのDC出力の電圧を、補助電源に適合するように変換してから供給する補助電源用DC電圧変換回路と、補助電源から供給されるDC出力の電圧を、無線通信部に適合するように変換してから供給する第2の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置に関するものであり、特に、UPS(Uninterruptible Power Supply(無停電電源装置))の機能を有する電源装置から電力の供給を受ける基地局装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のような無線通信端末を用いて、いつでも安定した通信を行うことができるようにするためには、この無線通信端末と通信を行う基地局装置に、常時、電力を供給しなければならない。しかしながら、電力の供給が瞬断したり、あるいは停電が発生したりすると、基地局装置への電力の供給が途絶えてしまい、通信が切断されてしまう。そこで、通信の安定性が重要視される通信システムにおいては、基地局装置にUPS(無停電電源装置)の機能を設けることにより、電力供給の一時的な断絶に備えている。
【0003】
UPSとは、例えば停電などにより入力電源に異常が発生しても、一定時間は停電することなく非常用の電力を供給し続けることができる電源装置である。現在、例えばネットワーク上のサーバなど、安定稼動が求められる種々の機器に対して、様々なUPSが設置されている。一般に、情報通信は、現代生活のライフラインともいえるものであり、特に、携帯電話による通話やデータ通信などにおいては、ユーザの緊急時などに行なわれる通話や通信に備えて、安定性の高い稼動が求められる。したがって、現在、一部の通信システムにおいては、法令上の要請により、UPSの設置が義務付けられているものもある。
【0004】
従来のUPSとして、発電機などを内蔵し、比較的長い期間の停電などにも耐え得るものが知られている。その一方で、携帯電話の通信においては、基地局装置を極めて多数設置することが必要であるため、より簡易な構成として、補助電源としてバッテリなどの二次電池を内蔵したUPSが多く使用されている。特に最近では、UPSを含む電源装置専用の比較的大型のキュービクルを設置するタイプの基地局のみならず、コンクリート柱などに小型の基地局装置を設置し、その近傍に二次電池内蔵の小型のUPSユニットを設置することも多い。このようなUPSは、通常時には二次電池を充電しながら基地局装置に電力供給を行い、入力電源に異常が発生すると、充電した二次電池を用いて電力の供給を継続する。なお、参考までに、このような二次電池によるバックアップ電源を備える基地局装置として、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−166126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、携帯電話のような無線通信端末と通信を行う基地局装置には、大別して、以下のような、AC出力方式と、DC出力方式との、2種類のUPSが主に用いられている。以下、これらのような従来のUPSを用いた基地局装置の概略構成について、図面を参照して説明する。なお、以下の図面では、主として電力の供給に係る部分について説明し、データ通信などに係る基地局装置の機能についての説明は省略する。
【0007】
図4は、従来のAC出力方式のUPSを用いた基地局装置の概略構成を示すブロック図である。図4に示す基地局装置100は、UPS機能を有する電源ユニット(以下、「附帯ボックス」という)200から、AC100V(ボルト)の電力の供給を受けて動作する。
【0008】
基地局装置100は、AC/DC変換回路110と、RF部120と、ベースバンド部130と、を備えている。AC/DC変換回路110は、附帯ボックス200から供給されるAC100Vの入力を、DC出力に変換する。AC/DC変換回路110により変換されたDC出力のうちDC50VはRF部120に供給され、DC5Vはベースバンド部130に供給される。RF部120は、無線通信を行うためのアンテナ140を備えている。
【0009】
附帯ボックス200は、商用のAC100Vの供給を外部から受けて、基地局装置100にAC100Vの出力を供給する一方で、外部からの電力供給の一部を用いて、二次電池であるバッテリ500の充電も行っている。このバッテリ500を充電するために、附帯ボックス200は、PFC整流器210と、充放電制御回路220と、インバータ230とを備えている。PFC(Power Factor Correction:力率改善または力率補正)整流器210は、力率改善の機能を有する整流器(高力率整流回路)であり、ACをDCに変換する。充放電制御回路220は、PFC整流器210からのDC出力を用いて行うバッテリ500の充電を制御する。また、充放電制御回路220は、バッテリ500からのDC出力の放電を、インバータ230に入力するための制御も行う。インバータ230は、バッテリ500からの放電によるDC入力をAC出力に変換する。
【0010】
このように、附帯ボックス200は、商用のAC100Vを利用して、基地局装置100にAC100Vの出力を供給し、商用のAC100Vの供給が途絶えた場合は、バッテリ500によるバックアップ(予備)電源からの電力供給に切り替えることができる。このような方式による電力供給は、現行の基地局装置の一部などで採用されている。
【0011】
一般的に、AC出力方式のUPSは、AC100Vの入力を受けてAC100Vを出力するため、AC出力方式のUPSに用いられる基地局装置は、UPS機能のない附帯ボックスにも対応することもできる。また、AC出力方式のUPSを用いた基地局装置は、附帯ボックスのUPSの機能が故障した際には、商用のAC100Vの供給を直接受けることもできる。さらに、商用電源から直接電力を入力できるため、UPSによる電力効率の低下は少ない。
【0012】
しかしながら、AC出力方式のUPSは、その回路構成が複雑になるため、それに伴ってコストが増大するという懸念がある。また、基地局装置におけるAC/DC変換回路を含むPSU(Power Supply Unit(電源ユニット))は、DC/DC変換回路を含むPSUの構成に比べて複雑になるため、その回路規模が大型化したり、またはコストが増大する恐れがある。
【0013】
図5は、従来のDC出力方式のUPSを用いた基地局装置の概略構成を示すブロック図である。図5に示す基地局装置300は、UPS機能を有する電源ユニット(以下、「附帯ボックス」という)400からDC−48Vの電力の供給を受けて動作する。
【0014】
基地局装置300は、図4で説明した基地局装置100において、AC/DC変換回路110をDC/DC変換回路310に変更した点を除けば、上述した基地局装置100と同じ構成である。DC/DC変換回路310は、附帯ボックス400から供給されるDC−48VのDC入力の電圧を変換する。DC/DC変換回路310により電圧を変換されたDC出力のうちDC50VはRF部120に供給され、DC5Vはベースバンド部130に供給される。
【0015】
附帯ボックス400は、PFC整流器410と、DC/DC変換回路420と、バッテリ500とを備えている。PFC整流器410は、外部から供給される商用のAC100Vの入力をDC出力に変換する。DC/DC変換回路420は、PFC整流器410からのDC出力の電圧をDC−48Vに変換して、基地局装置300に入力する。また、DC/DC変換回路420は、DC−48Vに変換したDC出力を利用することにより、バッテリ500を充電することができる。
【0016】
このように、附帯ボックス400は、商用のAC100Vを利用して、基地局装置300にDC−48Vの出力を供給し、商用のAC100Vの供給が途絶えた場合は、バッテリ500によるバックアップ電源からの電力供給に切り替えることができる。このような方式による電力供給は、現行の携帯電話の基地局装置の多くで採用されている。
【0017】
上述したように、これらの付帯ボックス200および400は、通常時には、外部から供給される商用のAC100Vを利用して、基地局装置100および300に電力を供給しつつ、必要に応じてバッテリ500の充電を行うことができる。また、一時的な停電などにより、外部からの商用のAC100Vの供給が途絶えた場合、充電されたバッテリ500の電力を利用することにより、基地局装置100および300に電力を供給し続けることができる。
【0018】
一般的に、DC出力方式のUPSは、その回路構成が比較的簡易になり、コストの低廉化も期待できる。また、基地局装置におけるDC/DC変換回路を含むPSUは、AC/DC変換回路を含むPSUの構成に比べて簡易になるため、その回路規模を小型化したり、またはコストダウンも期待できる。
【0019】
一方、DC出力方式のUPSは、商用のAC100Vの供給を受けるに際しPFC整流器が必須となる。また、DC出力方式のUPSが故障した際は、DC−48Vの電力を供給することができなくなり、基地局装置の稼動も停止せざるを得なくなる。さらに、DC出力方式のUPSを用いた基地局装置の電力の変換効率は、UPSのPFC整流器の変換効率と、基地局装置のPSUの変換効率とを乗算したものになるため、電力の変換効率が低下するという懸念もある。
【0020】
上述したように、従来のAC出力方式のUPSを用いた場合も、従来のDC出力方式のUPSを用いた場合も、それぞれに利点と不利な点がある。したがって、通信システムの仕様や、基地局装置を設置する環境における要求事項などに応じて、適切に電力を供給できる基地局装置および附帯ボックスの組み合わせを選定する必要がある。
【0021】
しかしながら、上述したような従来の基地局装置は、AC入力に対応した基地局装置にはAC出力方式のUPSを用いなければならず、DC入力に対応した基地局装置にはDC出力方式のUPSを用いなければならない。したがって、これらの組み合わせを変更して用いることはできない。すなわち、従来の基地局装置は、AC入力の電源とDC入力の電源との双方に対応することはできない。例えば、すでに設置されている他のシステムの基地局に、新たなシステムの基地局を併設する際、すでにDC−48Vの電源が確保されている場合がある。このような場合に、新たなシステムの基地局がDC入力の電源に対応していないと、新たにACの電源を確保しなければならない。
【0022】
また、通信システムの仕様によって、UPSの機能が必要(必須)とされるシステムと、必要とされないシステムがある。しかしながら、UPSの機能の有無は、附帯ボックスの仕様により決まっているため、附帯ボックスごと変更する以外には、UPS機能の有無を変更することはできない。
【0023】
さらに、従来、バッテリは、基地局装置とは別体の附帯ボックス内に格納されていることが多く、バッテリを充放電する機能を基地局装置から制御することは困難であった。また、このバッテリは、附帯ボックス内に格納されているため、例えばバッテリに不具合が生じた場合などに、当該バッテリのみを交換することは、手間のかかる作業であった。
【0024】
また、図5に示したような、現行の携帯電話の基地局の多くで採用されているDC出力方式による電力供給は、バッテリ500によるDC入力の電力供給の際は、DC/DC変換回路310のブロックを一段介するのみであるため、高効率で電力変換することができる。しかしながら、通常時に商用AC100VによるAC入力の電力を供給する際には、DC/DC変換回路310のブロックに至るまでにDC−48Vに変換するため、PFC整流器410およびDC/DC変換回路420を経なければならない。このように複数段の電力変換を行うと、電力効率が低下するという問題も生じる。
【0025】
なお、図5に示したようなDC出力方式による電力供給においては、PFC整流器410が、基地局装置内部のDC/DC電源ユニットとは別体の構成になる。このため、附帯ボックス400を含めたトータルのコストを考慮すると、最終的にはコストが増大する恐れがある。
【0026】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、汎用性が高く電力効率の高い、UPS機能を備えた基地局装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、
第1の電力供給経路または第2の電力供給経路による電力の供給を受ける無線通信部を有する基地局装置において、
前記第1の電力供給経路は、
商用電源からのAC入力をDC出力に変換するAC/DC変換回路と、前記DC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する第1の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含み、
前記第2の電力供給経路は、
前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を補助電源に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記補助電源に供給する補助電源用DC電圧変換回路と、前記補助電源から供給されるDC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する第2の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含むことを特徴とするものである。
【0028】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基地局装置において、
前記第2の無線通信部用DC電圧変換回路は、前記補助電源から供給されるDC出力を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路により昇圧されたDC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する前記第1の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含むものである。
【0029】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の基地局装置において、
前記第1の無線通信部用DC電圧変換回路は、前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を変換して前記無線通信部に供給する機能とともに、前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を変換して前記補助電源に供給する前記補助電源用DC電圧変換回路の機能を備えるものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の基地局装置によれば、無線通信部に供給する電力を、商用のAC入力をDC出力に変換してから無線通信部に供給する第1の経路、または、商用のAC入力を補助電源用のDC出力に変換し、この補助電源から供給されるDC出力を無線通信部に供給する第2の経路から入力することができる。したがって、本発明の基地局装置は、補助電源としてバッテリを用いれば、このバッテリをUPSの機能のために利用することができるし、バッテリを用いない場合、補助電源として他の供給源からのDC出力を入力することもできる。このため、本発明の基地局装置は、AC入力にもDC入力にも、種々の電源からの入力に対応することができ、汎用性を著しく高めることができる。また、電力を変換する段数を少なくすることができるため、電力効率を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施の形態に係る基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施の形態に係る基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明による基地局装置の設置態様を説明する図である。
【図4】従来のAC出力方式のUPSを用いた基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】従来のDC出力方式のUPSを用いた基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の本発明による各実施の形態は、携帯電話と無線通信を行う基地局装置を想定して説明する。しかしながら、本発明は、携帯電話と無線通信を行う基地局装置に限定されるものではなく、無線通信部に電力を供給することにより通信を行う基地局装置であれば、任意の基地局装置に適用することができる。また、以下の説明においては、主として電力の供給に係る部分について説明し、データ通信などに係る基地局装置の通信機能についての詳細な説明は省略する。
【0033】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る基地局装置の概略構成を説明する図である。図1に示す、第1実施の形態に係る基地局装置10は、商用のAC100Vの供給を外部から受けることにより、通信に係る動作を行う。また、基地局装置10は、電力の供給が一時的に途絶える場合に備えて、二次電池であるバッテリ50を接続することができる。
【0034】
第1実施の形態に係る基地局装置10は、PFC整流器12と、DC/DC変換回路14と、RF部16と、ベースバンド部18と、アンテナ20とを備えている。
【0035】
PFC(Power Factor Correction:力率改善または力率補正)整流器12は、力率改善の機能を有する整流器(高力率整流回路)であり、外部からの商用のAC100VのAC入力をDC出力に変換する。この時、外部からの商用のAC100VのAC入力は、DC300V〜400V程度のDC出力に変換される。DC/DC変換回路14は、PFC整流器12からのDC出力を、DC50Vと、DC5VとのDC出力に変換する。DC/DC変換回路14により変換されたDC出力のうち、DC50VはRF部16に入力し、DC5Vはベースバンド部18に入力する。ベースバンド部18は、搬送波(キャリア)を変調することにより、ベースバンド信号を生成する。RF部16は、ベースバンド信号をRF信号に変換し、このRF信号をアンテナ20から送信する。なお、本実施の形態では、RF部16と、ベースバンド部18と、アンテナ20とを含めて、無線通信部を構成している。
【0036】
本実施の形態においては、外部からの商用のAC100VのAC入力をDC出力に変換してから無線通信部に供給する上述の電力供給経路を、「第1の電力供給経路」とする。すなわち、第1の電力供給経路は、商用電源からのAC入力をDC出力に変換するPFC整流器12と、DC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換し、そのDC出力を無線通信部に供給するDC/DC変換回路14と、を含んでいる。
【0037】
また、基地局装置10は、充電用DC/DC変換回路22と、昇圧回路24と、を備えている。充電用DC/DC変換回路22は、PFC整流器12からのDC出力の電圧を変換し、バッテリの充電を行うための充電用電圧に変換する。また、昇圧回路24は、補助電源からのDC出力を昇圧して、DC/DC変換回路14に入力する。
【0038】
本実施の形態においては、外部からの商用のAC100VのAC入力を補助電源用のDC出力に変換する経路と、補助電源からのDC出力を昇圧および電圧変換してから無線通信部に供給する経路とを含めて、「第2の電力供給経路」とする。すなわち、第2の電力供給経路は、PFC整流器12からのDC出力の電圧を補助電源に適合するように変換し、そのDC出力を補助電源に供給する充電用DC/DC変換回路22と、補助電源から供給されるDC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換し、その電圧を変換したDC出力を無線通信部に供給する、昇圧回路24およびDC/DC変換回路14と、を含んでいる。
【0039】
なお、本実施の形態では、充電用DC/DC変換回路22は、補助電源用DC電圧変換回路を構成する。また、第2の無線通信部用DC電圧変換回路は、補助電源から供給されるDC出力を昇圧する昇圧回路24と、この昇圧回路24により昇圧されたDC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換し、そのDC出力を無線通信部に供給する第1の無線通信部用DC電圧変換回路であるDC/DC変換回路14と、を含んでいる。
【0040】
なお、バッテリ50は、充電時には、充電用DC/DC変換回路22からのDC出力の供給を受け、放電時には、DC−48VのDC出力を昇圧回路24に供給する。したがって、基地局装置10は、バッテリ50を用いる構成で使用する場合には、UPS機能を備える基地局装置として使用することができる。しかしながら、バッテリ50は、本実施の形態の必須要素ではない。本実施の形態の基地局装置10は、バッテリ50を用いない場合、例えば補助電源用バッテリ接続ポートを経て、外部からのDC−48VのDC入力を受けて動作することもできる。
【0041】
このように、基地局装置10は、バッテリ50を用いない構成で使用する場合には、UPS機能を備えない通常電源による基地局装置として利用することができる。この場合、基地局装置10は、外部からの電力供給を、商用のAC100VのAC入力と、DC−48VのDC入力とのどちらにも適合させて使用することができる。そのため、すでに設置されているDC−48Vの電源が確保されている他のシステムの基地局に基地局装置10を併設する場合、新たにACの電源を確保する必要はなく、DC−48Vの電源に即応することができる。
【0042】
また、基地局装置10は、PFC整流器12を内部に含む構成であるため、附帯ボックスのような電源ユニットを用いる場合には、当該附帯ボックスはバッテリ50のみの構成とすることができる。したがって、バッテリ50を充放電する機能を基地局装置10から制御することができ、さらに、バッテリ50に不具合が生じた場合には、当該バッテリ50のみを交換する作業で済ませることができる。なお、基地局装置10は、PFC整流器12を内部に含む構成であるため、PFC整流器12と基地局装置10内部のDC/DC電源ユニットとが一体化した構成になる。このため、基地局装置10の製造にかかるトータルコストの低減が期待できる。
【0043】
以上のような構成により、基地局装置10は、通常時に商用AC100VによるAC入力を受けて使用する際、PFC整流器12を経た後、DC/DC変換回路14のブロックを一段経るのみで電力変換を行う。したがって、本実施の形態による基地局装置10は、図5で説明したような従来のDC出力方式の附帯ボックスを用いる場合に比べて、電力効率が向上する効果が期待できる。
【0044】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る放送受信装置を説明する。図2は、本発明の第2実施の形態に係る基地局装置の概略構成を説明する図である。第2実施の形態に係る基地局装置30は、上述した第1実施の形態による基地局装置10の内部構成の一部を変更するものである。したがって、第1実施の形態による基地局装置10と同じ説明は、適宜省略する。
【0045】
図2に示す、第2実施の形態に係る基地局装置30は、商用のAC100Vの供給を外部から受けることにより、通信に係る動作を行う。また、上述した第1実施の形態による基地局装置10と同様に、基地局装置30は、電力の供給が一時的に途絶える場合に備えて、二次電池であるバッテリ50を接続することができる。
【0046】
第2実施の形態に係る基地局装置30は、上述した第1実施の形態による基地局装置10と同様に、PFC整流器12と、RF部16と、ベースバンド部18と、アンテナ20と、を備えている。第2実施の形態に係る基地局装置30はさらに、DC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32と、他のDC/DC変換回路34とを備えている。
【0047】
第2実施の形態に係る基地局装置30において、PFC整流器12は、力率改善の機能を有する整流器(高力率整流回路)であり、外部からの商用のAC100VのAC入力をDC300V〜400V程度のDC出力に変換する。DC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32は、PFC整流器12からのDC出力を、DC50Vと、DC5VとのDC出力に変換する。DC/DC変換回路14により変換されたDC出力のうち、DC50VはRF部16に入力し、DC5Vはベースバンド部18に入力する。なお、本実施の形態においても、RF部16と、ベースバンド部18と、アンテナ20とを含めて、無線通信部を構成している。
【0048】
第2実施の形態において、外部からの商用のAC100VのAC入力をDC出力に変換してから無線通信部に供給する上述の電力供給経路を、「第1の電力供給経路」とする。すなわち、第1の電力供給経路は、商用電源からのAC入力をDC出力に変換するPFC整流器12と、DC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換し、そのDC出力を無線通信部に供給するDC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32と、を含んでいる。
【0049】
本実施の形態による基地局装置30において、DC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32は、PFC整流器12からのDC出力の電圧を変換し、バッテリの充電を行うための充電用電圧に変換する。また、DC/DC変換回路34は、補助電源からのDC出力を、DC50Vと、DC5VとのDC出力に変換する。DC/DC変換回路34により変換されたDC出力のうち、DC50VはRF部16に入力し、DC5Vはベースバンド部18に入力する。
【0050】
第2実施の形態において、外部からの商用のAC100VのAC入力を補助電源用のDC出力に変換する経路と、補助電源からのDC出力の電圧を変換してから無線通信部に供給する経路とを含めて、「第2の電力供給経路」とする。すなわち、第2の電力供給経路は、PFC整流器12からのDC出力の電圧を補助電源に適合するように変換し、そのDC出力を補助電源に供給するDC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32と、補助電源から供給されるDC出力の電圧を無線通信部に適合するように変換し、その電圧を変換したDC出力を無線通信部に供給するDC/DC変換回路34と、を含んでいる。
【0051】
なお、第2実施の形態では、DC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32は、第1の電力供給経路においてはPFC整流器12からのDC出力の電圧を変換して無線通信部に供給するAC/AC変換回路を構成する。同時に、DC/DC変換回路(兼充電用DC/DC変換回路)32は、第2の電力供給経路においては、PFC整流器12からのDC出力の電圧を変換して補助電源に供給する、第1の無線通信部用DC電圧変換回路を構成する。
【0052】
なお、第2実施の形態においても、バッテリ50は、第1実施の形態の場合と同様に扱うことができる。したがって、基地局装置30は、バッテリ50を用いる構成で使用する場合には、UPS機能を備える基地局装置として使用することができる。また、バッテリ50を用いない構成で使用する場合、基地局装置30は、UPS機能を備えない通常電源による基地局装置として利用することができる。この際、基地局装置30は、外部からの電力供給を、商用のAC100VのAC入力と、DC−48VのDC入力とのどちらにも適合させて使用することができる。
【0053】
このように、本実施の形態による基地局装置30は、極めて簡易な構成により、第1実施の形態による基地局装置10と同様の効果を奏することができる。
【0054】
また、基地局装置30は、通常時に商用AC100VによるAC入力を受けて使用する際、PFC整流器12を経た後、DC/DC変換回路32のブロックを一段経るのみで電力変換を行うことは第1実施の形態による基地局装置10と同様である。さらに、基地局装置30は、補助電源からDC−48VによるDC入力を受けて使用する際にも、DC/DC変換回路34のブロックを一段経るのみで電力変換を行う。このため、第2実施の形態による基地局装置30は、全体としての電力効率としては、第1実施の形態による基地局装置10以上の電力効率が向上する効果が期待できる。
【0055】
以下、上述した第1実施の形態または第2実施の形態による基地局装置を、実際に設置する際の態様について説明する。図3は、上述した第1実施の形態または第2実施の形態による基地局装置の設置態様を説明する図である。
【0056】
図3に示すように、基地局装置10または30は、携帯電話などの端末と無線通信を行う小型の基地局装置として、コンクリート柱70などに設置することができる。また、基地局装置10または30は、携帯電話などの端末と無線通信を行うためのアンテナ20に接続される。なお、基地局装置10または30は、専用線または光ファイバケーブルなどを介して、基地局をつなぐネットワークであるバックホール(Backhaul)と接続されている。このバックホールを経て、基地局装置10または30を外部から制御することもできる。
【0057】
図3(A)は、基地局装置10または30を、バッテリ50と共に設置した場合の様子を概略的に示している。基地局装置10または30は、通常の使用時には、外部から商用のAC100Vの電力供給を受けて稼動する。しかしながら、停電などの非常時には、補助電源であるバッテリ50からDC−48Vの電力供給を受けて稼動を継続することができる。このように、基地局装置10または30を稼動させるための非常用の外部の電源装置としては、バッテリ50のみを用意するだけで済む。したがって、バッテリ50を内臓するための附帯ボックスのような装置は、簡略化して小型化することができる。このため、設置スペースを節約することもできる。
【0058】
図3(B)は、基地局装置10または30を、バッテリ50を用いずに設置した場合の様子を概略的に示している。この場合、停電などの非常時にバッテリ50からの電力供給を受けて稼動を継続することはできない。しかしながら、この場合、基地局装置10または30は、通常の使用時に、外部からの電力供給として、商用のAC100Vにも、DC−48Vにも対応することができる。したがって、例えば従来の基地局装置で既に使用していたUPS装置が存在する場合、そのUPS装置とも接続し、流用することができる。
【0059】
また、バッテリ50を接続する場合、基地局内部にバッテリ接続端子を設けるため、バッテリの充放電機能も基地局から行うことができる。また、この場合、補助電源に不具合が生じた場合、バッテリ50を交換する作業を行うのみで、基地局装置の機能を復旧することができるため、メンテナンスは著しく容易になる。
【0060】
さらに、最初はバッテリ50を用いずに基地局装置10または30のみを設置して稼動させて、その後非常時の補助電源による稼動が必要になった際、後からバッテリ50を追加で設置する使用態様も考えられる。このようにすれば、設備投資にかかる費用を分散し、段階的な投資を行うことができる。
【0061】
なお、本発明は、上述した各実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。特に、上述した、発明を実施するための形態の説明においては、基地局装置の電力供給に係る部分について主眼を置いて説明したものであり、それ以外の通信機能に係る構成や設置態様などは、当業者であれば適宜変更を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
10,30,100,300 基地局装置
12,210,410 PFC整流器
14,34,310,420 DC/DC変換回路
16,120 RF部
18,130 ベースバンド部
20,140 アンテナ
22 充電用DC/DC変換回路
24 昇圧回路
32 DC/DC変換回路兼充電用DC/DC変換回路
50,500 バッテリ
70 コンクリート柱
110 AC/DC変換回路
200,400 附帯ボックス
220 充放電制御回路
230 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電力供給経路または第2の電力供給経路による電力の供給を受ける無線通信部を有する基地局装置において、
前記第1の電力供給経路は、
商用電源からのAC入力をDC出力に変換するAC/DC変換回路と、前記DC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する第1の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含み、
前記第2の電力供給経路は、
前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を補助電源に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記補助電源に供給する補助電源用DC電圧変換回路と、前記補助電源から供給されるDC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する第2の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第2の無線通信部用DC電圧変換回路は、前記補助電源から供給されるDC出力を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路により昇圧されたDC出力の電圧を前記無線通信部に適合するように変換し、当該電圧を変換したDC出力を前記無線通信部に供給する前記第1の無線通信部用DC電圧変換回路と、を含む、請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記第1の無線通信部用DC電圧変換回路は、前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を変換して前記無線通信部に供給する機能とともに、前記AC/DC変換回路からの前記DC出力の電圧を変換して前記補助電源に供給する前記補助電源用DC電圧変換回路の機能を備える、請求項1に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−178479(P2010−178479A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17291(P2009−17291)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】