基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法
【課題】境界を挟んで描画分解能が互いに異なる被吐出領域のそれぞれに向けて、それぞれの被吐出領域の描画分解能に対応した吐出分解能で、個別に吐出を実施することで吐出作業に要する時間が増大することを抑制する、基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法を提供する。
【解決手段】各ノズル群が、同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、主走査方向に相対移動させられる間に吐出ノズルから吐出される液状体を配置される基材であって、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる、第一の被吐出領域と、第二の被吐出領域と、を備え、同一のノズル群に、第一の被吐出領域と、第二の被吐出領域との両方が同時に対向することがない位置に、各被吐出領域が配置されている。
【解決手段】各ノズル群が、同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、主走査方向に相対移動させられる間に吐出ノズルから吐出される液状体を配置される基材であって、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる、第一の被吐出領域と、第二の被吐出領域と、を備え、同一のノズル群に、第一の被吐出領域と、第二の被吐出領域との両方が同時に対向することがない位置に、各被吐出領域が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出する吐出ノズルを有する液滴吐出装置を用いて液状体を配置する対象である基材、当該基材における被吐出領域配置方法、液滴吐出装置を用いて液状体を配置することで複数のパネルを形成する対象であるマザーパネル、及び当該マザーパネルにおけるパネル領域配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備え、液状体を吐出して描画対象物上の任意の位置に塗布することによって、描画対象物の任意の位置に液状体を配置する液滴吐出装置が知られている。中でも、液状体を液滴として吐出する液滴吐出装置を用いることによって、吐出した液滴を描画対象物上の任意の位置に着弾させて、カラー液晶装置のカラーフィルタ膜などのような機能膜の材料を含む液状体を、任意の位置に任意の量だけ、精度良く塗布することが可能である。塗布された液状体を乾燥させることによって、任意の厚さ及び形状の機能膜を形成することができる。
【0003】
大面積に効率良く液状体を配置するために、多数の吐出ノズルを副走査方向に並べ、副走査方向と交差する主走査方向において、吐出ノズルと描画対象物を相対移動させながら吐出ノズルから液状体を吐出する。多数の吐出ノズルを有する吐出ヘッドとしては、特許文献1に記載されているように、多数の吐出ヘッドを副走査方向に連ねたものが知られている。
【0004】
液滴の着弾位置間の距離の最小値(以降、「描画分解能」と表記する。)が小さいほど細密な描画が可能となる。
特許文献1に記載されているインクジェットラインヘッドは、吐出ヘッドを主走査方向に並べて配置することで、副走査方向の吐出ノズルの密度を高くしている。即ち、副走査方向の吐出ノズルの間隔を小さくして、吐出される液状体の間隔を小さくすることによって、副走査方向の描画分解能が高いラインヘッドを実現している。
主走査方向の描画分解能は、主走査方向の吐出ノズルと描画対象物との相対移動速度と、液状体を吐出する吐出周波数と、で定まる吐出間隔(以降、「吐出分解能」と表記する。)によって定まる。特許文献2には、吐出分解能を調節することによって、描画対象物の被描画領域に対して適切な描画分解能を実現できる液滴吐出方法が開示されている。特許文献2に開示された液滴吐出方法では、吐出ヘッドが有する吐出ノズルの吐出分解能を一括して調整することによって、各吐出ノズルごとに個別に調整する方法に比べて、吐出ヘッドの吐出分解能を制御する制御装置の負荷が軽減されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−166574号公報
【特許文献2】特開2006−130469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、描画対象物のそれぞれの被描画領域における適切な描画分解能が必ずしも一様ではない描画対象物が存在する。例えば、マザー基板に複数の基板を形成する場合であって、マザー基板を効率良く利用するために、異なる基板を同一のマザー基板に形成する場合である。そのような描画対象物においては、被描画領域の適切な描画分解能に合せて、被描画領域ごとに吐出分解能を変更する必要がある。
副走査方向においては、吐出ヘッドごとに、主走査方向の吐出分解能を個別に設定することが可能である。しかし、副走査方向における、吐出ヘッドの境界と、適切な描画分解能が互いに異なる被描画領域の境界とは、必ずしも合致しないため、同一の吐出分解能で吐出する吐出ノズルを有する一つの吐出ヘッドが、適切な描画分解能が互いに異なる被描画領域の境界を跨いで、両方の被描画領域の部分に対向する場合がある。このような場合、吐出ヘッドが有する吐出ノズルの吐出分解能は同一であるため、両方の被吐出領域に並行して、それぞれの被吐出領域に描画するために適切な描画分解能を実現できる吐出分解能で液状体を吐出することはできないという課題があった。境界を挟んだ被吐出領域の部分のそれぞれに向けて、それぞれの被吐出領域に対応した吐出分解能で、個別に吐出を実施すると、吐出作業に要する時間が増大するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる基材は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置される基材であって、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備え、前記主走査方向の相対移動において、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域が配置されていることを特徴とする。
【0009】
この基材によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域の部分と、第二の被吐出領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこの基材に向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる基材において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0011】
この基材によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる基材において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0013】
この基材によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる基材において、前記複数のノズル群における前記ノズル群の前記副走査方向の長さが一定であって、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向における前記第二の被吐出領域と反対側において前記主走査方向に延在する前記第一の被吐出領域の端から、前記第二の被吐出領域の前記第一の被吐出領域側の端までの距離が、前記ノズル群の前記副走査方向の長さの整数倍の長さであって、前記第一の被吐出領域の前記副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さより離れている位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この基材によれば、基材に対して、第一の被吐出領域における第二の被吐出領域側の境界を含む領域に向けて液状体を配置するノズル群の第二の被吐出領域側の端は、第一の被吐出領域の副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さの位置に位置する。従って、当該ノズル群が、第二の被吐出領域の第一の被吐出領域側の境界に対向することが実質的にないようにすることができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる基材において、前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
この基材によれば、当該基材において、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、副走査方向に延在するノズル群は、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とに同時に対向することはないことから、単一のノズル群がタイミング信号の適切な周期が互いに異なる領域に同時に対向することがない基材を実現することができる。
【0018】
[適用例6]本適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、任意の位置に前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備える基材の被吐出領域配置方法であって、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域を配置することを特徴とする。
【0019】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域の部分と、第二の被吐出領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこの基材に向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0021】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0023】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置することが好ましい。
【0025】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、当該基材において、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、副走査方向に延在するノズル群は、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とに同時に対向することはないことから、単一のノズル群がタイミング信号の適切な周期が互いに異なる領域に同時に対向することがない基材を実現することができる。
【0026】
[適用例10]本適用例にかかるマザーパネルは、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、前記液状体を配置されるマザーパネルであって、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備え、同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域が配置されていることを特徴とする。
【0027】
このマザーパネルによれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域の部分と、第二のパネル領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこのマザーパネルに向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のイミング信号のそれぞれに基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかるマザーパネルにおいて、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0029】
このマザーパネルによれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0030】
[適用例12]上記適用例にかかるマザーパネルにおいて、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記マザーパネルに向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0031】
このマザーパネルによれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0032】
[適用例13]本適用例にかかるマザーパネルのパネル領域配置方法は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備えるマザーパネルのパネル領域配置方法であって、同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域を配置することを特徴とする。
【0033】
この基材のマザーパネルのパネル領域配置方法によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域の部分と、第二のパネル領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこのマザーパネルに向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号のそれぞれに基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0034】
[適用例14]上記適用例にかかるマザーパネルのパネル領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0035】
このマザーパネルのパネル領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法の一実施形態について図面を参照して、説明する。実施形態は、液滴吐出装置の一例であるインクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、電気光学装置を構成する機能膜などを製造する工程を例に説明する。
【0037】
(第一の実施形態)
本実施形態は、液滴吐出装置を用いて、電気光学装置の一例である液晶装置の、機能膜の一例であるカラーフィルタを製造する工程を例に説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備えている。液滴吐出装置は、当該液滴吐出ヘッドに樹脂材料を含む機能液を導入して、描画対象物上に当該機能液を配置することで、液晶装置のカラーフィルタのフィルタ膜などを形成するものである。
【0038】
<液滴吐出法>
最初に、フィルタ膜などの機能膜の形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0039】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成などに影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、材料の組成などに影響を与えないため液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の大きさを容易に調整することができるため液滴の制御性が良いことから、上記ピエゾ方式を用いる。
【0040】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。図2は、液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。
【0041】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド17(図3参照)を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60(図6参照)と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6(図6参照)とを備えている。
【0042】
吐出ユニット2は、液状体である機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17を120個備えており、当該液滴吐出ヘッド17をY軸方向に移動させると共に移動した位置に保持するためのY軸テーブル12を備えている。ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台21を有している。給液ユニット60は、機能液を貯留する貯留タンク(図示省略)を有し、液滴吐出ヘッド17への機能液の供給を行う。検査ユニット4は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット19を有しており、重量測定ユニット19にはフラッシングユニット14が併設されている。メンテナンスユニット5は、液滴吐出ヘッド17の保守を行う吸引ユニット15及びワイピングユニット16を有している。吐出装置制御部6は、これら各ユニットなどを総括的に制御する。重量測定ユニット19、吐出ユニット2、吐出検査ユニット18、又はメンテナンスユニット5などを用いて実施される重量測定処理、描画処理、吐出検査処理、及びメンテナンス処理などは、吐出装置制御部6が各ユニットなどを制御して実施される。
【0043】
液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース1Aを備え、各ユニットなどが、X軸支持ベース1Aの上に配設されている。X軸テーブル11は、主走査方向となるX軸方向に延在して、X軸支持ベース1Aの上に配設されており、ワーク載置台21をX軸方向(主走査方向)に移動させる。
【0044】
吐出ユニット2のY軸テーブル12は、複数本の支柱7Aを介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース7,7の上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在している。吐出ユニット2は、それぞれ12個の液滴吐出ヘッド17を有するキャリッジユニット51を、10個備えている。10個のキャリッジユニット51は、10個のブリッジプレート52のそれぞれに吊設されている。ブリッジプレート52は、Y軸スライダ(図示省略)を介して、Y軸テーブル12に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。Y軸テーブル12は、ブリッジプレート52(キャリッジユニット51)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。
X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の描画パターンを描画する。
【0045】
吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162(図2参照)とを有している。検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、同じくX軸第2スライダ23に固定された重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられたブロックを、吐出検査ブロック4aと表記する。撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163(図2参照)と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164(図2参照)と、を有している。カメラ移動機構164は、Y軸支持ベース7に固定されている。2個の検査カメラ163は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0046】
メンテナンスユニット5が備える吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台8の上に配設されている。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、液滴吐出ヘッド17を吸引して、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78(図3参照)から機能液を強制的に排出させる。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76a(図3参照)を拭き取る(ワイピングを行う)ものである。このようにして、吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17の機能維持又は機能回復を図るための保守作業を実施する。
【0047】
図1、又は図2に示すように、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26,26と、一対のX軸共通支持ベース24,24と、を備えている。
【0048】
X軸第1スライダ22には、ワーク載置台21が取り付けられている。X軸第1スライダ22は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸第2スライダ23には、検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられた吐出検査ブロック4aが取り付けられている。X軸第2スライダ23は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸リニアモータ26は、X軸共通支持ベース24に並設されており、X軸第1スライダ22又はX軸第2スライダ23をX軸共通支持ベース24に沿って移動させることによって、ワーク載置台21(ワーク載置台21に載置されたワークW)又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動させる。X軸第1スライダ22とX軸第2スライダ23とは、X軸リニアモータ26により個別に駆動可能である。X軸方向が主走査方向に相当し、Y軸方向が副走査方向に相当する。
【0049】
ワーク載置台21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32などを有している。図1及び図2におけるワーク載置台21の位置が、ワークWの給除材を行うための給除材位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させる。当該給除材位置において、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行われる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向及びY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。吸着テーブル31に給材された未処理のワークWのアライメントは、θテーブル32を用いて、給除材位置において実施される。ワーク載置台21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121,121が添設されている。
【0050】
画像認識ユニット80は、2台のアライメントカメラ81と、カメラ移動機構82と、を有している。カメラ移動機構82は、X軸支持ベース1Aの上に、Y軸方向に延在して、X軸テーブル11を跨ぐように配設されている。アライメントカメラ81は、カメラホルダ(図示省略)を介して、カメラ移動機構82に、Y軸方向にスライド自在に支持されている。カメラ移動機構82に支持されたアライメントカメラ81は、X軸テーブル11に上側から臨み、X軸テーブル11の上のワーク載置台21に載置されたワークWの各基準マーク(アライメントマーク)(図示省略)を画像認識することができる。2台のアライメントカメラ81は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0051】
各アライメントカメラ81は、ワーク載置台21のX軸方向への移動と協働して、カメラ移動機構82によりY軸方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を実施する。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が実施される。
【0052】
Y軸テーブル12は、10組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース7,7の上にそれぞれ設置されて、Y軸方向に延在している。20個(10組)のY軸スライダは、一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに各10個ずつ摺動自在に支持されている。一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに支持された各1個のY軸スライダからなる1組のY軸スライダは、吐出ユニット2を構成するキャリッジユニット51が固定されたブリッジプレート52を両持ちで支持している。吐出ユニット2を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52は、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダを介して、一対のY軸支持ベース7,7の上に設置されている。
【0053】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース7,7を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向に移動し、ブリッジプレート52に吊設されたキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0054】
キャリッジユニット51は、12個の液滴吐出ヘッド17と、12個の液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、を有するヘッドユニット54(図4参照)を備えている。また、キャリッジユニット51は、ヘッドユニット54をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット54をブリッジプレート52に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0055】
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、液滴吐出ヘッド17について、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図である。
【0056】
図3に示すように、この液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72,72を有する液体導入部71と、液体導入部71に連なる方形のヘッド本体74と、液体導入部71とヘッド本体74との間から側方に突出するヘッド基板73と、を備えている。ヘッド本体74は、液体導入部71に連なるポンプ部75と、ポンプ部75に連なるノズル形成プレート76と、を有している。ノズル形成プレート76には、ノズル形成面76aに開口する吐出ノズル78が形成されている。液滴吐出ヘッド17においては、一列あたり181個の吐出ノズル78からなるノズル列78bが2列形成されている。ポンプ部75には、ピエゾ圧電素子が設けられており、当該ピエゾ圧電素子を駆動することによって、液体導入部71から供給されてきた機能液を吐出ノズル78から吐出する。1個の吐出ノズル78に対応して1個のピエゾ圧電素子が設けられており、それぞれの吐出ノズル78ごとに独立して機能液を吐出することができる。ヘッド基板73には、一対のコネクタ77,77が設けられている。このコネクタ77が、FFCケーブルなどによって、吐出装置制御部6と接続されている中継基板と接続されることで、液滴吐出ヘッド17が吐出装置制御部6と接続される。
【0057】
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、ノズル列78bはY軸方向に延在する。2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている。1ノズルピッチは、例えば140μmである。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。吐出ノズル78のノズルピッチが141μmの場合、2列のノズル列78bの液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴のY軸方向における着弾位置の中心間距離は、設計上では、70.5μmである。
吐出ノズル78から液滴を吐出するタイミングは、ラッチ信号で規定される。1列のノズル列78bを構成する吐出ノズル78には同じラッチ信号が印加され、同じタイミングで液滴を吐出する。1台の液滴吐出ヘッド17が有する2列のノズル列78bのそれぞれには、2列のノズル列78b間のX軸方向の距離と、液滴吐出ヘッド17と描画対象物とのX軸方向の相対移動速度とから算出できる時間差をつけてラッチ信号を印加する。これにより、2列のノズル列78bの液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴を、Y軸方向に延在する一直線状に着弾させることができる。1台の液滴吐出ヘッド17が有する吐出ノズル78がノズル群に相当する。
図3にLで示した、1台の液滴吐出ヘッド17が有する吐出ノズル78において、Y軸方向において両端に位置する吐出ノズル78のY軸方向の中心間距離をノズル群長Lと表記する。液滴吐出ヘッド17が、180個の吐出ノズル78が141μmのノズルピッチで並ぶノズル列78bを2列備え、2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている場合、ノズル群長Lは、25309.5μmになる。
【0058】
<ヘッドユニット>
次に、吐出ユニット2のヘッドユニット54の概略構成について、図4を参照して説明する。図4は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図4に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット54が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0059】
図4に示すように、ヘッドユニット54は、サブキャリッジ53と、サブキャリッジ53に搭載された12個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、サブキャリッジ53に固定されており、ヘッド本体74がサブキャリッジ53に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、サブキャリッジ53の面より突出している。図4は、ノズル形成面76a側から見た図である。12個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ6個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド組55を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0060】
一つのヘッド組55が有する6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド組55が有する6個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル78のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル78は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。即ち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。この直線をノズル群線と表記する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組55を構成している。
【0061】
ヘッドユニット54が有する二つのヘッド組55は、Y軸方向に一つのヘッド組55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されている。即ち、一つのヘッドユニット54の吐出ノズル78から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、ノズル群線一本の長さ分の間隔を隔てて、2本のノズル群線が形成される。ヘッドユニット54を、Y軸方向に、一つのヘッド組55のY軸方向の長さに相当する距離だけ移動させて、同様に2本のノズル群線を形成することで、ノズル群線が4本連なった直線が形成される。当該直線は、設計上では、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78の数の48倍の数の点が、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78のノズルピッチの半分の間隔で、連なっている。1ノズル列あたり180個の吐出ノズル78が、141μmのノズルピッチで形成されている液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット54の場合は、8640個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0062】
隣り合うヘッドユニット54も、それぞれのヘッド組55が、互いにY軸方向に一つのヘッド組55分の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。従って、ノズル群線の長さ相当のY軸方向の移動を挟んで、それぞれ、吐出ユニット2が有する各吐出ノズル78に一滴ずつ機能液を吐出させることで、Y軸方向に延在する一直線を形成することができる。この、吐出ユニット2が有する全120個の液滴吐出ヘッド17が各二回の吐出で描画できるラインの長さは、ワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。各点に着弾した液滴が、実質的なノズルピッチ(70.5μm)より大きく濡れ広がることによって、帯状に連なる液の膜が形成される。
【0063】
なお、ノズル列78bの端の方における吐出ノズル78のいくつかを使用しない場合には、使用しない吐出ノズル78が、使用する吐出ノズル78と、Y軸方向において重なるように、液滴吐出ヘッド17を配置する。この場合の使用する吐出ノズル78が、有効ノズルに相当する。使用しない吐出ノズル78が設定されている液滴吐出ヘッド17においては、使用する吐出ノズル78の中で、Y軸方向において両端に位置する吐出ノズル78のY軸方向の中心間距離がノズル群長Lに相当する。
【0064】
次に、複数の種類の機能液を並行して扱う場合の、ヘッドユニット54における、各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッド17の配置例について、図5を参照して説明する。図5は、三色カラーフィルタを形成する場合の、ヘッドユニットにおける各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッドの配置例を示す模式図である。
【0065】
図5に示すように、ヘッドユニット54における一方のヘッド組55の液滴吐出ヘッド17を、一方の端から順番に、液滴吐出ヘッド17a,17b,17c,17d,17e,17fと表記する。ヘッドユニット54におけるもう一方のヘッド組55の液滴吐出ヘッド17を、液滴吐出ヘッド17a,17b,17c,17d,17e,17fと同じ順番に、液滴吐出ヘッド17g,17h,17j,17k,17m,17nと表記する。
三色カラーフィルタのフィルタ膜205(図7又は図9参照)の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、青色フィルタ膜205B、を形成するための機能液252を赤色機能液252R、緑色機能液252G、青色機能液252Bと表記する(図12参照)。赤色機能液252R、緑色機能液252G、又は青色機能液252Bが供給される液滴吐出ヘッド17を、それぞれ赤色吐出ヘッド17R、緑色吐出ヘッド17G、青色吐出ヘッド17Bと表記する。
本実施形態のヘッドユニット54においては、液滴吐出ヘッド17a,17d,17g,17kが、赤色吐出ヘッド17Rであり、液滴吐出ヘッド17b,17e,17h,17mが、緑色吐出ヘッド17Gであり、液滴吐出ヘッド17c,17f,17j,17nが、青色吐出ヘッド17Bである。
【0066】
2台の赤色吐出ヘッド17Rから赤色機能液252Rを吐出させるX軸方向の走査を、1台の液滴吐出ヘッド17分のY軸方向の移動を2回挟んで、3回実施することで、着弾した赤色機能液252Rの液滴から成るノズル群線を形成できる。略並行して、緑色吐出ヘッド17G及び青色吐出ヘッド17Bから緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出させて、緑色機能液252G又は青色機能液252Bの液滴から成るノズル群線を形成できる。当該ノズル群線を形成する吐出を、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を用いて2回実施することで、上述したワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応する長さの、赤色機能液252R、緑色機能液252G、又は青色機能液252Bの液滴から成るノズル群線をそれぞれ1本形成できる。
【0067】
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、図6に示した制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピュータ66と、液滴吐出装置1に入出力する情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インタフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニタ装置などである。
【0068】
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、インタフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバ2dと、駆動機構ドライバ40dと、給液ドライバ60dと、メンテナンスドライバ5dと、検査ドライバ4dと、検出部インタフェイス(I/F)43、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
【0069】
インタフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU44は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU44からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶したりしている。
【0070】
ヘッドドライバ2dには、吐出ユニット2を構成する液滴吐出ヘッド17が接続されている。ヘッドドライバ2dは、CPU44からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド17を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。
【0071】
駆動機構ドライバ40dには、Y軸テーブル12のヘッド移動モータと、X軸テーブル11のX軸リニアモータ26と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構41とが接続されている。各種駆動機構は、上記した、アライメントカメラ81を移動するためのカメラ移動モータや、θ回転機構61の駆動モータや、θテーブル32の駆動モータなどである。駆動機構ドライバ40dは、CPU44からの制御信号に従って上記モータなどを駆動して、液滴吐出ヘッド17とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド17とを対向させ、ヘッドドライバ2dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
【0072】
メンテナンスドライバ5dには、メンテナンスユニット5の吸引ユニット15と、ワイピングユニット16と、フラッシングユニット14とが接続されている。メンテナンスドライバ5dは、CPU44からの制御信号に従って、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、又はフラッシングユニット14を駆動して、液滴吐出ヘッド17の保守作業を実施させる。
【0073】
検査ドライバ4dには、検査ユニット4の吐出検査ユニット18と、重量測定ユニット19とが接続されている。検査ドライバ4dは、CPU44からの制御信号に従って、吐出検査ユニット18、又は重量測定ユニット19を駆動して、吐出重量や吐出の可否や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド17の吐出状態の検査を実施させる。
【0074】
給液ドライバ60dには、給液ユニット60が接続されている。給液ドライバ60dは、CPU44からの制御信号に従って給液ユニット60を駆動して、液滴吐出ヘッド17に機能液を供給する。検出部インタフェイス43には、各種センサを含む検出部42が接続されている。検出部42の各センサによって検出された検出情報が検出部インタフェイス43を介してCPU44に伝達される。
【0075】
<液晶表示パネルの構成>
次に、電気光学装置の一例である液晶装置としての液晶表示パネルについて説明する。
最初に、液晶表示パネル200の構成について、図7を参照して説明する。図7は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0076】
図7に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶230(図13(k)参照)とを備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220には、貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231と偏光板232とが、配設されている。
【0077】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、画素電極217や、走査線212及び信号線214が、絶縁層216上に形成されている。走査線212及び信号線214は、互いに絶縁された状態で交差するように形成されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214に信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0078】
素子基板210の液晶230と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0079】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルタ(以降、「CF」と表記する。)層208が形成されている。CF層208は、隔壁204と、赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bとを有している。ガラス基板201上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成され、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形のフィルタ膜領域225が形成されている。フィルタ膜領域225には、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bが形成されている。赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0080】
CF層208の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0081】
対向基板220の液晶230と接する面には、画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶230は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
【0082】
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0083】
<マザー対向基板>
次に、マザー対向基板201Aについて、図8を参照して説明する。対向基板220は、分割されてガラス基板201となるマザー対向基板201A上に上述したCF層208などを形成した後、マザー対向基板201Aを個別の対向基板220(ガラス基板201)に分割して形成される。図8(a)は対向基板の平面構造を模式的に示す図であり、図8(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す図である。
【0084】
対向基板220は、厚みおよそ1.0mmの透明な石英ガラスからなるガラス基板201を用いて形成されている。図8(a)に示すように、対向基板220は、ガラス基板201の周囲の僅かな額縁領域を除く部分に、CF層208が形成されている。CF層208は、方形状のガラス基板201の表面に複数のフィルタ膜領域225をドットパターン状、本実施形態ではドット・マトリクス状に形成し、当該フィルタ膜領域225にフィルタ膜205を形成することによって形成されている。ガラス基板201のCF層208が形成される領域にかからない位置には、図示省略したアライメントマークが形成されている。アライメントマークは、CF層208などを形成する諸工程を実行するためにガラス基板201を製造装置に取り付ける際などに位置決め用の基準マークとして用いられる。
【0085】
図8(b)に示すように、マザー対向基板201Aには対向基板220のCF層208と共に、対向基板420を構成するCF層408がガラス基板401となる部分に形成されている。対向基板420は、対向基板220と実質的に同じ構造をしており、液晶表示パネル200より表示部の面積が小さい液晶表示パネルを構成する対向基板である。マザー対向基板201A上にガラス基板201を適宜配置すると、面積的に活用できない部分が生ずる。そこで、ガラス基板201より小さいガラス基板401のCF層408を形成して、当該部分をガラス基板401として有効に利用することによって、マザー対向基板201Aを無駄なく利用している。マザー対向基板201Aが、基材又はマザーパネルに相当する。なお、図8においては図をわかりやすくするためにCF層208やCF層408を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板201Aを効率良く使用するためには、当該間隔は可能な限り小さくすることが好ましい。言い換えれば、サイズの異なるガラス基板を効率的に配置する配置方法を見出すことにより、マザー対向基板201Aそのもののサイズ設定が明確になり、マザー対向基板201Aを原材料から取り出す効率をも改善することが可能となる。
【0086】
<カラーフィルタ>
次に、対向基板220に形成されているCF層208及びCF層208におけるフィルタ膜205(赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205B)の配列について、図9を参照して説明する。図9は、3色カラーフィルタのフィルタ膜の配列例を示す模式平面図である。
【0087】
図9に示すように、フィルタ膜205は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁204によって区画されてドット・マトリクス状に並んだ複数の例えば方形状のフィルタ膜領域225を色材で埋めることによって形成される。例えば、フィルタ膜205を構成する色材を含む機能液をフィルタ膜領域225に充填し、当該機能液の溶媒を蒸発させて機能液を乾燥させることで、フィルタ膜領域225を埋める膜状のフィルタ膜205を形成する。
【0088】
3色カラーフィルタにおける赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bの配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。ストライプ配列は、図9(a)に示したように、マトリクスの縦列が全て同色の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bになる配列である。モザイク配列は、図9(b)に示したように、横方向の各行ごとにフィルタ膜205一つ分だけ色をずらした配列で、3色フィルタの場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つのフィルタ膜205が3色となる配列である。デルタ配列は、図9(c)に示したように、フィルタ膜205の配置を段違いにし、3色フィルタの場合、任意の隣接する3つのフィルタ膜205が異なる色となる配色である。
【0089】
図9(a),(b),(c)に示した3色フィルタにおいて、フィルタ膜205は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣り合って形成された赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを各1個ずつ含むフィルタ膜205の組で、画像を構成する最小単位である絵素のフィルタ(以降、「絵素フィルタ254」と表記する。)を形成している。一つの絵素フィルタ254内の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bのいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させることにより、フルカラー表示を行う。
【0090】
<吐出分解能>
次に、吐出分解能と、描画対象の形状との関係について、図10を参照して説明する。吐出ノズル78からは、当該吐出ノズル78にラッチ信号によりラッチされた駆動信号(駆動波形)が印加されることによって機能液が吐出される。ラッチ信号の周波数と、吐出ノズル78と描画対象との主走査方向の相対移動速度と、から定まる描画対象に対する吐出ノズル78からの吐出位置間の最小距離が、吐出分解能である。吐出された機能液が描画対象に着弾した位置間の最小距離が、描画分解能である。描画対象の適切な描画分解能は、それぞれの描画対象における描画形状によって定まる。吐出ノズル78が実現するべき吐出分解能は、液滴吐出装置1が描画吐出を実施する描画対象の適切な描画分解能によって定まる。
【0091】
図10は、フィルタ膜領域の形状と吐出分解能との関係を示す説明図である。図10(a)は、CF層208のフィルタ膜205を形成するフィルタ膜領域225について、好ましい機能液252(図12参照)の着弾点263、及び機能液252を当該着弾点263に着弾させるタイミングで液滴吐出ヘッド17から吐出させるためのラッチ信号262を示している。
1個のフィルタ膜205を形成するために、複数の吐出ノズル78を一斉に駆動して、当該フィルタ膜205を形成するべきフィルタ膜領域225に機能液252を着弾させる。1個の吐出ノズル78からは、例えば図10(a)に示した4ヶ所の着弾点263の位置に、機能液252の液滴を着弾させることによって、適正なフィルタ膜205が形成される。
【0092】
一般的に、信号は時間軸に対応して示されるが、吐出ノズル78とフィルタ膜領域225(マザー対向基板201A)との相対移動速度は一定であるため、図10(a)に示したラッチ信号262は、主走査方向である矢印aの方向に相対移動する吐出ノズル78が、当該位置にある時点で印加されているラッチ信号を示している。吐出ノズル78は、図10(a)の矢印aの方向に相対移動しながら、ラッチ信号262の立ち上がり時に、即ち、図10(a)においてはラッチ信号262の立ち上がり部分が記載されている位置において、機能液252を吐出する。吐出された機能液252は、着弾点263の位置に、着弾位置精度の誤差の範囲で、着弾する。なお、吐出ノズル78から吐出された機能液252は、吐出されてから着弾するまでの飛行時間の間に、相対移動方向にも移動するが、当該移動量は概ね一定であるため、図をわかりやすくするために、図10(a)においては、当該移動量は省略している。
【0093】
赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78においては、赤色フィルタ膜205Rを形成するべきフィルタ膜領域225Rの着弾点263Rに向けて吐出する時点においてのみ、赤色機能液252Rを吐出する。赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78は、着弾点263Gや着弾点263Bに着弾する吐出時点においては、吐出は実施しない。同様に、緑色吐出ヘッド17G又は青色吐出ヘッド17Bが有する吐出ノズル78においては、緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成するべきフィルタ膜領域225G又はフィルタ膜領域225Bの着弾点263G又は着弾点263Bに向けて吐出する時点においてのみ、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出する。
フィルタ膜領域225の主走査方向の配置に対して、ラッチ信号262によってラッチされる駆動信号を適切に印加することによって、適切な吐出位置で機能液252を吐出させることを可能ならしめて、それぞれのフィルタ膜領域225において、略同じ位置に機能液252を着弾させることができる。主走査方向に複数の機能液252を連続して吐出する場合、その最小の吐出間隔が吐出分解能となる。すなわち、吐出分解能の単位で機能液252を配置可能である。主走査方向における機能液252の配置は、隔壁204で区画された領域のサイズやフィルタ膜205の膜厚設定により適宜決定される。
【0094】
図10(b)は、CF層408のフィルタ膜405(405R,405G,405B)を形成するフィルタ膜領域425について、好ましい機能液252の着弾点273、及び機能液252を当該着弾点273に着弾させるように液滴吐出ヘッド17から吐出させるためのラッチ信号272を示している。
1個の吐出ノズル78からは、例えば図10(b)に示した2ヶ所の着弾点273の位置に、機能液252の液滴を着弾させることによって、適正なフィルタ膜405が形成される。
図10(b)におけるラッチ信号272とフィルタ膜領域425との関係は、図10(a)におけるラッチ信号262とフィルタ膜領域225との関係と同様である。
【0095】
赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78においては、赤色フィルタ膜405Rを形成するべきフィルタ膜領域425Rの着弾点273Rに向けて吐出する時点においてのみ、赤色機能液252Rを吐出する。赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78は、着弾点273Gや着弾点273B、及び隔壁204にかかる着弾点273Kに着弾する吐出時点においては、吐出は実施しない。同様に、緑色吐出ヘッド17G又は青色吐出ヘッド17Bが有する吐出ノズル78においては、緑色フィルタ膜405G又は青色フィルタ膜405Bを形成するべきフィルタ膜領域425G又はフィルタ膜領域425Bの着弾点273G又は着弾点273Bに向けて吐出する時点においてのみ、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出する。
フィルタ膜領域425の主走査方向の配置に対して、ラッチ信号272によってラッチされる駆動信号を適切に印加することによって、適切な吐出位置で機能液252を吐出させることを可能ならしめて、それぞれのフィルタ膜領域425において、略同じ位置に機能液252を着弾させることができる。
【0096】
<液晶表示パネルの形成>
次に、液晶表示パネル200を形成する工程について、図11、図12、及び図13を参照して説明する。図11は、液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャートである。図12は、液晶表示パネルを形成する過程におけるフィルタ膜を形成する工程などを示す断面図であり、図13は、液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程などを示す断面図である。液晶表示パネル200は、それぞれ別々に形成した素子基板210と対向基板220とを、貼り合わせて形成する。
【0097】
図11に示したステップS1からステップS5を実行することで、対向基板220を形成する。
図11のステップS1では、ガラス基板201の上に、フィルタ膜領域225を区画形成するための隔壁部を形成する。隔壁部は、ブラックマトリックス202を格子状に形成し、その上にバンク203を形成して、ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204を格子状に配置することによって形成する。これにより、図12(a)に示すように、ガラス基板201の表面に、隔壁204によって区画された方形のフィルタ膜領域225が形成される。
【0098】
次に、図11のステップS2では、フィルタ膜領域225に、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bを構成する材料をそれぞれ充填して、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを形成して、CF層208を形成する。
【0099】
より詳細には、図12(b)に示すように、隔壁204によって区画されたフィルタ膜領域225が形成されたガラス基板201の表面に赤色吐出ヘッド17Rを対向させる。当該赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78から、赤色フィルタ膜205Rを形成するべきフィルタ膜領域225Rに向けて、赤色機能液252Rを吐出することによって、フィルタ膜領域225Rに赤色機能液252Rを配置する。同時に、ガラス基板201に対して赤色吐出ヘッド17Rを矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201に形成された全てのフィルタ膜領域225Rに赤色機能液252Rを配置する。配置した赤色機能液252Rを乾燥させることによって、図12(c)に示すように、フィルタ膜領域225Rに赤色フィルタ膜205Rを形成する。
【0100】
同様にして、図12(b)に示した、緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成するべきフィルタ膜領域225G又はフィルタ膜領域225Bに、図12(c)に示すように、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを配置する。緑色機能液252G及び青色機能液252Bを乾燥させることによって、図12(d)に示すように、フィルタ膜領域225G及びフィルタ膜領域225Bに緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成する。赤色フィルタ膜205Rと合せて、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bからなる3色カラーフィルタが形成される。
【0101】
次に、図11のステップS3では、平坦化層を形成する。図12(e)に示すように、CF層208を構成する赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、青色フィルタ膜205B、及び隔壁204の上に、平坦化層としての平坦化膜206を形成する。平坦化膜206は、少なくともCF層208の全面を覆う領域に形成する。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。
次に、図11のステップS4では、対向電極207を形成する。図12(f)に示すように、平坦化膜206の上の、少なくともCF層208のフィルタ膜205が形成された領域の全面を覆う領域に、透明な導電材料を用いて、薄膜を形成する。この薄膜が、上述した対向電極207である。
【0102】
次に、図11のステップS5では、対向電極207の上に、対向基板220の配向膜228を形成する。配向膜228は、少なくともCF層208の全面を覆う領域に形成する。
図13(g)に示すように、対向電極207が形成されたガラス基板201の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板201の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板201に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201の配向膜228を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(h)に示すように、配向膜228を形成する。ステップS5を実施して、対向基板220が形成される。
【0103】
図11に示したステップS6からステップS8を実行することで、素子基板210を形成する。
図11のステップS6では、ガラス基板211の上に導電層や絶縁層や半導体層を形成することで、TFT素子215などの素子や、走査線212や、信号線214や、絶縁層216などを形成する。走査線212及び信号線214は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合わされた状態で、隔壁204に対向する位置に、即ち画素の周辺の位置に形成する。TFT素子215は、画素の端に位置するように形成し、1画素に少なくとも1個のTFT素子215を形成する。
【0104】
次に、ステップS7では、画素電極217を形成する。画素電極217は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合わされた状態で、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bに対向する位置に、形成する。画素電極217は、TFT素子215のドレイン電極と電気的に接続させる。
【0105】
次に、ステップS8では、画素電極217などの上に、素子基板210の配向膜218を形成する。配向膜218は、少なくとも全ての画素電極217の全面を覆う領域に形成する。
図13(i)に示すように、画素電極217が形成されたガラス基板211の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板211の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板211に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板211の配向膜218を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(j)に示すように、配向膜218を形成する。ステップS8を実施して、素子基板210が形成される。
【0106】
次に、ステップS9では、形成された対向基板220と素子基板210とを貼り合わせ、図13(k)に示すように、間に液晶230を充填する。さらに、偏光板231と偏光板232とを貼りつけるなどして、液晶表示パネル200を組立てる。複数のガラス基板201やガラス基板211からなるマザー基板に、複数の対向基板220や素子基板210を形成する場合には、複数の液晶表示パネル200が形成されたマザー基板を個別の液晶表示パネル200に分割する。あるいは、マザー対向基板やマザー素子基板を、対向基板220や素子基板210に分割する工程を実施した後にステップS9を実施する。ステップS9を実施して、液晶表示パネル200を形成する工程を終了する。
【0107】
<マザー対向基板におけるCF層の配置>
次に、上述したマザー対向基板201AにおけるCF層208及びCF層408の配置について、図14を参照して説明する。図14は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図14(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図14(b)は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上のCF層を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図14に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0108】
図14(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板201Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー対向基板201Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板201Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板201A上の所定の位置に機能液252を配置する。図10を参照して説明したように、CF層208とCF層408とでは、機能液252を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。CF層208又はCF層408を形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。
【0109】
図14(b)に示したように、CF層208とCF層408とは、副走査方向において、距離Dを隔てて形成される。距離Dは、図14(b)に二点鎖線で示した液滴吐出ヘッド17のノズル群長Lより大きく設定されている。
図14(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17fがCF層208を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にあり、液滴吐出ヘッド17eがCF層408を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。CF層208の境界とCF層408の境界とは、ノズル群長Lより大きい距離Dを隔てているため、液滴吐出ヘッド17fがCF層408を形成する領域に、又は液滴吐出ヘッド17eがCF層208を形成する領域に対向することはない。言い換えれば、マザー対向基板201Aに対して、複数の液滴吐出ヘッド17(吐出ユニット2)を副走査方向においてどのように配置しても、同一の液滴吐出ヘッド17が異なる吐出タイミングが要求されるCF層208とCF層408と跨って配置されない。液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングは、液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eのそれぞれにおいて一律である。従って、液滴吐出ヘッド17fには図10を参照して説明したラッチ信号262を印加して機能液252の吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17eには図10を参照して説明したラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
【0110】
<マザー対向基板におけるCF層の他の配置例>
次に、マザー対向基板におけるCF層の他の配置例として、マザー対向基板401AにおけるCF層208及びCF層408の配置について、図15を参照して説明する。マザー対向基板401Aには、マザー対向基板201Aと同様にCF層208及びCF層408が、マザー対向基板201Aとは異なる配置で形成される。図15は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図15(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図15(b)は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上のCF層を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図15に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0111】
図15(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板401Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。副走査方向の吐出ノズル78の位置決めを実施する際は、CF層408を形成する領域の、CF層208とは反対側(図15においては下側)の境界を基準位置とする。マザー対向基板401Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板401Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板401A上の所定の位置に機能液252を配置する。図10を参照して説明したように、CF層208とCF層408とでは、機能液252を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。マザー対向基板401Aが、基材又はマザーパネルに相当する。なお、図15においては図をわかりやすくするためにCF層208やCF層408を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板401Aを形成するための板状材料を効率良く使用するためには、当該間隔は対向基板220及び対向基板420を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0112】
図15(a)及び図15(b)に示したように、CF層408のCF層208とは反対側の境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっている。nは、(n−1)LがCF層408の副走査方向の幅より小さく、nLがCF層408の副走査方向の幅より大きい整数である。
図15(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17bがCF層408を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。当該液滴吐出ヘッド17bは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端に機能液252を配置する液滴吐出ヘッド17(図15(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17g)から数えてn番目の液滴吐出ヘッド17である。距離D1は長さnLより大きいため、液滴吐出ヘッド17bがCF層208を形成する領域に対向することはない。
また、液滴吐出ヘッド17cが、CF層208を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。当該液滴吐出ヘッド17cは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端に機能液252を配置する液滴吐出ヘッド17gから数えてn+1番目の液滴吐出ヘッド17である。従って、液滴吐出ヘッド17cは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端からの距離がnLから(n+1)Lの間の領域に対向する。CF層408の副走査方向の幅は長さnLより小さいため、液滴吐出ヘッド17cがCF層408を形成する領域に対向することはない。
従って、液滴吐出ヘッド17b又は液滴吐出ヘッド17cの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングは、液滴吐出ヘッド17b又は液滴吐出ヘッド17cのそれぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17cには図10を参照して説明したラッチ信号262を印加して機能液252の吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17bには図10を参照して説明したラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
【0113】
<マザー対向基板におけるCF層の他の配置例>
次に、マザー対向基板におけるCF層のさらに異なる配置例として、マザー対向基板301AにおけるCF層308及びCF層328の配置について、図16を参照して説明する。図16は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。図16に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0114】
CF層308は、対向基板301を構成するCF層であり、CF層308のフィルタ膜は、フィルタ膜領域325に機能液252を配置して形成する。CF層328は、対向基板321を構成するCF層であり、CF層328のフィルタ膜は、フィルタ膜領域335に機能液252を配置して形成する。CF層308及びCF層328は、CF層208と基本的に同様の構成を有しており、CF層208とは大きさが異なっている。CF層308とCF層328とは大きさが異なっている。大きさが異なるために、CF層308とCF層328とは、機能液252を配置する際の、吐出ノズル78における適切な吐出タイミングが互いに異なっている。マザー対向基板301Aが、基材又はマザーパネルに相当する。CF層308又はCF層328を形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。なお、図16においては図をわかりやすくするためにCF層308やCF層328を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板301Aを効率良く使用するためには、当該間隔は対向基板301及び対向基板321を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0115】
図16に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板301Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー対向基板301Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板301Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板301A上の所定の位置に機能液252を配置する。
【0116】
マザー対向基板301Aにおいて、CF層308とCF層328とは、主走査方向において隣り合っており、副走査方向においては、CF層308どうし、又はCF層328どうしが、並んでおり、CF層308とCF層328とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。従って、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、適切な吐出タイミングが互いに異なる領域に同時に対向することはない。
吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に印加するラッチ信号は、主走査中に切り換え可能であって、CF層308を形成する領域とCF層328を形成する領域との間で切り換えられる。そして、液滴吐出ヘッド17がCF層308を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際は、当該領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施し、CF層328を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際は、当該領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施する。
【0117】
第一の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)マザー対向基板201Aにおいて、CF層208の境界とCF層408の境界とは、ノズル群長Lより大きい距離Dを隔てている。このため、単一の液滴吐出ヘッド17がCF層208及びCF層408の両方に同時に対向する位置に位置することがない。マザー対向基板201Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17にはラッチ信号262又はラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、CF層208への吐出とCF層408への吐出とを別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネル200の対向基板220及び液晶表示パネルの対向基板420を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0118】
(2)マザー対向基板401Aにおいて、CF層408のCF層208とは反対側の境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっている。このため、マザー対向基板401AのCF層408を形成する領域に機能液252を配置する位置にある液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、CF層208を形成する領域に対向する位置に位置することはない。マザー対向基板401Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。当該液滴吐出ヘッド17にはラッチ信号262又はラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、CF層208への吐出とCF層408への吐出とを別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネル200の対向基板220及び液晶表示パネルの対向基板420を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0119】
(3)マザー対向基板301Aにおいて、CF層308とCF層328とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、マザー対向基板301Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なる領域に同時に対向することはない。CF層308を形成する領域とCF層328を形成する領域との間で、印加するラッチ信号を切り換えることによって、液滴吐出ヘッド17がCF層308を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際と、CF層328を形成する領域に向けて吐出する際とで、それぞれの領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施することができる。
これにより、描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングが単一でない液滴吐出ヘッド17が存在して、当該液滴吐出ヘッド17がそれぞれの吐出タイミングでの吐出を別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネルの対向基板301及び対向基板321を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0120】
(第二の実施形態)
次に、基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法の第二の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態は、インクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、電気光学装置の一例である有機EL表示装置を製造する工程において、機能膜の一例である発光層、正孔輸送層などを形成する工程を例に説明する。本実施形態の液滴吐出装置は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置と実質的に同一のものであるため、液滴吐出装置に関する説明は省略する。
【0121】
<有機EL(エレクトロルミネセンス)表示装置の構成>
最初に、有機EL表示装置の構成について、図17及び図18を参照して説明する。図17は、有機EL表示装置を示す概略正面図である。図17(a)は、有機EL表示装置の全体を示す概略正面図であり、図17(b)は、カラー発光素子の配列例を示す部分拡大図である。図17(a)に示すように、本実施形態の有機EL表示装置500は、発光素子である複数の有機EL素子507を有する素子基板501と、封止基板509とを備えている。有機EL素子507はいわゆるカラー発光素子であり、有機EL表示装置500は、赤色素子507R(赤色系)、緑色素子507G(緑色系)、青色素子507B(青色系)の3色の有機EL素子507を有している。有機EL素子507は表示領域506に配置されており、当該表示領域506に画像が表示される。
【0122】
素子基板501上の3色の有機EL素子507は、例えば、図17(b)に示すように、同色系の有機EL素子507が段違いに配置され、3色のカラー発光素子が、任意の隣接する3つの有機EL素子507が異なる色となるように配置されている。各有機EL素子507の平面形状は略円形である。図の上下方向に並ぶ有機EL素子507を一つおきに図の左右方向にずらすことで、有機EL素子507の配置密度を上げている。
【0123】
素子基板501は、各有機EL素子507に対応した位置に、駆動素子としての複数のスイッチング素子512(図18参照)を備えている。スイッチング素子512は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)素子である。また、封止基板509よりも一回り大きく、額縁状に張り出した部分には、スイッチング素子512を駆動する二つの走査線駆動回路部503,503と一つのデータ線駆動回路部504が設けられている。素子基板501の端子部502には、これらの走査線駆動回路部503又はデータ線駆動回路部504と外部駆動回路とを接続するためのフレキシブルな中継基板508が実装されている。走査線駆動回路部503及びデータ線駆動回路部504は、例えば、あらかじめ素子基板501の表面に低温ポリシリコンの半導体層を形成して構成する。
なお、図17においては、走査線駆動回路部503などをわかりやすく示すために、表示領域506に対して周囲の領域を大きく示している。
【0124】
図18は、有機EL表示装置の有機EL素子を含む要部の断面図である。素子基板501は、ガラス基板510と、複数のスイッチング素子512と、絶縁層511と、複数の画素電極514と、バンク515と、を有する。複数のスイッチング素子512は、ガラス基板510の一方の表面上に形成されている。絶縁層511は、スイッチング素子512を覆うように形成されている。複数の画素電極514はそれぞれ絶縁層511上に形成されており、導通層514aを介してスイッチング素子512の3つの電極端子のうちの1つに電気的に接続されている。バンク515は、複数の画素電極514の間に、画素電極514が臨む空間をそれぞれの画素電極514ごとに区画するように形成されている。
【0125】
さらに、バンク515によって区画された領域(以降、「画素領域521」と表記する。)の画素電極514上に形成された正孔輸送層516と、正孔輸送層516上に積層して形成された発光層517と、発光層517及びバンク515を覆うように設けられた対向電極518と、を有する。有機EL表示装置500は、素子基板501の対向電極518に対向して封止基板509が配置され、対向電極518と封止基板509との間に不活性ガス520が封入されている。画素電極514と、バンク515によって区画された領域の当該画素電極514上に形成された正孔輸送層516と、発光層517と、対向電極518とが、有機EL素子507に該当する。
【0126】
画素領域521に、赤色、緑色、青色の光をそれぞれ発光する発光層517である、赤色発光層517R(赤色系)、緑色発光層517G(緑色系)、青色発光層517B(青色系)を形成することで、赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bを形成する。赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bを各1個ずつ含む有機EL素子507の組で、画像を構成する最小単位である絵素を形成している。1絵素内の赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bのいずれか一つ又はそれらを組み合わせて選択的に発光させることにより、フルカラー表示を行う。
【0127】
<有機EL素子の形成>
次に、有機EL表示装置500の素子基板501における有機EL素子507を構成する正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518を形成する工程について、図19及び図20を参照して説明する。図19は素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示すフローチャートであり、図20(a)〜(e)は素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示す模式断面図である。
【0128】
図19のステップS41では、図20(a)に示すように、スイッチング素子512と、絶縁層511と、導通層514aと、画素電極514とが形成されたガラス基板510の表面に、バンク515を形成して隔壁部を形成する。バンク515は、例えば、ガラス基板510の表面にバンク515の材料を含む液状材料を塗布し、乾燥させてバンク膜を形成し、フォトエッチングなどで画素領域521などの部分を取り除くことで、形成する。次に、ステップS42では、バンク515が形成されたガラス基板510を洗浄する。
【0129】
次に、ステップS43では、バンク515が形成され洗浄されたガラス基板510を、正孔輸送層516の材料を含む機能液560を充填し易くするように、表面処理する。バンク515に囲まれた画素領域521の底部と、バンク515の側面とが、機能液560に対して親液性となるように処理し、バンク515の頂部は機能液560に対して撥液性となるように処理する。この処理によって、画素領域521に充填されるべく配置された機能液560が画素領域521に馴染み易くなると共に、画素領域521から溢れ出し難くなる。
【0130】
次に、ステップS44では、正孔輸送層材料液を塗布する。図20(b)に示すように、バンク515によって形成された複数の画素領域521のそれぞれに正孔輸送層516の材料を含む機能液560を液滴吐出ヘッド17から液滴560aとして吐出し、画素領域521に機能液560を充填する。
【0131】
次に、ステップS45では、機能液560を乾燥させることによって、正孔輸送層516を形成する。機能液560が乾燥して、図20(c)に示すように、正孔輸送層516が形成される。
この工程は、乾燥状態を制御して、より均一な正孔輸送層516を形成するために、減圧環境下で実施してもよい。画素領域521に機能液560を充填したガラス基板510を減圧環境に投入し、機能液560を乾燥させて、正孔輸送層516を形成する。なお、機能液560は、厳密には、液滴吐出ヘッド17から液滴560aとして吐出された瞬間から乾燥を開始するが、機能液560の溶媒の沸点などを調節することで、常圧ではほとんど乾燥せず、減圧された状態で乾燥するようにすることができる。減圧環境での乾燥工程で殆ど全ての乾燥が行われるようにするためには、機能液560は乾燥進行が遅い高沸点溶媒の比率を高くすることが好ましい。
【0132】
次に、ステップS46では、発光層材料液を塗布する。図20(c)に示すように、正孔輸送層516が形成された複数の画素領域521のそれぞれに、発光層517の材料を含む機能液570を液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、画素領域521に機能液570を充填する。
上述したように、有機EL表示装置500は、赤色発光層517R(赤色系)、緑色発光層517G(緑色系)、及び青色発光層517B(青色系)の3色の発光層517を備え、当該3色の発光層によるカラー表示を行う。
赤色発光層517R、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bの材料を含む機能液570を、それぞれ赤色機能液570R、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bと表記する。赤色機能液570R、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bが充填された液滴吐出ヘッド17を、それぞれ赤色吐出ヘッド17R、緑色吐出ヘッド17G、又は青色吐出ヘッド17Bと表記する。
【0133】
図20(c)に示すように、赤色発光層517Rが形成される画素領域521に向けて、赤色吐出ヘッド17Rから、赤色機能液570Rが、液滴570Raとして吐出される。同様に、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bが形成される各画素領域521に向けて、緑色吐出ヘッド17G、又は青色吐出ヘッド17Bから、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bが、液滴570Ga、又は液滴570Baとして吐出される。
【0134】
なお、機能液560が画素領域521に馴染み易くなると共に画素領域521から溢れ出し難くなるようにステップS43で実行した表面処理が、機能液570については有効でない場合には、ステップS46を実行する前に、ステップS43で実行した処理と同様の表面処理を実行する。勿論、この場合に実行する処理は、機能液570が画素領域521に馴染み易くなると共に画素領域521から溢れ出し難くなるようにする表面処理である。
【0135】
次に、ステップS47では、赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bを乾燥させることによって、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bを形成する。赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bが乾燥して、図20(d)に示すように、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bが形成される。
この工程も、上述した機能液560の乾燥工程と同様に、乾燥状態を制御して、より均一な赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bを形成するために、減圧環境下で実施してもよい。減圧環境下での乾燥を実施する場合、減圧環境での乾燥工程で殆ど全ての乾燥が行われるようにするためには、赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bは、乾燥進行が遅い高沸点溶媒の比率を高くすることが好ましい。
【0136】
次に、ステップS48では、対向電極材料液を塗布する。対向電極材料液は、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bが形成されたガラス基板510の、赤色発光層517R、緑色発光層517G、青色発光層517B、及びバンク515の全体を覆うように、塗布する。対向電極材料液の塗布にも、液滴吐出装置1を用いることができる。
【0137】
次に、ステップS49では、対向電極材料液を乾燥させることによって、対向電極518を形成する。なお、対向電極518は、真空蒸着によって形成してもよい。真空蒸着によって対向電極518を形成する場合は、乾燥工程は必要としない。
図20(e)に示すように、対向電極518を形成して、正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518を形成する工程を終了する。
さらに、正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518の形成工程を実行して形成した素子基板501に、封止基板509を取り付け、上述した中継基板508などを実装して、有機EL表示装置500を形成する。
【0138】
複数のガラス基板510や封止基板509からなるマザー基板に、複数の素子基板501や封止基板509を形成する場合には、複数の有機EL表示装置500が形成されたマザー基板を個別の有機EL表示装置500に分割する。あるいは、マザー対向基板やマザー封止基板を、素子基板501や封止基板509に分割する工程を実施した後にステップS49を実施する。
【0139】
<マザー対向基板におけるCF層の配置>
次に、複数の素子基板501を区画形成するマザー素子基板501Aにおける表示領域506の配置について、図21を参照して説明する。図21は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー素子基板における表示領域を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図21(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー素子基板と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図21(b)は、適切な吐出条件が互いに異なる表示領域が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上の表示領域を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図21に示したX軸方向及びY軸方向は、第一の実施形態の図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0140】
図21(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー素子基板501Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー素子基板501Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー素子基板501Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液560又は機能液570を吐出することで、マザー素子基板501A上の所定の位置に機能液560又は機能液570を配置する。
【0141】
マザー素子基板501Aには、複数の表示領域506(素子基板501)が形成される。ここで、図17(a)に示した有機EL表示装置500の横方向(図17(a)で水平方向)が、主走査方向(図21(a)で矢印aの方向)となるような、マザー素子基板501Aにおける表示領域506(素子基板501)の配置方向を、横配置と表記し、横配置と略90度回転した配置方向を、縦配置と表記する。マザー素子基板501Aを形成するための板状材料に、無駄な部分が少なくなるように素子基板501を形成する部分を配置するために、複数の表示領域506(素子基板501)は、マザー素子基板501Aに横配置で形成されるものと、縦配置で形成されるものがある。
【0142】
図17(b)を参照して説明したように、有機EL素子507は、図17(b)における上下方向と左右方向とで、素子間の間隔が異なっている。このため、横配置の表示領域506と縦配置の表示領域506とで、画素領域521に正孔輸送層材料液である機能液560や発光層材料液である機能液570を配置するための適切な描画分解能が異なっている。即ち、機能液560や機能液570を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。
以降、横配置の表示領域506を、表示領域506Hと表記し、縦配置の表示領域506を、表示領域506Vと表記する。マザー素子基板501Aが、基材又はマザーパネルに相当する。表示領域506H又は表示領域506Vを形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。なお、図21においては図をわかりやすくするために表示領域506Hや表示領域506Vを形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー素子基板501Aを形成するための板状材料を効率良く使用するためには、当該間隔は素子基板501を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0143】
図21(b)に示したように、表示領域506Hと表示領域506Vとは、副走査方向において、距離D2を隔てて形成される。距離D2は、図21(b)に二点鎖線で示した液滴吐出ヘッド17のノズル群長Lより大きく設定されている。
図21(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17fが表示領域506Hを形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にあり、液滴吐出ヘッド17eが表示領域506Vを形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。表示領域506Hの境界と表示領域506Vの境界とは、ノズル群長Lより大きい距離D2を隔てているため、液滴吐出ヘッド17fが表示領域506Vを形成する領域に、又は液滴吐出ヘッド17eが表示領域506Hを形成する領域に対向することはない。液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eのそれぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17fには、表示領域506Hにおいて適切な吐出タイミングで吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17eには、表示領域506Vにおいて適切な吐出タイミングで吐出を実施させることができる。
【0144】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態によって得られる効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(1)マザー素子基板501Aにおいて、表示領域506Hの境界と表示領域506Vの境界とは、ノズル群長Lより大きい距離D2を隔てている。このため、単一の液滴吐出ヘッド17が表示領域506H及び表示領域506Vの両方に同時に対向する位置に位置することがない。マザー素子基板501Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17には、表示領域506H又は表示領域506Vに液滴を配置するための適切なラッチ信号をそれぞれ印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能が単一でない液滴吐出ヘッド17が存在して、当該液滴吐出ヘッド17がそれぞれの吐出分解能での吐出を別々の主走査において実施する場合に比べて、有機EL表示装置500の素子基板501を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0146】
(変形例1)前記実施形態においては、マザー対向基板401Aにおいて、CF層408のCF層208とは反対側の境界を基準にして、当該境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっていた。しかし、基準とする境界は、CF層408の境界に限らない。CF層408とは最も離れた位置のCF層208のCF層408とは反対側の境界を基準にして、当該境界から、CF層408のCF層208側の境界までの距離が、ノズル群長Lの整数倍の長さより大きくなる位置にCF層408及びCF層208を配置するマザー基板であってもよい。
【0147】
(変形例2)前記実施形態においては、電気光学装置の一例である液晶表示パネル200のフィルタ膜205を形成する際の描画吐出、及び有機EL表示装置500の正孔輸送層516及び発光層517を形成する際の描画吐出について説明したが、形成する膜は、フィルタ膜や正孔輸送層や及び発光層に限らない。形成する膜は、液晶表示装置の画素電極膜や配向膜や対向電極膜や、カラーフィルタなどを保護するためなどに設けるオーバーコート膜などであってもよい。有機EL表示装置の正極電極膜や陰極電極膜、フォトエッチングなどによってパターンを形成するための膜や、フォトエッチングなどのフォトレジスト膜などであってもよい。
形成する膜を有する装置、又は形成過程において膜を形成する必要がある装置も、液晶表示装置や有機EL表示装置に限らない。上記したような膜を有する装置、又は形成過程において上記したような膜を形成する必要がある装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0148】
(変形例3)前記実施形態においては、液晶表示パネル200が備えるCF層208は、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bの3色のフィルタ膜を有する3色フィルタであったが、カラーフィルタは、さらに多くの種類のフィルタ膜を有する多色のカラーフィルタであってもよい。多色のカラーフィルタとしては、例えば、赤色、緑色、青色に加えて赤色、緑色、青色の補色のシアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の有機EL素子を有する6色カラーフィルタや、シアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の3色に緑色を加えた4色カラーフィルタなどがあげられる。
【0149】
(変形例4)前記実施形態においては、有機EL表示装置500は、3色の有機EL素子を備えることでカラー表示をする有機EL表示装置であったが、有機EL表示装置は、カラーフィルタを備えて、当該カラーフィルタによってカラー表示をする有機EL表示装置であってもよい。カラーフィルタ備える有機EL表示装置においては、液滴吐出装置を用いて、有機EL素子やカラーフィルタを形成することができる。
【0150】
(変形例5)前記実施形態においては、有機EL素子507は、封止基板側から光を射出するトップエミッション型の有機EL素子であったが、有機EL素子はトップエミッション型に限らない。基板側から光を射出するボトムエミッション型の有機EL素子であってもよい。ボトムエミッション型の有機EL素子においては、少なくとも基板側の電極を透明な材料で形成する。
【0151】
(変形例6)前記実施形態においては、有機EL素子507は、発光層として、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bの三色の発光層を備えていたが、有機EL素子が、当該三色の発光層を備えることは必須ではない。有機EL素子が備える発光層は、他の色の光を発光する発光層であってもよい。
【0152】
(変形例7)前記実施形態においては、有機EL素子507は、赤色発光層517R、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bを一層備えていたが、ひとつの有機EL素子が、備える発光層が1層であることは必須ではない。例えば、単独の有機EL素子が、発光層として、赤色発光層、青色発光層、及び緑色発光層の三色の発光層を各一層ずつ備える構成であってもよい。
【0153】
(変形例8)前記実施形態においては、有機EL表示装置500が備える有機EL素子507は、赤色素子507R、緑色素子507G、及び青色素子507Bの3種類であったが、有機EL表示装置が備える有機EL素子の種類は3種類に限らない。有機EL表示装置は、さらに多くの種類の有機EL素子を備える多色の有機EL表示装置であってもよい。多色の有機EL表示装置としては、例えば、赤色、緑色、青色に加えて赤色、緑色、青色の補色のシアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の有機EL素子を有する6色有機EL表示装置や、シアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の3色に緑色を加えた4色有機EL表示装置などがあげられる。
【0154】
(変形例9)前記実施形態においては、有機EL素子507は、画素電極514と対向電極518の間に、正孔輸送層516と発光層517が形成されていたが、有機EL素子がこのような構成であることは必須ではない。有機EL素子は、発光層のみが画素電極と対向電極とに挟まれた構成のものや、正孔輸送層と発光層と電子輸送層とが挟まれた構成のものや、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層とが挟まれた構成のものや、正孔輸送層と発光層と電子輸送層と正孔注入層と電子注入層とが挟まれた構成のものなどが知られている。有機EL素子は、これらの構成など、いずれの構成を有する有機EL素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第一の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示す側面図。
【図3】液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図。
【図4】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図5】三色カラーフィルタを形成する場合の、ヘッドユニットにおける各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッドの配置例を示す模式図。
【図6】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図7】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図8】(a)対向基板の平面構造を模式的に示す図。(b)マザー対向基板の平面構造を模式的に示す図。
【図9】3色カラーフィルタのフィルタ膜の配列例を示す模式平面図。
【図10】フィルタ膜領域の形状と吐出分解能との関係を示す説明図。
【図11】液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャート。
【図12】液晶表示パネルを形成する過程におけるフィルタ膜を形成する工程などを示す断面図。
【図13】液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程などを示す断面図。
【図14】(a)ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【図15】(a)ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【図16】吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図。
【図17】(a)第二の実施形態における有機EL表示装置の全体を示す概略正面図。(b)カラー素子の配列例を示す部分拡大図。
【図18】有機EL表示装置の有機EL素子を含む要部の断面図。
【図19】素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示すフローチャート。
【図20】素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示す模式断面図。
【図21】(a)ワーク載置台にセットされたマザー素子基板と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なる表示領域が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【符号の説明】
【0156】
1…液滴吐出装置、2…吐出ユニット、6…吐出装置制御部、17…液滴吐出ヘッド、78…吐出ノズル、78b…ノズル列、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、205…フィルタ膜、208,408…CF層、210…素子基板、211…ガラス基板、220…対向基板、225,225B,225G,225R…フィルタ膜領域、252…機能液、262,272…ラッチ信号、263,263B,263G,263R,273,273B,273G,273K,273R…着弾点、301,321…対向基板、301A…マザー対向基板、308,328…CF層、325,335…フィルタ膜領域、401…ガラス基板、401A…マザー対向基板、405…フィルタ膜、405B…青色フィルタ膜、405G…緑色フィルタ膜、405R…赤色フィルタ膜、420…対向基板、425,425B,425G,425R…フィルタ膜領域、500…有機EL表示装置、501…素子基板、501A…マザー素子基板、506,506H,506V…表示領域、507…有機EL素子、510…ガラス基板、516…正孔輸送層、517…発光層、517B…青色発光層、517G…緑色発光層、517R…赤色発光層、560,570…機能液。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出する吐出ノズルを有する液滴吐出装置を用いて液状体を配置する対象である基材、当該基材における被吐出領域配置方法、液滴吐出装置を用いて液状体を配置することで複数のパネルを形成する対象であるマザーパネル、及び当該マザーパネルにおけるパネル領域配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備え、液状体を吐出して描画対象物上の任意の位置に塗布することによって、描画対象物の任意の位置に液状体を配置する液滴吐出装置が知られている。中でも、液状体を液滴として吐出する液滴吐出装置を用いることによって、吐出した液滴を描画対象物上の任意の位置に着弾させて、カラー液晶装置のカラーフィルタ膜などのような機能膜の材料を含む液状体を、任意の位置に任意の量だけ、精度良く塗布することが可能である。塗布された液状体を乾燥させることによって、任意の厚さ及び形状の機能膜を形成することができる。
【0003】
大面積に効率良く液状体を配置するために、多数の吐出ノズルを副走査方向に並べ、副走査方向と交差する主走査方向において、吐出ノズルと描画対象物を相対移動させながら吐出ノズルから液状体を吐出する。多数の吐出ノズルを有する吐出ヘッドとしては、特許文献1に記載されているように、多数の吐出ヘッドを副走査方向に連ねたものが知られている。
【0004】
液滴の着弾位置間の距離の最小値(以降、「描画分解能」と表記する。)が小さいほど細密な描画が可能となる。
特許文献1に記載されているインクジェットラインヘッドは、吐出ヘッドを主走査方向に並べて配置することで、副走査方向の吐出ノズルの密度を高くしている。即ち、副走査方向の吐出ノズルの間隔を小さくして、吐出される液状体の間隔を小さくすることによって、副走査方向の描画分解能が高いラインヘッドを実現している。
主走査方向の描画分解能は、主走査方向の吐出ノズルと描画対象物との相対移動速度と、液状体を吐出する吐出周波数と、で定まる吐出間隔(以降、「吐出分解能」と表記する。)によって定まる。特許文献2には、吐出分解能を調節することによって、描画対象物の被描画領域に対して適切な描画分解能を実現できる液滴吐出方法が開示されている。特許文献2に開示された液滴吐出方法では、吐出ヘッドが有する吐出ノズルの吐出分解能を一括して調整することによって、各吐出ノズルごとに個別に調整する方法に比べて、吐出ヘッドの吐出分解能を制御する制御装置の負荷が軽減されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−166574号公報
【特許文献2】特開2006−130469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、描画対象物のそれぞれの被描画領域における適切な描画分解能が必ずしも一様ではない描画対象物が存在する。例えば、マザー基板に複数の基板を形成する場合であって、マザー基板を効率良く利用するために、異なる基板を同一のマザー基板に形成する場合である。そのような描画対象物においては、被描画領域の適切な描画分解能に合せて、被描画領域ごとに吐出分解能を変更する必要がある。
副走査方向においては、吐出ヘッドごとに、主走査方向の吐出分解能を個別に設定することが可能である。しかし、副走査方向における、吐出ヘッドの境界と、適切な描画分解能が互いに異なる被描画領域の境界とは、必ずしも合致しないため、同一の吐出分解能で吐出する吐出ノズルを有する一つの吐出ヘッドが、適切な描画分解能が互いに異なる被描画領域の境界を跨いで、両方の被描画領域の部分に対向する場合がある。このような場合、吐出ヘッドが有する吐出ノズルの吐出分解能は同一であるため、両方の被吐出領域に並行して、それぞれの被吐出領域に描画するために適切な描画分解能を実現できる吐出分解能で液状体を吐出することはできないという課題があった。境界を挟んだ被吐出領域の部分のそれぞれに向けて、それぞれの被吐出領域に対応した吐出分解能で、個別に吐出を実施すると、吐出作業に要する時間が増大するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる基材は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置される基材であって、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備え、前記主走査方向の相対移動において、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域が配置されていることを特徴とする。
【0009】
この基材によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域の部分と、第二の被吐出領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこの基材に向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる基材において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0011】
この基材によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる基材において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0013】
この基材によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる基材において、前記複数のノズル群における前記ノズル群の前記副走査方向の長さが一定であって、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向における前記第二の被吐出領域と反対側において前記主走査方向に延在する前記第一の被吐出領域の端から、前記第二の被吐出領域の前記第一の被吐出領域側の端までの距離が、前記ノズル群の前記副走査方向の長さの整数倍の長さであって、前記第一の被吐出領域の前記副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さより離れている位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
この基材によれば、基材に対して、第一の被吐出領域における第二の被吐出領域側の境界を含む領域に向けて液状体を配置するノズル群の第二の被吐出領域側の端は、第一の被吐出領域の副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さの位置に位置する。従って、当該ノズル群が、第二の被吐出領域の第一の被吐出領域側の境界に対向することが実質的にないようにすることができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる基材において、前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
この基材によれば、当該基材において、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、副走査方向に延在するノズル群は、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とに同時に対向することはないことから、単一のノズル群がタイミング信号の適切な周期が互いに異なる領域に同時に対向することがない基材を実現することができる。
【0018】
[適用例6]本適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、任意の位置に前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備える基材の被吐出領域配置方法であって、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域を配置することを特徴とする。
【0019】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域の部分と、第二の被吐出領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこの基材に向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0021】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0023】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一の被吐出領域と第二の被吐出領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる基材の被吐出領域配置方法において、前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置することが好ましい。
【0025】
この基材の被吐出領域配置方法によれば、当該基材において、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、副走査方向に延在するノズル群は、第一の被吐出領域と第二の被吐出領域とに同時に対向することはないことから、単一のノズル群がタイミング信号の適切な周期が互いに異なる領域に同時に対向することがない基材を実現することができる。
【0026】
[適用例10]本適用例にかかるマザーパネルは、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、前記液状体を配置されるマザーパネルであって、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備え、同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域が配置されていることを特徴とする。
【0027】
このマザーパネルによれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域の部分と、第二のパネル領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこのマザーパネルに向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のイミング信号のそれぞれに基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかるマザーパネルにおいて、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0029】
このマザーパネルによれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0030】
[適用例12]上記適用例にかかるマザーパネルにおいて、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記マザーパネルに向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることが好ましい。
【0031】
このマザーパネルによれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間が、副走査方向において複数の有効ノズルが配置されている長さより離れている。これにより、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域の境界に臨む位置にあるノズル群の有効ノズルは、その中の少なくとも一つが第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【0032】
[適用例13]本適用例にかかるマザーパネルのパネル領域配置方法は、それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備えるマザーパネルのパネル領域配置方法であって、同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域を配置することを特徴とする。
【0033】
この基材のマザーパネルのパネル領域配置方法によれば、液状体を配置するための吐出ノズルにおけるタイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域の部分と、第二のパネル領域の部分との両方に、単一のノズル群が同時に対向することがない。このため、液状体を配置するためにこのマザーパネルに向けて液状体を吐出する際に、異なる2種類の周期のタイミング信号のそれぞれに基づいて吐出をする必要のあるノズル群は存在しない。これにより、異なる2種類の周期のタイミング信号に基づいて吐出をする必要のあるノズル群が、異なる周期のタイミング信号に基づいて吐出を実施する走査を、それぞれの周期ごとに実施する場合に比べて、吐出作業に要する時間を抑制することができる。
【0034】
[適用例14]上記適用例にかかるマザーパネルのパネル領域配置方法において、前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することが好ましい。
【0035】
このマザーパネルのパネル領域配置方法によれば、タイミング信号の適切な周期が互いに異なる第一のパネル領域と第二のパネル領域との間がノズル群の副走査方向の長さより離れている。これにより、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の境界に臨む位置にあるノズル群は、第一のパネル領域又は第二のパネル領域の一方の部分に対向した状態では他方に対向することがないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法の一実施形態について図面を参照して、説明する。実施形態は、液滴吐出装置の一例であるインクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、電気光学装置を構成する機能膜などを製造する工程を例に説明する。
【0037】
(第一の実施形態)
本実施形態は、液滴吐出装置を用いて、電気光学装置の一例である液晶装置の、機能膜の一例であるカラーフィルタを製造する工程を例に説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備えている。液滴吐出装置は、当該液滴吐出ヘッドに樹脂材料を含む機能液を導入して、描画対象物上に当該機能液を配置することで、液晶装置のカラーフィルタのフィルタ膜などを形成するものである。
【0038】
<液滴吐出法>
最初に、フィルタ膜などの機能膜の形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0039】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成などに影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、材料の組成などに影響を与えないため液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の大きさを容易に調整することができるため液滴の制御性が良いことから、上記ピエゾ方式を用いる。
【0040】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。図2は、液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。
【0041】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド17(図3参照)を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60(図6参照)と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6(図6参照)とを備えている。
【0042】
吐出ユニット2は、液状体である機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17を120個備えており、当該液滴吐出ヘッド17をY軸方向に移動させると共に移動した位置に保持するためのY軸テーブル12を備えている。ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台21を有している。給液ユニット60は、機能液を貯留する貯留タンク(図示省略)を有し、液滴吐出ヘッド17への機能液の供給を行う。検査ユニット4は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット19を有しており、重量測定ユニット19にはフラッシングユニット14が併設されている。メンテナンスユニット5は、液滴吐出ヘッド17の保守を行う吸引ユニット15及びワイピングユニット16を有している。吐出装置制御部6は、これら各ユニットなどを総括的に制御する。重量測定ユニット19、吐出ユニット2、吐出検査ユニット18、又はメンテナンスユニット5などを用いて実施される重量測定処理、描画処理、吐出検査処理、及びメンテナンス処理などは、吐出装置制御部6が各ユニットなどを制御して実施される。
【0043】
液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース1Aを備え、各ユニットなどが、X軸支持ベース1Aの上に配設されている。X軸テーブル11は、主走査方向となるX軸方向に延在して、X軸支持ベース1Aの上に配設されており、ワーク載置台21をX軸方向(主走査方向)に移動させる。
【0044】
吐出ユニット2のY軸テーブル12は、複数本の支柱7Aを介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース7,7の上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在している。吐出ユニット2は、それぞれ12個の液滴吐出ヘッド17を有するキャリッジユニット51を、10個備えている。10個のキャリッジユニット51は、10個のブリッジプレート52のそれぞれに吊設されている。ブリッジプレート52は、Y軸スライダ(図示省略)を介して、Y軸テーブル12に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。Y軸テーブル12は、ブリッジプレート52(キャリッジユニット51)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。
X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の描画パターンを描画する。
【0045】
吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162(図2参照)とを有している。検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、同じくX軸第2スライダ23に固定された重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられたブロックを、吐出検査ブロック4aと表記する。撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163(図2参照)と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164(図2参照)と、を有している。カメラ移動機構164は、Y軸支持ベース7に固定されている。2個の検査カメラ163は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0046】
メンテナンスユニット5が備える吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台8の上に配設されている。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、液滴吐出ヘッド17を吸引して、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78(図3参照)から機能液を強制的に排出させる。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76a(図3参照)を拭き取る(ワイピングを行う)ものである。このようにして、吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17の機能維持又は機能回復を図るための保守作業を実施する。
【0047】
図1、又は図2に示すように、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26,26と、一対のX軸共通支持ベース24,24と、を備えている。
【0048】
X軸第1スライダ22には、ワーク載置台21が取り付けられている。X軸第1スライダ22は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸第2スライダ23には、検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられた吐出検査ブロック4aが取り付けられている。X軸第2スライダ23は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸リニアモータ26は、X軸共通支持ベース24に並設されており、X軸第1スライダ22又はX軸第2スライダ23をX軸共通支持ベース24に沿って移動させることによって、ワーク載置台21(ワーク載置台21に載置されたワークW)又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動させる。X軸第1スライダ22とX軸第2スライダ23とは、X軸リニアモータ26により個別に駆動可能である。X軸方向が主走査方向に相当し、Y軸方向が副走査方向に相当する。
【0049】
ワーク載置台21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32などを有している。図1及び図2におけるワーク載置台21の位置が、ワークWの給除材を行うための給除材位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させる。当該給除材位置において、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行われる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向及びY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。吸着テーブル31に給材された未処理のワークWのアライメントは、θテーブル32を用いて、給除材位置において実施される。ワーク載置台21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121,121が添設されている。
【0050】
画像認識ユニット80は、2台のアライメントカメラ81と、カメラ移動機構82と、を有している。カメラ移動機構82は、X軸支持ベース1Aの上に、Y軸方向に延在して、X軸テーブル11を跨ぐように配設されている。アライメントカメラ81は、カメラホルダ(図示省略)を介して、カメラ移動機構82に、Y軸方向にスライド自在に支持されている。カメラ移動機構82に支持されたアライメントカメラ81は、X軸テーブル11に上側から臨み、X軸テーブル11の上のワーク載置台21に載置されたワークWの各基準マーク(アライメントマーク)(図示省略)を画像認識することができる。2台のアライメントカメラ81は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0051】
各アライメントカメラ81は、ワーク載置台21のX軸方向への移動と協働して、カメラ移動機構82によりY軸方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を実施する。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が実施される。
【0052】
Y軸テーブル12は、10組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース7,7の上にそれぞれ設置されて、Y軸方向に延在している。20個(10組)のY軸スライダは、一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに各10個ずつ摺動自在に支持されている。一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに支持された各1個のY軸スライダからなる1組のY軸スライダは、吐出ユニット2を構成するキャリッジユニット51が固定されたブリッジプレート52を両持ちで支持している。吐出ユニット2を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52は、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダを介して、一対のY軸支持ベース7,7の上に設置されている。
【0053】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース7,7を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向に移動し、ブリッジプレート52に吊設されたキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0054】
キャリッジユニット51は、12個の液滴吐出ヘッド17と、12個の液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、を有するヘッドユニット54(図4参照)を備えている。また、キャリッジユニット51は、ヘッドユニット54をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット54をブリッジプレート52に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0055】
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、液滴吐出ヘッド17について、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図である。
【0056】
図3に示すように、この液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72,72を有する液体導入部71と、液体導入部71に連なる方形のヘッド本体74と、液体導入部71とヘッド本体74との間から側方に突出するヘッド基板73と、を備えている。ヘッド本体74は、液体導入部71に連なるポンプ部75と、ポンプ部75に連なるノズル形成プレート76と、を有している。ノズル形成プレート76には、ノズル形成面76aに開口する吐出ノズル78が形成されている。液滴吐出ヘッド17においては、一列あたり181個の吐出ノズル78からなるノズル列78bが2列形成されている。ポンプ部75には、ピエゾ圧電素子が設けられており、当該ピエゾ圧電素子を駆動することによって、液体導入部71から供給されてきた機能液を吐出ノズル78から吐出する。1個の吐出ノズル78に対応して1個のピエゾ圧電素子が設けられており、それぞれの吐出ノズル78ごとに独立して機能液を吐出することができる。ヘッド基板73には、一対のコネクタ77,77が設けられている。このコネクタ77が、FFCケーブルなどによって、吐出装置制御部6と接続されている中継基板と接続されることで、液滴吐出ヘッド17が吐出装置制御部6と接続される。
【0057】
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、ノズル列78bはY軸方向に延在する。2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている。1ノズルピッチは、例えば140μmである。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。吐出ノズル78のノズルピッチが141μmの場合、2列のノズル列78bの液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴のY軸方向における着弾位置の中心間距離は、設計上では、70.5μmである。
吐出ノズル78から液滴を吐出するタイミングは、ラッチ信号で規定される。1列のノズル列78bを構成する吐出ノズル78には同じラッチ信号が印加され、同じタイミングで液滴を吐出する。1台の液滴吐出ヘッド17が有する2列のノズル列78bのそれぞれには、2列のノズル列78b間のX軸方向の距離と、液滴吐出ヘッド17と描画対象物とのX軸方向の相対移動速度とから算出できる時間差をつけてラッチ信号を印加する。これにより、2列のノズル列78bの液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴を、Y軸方向に延在する一直線状に着弾させることができる。1台の液滴吐出ヘッド17が有する吐出ノズル78がノズル群に相当する。
図3にLで示した、1台の液滴吐出ヘッド17が有する吐出ノズル78において、Y軸方向において両端に位置する吐出ノズル78のY軸方向の中心間距離をノズル群長Lと表記する。液滴吐出ヘッド17が、180個の吐出ノズル78が141μmのノズルピッチで並ぶノズル列78bを2列備え、2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている場合、ノズル群長Lは、25309.5μmになる。
【0058】
<ヘッドユニット>
次に、吐出ユニット2のヘッドユニット54の概略構成について、図4を参照して説明する。図4は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図4に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット54が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0059】
図4に示すように、ヘッドユニット54は、サブキャリッジ53と、サブキャリッジ53に搭載された12個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、サブキャリッジ53に固定されており、ヘッド本体74がサブキャリッジ53に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、サブキャリッジ53の面より突出している。図4は、ノズル形成面76a側から見た図である。12個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ6個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド組55を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0060】
一つのヘッド組55が有する6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド組55が有する6個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル78のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル78は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。即ち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。この直線をノズル群線と表記する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組55を構成している。
【0061】
ヘッドユニット54が有する二つのヘッド組55は、Y軸方向に一つのヘッド組55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されている。即ち、一つのヘッドユニット54の吐出ノズル78から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、ノズル群線一本の長さ分の間隔を隔てて、2本のノズル群線が形成される。ヘッドユニット54を、Y軸方向に、一つのヘッド組55のY軸方向の長さに相当する距離だけ移動させて、同様に2本のノズル群線を形成することで、ノズル群線が4本連なった直線が形成される。当該直線は、設計上では、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78の数の48倍の数の点が、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78のノズルピッチの半分の間隔で、連なっている。1ノズル列あたり180個の吐出ノズル78が、141μmのノズルピッチで形成されている液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット54の場合は、8640個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0062】
隣り合うヘッドユニット54も、それぞれのヘッド組55が、互いにY軸方向に一つのヘッド組55分の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。従って、ノズル群線の長さ相当のY軸方向の移動を挟んで、それぞれ、吐出ユニット2が有する各吐出ノズル78に一滴ずつ機能液を吐出させることで、Y軸方向に延在する一直線を形成することができる。この、吐出ユニット2が有する全120個の液滴吐出ヘッド17が各二回の吐出で描画できるラインの長さは、ワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。各点に着弾した液滴が、実質的なノズルピッチ(70.5μm)より大きく濡れ広がることによって、帯状に連なる液の膜が形成される。
【0063】
なお、ノズル列78bの端の方における吐出ノズル78のいくつかを使用しない場合には、使用しない吐出ノズル78が、使用する吐出ノズル78と、Y軸方向において重なるように、液滴吐出ヘッド17を配置する。この場合の使用する吐出ノズル78が、有効ノズルに相当する。使用しない吐出ノズル78が設定されている液滴吐出ヘッド17においては、使用する吐出ノズル78の中で、Y軸方向において両端に位置する吐出ノズル78のY軸方向の中心間距離がノズル群長Lに相当する。
【0064】
次に、複数の種類の機能液を並行して扱う場合の、ヘッドユニット54における、各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッド17の配置例について、図5を参照して説明する。図5は、三色カラーフィルタを形成する場合の、ヘッドユニットにおける各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッドの配置例を示す模式図である。
【0065】
図5に示すように、ヘッドユニット54における一方のヘッド組55の液滴吐出ヘッド17を、一方の端から順番に、液滴吐出ヘッド17a,17b,17c,17d,17e,17fと表記する。ヘッドユニット54におけるもう一方のヘッド組55の液滴吐出ヘッド17を、液滴吐出ヘッド17a,17b,17c,17d,17e,17fと同じ順番に、液滴吐出ヘッド17g,17h,17j,17k,17m,17nと表記する。
三色カラーフィルタのフィルタ膜205(図7又は図9参照)の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、青色フィルタ膜205B、を形成するための機能液252を赤色機能液252R、緑色機能液252G、青色機能液252Bと表記する(図12参照)。赤色機能液252R、緑色機能液252G、又は青色機能液252Bが供給される液滴吐出ヘッド17を、それぞれ赤色吐出ヘッド17R、緑色吐出ヘッド17G、青色吐出ヘッド17Bと表記する。
本実施形態のヘッドユニット54においては、液滴吐出ヘッド17a,17d,17g,17kが、赤色吐出ヘッド17Rであり、液滴吐出ヘッド17b,17e,17h,17mが、緑色吐出ヘッド17Gであり、液滴吐出ヘッド17c,17f,17j,17nが、青色吐出ヘッド17Bである。
【0066】
2台の赤色吐出ヘッド17Rから赤色機能液252Rを吐出させるX軸方向の走査を、1台の液滴吐出ヘッド17分のY軸方向の移動を2回挟んで、3回実施することで、着弾した赤色機能液252Rの液滴から成るノズル群線を形成できる。略並行して、緑色吐出ヘッド17G及び青色吐出ヘッド17Bから緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出させて、緑色機能液252G又は青色機能液252Bの液滴から成るノズル群線を形成できる。当該ノズル群線を形成する吐出を、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を用いて2回実施することで、上述したワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応する長さの、赤色機能液252R、緑色機能液252G、又は青色機能液252Bの液滴から成るノズル群線をそれぞれ1本形成できる。
【0067】
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、図6に示した制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピュータ66と、液滴吐出装置1に入出力する情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インタフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニタ装置などである。
【0068】
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、インタフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバ2dと、駆動機構ドライバ40dと、給液ドライバ60dと、メンテナンスドライバ5dと、検査ドライバ4dと、検出部インタフェイス(I/F)43、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
【0069】
インタフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU44は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU44からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶したりしている。
【0070】
ヘッドドライバ2dには、吐出ユニット2を構成する液滴吐出ヘッド17が接続されている。ヘッドドライバ2dは、CPU44からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド17を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。
【0071】
駆動機構ドライバ40dには、Y軸テーブル12のヘッド移動モータと、X軸テーブル11のX軸リニアモータ26と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構41とが接続されている。各種駆動機構は、上記した、アライメントカメラ81を移動するためのカメラ移動モータや、θ回転機構61の駆動モータや、θテーブル32の駆動モータなどである。駆動機構ドライバ40dは、CPU44からの制御信号に従って上記モータなどを駆動して、液滴吐出ヘッド17とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド17とを対向させ、ヘッドドライバ2dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
【0072】
メンテナンスドライバ5dには、メンテナンスユニット5の吸引ユニット15と、ワイピングユニット16と、フラッシングユニット14とが接続されている。メンテナンスドライバ5dは、CPU44からの制御信号に従って、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、又はフラッシングユニット14を駆動して、液滴吐出ヘッド17の保守作業を実施させる。
【0073】
検査ドライバ4dには、検査ユニット4の吐出検査ユニット18と、重量測定ユニット19とが接続されている。検査ドライバ4dは、CPU44からの制御信号に従って、吐出検査ユニット18、又は重量測定ユニット19を駆動して、吐出重量や吐出の可否や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド17の吐出状態の検査を実施させる。
【0074】
給液ドライバ60dには、給液ユニット60が接続されている。給液ドライバ60dは、CPU44からの制御信号に従って給液ユニット60を駆動して、液滴吐出ヘッド17に機能液を供給する。検出部インタフェイス43には、各種センサを含む検出部42が接続されている。検出部42の各センサによって検出された検出情報が検出部インタフェイス43を介してCPU44に伝達される。
【0075】
<液晶表示パネルの構成>
次に、電気光学装置の一例である液晶装置としての液晶表示パネルについて説明する。
最初に、液晶表示パネル200の構成について、図7を参照して説明する。図7は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0076】
図7に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶230(図13(k)参照)とを備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220には、貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231と偏光板232とが、配設されている。
【0077】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、画素電極217や、走査線212及び信号線214が、絶縁層216上に形成されている。走査線212及び信号線214は、互いに絶縁された状態で交差するように形成されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214に信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0078】
素子基板210の液晶230と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0079】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルタ(以降、「CF」と表記する。)層208が形成されている。CF層208は、隔壁204と、赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bとを有している。ガラス基板201上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成され、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形のフィルタ膜領域225が形成されている。フィルタ膜領域225には、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bが形成されている。赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0080】
CF層208の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0081】
対向基板220の液晶230と接する面には、画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶230は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
【0082】
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0083】
<マザー対向基板>
次に、マザー対向基板201Aについて、図8を参照して説明する。対向基板220は、分割されてガラス基板201となるマザー対向基板201A上に上述したCF層208などを形成した後、マザー対向基板201Aを個別の対向基板220(ガラス基板201)に分割して形成される。図8(a)は対向基板の平面構造を模式的に示す図であり、図8(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す図である。
【0084】
対向基板220は、厚みおよそ1.0mmの透明な石英ガラスからなるガラス基板201を用いて形成されている。図8(a)に示すように、対向基板220は、ガラス基板201の周囲の僅かな額縁領域を除く部分に、CF層208が形成されている。CF層208は、方形状のガラス基板201の表面に複数のフィルタ膜領域225をドットパターン状、本実施形態ではドット・マトリクス状に形成し、当該フィルタ膜領域225にフィルタ膜205を形成することによって形成されている。ガラス基板201のCF層208が形成される領域にかからない位置には、図示省略したアライメントマークが形成されている。アライメントマークは、CF層208などを形成する諸工程を実行するためにガラス基板201を製造装置に取り付ける際などに位置決め用の基準マークとして用いられる。
【0085】
図8(b)に示すように、マザー対向基板201Aには対向基板220のCF層208と共に、対向基板420を構成するCF層408がガラス基板401となる部分に形成されている。対向基板420は、対向基板220と実質的に同じ構造をしており、液晶表示パネル200より表示部の面積が小さい液晶表示パネルを構成する対向基板である。マザー対向基板201A上にガラス基板201を適宜配置すると、面積的に活用できない部分が生ずる。そこで、ガラス基板201より小さいガラス基板401のCF層408を形成して、当該部分をガラス基板401として有効に利用することによって、マザー対向基板201Aを無駄なく利用している。マザー対向基板201Aが、基材又はマザーパネルに相当する。なお、図8においては図をわかりやすくするためにCF層208やCF層408を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板201Aを効率良く使用するためには、当該間隔は可能な限り小さくすることが好ましい。言い換えれば、サイズの異なるガラス基板を効率的に配置する配置方法を見出すことにより、マザー対向基板201Aそのもののサイズ設定が明確になり、マザー対向基板201Aを原材料から取り出す効率をも改善することが可能となる。
【0086】
<カラーフィルタ>
次に、対向基板220に形成されているCF層208及びCF層208におけるフィルタ膜205(赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205B)の配列について、図9を参照して説明する。図9は、3色カラーフィルタのフィルタ膜の配列例を示す模式平面図である。
【0087】
図9に示すように、フィルタ膜205は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁204によって区画されてドット・マトリクス状に並んだ複数の例えば方形状のフィルタ膜領域225を色材で埋めることによって形成される。例えば、フィルタ膜205を構成する色材を含む機能液をフィルタ膜領域225に充填し、当該機能液の溶媒を蒸発させて機能液を乾燥させることで、フィルタ膜領域225を埋める膜状のフィルタ膜205を形成する。
【0088】
3色カラーフィルタにおける赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bの配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。ストライプ配列は、図9(a)に示したように、マトリクスの縦列が全て同色の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bになる配列である。モザイク配列は、図9(b)に示したように、横方向の各行ごとにフィルタ膜205一つ分だけ色をずらした配列で、3色フィルタの場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つのフィルタ膜205が3色となる配列である。デルタ配列は、図9(c)に示したように、フィルタ膜205の配置を段違いにし、3色フィルタの場合、任意の隣接する3つのフィルタ膜205が異なる色となる配色である。
【0089】
図9(a),(b),(c)に示した3色フィルタにおいて、フィルタ膜205は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣り合って形成された赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを各1個ずつ含むフィルタ膜205の組で、画像を構成する最小単位である絵素のフィルタ(以降、「絵素フィルタ254」と表記する。)を形成している。一つの絵素フィルタ254内の赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bのいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させることにより、フルカラー表示を行う。
【0090】
<吐出分解能>
次に、吐出分解能と、描画対象の形状との関係について、図10を参照して説明する。吐出ノズル78からは、当該吐出ノズル78にラッチ信号によりラッチされた駆動信号(駆動波形)が印加されることによって機能液が吐出される。ラッチ信号の周波数と、吐出ノズル78と描画対象との主走査方向の相対移動速度と、から定まる描画対象に対する吐出ノズル78からの吐出位置間の最小距離が、吐出分解能である。吐出された機能液が描画対象に着弾した位置間の最小距離が、描画分解能である。描画対象の適切な描画分解能は、それぞれの描画対象における描画形状によって定まる。吐出ノズル78が実現するべき吐出分解能は、液滴吐出装置1が描画吐出を実施する描画対象の適切な描画分解能によって定まる。
【0091】
図10は、フィルタ膜領域の形状と吐出分解能との関係を示す説明図である。図10(a)は、CF層208のフィルタ膜205を形成するフィルタ膜領域225について、好ましい機能液252(図12参照)の着弾点263、及び機能液252を当該着弾点263に着弾させるタイミングで液滴吐出ヘッド17から吐出させるためのラッチ信号262を示している。
1個のフィルタ膜205を形成するために、複数の吐出ノズル78を一斉に駆動して、当該フィルタ膜205を形成するべきフィルタ膜領域225に機能液252を着弾させる。1個の吐出ノズル78からは、例えば図10(a)に示した4ヶ所の着弾点263の位置に、機能液252の液滴を着弾させることによって、適正なフィルタ膜205が形成される。
【0092】
一般的に、信号は時間軸に対応して示されるが、吐出ノズル78とフィルタ膜領域225(マザー対向基板201A)との相対移動速度は一定であるため、図10(a)に示したラッチ信号262は、主走査方向である矢印aの方向に相対移動する吐出ノズル78が、当該位置にある時点で印加されているラッチ信号を示している。吐出ノズル78は、図10(a)の矢印aの方向に相対移動しながら、ラッチ信号262の立ち上がり時に、即ち、図10(a)においてはラッチ信号262の立ち上がり部分が記載されている位置において、機能液252を吐出する。吐出された機能液252は、着弾点263の位置に、着弾位置精度の誤差の範囲で、着弾する。なお、吐出ノズル78から吐出された機能液252は、吐出されてから着弾するまでの飛行時間の間に、相対移動方向にも移動するが、当該移動量は概ね一定であるため、図をわかりやすくするために、図10(a)においては、当該移動量は省略している。
【0093】
赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78においては、赤色フィルタ膜205Rを形成するべきフィルタ膜領域225Rの着弾点263Rに向けて吐出する時点においてのみ、赤色機能液252Rを吐出する。赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78は、着弾点263Gや着弾点263Bに着弾する吐出時点においては、吐出は実施しない。同様に、緑色吐出ヘッド17G又は青色吐出ヘッド17Bが有する吐出ノズル78においては、緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成するべきフィルタ膜領域225G又はフィルタ膜領域225Bの着弾点263G又は着弾点263Bに向けて吐出する時点においてのみ、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出する。
フィルタ膜領域225の主走査方向の配置に対して、ラッチ信号262によってラッチされる駆動信号を適切に印加することによって、適切な吐出位置で機能液252を吐出させることを可能ならしめて、それぞれのフィルタ膜領域225において、略同じ位置に機能液252を着弾させることができる。主走査方向に複数の機能液252を連続して吐出する場合、その最小の吐出間隔が吐出分解能となる。すなわち、吐出分解能の単位で機能液252を配置可能である。主走査方向における機能液252の配置は、隔壁204で区画された領域のサイズやフィルタ膜205の膜厚設定により適宜決定される。
【0094】
図10(b)は、CF層408のフィルタ膜405(405R,405G,405B)を形成するフィルタ膜領域425について、好ましい機能液252の着弾点273、及び機能液252を当該着弾点273に着弾させるように液滴吐出ヘッド17から吐出させるためのラッチ信号272を示している。
1個の吐出ノズル78からは、例えば図10(b)に示した2ヶ所の着弾点273の位置に、機能液252の液滴を着弾させることによって、適正なフィルタ膜405が形成される。
図10(b)におけるラッチ信号272とフィルタ膜領域425との関係は、図10(a)におけるラッチ信号262とフィルタ膜領域225との関係と同様である。
【0095】
赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78においては、赤色フィルタ膜405Rを形成するべきフィルタ膜領域425Rの着弾点273Rに向けて吐出する時点においてのみ、赤色機能液252Rを吐出する。赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78は、着弾点273Gや着弾点273B、及び隔壁204にかかる着弾点273Kに着弾する吐出時点においては、吐出は実施しない。同様に、緑色吐出ヘッド17G又は青色吐出ヘッド17Bが有する吐出ノズル78においては、緑色フィルタ膜405G又は青色フィルタ膜405Bを形成するべきフィルタ膜領域425G又はフィルタ膜領域425Bの着弾点273G又は着弾点273Bに向けて吐出する時点においてのみ、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを吐出する。
フィルタ膜領域425の主走査方向の配置に対して、ラッチ信号272によってラッチされる駆動信号を適切に印加することによって、適切な吐出位置で機能液252を吐出させることを可能ならしめて、それぞれのフィルタ膜領域425において、略同じ位置に機能液252を着弾させることができる。
【0096】
<液晶表示パネルの形成>
次に、液晶表示パネル200を形成する工程について、図11、図12、及び図13を参照して説明する。図11は、液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャートである。図12は、液晶表示パネルを形成する過程におけるフィルタ膜を形成する工程などを示す断面図であり、図13は、液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程などを示す断面図である。液晶表示パネル200は、それぞれ別々に形成した素子基板210と対向基板220とを、貼り合わせて形成する。
【0097】
図11に示したステップS1からステップS5を実行することで、対向基板220を形成する。
図11のステップS1では、ガラス基板201の上に、フィルタ膜領域225を区画形成するための隔壁部を形成する。隔壁部は、ブラックマトリックス202を格子状に形成し、その上にバンク203を形成して、ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204を格子状に配置することによって形成する。これにより、図12(a)に示すように、ガラス基板201の表面に、隔壁204によって区画された方形のフィルタ膜領域225が形成される。
【0098】
次に、図11のステップS2では、フィルタ膜領域225に、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bを構成する材料をそれぞれ充填して、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを形成して、CF層208を形成する。
【0099】
より詳細には、図12(b)に示すように、隔壁204によって区画されたフィルタ膜領域225が形成されたガラス基板201の表面に赤色吐出ヘッド17Rを対向させる。当該赤色吐出ヘッド17Rが有する吐出ノズル78から、赤色フィルタ膜205Rを形成するべきフィルタ膜領域225Rに向けて、赤色機能液252Rを吐出することによって、フィルタ膜領域225Rに赤色機能液252Rを配置する。同時に、ガラス基板201に対して赤色吐出ヘッド17Rを矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201に形成された全てのフィルタ膜領域225Rに赤色機能液252Rを配置する。配置した赤色機能液252Rを乾燥させることによって、図12(c)に示すように、フィルタ膜領域225Rに赤色フィルタ膜205Rを形成する。
【0100】
同様にして、図12(b)に示した、緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成するべきフィルタ膜領域225G又はフィルタ膜領域225Bに、図12(c)に示すように、緑色機能液252G又は青色機能液252Bを配置する。緑色機能液252G及び青色機能液252Bを乾燥させることによって、図12(d)に示すように、フィルタ膜領域225G及びフィルタ膜領域225Bに緑色フィルタ膜205G又は青色フィルタ膜205Bを形成する。赤色フィルタ膜205Rと合せて、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bからなる3色カラーフィルタが形成される。
【0101】
次に、図11のステップS3では、平坦化層を形成する。図12(e)に示すように、CF層208を構成する赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、青色フィルタ膜205B、及び隔壁204の上に、平坦化層としての平坦化膜206を形成する。平坦化膜206は、少なくともCF層208の全面を覆う領域に形成する。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。
次に、図11のステップS4では、対向電極207を形成する。図12(f)に示すように、平坦化膜206の上の、少なくともCF層208のフィルタ膜205が形成された領域の全面を覆う領域に、透明な導電材料を用いて、薄膜を形成する。この薄膜が、上述した対向電極207である。
【0102】
次に、図11のステップS5では、対向電極207の上に、対向基板220の配向膜228を形成する。配向膜228は、少なくともCF層208の全面を覆う領域に形成する。
図13(g)に示すように、対向電極207が形成されたガラス基板201の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板201の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板201に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201の配向膜228を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(h)に示すように、配向膜228を形成する。ステップS5を実施して、対向基板220が形成される。
【0103】
図11に示したステップS6からステップS8を実行することで、素子基板210を形成する。
図11のステップS6では、ガラス基板211の上に導電層や絶縁層や半導体層を形成することで、TFT素子215などの素子や、走査線212や、信号線214や、絶縁層216などを形成する。走査線212及び信号線214は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合わされた状態で、隔壁204に対向する位置に、即ち画素の周辺の位置に形成する。TFT素子215は、画素の端に位置するように形成し、1画素に少なくとも1個のTFT素子215を形成する。
【0104】
次に、ステップS7では、画素電極217を形成する。画素電極217は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合わされた状態で、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bに対向する位置に、形成する。画素電極217は、TFT素子215のドレイン電極と電気的に接続させる。
【0105】
次に、ステップS8では、画素電極217などの上に、素子基板210の配向膜218を形成する。配向膜218は、少なくとも全ての画素電極217の全面を覆う領域に形成する。
図13(i)に示すように、画素電極217が形成されたガラス基板211の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板211の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板211に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板211の配向膜218を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(j)に示すように、配向膜218を形成する。ステップS8を実施して、素子基板210が形成される。
【0106】
次に、ステップS9では、形成された対向基板220と素子基板210とを貼り合わせ、図13(k)に示すように、間に液晶230を充填する。さらに、偏光板231と偏光板232とを貼りつけるなどして、液晶表示パネル200を組立てる。複数のガラス基板201やガラス基板211からなるマザー基板に、複数の対向基板220や素子基板210を形成する場合には、複数の液晶表示パネル200が形成されたマザー基板を個別の液晶表示パネル200に分割する。あるいは、マザー対向基板やマザー素子基板を、対向基板220や素子基板210に分割する工程を実施した後にステップS9を実施する。ステップS9を実施して、液晶表示パネル200を形成する工程を終了する。
【0107】
<マザー対向基板におけるCF層の配置>
次に、上述したマザー対向基板201AにおけるCF層208及びCF層408の配置について、図14を参照して説明する。図14は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図14(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図14(b)は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上のCF層を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図14に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0108】
図14(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板201Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー対向基板201Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板201Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板201A上の所定の位置に機能液252を配置する。図10を参照して説明したように、CF層208とCF層408とでは、機能液252を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。CF層208又はCF層408を形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。
【0109】
図14(b)に示したように、CF層208とCF層408とは、副走査方向において、距離Dを隔てて形成される。距離Dは、図14(b)に二点鎖線で示した液滴吐出ヘッド17のノズル群長Lより大きく設定されている。
図14(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17fがCF層208を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にあり、液滴吐出ヘッド17eがCF層408を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。CF層208の境界とCF層408の境界とは、ノズル群長Lより大きい距離Dを隔てているため、液滴吐出ヘッド17fがCF層408を形成する領域に、又は液滴吐出ヘッド17eがCF層208を形成する領域に対向することはない。言い換えれば、マザー対向基板201Aに対して、複数の液滴吐出ヘッド17(吐出ユニット2)を副走査方向においてどのように配置しても、同一の液滴吐出ヘッド17が異なる吐出タイミングが要求されるCF層208とCF層408と跨って配置されない。液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングは、液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eのそれぞれにおいて一律である。従って、液滴吐出ヘッド17fには図10を参照して説明したラッチ信号262を印加して機能液252の吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17eには図10を参照して説明したラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
【0110】
<マザー対向基板におけるCF層の他の配置例>
次に、マザー対向基板におけるCF層の他の配置例として、マザー対向基板401AにおけるCF層208及びCF層408の配置について、図15を参照して説明する。マザー対向基板401Aには、マザー対向基板201Aと同様にCF層208及びCF層408が、マザー対向基板201Aとは異なる配置で形成される。図15は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図15(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図15(b)は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上のCF層を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図15に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0111】
図15(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板401Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。副走査方向の吐出ノズル78の位置決めを実施する際は、CF層408を形成する領域の、CF層208とは反対側(図15においては下側)の境界を基準位置とする。マザー対向基板401Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板401Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板401A上の所定の位置に機能液252を配置する。図10を参照して説明したように、CF層208とCF層408とでは、機能液252を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。マザー対向基板401Aが、基材又はマザーパネルに相当する。なお、図15においては図をわかりやすくするためにCF層208やCF層408を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板401Aを形成するための板状材料を効率良く使用するためには、当該間隔は対向基板220及び対向基板420を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0112】
図15(a)及び図15(b)に示したように、CF層408のCF層208とは反対側の境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっている。nは、(n−1)LがCF層408の副走査方向の幅より小さく、nLがCF層408の副走査方向の幅より大きい整数である。
図15(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17bがCF層408を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。当該液滴吐出ヘッド17bは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端に機能液252を配置する液滴吐出ヘッド17(図15(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17g)から数えてn番目の液滴吐出ヘッド17である。距離D1は長さnLより大きいため、液滴吐出ヘッド17bがCF層208を形成する領域に対向することはない。
また、液滴吐出ヘッド17cが、CF層208を形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。当該液滴吐出ヘッド17cは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端に機能液252を配置する液滴吐出ヘッド17gから数えてn+1番目の液滴吐出ヘッド17である。従って、液滴吐出ヘッド17cは、CF層408を形成する領域の、基準位置とした境界側の端からの距離がnLから(n+1)Lの間の領域に対向する。CF層408の副走査方向の幅は長さnLより小さいため、液滴吐出ヘッド17cがCF層408を形成する領域に対向することはない。
従って、液滴吐出ヘッド17b又は液滴吐出ヘッド17cの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングは、液滴吐出ヘッド17b又は液滴吐出ヘッド17cのそれぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17cには図10を参照して説明したラッチ信号262を印加して機能液252の吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17bには図10を参照して説明したラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
【0113】
<マザー対向基板におけるCF層の他の配置例>
次に、マザー対向基板におけるCF層のさらに異なる配置例として、マザー対向基板301AにおけるCF層308及びCF層328の配置について、図16を参照して説明する。図16は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。図16に示したX軸方向及びY軸方向は、図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0114】
CF層308は、対向基板301を構成するCF層であり、CF層308のフィルタ膜は、フィルタ膜領域325に機能液252を配置して形成する。CF層328は、対向基板321を構成するCF層であり、CF層328のフィルタ膜は、フィルタ膜領域335に機能液252を配置して形成する。CF層308及びCF層328は、CF層208と基本的に同様の構成を有しており、CF層208とは大きさが異なっている。CF層308とCF層328とは大きさが異なっている。大きさが異なるために、CF層308とCF層328とは、機能液252を配置する際の、吐出ノズル78における適切な吐出タイミングが互いに異なっている。マザー対向基板301Aが、基材又はマザーパネルに相当する。CF層308又はCF層328を形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。なお、図16においては図をわかりやすくするためにCF層308やCF層328を形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー対向基板301Aを効率良く使用するためには、当該間隔は対向基板301及び対向基板321を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0115】
図16に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー対向基板301Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー対向基板301Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー対向基板301Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液252を吐出することで、マザー対向基板301A上の所定の位置に機能液252を配置する。
【0116】
マザー対向基板301Aにおいて、CF層308とCF層328とは、主走査方向において隣り合っており、副走査方向においては、CF層308どうし、又はCF層328どうしが、並んでおり、CF層308とCF層328とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。従って、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、適切な吐出タイミングが互いに異なる領域に同時に対向することはない。
吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に印加するラッチ信号は、主走査中に切り換え可能であって、CF層308を形成する領域とCF層328を形成する領域との間で切り換えられる。そして、液滴吐出ヘッド17がCF層308を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際は、当該領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施し、CF層328を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際は、当該領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施する。
【0117】
第一の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)マザー対向基板201Aにおいて、CF層208の境界とCF層408の境界とは、ノズル群長Lより大きい距離Dを隔てている。このため、単一の液滴吐出ヘッド17がCF層208及びCF層408の両方に同時に対向する位置に位置することがない。マザー対向基板201Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17にはラッチ信号262又はラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、CF層208への吐出とCF層408への吐出とを別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネル200の対向基板220及び液晶表示パネルの対向基板420を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0118】
(2)マザー対向基板401Aにおいて、CF層408のCF層208とは反対側の境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっている。このため、マザー対向基板401AのCF層408を形成する領域に機能液252を配置する位置にある液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、CF層208を形成する領域に対向する位置に位置することはない。マザー対向基板401Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。当該液滴吐出ヘッド17にはラッチ信号262又はラッチ信号272を印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、CF層208への吐出とCF層408への吐出とを別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネル200の対向基板220及び液晶表示パネルの対向基板420を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0119】
(3)マザー対向基板301Aにおいて、CF層308とCF層328とが、副走査方向において隣り合う状態は存在しない。このため、マザー対向基板301Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、フィルタエレメントの配置ピッチが互いに異なる領域に同時に対向することはない。CF層308を形成する領域とCF層328を形成する領域との間で、印加するラッチ信号を切り換えることによって、液滴吐出ヘッド17がCF層308を形成する領域に向けて機能液252を吐出する際と、CF層328を形成する領域に向けて吐出する際とで、それぞれの領域において適切な吐出タイミングで吐出を実施することができる。
これにより、描画吐出を実施する際の適切な吐出タイミングが単一でない液滴吐出ヘッド17が存在して、当該液滴吐出ヘッド17がそれぞれの吐出タイミングでの吐出を別々の主走査において実施する場合に比べて、液晶表示パネルの対向基板301及び対向基板321を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0120】
(第二の実施形態)
次に、基材、基材の被吐出領域配置方法、マザーパネル、及びマザーパネルのパネル領域配置方法の第二の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態は、インクジェット方式の液滴吐出装置を用いて、電気光学装置の一例である有機EL表示装置を製造する工程において、機能膜の一例である発光層、正孔輸送層などを形成する工程を例に説明する。本実施形態の液滴吐出装置は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置と実質的に同一のものであるため、液滴吐出装置に関する説明は省略する。
【0121】
<有機EL(エレクトロルミネセンス)表示装置の構成>
最初に、有機EL表示装置の構成について、図17及び図18を参照して説明する。図17は、有機EL表示装置を示す概略正面図である。図17(a)は、有機EL表示装置の全体を示す概略正面図であり、図17(b)は、カラー発光素子の配列例を示す部分拡大図である。図17(a)に示すように、本実施形態の有機EL表示装置500は、発光素子である複数の有機EL素子507を有する素子基板501と、封止基板509とを備えている。有機EL素子507はいわゆるカラー発光素子であり、有機EL表示装置500は、赤色素子507R(赤色系)、緑色素子507G(緑色系)、青色素子507B(青色系)の3色の有機EL素子507を有している。有機EL素子507は表示領域506に配置されており、当該表示領域506に画像が表示される。
【0122】
素子基板501上の3色の有機EL素子507は、例えば、図17(b)に示すように、同色系の有機EL素子507が段違いに配置され、3色のカラー発光素子が、任意の隣接する3つの有機EL素子507が異なる色となるように配置されている。各有機EL素子507の平面形状は略円形である。図の上下方向に並ぶ有機EL素子507を一つおきに図の左右方向にずらすことで、有機EL素子507の配置密度を上げている。
【0123】
素子基板501は、各有機EL素子507に対応した位置に、駆動素子としての複数のスイッチング素子512(図18参照)を備えている。スイッチング素子512は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)素子である。また、封止基板509よりも一回り大きく、額縁状に張り出した部分には、スイッチング素子512を駆動する二つの走査線駆動回路部503,503と一つのデータ線駆動回路部504が設けられている。素子基板501の端子部502には、これらの走査線駆動回路部503又はデータ線駆動回路部504と外部駆動回路とを接続するためのフレキシブルな中継基板508が実装されている。走査線駆動回路部503及びデータ線駆動回路部504は、例えば、あらかじめ素子基板501の表面に低温ポリシリコンの半導体層を形成して構成する。
なお、図17においては、走査線駆動回路部503などをわかりやすく示すために、表示領域506に対して周囲の領域を大きく示している。
【0124】
図18は、有機EL表示装置の有機EL素子を含む要部の断面図である。素子基板501は、ガラス基板510と、複数のスイッチング素子512と、絶縁層511と、複数の画素電極514と、バンク515と、を有する。複数のスイッチング素子512は、ガラス基板510の一方の表面上に形成されている。絶縁層511は、スイッチング素子512を覆うように形成されている。複数の画素電極514はそれぞれ絶縁層511上に形成されており、導通層514aを介してスイッチング素子512の3つの電極端子のうちの1つに電気的に接続されている。バンク515は、複数の画素電極514の間に、画素電極514が臨む空間をそれぞれの画素電極514ごとに区画するように形成されている。
【0125】
さらに、バンク515によって区画された領域(以降、「画素領域521」と表記する。)の画素電極514上に形成された正孔輸送層516と、正孔輸送層516上に積層して形成された発光層517と、発光層517及びバンク515を覆うように設けられた対向電極518と、を有する。有機EL表示装置500は、素子基板501の対向電極518に対向して封止基板509が配置され、対向電極518と封止基板509との間に不活性ガス520が封入されている。画素電極514と、バンク515によって区画された領域の当該画素電極514上に形成された正孔輸送層516と、発光層517と、対向電極518とが、有機EL素子507に該当する。
【0126】
画素領域521に、赤色、緑色、青色の光をそれぞれ発光する発光層517である、赤色発光層517R(赤色系)、緑色発光層517G(緑色系)、青色発光層517B(青色系)を形成することで、赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bを形成する。赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bを各1個ずつ含む有機EL素子507の組で、画像を構成する最小単位である絵素を形成している。1絵素内の赤色素子507R、緑色素子507G、青色素子507Bのいずれか一つ又はそれらを組み合わせて選択的に発光させることにより、フルカラー表示を行う。
【0127】
<有機EL素子の形成>
次に、有機EL表示装置500の素子基板501における有機EL素子507を構成する正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518を形成する工程について、図19及び図20を参照して説明する。図19は素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示すフローチャートであり、図20(a)〜(e)は素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示す模式断面図である。
【0128】
図19のステップS41では、図20(a)に示すように、スイッチング素子512と、絶縁層511と、導通層514aと、画素電極514とが形成されたガラス基板510の表面に、バンク515を形成して隔壁部を形成する。バンク515は、例えば、ガラス基板510の表面にバンク515の材料を含む液状材料を塗布し、乾燥させてバンク膜を形成し、フォトエッチングなどで画素領域521などの部分を取り除くことで、形成する。次に、ステップS42では、バンク515が形成されたガラス基板510を洗浄する。
【0129】
次に、ステップS43では、バンク515が形成され洗浄されたガラス基板510を、正孔輸送層516の材料を含む機能液560を充填し易くするように、表面処理する。バンク515に囲まれた画素領域521の底部と、バンク515の側面とが、機能液560に対して親液性となるように処理し、バンク515の頂部は機能液560に対して撥液性となるように処理する。この処理によって、画素領域521に充填されるべく配置された機能液560が画素領域521に馴染み易くなると共に、画素領域521から溢れ出し難くなる。
【0130】
次に、ステップS44では、正孔輸送層材料液を塗布する。図20(b)に示すように、バンク515によって形成された複数の画素領域521のそれぞれに正孔輸送層516の材料を含む機能液560を液滴吐出ヘッド17から液滴560aとして吐出し、画素領域521に機能液560を充填する。
【0131】
次に、ステップS45では、機能液560を乾燥させることによって、正孔輸送層516を形成する。機能液560が乾燥して、図20(c)に示すように、正孔輸送層516が形成される。
この工程は、乾燥状態を制御して、より均一な正孔輸送層516を形成するために、減圧環境下で実施してもよい。画素領域521に機能液560を充填したガラス基板510を減圧環境に投入し、機能液560を乾燥させて、正孔輸送層516を形成する。なお、機能液560は、厳密には、液滴吐出ヘッド17から液滴560aとして吐出された瞬間から乾燥を開始するが、機能液560の溶媒の沸点などを調節することで、常圧ではほとんど乾燥せず、減圧された状態で乾燥するようにすることができる。減圧環境での乾燥工程で殆ど全ての乾燥が行われるようにするためには、機能液560は乾燥進行が遅い高沸点溶媒の比率を高くすることが好ましい。
【0132】
次に、ステップS46では、発光層材料液を塗布する。図20(c)に示すように、正孔輸送層516が形成された複数の画素領域521のそれぞれに、発光層517の材料を含む機能液570を液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、画素領域521に機能液570を充填する。
上述したように、有機EL表示装置500は、赤色発光層517R(赤色系)、緑色発光層517G(緑色系)、及び青色発光層517B(青色系)の3色の発光層517を備え、当該3色の発光層によるカラー表示を行う。
赤色発光層517R、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bの材料を含む機能液570を、それぞれ赤色機能液570R、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bと表記する。赤色機能液570R、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bが充填された液滴吐出ヘッド17を、それぞれ赤色吐出ヘッド17R、緑色吐出ヘッド17G、又は青色吐出ヘッド17Bと表記する。
【0133】
図20(c)に示すように、赤色発光層517Rが形成される画素領域521に向けて、赤色吐出ヘッド17Rから、赤色機能液570Rが、液滴570Raとして吐出される。同様に、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bが形成される各画素領域521に向けて、緑色吐出ヘッド17G、又は青色吐出ヘッド17Bから、緑色機能液570G、又は青色機能液570Bが、液滴570Ga、又は液滴570Baとして吐出される。
【0134】
なお、機能液560が画素領域521に馴染み易くなると共に画素領域521から溢れ出し難くなるようにステップS43で実行した表面処理が、機能液570については有効でない場合には、ステップS46を実行する前に、ステップS43で実行した処理と同様の表面処理を実行する。勿論、この場合に実行する処理は、機能液570が画素領域521に馴染み易くなると共に画素領域521から溢れ出し難くなるようにする表面処理である。
【0135】
次に、ステップS47では、赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bを乾燥させることによって、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bを形成する。赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bが乾燥して、図20(d)に示すように、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bが形成される。
この工程も、上述した機能液560の乾燥工程と同様に、乾燥状態を制御して、より均一な赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bを形成するために、減圧環境下で実施してもよい。減圧環境下での乾燥を実施する場合、減圧環境での乾燥工程で殆ど全ての乾燥が行われるようにするためには、赤色機能液570R、緑色機能液570G、及び青色機能液570Bは、乾燥進行が遅い高沸点溶媒の比率を高くすることが好ましい。
【0136】
次に、ステップS48では、対向電極材料液を塗布する。対向電極材料液は、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bが形成されたガラス基板510の、赤色発光層517R、緑色発光層517G、青色発光層517B、及びバンク515の全体を覆うように、塗布する。対向電極材料液の塗布にも、液滴吐出装置1を用いることができる。
【0137】
次に、ステップS49では、対向電極材料液を乾燥させることによって、対向電極518を形成する。なお、対向電極518は、真空蒸着によって形成してもよい。真空蒸着によって対向電極518を形成する場合は、乾燥工程は必要としない。
図20(e)に示すように、対向電極518を形成して、正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518を形成する工程を終了する。
さらに、正孔輸送層516、発光層517、及び対向電極518の形成工程を実行して形成した素子基板501に、封止基板509を取り付け、上述した中継基板508などを実装して、有機EL表示装置500を形成する。
【0138】
複数のガラス基板510や封止基板509からなるマザー基板に、複数の素子基板501や封止基板509を形成する場合には、複数の有機EL表示装置500が形成されたマザー基板を個別の有機EL表示装置500に分割する。あるいは、マザー対向基板やマザー封止基板を、素子基板501や封止基板509に分割する工程を実施した後にステップS49を実施する。
【0139】
<マザー対向基板におけるCF層の配置>
次に、複数の素子基板501を区画形成するマザー素子基板501Aにおける表示領域506の配置について、図21を参照して説明する。図21は、吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー素子基板における表示領域を形成する領域の位置関係と、を示す模式図である。
図21(a)は、ワーク載置台にセットされたマザー素子基板と吐出ユニットとの位置関係を示しており、図21(b)は、適切な吐出条件が互いに異なる表示領域が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図であり、マザー対向基板上の表示領域を形成する位置と液滴吐出ヘッドのノズル群長との関係を示している。図21に示したX軸方向及びY軸方向は、第一の実施形態の図1又は図5に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0140】
図21(a)に示したように、ワーク載置台21にセットされてアライメントされたマザー素子基板501Aに対して、吐出ユニット2を矢印bで示した副走査方向に移動させて、副走査方向において吐出ユニット2の吐出ノズル78を位置決めする。マザー素子基板501Aを矢印aで示した主走査方向に走査させて、マザー素子基板501Aの適切な部分が吐出ノズル78に対向した時点で、吐出ノズル78から機能液560又は機能液570を吐出することで、マザー素子基板501A上の所定の位置に機能液560又は機能液570を配置する。
【0141】
マザー素子基板501Aには、複数の表示領域506(素子基板501)が形成される。ここで、図17(a)に示した有機EL表示装置500の横方向(図17(a)で水平方向)が、主走査方向(図21(a)で矢印aの方向)となるような、マザー素子基板501Aにおける表示領域506(素子基板501)の配置方向を、横配置と表記し、横配置と略90度回転した配置方向を、縦配置と表記する。マザー素子基板501Aを形成するための板状材料に、無駄な部分が少なくなるように素子基板501を形成する部分を配置するために、複数の表示領域506(素子基板501)は、マザー素子基板501Aに横配置で形成されるものと、縦配置で形成されるものがある。
【0142】
図17(b)を参照して説明したように、有機EL素子507は、図17(b)における上下方向と左右方向とで、素子間の間隔が異なっている。このため、横配置の表示領域506と縦配置の表示領域506とで、画素領域521に正孔輸送層材料液である機能液560や発光層材料液である機能液570を配置するための適切な描画分解能が異なっている。即ち、機能液560や機能液570を配置するための主走査方向の適切な吐出タイミングが、互いに異なっている。
以降、横配置の表示領域506を、表示領域506Hと表記し、縦配置の表示領域506を、表示領域506Vと表記する。マザー素子基板501Aが、基材又はマザーパネルに相当する。表示領域506H又は表示領域506Vを形成する領域が、第一の被吐出領域又は第二の被吐出領域に相当し、第一のパネル領域又は第二のパネル領域に相当する。なお、図21においては図をわかりやすくするために表示領域506Hや表示領域506Vを形成する領域の相互間の間隔を大きくしてあるが、マザー素子基板501Aを形成するための板状材料を効率良く使用するためには、当該間隔は素子基板501を形成可能な範囲で小さくすることが好ましい。
【0143】
図21(b)に示したように、表示領域506Hと表示領域506Vとは、副走査方向において、距離D2を隔てて形成される。距離D2は、図21(b)に二点鎖線で示した液滴吐出ヘッド17のノズル群長Lより大きく設定されている。
図21(b)に示した例では、液滴吐出ヘッド17fが表示領域506Hを形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にあり、液滴吐出ヘッド17eが表示領域506Vを形成する領域の境界を含む領域に臨む位置にある。表示領域506Hの境界と表示領域506Vの境界とは、ノズル群長Lより大きい距離D2を隔てているため、液滴吐出ヘッド17fが表示領域506Vを形成する領域に、又は液滴吐出ヘッド17eが表示領域506Hを形成する領域に対向することはない。液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eの吐出ノズル78が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17f又は液滴吐出ヘッド17eのそれぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17fには、表示領域506Hにおいて適切な吐出タイミングで吐出を実施させ、液滴吐出ヘッド17eには、表示領域506Vにおいて適切な吐出タイミングで吐出を実施させることができる。
【0144】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態によって得られる効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(1)マザー素子基板501Aにおいて、表示領域506Hの境界と表示領域506Vの境界とは、ノズル群長Lより大きい距離D2を隔てている。このため、単一の液滴吐出ヘッド17が表示領域506H及び表示領域506Vの両方に同時に対向する位置に位置することがない。マザー素子基板501Aに向けて機能液を吐出する吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17が描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能は、液滴吐出ヘッド17それぞれにおいて一律である。液滴吐出ヘッド17には、表示領域506H又は表示領域506Vに液滴を配置するための適切なラッチ信号をそれぞれ印加して機能液252の吐出を実施させることで、それぞれ適切な吐出タイミングの吐出を実施させることができる。
これにより、描画吐出を実施する際の適切な吐出分解能が単一でない液滴吐出ヘッド17が存在して、当該液滴吐出ヘッド17がそれぞれの吐出分解能での吐出を別々の主走査において実施する場合に比べて、有機EL表示装置500の素子基板501を形成するために要する時間を抑制することができる。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0146】
(変形例1)前記実施形態においては、マザー対向基板401Aにおいて、CF層408のCF層208とは反対側の境界を基準にして、当該境界から、CF層208のCF層408側の境界までの距離D1が、ノズル群長Lの整数倍の長さnLより大きくなっていた。しかし、基準とする境界は、CF層408の境界に限らない。CF層408とは最も離れた位置のCF層208のCF層408とは反対側の境界を基準にして、当該境界から、CF層408のCF層208側の境界までの距離が、ノズル群長Lの整数倍の長さより大きくなる位置にCF層408及びCF層208を配置するマザー基板であってもよい。
【0147】
(変形例2)前記実施形態においては、電気光学装置の一例である液晶表示パネル200のフィルタ膜205を形成する際の描画吐出、及び有機EL表示装置500の正孔輸送層516及び発光層517を形成する際の描画吐出について説明したが、形成する膜は、フィルタ膜や正孔輸送層や及び発光層に限らない。形成する膜は、液晶表示装置の画素電極膜や配向膜や対向電極膜や、カラーフィルタなどを保護するためなどに設けるオーバーコート膜などであってもよい。有機EL表示装置の正極電極膜や陰極電極膜、フォトエッチングなどによってパターンを形成するための膜や、フォトエッチングなどのフォトレジスト膜などであってもよい。
形成する膜を有する装置、又は形成過程において膜を形成する必要がある装置も、液晶表示装置や有機EL表示装置に限らない。上記したような膜を有する装置、又は形成過程において上記したような膜を形成する必要がある装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0148】
(変形例3)前記実施形態においては、液晶表示パネル200が備えるCF層208は、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bの3色のフィルタ膜を有する3色フィルタであったが、カラーフィルタは、さらに多くの種類のフィルタ膜を有する多色のカラーフィルタであってもよい。多色のカラーフィルタとしては、例えば、赤色、緑色、青色に加えて赤色、緑色、青色の補色のシアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の有機EL素子を有する6色カラーフィルタや、シアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の3色に緑色を加えた4色カラーフィルタなどがあげられる。
【0149】
(変形例4)前記実施形態においては、有機EL表示装置500は、3色の有機EL素子を備えることでカラー表示をする有機EL表示装置であったが、有機EL表示装置は、カラーフィルタを備えて、当該カラーフィルタによってカラー表示をする有機EL表示装置であってもよい。カラーフィルタ備える有機EL表示装置においては、液滴吐出装置を用いて、有機EL素子やカラーフィルタを形成することができる。
【0150】
(変形例5)前記実施形態においては、有機EL素子507は、封止基板側から光を射出するトップエミッション型の有機EL素子であったが、有機EL素子はトップエミッション型に限らない。基板側から光を射出するボトムエミッション型の有機EL素子であってもよい。ボトムエミッション型の有機EL素子においては、少なくとも基板側の電極を透明な材料で形成する。
【0151】
(変形例6)前記実施形態においては、有機EL素子507は、発光層として、赤色発光層517R、緑色発光層517G、及び青色発光層517Bの三色の発光層を備えていたが、有機EL素子が、当該三色の発光層を備えることは必須ではない。有機EL素子が備える発光層は、他の色の光を発光する発光層であってもよい。
【0152】
(変形例7)前記実施形態においては、有機EL素子507は、赤色発光層517R、緑色発光層517G、又は青色発光層517Bを一層備えていたが、ひとつの有機EL素子が、備える発光層が1層であることは必須ではない。例えば、単独の有機EL素子が、発光層として、赤色発光層、青色発光層、及び緑色発光層の三色の発光層を各一層ずつ備える構成であってもよい。
【0153】
(変形例8)前記実施形態においては、有機EL表示装置500が備える有機EL素子507は、赤色素子507R、緑色素子507G、及び青色素子507Bの3種類であったが、有機EL表示装置が備える有機EL素子の種類は3種類に限らない。有機EL表示装置は、さらに多くの種類の有機EL素子を備える多色の有機EL表示装置であってもよい。多色の有機EL表示装置としては、例えば、赤色、緑色、青色に加えて赤色、緑色、青色の補色のシアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の有機EL素子を有する6色有機EL表示装置や、シアン(青緑)、マゼンタ(紫赤)、イエロー(黄色)の3色に緑色を加えた4色有機EL表示装置などがあげられる。
【0154】
(変形例9)前記実施形態においては、有機EL素子507は、画素電極514と対向電極518の間に、正孔輸送層516と発光層517が形成されていたが、有機EL素子がこのような構成であることは必須ではない。有機EL素子は、発光層のみが画素電極と対向電極とに挟まれた構成のものや、正孔輸送層と発光層と電子輸送層とが挟まれた構成のものや、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層とが挟まれた構成のものや、正孔輸送層と発光層と電子輸送層と正孔注入層と電子注入層とが挟まれた構成のものなどが知られている。有機EL素子は、これらの構成など、いずれの構成を有する有機EL素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第一の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示す側面図。
【図3】液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図。
【図4】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図5】三色カラーフィルタを形成する場合の、ヘッドユニットにおける各機能液を吐出させる液滴吐出ヘッドの配置例を示す模式図。
【図6】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図7】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図8】(a)対向基板の平面構造を模式的に示す図。(b)マザー対向基板の平面構造を模式的に示す図。
【図9】3色カラーフィルタのフィルタ膜の配列例を示す模式平面図。
【図10】フィルタ膜領域の形状と吐出分解能との関係を示す説明図。
【図11】液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャート。
【図12】液晶表示パネルを形成する過程におけるフィルタ膜を形成する工程などを示す断面図。
【図13】液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程などを示す断面図。
【図14】(a)ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【図15】(a)ワーク載置台にセットされたマザー対向基板におけるCF層を形成する領域と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なるCF層が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【図16】吐出ユニットの液滴吐出ヘッドと、マザー対向基板におけるCF層を形成する領域の位置関係と、を示す模式図。
【図17】(a)第二の実施形態における有機EL表示装置の全体を示す概略正面図。(b)カラー素子の配列例を示す部分拡大図。
【図18】有機EL表示装置の有機EL素子を含む要部の断面図。
【図19】素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示すフローチャート。
【図20】素子基板の正孔輸送層、発光層、及び対向電極の形成工程を示す模式断面図。
【図21】(a)ワーク載置台にセットされたマザー素子基板と吐出ユニットとの位置関係を示す模式図。(b)適切な吐出条件が互いに異なる表示領域が隣り合っている部分の周辺の部分拡大図。
【符号の説明】
【0156】
1…液滴吐出装置、2…吐出ユニット、6…吐出装置制御部、17…液滴吐出ヘッド、78…吐出ノズル、78b…ノズル列、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、205…フィルタ膜、208,408…CF層、210…素子基板、211…ガラス基板、220…対向基板、225,225B,225G,225R…フィルタ膜領域、252…機能液、262,272…ラッチ信号、263,263B,263G,263R,273,273B,273G,273K,273R…着弾点、301,321…対向基板、301A…マザー対向基板、308,328…CF層、325,335…フィルタ膜領域、401…ガラス基板、401A…マザー対向基板、405…フィルタ膜、405B…青色フィルタ膜、405G…緑色フィルタ膜、405R…赤色フィルタ膜、420…対向基板、425,425B,425G,425R…フィルタ膜領域、500…有機EL表示装置、501…素子基板、501A…マザー素子基板、506,506H,506V…表示領域、507…有機EL素子、510…ガラス基板、516…正孔輸送層、517…発光層、517B…青色発光層、517G…緑色発光層、517R…赤色発光層、560,570…機能液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置される基材であって、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備え、
前記主走査方向の相対移動において、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域が配置されていることを特徴とする基材。
【請求項2】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項3】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項4】
前記複数のノズル群における前記ノズル群の前記副走査方向の長さが一定であって、
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向における前記第二の被吐出領域と反対側において前記主走査方向に延在する前記第一の被吐出領域の端から、前記第二の被吐出領域の前記第一の被吐出領域側の端までの距離が、前記ノズル群の前記副走査方向の長さの整数倍の長さであって、前記第一の被吐出領域の前記副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さより離れている位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項5】
前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項6】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、任意の位置に前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備える基材の被吐出領域配置方法であって、
同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域を配置することを特徴とする基材の被吐出領域配置方法。
【請求項7】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項8】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項9】
前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項10】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、前記液状体を配置されるマザーパネルであって、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備え、
同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域が配置されていることを特徴とするマザーパネル。
【請求項11】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項10に記載のマザーパネル。
【請求項12】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記マザーパネルに向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項10に記載のマザーパネル。
【請求項13】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備えるマザーパネルのパネル領域配置方法であって、
同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域を配置することを特徴とするマザーパネルのパネル領域配置方法。
【請求項14】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項13に記載のマザーパネルのパネル領域配置方法。
【請求項1】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置される基材であって、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備え、
前記主走査方向の相対移動において、同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域が配置されていることを特徴とする基材。
【請求項2】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項3】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項4】
前記複数のノズル群における前記ノズル群の前記副走査方向の長さが一定であって、
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向における前記第二の被吐出領域と反対側において前記主走査方向に延在する前記第一の被吐出領域の端から、前記第二の被吐出領域の前記第一の被吐出領域側の端までの距離が、前記ノズル群の前記副走査方向の長さの整数倍の長さであって、前記第一の被吐出領域の前記副走査方向の幅より長い長さの中で最小の長さより離れている位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項5】
前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とが、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基材。
【請求項6】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、任意の位置に前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一の被吐出領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二の被吐出領域と、を備える基材の被吐出領域配置方法であって、
同一の前記ノズル群に、前記第一の被吐出領域の部分と、前記第二の被吐出領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一の被吐出領域及び前記第二の被吐出領域を配置することを特徴とする基材の被吐出領域配置方法。
【請求項7】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項8】
前記副走査方向において隣り合う前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記基材に向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項9】
前記第一の被吐出領域と、前記第二の被吐出領域とを、前記副走査方向において、互いに隣り合わない位置に配置することを特徴とする請求項6に記載の基材の被吐出領域配置方法。
【請求項10】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させられると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって、前記液状体を配置されるマザーパネルであって、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、
前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備え、
同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域が配置されていることを特徴とするマザーパネル。
【請求項11】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項10に記載のマザーパネル。
【請求項12】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とが、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルであって、前記マザーパネルに向けて前記液状体を吐出するために使用される複数の有効ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項10に記載のマザーパネル。
【請求項13】
それぞれのノズル群が、液状体を吐出するタイミングを規定する同一のタイミング信号に基づいて駆動される複数の吐出ノズルを有し、当該複数の吐出ノズルが副走査方向に配列する複数のノズル群に対して、前記副走査方向と交差する主走査方向に相対移動させると共に、それぞれの前記吐出ノズルから前記液状体が吐出されることによって前記液状体を配置され、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な、前記タイミング信号の周期が第一の周期である第一のパネル領域と、前記吐出ノズルによって前記液状体を適切に配置可能な前記タイミング信号の周期が、前記第一の周期とは異なる第二の周期である第二のパネル領域と、を備えるマザーパネルのパネル領域配置方法であって、
同一の前記ノズル群に、前記第一のパネル領域の部分と、前記第二のパネル領域の部分との両方が同時に対向することがない位置に、前記第一のパネル領域及び前記第二のパネル領域を配置することを特徴とするマザーパネルのパネル領域配置方法。
【請求項14】
前記副走査方向において隣り合う前記第一のパネル領域と、前記第二のパネル領域とを、前記副走査方向において、前記ノズル群が有する複数の前記吐出ノズルの中で前記副走査方向における両端に位置する前記吐出ノズルの中心間距離より大きい間隔を隔てて配置することを特徴とする請求項13に記載のマザーパネルのパネル領域配置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−139614(P2009−139614A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315485(P2007−315485)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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