説明

基材の表面濡れ性の改変

基材表面の濡れ性を改変する方法であって、インプリント形成表面を有する第1のモールドを基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程を含み、インプリント形成表面は基材表面の濡れ性を改変するように選択される、方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して基材、例えばポリマー基材の表面の濡れ性(wetting property)を改変するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
材料の表面の濡れ性は、材料表面の化学組成または幾何学的構造に依存する。一般に、材料の表面濡れ性は、表面での液滴の接触角を測定することにより決定することができる。水を使用する場合、小さい接触角(すなわち90°未満)は親水性表面を示し、大きな接触角(すなわち90°を超える)は疎水性表面を示す。例えば、ガラスなどの親水性表面は、5°〜25°の範囲の水との接触角を示し、一方ポリ(ジメチルシロキサン)は、109°の接触角を示し、疎水性である。
【0003】
異なる方向から接触角を測定することにより、表面の濡れの等方性または異方性を決定することができる。異なる方向から測定した場合に、接触角が同じであれば濡れ性は等方性である。異なる方向から測定した場合に、接触角が異なっていれば濡れ性は異方性である。
【0004】
科学者および技術者は、接触角を変化させることにより材料の表面濡れ性を調整する様々な方法を開発してきた。自然界で見られる構造を模倣することにより、ある所望の濡れ性を達成することができる。例えば、ハスの葉の表面は、水滴が簡単に転げ落ち、これと共に汚れや汚染物質が取り除かれ、自浄効果が得られるマイクロ/ナノスケールの階層構造が存在するために、超疎水性である。そのような効果は、塗料、瓦、織物または自浄作用が必要とされる任意の他の表面において望ましい。
【0005】
一般に、表面濡れ性は化学的手段または物理的手段のいずれかを通して改変される。表面粗化処理により、表面の疎水性または親水性を大きく増強させることができる。
【0006】
いくつかの化学的表面濡れ性改変法としては、フッ素化、細孔形成または無機基材への有機フィルムの接着が挙げられる。しかしながら、これらの方法では、材料、例えば材料の機械的完全性に対して有害な変化が生じる可能性がある。さらに、表面濡れ性の変化は永久的ではない場合がある。
【0007】
他方、物理的手段としては、プラズマ化学気相成長法、イオンビームエッチング、マイクロコンタクトプリンティングおよびフォトリソグラフィーが挙げられる。しかしながら、複雑な機器がしばしば必要となり、試料サイズが不必要に制限されることになっている。
【0008】
表面粗化処理により、異方性パターンまたは粗さ形状となった場合、液滴はそのような表面に置かれた場合非球状を示す。液滴に垂直および平行な方向で観察される液滴の見かけの接触角は異なり、異方性の濡れまたは脱濡れとなる。異方性の濡れは、化学的にパターニングされた液体親和性表面および真空紫外線フォトリソグラフィーにより調製された交互の液体親和性/液体忌避性領域を有するマイクロパターン化単層表面で観察されている。異方性の濡れ性はまた、稲の葉の表面上で証明されており、整合されたカーボンナノチューブを成長させることにより稲の葉の構造の複製に至っている。しかしながら、異方性の濡れ度を調整するための努力の成功は限られていた。
【0009】
上記欠点の1つまたは複数を克服する、または少なくとも改善する、基材の表面濡れ性を変化させる方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
概要
第1の局面によれば、
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールド(mold)を基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程であって、インプリント形成表面は基材表面の濡れ性を改変するように選択される、工程
を含む、基材表面の濡れ性を改変する方法が提供される。
【0011】
好都合なことに、方法は基材の表面の濡れ性を改変する一方、任意で該表面の化学的処理を排除する。
【0012】
好都合なことに、方法は基材の表面の濡れ性を改変する一方、基材の熱、化学および光学的性質の少なくとも1つには影響を及ばさない。
【0013】
本発明の第2の局面によれば、
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールドをポリマー基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程;
(B)インプリント形成表面を有する第2のモールドを第1のインプリントに適用し、第1のインプリント上に第2のインプリントを形成させる工程;および
(C)適用工程(B)中に、第1のインプリントに対し第2のモールドを配向させる工程であって、配向ならびに第1および第2のインプリント寸法は、ポリマー基材表面の濡れ性を改変するように選択される、工程
を含む、ポリマー基材の表面の濡れ性を改変する方法が提供される。
【0014】
第3の局面によれば、
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールドを基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程であって、インプリント形成表面は基材表面の濡れ性を改変するように選択される、工程
を含む方法において製造された、選択された濡れ性を備えた表面を有する基材が提供される。
【0015】
1つの態様では、
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールドをポリマー基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程;
(B)インプリント形成表面を有する第2のモールドを第1のインプリントに適用し、第1のインプリント上に第2のインプリントを形成させる工程;および
(C)適用工程(B)中に、第1のインプリントに対し第2のモールドを配向させる工程であって、配向ならびに第1および第2のインプリント寸法は、ポリマー基材表面の選択された濡れ性が得られるように選択される、工程
を含む方法において製造された、選択された濡れ性を備えた表面を有するポリマー基材が提供される。
【0016】
第4の局面によれば、第1の局面で規定された方法で製造された三次元ポリマー構造が提供される。
【0017】
定義
本明細書で使用される下記の単語および用語は以下に示された意味を有する。
【0018】
「濡れ性(wetting property)」という用語は、表面に適用される場合、表面上の試験液滴の広がりを許可する、または許可しない表面の任意の特性を含むものと広く解釈されるべきである。この試験液滴の広がりは粗さおよび表面エネルギーに依存する。表面の濡れ性は、液滴と固体表面との間の接触角を測定することにより決定することができる。接触角の値および測定方向により、表面の等方性または異方性の濡れ性を、液体忌避性(liquidphobic)または液体親和性として解釈することができる。一般に、液滴の広がり、したがって濡れ挙動は、Wenzel式(R.N. Wenzelによる“Resistance of Solid Surfaces to Wetting by Water”, Industrial and Engineering Chemistry, 1936, 28(8), 988ページを参照されたい)またはCassie式(A.B.D.Cassieによる“Contact Angle”, Discussions of the Faraday Society, 1948, 3, 11ぺージ)に従いモデル化することができる。しかしながら、場合によっては、挙動は、当業者に公知の上記式の改良型に従いモデル化してもよい。
【0019】
本明細書との関連では「接触角」という用語は、液体/固体表面間で測定される全ての角度を含むように広く解釈されるべきである。接触角は系に特異的であり、液体/固体表面の界面張力に依存する。接触角およびその表面濡れ性に対する関係についての説明は、R. AsthanaおよびN. Sobczakによる“Wettability, Spreading, and Interfacial Phenomena in High-Temperature Coatings”, JOM-e, 2000, 52(1)から理解することができる。接触角は、2つの方向から測定することができる。本明細書との関連では、長軸に関して長軸方向インプリントが配置された場合、θxは長軸に垂直な「X」方向で測定された接触角を示し、θyは長軸と平行な、またはその軸と整合された「Y」方向で測定された接触角を示す。接触角θxまたはθyの値は、表面の液体忌避性または液体親和性を示す可能性がある。Δθ(ここで、Δθ=θy-θx)により表される、これらの2つの接触角の差は、濡れ性の等方性または異方性の程度を示す。
【0020】
本開示との関連では、「粗さ」という用語は、表面に言及する場合、不規則な、または凸凹のテキスチャまたは構造を有し、そのため、表面上に一定の不均一性が存在するすべての表面を含むものと広く解釈されるべきである。
【0021】
本開示との関連では、「滑らかな」または「裸の」という用語は、表面に言及する場合、化学処理または物理処理に関係なく、表面のテクスチャまたは高さの変化を引き起こす処理が存在しないため、実質的に均一である全ての表面を含むものと広く解釈すべきである。
【0022】
「液体忌避の」および「液体忌避性」という用語は、表面に言及する場合、液滴が実質的に表面全体に広がらないようにする表面の全ての特性を含むものと広く解釈すべきである。一般に、液滴と表面との間の接触角が90°を超える場合、表面は液体忌避性であり、または液体忌避性を示す。同様に、「疎水性の」および「疎水性」は、水が表面上に置かれた液体である場合に、表面が液体忌避性であり、または液体忌避性を示すことを意味する。水滴と表面との間の接触角が150°よりも大きい場合、表面は超疎水性と規定される。
【0023】
「液体親和性の」または「液体親和性」という用語は、表面に言及する場合、液滴が実質的に表面全体に広がるようにする表面の全ての特性を含むものと広く解釈すべきである。一般に、液滴と表面との間の接触角が90°より小さい場合、表面は液体親和性である。同様に、「親水性の」および「親水性」は、水が表面上に置かれた液体である場合に、表面が液体親和性であり、または液体親和性を示すことを意味する。水滴と表面との間の接触角が約0°である場合、表面は超親水性と規定される。
【0024】
「等方性の」または「等方性」という用語は、濡れ性に言及する場合、液滴は、異なる方向から測定した時に、同様の見かけの接触角値を有することを意味する。一般に、接触角は2つの方向から測定され、ここで、2つの方向は互いに垂直である(すなわち、上記のように長軸方向インプリントに対する長軸に対しX方向およびY方向)。2つの接触角値の間の差が小さいほど、等方性度は大きくなる。
【0025】
「異方性の」または「異方性」という用語は、濡れ性に言及する場合、液滴は、異なる方向から測定した場合に、異なる見かけの接触角値を有することを意味する。一般に、接触角は2つの方向から測定され、ここで、2つの方向は互いに垂直である(すなわち、上記のように長軸方向インプリントに対する長軸に対しX方向およびY方向)。2つの接触角値の間の差が大きいほど、異方性度は大きくなる。
【0026】
「ナノインプリンティングリソグラフィー」という用語は、規定されたパターンまたは構造を有するモールドを表面にある温度および圧力で適用することにより、基材の表面にマイクロ/ナノスケールでパターンまたは構造を印刷または作成するための全ての方法を含むものと広く解釈すべきである。ナノインプリンティングリソグラフィー法は米国特許第5,772,905号から引用することができる。
【0027】
「マイクロスケール」という用語は、約1(μm)〜約100μmの範囲にある全ての寸法を含むものと解釈すべきである。本明細書で使用されるように「マイクロ構造」という用語は、「マイクロスケール」の特徴を含む構造を示す。
【0028】
「ナノスケール」という用語は、約1μm未満である全ての寸法を含むものと解釈すべきである。本明細書で使用されるように「ナノ構造」という用語は、「ナノスケール」または「サブミクロン」の特徴を含む構造である。
【0029】
「三次元」という用語は、両方の水平変化(厚さ)および深さに伴う変化を有する全ての構造、構造特徴、インプリント、またはパターンを含むものと広く解釈すべきである。
【0030】
「階層」という用語は、連続して実施される全ての関連のある工程を含むものと広く解釈すべきである。例えば、「階層ナノプリンティング」という用語は、ポリマー基材表面でのナノサイズインプリントの逐次適用を示す。1つの態様では、階層ナノプリンティングは別個に、順々に基材表面に適用される2つのモールドを使用して実施される。別の態様では、2つを超えるモールドを使用して、複雑な階層構造を作製することができる。典型的には、後のインプリントは、前のインプリントに比べて寸法が小さく、そのため、階層構造はインプリントの高さに沿って、すなわち、z軸に沿ってサイズ変化を示す。
【0031】
「ガラス転移温度」(Tg)という用語は、ポリマーがゴム状態とガラス状態との間で存在するポリマーの任意の温度を含むと解釈すべきである。これは、Tgを超えると、ポリマーがゴム状になり、破壊無しで弾性変形または塑性変形を受ける可能性があることを意味する。この温度より高いと、そのようなポリマーは加圧下で流動化される可能性がある。ポリマーの温度がTgより低くなると、一般に、ポリマーは可撓性がなくなり、脆弱になり、応力がポリマーにかかると砕けてしまう。Tgは急激な転移温度ではなく段階的な転移であり、実験条件(例えば、フィルムの厚さ、ポリマーの立体規則度、など)によりいくらかの変化を受けることに注意すべきである。ポリマーフィルムの実際のTgは、フィルムの厚さの関数として変化するであろう。Tgはポリマー基材のバルクガラス転移温度として本明細書で規定される。バルクガラス転移温度は文献において広く一致が見られる特定値である。ポリマーのガラス転移温度値は、Dr D.T. Wuにより編集されたPPP Handbook(商標)ソフトウエア(2000)から得てもよい。
【0032】
本開示との関連では、「エネルギー障壁」は、表面上に配置された静止した液滴が特別な方向に移動するのに必要とされるエネルギーの最小量として解釈すべきである。エネルギー障壁に関するより完全な説明は、J.P. YoungbloodおよびT.J.McCarthyによる“Ultrahydrophobic Polymer Surfaces Prepared by Simultaneous Ablation of Polypropylene and Sputtering of Poly(tetrafluoroethylene) Using Radio Frequency Plasma”, Macromolecules, 32(20), 1999, 6800〜6806ページから得ることができる。
【0033】
「プラズマ処理」という用語は、表面上の有機汚染物質が少なくとも部分的に破壊されるような、表面のプラズマへの全ての暴露を含むものと広く解釈するべきである。一般に、そのようなプラズマは、高周波(RF)またはマイクロ波源を用いて発生させられた、酸素(O2)、アルゴン、ならびに酸素およびアルゴンの混合物などの低圧酸化プラズマである。
【0034】
特に記載がなければ、「含んでいる」および「含む」、ならびにその文法上の変形は、列挙した要素を含むが、追加の、列挙していない要素を含むことも許すように、「確定していない」または「包含的な」言語を示すことを目的としている。
【0035】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、配合物の成分の濃度との関連で、典型的には規定した値の+/-5%、より典型的には規定した値の+/-4%、より典型的には規定した値の+/-3%、より典型的には規定した値の+/-2%、さらにより典型的には規定した値の+/-1%、およびさらにより典型的には規定した値の+/-0.5%を意味する。
【0036】
この開示全体にわたって、ある態様は範囲形式で開示してもよい。範囲形式における記載は、単に便宜上、簡潔にするためのものにすぎず、開示した範囲についての柔軟でない制限として考えるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、可能なサブ領域ならびにその範囲内の個々の数値すべてを具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの下位範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なくあてはまる。
【0037】
任意の態様の開示
基材の表面の濡れ性を改変する方法の例示的な、非制限的態様を以下に開示する。方法はインプリント形成表面を有する第1のモールドを基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程であって、インプリント形成表面は基材表面の濡れ性を改変するように選択される工程を含む。
【0038】
好都合なことに、方法は基材の表面の濡れ性を改変する一方、任意で表面の化学的処理を排除する。
【0039】
1つの態様では、基材は、ポリマー基材であるが、モールドによりインプリントできるいずれの材料も使用することができる。例えば、他の態様では、基材はケイ素またはガラスなどのケイ素系材料としてもよい。別の態様では、基材はヒ化ガリウム(III)としてもよい。さらに別の態様では、基材はサファイアとしてもよい。
【0040】
好都合なことに、方法は、ポリマー基材として熱可塑性ポリマーを選択する工程を含む。1つの態様では、方法はアクリレート、フタルアミド、アクリロニトリル、セルロース誘導体、スチレン、アルキル、アルキルメタクリレート、アルケン、ハロゲン化アルケン、アミド、イミド、アリールエーテルケトン、ブタジエン、ケトン、エステル、アセタール、カーボネート、およびそれらの組み合わせからなる群より、熱可塑性ポリマーを形成するためのモノマーを選択する工程を含む。1つの態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、およびポリカーボネートのうちの少なくとも1つである。熱可塑性ポリマーを形成するための例示的なモノマーは、メチル、エチレン、プロピレン、メチルメタクリレート、メチルペンテン、ビニリデン、塩化ビニリデン、エーテルイミド、塩素化エチレン、ウレタン、エチレンビニルアルコール、フッ素プラスチック、カーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、エーテルエーテルケトン、イオノマー、ブチレン、フェニレンオキシド、スルホン、エーテルスルホン、フェニレンスルフィド、エラストマー、エチレンテレフタレート、ナフタレンテレフタレート、エチレンナフタレン、およびその組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0041】
別の態様では、ポリマー基材はフォトレジスト材料としてもよい。適したフォトレジスト材料としては、米国マサチューセッツ州ニュートンのMicroChem Corp.から入手可能なSU-8(商標)レジストなどのエポキシ系ネガティブレジストが挙げられる。
【0042】
ポリマー基材はポリマー複合物としてもよく、粒子をポリマーに添加し、またはポリマーと組み合わせてもよい。これらの粒子は、炭酸カルシウム、カーボンフィラー、ガラスフィラー、繊維、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、およびそれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
【0043】
方法はさらに、インプリント形成表面を有する第2のモールドを第1のインプリントに適用し、第1のインプリント上に第2のインプリントを形成する工程;および、第2のモールドを適用する工程中、第2のモールドを第1のインプリントに対し配向させる工程であって、配向工程ならびに第1および第2のインプリント寸法は、基材表面の濡れ性を改変するように選択される工程を含んでもよい。
【0044】
1つの態様では、配向工程により、基材表面は、第1および第2のモールドを適用していない表面に比べ、より液体忌避性または液体親和性となる。配向工程はまた基材の等方性の性質を調節してもよい。したがって、第2のインプリントに対する第1のインプリントの配向によって、等方性の性質を調製することができる。例えば、親水性ポリマー表面、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)は、ポリマー表面上に2つのインプリントをインプリントした後、より疎水性となり、より異方性となる可能性がある。疎水性ポリマー表面、例えばポリスチレン(PS)は、ポリマー表面上に2つのインプリントをインプリントした後、よりいっそう疎水性となり、より異方性となる可能性がある。
【0045】
第1および第2のモールドは、基材表面に複数の第1および第2のインプリントを形成するための規定された表面を有してもよい。複数の第1および第2のインプリントは、基材表面上に、各グレーティング間に配置された交互の一連の溝から構成される個々のグレーティングを形成する。第1および第2のインプリントは一般に形状が長軸方向であり、インプリントの各々が長軸に沿って延在してもよい。
【0046】
配向工程中、第2のモールドを第1のインプリントに適用してもよく、形成された第2のインプリントの長軸は、形成された第1のインプリントの長軸に対し、約0°〜約90°、約0°〜約45°および約45°〜約90°からなる群より選択された範囲の角度で配置される。1つの態様では、第2のモールドの長軸は第1のインプリントの長軸に対し概ね平行である。別の態様では、第2のモールドの長軸は第1のインプリントの長軸に対し概ね垂直である。別の態様では、第2のモールドの長軸は第1のインプリントの長軸に対し約45°である。
【0047】
別の態様では、第1および第2のインプリントの幅は、マイクロスケールまたはナノスケールのいずれかである。第1および第2のインプリントの幅は、約200nm〜約3000nm、約250nm〜約2500nm、および約250nm〜約2000nmからなる群より選択される範囲内にあってもよい。第1および第2のインプリントは異なる幅寸法を有してもよい。
【0048】
2つのインプリンティング工程の間の配向を変化させ、第二インプリントにおけるインプリンティング条件を制御することにより、様々な精巧な階層構造が得られる可能性がある。第1のモールド上のパターンの寸法は、第2のモールド上のパターンの寸法に比べ、大きく、同様、または小さくてもよい。第1のモールド上のパターンは第2のモールド上のパターンと同様か、または異なってもよい。パターンは一対の溝間に配置された一連のグレーティングを含んでもよく、基材の表面上に一対のグレーティング間に配置された個々の一連の溝が形成される。グレーティングおよび溝は互いに平行であってもよい。
【0049】
第1のインプリントに対し、異なる配向で、第二インプリントのための第2のモールドの異なる寸法を用いると、接触角および濡れ性に対し広範囲にわたって所望の変化が得られ、そのため、基材の表面に対する濡れ性をカスタマイズすることができる。
【0050】
第1および第2のモールドは、第1および第2の適用工程の少なくとも1つ中に、三次元構造を作製するように規定された表面を有してもよい。三次元構造は、マイクロ構造、ナノ構造、およびその組み合わせの少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
方法は、ケイ素、金属、ガラス、石英、セラミック、およびそれらの組み合わせからなる群より第1のモールドおよび第2のモールドの少なくとも1つを選択する工程を含んでもよい。
【0052】
方法は、第1のモールドまたは第2のモールドを適用する工程前に、第1および第2のモールドの少なくとも1つを静止摩擦防止剤(anti-stiction agent)で処理する工程を含んでもよい。静止摩擦防止剤はシラン系静止摩擦防止剤である。
【0053】
1つの態様では、第1のインプリントを適用する工程中、方法は、ポリマー基材のガラス転移温度(Tg)を超える温度を選択する工程を含んでもよい。この温度で、ポリマーは軟化し、第1のモールドの形状に従う可能性があり、そのため、インプリントがポリマー表面上で生成され、これにより、インプリントのパターンは、ポリマーが冷却され、その後硬化した場合、第1のモールド上のパターンに対し相補的となる可能性がある。例えば、第1のモールドがグレーティングおよび溝を有する場合、ポリマー基材の表面に適用されると、第1のモールド上のグレーティングは、ポリマー基材上の対応する溝となる可能性があり、第1のモールド上の溝はポリマー基材上の対応するグレーティングとなる可能性がある。さらに、モールドは好ましくは所定の圧力で所定の期間適用してもよく、ポリマー基材の表面上にインプリントが形成される。適用すべき温度および圧力は使用するポリマーに依存する。
【0054】
1つの態様では、第2のインプリントを適用する工程中、方法は、ポリマー基材のガラス転移温度(Tg)より低い温度を選択する工程を含んでもよい。
【0055】
1つの態様では、方法は、第2のインプリントを適用した後、1つまたは複数の別のインプリントを第2のインプリント上で形成する工程であって、1つまたは複数の別のインプリントは少なくとも第2のインプリントに対し異なる配向とされる工程を含んでもよい。
【0056】
重要なことには、方法は基材表面の異方性の濡れ性の程度を調整する可能性を提供することができ、そのため所望の方向での液体の流れを達成することができる。インプリントがグレーティングおよび溝である態様では、液体は、第1および第2のインプリントの様々な配向および寸法により作成されたポリマー表面上のマイクロ/ナノスケールの溝に沿って流れる可能性がある。グレーティングおよび溝は液滴の形状を変化させ、そのため液滴は細長くなる可能性がある。液滴の細長い形状が異方性の濡れの変化の原因となる。一般に、液滴は溝の長軸に沿って良好な濡れ性を有し、溝の長軸に対し垂直な方向に沿った濡れ性はよくない。
【0057】
方法はナノインプリンティングリソグラフィーの使用を含んでもよい。方法により、基材の表面のテクスチャまたは三次元構造が変化する可能性がある。
【0058】
方法により基材の表面の粗化が得られる可能性がある。
【0059】
化学的に不活性で、それぞれの温度で使用する時に軟化した基材よりも固い可能性のある任意の適した材料から、モールドは製造されてもよい。モールドは、ケイ素、金属、ガラス、石英、セラミック、またはそれらの組み合わせから製造されてもよい。
【0060】
モールドは、いくらかのパターンがモールドの表面から突出するようにパターニングされてもよい。パターンは、穴、柱、グレーティング、または溝を含んでもよい。パターンはマイクロ/ナノスケールで規定された高さおよび幅を有してもよい。パターンは互いに離してもよい。パターンはグレーティングおよび溝を含んでもよい。グレーティングおよび溝は互いに平行に配置してもよい。
【0061】
第1のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する温度は、約120℃〜約200℃、約140℃〜約200℃、約160℃〜約200℃、約180℃〜約200℃、約120℃〜約140℃、約120℃〜約160℃、および約120℃〜約180℃からなる群より選択してもよい。
【0062】
第1のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する圧力は、約40bar〜約50bar、約42bar〜約50bar、約44bar〜約50bar、約46bar〜約50bar、約48bar〜約50bar、約40bar〜約42bar、約40bar〜約44bar、約40bar〜約46bar、および約40bar〜約48barからなる群より選択してもよい。
【0063】
第1のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する期間は、約4分〜20分の範囲としてもよい。ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、および比較的低い分子量のポリメチルメタクリレート(PMMA)(すなわちMw≦約15,000g/mol)の基材では、第1のモールドを基材表面に適用する場合に5〜10分を使用した。より高い分子量のPMMA(Mw≧約350,000g/mol)では、第1のモールドを基材表面に適用する場合に10〜20分を使用した。
【0064】
第2のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する温度は、約60℃〜約120℃、約80℃〜約120℃、約100℃〜約120℃、約60℃〜約80℃、および約60℃〜約100℃からなる群より選択してもよい。
【0065】
第2のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する圧力は、約10bar〜約50bar、約15bar〜約50bar、約20bar〜約50bar、約25bar〜約50bar、約30bar〜約50bar、約35bar〜約50bar、約40bar〜約50bar、約45bar〜約50bar、約10bar〜約15bar、約10bar〜約20bar、約10bar〜約25bar、約10bar〜約30bar、約10bar〜約35bar、約10bar〜約40bar、および約10bar〜約45barからなる群より選択してもよい。
【0066】
第2のモールドをポリマー基材の表面に適用する場合に使用する期間は、インプリンティング工程で使用する温度および必要なインプリント深さに依存する。例えば、温度が低いほど必要とされる時間は長くなり、インプリント深さが小さいほど期間が短くなる。期間の例示的な範囲は約10分〜約30分である。
【0067】
第1およびその後のモールドを基材の表面の特定の領域に適用してもよく、その領域に対し濡れ性の改変が望ましい可能性のある局所的な階層パターンが得られる。
【0068】
第1のモールドおよび第2のモールドの異なるパターンを用いた異なる寸法を表面の異なる領域に適用してもよく、局所的な濡れ性の異なる領域に至る様々な階層構造の組み合わせを有する表面が得られる。これにより、勾配濡れ性を有する基材表面が得られ、このため、表面の寸法に沿って濡れ性のその後の、または段階的な変化が生じる可能性がある。
【0069】
方法により、第2のインプリントが基材の表面に適用されたとしても保持される可能性のある第一インプリントにより、マイクロ流体装置における多方向の液体の広がりまたは流れが得られる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
添付の図面は開示した態様を図示したものであり、開示した態様の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、図面は説明するために設計されたものにすぎず、本発明を制限する定義として設計されたものではないことを理解すべきである。
【0071】
【図1】ポリマー基材の濡れ性を改変するための方法の概略図である。
【図2】図2Aは、2μmのグレーティングモールドの断面図の17,000倍のSEM画像である。図2Bは、250nmのグレーティングモールドの断面図の22,000倍のSEM画像である。
【図3】図3C〜図3Gは、第1のインプリントおよび第1のインプリントに対し様々な配向の第2のインプリントを有するポリマーの様々な倍率の上面光学顕微鏡像である。
【図4】図4C〜図4Gは、図3C〜図3Gの対応するポリマーの様々な倍率の上面SEM像である。
【図5】開示した態様により製造したポリマー表面上の脱イオン水滴のxおよびy方向の接触角の測定を示す概略図である。
【図6】下記実施例で説明する、多くのインプリントされたポリメチルメタクリレートフィルムに対する接触角を示すグラフである。
【図7】下記実施例で説明する、ポリメチルメタクリレートフィルム上にある脱イオン水滴の代表的な写真である。
【図8】多くの脱イオン水滴に対する幅を示すグラフである。
【図9】下記実施例で説明する、多くのインプリントされたポリスチレンフィルムに対する接触角を示すグラフである。
【図10】下記実施例で説明する、異なってインプリントされたポリスチレン表面上に存在する脱イオン水滴の代表的な写真である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
態様の詳細な開示
非制限的な態様について、下記でさらに説明した下記実施例を参照することにより、より詳細にさらに記載するが、下記実施例は、決して本発明の範囲を制限するものと考えるべきではない。
【0073】
図1はポリマー基材2の表面の濡れ性を改変するための開示した態様による方法100の概略図である。方法は第1のモールド4をポリマー基材2の表面に適用する工程を含む。
【0074】
モールド4は対をなす溝10の間に配置された一連の平行なグレーティング8から構成されるパターン表面を有する。第1のモールド4はObducatナノインプリンタを用いて、ポリマーのTgを超える温度、選択された圧力で、選択された期間ポリマー2の表面に適用され、モールド4のグレーティング8および溝10から構成される3次元の第一インプリント16を有するポリマー2Aが得られる。図2Aは、グレーティング8および溝10からなる第1のモールド4の断面図の17,000倍でのSEM画像である。
【0075】
第2のモールド6は、第2のモールド6の長さに沿って互いに平行に配列されたグレーティング12および溝14のパターンを有する。図2Bはグレーティング12および溝14からなる第2のモールド6の断面図の22,000倍でのSEM画像である。
【0076】
モールド6は、グレーティング12および溝14の長軸が、第一インプリント16の長軸に対し、「配向角」で配向されるように配列される。配向角は0°〜90°の間で変化することができる。第2のモールド6を、Obducatナノインプリンタを用いてインプリント16に適用する。図1では、配向角は第1のインプリント16に対し90°である。第2のモールド6はポリマーのTgより低い温度、ある圧力および期間、第一インプリント16上にインプリントされ、図1からわかるように、個々の第一および第二インプリント(16、18)からなる階層構造を有するポリマー2Bが得られる。モールド6のグレーティング12および溝14から構成されるパターンに相補的な三次元の第二インプリントがポリマー2Bの表面で形成される。
【0077】
下記の具体的な実施例に関してより詳細に示されるように、方法100により、元のポリマー基材2の濡れ性を改変する第一および第二インプリント(16、18)の両方を有するポリマー基材2Bが得られる。
【0078】
ポリマー基材
図1について説明すると、ポリマー2はポリマー溶液をシリコン基材上にスピンコートすることにより作製した。その後、得られたポリマー2をある温度で焼成させ、全ての残留溶媒を除去した。シリコン基材上の得られたポリマー2のサイズは、第1のモールド4のサイズよりも大きかった。
【0079】
ポリマーを調製するための条件は必要とされる厚さに依存する。
【0080】
モールドの処理
使用前に、図1に示されているパターニングしたケイ素モールド(4および6)をイソプロパノール中で超音波処理し、アセトンですすぎ、80W、250mTorrで2分間酸素プラズマで処理する。モールドをその後、5mMパーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)のヘプタン溶液で20分間処理した。表面処理は、相対湿度が低く維持された(すなわち、約15%〜約18%)窒素/不活性ガスグローブボックス中で実施した。その後、モールドをヘプタン溶液中、5分間音波処理し、物理吸着したFDTSを除去し、アセトンですすぎ、乾燥(blown dry)させた。
【0081】
インプリンティングする前に、FDTS処理したモールド(4および6)を全て、上記のように調製したポリマー2に、120℃、40barで5分間適用し、「ダミー」インプリントを形成させた。これにより、音波処理を免れた、物理吸着したいずれのシラン分子も除去され、モールド(4または6)からポリマー2に伝えられる可能性のあるシラン効果が排除され、または最小に抑えられる。
【0082】
下記実施例では、第2のインプリンティングで使用される第2のモールド6はすべて、各インプリンティング工程前に同じ処理に供せられ、そのため、第2のモールド6はシラン層への暴露という観点から互いに同程度である。これにより、階層的にインプリントされたポリマーの表面濡れ性の違いは、主に、シランの化学効果ではなく、構造効果によるものであることが保証された。
【0083】
モールド(4および6)を適当なサイズに切断し、第一インプリント16に対する第二インプリント18の異なる配向を可能にした。配向角が0°または90°である場合、第1のモールド4および第2のモールド6は同じサイズとすることができる。例えば、第1のモールド4および第2のモールド6のサイズは2cm×2cmとすることができる。しかしながら、第二インプリント18が第一インプリントに対し45°の配向角である場合、その上での被覆率を確保するために、第2のモールド6は第1のモールド4よりも小さくなければならない。例えば、第1のモールド4が2cm×2cm、第2のモールド6が1.3cm×1.3cmを組み合わせると、うまくいく。切断後のモールドのパターン領域およびモールド領域は、全く同じである。
【0084】
インプリント表面の種類
図1で示した方法100に従うが、異なる配向角で、一連のモールド面を調製した。その結果を図3および図4に示す。
【0085】
図3C〜図3Gは、方法100で形成されたポリマー上の階層構造の5種類の上面光学顕微鏡像である。これらの構造は非常に良好なパターン収率(ほぼ100%)および表面均一性を示すことがわかる。
【0086】
図3Cは、第一インプリント(16)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第1のモールド(4)、第1のインプリント(16)に対し90°の配向角で第二インプリント(18)を形成するために250nmの幅のグレーティングおよび250nmの幅の溝を有する第2のモールド(6)を使用して製造したポリマーの150倍の上面光学顕微鏡像である。これは本明細書では、2μm+250nmとして示される。
【0087】
図3Dは、第一インプリント(16)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第1のモールド(4)、第1のインプリント(16)に対し45°の配向角で第二インプリント(18)を形成するために250nmの幅のグレーティングおよび250nmの幅の溝を有する第2のモールド(6)を使用して製造したポリマーの150倍の上面光学顕微鏡像である。これは本明細書では、2μm×250nmとして示される。
【0088】
図3Eは、第一インプリント(16)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第1のモールド(4)、第1のインプリント(16)に対し0°の配向角で第二インプリント(18)を形成するために250nmの幅のグレーティングおよび250nmの幅の溝を有する第2のモールド(6)を使用して製造したポリマーの150倍の上面光学顕微鏡像である。これは本明細書では、2μm=250nmとして示される。
【0089】
図3Fは、第一インプリント(16)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第1のモールド(4)、第1のインプリントに対し90°の配向角で第二インプリント(18)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第2のモールド(6)を使用して製造したポリマーの150倍の上面光学顕微鏡像である。これは本明細書では、2μm+2μmとして示される。
【0090】
図3Gは、第一インプリント(16)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第1のモールド(4)、第1のインプリントに対し45°の配向角で第二インプリント(18)を形成するために2μmの幅のグレーティングおよび2μmの幅の溝を有する第2のモールド(6)を使用して製造したポリマーの150倍の上面光学顕微鏡像である。これは本明細書では、2μm×2μmとして示される。
【0091】
図4は、図3のポリマーに対応する様々な倍率での上面SEM像を示す。
【0092】
図4Cは、図3Cのポリマーの5,000倍での上面SEM像である。
【0093】
図4Dは、図3Dのポリマーの5,000倍での上面SEM像である。
【0094】
図4Eは、図3Eのポリマーの5,000倍での上面SEM像である。挿入部分はポリマーの断面図の10,000倍でのSEM像を示す。
【0095】
図4Fは、図3Fのポリマーの4,000倍の上面SEM像である。
【0096】
図4Gは、図3Gのポリマーの4,000倍の上面SEM像である。
【0097】
接触角の測定
図5はポリマー表面での脱イオン水滴のXおよびY方向の接触角を測定するための概略図を示す。米国ニュージャージー州マウンテンレイクのrame-hart由来のrame-hartデジタルゴニオメーターを使用して、インプリントポリマーフィルムの表面濡れ性を研究した。小さな脱イオン水滴を最初に、自動ピペットにより試料表面に静かに置き、その後、ポリマー表面上に位置する水滴の写真を撮り、分析した。各試料に対し、3〜6点を調べた。時々、試料の画像上の偶発的な欠陥によりゴニオメーターが不当な結果を提供した場合、プリントアウト水滴写真上で接線を引くことにより手作業で接触角を測定する必要がある場合がある。
【0098】
シリコンウエハ
下記実施例全てにおいて、シリコンウエハは市販されており、下記特性を有する。ウエハの直径は150+/-0.5mm;ドーパントの種類はp-ホウ素であり;配向100;抵抗率は1〜50ohm.cmの範囲であり、厚さは約675+/-25μmである。ウエハは片側が磨かれ、半標準ノッチを有する。
【0099】
実施例1
図1の方法100を、ポリマー基材(2)としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いるこの実験で使用した。
【0100】
PMMAは約68°の水接触角を有する親水性材料である。
【0101】
インプリンティング前に、米国ミズーリ州セントルイスのAldrichから得られる15(重量)%PMMA(MW15,000、Tg105℃)のトルエン溶液を、十分に清浄にされたシリコンウエハ上で2000の毎分回転数(rpm)で30秒間回転させ、150℃で5分間焼成させ、残留溶媒を全て除去した。得られたPMMAの薄いフィルムは形状測定走査に基づくと厚さが約1.3μmであった。
【0102】
インプリンティング中、高さおよび幅が2μm(1:1デューティーサイクル)のグレーティング(8)ならびに幅2μmの溝(10)から構成された第1のモールド(4)を130℃、40barで10分間PMMA(2)の表面に適用し、表面上に第一インプリント(16)を形成させた。その後、グレーティング(12)および溝(14)を有する第2のモールド(6)を90℃、40barで15分間、異なる配向角で適用し、第二インプリント(18)を形成させた。ここで、それぞれ幅寸法が2μmおよび250nmである異なるグレーティング(12)を有する2種類の第2のモールド(6)を使用した。これらのモールドを0°(すなわち、平行)、45°、および90°(すなわち、垂直)の配向角で配置した。
【0103】
この実験では、総数6のPMMAフィルムを次の接触角測定のために使用した。それらの特性を下記表1に示す。
【0104】
(表1)PMMAフィルムの特性

【0105】
一滴の0.5μlの脱イオン水滴を、自動ピペットにより静かにポリマー表面上に置き、ポリマー表面上に存在する水滴の写真を撮り、分析した。
【0106】
各フィルムに対しXおよびY方向から得られた接触角値を、下記表2および図6に示す。図6では、黒の正方形記号「■」は、接触角がX方向で測定されたことを示し、黒の丸記号「●」は、接触角がY方向で測定されたことを示す。
【0107】
(表2)異なるPMMAフィルム上の平均水接触角の一覧

【0108】
異なるPMMAフィルム上に置かれている水滴の代表的な写真を図7に示すが、上の列の写真はX方向で得られたものであり、下の列の写真はY方向で得られたものである。これらの写真はデジタルゴニオメーターを備えたカメラを使用して撮ったものである。
【0109】
各種類のPMMAフィルムに対する水滴の幅をX方向で観察して図8に示す。プラス記号「+」は90°の配向角を示し、クロス記号「×」は45°の配向角を示し、イコール記号「=」は0°の配向角を示す。
【0110】
PMMAの表面に改良がないと(すなわち、フィルムA)、フィルムAは等方性の親水性を示し、接触角の大きさが、XおよびY方向から測定した場合互いに非常に接近していることがわかる。ここで、固有接触角θxおよびθyはそれぞれ68°および69°である。
【0111】
第一インプリント(16)を形成させるために、幅2μmのグレーティングを有する第1のモールド(4)を表面に適用させて、フィルムBを形成させた。これにより、フィルムの明らかに異方性の濡れ挙動を有する表面が得られ、θx=61°、θy=112°、およびΔθ=51°であった。そのような高い異方性は、X方向の2μm幅のグレーティングインプリントにより生成されたエネルギー障壁による。エネルギー障壁があると、液滴は、第一インプリントグレーティング(16)の溝に沿って広がり、または流れる傾向があり、そのため、水滴は図8で示されるように広がった幅を有する楕円形状を獲得する。
【0112】
250nmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を第一インプリント(16)に90°の配向角で適用することにより、フィルムCを形成させた。ここで、θxおよびθyの両方が著しく増加し、濡れ異方性度(Δθ)が54°まで増加した。フィルムCは接触角の最も大きな変化および異方性の著しい増加を示した。
【0113】
250nmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を第一インプリント(16)に45°の配向角で適用することにより、フィルムDを形成させ、一方、250nmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を第一インプリント(16)に0°の配向角で適用することにより、フィルムEを形成させた。両方のフィルムにおいて、第二インプリントが存在することにより、フィルムCに比べ、θxがわずかに減少し、θyが増加し、異方性度(Δθ)がそれぞれ42°および47°とわずかに減少した。
【0114】
上記全てと異なり、幅2μmのグレーティングを有する第二モールド(6)を、90°の配向角で第一インプリント(16)に適用しフィルムFを形成させた場合、これにより、フィルムAと比べると、θxおよびθyの両方が増加した。しかしながら、Δθ値は低く(約6°)、高い等方性度が示される。
【0115】
フィルムFをフィルムC〜Eと比較すると、得られた異方性の濡れ性は、第2のモールド(6)の階層構造および寸法の結果である。実証されているように、親水性PMMA(フィルムA)は、フィルムB〜Fで見られるように、巧みに処理され疎水性フィルムとされた。しかしながら、異方性の濡れ性はフィルムB〜Gにおいてのみ見られた。
【0116】
そのため、異なる配向角で適用した異なる寸法の第2のモールド(6)により、異なる接触角の大きさおよび濡れ異方性度が得られた。これらの差は、図8に示されるように水滴の形状に密接に関連し、ここで、水滴の幅は異なるPMMA表面構造に伴い変化した。
【0117】
実施例2
図1の方法100を、ポリマー基材(2)としてポリスチレン(PS)を使用する実験で用いた。
【0118】
PSは約90°の水接触角を有する疎水性材料である。
【0119】
インプリンティング前に、米国ミズーリ州セントルイスのAldrichからの13(重量)%のPS(Mw 280,000、Tg 100℃)のトルエン溶液を、十分に清浄にされたシリコンウエハ上で3000の毎分回転数(rpm)で40秒間回転させ、85℃で10分間焼成させ、残留溶媒を全て除去した。得られたPSの薄いフィルムは形状測定走査に基づくと厚さが約1.7μmであった。
【0120】
インプリンティング中、高さおよび幅が2μm(1:1デューティーサイクル)のグレーティング(8)および幅2μmの溝(10)から構成された第1のモールド(4)を130℃、40barで10分間PS(2)の表面に適用し、表面上に第一インプリント(16)を形成させた。その後、グレーティング(12)および溝(14)を有する第2のモールド(6)を90℃、40barで15分間、異なる配向角で適用し、第二インプリント(18)を形成させた。ここで、幅寸法がそれぞれ2μmおよび250nmである異なるグレーティング(12)を有する2種類の第2のモールド(6)を使用した。これらのモールドを0°(すなわち、平行)、45°、および90°(すなわち、垂直)の配向角で配置した。
【0121】
この実験では、総数7のPSフィルムを次の接触角測定のために使用した。それらの特性を下記表3に示す。
【0122】
(表3)PSフィルムの特性

【0123】
PSフィルムC〜Gの光学顕微鏡像およびSEM写真を図3および4において同じ参照アルファベットで示す。これらの構造は、別の種類のポリマー基材に対しても再現可能であることを認識すべきである。
【0124】
一滴の1μlの脱イオン水滴を、自動ピペットにより静かにポリマー表面上に置き、ポリマー表面上に存在する水滴の写真を撮り、分析した。
【0125】
各フィルムに対しxおよびy方向から得られた接触角値を、下記表4および図9に示すが、この場合、黒の正方形記号「■」は、接触角がX方向で測定されたことを示し、黒の丸記号「●」は、接触角がY方向で測定されたことを示す。
【0126】
(表4)異なるPSフィルム上の平均水接触角の一覧

【0127】
異なるPSフィルム上に置かれている水滴の代表的な写真を図10に示すが、上の列の写真はX方向で得られたものであり、下の列の写真はY方向で得られたものである。これらの写真はデジタルゴニオメーターを備えたカメラを使用して撮ったものである。
【0128】
PSの表面に改良がないと(すなわち、フィルムA)、疎水性の等方性を示し、接触角の大きさが、XおよびY方向から測定した場合互いに非常に接近していることがわかる。ここで、両方の固有接触角値θxおよびθyは、91°である。
【0129】
第一インプリント(16)を形成させるために、表面に適用させる幅2μmのグレーティングを有する第1のモールド(4)を使用して、フィルムBを形成させた。これにより、フィルムの明らかに異方性の濡れ挙動を有する表面が得られ、θx=77°、θy=115°、およびΔθ=38°であった。これは広がった水滴に対応する。
【0130】
異なる配向角で適用する250nmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を使用して、フィルムC〜Eを形成させた。フィルムC〜Eは、フィルムAに比べ、θxおよびθyの両方の増加からわかるように、増大した疎水性を示し、異方性が増加した。
【0131】
90°の配向角で適用した2μmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を使用してフィルムFを形成させた。ここで、フィルムAに比べθxおよびθyの両方が増加した。しかしながら、Δθ値は低く(約8°)、等方性が示される。
【0132】
他方、2μmの幅のグレーティングを有する第2のモールド(6)を、45°の配向角で適用しフィルムGを形成させると、θyのみが増加した。そのため、θxに変化がないので、Δθ値が増加し(約35°まで)、フィルムAに比べ異方性度がより高くなることが示される。
【0133】
理論に縛られたくはないが、増強した疎水性は、階層構造により生じた、より高い粗さ度の結果である可能性があり、Wenzelモデルの助けを借りて理解することができる。フィルムFにおいて見られるように異方性度の減少は、グレーティング形成の構造により誘導された粗さ効果とエネルギー障壁形成との間の組み合わせにより暫定的に説明することができる。図10で示されるように、水滴の寸法および/または形状は、異なるフィルムに適用した場合、異なる程度まで変化した。
【0134】
そのため、ポリマー基材上にインプリントさせた異なる三次元階層構造により、水滴の寸法および/または形状を効果的に操作することができ、フィルムの濡れ挙動を効果的支配することができる。
【0135】
用途
表面の濡れ性が改変された基材は、線構造ポリマーフィルム、液滴に基づく装置、マイクロ-エレクトロ-メカニカルシステム(MEMS)、ナノ-エレクトロ-メカニカルシステム(NEMS)、センサ、ウインドウ、ガラス、塗料などのコーティングおよび塗装を含む様々な用途で使用することができる。
【0136】
好都合なことに、基材表面の異方性の濡れ性度を調整する可能性を、液体の流れの方向を制御することが望ましい様々な装置に適用してもよい。そのような装置としては、マイクロ流体素子、ラボチップ(lab-on-a chip)装置、などが挙げられる。
【0137】
好都合なことに、方法は費用効果が高い可能性があり、複雑な機器が必要でなくなる可能性がある。
【0138】
好都合なことに、方法はマイクロ/ナノスケールの試料について使用してもよい。
【0139】
好都合なことに、方法では基材表面の化学処理が必要なくなる。このように、方法は基材の機械的完全性の有害な変化を引き起こす可能性はなく、または基材の熱的特性、光学特性または化学特性に影響する可能性はない。さらに、基材表面の濡れ性を変化させるのに、他の物理的手段、例えばプラズマエッチングを使用する必要がない。
【0140】
好都合なことに、方法により、表面の変化が、表面の濡れ性を変化させる他の方法に比べ、より長く続くことができる基材となる可能性がある。
【0141】
前記開示を読んだ後では、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な他の改変および適応が当業者には明白であることは明らかであり、そのような改変および適応は添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールド(mold)を基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程であって、該インプリント形成表面は基材表面の濡れ性(wetting property)を改変するように選択される、工程
を含む、基材表面の濡れ性を改変する方法。
【請求項2】
(B)インプリント形成表面を有する第2のモールドを第1のインプリントに適用し、第1のインプリント上に第2のインプリントを形成させる工程;ならびに
(C)上記適用工程(B)中に、第1のインプリントに対し第2のモールドを配向させる工程であって、該配向ならびに第1および第2のインプリントの寸法は、基材表面の濡れ性を改変するように選択される、工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
配向工程により、基材表面が、第1および第2のモールドをその上に適用させていない表面に対しより液体忌避性(liquidphobic)とされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
配向工程により、基材表面が、第1および第2のモールドをその上に適用させていない表面に対しより液体親和性とされる、請求項2記載の方法。
【請求項5】
配向工程が、基材表面の等方性を調節する、請求項2記載の方法。
【請求項6】
第1および第2のインプリントが、概して形状が長軸方向であり、インプリントの各々が長軸に沿って延在する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
配向工程中、形成された第2のインプリントの長軸が、形成された第1のインプリントの長軸に対し、0°〜90°、0°〜45°、および45°〜90°からなる群より選択される範囲の角度で配置されるように、第2のモールドが第1のインプリントに適用される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第2のモールドの長軸が第1のインプリントの長軸に対し概ね平行である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第2のモールドの長軸が第1のインプリントの長軸に対し概ね垂直である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
第2のモールドの長軸が第1のインプリントの長軸に対し約45°である、請求項7記載の方法。
【請求項11】
第1および第2のインプリントの幅が、マイクロスケールまたはナノスケールのいずれかである、請求項2記載の方法。
【請求項12】
第1および第2のインプリントの幅が、200nm〜3000nm、250nm〜2500nm、および250nm〜2000nmからなる群より選択される範囲内にある、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第1および第2のインプリントが異なる幅寸法を有する、請求項2記載の方法。
【請求項14】
基材がポリマー基材である、請求項2記載の方法。
【請求項15】
ポリマー基材が熱可塑性ポリマーである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
熱可塑性ポリマーが、アクリレート、フタルアミド、アクリロニトリル、セルロース誘導体、スチレン、アルキル、アルキルメタクリレート、アルケン、ハロゲン化アルケン、アミド、イミド、アリールエーテルケトン、ブタジエン、ケトン、エステル、アセタール、カーボネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、およびポリカーボネートのうちの少なくとも1つである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ポリマー基材がエポキシ系ネガティブレジストを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
エポキシ系ネガティブレジストがSU-8(商標)レジストである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ポリマー基材がポリマー複合物である、請求項14記載の方法。
【請求項21】
第1および第2のモールドのインプリント形成表面が、第1および第2の適用工程の少なくとも1つの間に、三次元構造を作製する、請求項2記載の方法。
【請求項22】
三次元構造が、マイクロ構造、ナノ構造、およびその組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ケイ素、金属、ガラス、石英、セラミック、およびそれらの組み合わせからなる群より、第1のモールドおよび第2のモールドの少なくとも1つを選択する工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項24】
工程(A)および工程(B)の少なくとも1つの前に、第1および第2のモールドの少なくとも1つを静止摩擦防止剤(anti-stiction agent)で処理する工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項25】
静止摩擦防止剤がシラン系静止摩擦防止剤である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
第1および第2のインプリントが基材表面上に規定的なパターンを形成し、これによりその上での流体の流れが促進される、請求項2記載の方法。
【請求項27】
第1および第2のインプリントが基材表面上に規定的なパターンを形成し、これによりその上での流体の流れが阻止される、請求項2記載の方法。
【請求項28】
工程(A)中、ポリマー基材のガラス転移温度(Tg)を超える温度を選択する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項29】
工程(B)中、ポリマー基材のガラス転移温度(Tg)より低い温度を選択する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項30】
工程(C)の後に、第2のインプリント上に1つまたは複数の別のインプリントを形成する工程であって、該1つまたは複数の別のインプリントは少なくとも第2のインプリントに対し異なる配向である、工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項31】
(A)インプリント形成表面を有する第1のモールドを基材に適用し、その上に第1のインプリントを形成させる工程であって、インプリント形成表面は基材表面の濡れ性を改変するように選択される、工程
を含む方法で製造された、選択された濡れ性を備えた表面を有する基材。
【請求項32】
基材を製造する方法が、
(B)インプリント形成表面を有する第2のモールドを第1のインプリントに適用し、第1のインプリント上に第2のインプリントを形成させる工程;ならびに
(C)適用工程(B)中に、第1のインプリントに対し第2のモールドを配向させる工程であって、該配向ならびに第1および第2のインプリントの寸法は、基材表面の選択された濡れ性が得られるように選択される、工程
をさらに含む、請求項31記載の基材。
【請求項33】
基材がポリマー基材である、請求項31記載の基材。
【請求項34】
ポリマー基材のポリマーが非ポリマー基材上にスピンコートされている、請求項33記載の基材。
【請求項35】
請求項1記載の方法で製造された三次元ポリマー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−507715(P2010−507715A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534550(P2009−534550)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000344
【国際公開番号】WO2008/051166
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(507284466)エージェンシー・フォー・サイエンス・テクノロジー・アンド・リサーチ (5)
【Fターム(参考)】