説明

基板およびバリア層を含む積層体、およびその調製方法

本発明は、2枚のプラスチックフィルムおよびその間の結晶質トリアジン層を含み、30mm/分の90度引張試験において測定された場合に約2N/インチ以上の積層強度を有する積層体に関する。この積層体は、厚紙ベースのフルーツジュースおよび乳製品の包装材といったような包装材;レトルト包装材、ディスプレイなどのために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、優れたバリア性および接着性を有する2つのプラスチックフィルムを含む積層体に関する。本発明はさらに、この積層体の調製方法にも関する。
【0002】
積層体は、包装産業、電子産業およびその他の産業において使用される。積層体は、低い酸素または水蒸気透過率といったような優れたバリア性を必要とすることが多い。プラスチックまたは紙フィルムは、バリア性を改善する1つ以上の層でコーティングする必要がある。その上、フィルム間の接着力は充分に高くなければならない。例えばアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ケイ素などといったような金属または金属酸化物でコーティングされたポリオレフィンまたはポリエステルフィルムなどの基板が公知である。バリア性を有するフィルムは一般に、接着剤を使用して、または押出積層法を用いて、例えばさらなるポリオレフィンフィルムでさらに積層される。これらの積層体は例えば、包装産業または電子産業において使用される。かかる積層体は優れたバリア性を有し得る。しかしながら、バリア性を増強させるのに用いられる金属層は、不透明で、再生利用が困難であるため環境問題をひき起こし、包装の中味を電子レンジで加熱することができない。バリア性を増強するのに用いられる金属酸化物層は、損傷を受け易く、高価でかつ、積層体を高い信頼性で生産するためには高水準の作業員を必要とする。PVDCタイプのバリアフィルムは、その塩素含有量のため環境問題をひき起こす。EVOHタイプのバリアフィルムは、感湿性が高い。
【0003】
包装材における積層体の使用の1つの具体例としては、例えば液体乳製品およびフルーツジュースのための厚紙または紙ベースのパッケージがある。一般に、これらのパッケージは、外側に、紙または板紙上のPEフィルムを有し、内側には紙または板紙上に積層されたPE−アルミニウム−PE層、PE−EVOH−PE層、PE−ナイロン−PE層またはPE層のみを有する。幅広の印刷された積層ウェブを調製した後、このウェブから厚紙ベースのパッケージを折畳み封止する。
【0004】
パッケージ内でいくつかの積層体を使用する別の具体例としては、いわゆるレトルト処理可能な包装材がある。このパッケージは(その最終的中味と共に)滅菌条件(例えば蒸気雰囲気中で30分間120℃よりもわずかに高い温度から例えば130℃で3時間まで)に付される。かかる積層体は、特定のプラスチックフィルム(例えばPEはこれらの温度に耐えることができないため)および特定の接着剤を必要とする。
【0005】
本発明の目的は、優れたバリア性および優れた積層強度を有し、電子レンジで加熱でき、しかも高い投資コストを必要としない積層体を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、UHT牛乳(超高温熱処理牛乳)といったような高性能および高価なバリアコーティングを必要としなくてよい一部の液体食品利用分野に適合するのに充分優れたものであるバリア層を伴う積層体を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、厚紙ベースの包装材において適切な優れたバリア性を伴う積層体を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、電子用途向けの積層体を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、レトルト包装材において適切な積層体を提供することにある。
【0010】
上述の目的のうちの1つ以上のものが、基板およびプラスチックフィルムそしてその間の結晶質トリアジン層を含み、30mm/分での90度引張試験において測定された場合に約2N/インチ以上の積層強度を有する積層体を提供する本発明によって達成される。
【0011】
かかる積層体は、高湿度条件下でも顕著なバリア性および耐久性特性を有する。その上、本発明の積層体は、電子レンジで加熱可能な食品用途向けの包装材において使用でき、かつ容易に再生利用できる。
【0012】
積層体内の結晶質トリアジン層が非感湿性であり、水蒸気透過率の減少をひき起こしさえするということは予想外であった。このことは、トップコートとしてのトリアジンバリア層が、感湿性であり、RH85%で測定された場合には酸素透過バリアの極端な低下すら導くため予想外であった。
【0013】
さらに、結晶質トリアジン層は印刷可能という特徴を有すると思われる。一般に、印刷はバリア性の低下をひき起こす。本発明の積層体は、優れた最終的特性を有する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態においては、積層体は、結晶質トリアジン層とプラスチックフィルムの間に接着剤層を含む。
【0015】
さらなる実施形態においては、積層体は、結晶質トリアジン層上にパターンまたは図形を含む。
【0016】
さらなる実施形態においては、結晶質トリアジン層上に直接フィルムを押出加工し、これに印刷を施してもよい。
【0017】
さらなる実施形態においては、包装材はPET基板、結晶質トリアジン層、ポリオレフィン層、紙または板紙層およびさらなるポリオレフィン層を含む。
【0018】
さらなる実施形態においては、積層体は、PP、PETおよびポリアミドから独立して選択されるプラスチック層を含むレトルト処理可能な積層体である。
【0019】
蒸着ステップにおいて基板上に形成される結晶質トリアジン層の厚みは、その意図された目的によって左右され、かくして広い限界内で変動し得る。好ましくは、層の厚みは、薄い方が透明度が向上することから、約100μm以下、より好ましくは約10μm以下、そして一層好ましくは約1μm以下である。厚みはコストを理由として例えば約500nm以下であってよい。最小厚みは好ましくは約2nm以上、より好ましくは約10nm以上、そして一層好ましくは約100nm以上であるが、これはこのような厚みが保護特性を向上させるからである。例えば、厚みは約200または300nm以上であり得る。
【0020】
結晶質トリアジンは単層であってよいが、例えばさらなるトリアジン層、印刷、さらなるポリマー層および/または硬化樹脂層といったようなさらなる層が結晶質トリアジン上に存在することも同様に可能である。
【0021】
本発明のさらなる実施形態は、硬化前にアジン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含んでいた、硬化樹脂層をさらに含む結晶質トリアジンの層を含む積層体に関する。
【0022】
本発明の一実施形態においては、硬化樹脂はコーティング、より好ましくは保護コーティングを形成する。
【0023】
本発明の別の実施形態においては、硬化性樹脂は、積層体内で接着剤層として機能する。このことは、接着剤が必要とされる場合に特に好適である。このような場合、接着剤はその接着性のためと同様に、メラミンバリア層の特性を向上させる目的でも用いられる。
【0024】
好ましくは、樹脂はさらにフィルム形成ポリマーを含む。
【0025】
フィルム形成ポリマーは、架橋性であってもよくまたは実質的に非反応性であってもよい。好ましくは、ポリマーは架橋性である。
【0026】
本発明の1つの好ましい実施形態においては、ポリマーは、アジン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂と反応させることができる。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態においては、樹脂は、フィルム形成ポリマーそして好ましくはアジンまたはフェノール樹脂とも反応できるさらなる架橋剤を含んでいた。
【0028】
別の好ましい実施形態においては、バリア性を有する積層体は印刷時にもそのバリア性を実質的に保持する。例えば、保護化合物を伴う結晶質トリアジンの層を含む基板フィルムは、70%以上、好ましくは90%以上という印刷時酸素バリア保持率を有する。
【0029】
本発明はさらに、
a)フィルム基板を提供し、
b)結晶質トリアジン層を適用し、
c)樹脂組成物を適用し、
d)少なくとも部分的に、樹脂組成物を硬化させて、
結晶質トリアジン層および硬化性樹脂を伴う基板を得、かつステップcまたはdの後にさらなるフィルムを適用するかまたはステップ(c)と同様に樹脂組成物を伴うフィルムを適用して、少なくとも結晶質トリアジン層および硬化性樹脂を伴う積層体を得ることにより、バリア性を有する積層体を作る方法に関する。
【0030】
アジン樹脂は当該技術分野において公知である。アジンの例としては、尿素、メラミン、ベンズグアナミンおよびグリクリルが含まれ、これらは任意には部分的にアルキル化可能である。フェノールは周知であり、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、フェノール、アルキルフェノール、ビスフェノール、塩化フェノールなどで作ることができる。
【0031】
本発明の一実施形態においては、アジン樹脂を使用することが好ましいが、その理由は、これらの樹脂が一般に無色透明であり、従ってコーティングが着色の原因となることが全くないからである。好ましいアジンはメラミン、尿素およびこれらの混合物である。本発明の好ましい実施形態においては、アジン樹脂はヘキサメチロールメラミンまたはヘキサメチルメチロールメラミンといったようなそれらに由来するアルキル化誘導体を含む。
【0032】
アジンまたはフェノール樹脂は、アジンまたはフェノールとホルムアルデヒドを反応させることによって作られる。一般に、反応は水中、より詳細には、水/ホルムアルデヒドの混合物中で実施される。結晶質トリアジン層のコーティング中で使用するためには水は好ましい溶剤ではないことから、実質的に全ての水を除去し100%の固体として樹脂を使用するかまたは水を別の溶剤と交換することが好ましい。アルコキシル化アジンまたはフェノール樹脂を使用することが特に好ましい。これらの樹脂中、メチロール基の一部分または全てがアルコール、一般的には第一級アルコールでエーテル化される。本発明の一実施形態においては、メチロール基は、かかる樹脂がさらに反応性であり得、このことは特に感熱性基板上での低温硬化にとっての一つの利点である。
【0033】
好ましい実施形態においては、アジンまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は実質的に100%固体であるかまたは非水性溶剤中に溶解している。
【0034】
さらに好ましい実施形態においては、アジンまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、アルキルアルコール化合物で部分的にエーテル化される。好ましくは、アルキルアルコール化合物は、1〜24個の炭素原子、好ましくは1〜12個、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。アルキルアルコール化合物の例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、シクロヘキサノール、トデカノールなどが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
樹脂組成物中の溶剤としては、一般的溶剤を使用することができる。溶剤中には少量の水があることが好ましい。好ましくは、溶剤中の水の量は約4重量%以下、好ましくは約1重量%以下である。さらに、アルコール化合物の量も少なくすることが好ましい。好ましくは、アルコール化合物の量は約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下である。一般的には、一部のアルコール化合物が、アルキル化ホルムアルデヒド樹脂用の溶剤としておよび/または触媒などのための溶剤として存在する。好ましくは、溶剤は炭化水素ベースの溶剤を含む。適切な炭化水素ベースの溶剤としては、キシレン、エチルベンゼン、ナフサ留分、トルエン、n−ヘキサン、オクタンなどが含まれる。その他の適切な溶剤としては、酢酸エチル、メトキシ−酢酸プロピル、ブタンジカルボン酸のジエチルエステルのようなエステル、エチル−メチルケトン、アセトンなどのようなケトンが含まれる。しかしながらエステルおよびケトンは、トリアジン層に不利な影響を及ぼし得ることから、あまり好ましくない可能性がある。エステルおよびケトンは好ましくは、溶剤の約20%以下より好ましくは約10重量%以下で存在する。
【0036】
好ましくは、溶剤を一切使用しないか、または溶剤を使用する場合には、好ましくは、約50重量%以上、好ましくは約70%以上そして最も好ましくは約85%以上について、芳香族または脂肪族溶剤のような炭化水素ベースの溶剤を使用する。
【0037】
アジンまたはフェノール樹脂(好ましくはエーテル化されたアジン−ホルムアルデヒドまたはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂)はそのままで、好ましくは触媒と共に使用可能である。この場合、樹脂組成物の約90重量%以上がアジンまたはフェノール樹脂である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態においては、さらなるポリマーがアジンまたはフェノール樹脂と共に使用される。このポリマーは、架橋性樹脂または非架橋性ポリマーであってよい。
【0039】
好ましい実施形態においては、アジンまたはフェノール樹脂の量は、樹脂組成物(有機固体)の約3重量%以上、好ましくは約5重量%以上、より好ましくは約8重量%以上、そしてさらに一層好ましくは約15重量%以上である。別のポリマーが存在する場合、それは、好ましくは約10重量%以上、好ましくは約30重量%以上、さらに一層好ましくは約50重量%以上で存在する。
【0040】
本発明の一実施形態においては、さらなるポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル、アクリルポリマー、ポリカーボネート、ポリ炭化水素またはそれらの混合物および/またはそれらの共ポリマーである。かかるポリマーの適切な例としては、アルキドおよび変性アルキド樹脂;変性アルキドがアクリル化またはエポキシド化アルキドであるものとして飽和ポリエステル;アクリル変性ポリエステル;アクリル樹脂、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、ポリ(メチル)テトラヒドロフラン、エチレンオキシド−ブチレンオキシドコポリマー、エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー);ポリカーボネート:PC−PPOコポリマー;TMP−トリ/ヘキサ−カプロラクトン;アルコキシル化ペンタエリスリトール、エトキシル化BPA、アクリルアミド樹脂;OH−官能性アクリル樹脂類;エポキシエステル類;エポキシ官能性フェノール樹脂またはポリエステル−フェノール樹脂;水酸化ポリブチレン、水酸化C9樹脂類、水酸化C5樹脂類および無水マレイン酸グラフト化炭化水素樹脂類が含まれるがこれらに限定されるわけではない。さらに、セルロースオリゴマといったような天然材料に基づくポリマーを使用することができる。
【0041】
好ましくは、さらなるポリマーの数平均分子量は約50000以下、好ましくは約20000以下、かつ約500以上、好ましくは約1000以上である。
【0042】
好ましくはさらなるポリマーは反応基を有し、架橋網状構造を形成することができる。本発明の一実施形態においては、さらなるポリマーはアジンまたはフェノール樹脂と反応する。好ましくは、さらなるポリマーは反応性ヒドロキシル基を有する。好ましくは、ヒドロキシル価は約3以上、好ましくは約20以上である。一般的には、OH価は約200以下、好ましくは約150以下となる。一般的には、酸価は約50以下、好ましくは約10以下となる。
【0043】
非架橋性樹脂の適切な例は、例えばアクリル樹脂、メチル−セルロース、炭化水素樹脂(粘着付与剤)などである。
【0044】
添加剤としては、樹脂組成物は、安定剤、流動化剤、湿潤剤、遮へい剤、着色剤、ブロッキング防止剤、接着促進剤、帯電防止剤、フッ化材料のような防汚剤、シリコン溶液、アクリルポリマー、フィルムを封止可能にするための粘着剤などを含んでいてよい。これらの添加剤は一般に、樹脂組成物の約0.1重量%以上、往々にして約1重量%以上を構成する。一般的には、この量は約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下となる。
【0045】
樹脂組成物はさらに充填剤または固体添加物、例えばナノ粒子、粘土、シリコン、静電防止剤、炭素、硬度用AlOxなどを含んでいてよい。固体添加物は、粒子の大部分が非反応性であるために、樹脂、溶剤などについての計算の中に付加されない。固体添加物の量は約5重量%以上、好ましくは約10重量%以上であってよく、樹脂の量との関係において200重量%以下、好ましくは約100重量%以下という高いものであり得る。
【0046】
樹脂組成物は好ましくは、硬化速度を加速させかつ/または硬化温度を低下させるための触媒を含有する。
【0047】
1つの実施形態においては、樹脂組成物は、120℃で10分以内にアジンまたはフェノール樹脂のための適切な硬化を達成するのに充分な触媒を含む。好ましくは、硬化は120℃で約5分以内で充分である。この実施形態は例えばPET担体が使用される場合に適している。
【0048】
別の実施形態においては、樹脂組成物は70℃で20分以内、好ましくは10分以内そしてより好ましくは5分以内に適切な硬化を達成するのに充分な触媒を含む。この実施形態は例えばPP担体が使用される場合に適している。
【0049】
本発明の別の実施形態においては、樹脂組成物は、二重硬化用の化合物を含む。例えば、この樹脂は、それがエチレン不飽和成分を含有する場合UV光で硬化され、アジンまたはフェノールホルムアルデヒド樹脂を硬化させるためには熱で硬化されてよい。代替的には、アジンまたはフェノールホルムアルデヒド樹脂を硬化させるために、ヒドロキシ官能基の一部分はイソシアネートと架橋されもう一部分は熱で架橋されてよい。代替的には、アジンまたはフェノールホルムアルデヒド樹脂を硬化させるために、化合物の一部分は酸/エポキシまたはアミン/エポキシ反応を通して硬化され、もう一部分は熱で硬化されてよい。樹脂組成物が第2のフィルム用の接着剤として使用される場合、二重硬化機序が特に有利であるかもしれない。
【0050】
一般に、23℃での樹脂組成物の粘度は、約0.1Pa・s以上、好ましくは約1Pa・s以上となる。一般に、この粘度は、粘度計で測定した場合に約50Pa・s以下、好ましくは約10Pa・s以下となる。
【0051】
樹脂組成物は、グラビアコーターまたはその他の公知の手段により塗布することができる。好ましくは、樹脂組成物は約100nm以上、好ましくは約1μm以上の厚みで塗布される。一般に、この厚みは約100μm以下、好ましくは約10μm以下となる。好ましい厚みは例えば1.5、2、3または4μmであり得る。
【0052】
硬化は、樹脂組成物を伴う基板をオーブン内で加熱することによって、または赤外線照射によって達成可能である。
【0053】
本発明の一実施形態においては、20〜60℃という温度でメチロール−エーテル化反応が進みさらに硬化することから、これらの温度で担体上にて保護コーティングを後硬化させる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態においては、積層体はプラスチックフィルム上に結晶質トリアジン層を含み、これはさらに硬化性樹脂組成物を含み、かつ硬化性樹脂組成物とさらなるプラスチックフィルムの間に接着剤層を有する。
【0055】
さらなる実施形態においては、積層体は結晶質トリアジン層上の硬化樹脂層の上にパターンまたは図形を含んでいる。
【0056】
さらなる実施形態においては、フィルムは結晶質トリアジン層上に直接押出し加工され、これに印刷してもよく、かつこれはさらなる樹脂層を含んでいてもよい。
【0057】
さらなる実施形態においては、本発明は、PET基板、反応性化合物で保護されている結晶質トリアジン層、ポリオレフィン層、紙または板紙層およびさらなるポリオレフィン層を含む包装材に関する。
【0058】
さらなる実施形態においては、本発明は、PP、PETおよびポリアミドから独立して選択されたプラスチック層、結晶質トリアジン層を含むレトルト加工可能な積層体である積層体に関する。この積層体はさらに、レトルト処理条件に耐えるのに適した接着剤を含むものである。接着剤は保護化合物を含んでいてよく、または積層体は保護コーティングおよびレトルト処理可能な接着剤を含んでいてよい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態においては、バリア性を有する積層体は封止可能である。
【0060】
本発明に従った結晶質トリアジン層は原則として、あらゆるトリアジン化合物、例えばメラミン、メラム、メレムまたはメロンを含んでいてよい。好ましくはトリアジン化合物はメラミンである。
【0061】
好ましくは、複合層は、接着剤およびプラスチックフィルムが結晶質トリアジン層の側に積層されている場合に、30mm/分および90度で引張試験装置を用いて測定して、約2.5N/インチ以上、より好ましくは約3N/インチ以上、さらに好ましくは約3.5N/インチ以上の積層強度を示すことができる。一般に、積層強度の上限はさほど重要ではないが、一般にこれは約20N/インチ以下となる。好ましくは試験用の複合層の積層は、適切なウレタン接着剤で行なわれ、厚み10μmのポリエチレンフィルムで積層される。その後、2枚のフィルムの積層強度を測定でき、破損モードを観察することができる。適切な接着剤は、接着層上に破損モードが観察されないような接着強度を有する接着剤である。接着力が非常に高いためプラスチックが破断する場合がある。その場合、フィルムを破断させるのに必要な力の値を、接着力の値として採用することができる。
【0062】
基板は、担体として役立つ材料を含み、これは一般にフィルムまたはウェブの形をしたプラスチックまたは紙となる。
【0063】
可撓性包装用材料は一般に、以下フィルムと呼ぶフィルムまたはシート様の材料をベースとしている。
【0064】
本発明に従った複合層、特に基板としてフィルムを伴う複合層は、そのままで使用してよいが、プラスチック、紙、板紙などの上に適用することもできる。
【0065】
本発明の一実施形態においては、この層は食品および飲料製品のためのパッキングの一部である。適切な食品および飲料製品としては、コーヒー豆または挽豆コーヒー、ビール、フルーツジュース、トマトケチャップ、牛乳、チーズ、調理済食品などが含まれるがこれらに限定されるわけではない。この包装材は、パーソナルケア製品および医薬品といったその他の製品のためにも使用できる。
【0066】
本発明の別の実施形態においては、積層体または複合層は、ディスプレイまたはその他の電子製品、好ましくは可撓性電子製品の中または上で使用される。電子可撓性製品の一例は、可撓性ディスプレイである。
【0067】
トリアジン層のバリア性および/または接着力は、基板をまず最初にプライマー層で処理した場合に改善できる。プライマー剤としては、さまざまなタイプの化合物が使用可能である。例としては、アクリレートおよびエポキシといったようなUV硬化性モノマーそしてエポキシ、イソシアネートまたはポリエステルベースの接着剤といったようなさまざまなタイプの熱硬化性樹脂が含まれる。パリレンといったプライマー剤を塗布するために化学蒸着(CVD)法を使用することも同様に可能である。プライマー剤の塗布は、最初にプライマー剤を例えば気化、噴霧またはCVDとそれに続くトリアジン化合物の被着によって塗布することによってインラインで(真空チャンバ内で)、またはオフラインで、すなわち真空チャンバ外でプライマー剤を塗布することによって行なうことができる。異なるタイプのプライマー剤および接着剤を用いたインラインおよびオフライン方法の組合せも同様に可能である。より高いバリア性を達成するためには、このプロセスを何回も反復して行なって、ベース基板(例えばPET)、プライマー剤、トリアジン層、プライマー剤、トリアジン層等からなる複合構造を生成することができる。プライマー剤をトリアジン層の上面に塗布する場合、それは、湿気および機械的磨耗の作用からこの層を保護するための付加的な機能を有する。この場合、プライマー剤の選択は重要である。すなわちトリアジン層が水蒸気のための均等なバリアを有し得るような形でプライマー剤を選択することができる。
【0068】
基板フィルムは、均質な材料で構成されてよく、あるいはそれ自体不均質であるかまたは複合材料であってもよい。基板フィルムは、さまざまな層を含んでいてよい。好ましくはフィルムはポリマー材料を含む。ポリマー化合物の例としては、熱可塑性化合物および熱硬化性化合物がある。熱可塑性化合物の適切な例には、ポリオレフィン、ポリオレフィン−共ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエステルおよびポリアミドが含まれる。かかるポリマーの適切な例としては、HDまたはLDポリエチレン(PE)、LLDポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。これらの熱可塑性化合物は、そのままかまたは配向された状態でフィルムの形で使用されることが多い。かかる配向は2軸配向、例えば2軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)および2軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)であってよい。フィルムは、紙の層を含んでいてもよい。
【0069】
結晶質メラミン層を伴う基板は、例えばフレキソ印刷、グラビア印刷または凸版印刷といったような当該技術分野において公知の方法で印刷可能である。適切なインク、例えば溶剤またはUV硬化性インクなどを使用することができる。積層体上に印刷を実施することもできる。
【0070】
結晶質メラミン層を伴う基は、さらに積層体の形に加工されることになる。さらなる積層ステップは、接着剤を塗布することそしてさらにフィルムを適用することによって行なうことができ、そうでなければ直接押出積層によって行なうことができる。接着剤としては、溶剤ベースの接着剤または溶剤を含まない系を使用できる。本発明の好ましい実施形態においては、接着剤はメラミン粒子に対する優れた接着力をもち、高い強度を有し、かくして結晶質メラミン層の一貫性を補助する。接着剤は低い膨張、高いTg、高い架橋密度および高い固有水バリアを有することが好適である。接着剤の例としては、アクリレート、エポキシ、イソシアネート、ポリエステルをベースとするさまざまなタイプのUVまたは熱硬化性樹脂および、メラミンホルムアルデヒド樹脂(上述の通り)が含まれる。本発明の別の実施形態においては、直接押出積層は比較的低温で実施される。低温はエネルギを節約し、バリア性を改善する。一般には、その他の系内での接着力を改善する目的で、押出フィルムを酸化させるべく約400℃で押出積層が実施されている。かかる高温は必要ではないと思われたことから、好ましくは押出積層は約300℃以下、さらに一層好ましくは約250℃以下、そして最も好ましくは約200℃以下で行なわれる。
【0071】
本発明に従った複合層は、例えば低い酸素透過率(OTR)および低い水蒸気透過率(WVTR)といった有利なバリア性を有し、充分な耐摩耗性を有する。したがって、本発明の複合層は、そのままの状態で印刷および積層に使用可能である。
【0072】
OTRは、一般に、20〜30℃およびRH0%〜85%の雰囲気中で測定される。好ましい値は一般に、基板によって左右される。基板が2軸配向ポリプロピレン(BOPP)である場合、OTRは一般に約400cc/m・24h・MPa以下、好ましくは約300cc/m・24h・MPa以下そしてさらに一層好ましくは約200cc/m・24h・MPa以下となる。一般に、BOPPの場合、OTRは約20cc/m・24h・MPa以上となり、例えば約50cc/m・24h・MPa以上であってよい。OTRは適切な装置例えばModern Control Co.製のOXTRAN2/20を用いて測定できる。基板がPETフィルムである場合、OTRは一般に約50cc/m・24h・MPa以下、好ましくは約30cc/m・24h・MPa以下そしてさらに一層好ましくは約10cc/m・24h・MPa以下となる。一般に、PETの場合、OTRは約0.3cc/m・24h・MPa以上となり、例えば約0.5または1cc/m・24h・MPa以上であってよい。
【0073】
水蒸気透過性(WVTR)は、25〜40℃でRH50〜90%の間の雰囲気中でModern Control Co.製のPERMATRAN3/31を用いて測定可能である。好ましい値は基板によって左右されることになる。例えば、BOPPについては、WVTRは一般に約3g/m・24h以下、好ましくは約2g/m・24h以下、そしてより好ましくは約1g/m・24h以下である。一般に、蒸気透過性は約0.1g/m・24h以上、例えば約0.2g/m・24h以上となる。例えばPETについては、WVTRは一般に約8g/m・24h以下、好ましくは約7g/m以下そしてより好ましくは約4g/m・24h以下である。一般に、蒸気透過性は約0.5g/m・24h以上、例えば約2g/m・24h以上となる。
【0074】
好ましくは、積層体は、先の2つの段落中で与えられている値に適合するOTRおよびWVTRをその他の基板についても有する。
【0075】
任意には例えば印刷および積層によってさらに加工される複合層は、例えば紙、シートおよびフィルムなどの全ての種類のパッキング材料としてまたはこれらの材料に対して適用され得る。パッキング材料は、例えば中味を酸素から極めて良好に保護し、こうして例えば食品またはパーソナルケア製品の保管寿命を延ばすかまたは電子部品を酸素の攻撃から保護する。
【0076】
一実施形態においては、積層体は基板としてのPETまたはBOPPフィルム、バリア層としての結晶質トリアジン層を含み、この積層体はさらにこの結晶質トリアジン層の上にパターンまたは図形および接着剤そしてその上に好ましくはPEフィルムといったようなポリオレフィンフィルムであってよいさらなるフィルムを含む。別の好ましい実施形態においては、ポリオレフィンフィルムは、トリアジン層上の直接印刷の代りに裏刷を有する。
【0077】
トリアジン含有層およびかかる層の製作方法が、国際公開第2004/101662号パンフレット中に記述されている。国際公開第2004/101662号パンフレット中では、蒸着ステップにおいてトリアジン化合物、好ましくはメラミンが基板上に減圧下で被着され、基板の温度が気化されたトリアジンの温度よりも低いものである方法が記述されている。国際公開第2004/101662号パンフレットは、蒸着ステップの前またはその最中に、基板の表面上に反応基を作り出しかくして基板に対する層の接着力を改善するべくプラズマ、コロナ、UV放射線、電子ビームまたは反応性ガス例えば水で基板を処理してよい、ということを示唆している。
【0078】
好ましくは、基板は約50℃以下の温度に保たれる。
【0079】
蒸着自体は、当業者にとって公知の方法である。公知の通り、蒸着ステップは、減圧下すなわち大気圧より低い圧力で実施されることが多い。本発明に従った方法においては、圧力は好ましくは約1000Pa未満、好ましくは約100Pa未満、さらに一層好ましくは約1Pa未満、より好ましくは約1×10−2Pa未満である。意外にも、蒸着ステップの実施圧力をさらに一層、好ましくは約4×10−3Pa以下まで削減することによってバリア性といったような複合材料の特性をさらに改善させることができる。より好ましくは、蒸着ステップは、約2×10−3Pa以下の圧力または約1×10−3Pa以下の圧力下で実施される。詳細には、蒸着ステップは、約5×10−4Pa以下の圧力または約1×10−4Pa以下の圧力で実施される。より詳細には、蒸着ステップは、約5×10−5Pa以下または約1×10−5Pa以下の圧力で実施される。最も好ましくは、蒸着ステップは約5×10−6Paの圧力またはさらには約1×10−6Pa以下の圧力で実施される。
【0080】
蒸着ステップの間、基板の温度は約−60℃以上、好ましくは約−30℃以上そしてさらに一層好ましくは約−20℃以上、そして最も好ましくは約−15℃以上である。基板の温度は一般に約+125℃以下、好ましくは約+100℃以下、さらに一層好ましくは約+80℃以上、そして最も好ましくは約30℃以下となる。基板の温度は、本明細書では、蒸着を受けていない基板の部分の温度として定義されている。例えば、蒸着ステップが、温度制御されたコーティングドラム上を案内されるフィルムに対して行なわれる場合、基板の温度は、コーティングドラムが制御されている温度、ひいてはコーティングドラムと直接接触状態にあるフィルムの表面区分の温度である。このような場合、被着される化合物の温度が125℃よりもはるかに高いことが多いということを考慮すると、(公知の通り)基板の被着される側の温度が被着されない側の温度よりも高くなることが標準的に発生する。
【0081】
基板が規定の温度を確実に有するようにする方法は、それ自体公知である。基板が規定の温度を確実に有するようにするこのような公知の方法は、いかなる層も蒸着を受けない基板の少なくとも1つの区分、平面または側面が存在する場合に適用可能である。次に前記区分、平面または側面を冷却されたまたは加熱された表面と接触させて、温度を所望のレベルに昇降させ、その温度に保つことができる。一例としては、基板がフィルムであり、そのフィルムの一方の側に層を被着させる半連続的または連続的プロセスとして蒸着ステップが実施される場合、前記フィルムをコーティングドラムとしても知られている温度制御型ロール上を案内し、かくして(いかなる層も被着されない)フィルムの他方の側が蒸着ステップの前および/または途中および/または後に温度制御型ロールと接触した状態になるようにすることができる、ということが公知である。
【0082】
メラミン蒸気と基板の間の温度差の効果の1つは、核形成点の数と相まって、結晶質メラミン層の粒子サイズに影響を及ぼすことができるという点にある。この粒子サイズは圧力によっても変更可能であり、圧力が低くなればなるほど粒子サイズまたはメラミンフラックスすなわち気化したメラミンの量は減少し、メラミンが多いと粒子は小さくなる。その上、粒子サイズは、基板上への連続的(ロール間)被着または静的被着、そして蒸発器の設計により影響を受ける可能性がある。本発明の好ましい実施形態においては、被着プロセスは、結晶質メラミン層の粒子サイズが比較的大きくなるような形で影響を受けるが、これはそれによって特に高温度条件下でのバリア性が改善されるからである。好ましくは、粒子サイズは約200nm以上、より好ましくは約300nm以上である。例えば粒子は平均直径が約400nm以上である。一般に、粒子は約1000nm以下、好ましくは約700nm以下となるが、これはそれによりさらに高速の加工が可能となるからである。
【0083】
別の好ましい実施形態においては、結晶質メラミン層は高湿度雰囲気中でエージングされる。例えばRH85%の雰囲気中でエージングすると、メラミンバリア性がその後乾燥雰囲気中で再び測定された場合に改善が見られるように思われた。例えばエージングは、0℃超、好ましくは約20℃以上、例えば30℃または40℃で湿潤な雰囲気(RH70%〜100%)の中で行なうことができる。一般に、実践的理由から温度は100℃以下、好ましくは約60℃以下となる。加圧チャンバを使用することを選択した場合、さらに高い温度を用いてよい。有用な時限は、エージング後のOTRを測定することによって当業者が決定できる。
【0084】
大きな粒子サイズの使用およびエージングの使用の両方とも、フィルム、剛性基板、金属または金属酸化物層を伴うフィルム上およびそれで作られた積層体内にあるあらゆる結晶質トリアジン層について実施可能である。大きな粒子サイズおよびエージングの使用は、特にボトルといった剛性包装材およびディスプレイ用フィルムにおいて有効である。
【0085】
図1は本発明の方法を利用できる装置の概略図である。図面中、(1)は基板、例えば、ボビン(2)からボビン(2’)へと巻き取られるフィルムである。フィルムは好ましくはプラズマまたはコロナ処理され、この処理は予め実施しておくこともできるし、あるいはインライン(4)で行なうこともできる。フィルムはロール(3)および(3’)により案内される。冷却用ロールは同様に好ましくは、メラミン蒸発器の出口と多少の差こそあれ反対側に設置され得ると思われる。その場合、それは圧力ロールとしても作用できると思われる。容器(5)はトリアジン化合物用の気化容器を表わし、このトリアジンは基板層上に塗布される。
【0086】
図1の装置は、1〜10・10−5Paの真空にすることのできる真空チャンバ(図示せず)内に収納された。両方の区画内で異なる加工条件を可能にすると考えられかつトリアジンの汚染を制限することから、1つはプラズマ処理を伴い1つはトリアジンコーティングドラムを伴う2つの真空チャンバを、基板が移動できるよう狭いすき間を伴って使用することも可能である。
【0087】
以下の限定的意味のない実施例によって本発明をさらに説明する。
【0088】
[実施例1〜2および比較用実験A]
図1に示すような装置内で、コーティング実験を実施した。37μmの2軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)をプラズマ処理し、50μPaの真空下でメラミンによりコーティングした。フィルム速度は5m/秒であった。酢酸エチルを溶剤とする溶剤ベースのウレタン接着剤を使用しながら、積層強度を測定するため、さらなるプラスチックフィルム(BOPP、1つは裏刷されたもの)とフィルムを積層させた。
【0089】
30mm/分の速度でTensilonインストロンテスターを用いてJISZ0238にしたがって、積層強度を測定した。2枚のフィルムの間の角度は90度であった。
【0090】
酸素透過率(OTR)は、23℃およびRH0%および85%の雰囲気中で、Modern Control Cop製のOXTRAN2/20を用いて測定した。
【0091】
蒸気透過性は、40℃およびRH90%の雰囲気中で、Modern Control Co.製のPERMATRAN3/31を用いて測定した。結果は表1に示されている。
【0092】
【表1】

【0093】
これらの実験から、印刷および水分がまさにメラミンバリア層のバリア性をわずかに低下させることは明らかである。
【0094】
[実施例3]
類似の要領で、12ミクロンのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)をメラミン(300nm)で処理した。次に、メラミン層に印刷を行い、これにより透過率のわずかな増大が発生した。印刷された層の一部分を、実施例1〜2について記述した通りの接着剤、およびプロピレンフィルムを用いてさらに積層した。別の部分を直接押出プロセスにおいて(ダイ温度は320℃であった)ポリエチレンフィルムと積層させた。結晶質メラミン層は、このように作られたフィルム(15〜35ミクロン)により加熱に耐えることができ、優れた積層強度を示した。OTRは0.5、WVTRは2であった。
【0095】
[実施例4]
類似の要領で、実施例2に記述した通りに作った複合層を用いて積層体を作製した。さらなる積層において、Novacote NC275Aおよび触媒CA12(それぞれ42.7および10.7重量%)と46.6%の酢酸エチルから成る接着剤をメラミン層上に塗布した。接着剤は40%の固体百分率を有していた。積層後のOTRは9.5であった。積層強度は2N/インチ超であった。
【0096】
[実施例5]
類似の要領で、PETフィルムに結晶質メラミン層を具備した。初期OTRはRH0%で0.61であった。2日間RH85%でエージングさせた後(ここでOTRは1.58まで上昇した)、再びRH0%で測定したところ、OTRはわずか0.08であった。
【0097】
[実施例6〜8および比較用実験BおよびC]
表2に示されている通りの成分を混合することによって、以下のコーティング組成物を作った。量は重量部分単位である。
【0098】
【表2】

【0099】
Uralac SN859およびUralac SN820は、約50のOH価、約5000のMwを有するDSM樹脂のポリエステルである。Uralac SN859は、約70℃のTgを有し、Uralac SN820は約7℃のTgを有する。
CAB551は湿潤剤である。
Nacure 2500は酸性硬化触媒である。
【0100】
ボックスコーター内でメラミンを蒸着することにより結晶質メラミンの連続層を厚み23μmのPET−フィルム(Melinex S)にコーティングし、これを約5・10−5mBarの圧力で250℃まで加熱した。その後、ロールコーティングによりコーティングを適用した。コーティングの厚みは約4μmであった。その後、厚み12μmで塗布されるNeoRex P900、Tolonate IDT、酢酸ブチル中のIPDIを含む積層用接着剤および厚み30μmの流延ポリプロピレンフィルムを適用することによって積層体を作製した。結果は表3にまとめられている。
【0101】
【表3】

【0102】
Modern Control Co.製のOXTRAN2/20をその手引書にしたがって使用して、OTRを測定した。与えられた値は、(一般的に)48時間後の定常状態値である。測定は、23℃で行なわれた。OTRは24時間1mあたりのccとして表現されている。
【0103】
実験は、裸のPETフィルムが約65という酸素透過を有することを示している(実験C)。結晶質メラミン層を塗布することにより、OTRはまさしく実質的に改善される(実験B)が、高い湿度では優れたバリア性は消滅する。実施例8から明らかであるように、積層は高湿度でのOTRを改善する。RH85%でさえ優れた酸素バリアを得るのに適した樹脂層を伴う結晶質メラミン層を用いると、さらなる改善が達成される。こうして、このバリアフィルムは、透明な包装材に極めて適したものとなっている。
【0104】
実施例6のフィルムを同様に、伸長試験(5%の伸長)に付した。当初OTRは13まで上昇し、バリア性の一部は明らかにそのまま残存した。RH85%ではOTRはわずか3.3であり、結晶質メラミン層が水分に起因して概して自己回復性を有することを示した。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の方法を利用できる装置の概略図である。図面中、(1)は基板、例えば、ボビン(2)からボビン(2’)へと巻き取られるフィルムである。フィルムは好ましくはプラズマまたはコロナ処理され、この処理は予め実施しておくこともできるし、あるいはインライン(4)で行なうこともできる。フィルムはロール(3)および(3’)により案内される。冷却用ロールは同様に好ましくは、メラミン蒸発器の出口と多少の差こそあれ反対側に設置され得ると思われる。その場合、それは圧力ロールとしても作用できると思われる。容器(5)はトリアジン化合物用の気化容器を表わし、このトリアジンは基板層上に塗布される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層およびプラスチックフィルムそしてその間の結晶質トリアジン層を含み、30mm/分の90度引張試験において測定された場合に約2N/インチ以上の積層強度を有する積層体。
【請求項2】
前記結晶質トリアジン層と前記プラスチックフィルムの1つの間に接着層を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
印刷されたパターンを含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項4】
23℃およびRH(相対湿度)0%の雰囲気中で測定された場合のOTRが、基板としてBOPPを含む積層体について約20ml/m・24h・MPa以下であるか、またはPETを基板として約5ml/m・24h・MPaである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
40℃およびRH90%の雰囲気中で測定された水蒸気透過率(WVTR)が、基板としてBOPPを含む積層体について2g/m・24h以下であるか、またはPETを基板として約5g/m・24h以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
接着力が少なくとも2.5N/インチである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
接着剤が、30℃超かつ200℃未満のTgを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
接着力が少なくとも3N/インチである、請求項6に記載の積層体。
【請求項9】
トリアジン化合物がメラミンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記基板がプラスチックまたは紙である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
前記基板がプラスチックフィルムである、請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
前記基板層がBOPPまたはPETである、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
パターンまたは図形がプラスチック積層上に存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項14】
結晶質メラミン層中の粒子が約300nm以上である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
硬化樹脂層をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
前記硬化樹脂層が(硬化前に)アジンまたはフェノールタイプの樹脂を含む、請求項15に記載の積層体。
【請求項17】
紙または板紙ウェブおよび前記紙または板紙層の他方の側にポリオレフィン層をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層体を含むウェブ。
【請求項18】
PETフィルム、トリアジン層、任意には接着剤、およびポリオレフィン層を含む、請求項17に記載のウェブ。
【請求項19】
前記紙または板紙ウェブ上に印刷または図形を含む、請求項17〜18のいずれか一項に記載のウェブ。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか一項に記載の折り畳みウェブおよび封止ウェブを含む剛性包装材。
【請求項21】
可撓性または剛性包装材を目的とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層体の使用。
【請求項22】
可撓性ディスプレイを目的とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層体の使用。
【請求項23】
前記トリアジン層の粒子サイズが約200nm以上かつ約1000nm以下である、結晶質トリアジン層を伴う基板。
【請求項24】
前記積層体が請求項23に記載の基板を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項25】
ディスプレイ内での請求項24に記載の積層体の使用。
【請求項26】
剛性包装材内での請求項22に記載の基板を含む品物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−516505(P2010−516505A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546672(P2009−546672)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000219
【国際公開番号】WO2008/092553
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】