説明

基板の処理方法、カラーフィルタの製造方法及び有機EL装置の製造方法

【課題】従来の基板の処理方法では、隔壁によって囲まれた領域内にわたって膜を形成することが困難である。
【解決手段】有機材料を含む材料で構成された絶縁膜63が平面視で画素形成領域を区画するように設けられた基板41aを用意する工程と、液状体に対して絶縁膜63が有する親液性よりも大きな親液性を、絶縁膜63の少なくとも一部に付与する親液化工程と、前記親液化工程の後に、基板41aを加熱する加熱工程と、を有し、前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で基板41aに紫外線を照射することを特徴とする基板の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の処理方法、カラーフィルタの製造方法及び有機EL装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平面視で画素形成領域を区画するように設けられた隔壁を有する基板に対する処理として、平面視で隔壁によって囲まれた領域内に親液性を付与し、隔壁の表面に撥液性を付与する処理が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3698138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された処理では、酸素を含むガス中で基板に紫外線を照射することにより、平面視で隔壁によって囲まれた領域内に親液性が付与される。そして、親液性が付与された基板に、フッ素化合物を含むガス中で紫外線を照射することにより、隔壁に撥液性が付与される。これらの処理によれば、隔壁によって囲まれた領域内に液状体を塗布したときに、液状体は、隔壁によって囲まれた領域内にわたって濡れ広がりやすい。他方で、隔壁表面は、液状体をはじきやすい。このため、液状体は、隔壁を乗り越えにくい。これらの結果、液状体から膜を形成したときに、隔壁によって囲まれた領域内にわたって膜を形成しやすくすることができる。
【0005】
ところで、隔壁がポジ型の感光性を有する感光物質を含んでいる場合、隔壁に紫外線を照射すると、紫外線が隔壁中の感光物質の光分解を誘発する。この状態で、隔壁によって囲まれた領域内に液状体を塗布すると、隔壁が液状体に溶けやすくなる。この結果、液状体が隔壁を乗り越えやすくなる。
【0006】
つまり、従来の基板の処理方法では、隔壁によって囲まれた領域内にわたって膜を形成することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0008】
[適用例1]有機材料を含む材料で構成された隔壁が平面視で画素形成領域を区画するように設けられた基板を用意する工程と、液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、を有し、前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする基板の処理方法。
【0009】
この適用例の基板の処理方法は、基板を用意する工程と、親液化工程と、加熱工程と、を有している。基板には、画素形成領域を区画する隔壁が設けられている。隔壁は、有機材料を含む材料で構成されている。
親液化工程では、液状体に対して隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、隔壁の少なくとも一部に付与する。親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で基板に紫外線を照射する。加熱工程では、基板を加熱する。
この基板の処理方法によれば、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を塗布したときに、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。このため、液状体から膜を形成するときに、隔壁によって囲まれた画素形成領域内にわたって膜を形成しやすくすることができる。
【0010】
[適用例2]上記の基板の処理方法であって、前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とする基板の処理方法。
【0011】
この適用例では、加熱工程において基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱する。280℃未満であれば、有機材料を含む材料で構成された隔壁に損傷を与えることを避けやすくすることができる。また、50℃以上であれば、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。
【0012】
[適用例3]上記の基板の処理方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とする基板の処理方法。
【0013】
この適用例では、有機材料を含む材料に感光物質が含まれているので、フォトリソグラフィ技術を活用して隔壁を形成することができる。
【0014】
[適用例4]上記の基板の処理方法であって、前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とする基板の処理方法。
【0015】
この適用例では、感光物質がポジ型の感光性を有しているので、露光した部位を剥離することによって隔壁を形成することができる。
【0016】
[適用例5]上記の基板の処理方法であって、前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とする基板の処理方法。
【0017】
この適用例では、隔壁が、液状体に対して親液化された隔壁よりも、撥液性を有しているので、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を留まらせやすくすることができる。
【0018】
[適用例6]上記の基板の処理方法であって、前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とする基板の処理方法。
【0019】
この適用例では、親液化工程の後に、液状体に対して親液化された隔壁よりも大きな撥液性を、隔壁に付与する撥液化工程があるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0020】
[適用例7]上記の基板の処理方法であって、前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とする基板の処理方法。
【0021】
この適用例では、加熱工程の前に撥液化工程があるので、加熱工程の前に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0022】
[適用例8]上記の基板の処理方法であって、前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とする基板の処理方法。
【0023】
この適用例では、加熱工程の後に撥液化工程があるので、加熱工程の後に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0024】
[適用例9]上記の基板の処理方法であって、前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とする基板の処理方法。
【0025】
この適用例では、撥液化工程において、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で基板にプラズマ処理を施すので、隔壁に撥液性を付与することができる。
【0026】
[適用例10]上記の基板の処理方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とする基板の処理方法。
【0027】
この適用例では、有機材料を含む材料に撥液性を有する物質が含まれているので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0028】
[適用例11]上記の基板の処理方法であって、前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする基板の処理方法。
【0029】
この適用例では、撥液性を有する物質がフッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0030】
[適用例12]有機材料を含む材料で構成された隔壁が平面視で画素形成領域を区画するように設けられた基板を用意する工程と、着色材料が含まれている液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記隔壁によって囲まれている前記画素形成領域内に、前記液状体を配置する工程と、前記液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、前記着色材料で膜を形成する工程と、を有し、前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0031】
この適用例のカラーフィルタの製造方法は、基板を用意する工程と、親液化工程と、加熱工程と、液状体を配置する工程と、膜を形成する工程と、を有している。
基板には、画素形成領域を区画する隔壁が設けられている。隔壁は、有機材料を含む材料で構成されている。
親液化工程では、液状体に対して隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、隔壁の少なくとも一部に付与する。液状体には、着色材料が含まれている。また、親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で基板に紫外線を照射する。加熱工程では、基板を加熱する。液状体を配置する工程では、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に、液状体を配置する。膜を形成する工程では、液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、着色材料で膜を形成する。
このカラーフィルタの製造方法によれば、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を塗布したときに、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。このため、液状体から膜を形成するときに、隔壁によって囲まれた画素形成領域内にわたって膜を形成しやすくすることができる。
【0032】
[適用例13]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0033】
この適用例では、加熱工程において基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱する。280℃未満であれば、有機材料を含む材料で構成された隔壁に損傷を与えることを避けやすくすることができる。また、50℃以上であれば、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。
【0034】
[適用例14]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0035】
この適用例では、有機材料を含む材料に感光物質が含まれているので、フォトリソグラフィ技術を活用して隔壁を形成することができる。
【0036】
[適用例15]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0037】
この適用例では、感光物質がポジ型の感光性を有しているので、露光した部位を剥離することによって隔壁を形成することができる。
【0038】
[適用例16]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0039】
この適用例では、隔壁が、液状体に対して親液化された隔壁よりも、撥液性を有しているので、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を留まらせやすくすることができる。
【0040】
[適用例17]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0041】
この適用例では、親液化工程の後に、液状体に対して親液化された隔壁よりも大きな撥液性を、隔壁に付与する撥液化工程があるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0042】
[適用例18]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0043】
この適用例では、加熱工程の前に撥液化工程があるので、加熱工程の前に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0044】
[適用例19]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0045】
この適用例では、加熱工程の後に撥液化工程があるので、加熱工程の後に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0046】
[適用例20]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0047】
この適用例では、撥液化工程において、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で基板にプラズマ処理を施すので、隔壁に撥液性を付与することができる。
【0048】
[適用例21]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0049】
この適用例では、有機材料を含む材料に撥液性を有する物質が含まれているので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0050】
[適用例22]上記のカラーフィルタの製造方法であって、前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0051】
この適用例では、撥液性を有する物質がフッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0052】
[適用例23]複数の画素の前記画素ごとに、互いに対向する一対の電極と、前記一対の電極間に介在する有機層と、平面視で前記有機層を囲む隔壁とを有し、前記有機層が複数の層を有している有機EL装置の製造方法であって、有機材料を含む材料で構成された前記隔壁を有する基板を用意する工程と、前記複数の層のうちの1つの層を構成する材料が含まれている液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記隔壁によって囲まれている画素形成領域内に、前記液状体を配置する工程と、前記液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、前記1つの層を構成する材料で前記1つの層に対応する膜を形成する工程と、を有し、前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0053】
この適用例の製造方法にかかる有機EL装置は、複数の画素の画素ごとに、互いに対向する一対の電極と、一対の電極間に介在する有機層と、平面視で有機層を囲む隔壁と、を有している。この有機EL装置では、有機層が複数の層を有している。
この適用例の製造方法は、基板を用意する工程と、親液化工程と、加熱工程と、液状体を配置する工程と、1つの層を形成する工程と、を有している。
基板には、画素形成領域を区画する隔壁が設けられている。隔壁は、有機材料を含む材料で構成されている。
親液化工程では、液状体に対して隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、隔壁の少なくとも一部に付与する。液状体には、複数の層のうちの1つの層を構成する材料が含まれている。また、親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で基板に紫外線を照射する。加熱工程では、基板を加熱する。液状体を配置する工程では、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に、液状体を配置する。1つの層を形成する工程では、液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、この1つの層を構成する材料で1つの層に対応する膜を形成する。
この有機EL装置の製造方法によれば、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を塗布したときに、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。このため、液状体から膜を形成するときに、隔壁によって囲まれた画素形成領域内にわたって膜を形成しやすくすることができる。
この結果、複数の画素において、欠陥画素などの発生を低く抑えやすくすることができる。このため、有機EL装置の表示品位の向上を図りやすくすることができる。
【0054】
[適用例24]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0055】
この適用例では、加熱工程において基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱する。280℃未満であれば、有機材料を含む材料で構成された隔壁に損傷を与えることを避けやすくすることができる。また、50℃以上であれば、隔壁を液状体に溶けにくくすることができる。
【0056】
[適用例25]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0057】
この適用例では、有機材料を含む材料に感光物質が含まれているので、フォトリソグラフィ技術を活用して隔壁を形成することができる。
【0058】
[適用例26]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0059】
この適用例では、感光物質がポジ型の感光性を有しているので、露光した部位を剥離することによって隔壁を形成することができる。
【0060】
[適用例27]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0061】
この適用例では、隔壁が、液状体に対して親液化された隔壁よりも、撥液性を有しているので、隔壁によって囲まれている画素形成領域内に液状体を留まらせやすくすることができる。
【0062】
[適用例28]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0063】
この適用例では、親液化工程の後に、液状体に対して親液化された隔壁よりも大きな撥液性を、隔壁に付与する撥液化工程があるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0064】
[適用例29]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0065】
この適用例では、加熱工程の前に撥液化工程があるので、加熱工程の前に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0066】
[適用例30]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0067】
この適用例では、加熱工程の後に撥液化工程があるので、加熱工程の後に隔壁に撥液性を付与することができる。
【0068】
[適用例31]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0069】
この適用例では、撥液化工程において、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で基板にプラズマ処理を施すので、隔壁に撥液性を付与することができる。
【0070】
[適用例32]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0071】
この適用例では、有機材料を含む材料に撥液性を有する物質が含まれているので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【0072】
[適用例33]上記の有機EL装置の製造方法であって、前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0073】
この適用例では、撥液性を有する物質がフッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいるので、撥液性を有する隔壁を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態における表示装置を示す平面図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】第1実施形態における複数の画素の一部を示す平面図。
【図4】第1実施形態における表示装置の回路構成を示す図。
【図5】図3中のC−C線における断面図。
【図6】第1実施形態での素子基板の製造工程を説明する図。
【図7】第1実施形態での素子基板の製造工程を説明する図。
【図8】第1実施形態でのUVオゾン処理に適用されるUVオゾン処理装置の一例の概略の構成を示す断面図。
【図9】第1実施形態での酸素プラズマ処理に適用されるプラズマ処理装置の一例の概略の構成を示す断面図。
【図10】第1実施形態での素子基板の製造工程を説明する図。
【図11】第2実施形態における表示装置の図3中のC−C線における断面図。
【図12】第2実施形態での封止基板の製造工程を説明する図。
【図13】第2実施形態での封止基板の製造工程を説明する図。
【図14】本実施形態における表示装置を適用した電子機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
実施形態について、有機EL装置を利用した表示装置を例に、図面を参照しながら説明する。
第1実施形態における表示装置1は、図1に示すように、表示面3を有している。
【0076】
ここで、表示装置1には、複数の画素5が設定されている。複数の画素5は、表示領域7内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。表示装置1は、複数の画素5から選択的に表示面3を介して表示装置1の外に光を射出することで、表示面3に画像を表示することができる。なお、表示領域7とは、画像が表示され得る領域である。図1では、構成をわかりやすく示すため、画素5が誇張され、且つ画素5の個数が減じられている。
【0077】
表示装置1は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、素子基板11と、封止基板13とを有している。
素子基板11には、表示面3側すなわち封止基板13側に、複数の画素5のそれぞれに対応して、後述する有機EL素子などが設けられている。なお、素子基板11の表示面3側とは反対側の面15は、表示装置1の底面として設定されている。以下において、面15は、底面15と表記される。
【0078】
封止基板13は、素子基板11よりも表示面3側で素子基板11に対向した状態で設けられている。素子基板11と封止基板13とは、接着剤16を介して接合されている。表示装置1では、有機EL素子は、接着剤16によって表示面3側から覆われている。
また、素子基板11と封止基板13との間は、表示装置1の周縁よりも内側で表示領域7を囲むシール材17によって封止されている。つまり、表示装置1では、有機EL素子と接着剤16とが、素子基板11及び封止基板13並びにシール材17によって封止されている。
【0079】
ここで、表示装置1における複数の画素5は、それぞれ、表示面3から射出する光の色が、図3に示すように、赤系(R)、緑系(G)及び青系(B)のうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素5は、Rの光を射出する画素5rと、Gの光を射出する画素5gと、Bの光を射出する画素5bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素5という表記と、画素5r、5g及び5bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0080】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光は、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光は、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光は、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0081】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素5が、1つの画素列18を構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素5が、1つの画素行19を構成している。
1つの画素列18内の各画素5は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素5rがY方向に配列した画素列18rと、複数の画素5gがY方向に配列した画素列18gと、複数の画素5bがY方向に配列した画素列18bとを有している。そして、表示装置1では、画素列18r、画素列18g及び画素列18bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列18という表記と、画素列18r、画素列18g及び画素列18bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0082】
表示装置1は、回路構成を示す図である図4に示すように、画素5ごとに、選択トランジスタ21と、駆動トランジスタ23と、容量素子25と、有機EL素子27とを有している。有機EL素子27は、画素電極29と、有機層31と、共通電極33とを有している。選択トランジスタ21及び駆動トランジスタ23は、それぞれ、TFT(Thin Film Transistor)素子で構成されており、スイッチング素子としての機能を有する。
また、表示装置1は、走査線駆動回路34と、データ線駆動回路35と、複数の走査線GTと、複数のデータ線SIと、複数の電源線PWとを有している。
【0083】
複数の走査線GTは、それぞれ走査線駆動回路34につながっており、Y方向に互いに間隔をあけた状態でX方向に延びている。
複数のデータ線SIは、それぞれデータ線駆動回路35につながっており、X方向に互いに間隔をあけた状態でY方向に延びている。
複数の電源線PWは、Y方向に互いに間隔をあけた状態で、且つ各電源線PWと各走査線GTとがY方向に間隔をあけた状態でX方向に延びている。
【0084】
各画素5は、各走査線GTと各データ線SIとの交差に対応して設定されている。各走査線GT及び各電源線PWは、それぞれ、図3に示す各画素行19に対応している。各データ線SIは、図3に示す各画素列18に対応している。
図4に示す各選択トランジスタ21のゲート電極は、対応する各走査線GTに電気的につながっている。各選択トランジスタ21のソース電極は、対応する各データ線SIに電気的につながっている。各選択トランジスタ21のドレイン電極は、各駆動トランジスタ23のゲート電極及び各容量素子25の一方の電極に電気的につながっている。
【0085】
容量素子25の他方の電極と、駆動トランジスタ23のソース電極は、それぞれ、対応する各電源線PWに電気的につながっている。
各駆動トランジスタ23のドレイン電極は、各画素電極29に電気的につながっている。各画素電極29と共通電極33とは、画素電極29を陽極とし、共通電極33を陰極とする一対の電極を構成している。
ここで、共通電極33は、マトリクスMを構成する複数の画素5間にわたって一連した状態で設けられており、複数の画素5間にわたって共通して機能する。
各画素電極29と共通電極33との間に介在する有機層31は、有機材料で構成されており、後述する発光層を含んだ構成を有している。
【0086】
選択トランジスタ21は、この選択トランジスタ21につながる走査線GTに選択信号が供給されるとON状態となる。このとき、この選択トランジスタ21につながるデータ線SIからデータ信号が供給され、駆動トランジスタ23がON状態になる。駆動トランジスタ23のゲート電位は、データ信号の電位が容量素子25に一定の期間だけ保持されることによって、一定の期間だけ保持される。これにより、駆動トランジスタ23のON状態が一定の期間だけ保持される。なお、各データ信号は、階調表示に応じた電位に生成される。
【0087】
駆動トランジスタ23のON状態が保持されているときに、駆動トランジスタ23のゲート電位に応じた電流が、電源線PWから画素電極29と有機層31を経て共通電極33に流れる。そして、有機層31に含まれる発光層が、有機層31を流れる電流量に応じた輝度で発光する。これにより、表示装置1では、階調表示が行われ得る。
表示装置1は、有機層31に含まれる発光層が発光し、発光層からの光が封止基板13を介して表示面3から射出されるトップエミッション型の有機EL装置の1つである。なお、表示装置1では、表示面3側という表現が上側とも表現され、底面15側という表現が下側とも表現される。
【0088】
ここで、素子基板11及び封止基板13のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
素子基板11は、図3中のC−C線における断面図である図5に示すように、第1基板41を有している。なお、図5では、構成をわかりやすく示すため、選択トランジスタ21、容量素子25、データ線SI及び電源線PWが省略されている。
第1基板41は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面3側に向けられた第1面42aと、底面15側に向けられた第2面42bとを有している。
【0089】
第1基板41の第1面42aには、ゲート絶縁膜43が設けられている。ゲート絶縁膜43の表示面3側には、絶縁膜45が設けられている。絶縁膜45の表示面3側には、絶縁膜47が設けられている。
また、第1基板41の第1面42aには、各画素5の駆動トランジスタ23に対応して、半導体層51が設けられている。半導体層51は、ゲート絶縁膜43によって表示面3側から覆われている。なお、ゲート絶縁膜43の材料としては、例えば酸化シリコンなどの材料が採用され得る。
【0090】
ゲート絶縁膜43の表示面3側には、平面視で半導体層51に重なる領域にゲート電極53が設けられている。ゲート電極53の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。ゲート電極53は、絶縁膜45によって表示面3側から覆われている。
【0091】
絶縁膜45の表示面3側には、平面視で半導体層51のソース領域(図示せず)に重なる領域にソース電極55が設けられている。ソース電極55は、絶縁膜45及びゲート絶縁膜43に設けられたコンタクトホール57を介して半導体層51のソース領域(図示せず)につながっている。ソース電極55の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。ソース電極55は、絶縁膜47によって表示面3側から覆われている。
【0092】
絶縁膜47の表示面3側には、画素電極29が設けられている。画素電極29は、絶縁膜47、絶縁膜45及びゲート絶縁膜43に設けられたコンタクトホール59を介して半導体層51のドレイン領域(図示せず)につながっている。画素電極29の材料としては、例えば、銀、白金、アルミニウム、銅などの光反射性を有する金属や、これらを含む合金などが採用され得る。
【0093】
画素電極29を陽極として機能させる場合には、画素電極29の材料として、銀、白金などの仕事関数が比較的高い材料を用いることが好ましい。また、画素電極29の材料としてITO(Indium Tin Oxide)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)などを用い、光反射性を有する部材を画素電極29と第1基板41との間に設けた構成も採用され得る。本実施形態では、画素電極29の材料としてITOが採用されている。
また、絶縁膜45及び47の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アクリル系の樹脂などの材料が採用され得る。
【0094】
隣り合う画素電極29同士の間には、各画素5を区画する絶縁膜(第1隔壁)61が領域62にわたって設けられている。絶縁膜61は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アクリル系の樹脂などの光透過性を有する材料で構成されている。絶縁膜61は、平面視で、表示領域7にわたって格子状に設けられている。このため、表示領域7は、絶縁膜61によって複数の画素5の領域に区画されている。1つの画素5に着目すると、絶縁膜61は、平面視で環状に設けられている。なお、各画素電極29は、絶縁膜61によって囲まれた各画素5の領域に平面視で重なっている。本実施形態では、絶縁膜61の材料として酸化シリコンが採用されている。
【0095】
絶縁膜61の表示面3側には、各画素5の領域を囲む絶縁膜(第2隔壁)63が設けられている。絶縁膜63は、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有するアクリル系の樹脂やポリイミド樹脂などの有機材料で構成されており、平面視で絶縁膜61に沿って格子状に設けられている。1つの画素5に着目すると、絶縁膜63は、平面視で各画素5の領域を囲んでいる。このため、絶縁膜63は、画素5ごとに環状に設けられているとみなされ得る。本実施形態では、絶縁膜63の材料としてアクリル系の樹脂が採用されている。
画素電極29の表示面3側には、絶縁膜63に囲まれた領域(以下、画素形成領域と呼ぶ)内に、有機層31が設けられている。
【0096】
有機層31は、各画素5に対応して設けられており、正孔注入層65と、正孔輸送層67と、発光層69とを有している。
正孔注入層65は、有機材料で構成されており、平面視で絶縁膜63によって囲まれた画素形成領域内で、画素電極29の表示面3側に設けられている。
正孔注入層65の有機材料としては、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等との混合物が採用され得る。正孔注入層65の有機材料としては、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやこれらの誘導体なども採用され得る。
【0097】
正孔輸送層67は、有機材料で構成されており、平面視で絶縁膜63によって囲まれた画素形成領域内で、正孔注入層65の表示面3側に設けられている。
正孔輸送層67の有機材料としては、例えば、下記化合物1として示されるTFBなどのトリフェニルアミン系ポリマーを含んだ構成が採用され得る。
【0098】
【化1】

【0099】
発光層69は、有機材料で構成されており、平面視で絶縁膜63によって囲まれた画素形成領域内で、正孔輸送層67の表示面3側に設けられている。
Rの画素5rに対応する発光層69の有機材料としては、例えば、下記化合物2として示されるF8(ポリジオクチルフルオレン)と、ペリレン染料とを混合したものが採用され得る。
【0100】
【化2】

【0101】
Gの画素5gに対応する発光層69の有機材料としては、例えば、下記化合物3として示されるF8BTと、上記化合物1として示されるTFBと、上記化合物2として示されるF8とを混合したものが採用され得る。
【0102】
【化3】

【0103】
Bの画素5bに対応する発光層69の有機材料としては、例えば、上記化合物2として示されるF8が採用され得る。
【0104】
有機層31の表示面3側には、図5に示すように、絶縁膜63に囲まれた画素形成領域内に、電子注入層71が設けられている。電子注入層71の材料としては、例えば、マグネシウムと銀とを含む合金や、カルシウムなどが採用され得る。本実施形態では、電子注入層71の材料として、マグネシウムと銀とを含む合金が採用されている。
電子注入層71の表示面3側には、共通電極33が設けられている。共通電極33は、例えば、アルミニウム等の金属を薄膜化して光透過性を付与したものなどが採用され得る。また、共通電極33は、例えば、マグネシウムと銀とを含む合金等を薄膜化して光透過性を付与したものなどによっても構成され得る。本実施形態では、共通電極33として、アルミニウムの薄膜が採用されている。共通電極33は、電子注入層71及び絶縁膜63を表示面3側から複数の画素5間にわたって覆っている。
【0105】
なお、表示装置1では、各画素5において発光する領域は、平面視で画素電極29と有機層31と共通電極33とが重なる領域であると定義され得る。また、画素5ごとに発光する領域を構成する要素の一群が1つの有機EL素子27であると定義され得る。表示装置1では、1つの有機EL素子27は、1つの画素電極29と、1つの有機層31と、1つの電子注入層71と、1つの画素5に対応する共通電極33とを含んだ構成を有している。
【0106】
封止基板13は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面3側に向けられた外向面13aと、底面15側に向けられた対向面13bとを有している。
上記の構成を有する素子基板11及び封止基板13は、素子基板11の共通電極33と封止基板13の対向面13bとの間が、接着剤16を介して接合されている。
【0107】
表示装置1では、図2に示すシール材17は、図5に示す第1基板41の第1面42aと、封止基板13の対向面13bとによって挟持されている。つまり、表示装置1では、有機EL素子27及び接着剤16が、第1基板41及び封止基板13並びにシール材17によって封止されている。なお、シール材17は、対向面13b及び共通電極33の間に設けられていてもよい。この場合、有機EL素子27及び接着剤16は、素子基板11及び封止基板13並びにシール材17によって封止されているとみなされ得る。
【0108】
ここで、表示装置1の製造方法について説明する。
表示装置1の製造方法は、素子基板11を製造する工程と、表示装置1を組み立てる工程とに大別される。
素子基板11を製造する工程では、図6(a)に示すように、まず、第1基板41の第1面42aに駆動素子層81を形成する。この駆動素子層81には、前述した選択トランジスタ21(図4)、駆動トランジスタ23、容量素子25(図4)、電源線PW(図4)、画素電極29、ゲート絶縁膜43、絶縁膜45、絶縁膜47が含まれている。
【0109】
次いで、図6(b)に示すように、平面視で画素電極29の周縁及び絶縁膜47に重なる領域(図5に示す領域62)に絶縁膜61を形成する。絶縁膜61の形成では、まず、CVD技術などを活用することにより、平面視で画素電極29及び絶縁膜47を覆う酸化シリコン膜を形成する。次いで、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術などを活用することによって、酸化シリコン膜をパターニングする。これにより、絶縁膜61が形成され得る。
【0110】
次いで、図6(c)に示すように、平面視で絶縁膜61に重なる領域に絶縁膜63を形成する。絶縁膜63の形成では、まず、ポジ型の感光物質を含むアクリル系の樹脂で、平面視で画素電極29及び絶縁膜61を覆う樹脂膜を形成する。この樹脂膜の形成では、スピンコート技術や印刷技術などが活用され得る。次いで、例えばフォトリソグラフィ技術を活用することによって、樹脂膜をパターニングする。これにより、絶縁膜63が形成され得る。
なお、駆動素子層81から絶縁膜63までの構成が形成された第1基板41は、以下において基板41aと呼ばれる。
【0111】
次いで、図7(a)に示すように、基板41aにUVオゾン処理を施す。これにより、UVオゾン処理前よりも、画素電極29及び絶縁膜61に、後述する液状体65a、67a、69aに対して親液性が付与される。本実施形態では、処理室内に基板41aを収容した状態で、処理室内に酸素を含むガスを導入しながら、処理室内で紫外線を発生させる方法が採用されている。
ここで、本実施形態でのUVオゾン処理に適用されるUVオゾン処理装置の一例について説明する。UVオゾン処理装置83は、概略の構成を示す断面図である図8に示すように、チャンバー(処理室)85と、テーブル87と、低圧水銀ランプ89と、導入管91と、排気管93と、を有している。
【0112】
チャンバー85には、外部からチャンバー85内に処理ガスを導く導入管91と、チャンバー85内から外部に分解ガスを排出する排気管93とが接続されている。テーブル87は、チャンバー85内に配設されている。低圧水銀ランプ89は、チャンバー85内でテーブル87に対向して設けられている。本実施形態では、低圧水銀ランプ89は、約254nmの波長の紫外線と、約185nmの波長の紫外線とを発する。約254nmの波長の紫外線と、約185nmの波長の紫外線とのエネルギ比は、約4:1に設定されている。
【0113】
基板41aにUVオゾン処理を施す工程では、基板41aをテーブル87に載置した状態で、低圧水銀ランプ89を点灯させながらチャンバー85内に処理ガスを導入する。なお、本実施形態では、処理ガスに酸素が含まれている。酸素は、約185nmの波長の紫外線によって分解され、オゾンに変化する。これにより、基板41aにUVオゾン処理が施される。
なお、チャンバー85内のオゾンは、約254nmの波長の紫外線によって分解され、酸素に変化する。オゾンから酸素に変化した分解ガスは、排気管93を介してチャンバー85の外側に排出される。
【0114】
基板41aにUVオゾン処理を施す工程に次いで、図7(b)に示すように、基板41aにCF4プラズマ処理を施す。これにより、CF4プラズマ処理前よりも、絶縁膜63に、後述する液状体65a、67a、69aに対して撥液性が付与される。本実施形態では、処理室内を所定の真空度に保った状態で処理室内に処理ガスを導入しながら、処理室内にプラズマを発生させる方法が採用されている。本実施形態では、処理ガスとして、フッ素化合物を含むガスであるCF4ガスが採用されている。
ここで、本実施形態でのCF4プラズマ処理に適用されるプラズマ処理装置の一例について説明する。プラズマ処理装置95は、概略の構成を示す断面図である図9に示すように、チャンバー(処理室)97と、テーブル99と、コイル101と、シャワープレート103と、を有している。
【0115】
チャンバー97には、外部からチャンバー97内に処理ガスを導く導入管105と、チャンバー97内から外部にガスを排出する排気管107とが接続されている。チャンバー97の天板部には、誘電体で構成された誘電プレート109が設けられている。
テーブル99は、チャンバー97内に配設されている。コイル101は、チャンバー97の外側で誘電プレート109に対向した状態で設けられている。シャワープレート103は、チャンバー97内で誘電プレート109に対向した状態で設けられている。誘電プレート109とシャワープレート103との間には、隙間が設けられている。
テーブル99には、整合器111を介して高周波バイアス電源113が接続されている。コイル101の一端には、整合器115を介して高周波電源117が接続されている。なお、コイル101の他端は、接地されている。
【0116】
導入管105は、チャンバー97の外側から、誘電プレート109とシャワープレート103との間の隙間内に至っている。導入管105には、チャンバー97の外側にバルブ119が接続されている。処理ガスは、バルブ119を経由してから導入管105を通って、誘電プレート109とシャワープレート103との間の隙間内に導かれる。誘電プレート109とシャワープレート103との間の隙間内に導かれた処理ガスは、シャワープレート103を介してチャンバー97内に導入される。
排気管107には、チャンバー97の外側に真空ポンプ121が接続されている。チャンバー97内は、真空ポンプ121で排気管107を介してチャンバー97内のガスをチャンバー97の外側に排出することによって減圧される。
【0117】
基板41aにCF4プラズマ処理を施す工程では、まず、基板41aをテーブル99に載置する。
次いで、真空ポンプ121を駆動して、チャンバー97内の圧力を減圧状態に保つ。
次いで、バルブ119を開いてCF4ガスをチャンバー97内に導入する。
次いで、高周波電源117及び高周波バイアス電源113を駆動して、コイル101に高周波電圧を印加し、テーブル99にバイアス電圧を印加する。
これにより、チャンバー97内にCF4プラズマが誘起される。
【0118】
本実施形態では、CF4プラズマ処理の条件として、チャンバー97内の圧力を約133Pa(1Torr)とし、CF4ガスの導入量を約900SCCMとし、プラズマ照射強度を1W/cm2とし、処理時間を30分間とした。
なお、処理ガスは、CF4ガスに限定されず、SF6やCHF3などのハロゲンガスや、フッ素ガスなども採用され得る。
【0119】
基板41aにCF4プラズマ処理を施す工程に次いで、基板41aに加熱処理を施す。本実施形態では、加熱処理の方法として、基板41aを所定の温度範囲に保たれた環境下に所定の保持時間だけ保持する方法が採用されている。加熱処理の条件としては、本実施形態では、温度範囲を50℃以上且つ280℃未満とし、保持時間を約10分間とした条件が採用され得る。50℃未満では、後述する効果が得られるのに要する時間が長期化してしまう。このため、50℃を下回ることは、効率化の観点から好ましくない。また、280℃以上では、有機材料で構成される絶縁膜63が軟化してしまったり、重量が減少してしまったりすることがある。このため、280℃以上は好ましくない。
【0120】
基板41aに加熱処理を施す工程に次いで、図10(a)に示すように、絶縁膜63によって囲まれた各画素5の領域(画素形成領域)内に液状体65aを配置する。液状体65aには、正孔注入層65を構成する有機材料が含まれている。液状体65aの配置には、液滴吐出ヘッド131を利用したインクジェット法が活用され得る。
液滴吐出ヘッド131から液状体65aなどを液滴65bとして吐出する技術は、インクジェット技術と呼ばれる。そして、インクジェット技術を活用して液状体65aなどを所定の位置に配置する方法は、インクジェット法と呼ばれる。このインクジェット法は、塗布法の1つである。
【0121】
各画素5の領域内に配置された液状体65aを減圧乾燥法で乾燥させてから焼成を行うことによって、図10(b)に示す正孔注入層65が形成され得る。なお、液状体65aには、PEDOTとPSSとの混合物を、溶媒に溶解させた構成が採用され得る。溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノールなどが採用され得る。なお、減圧乾燥法は、減圧環境下で行う乾燥方法であり、真空乾燥法とも呼ばれる。また、液状体65aの焼成条件は、環境温度が約200℃で、保持時間が約10分間である。
【0122】
次いで、図10(b)に示すように、絶縁膜63によって囲まれた画素形成領域内に液滴吐出ヘッド131から液状体67aを液滴67bとして吐出することで、絶縁膜63によって囲まれた画素形成領域内に液状体67aを配置する。液状体67aには、正孔輸送層67を構成する有機材料が含まれている。
このとき、正孔注入層65は、液状体67aによって覆われる。なお、液状体67aには、TFBを溶媒に溶解させた構成が採用され得る。溶媒としては、例えば、シクロヘキシルベンゼンなどが採用され得る。
【0123】
次いで、液状体67aを減圧乾燥法で乾燥させてから、不活性ガス中で焼成を行うことによって、図10(c)に示す正孔輸送層67が形成され得る。なお、液状体67aの焼成条件は、環境温度が約130℃で、保持時間が約1時間である。
【0124】
次いで、図10(c)に示すように、絶縁膜63によって囲まれた各領域内に、液状体69aを配置する。液状体69aには、発光層69を構成する有機材料が含まれている。液状体69aは、液滴吐出ヘッド131から液状体69aを液滴69bとして吐出することによって配置される。このとき、正孔輸送層67は、液状体69aによって覆われる。なお、液状体69aには、画素5r、5g及び5bのそれぞれに対応する前述した有機材料を溶媒に溶解させた構成が採用され得る。溶媒としては、例えば、シクロヘキシルベンゼンなどが採用され得る。
【0125】
次いで、液状体69aを減圧乾燥法で乾燥させてから、不活性ガス中で焼成を行うことによって、図5に示す発光層69が形成され得る。液状体69aの焼成条件は、環境温度が約130℃で、保持時間が約1時間である。
【0126】
次いで、蒸着技術などを活用してカルシウム等の膜を、絶縁膜63に囲まれた画素形成領域内に形成することにより、図5に示す電子注入層71が形成され得る。このとき、電子注入層71は、絶縁膜63をマスクで表示面3側から覆った状態で形成され得る。
次いで、マスクを用いた蒸着技術を活用してアルミニウム等の膜を形成することにより、図5に示す共通電極33が形成され得る。これにより、素子基板11が製造され得る。
【0127】
表示装置1を組み立てる工程では、図2に示すように、素子基板11及び封止基板13を、接着剤16及びシール材17を介して接合する。
このとき、素子基板11及び封止基板13は、図5に示すように、第1基板41の第1面42aと、封止基板13の対向面13bとが向き合った状態で接合される。これにより、表示装置1が製造され得る。
【0128】
本実施形態では、絶縁膜63が隔壁に対応し、基板41aが基板に対応し、各画素5における画素電極29と共通電極33とが一対の電極に対応している。
また、基板41aに加熱処理を施す工程が、加熱工程に対応している。また、基板41aにUVオゾン処理を施す工程が、親液化工程に対応している。また、基板41aにCF4プラズマ処理を施す工程が、撥液化工程に対応している。
【0129】
本実施形態では、UVオゾン処理によって画素電極29及び絶縁膜61に親液性が付与される。また、CF4プラズマ処理によって、絶縁膜63に撥液性が付与される。このため、基板41aにおいて絶縁膜63によって囲まれている領域内に液状体65aを配置したときに、液状体65aが画素電極29及び絶縁膜61に濡れ広がりやすく、且つ液状体65aが絶縁膜63にはじかれやすい。このため、液状体65aが絶縁膜63を乗り越えにくい。これらの結果、正孔注入層65を、絶縁膜61によって囲まれている領域内において画素電極29及び絶縁膜61にわたって形成しやすくすることができる。つまり、各画素5において、例えば正孔注入層65の一部が欠落してしまうという欠陥の発生を低く抑えやすくすることができる。
【0130】
また、本実施形態では、UVオゾン処理及びCF4プラズマ処理の後に、基板41aに加熱処理が施される。
ここで、絶縁膜63は、ポジ型の感光性を有する感光物質が含まれた樹脂から形成されている。この樹脂に紫外線が照射されると、感光物質の光分解が誘発されやすくなる。紫外線が照射された樹脂に液状体65a、液状体67a及び液状体69aなどが接触すると、液状体65a、液状体67a及び液状体69aなどに樹脂が溶け出すことがある。
【0131】
ところが、本実施形態では、UVオゾン処理の後に基板41aに加熱処理が施される。これによって、絶縁膜63が液状体65a、液状体67a及び液状体69aのそれぞれに溶け出すことを極めて低く抑えることができる。このため、絶縁膜63の撥液性を、CF4プラズマ処理後から有機層31の形成後までの間にわたって維持しやすくすることができる。このため、正孔注入層65、正孔輸送層67及び発光層69のそれぞれを、絶縁膜63によって囲まれている領域内にわたって形成しやすくすることができる。この結果、複数の画素5において、例えば画素5内で各層の一部が欠落する欠陥画素の発生を低く抑えることができる。このため、表示装置1の表示における表示品位を向上させやすくすることができる。
【0132】
なお、本実施形態では、複数の画素5が設定され、画素5ごとに有機EL素子27を有する表示装置1を例に説明したが、実施の形態はこれに限定されない。実施の形態としては、有機EL素子27を表示領域7にわたって一連した状態で設けた照明装置などの形態もある。このような照明装置は、例えば液晶表示装置などの光源に好適である。
【0133】
また、本実施形態では、基板41aにCF4プラズマ処理を施すことによって絶縁膜63に撥液性が付与される場合を例に説明したが、撥液性の付与方法はこれに限定されない。絶縁膜63を、例えばフッ素樹脂で構成することによって、絶縁膜63に撥液性を付与することができる。これにより、CF4プラズマ処理を施す工程を省略することができ、製造における効率化が図られる。
【0134】
また、絶縁膜63への撥液性の付与方法は、絶縁膜63をフッ素樹脂で構成することに限定されない。絶縁膜63への撥液性の付与は、ポジ型の感光物質を含む樹脂にフッ素化合物を混合することによっても達成され得る。フッ素化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
図6(c)に示す絶縁膜63の形成では、まず、絶縁膜63を構成する樹脂で、平面視で画素電極29及び絶縁膜61を覆う樹脂膜を形成する。このとき、樹脂膜を構成する樹脂(絶縁膜63を構成する樹脂)として、ポジ型の感光物質を含むアクリル系の樹脂にフッ素系界面活性剤を混合した樹脂が採用される。
次いで、例えばフォトリソグラフィ技術を活用することによって、樹脂膜をパターニングする。これにより、撥液性を有する絶縁膜63が形成され得る。これにより、CF4プラズマ処理を施す工程を省略することができ、製造における効率化が図られる。
なお、フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC(株)社製のメガファックBL−20や、DIC(株)社製のメガファックMCF−350SFなどが採用され得る。
【0135】
ところで、図6(c)に示す画素電極29及び絶縁膜61を覆う樹脂膜をパターニングすることによって絶縁膜63を形成する方法では、画素電極29や絶縁膜61に残渣が発生しやすい。
フッ素樹脂やフッ素化合物を含有する樹脂(以下、撥液樹脂と呼ぶ)で形成した樹脂膜(以下、撥液樹脂膜と呼ぶ)をパターニングすることによって絶縁膜63を形成する方法では、図6(c)に示す画素電極29や絶縁膜61に発生する残渣が撥液性を有している。画素電極29や絶縁膜61に発生する残渣が撥液性を有していると、例えば、図10(a)に示す液滴65bや液状体65aが、画素電極29や絶縁膜61上ではじかれやすくなってしまう。この結果、画素5の領域(画素形成領域)内で有機層31の厚みばらつきが大きくなり、表示品位が損なわれることがある。
これに対し、本実施形態では、絶縁膜63の形成の後に、基板41aにUVオゾン処理を施すので、画素電極29や絶縁膜61に発生する残渣が除去(アッシング)されやすい。これにより、画素電極29や絶縁膜61の液滴65bや液状体65aに対する親液性が高められる。この結果、画素5の領域(画素形成領域)内での有機層31の厚みばらつきを軽減しやすくすることができ、表示品位を向上させやすくすることができる。
【0136】
なお、画素電極29や絶縁膜61に発生する残渣の除去方法は、UVオゾン処理に限定されない。画素電極29や絶縁膜61に発生する残渣の除去方法としては、例えば、酸素プラズマ処理も採用され得る。
酸素プラズマ処理では、まず、図9に示すプラズマ処理装置95のテーブル99に基板41aを載置する。
次いで、真空ポンプ121を駆動して、チャンバー97内の圧力を減圧状態に保つ。
次いで、バルブ119を開いて酸素ガスをチャンバー97内に導入する。
次いで、高周波電源117及び高周波バイアス電源113を駆動して、コイル101に高周波電圧を印加し、テーブル99にバイアス電圧を印加する。
これにより、チャンバー97内に酸素プラズマが誘起される。
酸素プラズマ処理によっても、画素電極29や絶縁膜61における残渣が除去されやすい。これにより、画素電極29や絶縁膜61の液滴65bや液状体65aに対する親液性が高められる。この結果、画素5の領域(画素形成領域)内での有機層31の厚みばらつきを軽減しやすくすることができ、表示品位を向上させやすくすることができる。
【0137】
また、本実施形態では、基板41aにCF4プラズマ処理を施した後に、基板41aに加熱処理を施す順序が採用されているが、CF4プラズマ処理と加熱処理との順序はこれに限定されない。CF4プラズマ処理と加熱処理との順序としては、加熱処理を施した後にCF4プラズマ処理を施す順序も採用され得る。
【0138】
また、本実施形態では、正孔輸送層67を第2層とする構成が採用されているが、構成はこれに限定されない。正孔を発生させ、且つ正孔を発光層69に送出することができる層が第1層として設けられていれば、発光層69を第2層とする構成も採用され得る。
【0139】
また、本実施形態では、有機層31からの光を封止基板13を介して表示面3から射出するトップエミッション型の有機EL装置を例に説明したが、有機EL装置はこれに限定されない。有機EL装置は、有機層31からの光を素子基板11を介して底面15から射出するボトムエミッション型も採用され得る。
ボトムエミッション型の場合、有機層31からの光が底面15から射出されるので、底面15側に表示面3が設定される。つまり、ボトムエミッション型では、表示装置1の底面15と表示面3とが入れ替わる。そして、ボトムエミッション型では、底面15側が上側に対応し、表示面3側が下側に対応する。
【0140】
なお、ボトムエミッション型の場合には、画素電極29の材料として、ITOやインジウム亜鉛酸化物などが採用され得る。また、電子注入層71の材料として、カルシウムなどが採用され得る。共通電極33の材料として、アルミニウムなどが採用され得る。
【0141】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態における表示装置10は、図3中のC−C線における断面図である図11に示すように、封止基板20を有している。表示装置10は、表示装置1における封止基板13が封止基板20に替えられていることを除いては、表示装置1と同様の構成を有している。このため、以下の第2実施形態では、重複した説明を避けるため、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる点のみについて説明する。
【0142】
封止基板20は、第2基板141を有している。第2基板141は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面3側に向けられた外向面142aと、底面15側に向けられた対向面142bとを有している。
第2基板141の対向面142bには、平面視で領域62に重なる領域に絶縁膜143が設けられている。絶縁膜143は、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などで構成されており、平面視で領域62に沿って格子状に設けられている。
【0143】
また、第2基板141の対向面142bには、絶縁膜143によって囲まれた各領域を底面15側から覆うカラーフィルタ145が設けられている。
ここで、カラーフィルタ145は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルタ145は、画素5r、画素5g及び画素5bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素5rに対応するカラーフィルタ145は、Rの光を透過させることができる。画素5gに対応するカラーフィルタ145はGの光を透過させ、画素5bに対応するカラーフィルタ145はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルタ145に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルタ145r、145g及び145bという表記が用いられる。
【0144】
絶縁膜143及びカラーフィルタ145の底面15側には、オーバーコート層147が設けられている。オーバーコート層147は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、絶縁膜143及びカラーフィルタ145を底面15側から覆っている。
【0145】
ここで、表示装置10の製造方法について説明する。
表示装置10の製造方法は、素子基板11を製造する工程と、封止基板20を製造する工程と、表示装置10を組み立てる工程とに大別される。
素子基板11を製造する工程、及び表示装置10を組み立てる工程は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0146】
封止基板20を製造する工程では、図12(a)に示すように、まず、第2基板141の対向面142bに絶縁膜143を形成する。絶縁膜143の形成では、まず、ポジ型の感光物質を含むアクリル系の樹脂で、対向面142bに樹脂膜を形成する。この樹脂膜の形成では、スピンコート技術や印刷技術などが活用され得る。次いで、例えばフォトリソグラフィ技術を活用することによって、樹脂膜をパターニングする。これにより、絶縁膜143が形成され得る。
なお、絶縁膜143が形成された第2基板141は、以下において基板141aと呼ばれる。
【0147】
次いで、図12(b)に示すように、基板141aにUVオゾン処理を施す。これにより、UVオゾン処理前よりも、後述する液状体146aに対して、対向面142bに親液性が付与される。本実施形態では、処理室内に基板141aを収容した状態で、処理室内に酸素を含むガスを導入しながら、処理室内で紫外線を発生させる方法が採用されている。また、UVオゾン処理には、前述したUVオゾン処理装置83(図8)が適用され得る。
【0148】
次いで、図12(c)に示すように、基板141aにCF4プラズマ処理を施す。これにより、CF4プラズマ処理前より、後述する液状体146aに対して、絶縁膜143に撥液性が付与される。本実施形態では、処理室内を所定の真空度に保った状態で処理室内に処理ガスを導入しながら、処理室内にプラズマを発生させる方法が採用されている。本実施形態では、処理ガスとして、フッ素化合物を含むガスであるCF4ガスが採用されている。また、CF4プラズマ処理には、前述したプラズマ処理装置95(図9)が適用され得る。
【0149】
次いで、基板141aに加熱処理を施す。本実施形態では、加熱処理の方法として、基板141aを所定の温度範囲に保たれた環境下に所定の保持時間だけ保持する方法が採用されている。加熱処理の条件としては、本実施形態では、温度範囲を50℃以上且つ280℃未満とし、保持時間を約10分間とした条件が採用され得る。50℃未満では、後述する効果が得られるのに要する時間が長期化してしまう。このため、50℃を下回ることは、効率化の観点から好ましくない。また、280℃以上では、有機材料で構成される絶縁膜143が軟化してしまったり、重量が減少してしまったりすることがある。このため、280℃以上は好ましくない。
【0150】
基板141aに加熱処理を施す工程に次いで、図13(a)に示すように、絶縁膜143によって囲まれた画素形成領域内に、各カラーフィルタ145に対応する着色材が含まれた液状体146aを配置する。液状体146aの配置には、液滴吐出ヘッド131が適用され得る。液滴吐出ヘッド131から液状体146aを液滴146bとして吐出させることによって、絶縁膜143によって囲まれた画素形成領域内に液状体146aが配置され得る。
次いで、液状体146aを減圧乾燥法で乾燥させることによって、図13(b)に示すカラーフィルタ145が形成され得る。
【0151】
次いで、平面視で絶縁膜143及びカラーフィルタ145を覆うオーバーコート層147(図11)を形成する。オーバーコート層147の形成では、スピンコート技術や印刷技術などが活用され得る。
これにより、図11に示す封止基板20が製造され得る。
【0152】
第2実施形態では、絶縁膜143が隔壁に対応し、基板141aが基板に対応し、カラーフィルタ145が膜に対応している。
また、基板141aに加熱処理を施す工程が、加熱工程に対応している。また、基板141aにUVオゾン処理を施す工程が、親液化工程に対応している。また、基板141aにCF4プラズマ処理を施す工程が、撥液化工程に対応している。
【0153】
第2実施形態における表示装置10では、封止基板20がカラーフィルタ145を有している。画素5rに対応するカラーフィルタ145は、Rの光を透過させることができる。画素5gに対応するカラーフィルタ145はGの光を透過させ、画素5bに対応するカラーフィルタ145はBの光を透過させることができる。
これにより、画素5rの有機層31からのRの光は、カラーフィルタ145rによって色純度が高められる。同様に、画素5gの有機層31からのGの光は、カラーフィルタ145gによって色純度が高められ、画素5bの有機層31からのBの光は、カラーフィルタ145bによって色純度が高められる。このため、表示装置10では、表示における色純度が高められるので、表示品位の向上が図られる。
【0154】
また、本実施形態では、UVオゾン処理によって対向面142bに親液性が付与される。また、CF4プラズマ処理によって、絶縁膜143に撥液性が付与される。このため、基板141aにおいて絶縁膜143によって囲まれている領域内に液状体146aを配置したときに、液状体146aが対向面142bに濡れ広がりやすく、且つ液状体146aが絶縁膜143にはじかれやすい。このため、液状体146aが絶縁膜143を乗り越えにくい。これらの結果、カラーフィルタ145を、絶縁膜143によって囲まれている領域内において対向面142bにわたって形成しやすくすることができる。つまり、各画素5において、例えばカラーフィルタ145の一部が欠落してしまうという欠陥の発生を低く抑えやすくすることができる。
【0155】
なお、第2実施形態では、画素5rにRの光を発する発光層69を設け、画素5gにGの光を発する発光層69を設け、画素5bにGの光を発する発光層69を設けた構成が採用されているが、発光層69の構成はこれに限定されない。発光層69としては、白色光を発する発光層69も採用され得る。白色光を発する発光層69を採用すれば、画素5r,5g,5b間で発光層69の組成を同等にすることができる。このため、表示装置10の製造において効率化が図られる。なお、白色光を発する発光層69を採用しても、表示装置10にはカラーフィルタ145r,145g,145bが設けられているので、カラー表示を行うことができる。
【0156】
ここで、実施例及び比較例について説明する。
以下に説明する実施例及び比較例では、それぞれ、ガラス基板上に、ポジ型の感光性を有するアクリル樹脂の膜を形成したものを試料とした。同じ条件で膜を形成した5つの試料を準備した。なお、各試料における膜には、露光を施さずに、約80℃で約2分間のプレベークを施してから、約230℃で約30分間のポストベークを施した。5つの試料は、試料1、試料2、試料3、試料4及び試料5として識別される。
試料1及び試料2に、UVオゾン処理、CF4プラズマ処理、及び加熱処理を施した。これらの処理の順序及び条件は、前述した順序及び条件と同等にした。
試料3及び試料4に、UVオゾン処理、加熱処理、及びCF4プラズマ処理をこの順に施した。これらの処理の条件は、前述した条件と同等にした。
試料5に、UVオゾン処理及びCF4プラズマ処理だけを施した。これらの処理の順序及び条件は、前述した順序及び条件と同等にした。
【0157】
(実施例1)
試料1に対する加熱処理では、温度を200℃とし、保持時間を10分とする条件を採用した。
試料1におけるアクリル樹脂の膜の上に、液状体65aを塗布して接触角を測定した。なお、接触角の測定には、微小接触角計FTA4000(First Ten Angstroms社製)を使用した。
試料1における接触角は、90度であった。
【0158】
(実施例2)
試料2に対する加熱処理では、温度を100℃とし、保持時間を10分とする条件を採用した。
試料2におけるアクリル樹脂の膜の上に、液状体65aを塗布して接触角を測定した。
試料2における接触角は、90度であった。
【0159】
(実施例3)
試料3に対する加熱処理では、温度を200℃とし、保持時間を10分とする条件を採用した。
試料3におけるアクリル樹脂の膜の上に、液状体65aを塗布して接触角を測定した。
試料3における接触角は、90度であった。
【0160】
(実施例4)
試料4に対する加熱処理では、温度を100℃とし、保持時間を10分とする条件を採用した。
試料4におけるアクリル樹脂の膜の上に、液状体65aを塗布して接触角を測定した。
試料4における接触角は、90度であった。
【0161】
(比較例)
試料5におけるアクリル樹脂の膜の上に、液状体65aを塗布して接触角を測定した。
試料5における接触角は、10度であった。
【0162】
実施例1〜実施例4及び比較例の結果を下記表1に示す。
【0163】
【表1】

実施例1〜実施例4及び比較例の結果から、UVオゾン処理の後に基板41aに加熱処理を施すことが好ましいことが理解される。また、この結果から、CF4プラズマ処理と加熱処理との順序としては、いずれが先でも後でもかまわないことが理解される。
【0164】
実施例1〜実施例4及び比較例における各条件で作成した表示装置1の表示状態を観察した。その結果、実施例1〜実施例4のそれぞれに対応する表示装置1では、比較例に対応する表示装置よりも輝度ムラが軽減していることが確認された。
【0165】
上述した表示装置1や表示装置10は、例えば、図14に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示部510に表示装置1又は表示装置10が適用されているので、表示における表示品位の向上が図られる。
【0166】
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。
【符号の説明】
【0167】
1,10…表示装置、3…表示面、5…画素、7…表示領域、11…素子基板、15…底面、20…封止基板、27…有機EL素子、29…画素電極、31…有機層、33…共通電極、41…第1基板、41a,141a…基板、61…絶縁膜、62…領域、63,143…絶縁膜、65…正孔注入層、65a…液状体、65b…液滴、67…正孔輸送層、67a…液状体、67b…液滴、69…発光層、69a…液状体、69b…液滴、71…電子注入層、81…駆動素子層、83…UVオゾン処理装置、95…プラズマ処理装置、131…液滴吐出ヘッド、141…第2基板、145…カラーフィルタ、146a…液状体、146b…液滴、500…電子機器、510…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料を含む材料で構成された隔壁が平面視で画素形成領域を区画するように設けられた基板を用意する工程と、
液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、
前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、
を有し、
前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする基板の処理方法。
【請求項2】
前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とする請求項1に記載の基板の処理方法。
【請求項3】
前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板の処理方法。
【請求項4】
前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とする請求項3に記載の基板の処理方法。
【請求項5】
前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板の処理方法。
【請求項6】
前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板の処理方法。
【請求項7】
前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項6に記載の基板の処理方法。
【請求項8】
前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項6に記載の基板の処理方法。
【請求項9】
前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の基板の処理方法。
【請求項10】
前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とする請求項5に記載の基板の処理方法。
【請求項11】
前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項10に記載の基板の処理方法。
【請求項12】
有機材料を含む材料で構成された隔壁が平面視で画素形成領域を区画するように設けられた基板を用意する工程と、
着色材料が含まれている液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、
前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に、前記隔壁によって囲まれている前記画素形成領域内に、前記液状体を配置する工程と、
前記液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、前記着色材料で膜を形成する工程と、
を有し、
前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項13】
前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とする請求項12に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項14】
前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とする請求項12又は13に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項15】
前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とする請求項14に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項16】
前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項17】
前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項18】
前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項17に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項19】
前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項17に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項20】
前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項21】
前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とする請求項16に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項22】
前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項21に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項23】
複数の画素の前記画素ごとに、互いに対向する一対の電極と、前記一対の電極間に介在する有機層と、平面視で前記有機層を囲む隔壁とを有し、前記有機層が複数の層を有している有機EL装置の製造方法であって、
有機材料を含む材料で構成された前記隔壁を有する基板を用意する工程と、
前記複数の層のうちの1つの層を構成する材料が含まれている液状体に対して前記隔壁が有する親液性よりも大きな親液性を、前記隔壁の少なくとも一部に付与する親液化工程と、
前記親液化工程の後に、前記基板を加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後に、前記隔壁によって囲まれている画素形成領域内に、前記液状体を配置する工程と、
前記液状体に含まれる液体の少なくとも一部を乾燥させることにより、前記1つの層を構成する材料で前記1つの層に対応する膜を形成する工程と、
を有し、
前記親液化工程では、酸素を含むガスが含まれた環境下で前記基板に紫外線を照射することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項24】
前記加熱工程では、前記基板を50℃以上且つ280℃未満の範囲で加熱することを特徴とする請求項23に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項25】
前記有機材料を含む前記材料に、感光物質が含まれていることを特徴とする請求項23又は24に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項26】
前記感光物質は、ポジ型の感光性を有していることを特徴とする請求項25に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項27】
前記隔壁が、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも、撥液性を有していることを特徴とする請求項23乃至26のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項28】
前記親液化工程の後に、前記液状体に対して親液化された前記隔壁よりも大きな撥液性を、前記隔壁に付与する撥液化工程を有することを特徴とする請求項23乃至27のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項29】
前記加熱工程の前に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項28に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項30】
前記加熱工程の後に前記撥液化工程を有することを特徴とする請求項28に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項31】
前記撥液化工程では、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含むガスが含まれた環境下で前記基板にプラズマ処理を施すことを特徴とする請求項28乃至30のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項32】
前記有機材料を含む前記材料に、前記撥液性を有する物質が含まれていることを特徴とする請求項27に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項33】
前記撥液性を有する前記物質は、フッ素及びフッ素化合物のうちの少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項32に記載の有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−33036(P2010−33036A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145044(P2009−145044)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】