説明

基板の検査装置

【課題】同一の基板に対して重複して検査が行われることを確実に防止する。
【解決手段】基板Pを検査する検査ユニット50と、この検査ユニット50に手動で基板Pを供給可能な基板供給ユニット24と、上記基板Pの検査結果を含んだ所定の情報を表示する液晶モニタ4とを備えた基板の検査装置1において、上記基板Pに付与される識別情報を認識するカメラ52と、このカメラ52を通じて取得された識別情報に基づいて上記基板Pの検査履歴を確認するとともに、その基板Pが検査済みであることが確認された場合に、上記液晶モニタ4にその旨の表示を行わせるとともに、上記検査ユニット50による基板Pの検査動作の実行を禁止するように制御するコントロールユニット60とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装された部品の実装状態、基板上のプリント配線パターン、基板上のクリームはんだの印刷パターン等を検査する基板の検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記検査装置として、いわゆるインライン型のものとは別に、作業者の手動操作により個別に基板を検査するアウトライン用の卓上据え置き型(以下、単に卓上型という)の検査装置が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1に、この種の卓上型検査装置の一つが開示されている。この検査装置は、基板の画像を取り込む試験ユニットと、良否判定等の処理を行うメインユニットとを有しており、作業者が基板を試験ユニットにセットして検査開始の指示を与えると、当該ユニットに搭載された走査ユニットにより基板表面の画像が取り込まれてその画像データがメインユニットに転送され、この画像データに基づき良否判定等の処理が行われるとともに、その結果がメインユニットのモニタに表示されるようになっている。そして、このようにして1つの基板に対して検査が終了すると、作業者による基板の交換が行われ、その新たな基板に対して同様の検査が繰り返されることになる。
【特許文献1】特開2002−181730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように基板を手動操作で試験ユニットにセットし、試験が終了すると次の基板と交換するというにして使用する卓上型検査装置では、作業者のミスによって検査済みの基板が再度試験ユニットにセットされてしまうおそれがあり、このような事態が生じると、同一の基板に対して重複して検査が行われてしまい、基板検査の作業効率が低下することなる。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、同一の基板に対して重複して検査が行われることを確実に防止することのできる基板の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、基板を検査する検査ユニットと、この検査ユニットに手動で基板を供給可能な基板供給ユニットと、上記基板の検査結果を含んだ所定の情報を表示する表示手段とを備えた基板の検査装置であって、上記基板に付与される識別情報を認識する認識手段と、この認識手段を通じて上記基板の識別情報を取得するとともに、その識別情報に基づいて上記基板の検査履歴を確認する履歴確認手段と、この履歴確認手段により基板が検査済みであることが確認された場合に、上記表示手段にその旨の表示を行わせるとともに、上記検査ユニットによる基板の検査動作の実行を禁止するように制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
本発明によれば、基板供給ユニットを介して手動で供給された基板が検査ユニットにより検査され、その検査結果が表示手段に表示されるように構成された検査装置において、基板に付与される識別情報に基づきその基板が検査済みであることが確認された場合に、上記表示手段にその旨が表示されるとともに、上記検査ユニットによる基板の検査動作が禁止されるように制御されるため、同一の基板に対して重複して検査が行われるのを確実に防止することができ、この重複検査によるロス時間の発生を回避しながら効率よく基板検査を行うことができる。
【0008】
上記構成においては、上記検査ユニットによる検査が済んだときに、基板が検査済みであることを表す検査終了マークを上記識別情報として基板に付与するマーキング手段をさらに備え、上記履歴確認手段は、上記検査終了マークの有無を上記認識手段を通じて判定することにより上記基板の検査履歴を確認することが好ましい(請求項2)。
【0009】
このようにすれば、検査終了マークの有無を調べるだけの簡単な構成で基板の検査履歴を確認できるという利点がある。
【0010】
この構成とは別の態様として、上記識別情報として基板に付与されたIDコードとその基板の検査履歴とを対応付けて記憶する記憶手段をさらに備え、上記履歴確認手段は、上記認識手段を通じて取得された上記IDコードを上記記憶手段に記憶された履歴情報と照合することにより上記基板の検査履歴を確認するものであることも、また好ましい(請求項3)。
【0011】
このようにすれば、基板に付与されたIDコードを記憶手段内の履歴情報と照合することによって確実に基板の検査履歴を確認できるという利点がある。
【0012】
上記基板供給ユニットは、手動操作による基板の着脱が可能なホームポジションと、上記検査ユニットによる基板の検査が行われる検査ポジションとの間で基板を往復移動させるように構成されていることが好ましい(請求項4)。
【0013】
このようにすれば、基板供給ユニットのホームポジションに基板をセットするだけで、その後の一連の動作、すなわち、基板の検査ポジションへの移動や、そこで検査された基板のホームポジションへの復帰等の動作が自動的に実行されるため、検査装置の使い勝手を効果的に向上させることができる。
【0014】
上記履歴確認手段が、上記検査ポジションに基板が搬送された時点で上記認識手段を通じて基板の識別情報を取得する場合、上記基板供給ユニットは、上記履歴確認手段により基板が検査済みであることが確認されると、上記検査ポジションにある基板を上記ホームポジションに移動させることが好ましい(請求項5)。
【0015】
このように、検査ポジションに搬送された時点で検査済みということが確認された基板を、基板供給ユニットの作動に応じて直ちにホームポジションに移動(復帰)させるようにした場合には、検査済みの基板を誤って基板供給ユニットにセットしたことで生じるロス時間の長さをできるだけ短くすることができ、基板検査の作業効率の低下を効果的に抑制できるという利点がある。
【0016】
この場合、上記制御手段は、上記検査ポジションにある基板を基板供給ユニットがホームポジションへ移動させる動作を、作業者からの検査継続の指示がないことを確認してから実行させることが好ましい(請求項6)。
【0017】
このようにすれば、作業者の意図に応じて適正に基板の検査を中止または継続することができる。
【0018】
上記構成においては、上記基板供給ユニットのホームポジションに基板がセットされたか否かを検知する基板検知手段をさらに備え、上記制御手段は、上記基板検知手段により基板が検知されなかった場合に、上記基板供給ユニットによる検査ポジションへの搬送動作を禁止することが好ましい(請求項7)。
【0019】
このようにすれば、基板がセットされていない状態(基板のセットを忘れた状態)で基板供給ユニットが作動してしまうのを防止でき、それによるロス時間の発生を確実に回避することができる。
【0020】
以上のような基板の検査装置においては、上記検査ユニット、基板供給ユニット、表示手段等の各部が一体的に組み付けられて卓上に載置可能に構成されていることが好ましい(請求項8)。
【0021】
このようにすれば、検査装置の省スペース化等を図ることができるとともに、特に場所を問わずに様々な場所でこの検査装置を使用できるという利点がある。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の基板の検査装置によれば、同一の基板に対して重複して検査が行われることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る基板の検査装置1を概略的に示している。これらの図に示すように、検査装置1は、全体が箱形を成し、その後方側を構成する後側部分2Aと、この後側部分2Aの前端下部から前方に延びる前側部分2Bとを具備した側面視A字型の外観形状を有している。このような検査装置1の外形は、後述する検査ユニット50等の内部部品を覆うケーシングCaにより形成されている。
【0024】
この検査装置1のうち上記前側部分2Bには、プリント基板Pを装置内に出し入れするための出し入れ口6が設けられている。この出し入れ口6は、ケーシングCaに形成される開口部からなり、検査装置1の幅方向中央(図2では左右方向における中央)に設けられている。
【0025】
上記出し入れ口6の上方であって後側部分2Aの前面部分には、液晶モニタ4(本発明にかかる表示手段に相当)が配置されている。この液晶モニタ4は、いわゆるタッチパネル型液晶表示器からなり、検査結果等の各種情報がこの液晶モニタ4上に表示されるとともに、モニタ表示に作業者が指先で触れることにより検査装置1に対して各種操作入力を行えるようになっている。
【0026】
上記前側部分2Bのうち液晶モニタ4に並ぶ部分にはメンテナンス用の扉9が設けられている。この扉9は、上記ケーシングCaの一部が開閉可能に構成されたもので、必要に応じてこの扉9を開くことにより作業者が検査装置1の内部にアクセスして後述するチェックペン56の交換等を行えるようになっている。また、上記ケーシングCaのうち上面カバーCa1は取り外し可能とされており、この上面カバーCa1を取り外した状態で後述する撮像ユニット51のメンテナンス等を行えるようになっている。
【0027】
図1に示すように、上記ケーシングCaには、その後側部分2Aの左右両側部に、凹部からなる取手部3が設けられており、この取手部3を手に掛けた状態で検査装置1を持ち運べるようになっている。なお、図1および図2において符号8は非常停止用ボタンである。
【0028】
検査装置1は、その幅が装置後側から前側に向かって先細りに形成されている。詳しくは、上記ケーシングCaにより構成される検査装置1の側面のうち前側部分2Bの一方側の側面(図2では左側の側面)が前後方向に対して所定角度αだけ傾斜して設けられることにより検査装置1の幅が先細りに形成されている。これは複数台の検査装置1をコンパクトに設置して作業性を高めるための工夫であって、この点については後に詳述する。
【0029】
図3および図4は、検査装置1の具体的な内部構成を示すための図である。本図に示すように、検査装置1の内部にはベースフレーム10が設けられており、このベースフレーム10には、作業者の手により上記出し入れ口6を通じて供給されたプリント基板Pを保持してこれを移動させる基板供給ユニット24と、この基板供給ユニット24に保持されたプリント基板Pの撮像等を行うことによりこの基板Pの外観を検査する検査ユニット50等が組み付けられている。
【0030】
上記ベースフレーム10は、前方側(液晶モニタ4が設置されている側)に至るほど高さが低くなる前下がりの傾斜面12aを有した基台部12と、この基台部12の左右両端からそれぞれ立ち上がる側壁部14とを一体に備えた構造を有しており、例えばアルミダイカスト等の鋳造品により構成されている。
【0031】
上記基板供給ユニット24は、上記基台部12の傾斜面12a上に固定され、当該斜面12aに沿ってスライダ22を前後方向(以下、この方向をY軸方向という)に移動させるリニアモータ式の単軸ロボット20と、上記スライダ22に固定されるテーブル30とから構成されている。
【0032】
上記テーブル30は、プリント基板Pを保持するもので、上記単軸ロボット20の作動に応じて、上記出し入れ口6に対向するホームポジション(図3の実線で示す位置)と、後述する撮像ユニット51に対向する検査ポジション(図3の二点鎖線で示す位置)とに亘ってY軸方向に移動可能に構成されている。そして、上記ホームポジションにおいてテーブル30に対するプリント基板Pの着脱が作業者の手動操作により行われるとともに、そこから検査ポジションまでテーブル30が移動した状態で、撮像ユニット51によるプリント基板Pの撮像が行われるようになっている。
【0033】
このテーブル30は、上記スライダ22の上面部に固定されたプレート32と、このプレート32に組み付けられて左右方向に延びる前後一対の基板保持フレーム36,38(以下、前側フレーム36,後側フレーム38ということがある)とを有しており、これらフレーム36,38の間にプリント基板Pが挟持されるようになっている。具体的には、両フレーム36,38のうちの後側フレーム38に、Y軸方向に変位可能でかつ圧縮コイルバネ等の弾性部材により前方側に付勢される可動部39が設けられ、この可動部39と前側フレーム36との対向する部分に、それぞれ階段状の基板受部が形成されている。そして、プリント基板Pを手に持った作業者が、これら基板受部にプリント基板Pの前後縁部を載せ、当該基板Pを前側フレーム36と可動部39との間に嵌め込むと(図3参照)、圧縮コイルバネ等の弾性力により基板Pが両フレーム36,38の間に弾性的に挟み込まれ、これに応じてプリント基板Pが前側フレーム36を基準としてY軸方向に位置決めされた状態でテーブル30に保持されるようになっている。また、前側フレーム36の左右方向の一端側には、位置決めプレート36aが設けられており、このプレート36aにプリント基板Pの一端(左右方向の一端)が当接することにより、当該基板Pが左右方向(以下、X軸方向という)に位置決めされるようになっている。
【0034】
なお、上記前側および後側フレーム36,38の間隔は基板サイズに応じて可変となっている。具体的には、上記プレート32の後端にエンドプレート34が固定され、このエンドプレート34と上記前側フレーム36とに亘って互いに平行な左右一対のガイドバー35が固定されている。そして、これらガイドバー35に対して上記後側フレーム38がスライド可能に装着されるとともに、上記ガイドバー35に対して後側フレーム38を任意の位置でロックできる図外のロック手段が設けられている。つまり、前側フレーム36を基準として後側フレーム38をスライドさせ、上記ロック手段により後側フレーム38を所望の位置でロックすることによって両フレーム36,38の間隔を変更できる構成となっている。
【0035】
上記テーブル30のプレート32には、図4に示すように、光学式センサからなる基板検知手段33が埋め込まれており、この基板検知手段33により、プリント基板Pがテーブル30にセットされたか否かが検知されるようになっている。なお、当実施形態では、プリント基板Pがテーブル30上にセットされている状態では基板検知手段33の検出信号がONとなり、プリント基板Pがセットされていない状態ではOFFになるようになっている。
【0036】
上記検査ユニット50は、スライダ42をX軸方向に移動させる単軸ロボット40と、この単軸ロボット40に上記スライダ42を介して組み付けられる撮像ユニット51とを備えている。
【0037】
上記単軸ロボット40は、テーブル30駆動用の上記単軸ロボット20と同様に、リニアモータ式の単軸ロボットからなり、上記両側壁部14に亘って横架された状態でベースフレーム10に固定されている。
【0038】
上記撮像ユニット51は、CCDあるいはCMOSイメージセンサ等のエリアセンサからなるカメラ52(本発明にかかる認識手段に相当)と、被写体であるプリント基板Pに照明光を照射する照明装置54とを備えており、上記テーブル30に保持されたプリント基板Pを、その表面に対して直交する方向からカメラ52が撮像するように構成されている。この撮像ユニット51は、上記スライダ42のX軸方向の移動に伴い、基板供給ユニット24の単軸ロボット20上方にあたる撮像位置や、図4において二点鎖線および実線で示す位置に移動可能とされている。そして、撮像ユニット51は、通常時において上記撮像位置に保持されているとともに、後述するようなマーキングユニット55の交換時等に図4の二点鎖線で示す位置に移動したり、上面カバーCa1を取り外しての撮像ユニット51のメンテナンス時等に図4の実線で示す位置に移動したりする。
【0039】
上記検査ユニット50には、検査結果等に応じてプリント基板Pに所定のマークを記入するマーキングユニット55(本発明にかかるマーキング手段に相当)が取り付けられている。このマーキングユニット55は、マークを記入するためのチェックペン56と、このチェックペン56を進退駆動する駆動機構とから構成されており、この駆動機構の作動に応じて、上記チェックペン56が、テーブル30に保持されたプリント基板Pに当接する作業位置(図3において二点鎖線で示す位置)と、この位置から上方に退避する退避位置(図3において実線で示す位置)とに亘って進退移動するようになっている。
【0040】
上記マーキングユニット55は、図3および図4に示すように、連結アーム58を介して撮像ユニット51に固定されることにより、この撮像ユニット51と一体的にX軸方向に移動するように構成されている。なお、マーキングユニット55は、その左右方向の可動領域のうちの一端側(図4において二点鎖線で示す位置)において、図1および図2に示した扉9の裏側(後方側)に位置するようになっている。つまり、この位置にマーキングユニット55を配置した状態で扉9を開くことによって作業者が容易にチェックペン56の交換等を行えるようになっている。
【0041】
上記ベースフレーム10の上方には、前後方向に延びるビーム19がさらに設けられている。このビーム19は、図5に示すように、ベースフレーム10の両側壁部14に亘って固定された前後一対の門型のサブフレーム16,18に固定されている。そして、このビーム19の先端に上記液晶パネル4がチルト可能に支持されている。具体的には、上記ビーム19の前端部に、X軸方向に延びる支軸45を支点に回動可能な状態でジョイント46が連結され、このジョイント46に上記液晶モニタ4が組み付けられることにより、この液晶モニタ4の鉛直軸に対する傾斜角が可変(前後方向に姿勢変更可能)となるように構成されている。
【0042】
また、図3に示すように、上記基板供給ユニット24の設置部の上方であってかつ上記検査ユニット50の後方側のスペースには、検査ユニット50における上記単軸ロボット40の駆動制御を行うドライバ66が配置されている。具体的には、ベースフレーム10の両側壁部14およびサブフレーム18に左右一対の側板67が固定されるとともにこれら側板67間に支持プレート68が横架され、この支持プレート68上に上記ドライバ66が固定されている。
【0043】
一方、上記ベースフレーム10における基台部12の内部には、検査装置1を統括的に制御するコントロールユニット60や、上記基板供給ユニット24の単軸ロボット20用のドライバ62等が配設されている。すなわち、図6に示すように、上記基台部12の内部には下方および後方に開口する断面略三角形状の空間15が形成されており、この空間15に上記コントロールユニット60やドライバ62が配設されている。なお、図3および図6において符号64は、上記コントロールユニット60等を冷却するための冷却ファンである。
【0044】
上記コントロールユニット60、ドライバ62、および冷却ファン64は、検査装置1の下面部および後面部を主に覆うアンダカバー65に一体的に固定されており、このアンダカバー65がベースフレーム10の基台部12に対して下側から組み付けられた状態で、上記各デバイス60,62,64がこの基台部12における上記空間15に収容されるようになっている。
【0045】
上記コントロールユニット60は、論理演算を実行するCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを記憶するROM、装置動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM、各種データやソフトを記憶するHDD等から構成されている。そして、図7のブロック図に示すように、このコントロールユニット60には、基板供給ユニット24および検査ユニット50用の各単軸ロボット20,40、撮像ユニット51(カメラ52および照明装置54)、マーキングユニット55、液晶モニタ4、および基板検知手段33が電気的に接続されている。なお、このうち単軸ロボット20,40は、上記ドライバ62,66を介してそれぞれコントロールユニット60に接続されている。そして、コントロールユニット60は、あらかじめ記憶された動作プログラムに従ってプリント基板Pに対する一連の検査作業を進めるべく、上記基板供給ユニット24や検査ユニット50等の動作を統括的に制御するとともに、上記検査ユニット50のカメラ52により撮像された画像に基づいてプリント基板Pの良否を判定したり、その判定結果に応じて上記液晶モニタ4の表示内容を制御したりする等の動作を行うように構成されている。
【0046】
以上のように構成された検査装置1では、例えば以下のようにしてプリント基板Pの検査が実行される。
【0047】
検査装置1が起動されると、試験が開始されるまで装置1はスタンバイ状態に保たれる。このスタンバイ状態では、上記基板供給ユニット24のテーブル30がホームポジションにセットされるとともに、液晶パネル4に所定のメニュー画面が表示される。
【0048】
この状態で、作業者が手動操作によって上記ホームポジションにあるテーブル30にプリント基板Pをセットし、さらに液晶パネル4をタッチ操作して上記メニュー画面から「検査開始」を選択すると、当該基板Pの検査が開始される。なお、上記テーブル30へのプリント基板Pのセットは、プリント基板Pをその被検査面(部品が実装された側の面)を上向きにした状態で基板保持フレーム36,38の間に嵌め込むことにより行う。この際、位置決めプレート36aにプリント基板Pが当接することによりその位置決めがなされる。
【0049】
そして、検査が開始されると、プリント基板Pがテーブル30にセットされていることが上記基板検知手段33の検出信号に基づき確認された上で、上記基板供給ユニット24の単軸ロボット20の作動によりテーブル30がY軸方向に移動して検査ポジションに位置決めされる。さらに、検査ユニット50の単軸ロボット40の作動により撮像ユニット51がX軸方向に移動し、これに応じて撮像ユニット51のカメラ52がプリント基板Pに対向する位置に位置決めされ、上記照明装置54による照明光の下、このカメラ52によるプリント基板Pの撮像が行われる。
【0050】
このカメラ52によるプリント基板Pの撮像は、プリント基板Pのサイズや部品の実装密度等の諸条件により、あらかじめ設定された撮像エリアごとに分けて行われる。つまり、プリント基板Pのサイズ等に応じて、プリント基板Pの被検査面が複数の撮像エリアに分割されるとともに、その分割された各撮像エリアが、テーブル30および撮像ユニット51の移動に伴いプリント基板Pに対してXY方向に相対移動するカメラ52により順次撮像されるようになっている。これにより、プリント基板Pのサイズが大きい場合等においても優れた解像度でこの基板Pの撮像を行うことができる。なお、プリント基板Pのサイズ等によっては、1回の撮像処理でプリント基板Pの全体像を撮像することも可能である。
【0051】
そして、上記カメラ52によるプリント基板Pの撮像が完了すると、その撮像画像に基づいて上記コントロールユニット60がプリント基板Pの外観(より具体的にはプリント基板P上の部品の実装状態)の良否を判定する。そして、ここでの判定結果が不良品であると、コントロールユニット60は、その基板Pの画像を液晶パネル4に表示させ、この液晶パネル4に表示された基板Pの画像に基づいて作業者に目視判定を行わせる。そしてさらに、ここでの目視判定で再度不良品と判定された場合、すなわち、上記コントロールユニット60による自動判定と作業者による目視判定との両方でプリント基板Pが不良品と判定された場合に、プリント基板Pがはじめて不良品として処理されることになる。なお、上記コントロールユニット60によるプリント基板Pの良否判定動作の具体的内容については後で詳述する。
【0052】
このようにしてプリント基板Pの良否判定動作が完了すると、テーブル30および撮像ユニット51の移動に伴いプリント基板P上方の所定位置に位置決めされたマーキングユニット55が作動して図8に示すように、プリント基板Pの上面(被検査面)の所定箇所にこの基板Pが検査済みであることを表す検査終了マークMが付与される。なお、この図8の例では、テーブル30にセットされた状態で装置後側(検査ポジション側)にあたるプリント基板Pの端部(隅角部)に検査終了マークMが付与されている。そして、テーブル30の移動に応じてプリント基板Pがホームポジションに復帰するとともに、作業者の手によりこのプリント基板Pがテーブル30から取り出され、当該基板Pに対する検査が終了する。その後は、以上のような検査手順が繰り返し行われることにより、複数のプリント基板Pに対して次々と外観検査が実行される。なお、検査終了後、作業者が液晶パネル4に対して所定のタッチ操作を行うと、当該液晶パネル4の表示がメニュー画面に戻り、検査装置1が上記のスタンバイ状態にリセットされるようになっている。
【0053】
ところで、上記検査ユニット50による検査の対象となっている(つまりカメラ52による撮像処理等の対象となっている)プリント基板Pが、既に検査が済んだ基板である可能性がある。すなわち、検査ユニット50により一度検査されたプリント基板Pが、作業者のミスによって再び基板供給ユニット24にセットされることがあり、このような検査済みの基板に対して再度検査ユニット50による検査が行われると、その分だけ検査作業の時間にロスが生じてしまう。そこで、このような検査ユニット20によるプリント基板Pの重複検査を防止するための措置として、コントロールユニット60は、検査済みのプリント基板Pに付与される上記検査終了マークMが存在するか否かをまずカメラ52を通じて確認し、ここで検査終了マークMが存在しないこと(つまりプリント基板Pが未だ検査を受けていないこと)が判明したときにはじめて、カメラ52によるプリント基板Pの撮像(基板P上の部品の実装状態の撮像)等の一連の検査動作を検査ユニット50に実行させるように構成されている。一方、これとは逆に、上記検査終了マークMがプリント基板Pに付与されていること(つまりプリント基板Pが既に検査を受けていること)が確認された場合、コントロールユニット60は、上記検査ユニット50にプリント基板Pの検査動作を実行させることなく、液晶モニタ4にプリント基板Pが検査済みである旨を表示させる。すなわち、検査終了マークMの有無に応じてプリント基板Pの検査履歴を確認する履歴確認手段と、このプリント基板Pが検査済みであることが確認された場合に、液晶モニタ4にその旨の表示を行わせるとともに、上記検査ユニット50による基板Pの検査動作の実行を禁止するように制御する制御手段とが、上記コントロールユニット60によって構成されている。
【0054】
次に、上記コントロールユニット60による良否判定動作等の具体的内容について説明する。上記カメラ52によりプリント基板Pの被検査面が撮像されると、コントロールユニット60は、まず、上記基板Pの撮像画像を、良品基板の基準となる基準画像データと比較する処理を行う。具体的に、コントロールユニット60は、その内部に設けられた記憶部61(図7)に、1つまたは複数の良品基板のサンプル画像からなる基準画像データを記憶しており、この基準画像データと、上記カメラ52によるプリント基板Pの撮像画像とを比較して差分をとり、その差分画像に基づいてプリント基板Pの良否を判定する。なお、この差分画像の抽出は、例えばプリント基板Pの上面(被実装面)の複数個所に離間して設けられた位置合わせ用のフィデューシャルマークF(図8参照)を、プリント基板Pの撮像画像と基準画像データとの間で一致させ、それによって両画像を位置合わせした状態で実行される。
【0055】
図9は、上記のような画像処理の内容を模式的に説明するための図であり、同図(a)はカメラ52により撮像されたプリント基板Pの撮像画像、同図(b)は基準画像データ、同図(c)はコントロールユニット60による画像処理を経て得られた差分画像を示している。これらの図に示すように、プリント基板P上には各種電子部品が実装されており、この電子部品の実装位置や種類等が、図9(a)の撮像画像と同図(b)の基準画像データとの間で相違した場合に、これに応じた差分要素が図9(c)の差分画像に表示されるようになっている。例えば、図9(a)における電子部品aと、同図(b)における電子部品a’とは、その実装位置にずれが存在するため、同図(c)の差分画像には、各電子部品a,a’の位置ずれに応じた差分要素αが表示されることになる。また、図9(a)における電子部品bと、同図(b)における電子部品b’とは、その部品の種類が異なっているため、同図(c)の差分画像には、各電子部品b,b’の表面色の相違等に応じた差分要素βが表示されることになる。なお、図9(c)の差分画像には、上記のような差分要素α,β以外にも、符号εで示すような微小な差分要素も表示されている。
【0056】
所定の画像処理を経て上記図9(c)に示すような差分画像を抽出したコントロールユニット60は、次いで、上記各差分要素(α,βなど)の面積があらかじめ定められた上限値以下であるか否かを判定し、上限値以下であった場合にはプリント基板Pを良品と判定するとともに、上限値よりも大きかった場合には不良品と判定する。
【0057】
図10は、作業者の目視判定のための画像として上記液晶モニタ4に表示されるプリント基板Pの画像を示している。本図に示すように、液晶モニタ4には、図9(a)に示したプリント基板Pの撮像画像に、図9(c)の差分画像を足し合わせた画像が表示される。この際、面積が上記上限値以下であった差分要素(図10(c)のε)は省略されるとともに、上限値よりも大きい差分要素α,βについては、その差分の特性に応じて異なる色に着色された状態で表示される。これは、作業者の目視判定をより容易化するための措置であり、例えば、電子部品の位置ずれにより生じた差分要素αについては青色、電子部品の種類が異なるために生じた差分要素βについては赤色、などのようにして着色される。そして、作業者は、このような液晶モニタ4の表示画面を見ながら、プリント基板Pの目視判定を行うとともに、その結果を液晶モニタ4のタッチ操作を通じて入力する。
【0058】
次に、以上のように構成された検査装置1におけるコントロールユニット60の制御動作を、図11〜図12に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御動作がスタートすると、コントロールユニット60は、液晶パネル4が作業者によりタッチ操作されて検査開始の指示が入力されるのを待ってから(ステップS1)、基板供給ユニット24のテーブル30にプリント基板Pがセットされた否か、すなわち、ホームポジションにあるテーブル30(図3の実線参照)に作業者の手によってプリント基板Pがセットされた否かを判定する(ステップS3)。具体的には、上記ステップS1で検査開始の指示が入力される前に基板検知手段33の検出信号がOFF→ONに切り替わったかどうかを確認することにより、テーブル30にプリント基板Pがセットされたか否かを判定する。そして、このステップS3でNOと判定されてプリント基板Pがテーブル30にセットされていない状態(検出信号がOFFの状態)にあること、または前回検査された基板Pが交換されずにテーブル30に残されている状態(検出信号がONのまま変わらない状態)にあることが確認された場合には、液晶モニタ4に警告メッセージを表示して作業者にプリント基板Pを新たにセットする(または別の基板Pにセットし直す)ように促す制御を実行する(ステップS5)。
【0059】
一方、上記ステップS3でYESと判定されてプリント基板Pが適正にテーブル30にセットされていることが確認された場合には、単軸ロボット20を作動させて上記テーブル30をY軸方向に移動させ、これに応じてプリント基板Pを図3の二点鎖線で示す検査ポジションに移動させる制御を実行する(ステップS7)。そして、次のステップS9に移行してプリント基板Pが既に検査済みであるか否かを判定する。具体的には、単軸ロボット40の作動に応じて撮像ユニット51のカメラ52をX軸方向に移動させるとともに、必要に応じて上記テーブル30をY軸方向に移動させることにより、プリント基板Pにおける検査終了マークM(図8)が付与される部位の上方にカメラ52を位置決めし、このカメラ52を通じて上記検査終了マークMの有無を確認することにより、プリント基板Pが検査済みであるか否かを判定する。
【0060】
そして、上記ステップS9でNOと判定されてプリント基板Pが検査済みでないことが確認された場合には、プリント基板Pを撮像してその良否を判定する等の動作を行う基板検査制御に移行する(ステップS11)。なお、この基板検査制御の具体的内容については後で詳述する。そして、この基板検査制御が終了してプリント基板Pの検査動作が完了すると、コントロールユニット60は、マーキングユニット55を作動させてプリント基板Pに検査終了マークMを付与する制御を実行した後に(ステップS13)、単軸ロボット20を作動させてテーブル30をY軸方向に移動させることにより、このテーブル30上のプリント基板Pを、作業者による基板Pの着脱操作が可能なホームポジションに復帰させる制御を実行する(ステップS15)。
【0061】
一方、上記ステップS9でYESと判定されてプリント基板Pが検査済みであること、すなわち、一度検査された基板Pが再度基板供給ユニット24にセットされていることが確認された場合には、プリント基板Pが既に検査済みである旨の警告メッセージを液晶モニタ4に表示させる制御を実行する(ステップS17)。このとき、液晶モニタ4には、検査を継続するかどうかの指示を行うための選択画面が同時に表示されるようになっている。これは、検査済みのプリント基板Pに対して作業者が何らかの理由でもう一度検査をしたいときがあるため、そのような作業者の意図を確認するためのものである。そして、この液晶モニタ4の選択操作により検査を継続する旨の指示が入力されたか否かを判定し(ステップS19)、ここでYESと判定されて検査継続の指示があったことが確認された場合には、上記ステップS11に移行して基板検査制御を実行する。一方、上記ステップS19でNOと判定されて検査を中止する旨の指示が入力されたことが確認された場合には、上記基板検査制御を実行することなくステップS15に移行し、プリント基板Pをホームポジションに復帰させる制御を実行する。
【0062】
図12は、上記図11のステップS11における基板検査制御の具体的内容を示すサブルーチンである。このサブルーチンがスタートすると、コントロールユニット60は、まず、撮像ユニット51のカメラ52によりプリント基板Pを撮像する制御を実行する(ステップS21)。具体的には、単軸ロボット40を作動させて上記検査ポジションにあるプリント基板Pの上方に撮像ユニット51を位置決めするとともに、照明装置54に照明光を照射させてプリント基板Pを照らし、その状態でカメラ52に制御信号を出力してプリント基板Pの撮像を行わせる。そして、このプリント基板Pの撮像画像の大きさ等に応じて、後のステップでプリント基板Pの良否を判定する際の基準となる上限差分面積Aを決定する制御を実行する(ステップS23)。
【0063】
次いで、コントロールユニット60は、その記憶部61から良品基板の基準となる基準画像データを読み出すとともに(ステップS25)、その基準画像データと、上記ステップS21で得られたプリント基板Pの撮像画像とを比較して差分をとることにより、図9(c)に示したような差分画像を抽出し、その画像内の各差分要素(同図におけるαやβ)の面積sを算出する制御を実行する(ステップS27)。
【0064】
そして、コントロールユニット60は、上記各差分要素の面積s(以下差分面積sと略称する)が、上記ステップS23で求められた上限差分面積A以下である否かを判定し(ステップS29)、ここでYESと判定されて上記差分面積sが上限差分面積A以下であることが確認された場合、すなわち、プリント基板P上の電子部品に大きな位置ずれ等の不具合が存在しないことが確認された場合には、次のステップS31に移行し、液晶パネル4に検査結果が良品である旨を表示する制御を実行する。なお、プリント基板Pが上述したように複数のエリアごとに分けて撮像されている場合、上記ステップS29における差分面積sの判定処理は、その撮像エリアごとに行われる。この場合、全ての撮像エリアにおいて上記差分面積sが上限差分面積A以下であることが確認されたときに、上記ステップS29でYESと判定されることになる。また、このステップS29において、上記基準画像データが複数個存在する場合には、その複数の基準画像データのうちのいずれかのデータとの比較において上記差分面積sが上限差分面積A以下であることが確認されれば、このプリント基板Pは良品と判定される(ステップS29でYES)。逆に、上記ステップS29では、複数の基準画像データのうちの全てのデータとの比較において上記差分面積sが上限差分面積Aよりも大きいことが確認された場合に、はじめてNOと判定されることになる。
【0065】
上記ステップS29でNOと判定されて上記差分面積sが上限差分面積Aよりも大きいことが確認された場合、すなわち、電子部品の実装位置が大きくずれている等の不具合が存在する可能性が確認された場合には、次のステップS33に移行し、液晶モニタ4に作業員による目視判定用の画像を表示させる制御を実行する。具体的には、カメラ52によるプリント基板Pの撮像画像に、上記ステップS27で抽出した差分画像を足し合わせ、さらに上述したような着色処理(差分の特性に応じた色に差分要素を着色する処理)等を施したもの(図10参照)を、液晶モニタ4に表示させる。そして、コントロールユニット60は、この液晶モニタ4に表示された画像に基づいて行われた目視判定の結果が良品であったか否かを判定する(ステップS35)。具体的には、作業者による液晶パネル4のタッチ操作を通じて判定結果が良品であることを示す操作信号が液晶パネル4から入力されたか否かを判定する。
【0066】
そして、上記ステップS35でYESと判定されて作業者による目視判定の結果が良品であることが確認された場合には、上記ステップS31に移行し、液晶パネル4に検査結果が良品である旨を表示する制御を実行する。一方、上記ステップS35でNOと判定されて作業者による目視判定の結果が不良品であることが確認された場合には、警報用のアラームを発するとともに(ステップS37)、上記マーキングユニット55を作動させてプリント基板Pに、この基板Pが不良品であることを表すNGマーク(図示省略)を付与する制御を実行する(ステップS39)。なお、図11のステップS13でプリント基板Pに付与される検査終了マークMの種類を、基板Pが良品である場合と不良品である場合とで異なるものにすれば、この検査終了マークMをNGマークとしても兼用できるため、上記ステップS39の処理を省略することができる。
【0067】
以上説明したような制御動作に基づき行われるプリント基板Pの外観検査には、ある程度の時間を要するため、通常は、上記検査装置1を複数台並べて設置し、各検査装置1に時間差を持たせて基板Pの検査を行うようにする。これにより、一人の作業者でプリント基板Pの検査を効率的に進めることができる。この場合、図13に示すように、複数台(図例では5台)の検査装置1,1・・を扇形状に並べて配置することにより、作業者はより効率よく検査を行うことが可能になる。すなわち、検査装置1は、上記の通り前側部分2Bの幅が先窄まりに形成されているため、この部分を互いに当接させた状態で各検査装置1,1・・を並べることにより、作業者の立ち位置を中心とした扇形状に複数の検査装置1,1・・を配置することができる。
【0068】
以上のようにプリント基板Pを検査する検査ユニット50と、この検査ユニット50に手動でプリント基板Pを供給可能な基板供給ユニット24と、上記プリント基板Pの検査結果を含んだ所定の情報を表示する液晶モニタ4とを備えた検査装置1において、プリント基板Pに付与される検査終了マークMに基づきその基板Pが検査済みであることが確認された場合に、上記液晶モニタ4にその旨を表示させるとともに、上記検査ユニット50による基板Pの検査動作(カメラ52による基板Pの撮像等の一連の動作)の実行を禁止するように制御するコントロールユニット60を設けたため、同一の基板Pに対して重複して検査が行われるのを確実に防止することができ、この重複検査によるロス時間の発生を回避しながら効率よく基板検査を行うことができるという利点がある。
【0069】
すなわち、上記実施形態では、プリント基板Pが部品供給ユニット24により搬送されて検査ポジションに到達すると、直ちにこのプリント基板P上の検査終了マークMの有無がカメラ52により調べられ、それによってこの検査終了マークMが存在しないこと、つまりプリント基板Pが未だ検査を受けていないことが確認された場合にのみ、カメラ52によるプリント基板Pの撮像(基板P上の部品の実装状態の撮像)やその画像処理等の動作が実行されるように制御されるため、検査済みのプリント基板Pに対して検査ユニット50が再度検査を行ってしまうことがなく、同一の基板Pが重複して検査されることに起因したロス時間の発生を有効に回避することができる。
【0070】
特に、図13に示すように検査装置1を複数台用いてプリント基板Pの検査を行う場合には、既に検査されたプリント基板Pを誤って再度検査装置1(の基板供給ユニット24)にセットしてしまうミスが相対的に生じ易くなると考えられるため、このような使用状態において上記構成を採用することにより、ロス時間の発生を有効に回避しながらより効率的にプリント基板Pの検査を進めることが可能になる。
【0071】
また、上記実施形態のように、プリント基板Pに対する検査が終了した時点で、この基板Pが終了済みであることを表す検査終了マークMを、マーキングユニット55の作動に応じてプリント基板Pに付与するようにした場合には、プリント基板Pが検査済みであるか否かを、この検査終了マークMの有無を調べるだけの簡単な構成で判定できるという利点がある。
【0072】
また、上記実施形態のように、基板供給ユニット24の作動に応じて、プリント基板Pの着脱が可能なホームポジションと、検査ユニット50による基板の検査が行われる検査ポジションとの間でプリント基板Pを往復移動させるようにした場合には、上記基板供給ユニット24のホームポジションにプリント基板Pをセットするだけで、その後の一連の動作、すなわち、プリント基板Pの検査ポジションへの移動や、そこで検査された基板Pのホームポジションへの復帰等の動作が自動的に実行されるため、検査装置の使い勝手を効果的に向上させることができる。
【0073】
また、上記実施形態のように、プリント基板Pが基板供給ユニット24により検査ポジションに搬送された時点でこの基板Pが検査済みであるか否かを調べ、そこでプリント基板Pが検査済みということが確認されたときに、液晶モニタ4に警告メッセージを表示させる等の所定の動作を経て直ちに基板供給ユニット24を作動させ、プリント基板Pをホームポジションへ移動(復帰)させるようにした場合には、検査済みのプリント基板Pを誤って基板供給ユニット24にセットしたことで生じるロス時間の長さをできるだけ短くすることができ、基板検査の作業効率の低下を効果的に抑制できるという利点がある。
【0074】
また、上記実施形態のように、検査ポジションにあるプリント基板Pを基板供給ユニット24がホームポジションへ移動させる動作を、作業者からの検査継続の指示がないこと(液晶モニタ4を通じて作業者が検査を中止する旨の指示を入力したこと)を確認してから実行させるようにした場合には、作業者の意図に応じて適正にプリント基板Pの検査を中止または継続することができるという利点がある。
【0075】
また、上記実施形態のように、基板供給ユニット24のホームポジションにセットされたプリント基板Pを検査ポジションまで搬送する動作を、上記基板供給ユニット24に設けられた基板検知手段33によりプリント基板Pの存在を確認してから実行するようにした場合には、上記プリント基板Pがホームポジションにセットされていない状態(基板Pのセットを忘れた状態)で基板供給ユニット24による検査ポジションへの搬送動作が実行されるのを防止できるため、それによるロス時間の発生を確実に回避することができる。
【0076】
また、上記実施形態における検査装置1のように、検査ユニット50、基板供給ユニット24、液晶パネル4等の各部が一体的に組み付けられて卓上に載置可能に構成されている場合には、検査装置1の省スペース化等を図ることができるとともに、特に場所を問わずに様々な場所でこの検査装置1を使用できるという利点がある。
【0077】
なお、上記実施形態では、プリント基板P上の検査終了マークMの有無を確認する動作(当該マークMの有無をカメラ52で確認する動作)を、プリント基板Pが図3の二点鎖線で示す検査ポジションに移動してから実行するようにしたが、このプリント基板Pの検査ポジションへの移動が完了する前に(基板Pがホームポジションと検査ポジションとの間に位置する状態で)上記検査終了マークMの確認動作を実行するようにしてもよい。そして、この時点で検査終了マークMの存在が確認されれば直ちにプリント基板Pをホームポジションに復帰させることにより、検査済みの基板Pを誤ってセットしたことで生じるロス時間の長さをより短縮することができる。特に、図8に示すように、テーブル30にセットされたプリント基板Pにおける検査ポジション側の端部に検査終了マークMが付与されている場合には、上記プリント基板Pの検査ポジション側の端部が撮像ユニット51の下方に到達した時点で上記検査終了マークMの有無をカメラ52で確認することができるため、この検査終了マークMの確認が可能な位置までプリント基板Pを移動させる距離がより短くなり、上記ロス時間をより効果的に短縮することができる。
【0078】
また、上記実施形態では、プリント基板Pが検査済みであるか否かを判定する(すなわちプリント基板Pの検査履歴を確認する)ための識別情報として、検査済みのプリント基板Pに付与される検査終了マークMを用いたが、例えば図8の二点鎖線で示すように、プリント基板Pを個々に特定可能なIDコードBが各基板Pに付与されている場合には、このIDコードBを上記識別情報として利用することも可能である。すなわち、例えばコントロールユニット60の記憶部61(記憶手段)に、上記IDコードBとプリント基板Pの検査履歴とを対応付けて記憶させておき、カメラ52を通じて取得されたIDコードBを上記記憶部61内の履歴情報と照合することにより、現在検査対象となっているプリント基板Pが検査済みであるか否かを確実に判定することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、基板供給ユニット24のテーブル30にプリント基板Pがセットされたか否かを検知する基板検知手段33として光学式センサを用いたが、この基板検知手段33としてはプリント基板Pの有無を検知できるものであればよく、例えばカメラ52を基板検知手段33として兼用することも可能である。具体的には、テーブル30のプレート32に、周囲とは色の異なる白色プレートを貼り付ければ、この白色プレートがカメラ52により認識されたか否かでプリント基板Pの有無を確認することができる。すなわち、プリント基板Pがセットされていない状態では上記テーブル30上の白色プレートが撮像されて撮像画像の輝度が高くなるが、プリント基板Pがセットされると、この白色プレートが遮られて画像の輝度が低下する。そして、このような画像の輝度の差によってプリント基板Pを検知することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、作業者による目視判定によりプリント基板Pが不良品と判定されたとき(プリント基板Pが不良品であることが確定したとき)に警報用のアラームを発生させるようにしたが、上記のようなタイミング以外にも適宜アラームを発生させることが可能である。例えば、検査終了後にプリント基板Pがホームポジションに戻された時点で、作業者にプリント基板Pの取り出しを促す意味で短時間アラームを発生させるようにしてもよいし、コントロールユニット60による自動判定でプリント基板Pが不良品と判定されたときに、作業者にプリント基板Pの目視判定を促す意味で短時間アラームを発生させるようにしてもよい。そして、このように複数のタイミングでアラームを発生させる場合、アラームの長さや音をタイミングに応じて変化させるようにすれば、作業者はアラームの意味を容易に理解することができる。
【0081】
なお、本発明の検査装置において検査対象となる基板は、プリント基板に限らず、例えばリードフレームに回路が形成された基板等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態にかかる外観検査装置を示す斜視図である。
【図2】上記外観検査装置を示す平面図である。
【図3】上記外観検査装置の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】上記外観検査装置の内部構成を示す平断面図である。
【図5】図3のうち液晶パネル4を支持する部分を抽出した図である。
【図6】制御ユニットの組み付け構造を示すベースフレームの断面図である。
【図7】上記外観検査装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】基板に付与される検査終了マーク等を示す図である。
【図9】上記外観検査装置において行われる画像処理の内容を模式的に説明するための図であり、(a)は基板の撮像画像、(b)は基準画像データ、(c)は(a)と(b)との差分画像を示している。
【図10】作業者による目視判定用に液晶モニタに表示される画像を示す図である。
【図11】コントロールユニットにおいて実行される制御動作の内容を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートにおいて行われる基板検査制御を示すサブルーチンである。
【図13】複数の外観検査装置を扇形状に並べた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0083】
4 液晶モニタ(表示手段)
24 基板供給ユニット
33 基板検知手段
50 検査ユニット
52 カメラ(認識手段)
60 コントロールユニット(履歴確認手段、制御手段)
61 記憶部(記憶手段)
P プリント基板(基板)
M 検査終了マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を検査する検査ユニットと、この検査ユニットに手動で基板を供給可能な基板供給ユニットと、上記基板の検査結果を含んだ所定の情報を表示する表示手段とを備えた基板の検査装置であって、
上記基板に付与される識別情報を認識する認識手段と、
この認識手段を通じて上記基板の識別情報を取得するとともに、その識別情報に基づいて上記基板の検査履歴を確認する履歴確認手段と、
この履歴確認手段により基板が検査済みであることが確認された場合に、上記表示手段にその旨の表示を行わせるとともに、上記検査ユニットによる基板の検査動作の実行を禁止するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする基板の検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板の検査装置において、
上記検査ユニットによる検査が済んだときに、基板が検査済みであることを表す検査終了マークを上記識別情報として基板に付与するマーキング手段をさらに備え、
上記履歴確認手段は、上記検査終了マークの有無を上記認識手段を通じて判定することにより上記基板の検査履歴を確認することを特徴とする基板の検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の基板の検査装置において、
上記識別情報として基板に付与されたIDコードとその基板の検査履歴とを対応付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
上記履歴確認手段は、上記認識手段を通じて取得された上記IDコードを上記記憶手段に記憶された履歴情報と照合することにより上記基板の検査履歴を確認することを特徴とする基板の検査装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板の検査装置において、
上記基板供給ユニットは、手動操作による基板の着脱が可能なホームポジションと、上記検査ユニットによる基板の検査が行われる検査ポジションとの間で基板を往復移動させるように構成されていることを特徴とする基板の検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の基板の検査装置において、
上記履歴確認手段は、基板が検査ポジションに搬送された時点で上記認識手段を通じて基板の識別情報を取得し、
上記基板供給ユニットは、上記履歴確認手段により基板が検査済みであることが確認されると、上記検査ポジションにある基板を上記ホームポジションに移動させることを特徴とする基板の検査装置。
【請求項6】
請求項5記載の基板の検査装置において、
上記制御手段は、上記検査ポジションにある基板を基板供給ユニットがホームポジションへ移動させる動作を、作業者からの検査継続の指示がないことを確認してから実行させることを特徴とする基板の検査装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の基板の検査装置において、
上記基板供給ユニットのホームポジションに基板がセットされたか否かを検知する基板検知手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記基板検知手段により基板が検知されなかった場合に、上記基板供給ユニットによる検査ポジションへの搬送動作を禁止することを特徴とする基板の検査装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の基板の検査装置において、
上記検査ユニット、基板供給ユニット、表示手段等の各部が一体的に組み付けられて卓上に載置可能に構成されていることを特徴とする基板の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−51783(P2008−51783A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231282(P2006−231282)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(500220186)アイパルス株式会社 (86)
【Fターム(参考)】