説明

基板ケース

【課題】ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成され、そのケース本体と蓋部材とを固定するかしめ部を被覆するかしめ部カバーを備える基板ケースにおいて、かしめ部カバーが取り外されたことを視覚的に容易に確認することができる基板ケースを提供する。
【解決手段】かしめ部カバー5は、前記ケース本体2又は前記蓋部材3からかしめ部カバー5内へ向けて突出された内側係止片82と、かしめ部カバー5の内部で係止され、かしめ部カバー5における内側係止片82と対向する面である係止片挿入体70の右側板には、内側係止片82との対向部分である係止片被覆部73を挟んだ両側位置に、係止片挿入体70の右側板を貫通する前後一対の貫通孔75が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成され、そのケース本体と蓋部材とを固定するかしめ部を被覆するかしめ部カバーを備える基板ケースの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットルマシン等の遊技機において、制御基板を収納する部材として、ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成される基板ケースが用いられている。基板ケースに収納した制御基板への不正行為を防止するため、基板ケースに関する種々の技術が公知となっている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術にて、ケース本体(第一ボックス構成部材)と蓋部材(第二ボックス構成部材)とを組み付けて形成される基板ケース(基板ボックス)は、ケース本体に設けられたケース側筒部(かしめ部)と、蓋部材に設けられた蓋側筒部(かしめ部)とが対向して配置され、ワンウェイネジをそのケース側筒部と蓋側筒部とを跨いだ状態に螺挿することにより固定される。基板ケースには、ケース側筒部および蓋側筒部を被覆するかしめ部カバー(固着部カバー)が設けられる。かしめ部カバーは、ケース側筒部および蓋側筒部への不正行為、つまりケース側筒部と蓋側筒部との固定を不正に解除する行為を抑制し、基板ケースに収納した制御基板への不正行為を抑制している。このかしめ部カバーは、取付ネジにより基板ケースに取り付けられている。
【0004】
しかしながら、このような構成において、かしめ部カバーは、前記取付ネジを取り外すことにより、基板ケースから容易に取り外すことができる。したがって、かしめ部カバーに被覆されたケース側筒部と蓋側筒部との固定が不正に解除され、基板ケースに収納した制御基板に対して不正行為が行われるおそれがある。また、このような不正行為が行われたあと、かしめ部カバーが、前記取付ネジにより基板ケースに再び取り付けられると、かしめ部カバーが取り外されたこと、つまりかしめ部カバーに被覆されるケース側筒部と蓋側筒部との固定が不正に解除され、基板ケースに収納した制御基板に対して不正行為が行われたおそれがあることを、この遊技機が配置された遊技場等の担当者が事後的に確認することが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、かしめ部カバーを取付ネジではなく、既知の技術であるスナップピンを基板ケースに設け、このスナップピンとかしめ部カバーとをスナップ結合させてかしめ部カバーを基板ケースに取り付ける構成とすることが考えられる。すなわち、かしめ部カバーを基板ケースから取り外す場合には、スナップ結合されているスナップピンを切断する必要がある構成とすれば、仮に不正行為によってかしめ部カバーが取り外されても、スナップピンは切断されているため、このスナップピンの切断跡を確認すれば、前記担当者は、ケース側筒部と蓋側筒部との固定が不正に解除され、基板ケースに収納した制御基板に対して不正行為が行われたおそれがあることを、視覚的に容易に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−106344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基板ケースに設けられ、かしめ部カバーにスナップ結合されているスナップピンは切断しなくとも、反結合方向へ向けて付勢して弾性変形させたならば、かしめ部カバーとのスナップ結合を解除することができる場合がある。このような場合には、かしめ部カバーが基板ケースから取り外されても、スナップピンには切断跡が残らないし、かしめ部カバーが基板ケースから取り外されたあと、そのスナップピンを利用してかしめ部カバーを基板ケースに再び取り付ける(係止させる)ことができる。つまり、このような場合には、前記担当者は、事後的に、一度かしめ部カバーが基板ケースから取り外されたことを視覚的に確認することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされるものであり、その解決しようとする課題は、ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成され、そのケース本体と蓋部材とを固定するかしめ部を被覆するかしめ部カバーを備える基板ケースにおいて、かしめ部カバーが取り外されたことを視覚的に容易に確認することができる基板ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成される基板ケースにおいて、前記ケース本体の一側面に設けられる本体側筒状部材と、前記蓋部材の一側面に設けられる蓋側筒状部材とを組み付けて形成され、前記本体側筒状部材と前記蓋側筒状部材とを跨いだ状態に嵌入部材が嵌入される基板ケース筒状部材と、一面が開口した略箱状に形成され、前記開口した面を前記ケース本体および前記蓋部材の前記一側面に向けた姿勢、かつその内部に前記基板ケース筒状部材を収容した状態で、前記ケース本体および前記蓋部材に係止される基板ケース筒状部材カバーと、を備え、前記基板ケース筒状部材カバーは、前記ケース本体又は前記蓋部材の前記一側面から前記基板ケース筒状部材カバー内へ向けて突出された係止部と、前記基板ケース筒状部材カバーの内部で係止され、前記基板ケース筒状部材カバーにおける前記係止部と対向する側面には、前記係止部との対向部分を挟んだ両側位置に、当該側面を貫通する貫通孔が形成されるものである。
【0011】
請求項2においては、前記貫通孔は、前記基板ケース筒状部材カバーの前記ケース本体側および前記蓋部材側の端部に形成されるものである。
【0012】
請求項3においては、前記貫通孔は、前記基板ケース筒状部材カバーの少なくとも2以上の側面に設けられ、前記基板ケースには、前記各貫通孔に対応して前記係止部がそれぞれ設けられるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
かしめ部カバーが基板ケースから取り外されたことを視覚的に容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板ケースの全体的な構成を示した斜視図。
【図2】同じく、かしめ部カバーおよびシール貼付部カバーを取り外した状態の構成を示した斜視図。
【図3】同じく、かしめ部カバーおよびシール貼付部カバーを取り外した状態の構成を示した正面図。
【図4】同じく、蓋部材およびケース本体の構成を示した基板ケースの分解斜視図。
【図5】同じく、かしめ部の構成を示した斜視図。
【図6】(a)同じく、蓋側かしめ部の構成を示した斜視図。(b)同じく、かしめ部の構成を示した正面図。
【図7】(a)同じく、本体側かしめ部の構成を示した斜視図。(b)同じく、かしめ部の構成を示した背面図。
【図8】(a)同じく、第一蓋側かしめ部および第二蓋側かしめ部の構成を示した平面図。(b)同じく、第一本体側かしめ部および第二本体側かしめ部の構成を示した平面図。
【図9】(a)同じく、第一蓋側かしめ部および第二蓋側かしめ部の構成を示した平面断面図。(b)同じく、第一本体側かしめ部および第二本体側かしめ部の構成を示した平面断面図。
【図10】同じく、第一かしめ部および第二かしめ部の構成を示した平面図。
【図11】同じく、第一かしめ部および第二かしめ部の構成を示した平面断面図。
【図12】同じく、嵌入部材の構成を示した正面図。
【図13】同じく、第一かしめ部および第二かしめ部に嵌入部材が嵌入された状態を示した平面断面図。
【図14】同じく、係止片の構成を示した斜視図。
【図15】(a)同じく、かしめ部カバーの構成を示した底面図。(b)同じく、かしめ部カバーの構成を示した平面図。
【図16】(a)同じく、かしめ部カバーの構成を示した背面図。(b)同じく、かしめ部カバーの構成を示した右側面図。(b)同じく、図16(a)におけるA−A線矢視断面図。
【図17】同じく、かしめ部カバーと基板ケースとの取り付け構成を示した平面図。
【図18】(a)同じく、図17におけるB−B線矢視断面図。(b)同じく、図17におけるC−C線矢視断面図。
【図19】(a)同じく、係止の解除前における、係止片挿入体および内側係止片の構成を示した右側面図。(b)同じく、図19(a)におけるD−D線矢視断面図。
【図20】(a)同じく、係止の解除後における、係止片挿入体および内側係止片の構成を示した右側面図。(b)同じく、図20(a)におけるE−E線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る基板ケース1について、図1から図4を用いて説明する。
なお、以下の説明において、図1における矢印Xの指す方向を基板ケース1の右方向として左右方向を規定する。また、図1における矢印Yの指す方向を基板ケース1の前方向として前後方向を規定する。さらに、図1における矢印Zの指す方向を基板ケース1の上方向として上下方向を規定する。
【0017】
基板ケース1は、パチンコ機やスロットルマシン等の遊技機に対して、制御基板を収納する部材として用いられる。基板ケース1は、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)等の透明かつ硬質な合成樹脂材料等により構成され、その内部に制御基板(不図示)を収納する中空状の部材である。基板ケース1は、その内部に制御基板を収納した状態で、パチンコ機やスロットルマシン等の遊技機の裏側に配置されて、この遊技機の裏面に取り付けられる。
【0018】
基板ケース1は、図1から図4に示すように、ケース本体2と、蓋部材3とを備える。基板ケース1は、ケース本体2と蓋部材3とを、後前に対向させた状態で組み付け、中空状に構成される。基板ケース1においては、かしめ部10およびシール貼付部4がケース本体2と蓋部材3との間に跨って設けられて、かしめ部10がかしめ部カバー5により被覆され、シール貼付部4がシール貼付部カバー6により被覆される。
【0019】
ケース本体2は、蓋部材3とともに基板ケース1の主たる構造体を成す部材である。ケース本体2は、蓋部材3との対向側である前側および下側が開口された略直方体の箱状に形成される。ケース本体2は、その長手方向を左右方向とし、その短手方向を上下方向として配置され、背面が遊技機の裏面と対向するように当該遊技機に支持される。ケース本体2の前後幅は、上下幅よりも短く設定される。また、ケース本体2は、本体側シール貼付部42と、本体側かしめ部20とを備える。
【0020】
本体側シール貼付部42は、後述する蓋部材3の蓋側シール貼付部43とともにシール貼付部4を構成する。本体側シール貼付部42は、ケース本体2の右端部(右側板)から右外方へ向けて突設される。本体側シール貼付部42は、前側が開口された略直方体の箱状に形成される。本体側シール貼付部42の前後幅はケース本体2の前後幅の半分程度に設定され、本体側シール貼付部42の上下幅はケース本体2の上下幅よりも短く設定される。
【0021】
本体側かしめ部20は、後述する蓋部材3の蓋側かしめ部30とともにかしめ部10を構成する。本体側かしめ部20は複数(本実施形態においては6つ)備えられる。複数の本体側かしめ部20は、ケース本体2の上端部(天板)に設けられ、ケース本体2の長手方向、即ち左右方向に適宜の間隔ごとに配置される。
【0022】
蓋部材3は、ケース本体2とともに基板ケース1の主たる構造体を成す部材である。蓋部材3は、ケース本体2との対向側である後側が開口されたケース本体2と同程度の大きさの略直方体の箱状に形成される。蓋部材3は、その長手方向を左右方向とし、その短手方向を上下方向として配置される。蓋部材3の前後幅は、上下幅よりも短く設定される。また、蓋部材3は、蓋側シール貼付部43と、蓋側かしめ部30とを備える。
【0023】
蓋側シール貼付部43は、ケース本体2の本体側シール貼付部42とともにシール貼付部4を構成する。蓋側シール貼付部43は、蓋部材3の右端部(右側板)から右外方へ向けて突設される。蓋側シール貼付部43は、ケース本体2の本体側シール貼付部42と同程度の上下幅および左右幅を有する略平板状に形成され、蓋部材3がケース本体2に組み付けられたときに正面視で本体側シール貼付部42と重なり合うように配置される。
【0024】
蓋側かしめ部30は、ケース本体2の本体側かしめ部20とともにかしめ部10を構成する。蓋側かしめ部30は、本体側かしめ部20と同数(本実施形態においては6つ)備えられる。複数の蓋側かしめ部30はそれぞれ、蓋部材3の上端部(天板)に設けられ、蓋部材3がケース本体2に組み付けられたときに正面視で一つの本体側かしめ部20と重なり合うように配置される。
【0025】
かしめ部10は、一つの本体側かしめ部20と一つの蓋側かしめ部30とから形成される。かしめ部10は、本体側かしめ部20(蓋側かしめ部30)と同数(本実施形態においては6つ)備えられる。複数のかしめ部10は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、蓋側かしめ部30を本体側かしめ部20に下方から嵌め込んだ状態で形成され、前後に連続する蓋部材3の天板の前側部分およびケース本体2の天板よりも上方に配置される。
【0026】
シール貼付部4は、本体側シール貼付部42と蓋側シール貼付部43とから形成される。シール貼付部4は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、蓋側シール貼付部43により本体側シール貼付部42の開口側を閉塞して、略直方体の箱状に形成される。シール貼付部4には、本体側シール貼付部42と蓋側シール貼付部43とを跨ぐように、封印シールが貼付される。これにより、蓋部材3がケース本体2から外されたときには、封印シールが剥離した痕跡が残るため、基板ケース1が開封されたことが視覚的に認識可能となる。
【0027】
かしめ部カバー5は、図1に示すように、複数のかしめ部10を被覆する透明の部材である。かしめ部カバー5は、基板ケース1の内部に収納した制御基板への不正行為を防止するために用いられる。かしめ部カバー5は、下側が開口された略直方体の箱状に形成される。かしめ部カバー5は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、前後に連続する蓋部材3の天板の前側部分、およびケース本体2の天板に取り付けられる。かしめ部カバー5の前後左右および上下幅は、複数のかしめ部10を外側から一括して被覆可能な長さに設定される。
【0028】
シール貼付部カバー6は、図1に示すように、シール貼付部4を被覆する透明の部材である。シール貼付部カバー6は、基板ケース1の内部に収納した制御基板への不正行為を防止するために用いられる。シール貼付部カバー6は、左側が開口された略直方体の箱状に形成される。シール貼付部カバー6は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、蓋部材3の右側板およびケース本体2の右側板に取り付けられる。シール貼付部カバー6の前後左右および上下幅は、シール貼付部4を外側から被覆可能な長さに設定される。
【0029】
このように構成される基板ケース1において、その組み立て時には、まず、図3に示すように、蓋部材3を開口側がケース本体2の前開口側と対向するようにケース本体2の前方に移動させて、ケース本体2と蓋部材3との左右方向の位置を合わせる。次に、蓋部材3をケース本体2よりも少し下方へ移動させながらケース本体2に近づけて、蓋部材3の天板および左右側板の後側部分がケース本体2内においてケース本体2の天板および左右側板にそれぞれ内側から当接するように蓋部材3の上部をケース本体2に嵌合させる。
【0030】
その後、蓋部材3の上部をケース本体2に嵌合させたまま上方へスライド移動させて、蓋部材3の各蓋側かしめ部30をケース本体2の各本体側かしめ部20に下方から嵌め込んで、蓋部材3をケース本体2に組み付ける。この際、各蓋側かしめ部30が対応する各本体側かしめ部20と前後に並んで、各かしめ部10が形成されることになる。同時に、蓋側シール貼付部43が本体側シール貼付部42と前後に並んで、シール貼付部4が形成されることになる。そして、嵌入部材50を各かしめ部10(蓋側かしめ部30および本体側かしめ部20)に前方または後方から嵌入して、本体側かしめ部20と蓋側かしめ部30とをかしめ、ケース本体2と蓋部材3とを複数のかしめ部10にて固定する。
【0031】
こうして、ケース本体2と蓋部材3とを組み付け、組み付けたケース本体2と蓋部材3との間に跨ってかしめ部10およびシール貼付部4を設けた後、かしめ部カバー5をケース本体2および蓋部材3の上部に取り付けて、複数のかしめ部10をかしめ部カバー5により外側から一括して覆う。また、シール貼付部カバー6をケース本体2および蓋部材3の右側部に取り付けて、シール貼付部4をシール貼付部カバー6により外側から覆う。これにより、基板ケース1の組み立てが終了して、基板ケース1が完成する。
【0032】
次に、かしめ部10の構成について、図5から図11を用いてさらに詳細に説明する。
【0033】
複数のかしめ部10は、複数組に分けられて、基板ケース1の上端部に組ごとに数個ずつまとめて配置される。本実施形態においては、図5に示すように、6つのかしめ部10が、二組に分けられて、基板ケース1の上端部における左右の2箇所に3つずつまとめて配置される。
以下の説明においては、左側の組の構成についてのみ説明する。右側の組の構成は、左側の組と略同一の構成であって、基板ケース1の左右中央を中心として左右対称な構成であるので、各構成部材に図面にて左側の組の説明で用いた符号と同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
【0034】
3つのかしめ部10は、基板ケース1の上端部において、基板ケース1の左右中央よりも左側に配置され、隣り合うものと近接した状態で左右方向へ順次並べられる。本実施形態においては、図5に示すように、3つのかしめ部10である第一かしめ部100、第二かしめ部200および第三かしめ部300が、基板ケース1の上端部左側において、右側(基板ケース1の左右中央側)から左側(基板ケース1の左右外側)へ順次並べられる。
なお、本実施形態においては、ケース本体2と蓋部材3とを固定する場合、3つのかしめ部10のうち、隣り合う第一かしめ部100および第二かしめ部200の2つ(2種類)のかしめ部を用いる。第三かしめ部300は、第一かしめ部100および第二かしめ部200の予備のかしめ部とする。
【0035】
次に、第一かしめ部100および第二かしめ部200の構成について説明する。
なお、第三かしめ部300の構成は、第一かしめ部100と略同様の構成であって、第二かしめ部200を中心として左右対称な構成であるので、各構成部材に図面にて第一かしめ部100の説明で用いた符号と同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
【0036】
まず、第一かしめ部100の構成について、図5から図11を用いて説明する。
【0037】
第一かしめ部100は、図5に示すように、第一本体側かしめ部120と、第一蓋側かしめ部130とを備える。第一かしめ部100は、その長手方向をケース本体2と蓋部材3との対向方向である前後方向として、3つのかしめ部10中で最も右側に配置される。
【0038】
第一本体側かしめ部120は、図7から図11に示すように、第一かしめ部100の後側に配置される。第一本体側かしめ部120は、ケース本体2に設けられる。第一本体側かしめ部120は、第一本体側筒部121と、第一本体側収容部122と、第一本体側枠体123とを備える。
【0039】
第一本体側筒部121は、前側が開口され、後側が閉塞部125により閉じられた有底の略円筒状に形成される。第一本体側筒部121は、その軸心方向を前後方向として、ケース本体2の天板(基板ケース1の天板)よりも上方に配置される。第一本体側筒部121は、ケース本体2の天板に固定リブ121aを介して固定される。
【0040】
第一本体側収容部122は、図7に示すように、前後側および下側が開口された略筒状に形成される。第一本体側収容部122は、ケース本体2の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第一本体側筒部121のすぐ前に配置され、第一本体側筒部121と前後に連続するように設けられる。第一本体側収容部122は、上部の外周形状が上方へ凸となるように円弧状であって、第一本体側筒部121よりも大径に形成されて、第一本体側筒部121と連通される。第一本体側収容部122は、ケース本体2の天板に直接固定される。
【0041】
第一本体側枠体123は、図7に示すように、前後側および下側が開口された略四角筒状に形成される。第一本体側枠体123は、ケース本体2の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第一本体側収容部122のすぐ前に配置されて、第一本体側収容部122と前後に連続するように設けられる。第一本体側枠体123は、第一本体側収容部122よりも大径に形成されて、第一本体側収容部122と連通される。第一本体側枠体123は、ケース本体2の天板に直接固定される。
【0042】
こうして、第一本体側かしめ部120は、第一本体側筒部121と、第一本体側収容部122と、第一本体側枠体123とを後方から前方へ向けて順に連続させて構成され、図9(b)に示すように、全体として軸心方向を前後方向とする略筒状に形成される。ここで、第一本体側かしめ部120は、第一本体側筒部121、第一本体側収容部122および第一本体側枠体123の形状に応じて、後方から前方へ向けて段階的に拡径しながら、蓋部材3との対向側である前側を開口するとともに、蓋部材3との反対向側である後側を閉じ、さらには前部の下側を開口する形状となる。
【0043】
第一蓋側かしめ部130は、図6、図8から図11に示すように、第一かしめ部100の前側に配置される。第一蓋側かしめ部130は、その後側部分を第一本体側かしめ部120内に嵌め込むことができるように構成されて、蓋部材3に設けられる。第一蓋側かしめ部130は、第一蓋側収容部132と、第一蓋側筒部131とを備える。
【0044】
第一蓋側収容部132は、前後側が開口された略四角筒状に形成される。第一蓋側収容部132は、その軸心方向を前後方向として、蓋部材3の天板(基板ケース1の天板)よりも上方に配置される。
第一蓋側収容部132は、複数(本実施形態においては3つ)の蓋側連結片135を介して蓋部材3の天板に連結される。各蓋側連結片135は、ニッパー等の工具により切断可能な部材である。
本実施形態においては、図6および図9(a)に示すように、第一蓋側収容部132の底板の前部(前方から視認しやすい位置)に2つの蓋側連結片135が左右方向に適宜な間隔をあけて配置されるとともに、底板の後部に1つの蓋側連結片135が配置される。そして、第一蓋側収容部132が3つの蓋側連結片135を介して蓋部材3の天板に連結された状態で、これら全ての蓋側連結片135が切断されると、第一蓋側収容部132が蓋部材3の天板と分離して蓋部材3から外れるようになっている。
ここで、第一蓋側収容部132は、第一本体側かしめ部120の第一本体側枠体123の内周形状に合わせた略四角筒状に形成される。その上で、図10および図11に示すように、第一蓋側収容部132の外径は、第一本体側枠体123の内径よりも若干小さく、かつ第一本体側収容部122の内径よりも大きく設定される。こうして、第一蓋側収容部132は、その後側部分を第一本体側枠体123内に嵌め込むことができるように構成される。
また、第一蓋側収容部132の左右の側板には、それぞれその後端部を切り欠くようにして、上下方向に細長い長方形状の開口部136が形成される。
【0045】
第一蓋側筒部131は、前後側ともに開口された略円筒状に形成される。第一蓋側筒部131は、蓋部材3の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第一蓋側収容部132のすぐ後に左右の開口部136を閉塞しないように配置されて、第一蓋側収容部132と前後に連続するように設けられる。
第一蓋側筒部131は、第一蓋側収容部132の内径よりも小径に形成され、第一蓋側収容部132と連通される。第一蓋側筒部131は、その前端部を第一蓋側収容部132の後端部内に嵌入することにより、この第一蓋側収容部132を介して基板ケース1(さらに詳細には、蓋部材3)の天板に連結される。
ここで、第一蓋側筒部131は、第一本体側かしめ部120の第一本体側収容部122の内周形状に合わせた略円筒状に形成される。その上で、図10および図11に示すように、第一蓋側筒部131の外径は、第一本体側収容部122の内径よりも若干小さく、かつ第一本体側筒部121の内径よりも大きく設定される。また、第一蓋側筒部131の内径は、第一本体側筒部121の内径と同程度に設定される。こうして、第一蓋側筒部131は、そのすべての部分を、第一本体側収容部122内に嵌め込むことができるように構成される。
【0046】
こうして、第一蓋側かしめ部130は、第一蓋側収容部132および第一蓋側筒部131を前後に連続させて構成され、図9(a)に示すように、全体として軸心方向を前後方向とする略筒状に形成される。ここで、第一蓋側かしめ部130は、第一蓋側収容部132および第一蓋側筒部131に応じて、前方から後方へ向けて段階的に縮径しながら、ケース本体2との反対向側である前側を開口するとともに、ケース本体2との対向側である後側を開口する形状となる。
【0047】
このような構成において、前述のように基板ケース1を組み立てる場合に、蓋部材3の上部をケース本体2に嵌合させたまま上方へスライド移動させるとき、蓋部材3の第一蓋側かしめ部130が、蓋部材3のスライド移動にともなって上方へ向けて移動し、ケース本体2の第一本体側かしめ部120に下方から嵌め込まれる。具体的には、第一蓋側収容部132の後端部が第一本体側枠体123内に嵌め込まれ、第一蓋側筒部131の全部が第一本体側収容部122内に嵌め込まれる。この際、第一蓋側収容部132は第一本体側収容部122内に嵌め込まれず、第一蓋側筒部131は第一本体側筒部121内に嵌め込まれない。こうして、第一かしめ部100は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたときに、第一蓋側かしめ部130の後部を第一本体側かしめ部120の前部内に下方から嵌め込んで、第一蓋側かしめ部130が第一本体側かしめ部120と前後に略一直線状に並ぶように形成される。
【0048】
第一かしめ部100内においては、第一蓋側筒部131が第一本体側筒部121の前方で第一本体側筒部121と略同一軸心上に配置され、第一本体側筒部121と連通されることになる。つまり、第一かしめ部100は、最前部に位置する第一蓋側収容部132から最後部に位置する第一本体側筒部121までが連通され、全体として軸心方向を前後方向とする有底の略筒状に形成される。ここで、第一かしめ部100は、後側に閉塞部125を有し、前側を開口する形状となる。
【0049】
次に、第二かしめ部200の構成について、図5から図11を用いて説明する。
【0050】
第二かしめ部200は、図5に示すように、第二本体側かしめ部220と、第二蓋側かしめ部230とを備える。第二かしめ部200は、その長手方向をケース本体2と蓋部材3との対向方向である前後方向として、3つのかしめ部10の真中で、第一かしめ部100の左隣に配置される。
【0051】
第二本体側かしめ部220は、図7から図11に示すように、第二かしめ部200の後側に配置される。第二本体側かしめ部220は、ケース本体2に設けられる。第二本体側かしめ部220は、第二本体側収容部222と、第二本体側筒部221と、第二本体側枠体223とを備える。
【0052】
第二本体側収容部222は、前後側が開口された略四角筒状に形成される。第二本体側収容部222は、その軸心方向を前後方向として、ケース本体2の天板(基板ケース1の天板)よりも上方に配置される。
第二本体側収容部222は、複数(本実施形態においては、2つ)の本体側連結片225を介してケース本体2の天板に連結される。また、第二本体側収容部222は、後述する第二本体側枠体223とも1つの本体側連結片225を介して連結される。各本体側連結片225は、ニッパー等の工具により切断可能な部材である。
本実施形態において、図7(b)に示すように、第二本体側収容部222の底板の後部(後方から視認しやすい位置)に2つの本体側連結片225が左右方向に適宜な間隔をあけて配置されるとともに、天板の前部に1つの本体側連結片225が配置される。そして、第二本体側収容部222が三つの本体側連結片225を介してケース本体2の天板に連結された状態で、これら全ての本体側連結片225が切断されると、第二本体側収容部222は、ケース本体2の天板および第二本体側枠体223から分離してケース本体2から外れるようになっている。
また、第二本体側収容部222の左右の側板には、それぞれその前端部を切り欠くようにして、上下方向に細長い長方形状の開口部226が形成される。
【0053】
第二本体側筒部221は、前後側ともに開口された略円筒状に形成される。第二本体側筒部221は、ケース本体2の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第二本体側収容部222のすぐ前に左右の開口部226を閉塞しないように配置されて、第二本体側収容部222と前後に連続するように設けられる。
第二本体側筒部221は、第二本体側収容部222の内径よりも小径の略円筒形状に形成され、第二本体側収容部222と連通される。第二本体側筒部221は、その後端部を第二本体側収容部222の前端部内に嵌入することにより、第二本体側収容部222を介してケース本体2の天板に連結される。
【0054】
第二本体側枠体223は、前後側および下側が開口された略四角筒状に形成される。第二本体側枠体223は、ケース本体2の天板の上方において、第二本体側筒部221の外周部を上方から覆うように配置される。第二本体側枠体223は、ケース本体2の天板に直接固定され、ケース本体2内と連通される。
また、図10および図11に示すように、第二本体側枠体223の内径の前後、左右および上下方向の長さは、第二本体側筒部221の外径の前後、左右および上下方向の長さよりも長く設定される。また、第二本体側枠体223の内径の左右および上下方向の長さは、第二本体側収容部222の外径の左右および上下方向の長さよりも長く設定される。そして、第二本体側枠体223は、その内部に第二本体側筒部221の全部と、第二本体側収容部222の前端部を収容可能に構成される。
また、第二本体側枠体223は、前述したように、本体側連結片225を介して第二本体側収容部222と連結される。本実施形態において、第二本体側枠体223の天板の後部に、(第二本体側収容部222の天板の前部と連結される)1つの本体側連結片225が配置される。
また、第二本体側枠体223の外径の前後および上下方向の長さは、第一かしめ部100における第一本体側かしめ部120の第一本体側枠体123の外径の前後および上下方向の長さよりも長く設定される。したがって、平面視で第二本体側枠体223の前後端部は、第一本体側枠体123の前後端部よりも外方(前後方)に位置し、また正面視で第二本体側枠体223の天板は、第一本体側枠体123の天板よりも上方へ突出するように構成される。
【0055】
こうして、第二本体側かしめ部220は、第二本体側収容部222と、第二本体側筒部221とを後方から前方へ向けて順に連続させるとともに、第二本体側枠体223を第二本体側収容部222および第二本体側筒部221の周囲に配置して構成され、図9(b)に示すように、全体として軸心方向を前後方向とする略二重筒状に形成される。ここで、第二本体側かしめ部220は、内側の筒状部では第二本体側収容部222および第二本体側筒部221の形状に応じて、後方から前方へ向けて段階的に縮径しながら、蓋部材3との対向側である前側を開口するとともに、蓋部材3との反対向側である後側を開口する形状となり、外側の筒状部では第二本体側枠体223の形状に応じて、蓋部材3との対向側である前側を開口するとともに、蓋部材3との反対向側である後側を開口し、さらに下側を開口する形状となる。
【0056】
第二蓋側かしめ部230は、図6、図8から図11に示すように、第二かしめ部200の前側に配置される。第二蓋側かしめ部230は、蓋部材3に設けられる。第二蓋側かしめ部230は、第二蓋側枠体233と、第二蓋側収容部232と、第二蓋側筒部231とを備える。
【0057】
第二蓋側筒部231は、図6に示すように、前側が閉塞部235により閉じられ、後側が開口された有蓋の略円筒状に形成される。第二蓋側筒部231は、その軸心方向を前後方向として、蓋部材3の天板(基板ケース1の天板)よりも上方に配置される。
【0058】
第二蓋側収容部232は、前後側および上側が開口された略筒状に形成される。第二蓋側収容部232は、蓋部材3の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第二蓋側筒部231のすぐ後に配置され、第二蓋側筒部231と前後に連続するように設けられる。第二蓋側収容部232は、下部の外周形状が下方へ凸となるように第二蓋側筒部231よりも大径に形成され、第二蓋側筒部231と連通される。
また、図10および図11に示すように、第二蓋側収容部232の内径の前後、左右および上下方向の長さは、第二本体側かしめ部220の第二本体側筒部221の外径の前後、左右および上下方向の長さより若干長く設定される。また、第二蓋側収容部232の外径の前後、左右および上下方向の長さは、第二本体側かしめ部220の第二本体側枠体223の内径の前後、左右および上下方向の長さより短く設定される。そして、第二蓋側収容部232の全部が第二本体側枠体223内に収容可能に構成されるとともに、第二本体側筒部221の略全部が第二蓋側収容部232に嵌め込み可能に構成される。
【0059】
第二蓋側枠体233は、前後側および上側が開口された略四角筒状に形成される。第二蓋側枠体233は、蓋部材3の天板の上方において、その軸心方向を前後方向として、第二蓋側収容部232のすぐ後に配置されて、第二蓋側収容部232と前後に連続するように設けられる。第二蓋側枠体233は、第二蓋側収容部232よりも大径に形成され、第二蓋側収容部232と連通される。第二蓋側枠体233は、蓋部材3の天板に直接固定される。
また、図10および図11に示すように、第二蓋側枠体233の外径の前後および上下方向の長さは、第二本体側かしめ部220の第二本体側枠体223の内径の前後および上下方向の長さより若干短く設定される。そして、第二蓋側枠体233が第二本体側枠体223内に嵌め込み可能に構成される。
【0060】
こうして、第二蓋側かしめ部230は、第二蓋側筒部231と、第二蓋側収容部232と、第二蓋側枠体233とを前方から後方へ向けて順に連続させて構成され、全体として軸心方向を前後方向とする略筒状に形成される。ここで、第二蓋側かしめ部230は、第二蓋側筒部231、第二蓋側収容部232および第二蓋側枠体233の形状に応じて、前方から後方へ向けて段階的に拡径しながら、ケース本体2との反対向側である前側を閉じるとともに、ケース本体2との対向側である後側を開口する形状となる。
【0061】
このような構成において、前述のように基板ケース1を組み立てる場合に、蓋部材3の上部をケース本体2に嵌合させたまま上方へスライド移動させるとき、蓋部材3の第二蓋側かしめ部230が、蓋部材3のスライド移動にともなって上方へ向けて移動し、図10および図11に示すように、ケース本体2の第二本体側かしめ部220に下方から嵌め込まれる。具体的には、第二蓋側収容部232内に第二本体側筒部221の全部が嵌めこまれ、第二蓋側収容部232が第二本体側枠体223に収容される。そして、第二本体側収容部222の前端部が第二蓋側枠体233に嵌め込まれる。この際、第二本体側収容部222は第二蓋側収容部232内に嵌め込まれず、第二本体側筒部221は第二蓋側筒部231内に嵌め込まれない。こうして、第二かしめ部200は、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたときに、第二蓋側かしめ部230の後部を第二本体側かしめ部220の前部内に下方から嵌め込んで、第二蓋側かしめ部230が第二本体側かしめ部220と前後に略一直線状に並ぶように形成される。
【0062】
また、第二かしめ部200内においては、第二蓋側筒部231が第二本体側筒部221の前方で第二本体側筒部221と略同一軸心上に配置され、第二本体側筒部221と連通されることになる。つまり、第二かしめ部200は、最後部に位置する第二本体側収容部222から最前部に位置する第二蓋側筒部231までが連通され、全体として軸心方向を前後方向とする有蓋の略筒状に形成される。ここで、第二かしめ部200は、前側に閉塞部235を有し、後側を開口する形状となる。
【0063】
次に、第一かしめ部100および第二かしめ部200に嵌入される嵌入部材50の構成について、図12を用いて説明する。
【0064】
嵌入部材50は、スプリングピン51と、組み付けピン52とを組み付けて形成される。嵌入部材50の軸心方向の幅は、第一本体側かしめ部120の前後幅よりも若干小さく設定される。
スプリングピン51は、鉄鋼やばね鋼などから構成される略円筒状の部材である。スプリングピン51の外周面の一部には、切り込み51aが軸心方向に蛇行しながら延びるように形成される。スプリングピン51の自然状態における外径は、第一本体側筒部121および第一蓋側筒部131の内径よりも若干大きく設定される。スプリングピン51は弾性を有しており、スプリングピン51の外周側から半径方向内側(切り込み51aの幅が小さくなる方向)に力がかかると、力がかかった方向へ弾性変形する。スプリングピン51は、半径方向内側へ弾性変形した状態では、半径方向外側(切り込み51aの幅が大きくなる方向)への復元力を有する。
組み付けピン52は、ABS等の合成樹脂材などから構成されて可撓性を有する。組み付けピン52は、略四角板状に形成された板状片53の中央部から挿入軸54を延出させて形成される。板状片53の直径は、スプリングピン51の外径よりも大きく、かつ第一蓋側収容部132および第二本体側収容部222の内径よりも若干大きく設定される。そして、組み付けピン52は、挿入軸54をスプリングピン51の一側の開口部から挿入して、板状片53をスプリングピン51の一側端部に固定することにより、スプリングピン51と組み付けられる。
【0065】
次に、ケース本体2と蓋部材3との固定について、図13を用いて説明する。
【0066】
ケース本体2と蓋部材3との固定は、嵌入部材50が第一かしめ部100および第二かしめ部200にそれぞれ嵌入されて、第一かしめ部100の第一本体側かしめ部120と第一蓋側かしめ部130とがかしめられるとともに、第二かしめ部200の第二本体側かしめ部220と第二蓋側かしめ部230とがかしめられることによって行われる。
【0067】
具体的には、基板ケース1が組み立てられる場合に、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、かしめ部10の左側の組においては、第一蓋側かしめ部130が、その後部を第一本体側かしめ部120の前部に嵌め込んだ状態で、第一本体側かしめ部120と連通しつつ前後に略一直線状に並ぶように組み付けられて、第一かしめ部100が全体として軸心方向を前後方向とする有底の略筒状に形成される。
そして、嵌入部材50が、スプリングピン51を後側として、第一かしめ部100内にその前側の開口部、即ち第一蓋側収容部132の前側の開口部から嵌入される。
この際、嵌入部材50は、板状片53の直径が第一蓋側収容部132の内径よりも若干大きく設定されることから、板状片53の左右の外周部を曲げて第一蓋側収容部132の内周面に当接させながら(板状片53の左右側端部が前方へ向けて反り返りながら)、第一かしめ部100内に嵌入される。
そして、嵌入部材50のスプリングピン51の後部が第一蓋側筒部131内を通過して第一本体側筒部121内に至ると、板状片53が左右の外周部の曲げを戻して(つまり、板状片53の左右側端部の前方へ向けての反り返りがなくなり、板状片53の形状が復元する)、第一蓋側収容部132の左右側壁の開口部136に嵌め込まれる。こうして、嵌入部材50が第一かしめ部100に対して抜け止めされる。
【0068】
嵌入部材50の第一かしめ部100への嵌入時、第一本体側筒部121の内径および第一蓋側筒部131の内径は、スプリングピン51の自然状態における外径よりも若干小さく設定されていることから、第一本体側筒部121内および第一蓋側筒部131内に嵌入されたスプリングピン51は、径が縮小する方向(半径方向内側)へ弾性変形する。
この状態においては、嵌入部材50のスプリングピン51の復元力、つまりスプリングピン51の半径方向外側へ向けられた力と、第一本体側筒部121および第一蓋側筒部131のそれぞれの反力とによって、スプリングピン51の外周面と第一本体側筒部121および第一蓋側筒部131の内周面との間に摩擦力が発生する。
【0069】
このような構成により、嵌入部材50が第一かしめ部100に第一本体側筒部121と第一蓋側筒部131との間に跨った状態で保持されて、第一本体側かしめ部120と第一蓋側かしめ部130とがかしめられ、ケース本体2と蓋部材3とが固定される。
また、嵌入部材50は、第一本体側筒部121と第一蓋側筒部131との間に跨った状態から前方へ向けて簡単には移動しなくなる。そのため、一旦第一本体側かしめ部120と第一蓋側かしめ部130とがかしめられた後は、嵌入部材50を第一かしめ部100から抜き取って、ケース本体2と蓋部材3との固定を容易に解除することはできないようになっている。
【0070】
また、基板ケース1が組み立てられる場合に、ケース本体2と蓋部材3とが組み付けられたとき、かしめ部10の左側の組においては、第二蓋側かしめ部230が、その後部を第二本体側かしめ部220の前部に嵌め込んだ状態で、第二本体側かしめ部220と連通しつつ前後に略一直線状に並ぶように組み付けられて、第一かしめ部100が全体として軸心方向を前後方向とする有蓋の略筒状に形成される。
そして、嵌入部材50が、スプリングピン51を前側として、第一かしめ部100内にその後側の開口部、即ち第二本体側収容部222の後側の開口部から嵌入される。
この際、嵌入部材50は、板状片53の直径が第二本体側収容部222の内径よりも若干大きく設定されることから、板状片53の左右の外周部を曲げて第二本体側収容部222の内周面に当接させながら(板状片53の左右側端部が後方へ向けて反り返りながら)、第二かしめ部200内に嵌入される。
そして、嵌入部材50のスプリングピン51の前部が第二本体側筒部221内を通過して第二蓋側筒部231内に至ると、板状片53が左右の外周部の曲げを戻して(つまり、板状片53の左右側端部の後方へ向けての反り返りがなくなり、板状片53の形状が復元する)、第二本体側収容部222の左右側壁の開口部226に嵌め込まれる。こうして、嵌入部材50が第二かしめ部200に対して抜け止めされる。
【0071】
嵌入部材50の第二かしめ部200への嵌入時、第二本体側筒部221の内径および第二蓋側筒部231の内径は、スプリングピン51の自然状態における外径よりも若干小さく設定されていることから、第二本体側筒部221および第二蓋側筒部231に嵌入されたスプリングピン51は、径が縮小する方向(半径方向内側)へ弾性変形する。
この状態においては、嵌入部材50のスプリングピン51の復元力、つまりスプリングピン51の半径方向外側へ向けられた力と、第二本体側筒部221および第二蓋側筒部231のそれぞれの反力とによって、スプリングピン51の外周面と第二本体側筒部221および第二蓋側筒部231の内周面との間に摩擦力が発生する。
【0072】
このような構成により、嵌入部材50が第二かしめ部200に第二本体側筒部221と第二蓋側筒部231との間に跨った状態で保持されて、第二本体側かしめ部220と第二蓋側かしめ部230とがかしめられ、ケース本体2と蓋部材3とが固定される。
また、嵌入部材50は、第二本体側筒部221と第二蓋側筒部231との間に跨った状態から後方へ向けて簡単には移動しなくなる。そのため、一旦第二本体側かしめ部220と第二蓋側かしめ部230とがかしめられた後は、嵌入部材50を第二かしめ部200から抜き取って、ケース本体2と蓋部材3との固定を容易に解除することはできないようになっている。
【0073】
次に、蓋部材3とケース本体2との固定の解除について、図13を用いて説明する。
【0074】
蓋部材3とケース本体2との固定の解除は、嵌入部材50を第一かしめ部100および第二かしめ部200から抜き取らずに、第一かしめ部100の第一蓋側かしめ部130を蓋部材3に連結させる蓋側連結片135と、第二かしめ部200の第二本体側かしめ部220をケース本体2に連結させる本体側連結片225とを切断することによって行われる。
【0075】
具体的には、基板ケース1が組み立てられた後、第一かしめ部100側の蓋側連結片135がニッパー等の工具により切断されると、第一かしめ部100においては、第一蓋側かしめ部130の第一蓋側収容部132が蓋部材3の天板と分離して蓋部材3から外れる。
このとき、第一蓋側かしめ部130の第一蓋側筒部131が第一本体側筒部121内に嵌め込まれた状態で、嵌入部材50のスプリングピン51が第一本体側筒部121内および第一蓋側筒部131内に嵌入されるとともに、嵌入部材50の板状片53が第一蓋側収容部132の開口部136に嵌め込まれているため、第一蓋側かしめ部130がケース本体2に第一本体側かしめ部120を介して連結されている。しかし、第一蓋側収容部132が蓋部材3から外れているため、第一かしめ部100(第一本体側かしめ部120および第一蓋側かしめ部130)がケース本体2のみに設けられた状態となって、ケース本体2と蓋部材3との固定が解除される。
【0076】
また、基板ケース1が組み立てられた後、第二かしめ部200側の本体側連結片225がニッパー等の工具により切断されると、第二かしめ部200においては、第二本体側かしめ部220の第二本体側収容部222が第二本体側枠体223およびケース本体2の天板と分離して蓋部材3から外れる。
この状態においては、第二本体側かしめ部220の第二本体側筒部221が第二蓋側収容部232内に嵌め込まれた状態で、嵌入部材50のスプリングピン51が第二蓋側筒部231内および第二本体側筒部221内に嵌入されるとともに、嵌入部材50の板状片53が第二本体側収容部222の開口部226に嵌め込まれているため、第二本体側かしめ部220が蓋部材3に第二蓋側かしめ部230を介して連結されている。しかし、第二本体側収容部222がケース本体2から外れているため、第二かしめ部200(第二本体側かしめ部220および第二蓋側かしめ部230)が蓋部材3のみに設けられた状態となって、ケース本体2と蓋部材3との固定が解除される。
【0077】
次に、基板ケース1へのかしめ部カバー5の取り付け構成について説明する。
【0078】
かしめ部カバー5は、基板ケース1の上端部に係止されて取り付けられる。
まず、かしめ部カバー5を基板ケース1に係止する該基板ケース1の係止片80の構成について説明する。
【0079】
係止片80は、図5および図14に示すように、細長い略板状形状に形成される部材である。係止片80は、複数設けられ、各係止片80は、長手方向を上下方向として基板ケース1の上端部から上方へ向けて突設される。係止片80の下端部は、基板ケース1の天板(さらに詳細には、前後に連続する蓋部材3の天板の前側部分およびケース本体2の天板)に接続され、係止片80と基板ケース1とが一体的に形成されている。
【0080】
本実施形態において、係止片80は、2種類設けられる。具体的には、図14に示すように、かしめ部カバー5が基板ケース1に取り付けられた状態において、かしめ部カバー5の内側に配置される内側係止片82と、かしめ部カバー5の外側に配置される外側係止片81と、である。内側係止片82は、かしめ部カバー5を内側から係止し、外側係止片81は、かしめ部カバー5を外側から係止する。つまり、かしめ部カバー5は、内側係止片82および外側係止片81により内側および外側から係止されて基板ケース1に取り付けられる。
【0081】
外側係止片81は、図5に示すように、本実施形態において、合計2つ設けられる。各外側係止片81は、基板ケース1の天板(さらに詳細には、ケース本体2の天板)において、基板ケース1に取り付けられた状態のかしめ部カバー5の左右両外側に、相互に対向するように配置される。各外側係止片81の先端部には、かしめ部カバー5側へ向けて突出した爪部83が形成される。外側係止片81の爪部83は、かしめ部カバー5の左右両側端部にそれぞれ設けられた係止片受部66に係止される(図17参照)。
なお、外側係止片81は、不正行為を防止するべくかしめ部カバー5を基板ケース1に取り付けるために使用されるほかに、一旦基板ケース1に取り付けられたかしめ部カバー5が検査等の理由により取り外された(基板ケース1に対する係止を解除された)後、一時的に(新たな基板ケース1と交換するまでの間)そのかしめ部カバー5を基板ケース1に再び取り付けておくために使用される。
【0082】
内側係止片82は、図5に示すように、本実施形態において、合計6つ設けられる。各内側係止片82は、基板ケース1の天板(さらに詳細には、ケース本体2の天板および蓋部材3の天板)において、基板ケース1に取り付けられた状態のかしめ部カバー5の内側であって、後述するかしめ部カバー5に設けられる合計6つの係止片挿入体70に対応する位置に、それぞれ配置される。図14に示すように、内側係止片82は、上側へ行くと略板状形状の部材の厚みが薄くなり(テーパ状となり)、上端部には、前記係止片挿入体70内に設けられた係止片受部79側へ向けて突出した爪部84が形成される。爪部84は、下側へ行くに従って突出した側へ向けて拡径され、その底面は略水平面となる。内側係止片82の爪部84は、かしめ部カバー5を基板ケース1に取り付ける際に、係止片挿入体70の前記係止片受部79に係止される。
【0083】
次に、かしめ部カバー5の構成について、図15から図19を用いてさらに詳細に説明する。
【0084】
かしめ部カバー5は、天板61と、前板62と、背板63と、左側板64と、右側板65と、により下側が開口された略直方体の箱状に形成される。かしめ部カバー5は、基板ケース1に設けられる外側係止片81および内側係止片82により係止されて基板ケース1に取り付けられる。
【0085】
天板61は、かしめ部カバー5の上部を成す略板状の部材である。天板61は、左右方向に細長い長方形状に形成される。天板61の前後中央部には、上方へ向けて突出される突出部61aがかしめ部カバー5の長手方向、つまり左右方向にわたって設けられる。突出部61aは、左右方向に細長い長方形状に形成される。天板61は、図16に示すように、側面断面視で中央部が上方へ向けて突出した略凸状に形成される。
【0086】
前板62は、かしめ部カバー5の前部を成す略板状の部材である。前板62は、左右方向に細長い長方形状に形成される。前板62の左右中央部からやや左側の下端部には、左右一対の貫通孔75が設けられる。左右一対の貫通孔75は、前板62を前後方向に貫通し、正面視で略正方形状に形成される。かしめ部カバー5における左右一対の貫通孔75が形成される部分の内側には、内側係止片82が挿入される係止片挿入体70が形成される。係止片挿入体70の内部には、この係止片挿入体70に対応して挿入された内側係止片82の爪部84と係止される係止片受部79が設けられる。
【0087】
背板63は、かしめ部カバー5の後部を成す略板状の部材である。背板63は、左右方向に細長い長方形状に形成される。背板63の左右中央部からやや右側の下端部には、左右一対の貫通孔75が設けられる。左右一対の貫通孔75は、背板63を前後方向に貫通し、背面視で略正方形状に形成される。かしめ部カバー5における左右一対の貫通孔75が形成される部分の内側には、内側係止片82が挿入される係止片挿入体70が形成される。係止片挿入体70の内部には、この係止片挿入体70に対応して挿入された内側係止片82の爪部84と係止される係止片受部79が設けられる。
【0088】
左側板64は、かしめ部カバー5の左部を成す略板状の部材である。左側板64は、前後方向にやや細長い略長方形状であって前後の上端部が側面視で略正方形状に切り欠けられた形状(前後中央部が上方へ突出した形状)に形成される。かしめ部カバー5における左側板64の左側方には、内側係止片82が挿入される係止片挿入体70が形成される。係止片挿入体70は、下側が開口された略四角筒状に形成される。係止片挿入体70の左側板の下端部には、前後一対の貫通孔75が設けられる。前後一対の貫通孔75は、係止片挿入体70の左側板を左右方向に貫通し、側面視で略正方形状に形成される。係止片挿入体70の内部には、この係止片挿入体70に対応して挿入された内側係止片82の爪部84と係止される係止片受部79が設けられる。左側板64において係止片挿入体70は2つ設けられ、前後方向に適宜な間隔をあけて配置される。また、前後に配置された係止片挿入体70の間には、基板ケース1の外側係止片81の爪部83と係止される係止片受部66が設けられる。係止片受部66は、左側方へ向けて突出して形成される。
【0089】
右側板65は、かしめ部カバー5の右部を成す略板状の部材である。右側板65は、前後方向にやや細長い略長方形状であって前後の上端部が側面視で略正方形状に切り欠けられた形状(前後中央部が上方へ突出した形状)に形成される。かしめ部カバー5における右側板65の右側方には、内側係止片82が挿入される係止片挿入体70が形成される。係止片挿入体70は、下側が開口された略四角筒状に形成される。係止片挿入体70の右側板の下端部には、前後一対の貫通孔75が設けられる。前後一対の貫通孔75は、係止片挿入体70の右側板を左右方向に貫通し、側面視で略正方形状に形成される。係止片挿入体70の内部には、この係止片挿入体70に対応して挿入された内側係止片82の爪部84と係止される係止片受部79が設けられる。なお、右側板65において係止片挿入体70は2つ設けられ、前後方向に適宜な間隔をあけて配置される。また、前後に配置された係止片挿入体70の間には、基板ケース1の外側係止片81の爪部83と係止される係止片受部66が設けられる。係止片受部66は、右側方へ向けて突出して形成される。
【0090】
以上のように、かしめ部カバー5は、天板61と、前板62と、背板63と、左側板64と、右側板65と、により下側が開口された略直方体の箱状に形成されるとともに、天板61を除く全ての板(つまり前板62と、背板63と、左側板64と、右側板65と)に、基板ケース1の内側係止片82が挿入される係止片挿入体70が1又は2つ形成されて、合計6つの係止片挿入体70を備えている。
【0091】
また、図17および図18に示すように、かしめ部カバー5の内径の左右方向の長さは、基板ケース1の上端部における左右に配置された6つのかしめ部10のうち、最右部に配置されるかしめ部10の右側端部から最左部に配置されるかしめ部10の左側端部までの長さよりも若干長く設定される。また、かしめ部カバー5の内径の前後方向の長さは、かしめ部10の前後方向の長さよりも若干長く、つまり基板ケース1の天板の前後方向の長さと略同一に設定される。また、かしめ部カバー5の内径の上下方向の長さは、基板ケース1の天板からかしめ部10の最上端部までの長さより若干長く設定される。このように、かしめ部カバー5の内径の左右、前後および上下方向の長さは、複数のかしめ部10を外側から一括して被覆可能な長さに設定される。
【0092】
次に、かしめ部カバー5に設けられる係止片挿入体70の構成について、さらに詳細に説明する。
なお、本実施形態において、係止片挿入体70は合計6つ設けられる。以下の説明においては、かしめ部カバー5の右側板65の右側方に形成された2つの係止片挿入体70のうち、後側に配置された係止片挿入体70の構成についてのみ説明する。他の係止片挿入体70の構成については、図面にて前記後側に配置された係止片挿入体70の説明で用いて符号と同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
【0093】
係止片挿入体70は、図19に示すように、基板ケース1の天板に設けられた6つの内側係止片82のうち、対応する内側係止片82が挿入され、係止されるものである。係止片挿入体70は、下側が開口された略四角筒状に形成され、かしめ部カバー5の右側板65の右側方に形成される。右側板65の右側方に形成される係止片挿入体70は、前後方向においては、かしめ部カバー5の右側板65の後部側に配置されている。係止片挿入体70の前下端部には、後側および下側が開口された略四角筒状の部材(以下の説明において「前四角筒部71」と称する。)が前方へ向けて突設されるとともに、係止片挿入体70の後下端部に、前側および下側が開口された略四角筒状の部材(以下の説明において「後四角筒部72」と称する。)が後方へ向けて突設される。前四角筒部71と後四角筒部72とは、係止片挿入体70の前後中央部を中心として略前後対称に形成される。
【0094】
前四角筒部71の右側板および後四角筒部72の右側板には、前後一対の貫通孔75が形成される。前後一対の貫通孔75は、前四角筒部71の右側板および後四角筒部72の右側板、つまり係止片挿入体70の右側板を左右方向に貫通して、側面視で略正方形状に形成される。前四角筒部71の貫通孔75と、後四角筒部72の貫通孔75との間には、係止片挿入体70の右側板の一部分である、係止片被覆部73が設けられる。係止片被覆部73は、係止片挿入体70に内側係止片82が挿入された状態で、側面視でその内側係止片82が直接視認できないように被覆する部位である。係止片被覆部73の前後方向の長さは、内側係止片82の前後方向の長さと略同一か、又は長くなるように設定される。また、係止片挿入体70に内側係止片82が挿入された状態において、その内側係止片82と係止片挿入体70との間には、ほとんど隙間が設けられない。
【0095】
前四角筒部71は、その後側の開口部を通じて係止片挿入体70の前後中央部、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73の内側と連通される。また、後四角筒部72は、その前側の開口部を通じて係止片挿入体70の前後中央部、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73の内側と連通される。即ち、前四角筒部71と後四角筒部72とは係止片挿入体70の前後中央部、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73の内側を介して連通されている。
【0096】
係止片挿入体70の前後中央部、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73の内側には、長手方向を上下方向とした略直方体状に形成された空間が設けられ、この空間に内側係止片82が挿入される。
よって、係止片挿入体70(前記空間)の内径の前後、左右および上下方向の長さは、内側係止片82の外径の前後、左右および上下方向の長さと略同一か、又は若干長く設定される。つまり、内側係止片82が係止片挿入体70内に挿入された状態においては、内側係止片82の外周面と係止片挿入体70の内周面とが略当接するように設定される。このような構成により、内側係止片82が係止片挿入体70に挿入された状態において、その内側係止片82は、いずれの方向へ向けて付勢されても係止片挿入体70の内周面に当接するので弾性変形しないように形成される。
【0097】
係止片挿入体70の左側板の上部には、開口部74が形成される。開口部74は、係止片挿入体70の左側板を左右方向に貫通して側面視で略長方形状に形成される。開口部74には、略板状の弾性部材である係止片受部79が設けられる。係止片受部79は、その板面を左右方向に向けた状態で開口部74の下側縁部から、右斜め上方へ向けて、つまり内側係止片82側へ向けて突出される。係止片受部79の上端面は、略水平面となる。
【0098】
次に、かしめ部カバー5と基板ケース1との係止について説明する。
【0099】
かしめ部カバー5と基板ケース1との係止は、図19に示すように、係止片挿入体70に基板ケース1の内側係止片82を挿入することによって行われる。
内側係止片82が係止片挿入体70に挿入される場合には、内側係止片82の上端部が、係止片挿入体70の下端部の前後中央、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73の内側からその内部へ挿入される。係止片挿入体70に挿入される内側係止片82は、係止片挿入体70の内部で、内側係止片82の爪部84を上方へ向けて摺動させながら移動する。そして、内側係止片82の爪部84が係止片挿入体70の係止片受部79と当接すると、(下側へ行くに従って該係止片受部79側へ向けて拡径された)爪部84は、弾性部材である係止片受部79を左側方、つまり内側係止片82の爪部84から離間する方向へ押圧して弾性変形させながら、上方へ移動する。さらに、内側係止片82が上方へ向けて移動して、内側係止片82の爪部84が係止片受部79よりも上方に位置すると、爪部84による係止片受部79の押圧状態が解除され、弾性変形されていた係止片受部79が右側方、つまり内側係止片82の爪部84に近接する方向に形状を復元し、内側係止片82の爪部84と係止片挿入体70の係止片受部79とが係止される。
【0100】
このような構成により内側係止片82の爪部84と係止片挿入体70の係止片受部79とが係止された状態では、略水平面に形成される爪部84の底面と、略水平面に形成される係止片受部79の上端面とは、平面視で重複して当接されている。したがって、内側係止片82の爪部84と係止片挿入体70の係止片受部79とが一旦係止されると、容易にその係止が解除されない(内側係止片82が係止片挿入体70から抜き取られない)ような構成となっている。
【0101】
本実施形態における合計6つの内側係止片82および係止片挿入体70はそれぞれ略同一に形状にて形成されるので、かしめ部カバー5を基板ケース1に取り付ける際に、これらの全ての内側係止片82と係止片挿入体70とが略同時に係止されることとなる。また、かしめ部カバー5を基板ケース1に取り付けた際に、基板ケース1の内側係止片82とともに外側係止片81(の爪部83)がかしめ部カバー5の係止片受部66に係止される。
これによって、かしめ部カバー5は、基板ケース1の2つの外側係止片81と、6つの内側係止片82とにより係止されて該基板ケース1に取り付けられることとなる。
【0102】
次に、かしめ部カバー5と基板ケース1との係止の解除について説明する。
【0103】
かしめ部カバー5を基板ケース1から取り外すためには、かしめ部カバー5と基板ケース1との係止を解除する必要がある。かしめ部カバー5と基板ケース1との係止の解除は、基板ケース1の内側係止片82においては、かしめ部カバー5の係止片挿入体70から抜き取らず、図20に示すように、かしめ部カバー5の係止片挿入体70に係止されている内側係止片82を切断することによって行われる。
【0104】
具体的には、基板ケース1にかしめ部カバー5が取り付けられた(係止された)状態において、まず係止片挿入体70の前後一対の貫通孔75にニッパー等の工具の刃先を挿入し、その前後一対の貫通孔75の間に設けられる係止片挿入体70の右側板の下端部、つまり係止片挿入体70における係止片被覆部73を切断する。そして、その係止片被覆部73を除去したならば、内側係止片82の下端部が挿入されている係止片挿入体70の前後中央部は、前四角筒部71および後四角筒部72と連通されているので、この前四角筒部71および後四角筒部72にニッパー等の工具の刃先を挿入し、この内側係止片82の下端部を切断するのである。
【0105】
こうして、内側係止片82の爪部84と係止片挿入体70の係止片受部79とが係止された状態であっても、内側係止片82が切断されると、当初一体的に形成されていた内側係止片82と基板ケース1とが別体となるため、基板ケース1とかしめ部カバー5との係止が解除される。したがって、本実施形態においては、合計6つの内側係止片82と係止片挿入体70とが設けられているので、これらの全ての係止片被覆部73および内側係止片82とを切断することにより、内側係止片82による基板ケース1とかしめ部カバー5との係止が解除される。
また、基板ケース1の外側係止片81においては、かしめ部カバー5の外側に配置されているので、この外側係止片81を反係止側へ向けて、つまり係止されている基板ケース1の係止片受部79から離間する方向へ向けて付勢して弾性変形させると、外側係止片81が係止片受部79から外れて、基板ケース1とかしめ部カバー5との係止が解除される。
このように、全ての内側係止片82による基板ケース1とかしめ部カバー5との係止を解除し、全ての外側係止片81による基板ケース1とかしめ部カバー5との係止を解除すれば、かしめ部カバー5を基板ケース1から取り外すことができる。
【0106】
最後に、以上のように構成される基板ケース1の作用効果について説明する。
【0107】
基板ケース1は、ケース本体2と蓋部材3とを組み付けて形成される基板ケースにおいて、前記ケース本体2の一側面に設けられる本体側かしめ部(本体側筒状部材)20と、前記蓋部材3の一側面に設けられる蓋側かしめ部(蓋側筒状部材)30とを組み付けて形成され、本体側かしめ部(本体側筒状部材)20と蓋側かしめ部(蓋側筒状部材)30とを跨いだ状態に嵌入部材50が嵌入されるかしめ部(基板ケース筒状部材)10と、一面が開口した略箱状に形成され、前記開口した面をケース本体2および蓋部材3の前記一側面に向けた姿勢、かつその内部にかしめ部(基板ケース筒状部材)10を収容した状態で、ケース本体2および蓋部材3に係止されるかしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5と、を備え、かしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5は、ケース本体2又は蓋部材3からかしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5内へ向けて突出された内側係止片(係止部)82と、かしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5の内部で係止され、かしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5における内側係止片(係止部)82と対向する側面である係止片挿入体70の右側板には、内側係止片(係止部)82との対向部分である係止片被覆部73を挟んだ両側位置に、係止片挿入体70の右側板を貫通する前後一対の貫通孔75が形成されるものである。
【0108】
このような構成により、基板ケース1に取り付けられているかしめ部カバー5を見て、かしめ部カバー5が以前に基板ケース1から取り外されたことがあるか否か、つまり基板ケース1とかしめ部カバー5との係止が解除されたことがあるか否かを容易に確認することが可能となる。
具体的には、かしめ部カバー5の係止片挿入体70に挿入(係止)されている状態において、内側係止片82は、係止片挿入体70における係止片被覆部73により被覆されている。したがって、内側係止片82を右側方へ、つまり係止片挿入体70内で係止されている係止片受部79から離間する方向へ向けて付勢することができないように構成されている。したがって、内側係止片82における、基板ケース1とかしめ部カバー5との係止を解除するためには、係止片挿入体70における係止片被覆部73を切断して除去したうえで、内側係止片82を切断する必要がある。
これによって、かしめ部カバー5が基板ケース1に取り付けられている状態であっても、かしめ部カバー5の係止片挿入体70における係止片被覆部73を視認することで、例えば、係止片被覆部73が切断されていれば、その切断跡73aから、かしめ部カバー5が一旦基板ケース1から取り外されて外側係止片81により一時的に取り付けられていることを確認することができるし、係止片被覆部73が切断されていなければ、かしめ部カバー5が基板ケース1からまだ取り外されたことがないことを確認することできる。つまり、遊技機が配置された遊技場等の担当者は、かしめ部カバー5が基板ケース1から取り外されたことを視覚的に容易に確認することができる。
【0109】
また、基板ケース1においては、前後一対の貫通孔75は、かしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5のケース本体2側および蓋部材3側の端部に形成されることが望ましい。
【0110】
このような構成により、前後一対の貫通孔75は、内側係止片82の爪部84および係止片挿入体70の係止片受部79から離間した位置に配置されるので、該前後一対の貫通孔75を利用して(内側係止片82および係止片挿入体70における係止片被覆部73を切断することなく)前記爪部84と係止片受部79との係止を解除しようとする不正行為、例えば前後一対の貫通孔75から針金等の部材を挿入して前記爪部84と係止片受部79との係止を解除しようとする不正行為を極力防止することができる。
【0111】
また、基板ケース1においては、前後一対の貫通孔75は、かしめ部カバー(基板ケース筒状部材カバー)5の少なくとも2以上の側板(側面)に設けられ、基板ケース1には、各前後一対の貫通孔75に対応して内側係止片(係止部)82がそれぞれ設けられることが望ましい。
【0112】
このような構成により、かしめ部カバー5と基板ケース1との係止が解除され、係止片挿入体70における係止片被覆部73が切断された場合には、かしめ部カバー5をその係止片挿入体70が設けられた複数の側板のうち一側板から見て確認すればよい。したがって、例えばかしめ部カバーの一側板にのみ係止片挿入体70が設けられ、この一側板を探して係止片挿入体70における係止片被覆部73が切断されたか否かを確認する場合と比べて、前記担当者は、かしめ部カバー5が基板ケース1から一旦取り外されて外側係止片81により一時的に取り付けられていることを速やかに効率よく確認することができる。
【符号の説明】
【0113】
1:基板ケース,2:ケース本体,3:蓋部材,5:かしめ部カバー,10:かしめ部,20:本体側かしめ部,30:蓋側かしめ部,50:嵌入部材,70:係止片挿入体,73:係止片被覆部,75:貫通孔,82:内側係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と蓋部材とを組み付けて形成される基板ケースにおいて、
前記ケース本体の一側面に設けられる本体側筒状部材と、前記蓋部材の一側面に設けられる蓋側筒状部材とを組み付けて形成され、前記本体側筒状部材と前記蓋側筒状部材とを跨いだ状態に嵌入部材が嵌入される基板ケース筒状部材と、
一面が開口した略箱状に形成され、前記開口した面を前記ケース本体および前記蓋部材の前記一側面に向けた姿勢、かつその内部に前記基板ケース筒状部材を収容した状態で、前記ケース本体および前記蓋部材に係止される基板ケース筒状部材カバーと、
を備え、
前記基板ケース筒状部材カバーは、前記ケース本体又は前記蓋部材の前記一側面から前記基板ケース筒状部材カバー内へ向けて突出された係止部と、前記基板ケース筒状部材カバーの内部で係止され、
前記基板ケース筒状部材カバーにおける前記係止部と対向する側面には、前記係止部との対向部分を挟んだ両側位置に、当該側面を貫通する貫通孔が形成される、
ことを特徴とする基板ケース。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記基板ケース筒状部材カバーの前記ケース本体側および前記蓋部材側の端部に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板ケース。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記基板ケース筒状部材カバーの少なくとも2以上の側面に設けられ、
前記基板ケースには、前記各貫通孔に対応して前記係止部がそれぞれ設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−212321(P2011−212321A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84439(P2010−84439)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式会社 (978)
【Fターム(参考)】