説明

基板モジュールおよびプリンター

【課題】第1基板および第2基板を小形にすることができると共に、高い固定強度を得ることができる。
【解決手段】メイン基板13と、メイン基板13から直角に延在し、メイン基板13に突き当てた下端部でメイン基板13に係止されたサブ基板14と、下端部に平行なサブ基板14の上端部を挟持固定すると共に、メイン基板13に平行に配設した板状の基板ホルダープレート15と、を備え、基板ホルダープレート15は、上端部が臨むスリット状の開口部81と、開口部81から対向して突出し、上端部を表裏両側から挟持する一対の挟持突起82、82と、各挟持突起82、82の背面側近傍に位置し、開口部81に平行な一対のスリット83、83と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能を付加するために電子機器に装着される基板モジュールおよびプリンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の基板モジュールとして、第1基板と、第1基板に垂直に固定する第2基板と、第1基板に第2基板を固定する左右一対の固定ホルダと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この一対の固定ホルダでは、一方の固定ホルダが、第2基板の側方一端部を保持し、他方の固定ホルダが、第2基板の側方他端部を保持している。すなわち、第1基板に配設された固定ホルダによって、第2基板の左右端部を保持して固定する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の構成では、第2基板上には、左右端部に被保持スペースを確保する必要があり、また、第1基板上には、第2基板上の左右端部に当たる第1基板上の箇所に、固定ホルダの配設スペースを確保する必要がある。そのため、回路形成エリアが狭くなり、また第1基板および第2基板を大形にせざるを得ないという問題があった。これに対し、単に、被保持スペースおよび配設スペースを小さくすることも考えられるが、かかる場合、高い固定強度が得られないという問題がある。
【0005】
本発明は、第1基板および第2基板を小形にすることができると共に、高い固定強度を得ることができる基板モジュールおよびプリンターを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基板モジュールは、機能を付加するために電子機器に装着される基板モジュールであって、第1基板と、第1基板から直角に延在し、第1基板に突き当てた突当て端部で第1基板に係止された第2基板と、突当て端部に平行な第2基板の固定端部を挟持固定すると共に、第1基板に平行に配設した板状の基板固定部材と、を備え、基板固定部材は、固定端部が臨むスリット状の開口部と、開口部の開口縁から突出し、固定端部を表裏両側から挟持する一対の挟持突起と、各挟持突起の背面側近傍に位置し、開口部に平行な一対のスリットと、を有していることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、スリットにより各挟持突起にばね性を持たせることができるため、第2基板の固定端部を一対の挟持突起に圧入することにより、第2基板の固定端部を基板固定部材で挟持固定することができる。すなわち、板状の基板固定部材により、第2基板の固定端部を挟持固定するため、第2基板の被保持スペースを小さくすることができ、また第1基板および第2基板に対し、回路をスペース効率良く配置することができる。ゆえに、第1基板および第2基板を小形化することができる。また、第1基板への係止位置から極力離れた位置(固定端部)で第2基板を挟持固定するため、第2基板を効果的に固定することができる。ゆえに、小さい被保持スペースでも、高い固定強度を得ることができる。
【0008】
この場合、基板固定部材を保持すると共に、装着された状態で電子機器に固定される導電性の機器固定フレームを、更に備え、第2基板の固定端部には、接地配線が形成され、基板固定部材は、導電性材料で形成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、導電性の基板固定部材および機器固定フレームにより、簡単な構成で且つ効果的に、第2基板を導電・接地することができる(ノイズ除去)。第2基板の導電は、第2基板の静電気除去にも効果的である。ここにいう「導電性」とは、具体的には、表面電気抵抗値が10Ω以下の性質を持つこと示す。
【0010】
この場合、一対の挟持突起は、開口部の延在方向において相互に位置ずれして配設されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、挟持突起から第2基板への応力が挟持突起の逆側に逃げるため、第2基板への負荷を軽減することができ、第2基板の破損を抑制することができる。また、プレス打ち抜きで一対の挟持突起を形成する場合、プレス金型の強度が向上し金型寿命を延ばすことができる。
【0012】
この場合、基板固定部材は、開口部の延在方向に分散して、一対の挟持突起を複数組有していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、開口部の延在方向(固定端部の延在方向)の複数個所で、保持固定するため、固定強度を向上させることができる。
【0014】
この場合、第2基板の表裏一方の面にマウントされたコネクターを、更に備え、基板固定部材は、開口部の開口縁から突出し、微小間隙を存して固定端部に対峙する一対の受け突起を、更に有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、コネクターの抜き差しの力が第2基板に作用しても、一対の受け突起がこれを受けるため、第2基板の所定値以上の湾曲や破損を阻止することができると共に、コネクターの抜き差しを安定させることができる。
【0016】
この場合、基板固定部材は、開口部の延在方向に分散して、一対の受け突起を複数組有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、開口部の延在方向(固定端部の延在方向)の複数個所で、上記抜き差しの力を受け得るため、第2基板の上記湾曲や破損をより精度良く抑制することができる。
【0018】
この場合、基板固定部材は、開口部と平行に延在すると共に第1基板側に折曲げ形成した補強リブを、更に有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、基板固定部材に補強リブを形成することで、基板固定部材の湾曲を抑え、また基板固定部材の強度を向上させることができ、その分、基板固定部材を薄手に形成することができる。
【0020】
この場合、第1基板には、マイクロコンピューターが搭載されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、本基板モジュールを電子機器に装着することで、電子機器の機能を格段に向上することができる。なお、ここにいうマイクロコンピューターとは、CPUやメモリーを1つに集積した回路を示すものであり、すなわち超小型コンピューターを示すものである。
【0022】
本発明のプリンターは、上記の基板モジュールを備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、小形で且つ固定強度の高い基板モジュールを用いることで、小型で且つ情報処理機能を併有するプリンターを提供することができる。例えば、POSアプリケーションプログラムを実行可能な情報処理機能を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るプリンターを示した斜視図である。
【図2】拡張基板モジュールを示した斜視図である。
【図3】コネクターフレーム無しの拡張基板モジュールを示した斜視図である。
【図4】拡張基板モジュールを示した側面視断面図である。
【図5】メイン基板周りを示した斜視図である。
【図6】メイン基板に合体したサブ基板周りを示した裏面斜視図である。
【図7】高さ調節機構周りを示した裏面斜視図である。
【図8】基板ホルダープレートの変形例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照し、本発明の一実施形態に係る基板モジュールとこれを装着したプリンターについて説明する。このプリンターは、いわゆるレシートプリンターであり、外部機器からの情報に基づいて、レシート用の画像データをレシート用紙に印刷して、レシートを作成するものである。なお、外部機器として、POS端末、キーボード、スキャナーおよびディスプレイ等を想定している。
【0026】
図1に示すように、プリンター1は、プリンター本体(電子機器)2と、プリンター本体2に装着する拡張基板モジュール(基板モジュール)4と、を備えている。本実施形態では、マイクロコンピューター(図示省略)を搭載した拡張基板モジュール4を装着することで、プリンター本体2に情報処理機能を付加する。例えば、当該マイクロコンピューターに、簡易POSアプリケーションプログラムを搭載し、プリンター1を予備のPOS端末として機能させることを想定している。
【0027】
次に、拡張基板モジュール4について詳細に説明する。なお、以降の説明では、プリンター1に装着した拡張基板モジュール4を上下反転して表した図面を用いると共に、図2および図3における手前側を「前」、奥側を「後」、上側を「上」、下側を「下」として、説明を進める。また、上記した前後に対する右側(図中左側)を「右」、前後に対する左側(図中右側)を「左」とする。
【0028】
図2、図3および図4に示すように、拡張基板モジュール4は、後面を開放した箱状のコネクターフレーム(機器固定フレーム)11と、コネクターフレーム11を装着するコネクターモジュール3と、を備えている。コネクターモジュール3は、コネクターフレーム11の前面に露出させたVGAコネクター45を含む複数の外部コネクターからなるコネクター群12と、コネクターフレーム11の内部から後方に延在するように設けたメイン基板(第1基板)13と、コネクターフレーム11内において、メイン基板13に直角に立設したサブ基板(第2基板)14と、コネクターフレーム11の天面に添わせて設けられ、サブ基板14の上端部(固定端部)を保持する基板ホルダープレート(基板固定部材)15と、VGAコネクター45の高さを調節する高さ調節機構16と、メイン基板13上の後端部に配設され、上記のプリンター本体2に接続するための内部コネクター17と、を備えている。そして、メイン基板13には、ワンチップのマイクロコンピューター(図示省略)およびその周辺回路が作りこまれている。各外部コネクターとマイクロコンピューター、マイクロコンピューターと内部コネクター17とは、配線ケーブル20(図7参照)により接続されている。なお、マイクロコンピューターは、CPU、RAM、ROMおよびデータ記憶部(フラッシュROM等)を有する集積回路である。
【0029】
図2および図4に示すように、コネクターフレーム11は、導電性材料の金属板で構成されており、前面を構成するパネル板部21と、パネル板部21の上下端からそれぞれ直角に延びる一対の上下補強板部22、22と、パネル板部21の左右端からそれぞれ直角に延びる一対の左右補強板部23、23と、左側の左右補強板部23の端部を折り返すように折り曲げて成ると共に、拡張基板モジュール4をプリンター本体2にねじ止めするための取付板部24と、を備えている。すなわち、コネクターフレーム11は、パネル板部21、上下補強板部22、22および各左右補強板部23、23により、平面視断面および側面視断面において「コ」字状の形状を成している。
【0030】
また、コネクターフレーム11における箱の角を成す上下補強板部22の端部と左右補強板部23の端部との間は、非接合で接触している。そのため、コネクターモジュール3をコネクターフレーム11に装着する際、左右補強板部23、23の先端側が拡開方向に湾曲し、装着を阻害しないように、かつ他の部品を開いた状態で嵌め入れるように構成されている。また、各上下補強板部22は、後述のアジャストねじ86を挿通する通し孔25を有している。
【0031】
パネル板部21は、VGAコネクター45(Video Graphics Array connector)のプラグ側の接続部54に臨んでこれを外部に露出するコネクター用開口31と、コネクター用開口31の両側に位置し、VGAコネクター45のフレーム取付部55に螺合する一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33用の一対の貫通孔32、32と、拡張基板モジュール4をプリンター本体2にねじ止めするための取付孔34と、を備えている。すなわち、コネクターフレーム11は、一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33によって、コネクターモジュール3にねじ固定され拡張基板モジュール4となり、また、拡張基板モジュール4は、一対の拡張基板モジュール固定ねじ35、35によって、上記の取付板部24および取付孔34を介して、プリンター本体2にねじ止め固定される。これにより、上記の内部コネクター17を接続した状態で、拡張基板モジュール4がプリンター本体2に固定される。この構成によれば、拡張基板モジュール4が故障した場合に、拡張基板モジュール固定ねじ35、35を外して、拡張基板モジュール4を交換すれば良く、修理時間を短縮することができる。なお、コネクター用開口31は、高さ方向に幅広に形成され、各貫通孔32は、高さ方向に延びる長孔に形成されている。すなわち、高さ調節機構16によるVGAコネクター45の高さ調節を許容するように形成されている。
【0032】
図2、図3および図4に示すように、コネクター群12は、抜き差し方向がメイン基板13と平行になるように配設されており、メイン基板13の前端部に搭載された左下部に位置するLAN(Local Area Network)コネクター41および右下部に位置するマイクロUSB(Universal Serial Bus)コネクター42と、サブ基板14の前面にマウントされた右上部に位置するDC(Direct Current)コネクター(コネクター)43および上部に並んだ4つのUSBコネクター(コネクター)44と、高さ調節機構16に保持された上記VGAコネクター45と、を含んでいる。これらのコネクターは、それぞれのプラグコネクターの接続を考慮しつつ、パネル板部21内においてスペース効率良く配置されている。また、これらのコネクターは、配線ケーブル20によりサブ基板14に電気的に接続しており、ひいてはサブ基板14を介して、メイン基板13に電気的に接続されている。なお、サブ基板14とメイン基板13との接続は、配線ケーブル20やジャンパーリード線によって行うものであっても良いし、サブ基板14の下端部において両基板13、14上の配線を直接接続するものであっても良い。
【0033】
VGAコネクター45は、接続部54を有するコネクター本体51と、下面にコネクター本体51をねじ止めしたコネクター基板52と、を備えている(図4参照)。コネクター基板52は、上下補強板部22やメイン基板13と平行して延在しており、中央部に後述のアジャストねじ86を挿通する挿通孔53を有している。コネクター本体51は、上記接続部54と、接続部54を保持すると共にコネクターフレーム11に内側から当接するフレーム取付部55と、を備えている。すなわち、上記一対の貫通孔32、32を介して、一対のコネクターフレーム固定ねじ33、33がフレーム取付部55に螺合する(図3参照)。これによって、VGAコネクター45は、接続部54を、パネル板部21から突出させた状態で、コネクターフレーム11にねじ止め固定される(図2参照)。なお、当該コネクターフレーム固定ねじ33は、頭部軸心に雌ねじ孔が形成されており、プラグコネクターの雄ねじ部と供して、プラグコネクターを接続する際の抜け止めとしても機能する。
【0034】
図5に示すように、メイン基板13には、前方左端部にLANコネクター41を、同図示では省略したが前方右端部にマイクロUSBコネクター42を搭載すると共に、後方中央部に内部コネクター17を搭載している。また、図6に示すように、メイン基板13の前方寄りの前後中間部には、サブ基板14に形成された後述の左右一対の係止突起66、66を係合する方形の左右一対の係止孔61、61が形成されている。すなわち、サブ基板14の下端部(突当て端部)を突き当てつつ、一対の係止突起66、66を係合することで、サブ基板14の下端部を係止した状態でこれをメイン基板13上に立設している。さらに、メイン基板13には、VGAコネクター45の抜差し方向において、VGAコネクター45がオーバーラップするように、配設されている(図7参照)。このため、メイン基板13の当該オーバーラップ部分には、VGAコネクター45を逃げる切欠き部62が配設(形成)されている。切欠き部62の中央後端には、後述のアジャストねじ86を挿通する挿通開口63が凹入するように形成されている。
【0035】
図3、図4および図6に示すように、サブ基板14は、メイン基板13から直角に且つ上方に延在し、LANコネクター41とオーバーラップする部分を除き、メイン基板13の左右全域を横断するように立設(垂直設置)されている。サブ基板14の前面には、DCコネクター43と、4つのUSBコネクター44とがマウントされている。また、サブ基板14のメイン基板13側の端部(下端部)には、上記左右一対の係止突起66、66が形成されている。さらに、サブ基板14の上端部には、図示では省略したが、接地配線(プリント配設)が形成されており、上記の基板ホルダープレート15を介して接地可能に構成されている。なお、サブ基板14の上端部(固定端部)と下端部(突当て端部)とは平行に延在している。
【0036】
図3に示すように、基板ホルダープレート15は、導電性の金属板(板金)をプレス成形して形成され、且つメイン基板13に対し平行に延在しており、内側からコネクターフレーム11に添設するようにして固定されている。基板ホルダープレート15は、サブ基板14の上端部に臨みこれを挟持固定する固定板部71と、固定板部71の左端から直角に下方に屈曲して延びるねじ止め板部73と、で一体に形成されている。固定板部71の右端部には、右端から側方に突出する係合突起72aと、右端部から後方に突出する当接突起72bと、右端部から前方に突出するスペーサー突起72cと、が一体に形成されている。係合突起72aは、コネクターフレーム11の係合孔(図示省略)に係合し、基板ホルダープレート15とコネクターフレーム11とを左右方向において相互に位置決めする。当接突起72bは、上記右側の拡張基板モジュール固定ねじ35をプリンター本体2にねじ止めするときに、プリンター本体2に当接する。スペーサー突起72cは、コネクターフレーム11の内側(パネル板部21の上端部内側)に当接し、基板ホルダープレート15とコネクターフレーム11とを前後方向において相互に位置決めする。
【0037】
また、固定板部71には、その後端部から直角に且つメイン基板13側に折曲げ形成した補強リブ74が、一体に形成されている。この補強リブ74により、固定板部71は、上下方向の曲げに対し十分な応力を発揮する。そして、このように構成された基板ホルダープレート15は、コネクターフレーム11の内側に添設された状態で、右端部の係合突起72aをコネクターフレーム11の係合孔に係合する一方、係止ねじ75により、左端部のねじ止め板部73をコネクターフレーム11にねじ止めすることで、コネクターフレーム11に両持ちで支持される。なお、係止ねじ75は、外側からコネクターフレーム11を貫通し、ねじ止め板部73に螺合する(図2参照)。すなわち、コネクターフレーム11に基板ホルダープレート15が固定され、基板ホルダープレート15にサブ基板14の上端部が挟持固定されて、各種コネクターの抜き差しに対するサブ基板14のがたつきや倒れが防止される。
【0038】
固定板部71は、サブ基板14の上端部が臨むスリット状の開口部81と、開口部81の開口縁から、前後方向に延在して開口部81内に突出し、当該上端部を挟持する複数の挟持突起82と、各挟持突起82の背面側(基端側)近傍に位置し、開口部81に平行な複数のスリット83と、開口部81の開口縁から、前後方向に延在して開口部81内に突出し、当該上端部の受けとなる複数の受け突起84と、を備えている。そして、これら開口部81および複数のスリット83も、プレス打ち抜きで形成される。なお、サブ基板14の上端部の延在方向と開口部81の延在方向とは、同一である。
【0039】
複数の挟持突起82は、前後方向に位置ずれして対向する一対の挟持突起82、82の組を、開口部81の延在方向に分散して(列設して)2組構成している。一対の挟持突起82、82は、それぞれ背面側のスリット83により幅狭に且つばね性を持ってサブ基板14の上端部の表裏面に押接し、当該上端部を挟持する。また、組となる一対の挟持突起82は、互い違いとなるように、開口部81の延在方向(上端部の延在方向)において相互に位置ずれして配設されている。開口部81にサブ基板14の上端部を圧入すると、各組の一対の挟持突起82がサブ基板14の上端部を挟持する。これにより、各組の一対の挟持突起82のばね力と、サブ基板14の部分曲げ応力が拮抗し、サブ基板14は固定板部71に無理無く、且つ強固に固定される。また、固定板部71を介して、サブ基板14のコネクターフレーム11への導通が確保される。加えて、板金部品製造時の金型強度が向上し、金型寿命も延ばすことができる。
【0040】
また、一対の挟持突起82、82の背面側近傍に配設した一対の上記スリット83、83によって、サブ基板14から各挟持突起82に作用する反力を緩和し、靭性が不足する各挟持突起82のばね性を確保している。なお、各挟持突起82のばね性を確保すべく、スリット83に代えて押圧ばねを設ける構成であっても良い。もっとも、固定板部71に対するサブ基板14の圧入は、組立て時のみであるので、挟持突起82が弾性限界を越えて圧入されても問題はない。
【0041】
複数の受け突起84は、前後方向に位置ずれして対向する一対の受け突起84、84の組を、開口部81の延在方向に分散して(列設して)2組構成している。一対の受け突起84、84は、微小間隙を存してサブ基板14の上端部に対峙しており、プラグコネクターの抜き差しの力がサブ基板14に作用した際、これを受け、サブ基板14の所定値以上の湾曲や破損を阻止する。すなわち、当該湾曲や破損を阻止する程度の微小間隙を有している。また、一対の受け突起84、84は、開口部81の延在方向において相互に位置ずれして配設されている。なお、挟持突起82に対し受け突起84は、開口部81の延在方向に幅広に形成されている。
【0042】
一方、基板ホルダープレート15は、挟持突起82によって、サブ基板14の上端部に形成された接地配線に接触し、且つ係合突起72aやねじ止め板部73によって、導電性のコネクターフレーム11に接触している。そして、サブ基板14は、コネクターフレーム11からプリンター本体2、或いはいずれかのコネクターを介して、アースされる。このため、基板ホルダープレート15は、サブ基板14の導電・接地手段としても機能する。
【0043】
図7に示すように、高さ調節機構16は、コネクターフレーム11にねじ止め固定する前のVGAコネクター45を、高さ方向(メイン基板13に対する垂直方向)に位置調節するものである。高さ機構16は、コネクターフレーム11に回転自在に且つ軸方向に不動(固定)に取り付けられていると共に、高さ方向に延在するアジャストねじ86と、サブ基板14に固定され、アジャストねじ86に螺合する固定ナット87と、を備えている。
【0044】
アジャストねじ86は、上方の上下補強板部22、コネクター基板52、メイン基板13、下方の上下補強板部22を挿通して延在しており、頭部の着座面を上方の上下補強板部22に上側から接触させた状態で、一対の上下補強板部22、22に両持ちで回転自在に取り付けられている。また、アジャストねじ86は、下方の上下補強板部22の下面に配設された止め輪88によって軸方向に進退不能に取り付けられている。固定ナット87は、コネクター基板52に半田付けで固定され、またコネクター基板52の挿通孔53と同軸上においてに固定されている。すなわち、アジャストねじ86は、回転動自由且つ進退動固定であり、固定ナット87は、回転動固定且つ進退動自由となっている。
【0045】
コネクターフレーム11の外部から、工具等により頭部を介してアジャストねじ86を回転させると、これに螺合する固定ナット87が軸方向(高さ方向)に進退動し、これに固定されたコネクター基板52を移動させる。結果、コネクター基板52を有するVGAコネクター45全体が移動する。このように、拡張基板モジュール4の組立後、コネクターフレーム11の外部からVGAコネクター45の高さ調節を行うことができる。なお、VGAコネクター45に替えて、シリアルコネクター等の他のコネクターを取り付ける場合にも、高さ調節によって、容易に対応することができる。
【0046】
以上の実施形態によれば、基板ホルダープレート15において、スリット83により各挟持突起82にばね性を持たせることができるため、サブ基板14の上端部を一対の挟持突起82、82に圧入することにより、サブ基板14の上端部を基板ホルダープレート15で挟持固定することができる。すなわち、板状の基板ホルダープレート15により、サブ基板14の上端部を挟持固定するため、サブ基板14の被保持スペースを小さくすることができ、またメイン基板13およびサブ基板14に対し、回路をスペース効率良く配置することができる。ゆえに、メイン基板13およびサブ基板14を小形にすることができる。また、メイン基板13への係止位置から極力離れた位置(上端部)でサブ基板14を挟持固定するため、サブ基板14を効果的に固定することができる。ゆえに、小さい被保持スペースでも、高い固定強度を得ることができる。
【0047】
また、導電性の基板ホルダープレート15およびコネクターフレーム11を用い、且つサブ基板14の上端部に接地配線が形成することにより、簡単な構成で且つ効果的に、サブ基板14を導電・接地することができる。例えば、サブ基板14上における電気信号のノイズを低減することができる。
【0048】
さらに、一対の挟持突起82、82を、開口部81の延在方向において相互に位置ずれして配設することにより、挟持突起82からサブ基板14への応力が挟持突起82の逆側に逃げるため、サブ基板14への負荷を軽減することができ、メイン基板13の破損を抑制することができる。また、プレス打ち抜きで一対の挟持突起82、82を形成する場合、プレス金型の構造を単純化することができる。
【0049】
またさらに、基板ホルダープレート15を、開口部81の延在方向に分散して、一対の挟持突起82、82を複数組有することにより、開口部81の延在方向(上端部の延在方向)の複数個所で、保持固定するため、固定強度を向上させることができる。
【0050】
また、受け突起84を有することにより、プラグコネクターの抜き差しの力がサブ基板14に作用しても、一対の受け突起84、84がこれを受けるため、サブ基板14の所定値以上の湾曲や破損を阻止することができると共に、プラグコネクターの抜き差しを安定させることができる。
【0051】
さらに、一対の受け突起84、84を複数組有しているので、開口部81の延在方向(上端部の延在方向)の複数個所で、上記抜き差しの力を受け得るため、サブ基板14の上記湾曲や破損をより精度良く抑制することができる。
【0052】
またさらに、基板ホルダープレート15に補強リブ74を形成することで、基板ホルダープレート15の湾曲を抑え、また基板ホルダープレート15の強度を向上させることができ、その分、基板ホルダープレート15を薄手に形成することができる。
【0053】
また、メイン基板13に、マイクロコンピューターが搭載されていることにより、本拡張基板モジュール4をプリンター本体2に装着することで、プリンター本体2の機能を格段に向上することができる。
【0054】
なお、本実施形態の基板ホルダープレート15は、固定板部71とねじ止め板部73とで「L」字状に形成されているが、ねじ止め板部73を省略することも可能である。かかる場合には、図8のように、固定板部71の左端にも側方に突出する係合突起72aを形成し、この部分で固定板部71の左端部をコネクターフレーム11に係合する。この場合には、コネクターフレーム11の左右補強板部23,23を外側に開いておいて、固定板部71との係合を行う。
【符号の説明】
【0055】
1:プリンター、 2:プリンター本体、 4:拡張基板モジュール、 11:コネクターフレーム、 13:メイン基板、 14:サブ基板、 43:DCコネクター、 44:USBコネクター、 74:補強リブ、 81:開口部、 82:挟持突起、 83:スリット、 84:受け突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能を付加するために電子機器に装着される基板モジュールであって、
第1基板と、
前記第1基板から直角に延在し、前記第1基板に突き当てた突当て端部で前記第1基板に係止された第2基板と、
前記突当て端部に平行な前記第2基板の固定端部を挟持固定すると共に、前記第1基板に平行に配設した板状の基板固定部材と、を備え、
前記基板固定部材は、
前記固定端部が臨むスリット状の開口部と、
前記開口部の開口縁から突出し、前記固定端部を表裏両側から挟持する一対の挟持突起と、
前記各挟持突起の背面側近傍に位置し、前記開口部に平行な一対のスリットと、を有していることを特徴とする基板モジュール。
【請求項2】
前記基板固定部材を保持すると共に、装着された状態で前記電子機器に固定される導電性の機器固定フレームを、更に備え、
前記第2基板の前記固定端部には、接地配線が形成され、
前記基板固定部材は、導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板モジュール。
【請求項3】
前記一対の挟持突起は、前記開口部の延在方向において相互に位置ずれして配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板モジュール。
【請求項4】
前記基板固定部材は、前記開口部の延在方向に分散して、前記一対の挟持突起を複数組有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板モジュール。
【請求項5】
前記第2基板の表裏一方の面にマウントされたコネクターを、更に備え、
前記基板固定部材は、前記開口部の開口縁から突出し、微小間隙を存して前記固定端部に対峙する一対の受け突起を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板モジュール。
【請求項6】
前記基板固定部材は、前記開口部の延在方向に分散して、前記一対の受け突起を複数組有していることを特徴とする請求項5に記載の基板モジュール。
【請求項7】
前記基板固定部材は、前記開口部と平行に延在すると共に前記第1基板側に折曲げ形成した補強リブを、更に有していることを特徴とする請求項5または6に記載の基板モジュール。
【請求項8】
前記第1基板には、マイクロコンピューターが搭載されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の基板モジュール。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の基板モジュールを備えたことを特徴とするプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4348(P2012−4348A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138080(P2010−138080)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】