基板処理方法、半導体装置及び基板処理装置
【課題】基板に形成した非貫通穴をめっき法により導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮でき、半導体装置の製造コストを削減できる基板処理方法、半導体装置及び基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板Wに非貫通穴100を形成し、非貫通穴100内部にめっき法により導体(めっき膜105)を充填する基板処理方法である。めっき液Qに固体粒子103を含有する。このメッキ液Qで電解めっきを行なうと、めっき膜105の成膜と同時に固体粒子103がめっき膜105中に取り込まれ、めっき膜105の体積が嵩上げされる。
【解決手段】基板Wに非貫通穴100を形成し、非貫通穴100内部にめっき法により導体(めっき膜105)を充填する基板処理方法である。めっき液Qに固体粒子103を含有する。このメッキ液Qで電解めっきを行なうと、めっき膜105の成膜と同時に固体粒子103がめっき膜105中に取り込まれ、めっき膜105の体積が嵩上げされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に形成した穴に導体を充填するのに好適な基板処理方法及び前記方法で処理した半導体装置及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高速化、低消費電力化の進行に伴ない、半導体装置である半導体チップ(以下「チップ」という)と実装基板との間や、チップ相互間での接続の高密度化が必須になってきている。チップと実装基板の電気的な接続には従来はリードフレームが用いられ、リードフレームとチップ上の接合パッドとを金線等で接続するワイヤボンディング法が広く用いられてきた。また、チップ上にバンプと呼ばれる金属の突起を形成し、配線を形成したフイルム状の基板に接合するTape Carrier Package (TCP)と呼ばれる方法や、バンプを直接実装基板や中継基板(インターポーザ)に接合するベアチップ実装なども実用化されている。さらに、1つのパッケージ内に複数のチップを積層するMulti Chip Package (MCP)やSystem In Package (SIP)も実用化が進んできており、パッケージ内での接合技術がこれまで以上に重要になってきている。
【0003】
MCPやSIPでのパッケージ内の電気的接続には、主にこれまでどおり金線等によるワイヤボンディングが用いられている。これには、チップ上の接合パッドから一旦リードフレームを中継して別のチップの接合パッドへと連結する方法や、大きさの違うチップを重ねた時に生じる段差を利用し、チップ間をワイヤボンディングで直接接続する方法がある。また、特に2つのチップ間の接続には、チップ表面を対面させ、接続パッド同士をはんだバンプ等を介して直接接着する方法も採られている。
【0004】
これに対し、チップに貫通穴を形成し、重なり合った複数のチップの配線を貫通穴を通して直接接続する技術(貫通ビア)の開発も進んでいる。これは、配線を形成したウエハの接続パッド部にドライ又はウエットエッチングにより非貫通穴を形成し、非貫通穴内に導電性物質(銅等)を埋め込んだ後、ウエハを裏面から研削やエッチング等で薄板化して貫通穴を形成する技術である。薄板化後の貫通穴内には導電性物質(銅等)が埋め込まれ、下層のチップの接続パッド部とは垂直方向に直接相互接続される。この技術ではパッケージサイズがチップサイズと等しく、高密度実装が可能となるため、装置の小型、軽量化に寄与できる。また積層したチップ間の電気的結合を貫通穴を介して行うことで、従来以上に接合パッド間隔を狭められるようになるため、チップ面積を縮小できる。同じようにワイヤボンディング法の制約からこれまでチップの端部に並べていた接合パッドをチップ内に自由に配置できるようになるので、チップ内配線の配置の自由度が向上し、チップ内配線長の低減、さらには処理速度及び消費電力といったチップ性能の改善が期待できる。
【0005】
このような貫通ビアを用いた実装法では、薄板化以前の非貫通穴の深さは完成時のチップ厚さ以上が必要であり、数10〜数100μm程度、大きさは1辺数10μm角程度である。非貫通穴に金属配線材料を埋める方法としては、電解めっき法、CVD法、PVD法、リフロー法、導電性樹脂充填法等が挙げられる。この中でCVD法、PVD法は大規模な装置が必要な上、成膜が遅く、数10μmオーダの寸法の穴埋めに関しては生産性が低くなってしまう。リフロー法は装置的には簡便だが、材料が再加熱された際に溶融して劣化する恐れや、低融点の異種金属とチップ上の配線材料の接触による局部腐食の発生と信頼性の低下、金属間化合物形成による高抵抗化が懸念される。これに対し電解めっき法はCVD法、PVD法に比べると成膜が速く、チップ上の配線と同種金属(銅)の成膜も可能なことから、低抵抗で高信頼性の成膜が期待できる。
【0006】
電解めっき法は、CVD法、PVD法と比べれば成膜が速いものの、ウエハに開口した直径数10μmオーダの非貫通穴を電解めっき法で充填する場合、数時間〜10数時間のめっきが必要となる。そのため工程の処理能力を確保するにはめっき装置を大型化し、多数のめっきセルを用意して並列処理を行なう等で対応する必要があるため、製造コストを上げる要因となってしまう。そこでこのような大きさの非貫通穴を短時間で穴埋めする技術が必要となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、基板に形成した非貫通穴をめっき法により導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮でき、半導体装置の製造コストを削減できる基板処理方法、半導体装置及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直径数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させためっき液を用いる。このめっき液で電解めっきを行なうと、めっき膜の成膜と同時に固体粒子がめっき膜中に取り込まれるため、めっき膜の体積が嵩上げされる。めっき膜成長の最大速度はめっき液の組成によってほぼ決まる限界電流密度で制限されるが、めっき膜中に固体粒子を取り込んで嵩上げすることで、見かけ上限界電流密度以上の成膜速度が得られるようになる。さらに適当な種類の固体粒子を選択することにより、膜質や加工性を改善することができる。
【0009】
また本発明は、数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させた液を用いて、非貫通穴内に固体粒子を重力による沈降又は遠心力又は静電気力等を用いて充填する。その上から電解めっきを行なうと、めっきする体積が減少するため、穴埋めは早く完了する。これによっても非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0010】
即ち本願請求項1に記載の発明は、基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理方法にある。前記非貫通穴の直径は10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。固体粒子は非貫通穴中の1〜90vol%を占有することが好ましい。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、前記めっき法によるめっきの前又はめっき中に、外力により固体粒子を前記非貫通穴に充填することを特徴とする基板処理方法にある。前記非貫通穴の直径は10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。固体粒子は非貫通穴中の1〜90vol%を占有することが好ましい。またこの基板処理方法には、固体粒子を非貫通穴に充填した後、基板上の余剰な固体粒子を除去する工程を含めてもよい。固体粒子を除去する工程には、へら、ブラシ、スポンジ、水流、気流等を用いる。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、前記外力は、重力又は遠心力又は静電気力であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法にある。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、前記固体粒子はめっき液又はその他の液体に分散していることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板処理方法にある。その他の液体としては、例えば純水がある。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、前記固体粒子は金属系又はセラミック系又は有機系の材料であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の基板処理方法にある。具体的に固体粒子を構成する材料としては、銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラック等がある。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、前記固体粒子を分散させためっき液又はその他の液体にはカチオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は4に記載の基板処理方法にある。前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、及びこれらの誘導体の内の少なくとも1つを含むことが好ましい。なおカチオン系界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度以下であることが好ましい。
【0016】
本願請求項7に記載の発明は、表面と裏面とを電気的に導通する貫通穴を有する半導体装置であって、前記貫通穴にはめっき法によって形成された導体と、前記導体と同種又は異種の材質の固体粒子とが充填されていることを特徴とする半導体装置にある。
【0017】
本願請求項8に記載の発明は、非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理装置にある。前記めっき液は銅めっき液、銀めっき液、金めっき液、錫めっき液、又はこれらの合金めっき液であることが好ましい。また前記固体粒子は銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックであることが好ましい。また前記固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。
【0018】
本願請求項9に記載の発明は、前記固体粒子の濃度測定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置にある。前記濃度測定手段は、固体粒子の濃度を光の透過率の検出によって測定するか、或いは固体粒子の濃度をめっき液の密度の検出によって測定することが好ましい。また前記濃度測定手段による測定結果により前記固体粒子の濃度を調整する濃度調整手段を設けても良い。
【0019】
本願請求項10に記載の発明は、前記めっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の基板処理装置にある。表面張力測定手段は、めっき液の表面張力を液適法、泡圧法、プレート法、懸滴法等の方法によって測定する。表面張力測定手段による測定結果により、めっき液中の界面活性剤又は固体粒子の濃度を調整する濃度調整手段を設けることが好ましい。
【0020】
本願請求項11に記載の発明は、非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、前記非貫通穴に固体粒子を充填する固体粒子充填機構を具備することを特徴とする基板処理装置にある。この基板処理装置には基板上の余剰な固体粒子を除去する固体粒子除去機構を具備してもよい。固体粒子除去機構としては、へら、ブラシ、スポンジ、水流供給手段、気流供給手段等がある。さらにこの基板処理装置は基板を液体中で保管する基板保管機構を具備することが好ましい。
【0021】
本願請求項12に記載の発明は、前記固体粒子充填機構は遠心分離機構又は沈殿槽又は電気泳動槽を含むことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置にある。
【発明の効果】
【0022】
基板に設けた直径数10μm程度の穴をめっき法で埋める際の処理時間を大幅に短縮でき、半導体装置の製造コストの削減と高信頼性が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1発明〕
本願の第1発明は、主として直径数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させためっき液を用いる。このめっき液で電解めっきを行なうと、めっき膜の成膜と同時に固体粒子がめっき膜中に取り込まれるため、めっき膜の体積が嵩上げされる。これによって非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0024】
図1は固体粒子を含有しためっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態と、固体粒子を含有しない従来のめっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態とを比較して示す概略図であり、固体粒子を含有した方を図1(a−1)〜図1(a−3)、含有しない方を図1(b−1)〜図1(b−3)として示している。図1(a−1)に示すように基板Wの表面には非貫通穴100の内部表面を含む表面にシード層101が形成されており、これを図1(a−2)に示すように固体粒子(フィラー)103を含有するめっき液Qで電解めっきすると、めっき膜105の成膜と同時に固体粒子103がめっき膜105中に取り込まれるため、図1(a−3)に示すようにめっき膜105の体積が嵩上げされる。これに対して固体粒子を含有しないめっき液で同様の条件で電解めっきを行なった場合は、図1(b−1)〜図1(b−3)に示すように、固体粒子(フィラー)103を含有するめっき液Qで電解めっきを行った場合に比べてめっき膜105の体積の嵩上げが行なわれず、非貫通穴100を導体で埋める際の処理時間が長くなる。
【0025】
なお前記非貫通穴100の寸法は、その直径(正方形の場合はその一辺)が10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。また固体粒子103は金属(銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックを含有することが好ましい。また前記固体粒子103の直径は0.1μmから10μmであり、この固体粒子103は前記非貫通穴100中の1〜90vol%を占有することが好ましい。また前記めっき液Qにはカチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。以下本発明の各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0026】
非貫通穴100を形成する半導体ウエハ等の基板Wの表面はSiO2,SiN等の絶縁膜及び基板Siが大半を占め、一部がCuやAl等の導電体で構成される。特に非貫通穴の内壁及び底面はSi基板であり、そのままでは電解めっきによる成膜ができない。そこで適宜絶縁層(バリア層)を形成した後、導電層(シード層)101を表面及び非貫通穴100内部に成膜し、その上から電解めっきを行なう。前記導電層101は、蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法によりCu等を成膜する。導電層101の形成時には非貫通穴100の側壁にも成膜するよう処理条件を調整する。
【0027】
次に非貫通穴100を埋める電解めっき膜105としては、銅めっき、銀めっき、金めっき、錫めっき、はんだ又は代替はんだのめっき等がある。中でも銅めっきはプリント配線板や半導体チップの配線層としても使用されており、配線層と非貫通穴100との密着性や耐食性の面で優れている。さらに銅めっきプロセスは配線めっき材料として液組成やめっき条件と膜質との関係が明らかになっており、非貫通穴100の埋め込みについても広く検討されているので、本発明に関しても応用が容易である。一方銀めっき、金めっきは銅めっきと比べると高価だが、低抵抗のめっき膜105が得られるのでチップ間の信号遅延が問題となる高速デバイスや低消費電力が求められるデバイスには有効である。はんだ又は代替はんだのめっきの場合は、チップを重ね合わせて加熱するだけでチップ間の接合が可能となるため、接合工程を簡略化できる。しかし一般的なはんだめっきでは、パッケージング後、チップを基板に実装する際の加熱により貫通穴内部が融解してしまうため、組成を調整し、基板に用いるはんだよりも高融点の材料を用いる必要がある。
【0028】
めっき液Q中に分散させる固体粒子(以下「フィラー」という)103の種類としては、例えば金属系(Cu粉、Ag粉、Au粉等)、セラミック系(Al2O3粉、SiO2粉、CeO2粉、TiO2粉等)、有機系(ポリイミド粉、フッ素樹脂粉、シリコーン粉、カーボン粉等)がある。これらのフィラー103の多くはめっき液Q中で沈殿、凝集若しくは浮漂してしまうため、めっき液Q中に分散させるための分散剤として界面活性剤、特にカチオン系界面活性剤を用いる。カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、及びこれらの誘導体の内の少なくとも1つを用いる。カチオン系界面活性剤が吸着すると、フィラー103表面は正に帯電するので、電解めっき中に静電気力により負極である基板W表面に引っ張られ、付着する。これと同時にめっき液Qの電解が進行すると、付着したフィラー103を取り囲むようにめっき膜105が成長するので、結果としてフィラー103を含んだめっき膜105が形成される。
【0029】
フィラー103を非貫通穴100内に埋め込む場合、フィラー103の粒径は非貫通穴100の径に対してある程度以上小さい必要があり、特に非貫通穴100の底面まで行き渡らせるには穴径の3分の1程度が上限である。また、フィラー103の粒径はめっき液Q中での分散性にも影響を与える。粒径が大きい場合は沈殿し易いため、めっき液Q中で均一な分散を得るためには強い攪拌が必要となるが、攪拌が強すぎるとフィラー103が基板Wへ固定しにくくなる。さらにフィラー103が基板Wに衝突することで剥離や傷が発生し、製品不良の原因となる。逆に粒径が小さすぎるとめっき液Qの腐食性によりフィラー103が完全に溶解する恐れがある。まためっき液Q中での凝集も懸念され、埋め込み時のフィラー103間の隙間も狭くなるのでめっき膜105の穴埋め性も悪くなる。よってフィラーの粒径としては概ね0.1μmから10μm程度が望ましい。それに加えて粒度分布が大きいと流速により粒子の移動速度に差が出るため、基板Wの場所により粒径に差が出てしまう。このことからフィラー103の粒子はある程度分級しておいた方が望ましい。
【0030】
〔導体フィラーを用いる場合〕
Cu粉、Ag粉、Au粉等の金属系(導体)のフィラーは、めっき膜中に取り込まれても電気抵抗を上昇させないため、非貫通穴を埋める材料としては理想的である。また、特にめっき膜と同種の金属を用いれば熱膨張係数の違いによる劣化も起きにくい。しかし、図2(a)に示すように、めっき液Q中に金属系のフィラー200を分散させた場合、基板のめっき膜210への付着と同時にフィラー200表面が電極となり、そこで電解が起きてしまう。そのため図2(b)に示すようにフィラー200表面にも成膜が行なわれ、図2(c)に示すようにフィラー200が連結し、疎な構造となり、平滑なめっき膜210が得にくいという問題がある。そこで上記凹凸を緩和する方法として、基板へのフィラーの付着とめっきによる成膜とを別工程で行なう方法がある。具体的にはまず図3(a)から図3(b)に示すように、金属系のフィラー200を含んだ第1のめっき液Q1中で基板のめっき膜210上に薄く電解めっきする。この状態ではフィラー200が付着した上に少量のめっき膜210が成膜しており、基板表面の凹凸は激しい。次に図3(c)に示すように、フィラー200を含まない第2のめっき液Q2中でめっきを行ない、基板表面の凹凸を平滑化する。第2のめっき液Q2は、凹凸の穴埋めと基板表面の平滑化を促進するために添加剤濃度を調整すると良い。また、非貫通穴が大きい場合は図3(d)〜(f)に示すようにこの2種類のめっき液Q1,Q2によるめっき処理を交互に繰り返すと、平滑なめっき膜210が高速で得られる。
【0031】
〔不導体フィラーを用いる場合〕
セラミック系や有機系等の不導体のフィラーを用いる場合は、金属系のフィラーと比べて非貫通穴は高抵抗となるが、図4(a)〜(c)に示すように、めっき中に基板のめっき膜210にフィラー200が付着してもフィラー200表面では電解が起きないため、めっき膜210の表面のみ成膜が行なわれてフィラー200が埋め込まれて行き、比較的平滑な埋め込みが可能になる。また特にめっき膜210とは異種の金属系フィラーを用いた場合、局部電池効果で腐食する恐れがあるのに対し、絶縁体のフィラーでは腐食の恐れがない。セラミック系や有機系のフィラーは金属と硬度の差が大きいので、埋め込むことで接合部表面には硬度の局部的な分布ができる。この状態で他のチップと直接接触させ摩擦すると、硬度の違いにより対向面の表面酸化膜を相互に破壊でき、接合後の信頼性が向上する。
【0032】
次にめっき膜中に取り込まれるフィラーの濃度は、めっき膜の成長速度と電極表面へのフィラーの付着量とのバランスで決まる。そのため、電極表面へのフィラーの供給、即ち電極表面でのめっき液の流れが重要である。まためっきが進行すると、電極近傍ではめっき液中のフィラーがめっき膜中に取り込まれるため、フィラー濃度の低い層(拡散層)が形成される。拡散層の低下したフィラー濃度を補うには攪拌によりフィラーを供給する必要がある。一方、強度の攪拌は電極表面に付着したフィラー粒子を引き剥がしてしまうため、めっき膜中への取り込み量を減少させてしまい、結果として膜成長速度を上げることができなくなってしまう。特にPTFE等の密度の低いフィラーでは流れの影響を受け易く、攪拌は極力抑える。それ以外のフィラーについてもめっき液の流れを抑制し、フィラーが確実にめっき膜中に取り込まれるようにすると同時に基板面内での流れ分布を均一化する必要がある。具体的にはめっき液中のフィラー濃度を高くして拡散層厚さを低くした上で、基板表面で緩やかな流れを起こすのが効果的である。但し定常的な流れはフィラーの粒度分布等に起因した面内分布が生じ易いので、適宜流れを乱した方が望ましい。
【0033】
めっき液中にフィラーを分散させるのに必要な界面活性剤量はフィラーの量と種類及び界面活性剤の種類によって決まり、疎水性の強いフィラーほど大量の界面活性剤が必要となる。界面活性剤濃度はめっき膜の組織に強い影響を与えるので、過剰な添加には注意を要する。添加する界面活性剤の量はめっき液の表面張力により決定する。即ちめっき液中にフィラーを添加しておき、界面活性剤を徐々に加えながら表面張力を測定する。図5に示すように、界面活性剤濃度を増加していくと、めっき液の表面張力はしばらく一定値を維持した後で徐々に低下し、ある濃度を超えると再び一定となる。低濃度側で界面活性剤を添加しても表面張力が下がらない範囲a1では、添加した界面活性剤がフィラー表面に吸着することで消費されていると考えられ、その後の低下する範囲a2はめっき液と気相、容器との界面に界面活性剤が付着しているものと推定される。その後再び表面張力が一定になる範囲a3は、めっき液中の界面活性剤がミセルを形成する濃度範囲で、一定になる直前の変曲点の界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)と呼ぶ。添加する界面活性剤量をCMC以下、さらには表面張力が低下する直前の値とすることでフィラーの分散性を確保しながらめっき膜構造への界面活性剤添加の影響も抑えることができる。
【0034】
一方、例えばAl2O3のような粒子は、親水性表面を持ち、酸性のめっき液中での表面電位が正であるため、界面活性剤なしにめっき液中に分散させることが可能である。この場合はめっき液にフィラーのみを添加、攪拌するだけでよい。
【0035】
フィラーを含んだめっき液を繰り返し使用すると、めっき液中の金属イオン(例えばCuイオン)や添加剤の他、フィラー、界面活性剤の量も変化していく。そのためフィラー、界面活性剤の濃度をモニタし、必要に応じて調整する必要がある。フィラーは一般的に不透明なので、濃度はめっき液の吸光度を測定することで求めることができる。具体的にはめっきセル又はめっき液配管等に吸光度計を設置し、吸光度の変化をモニタする。フィラーの減少により吸光度がある値以下に低下したらフィラーを添加して回復させる。フィラーの添加には界面活性剤を添加した濃厚なフィラー分散液を用いても良いし、フィラーと界面活性剤とを別々に添加しても良い。
【0036】
液中のフィラー濃度の別の求め方としては、めっき液を一定量サンプリングし、その密度を測定する方法がある。この方法は金属系フィラー等の比重の大きなフィラーを用いる場合や、液中のフィラー量が多く、光が透過しにくいめっき液の濃度管理に効果的である。
【0037】
界面活性剤量はめっき液の表面張力をモニタすることで管理することができる。めっきによりフィラーが消費されると、フィラー表面に吸着していた界面活性剤の一部がめっき液に放出されるため、めっき液の表面張力が低下する。表面張力は液適法(滴下する液滴の重量と表面張力とのバランスから求める)や泡圧法(液中の管から発生させた気泡の最大圧力から求める)といった簡便な方法により求めることができる。またその他の表面張力の測定方法として、プレート法、懸滴法もある。これらの方法によってめっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を用いてめっき槽や別のタンク内等で表面張力をモニタし、余剰な界面活性剤量に見合うだけのフィラーを添加すれば、界面活性剤はフィラーに吸着するので、めっき膜質の変化を抑えることができる。
【0038】
図6は本発明にかかる基板処理方法を実現する基板処理装置の1例を示す全体概略構成図である。同図に示す基板処理装置1は、めっき液Qを満たしためっき槽3内に基板ホルダ7に保持した基板5と、対極(アノード)9とを対向して設置し、両者間に電源11を接続し、めっき液供給槽13から配管15及び配管15に接続したポンプ17によってめっき液Qをめっき槽3に供給するように構成されている。めっき槽3内の基板5の表面(被めっき面)に対向する位置と、めっき槽3の下部とにそれぞれ攪拌器19,21を設置している。めっき液Qは上記本発明のフィラーを添加しためっき液である。攪拌器19は上下方向に向けて設置した棒状のパドル191を基板5の表面近傍で平行移動(紙面手前奥方向)することでめっき液Qを攪拌するものであり、攪拌器21は羽根211を回転することでめっき液Qを攪拌するものである。めっき槽3の下部にはめっき槽3内のめっき液Qをめっき液供給槽13に戻すドレイン23が設けられている。めっき液供給槽13には内部のめっき液Qを攪拌する攪拌器25,25が設置されており、まためっき液Qにフィラーを補給するフィラー貯蔵槽(濃度調整手段)27と、めっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なうめっき液分析装置29が接続されている。配管15中には吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)31と表面張力計(表面張力測定手段)35とが設置され、それらの出力はフィラー濃度測定器33に入力されている。
【0039】
以上のように構成された基板処理装置1において、基板5と対極9間に電流を流すことで基板5表面に電解めっきを行なう。一方フィラーは攪拌器19,21による攪拌により基板5の表面に補給される。めっき槽3内のめっき液Qはドレイン23を通して排出され、めっき液供給槽13に貯蔵される。めっき液供給槽13では攪拌器25によって適宜攪拌が行なわれフィラーの沈殿が抑えられる。めっき液分析装置29では前述のようにめっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なう。めっき液供給槽13内のめっき液Qはポンプ17によってめっき槽3に送られるが、その途中に設置された吸光度計31でめっき液Q中のフィラーの濃度が検出され、また表面張力計35で界面活性剤濃度が検出され、それらの結果がフィラー濃度測定器33で演算され、フィラー濃度測定器33からの出力によってフィラーの必要量がフィラー貯蔵槽27からめっき液供給槽13に補給され、めっき液Q中の固体粒子の濃度が調整される。
【0040】
〔第2発明〕
本願の第2発明は、主として数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させた液を用いて、非貫通穴内に固体粒子を充填するものである。その上から電解めっきを行なうと、めっきする体積が減少するため、穴埋めは早く完了する。これによって非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0041】
図8(a),(b)は固体粒子の充填液を用いためっき膜の嵩上げと高速化の基本原理を示す図である。液体(充填液)300中に分散させた固体粒子(フィラー)301を重力や遠心力、静電気力等により基板Wの表面に沈降させる。その上からめっきを行なうと、めっき膜303中に固体粒子301が取り込まれるため、めっき膜303全体の体積は固体粒子301の体積と析出金属の体積の和となる。従って固体粒子301を用いない場合に比べ、取り込まれた固体粒子301の分だけ膜厚が厚くなるので、成長速度が高速になるといえる。
【0042】
図9(a)〜(f)は本発明による基板の処理手順の一例を示す概略図である。図9(a)に示すように基板Wの表面には非貫通穴400の内部表面を含む表面にシード層401が形成されている。そして基板Wをそのシード層401が上向きとなるように設置し、図9(b)に示すように基板Wのシード層401上に固体粒子(フィラー)403を分散させた充填液405を載せて静置する。しばらくすると固体粒子403は比重により沈殿して非貫通穴400内部を含めた基板Wの表面全体を被覆する。次に基板Wを充填液405から取り出し(取り出さなくても良い)、図9(c)に示すようにへらやスポンジ等の固体粒子除去機構により基板W表面を擦り、余分な固体粒子403を除去すると、図9(d)に示すように非貫通穴400の内部にのみ固体粒子403が残る。その後、基板Wをめっき槽に移して図9(e)に示すようにめっき液Qに浸漬してめっきを行なう。このとき形成されるめっき膜407は固体粒子403を取り込んで成長し、非貫通穴400内部は固体粒子403とめっき膜407により充填される。一方基板Wの表面でもめっき膜は成長するが、これについてはその後の工程で大部分は不要であり、図9(f)に示すように除去する必要がある(もちろん除去する必要がない場合はそのまま使用しても良い)。基板Wの表面の余剰なめっき膜407の除去には化学的機械的研磨(CMP)やケミカルエッチング、プラズマエッチング等が用いられる。特にCMPやケミカルエッチングを用いる場合には、めっき膜407と固体粒子403双方の溶解性、研磨レートに加え、固体粒子403とめっき膜407の電位差による腐食の発生も考慮して処理条件を決める必要がある。さらに余剰なめっき膜407の膜厚が厚いと処理時間や部材のコストを上昇させるため、除去を容易にする必要がある。このようなことを考慮してこの例では、図9(e)においてめっき膜407を成膜する際のめっき液中にPTFE等の軟質材料を固体粒子(フィラー)409として分散させためっき液Qを用いてめっきを行なった。このめっきを行う前に非貫通穴400内部は既に固体粒子403による埋め込みが済んでおり、軟質の固体粒子409の非貫通穴400内部への入り込みはほとんどない。一方、基板W表面のめっき膜407中には軟質の固体粒子409が分散して取り込まれるので、その成膜時間を短くできる。軟質の固体粒子409はCMPによる研磨時に容易に変形、脱離するので、めっき膜407を研磨する速度を速くでき、余剰のめっき膜407の除去を促進することができる。
【0043】
なお前記非貫通穴400の寸法は、その直径(正方形の場合はその一辺)が10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。また固体粒子403は金属(銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックを含有することが好ましい。また前記固体粒子403の直径は0.1μmから10μmであり、この固体粒子403は前記非貫通穴400中の1〜90vol%を占有することが好ましい。また前記めっき液Qにはカチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。以下本発明の各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0044】
前記第1発明でも説明したが、非貫通穴400を埋める電解めっき膜407としては、銅めっき、銀めっき、金めっき、錫めっき、はんだ又は代替はんだのめっき等がある。各金属の特性は第1発明で説明した内容と同じである。
【0045】
非貫通穴400に充填する固体粒子(以下「フィラー」という)403の種類としては、例えば金属系(Cu粉、Ag粉、Au粉等)、セラミック系(Al2O3粉、SiO2粉、CeO2粉、TiO2粉等)、有機系(ポリイミド粉、フッ素樹脂粉、シリコーン粉、カーボン粉等)がある。これらのフィラー403の多くはそのままでは充填液405中で沈殿、凝集若しくは浮漂してしまうため、充填液405中に分散させるため必要に応じて界面活性剤を用いる。このときの界面活性剤濃度は、フィラー403の量と種類及び界面活性剤の種類によって決まり、疎水性の強いフィラー403ほど大量の界面活性剤が必要となる。界面活性剤はめっき膜407の組織に強い影響を与えるので、過剰な使用には注意を要する。添加する界面活性剤量は臨界ミセル濃度(CMC)以下、さらには表面張力が低下する直前の値とすることでフィラー403の分散性を確保しながら基板Wへの界面活性剤添加の影響も抑えることができる。
【0046】
フィラー403を分散させる充填液405の溶媒の候補として、純水の他、低沸点のアルコール類、めっき液等が挙げられる。純水は取り扱いが容易であり、またフィラー403への影響も少ないが、導電層や銅等の金属製フィラーは溶存酸素により酸化する恐れがある。また、埋め込んだフィラー403に水分が残留したままめっき工程に送られると、非貫通穴406内でめっき液Qが希釈されてしまうため、めっき膜407による穴埋めが妨げられる。メタノール、エタノール、プロパノール等の低沸点のアルコール類は純水と比べて導電層や銅への影響が少ない。さらに加熱、減圧により容易に蒸発させることができるので、めっき液Qの希釈の影響を抑えることができる。しかし、加熱、排気、除害等の設備が必要となるため装置が大規模になってしまう。
【0047】
溶媒として次工程で使用するめっき液を用いると、フィラー403充填後に液を除去せずにそのままめっきすることができ、非貫通穴400内でめっき液が希釈される心配もないため、比較的扱い易い。ただしめっき液によるフィラー403や導通層の溶解、腐食の影響を考慮する必要があり、特にフィラー403充填後は速やかにめっきを行なうことが重要である。
【0048】
図10は本発明にかかる基板処理方法を実現する基板処理装置の1例を示す全体概略構成図である。この例においては、めっき液Q中にフィラーを分散させた充填液を用い、沈殿により非貫通穴内にフィラーを充填し、その後めっきを行なって非貫通穴内部及び基板表面に導通層を形成する場合を示しているが、装置の構成や処理方法により、フィラーの充填とめっきを個別の液で処理することも可能である。
【0049】
図10に示す基板処理装置1−2は、充填液(以下「めっき液」という)Qを満たしためっき槽(固体粒子充填機構でもある)503内に基板ホルダ507に保持された基板505と、対極(アノード)509とを対向して設置し、両者間に電源511を接続し、めっき液供給槽513から配管515及び配管515に接続したポンプ517によってめっき液Qを供給するように構成されている。処理する基板505はめっき槽503内の基板ホルダ507に表面(被処理面)を上方に向けて設置されている。めっき液供給槽513には内部のめっき液Qを攪拌する攪拌器525が設置されており、まためっき液Qにフィラーを補給するフィラー貯蔵槽(濃度調整手段)527と、めっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なうめっき液分析装置529が接続されている。配管515中には吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)531と(表面張力測定手段)表面張力計535とが設置され、それらの出力はフィラー濃度測定器533に入力されている。
【0050】
以上のように構成された基板処理装置1−2において、フィラーを含んだめっき液Qはめっき液供給槽513に貯蔵され、ポンプ517によってめっき槽503に送られる。めっき液供給槽513ではフィラーの沈降による濃度ばらつきや凝集の発生を避けるため、攪拌機525を用いてめっき液Qを適宜攪拌する。めっき液Q中のフィラー濃度は繰り返しの処理により消耗するため、濃度管理が必要となる。ポンプ517によってめっき槽503に送られる途中のめっき液Q中のフィラーの濃度は吸光度計531を用いて光の透過率を測定することで測定され、まためっき液Q中の界面活性剤濃度は表面張力計535で測定され、それらの結果を元にフィラー濃度測定器533では消費されたフィラー量を算出し、フィラー濃度測定器533からの出力によってフィラー貯蔵槽527から必要量のフィラーがめっき液供給槽513に補給され、めっき液Q中の固体粒子の濃度が調整される。フィラー貯蔵槽527にはフィラー、界面活性剤の他、例えば濃厚なめっき液を入れておき、めっき液成分も併せて供給しても良い。また添加剤等のめっき液Q中の各種成分については、めっき液分析装置529にて分析し、適宜不足成分を補給する。
【0051】
図11〜図15は前記図10に示すめっき槽503の具体的構成例及びその処理動作を示す模式図である。このめっき槽503は沈殿槽(固体粒子充填機構)でもあり、処理する基板505の表面(被めっき面)を上方に向けて設置し且つ駆動手段によって上下動する基板ホルダ507と、基板ホルダ507の上部に設置され基板ホルダ507の周囲を囲むように筒状に形成されるめっき槽本体541と、めっき槽本体541の上部に設置されて駆動装置545によって上下方向に移動される対極509と、めっき槽本体541の外側近傍に設置されるスキージ(固体粒子除去機構)547とを具備して構成されている。スキージ(へら)547は、図13に示すように水平に設置されたガイド棒549にガイドされてガイド棒549に沿って移動し、またガイド棒549はその一端がスキージ駆動機構551に上下動と水平方向への旋回移動とができるように取り付けられている。
【0052】
以上のように構成されためっき槽503において、まず図11に示すように処理する基板505をその表面を上方に向けて基板ホルダ507に設置する。次に図12に示すように基板ホルダ507を上昇してめっき槽本体541の下辺に接合し(これによって沈殿槽が構成される)、前記図10に示すポンプ517を駆動することでめっき槽本体541内にフィラーを分散させためっき液Qを投入する。そしてこのめっき液Qを投入した状態で一定の時間静置する。一定時間が経過してフィラーを基板505表面に沈殿させた後、図13に示すようにスキージ547をめっき槽本体541内に挿入してその先端を基板505上に当接し、スキージ347の先端で基板505の表面を擦り、基板505に設けた非貫通穴以外の表面部分に堆積した余剰フィラーを除去する。次に図14に示すようにスキージ547をめっき槽本体541の外部に引き出して元の位置に戻した後、対極509を駆動装置545によって下降してめっき槽本体541内に挿入してめっき液Qに浸し、所定の条件で電解めっきを行なう。このめっきによって基板505に形成した非貫通穴内部及び基板505の表面にめっき膜が形成され、非貫通穴の穴埋めが行なわれる。そして図15に示すように基板ホルダ507を下降することでめっき槽本体541からめっき液Qを排出する。排出されためっき液Qは図10に示すめっき液供給槽513に戻され、再利用される。一方基板505は基板ホルダ507から取り外された後、洗浄、乾燥して次工程処理(例えば研磨工程)に送られる。
【0053】
上記図11に示すめっき槽503においては、非貫通穴にフィラーを充填する方法として静置して沈殿する方法を用いたが、それ以外に、静電気的な吸着(静電気力)や遠心分離(遠心力)により強制的にフィラーを貫通穴に充填する方法もある。静電気的な吸着を利用する固体粒子充填機構の例としては、電気泳動槽を用いる方法がある。例えば溶液にフィラーを分散させる際にカチオン系界面活性剤を用い、フィラー粒子表面を正に帯電させる。そして基板に負の電位を印加するとフィラーが静電気力により基板表面に引っ張られる。静電気的な吸着と静置による沈降とは同時に行っても良く、併用することでフィラーの沈降速度を上げ、非貫通穴内部でのフィラーの充填率も上げることができる。
【0054】
図16,図17は遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す図であり、図16は概略平面図(但し図17に示す筐体609と中蓋613と上蓋617の記載は省略)、図17は概略側断面図である。両図に示すように基板処理装置1−3は、駆動手段(以下「モータ」という)601と、モータ601の回転軸602によって回転する回転槽603と、回転槽603の壁面に設置された複数(この実施形態では8個)の基板ホルダ605と回転槽603を囲むように設置される外槽607と、外槽607を囲むように設置される筐体609と、筐体609の上部に設置され前記モータ601を制御する制御部611とを具備して構成されている。回転槽603の上部開口は中蓋613によって塞がれ、回転槽603の下部中央には開閉自在な排液口615が設けられている。外槽607の上部開口は上蓋617によって塞がれ、外槽607の底面には排出管619が取れ付けられ、また外槽607の上部には2本の導入管621が取り付けられている。導入管621は外槽607の外部から内部に挿入され、その根元部分には導入管621の先端側を水平面内において旋回自在に駆動する駆動部623が設けられ、これによって導入管621の先端が回転槽603の外部と内部との間で旋回できる構成にしている。
【0055】
そして前記各基板ホルダ605に基板606を固定し、排液口615を閉じて中蓋613を開け、導入管621の先端を図16に点線で示す回転槽603の上部に移動し、導入管621からフィラーを分散させた充填液を回転槽603内に投入し、その後導入管621を退避させて中蓋613と上蓋617を閉める。そしてモータ601を駆動することで回転槽603を所定時間回転すれば、充填液内のフィラーが遠心力により基板606表面に沈降する。沈降速度vは、下記式(1)で表される。
【数1】
【0056】
この式(1)と装置性能、フィラー、溶液の物性から遠心分離処理条件を決定する。
そして所定の回転数で所定時間遠心分離を行なった後、排液口615を開けて充填液を排出し、基板606を回転槽603から取り出す。取り出した後の基板606は、非貫通穴内部だけでなく、基板606の表面全体にフィラーが堆積した状態になっている。そこで次工程では非貫通穴内部のフィラーを残しながら、基板606の表面平坦部の余剰なフィラーを除去し、めっき法により導通層を形成する。
【0057】
図18は遠心分離による基板の非貫通穴へのフィラー充填と導通層のめっきとを連続処理で行なう基板処理装置1−4の概略構成図である。基板処理装置1−4は、基板を収納する基板ケース701と、図16,図17に示す基板処理装置1−3と同一構成の固体粒子充填機構(遠心分離機構)703と、基板を搬送する搬送ロボット705と、固体粒子充填機構703で処理した後の基板を液体中で一次保管するバッファ槽(基板保管機構)707と、フィラー除去槽(固体粒子除去機構)709と、基板のめっきを行なうめっき槽711と、基板を洗浄・乾燥する洗浄乾燥槽713とを具備して構成されている。固体粒子充填機構703には固体粒子充填機構703の各基板ホルダ717への基板719の着脱を行なう搬送アーム715が設置されている。
【0058】
以上のように構成された基板処理装置1−4において、基板ケース701に入っている基板は搬送ロボット705によって取り出され、固体粒子充填機構703に搬送される。搬送アーム715は搬送ロボット705から基板を受け取り、固体粒子充填機構703内の各基板ホルダ717に基板719をセットする。その後、前述のように充填液を固体粒子充填機構703の回転槽721内に導入し、遠心分離によりフィラーを基板719表面に堆積させる。フィラーが堆積した基板719は搬送アーム715により固体粒子充填機構703から取り出されて搬送ロボット705に受け渡され、搬送ロボット705によりバッファ槽707に送られる。バッファ槽707は次工程で処理できるようになるまでの間にフィラーが乾燥や脱落するのを防ぐための一時的な保管槽であり、固体粒子充填機構703に収納される数と同数の基板を収納し、めっき液等の溶液に浸漬する。次に基板は搬送ロボット705によりフィラー除去槽709に送られる。ここでは基板表面をへら、又はブラシ、又はスポンジ、又は水流供給手段から供給される水流、又は気流供給手段から供給される気流等で摩擦し、非貫通穴内部に充填されたフィラーを残し余剰なフィラーを除去する。次に搬送ロボット705は余剰フィラーを除去した基板をめっき槽711に送り、電解めっき法により導通層を形成する。その後、基板は搬送ロボット705により洗浄乾燥槽713に送られ、基板表面に付着しているめっき液を純水で除去し、スピン乾燥により乾燥してから、再度搬送ロボット705によって基板ケース701に戻され、一連の基板処理が完了する。
【0059】
なお上記した本願第2発明の各例では、基板に対するフィラーの充填とめっきとを別々の工程で行なっているが、これらの工程は同時に行っても良い。例えば図11〜図15に示す装置構成の場合、その一連の処理において、余剰フィラーを除去する図13の処理を省略し、フィラーが完全に沈降するのを待たずに図14に示すめっき処理を開始しても良い。また図16,図17に示す装置構成の場合では、基板ホルダ605に保持した基板606を負極とし、回転軸602側に正極となる対極を設け、回転槽603を回転させながらめっきすることも可能である。このとき、基板606、対極への給電には外部からブラシ接点を用いて行なう他、回転槽603に充電池等の電源装置や電源制御装置を載せてともに回転させても良い。この場合、基板一枚当たりの処理時間を短縮でき、さらにめっき速度もある程度向上させられる。しかし同時に、非貫通穴内以外の平坦部にも大量のフィラーがめっき膜中に取り込まれるので、その後の余剰なめっき膜の除去工程への負担が大きくなる。めっきと除去の両工程を考慮してフィラーの充填量、めっき膜厚を調整する必要がある。
【実施例1】
【0060】
〔第1発明の実施例〕
めっき液として硫酸銅を基本とした半導体バックエンドプロセス用銅めっき液に適宜添加剤を加えたものを基本めっき浴とした。カチオン系界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、フィラーとしてPTFE粉(旭硝子社製Fluon PTFE )を用い、めっき液を調合した。PTFE粉の濃度は20g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板には表面にスパッタ法により銅膜を成膜したSi基板を、対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき時間を固定した定電流法によるめっきを、前記フィラーを含むめっき液と、フィラーを含まないめっき浴(基本めっき浴)とを用いてそれぞれ行なった。めっき後のそれぞれの試料の膜厚を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、フィラー添加による嵩上げ効果の比較を行った。
図7に各試料のめっき膜厚の比較を示す。フィラーなしに比べ、PTFEフィラーを用いた場合、めっき膜厚に約27%の嵩上げ効果が見られた。
【実施例2】
【0061】
〔第2発明の実施例〕
(1)フィラーの重力による沈降の実施例
めっき液としては硫酸銅を基本とした半導体バックエンドプロセス用銅めっき液に適宜添加剤を加えたものを基本めっき浴とした。カチオン系界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、フィラーとしてPTFE粉(旭硝子社製Fluon PTFE(粒径約1μm))を準備し、PTFEフィラーめっき液を調合した。PTFE粉の濃度は20g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板にはスパッタ法により表面に銅膜を成膜したSi基板を用いた。対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき時間を固定した定電流法によるめっきを行なった。基板の向きは垂直(vertical)と表面上向き(Face Up)の2条件とした。めっき後の試料の膜厚を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、フィラー添加による嵩上げ効果の比較を行った。
図19に各試料のめっき膜厚の比較を示す。フィラーなしに比べ、基板表面を上向きにし、フィラーを沈降させた場合で約78%の嵩上げ効果が見られた。一方重力による沈降の影響を除去するために基板表面を垂直にした場合の嵩上げ効果は約27%に留まった。
【0062】
(2)フィラーの遠心力による沈降の実施例
次にフィラーとしてAl2O3粉(アドマテックス社製、アドマファインアルミナ)を準備し、Al2O3フィラーめっき液を調合した例を示す。Al2O3粉の濃度を10g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板には約80μm角、深さ約100μmの非貫通穴を持つSiウエハの表面にスパッタ法により銅を成膜したものを用いた。基板表面が遠心分離機の回転軸に対向するように基板をセットし、Al2O3フィラーめっき液を回転槽に入れて6000rpmで5分間回転させ、フィラーを基板表面に沈降させた。遠心分離機から基板を取り出した後、基板表面をセルロース製ワイパーで摩擦し、基板表面の余剰なフィラーを除去した。次にめっき法により導通層の形成を行なった。めっき液には半導体バックエンドプロセス用銅めっき液を用い、対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき条件を適宜調整して基板上に銅めっきを行なった。めっき時間は約20分で一定とした。試料の断面構造の模式図を図20に示す。フィラーなしでめっきを行なった試料(without filler)と比較して、フィラーを使用した試料(with filler)では非貫通穴内部の充填率が大幅に向上することを確認した。またフィラーを充填することにより非貫通穴内部に空隙はほとんど見られなかった。エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray spectroscopy , EDX)により組成分布を測定したところ、模式図に示すように非貫通穴の内部にAl2O3フィラーが、非貫通穴側面には銅めっき膜が成長した構造であることが確認できた。結果として非貫通穴内部にほとんど空隙を作らずに、銅めっき膜を介して基板の表裏方向に導通を取ることが可能となった。
このように非貫通穴内部にフィラーを充填することで、空隙の無い導通層を短時間で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1(a−1)〜図1(a−3)は固体粒子を含有しためっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態を示す概略図、図1(b−1)〜図1(b−3)は固体粒子を含有しない従来のめっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態を示す概略図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図3】図3(a)〜図3(f)は導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は不導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図5】界面活性剤濃度と表面張力の関係を示す図である。
【図6】基板処理装置1を示す全体概略構成図である。
【図7】フィラーの有無によるめっき膜厚の比較を示す図である。
【図8】図8(a),(b)は固体粒子の充填液を用いためっき膜の嵩上げと高速化の基本原理を示す図である。
【図9】図9(a)〜図9(f)は固体粒子を用いためっきの処理手順を示す概略図である。
【図10】基板処理装置1−2を示す全体概略構成図である。
【図11】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図12】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図13】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図14】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図15】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図16】遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す概略平面図である。
【図17】遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す概略側断面図である。
【図18】基板処理装置1−4を示す全体概略構成図である。
【図19】フィラーの有無及び基板の設置条件によるめっき膜厚の比較を示す図である。
【図20】フィラーの有無による非貫通穴のめっきの状態を示す要部概略拡大断面図である。
【符号の説明】
【0064】
W 基板
Q めっき液
100 非貫通穴
103 固体粒子(フィラー)
105 めっき膜
200 固体粒子(フィラー)
210 めっき膜
1 基板処理装置
3 めっき槽
5 基板
9 対極
13 めっき液供給槽
27 フィラー貯蔵槽(濃度調整手段)
31 吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)
33 フィラー濃度測定器
35 表面張力計(表面張力測定手段)
300 液体(充填液)
301 固体粒子(フィラー)
303 めっき膜
400 非貫通穴
403 固体粒子(フィラー)
405 充填液
407 めっき膜
1−2 基板処理装置
503 めっき槽(沈殿槽、固体粒子充填機構)
505 基板
509 対極
527 フィラー貯蔵槽(濃度調整手段)
531 吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)
533 フィラー濃度測定器
535 表面張力計(表面張力測定手段)
541 めっき槽本体
547 スキージ(へら、固体粒子除去機構)
1−3 基板処理装置(遠心分離機構、固体粒子充填機構)
601 駆動手段(モータ)
603 回転槽
606 基板
1−4 基板処理装置
703 固体粒子充填機構(遠心分離機構)
705 搬送ロボット
707 バッファ槽(基板保管機構)
709 フィラー除去槽(固体粒子除去機構)
711 めっき槽
713 洗浄乾燥槽
715 搬送アーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に形成した穴に導体を充填するのに好適な基板処理方法及び前記方法で処理した半導体装置及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高速化、低消費電力化の進行に伴ない、半導体装置である半導体チップ(以下「チップ」という)と実装基板との間や、チップ相互間での接続の高密度化が必須になってきている。チップと実装基板の電気的な接続には従来はリードフレームが用いられ、リードフレームとチップ上の接合パッドとを金線等で接続するワイヤボンディング法が広く用いられてきた。また、チップ上にバンプと呼ばれる金属の突起を形成し、配線を形成したフイルム状の基板に接合するTape Carrier Package (TCP)と呼ばれる方法や、バンプを直接実装基板や中継基板(インターポーザ)に接合するベアチップ実装なども実用化されている。さらに、1つのパッケージ内に複数のチップを積層するMulti Chip Package (MCP)やSystem In Package (SIP)も実用化が進んできており、パッケージ内での接合技術がこれまで以上に重要になってきている。
【0003】
MCPやSIPでのパッケージ内の電気的接続には、主にこれまでどおり金線等によるワイヤボンディングが用いられている。これには、チップ上の接合パッドから一旦リードフレームを中継して別のチップの接合パッドへと連結する方法や、大きさの違うチップを重ねた時に生じる段差を利用し、チップ間をワイヤボンディングで直接接続する方法がある。また、特に2つのチップ間の接続には、チップ表面を対面させ、接続パッド同士をはんだバンプ等を介して直接接着する方法も採られている。
【0004】
これに対し、チップに貫通穴を形成し、重なり合った複数のチップの配線を貫通穴を通して直接接続する技術(貫通ビア)の開発も進んでいる。これは、配線を形成したウエハの接続パッド部にドライ又はウエットエッチングにより非貫通穴を形成し、非貫通穴内に導電性物質(銅等)を埋め込んだ後、ウエハを裏面から研削やエッチング等で薄板化して貫通穴を形成する技術である。薄板化後の貫通穴内には導電性物質(銅等)が埋め込まれ、下層のチップの接続パッド部とは垂直方向に直接相互接続される。この技術ではパッケージサイズがチップサイズと等しく、高密度実装が可能となるため、装置の小型、軽量化に寄与できる。また積層したチップ間の電気的結合を貫通穴を介して行うことで、従来以上に接合パッド間隔を狭められるようになるため、チップ面積を縮小できる。同じようにワイヤボンディング法の制約からこれまでチップの端部に並べていた接合パッドをチップ内に自由に配置できるようになるので、チップ内配線の配置の自由度が向上し、チップ内配線長の低減、さらには処理速度及び消費電力といったチップ性能の改善が期待できる。
【0005】
このような貫通ビアを用いた実装法では、薄板化以前の非貫通穴の深さは完成時のチップ厚さ以上が必要であり、数10〜数100μm程度、大きさは1辺数10μm角程度である。非貫通穴に金属配線材料を埋める方法としては、電解めっき法、CVD法、PVD法、リフロー法、導電性樹脂充填法等が挙げられる。この中でCVD法、PVD法は大規模な装置が必要な上、成膜が遅く、数10μmオーダの寸法の穴埋めに関しては生産性が低くなってしまう。リフロー法は装置的には簡便だが、材料が再加熱された際に溶融して劣化する恐れや、低融点の異種金属とチップ上の配線材料の接触による局部腐食の発生と信頼性の低下、金属間化合物形成による高抵抗化が懸念される。これに対し電解めっき法はCVD法、PVD法に比べると成膜が速く、チップ上の配線と同種金属(銅)の成膜も可能なことから、低抵抗で高信頼性の成膜が期待できる。
【0006】
電解めっき法は、CVD法、PVD法と比べれば成膜が速いものの、ウエハに開口した直径数10μmオーダの非貫通穴を電解めっき法で充填する場合、数時間〜10数時間のめっきが必要となる。そのため工程の処理能力を確保するにはめっき装置を大型化し、多数のめっきセルを用意して並列処理を行なう等で対応する必要があるため、製造コストを上げる要因となってしまう。そこでこのような大きさの非貫通穴を短時間で穴埋めする技術が必要となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、基板に形成した非貫通穴をめっき法により導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮でき、半導体装置の製造コストを削減できる基板処理方法、半導体装置及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直径数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させためっき液を用いる。このめっき液で電解めっきを行なうと、めっき膜の成膜と同時に固体粒子がめっき膜中に取り込まれるため、めっき膜の体積が嵩上げされる。めっき膜成長の最大速度はめっき液の組成によってほぼ決まる限界電流密度で制限されるが、めっき膜中に固体粒子を取り込んで嵩上げすることで、見かけ上限界電流密度以上の成膜速度が得られるようになる。さらに適当な種類の固体粒子を選択することにより、膜質や加工性を改善することができる。
【0009】
また本発明は、数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させた液を用いて、非貫通穴内に固体粒子を重力による沈降又は遠心力又は静電気力等を用いて充填する。その上から電解めっきを行なうと、めっきする体積が減少するため、穴埋めは早く完了する。これによっても非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0010】
即ち本願請求項1に記載の発明は、基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理方法にある。前記非貫通穴の直径は10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。固体粒子は非貫通穴中の1〜90vol%を占有することが好ましい。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、前記めっき法によるめっきの前又はめっき中に、外力により固体粒子を前記非貫通穴に充填することを特徴とする基板処理方法にある。前記非貫通穴の直径は10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。固体粒子は非貫通穴中の1〜90vol%を占有することが好ましい。またこの基板処理方法には、固体粒子を非貫通穴に充填した後、基板上の余剰な固体粒子を除去する工程を含めてもよい。固体粒子を除去する工程には、へら、ブラシ、スポンジ、水流、気流等を用いる。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、前記外力は、重力又は遠心力又は静電気力であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法にある。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、前記固体粒子はめっき液又はその他の液体に分散していることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板処理方法にある。その他の液体としては、例えば純水がある。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、前記固体粒子は金属系又はセラミック系又は有機系の材料であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の基板処理方法にある。具体的に固体粒子を構成する材料としては、銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラック等がある。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、前記固体粒子を分散させためっき液又はその他の液体にはカチオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は4に記載の基板処理方法にある。前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、及びこれらの誘導体の内の少なくとも1つを含むことが好ましい。なおカチオン系界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度以下であることが好ましい。
【0016】
本願請求項7に記載の発明は、表面と裏面とを電気的に導通する貫通穴を有する半導体装置であって、前記貫通穴にはめっき法によって形成された導体と、前記導体と同種又は異種の材質の固体粒子とが充填されていることを特徴とする半導体装置にある。
【0017】
本願請求項8に記載の発明は、非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理装置にある。前記めっき液は銅めっき液、銀めっき液、金めっき液、錫めっき液、又はこれらの合金めっき液であることが好ましい。また前記固体粒子は銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックであることが好ましい。また前記固体粒子の直径は0.1μmから10μmであることが好ましい。
【0018】
本願請求項9に記載の発明は、前記固体粒子の濃度測定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置にある。前記濃度測定手段は、固体粒子の濃度を光の透過率の検出によって測定するか、或いは固体粒子の濃度をめっき液の密度の検出によって測定することが好ましい。また前記濃度測定手段による測定結果により前記固体粒子の濃度を調整する濃度調整手段を設けても良い。
【0019】
本願請求項10に記載の発明は、前記めっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の基板処理装置にある。表面張力測定手段は、めっき液の表面張力を液適法、泡圧法、プレート法、懸滴法等の方法によって測定する。表面張力測定手段による測定結果により、めっき液中の界面活性剤又は固体粒子の濃度を調整する濃度調整手段を設けることが好ましい。
【0020】
本願請求項11に記載の発明は、非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、前記非貫通穴に固体粒子を充填する固体粒子充填機構を具備することを特徴とする基板処理装置にある。この基板処理装置には基板上の余剰な固体粒子を除去する固体粒子除去機構を具備してもよい。固体粒子除去機構としては、へら、ブラシ、スポンジ、水流供給手段、気流供給手段等がある。さらにこの基板処理装置は基板を液体中で保管する基板保管機構を具備することが好ましい。
【0021】
本願請求項12に記載の発明は、前記固体粒子充填機構は遠心分離機構又は沈殿槽又は電気泳動槽を含むことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置にある。
【発明の効果】
【0022】
基板に設けた直径数10μm程度の穴をめっき法で埋める際の処理時間を大幅に短縮でき、半導体装置の製造コストの削減と高信頼性が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1発明〕
本願の第1発明は、主として直径数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させためっき液を用いる。このめっき液で電解めっきを行なうと、めっき膜の成膜と同時に固体粒子がめっき膜中に取り込まれるため、めっき膜の体積が嵩上げされる。これによって非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0024】
図1は固体粒子を含有しためっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態と、固体粒子を含有しない従来のめっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態とを比較して示す概略図であり、固体粒子を含有した方を図1(a−1)〜図1(a−3)、含有しない方を図1(b−1)〜図1(b−3)として示している。図1(a−1)に示すように基板Wの表面には非貫通穴100の内部表面を含む表面にシード層101が形成されており、これを図1(a−2)に示すように固体粒子(フィラー)103を含有するめっき液Qで電解めっきすると、めっき膜105の成膜と同時に固体粒子103がめっき膜105中に取り込まれるため、図1(a−3)に示すようにめっき膜105の体積が嵩上げされる。これに対して固体粒子を含有しないめっき液で同様の条件で電解めっきを行なった場合は、図1(b−1)〜図1(b−3)に示すように、固体粒子(フィラー)103を含有するめっき液Qで電解めっきを行った場合に比べてめっき膜105の体積の嵩上げが行なわれず、非貫通穴100を導体で埋める際の処理時間が長くなる。
【0025】
なお前記非貫通穴100の寸法は、その直径(正方形の場合はその一辺)が10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。また固体粒子103は金属(銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックを含有することが好ましい。また前記固体粒子103の直径は0.1μmから10μmであり、この固体粒子103は前記非貫通穴100中の1〜90vol%を占有することが好ましい。また前記めっき液Qにはカチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。以下本発明の各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0026】
非貫通穴100を形成する半導体ウエハ等の基板Wの表面はSiO2,SiN等の絶縁膜及び基板Siが大半を占め、一部がCuやAl等の導電体で構成される。特に非貫通穴の内壁及び底面はSi基板であり、そのままでは電解めっきによる成膜ができない。そこで適宜絶縁層(バリア層)を形成した後、導電層(シード層)101を表面及び非貫通穴100内部に成膜し、その上から電解めっきを行なう。前記導電層101は、蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法によりCu等を成膜する。導電層101の形成時には非貫通穴100の側壁にも成膜するよう処理条件を調整する。
【0027】
次に非貫通穴100を埋める電解めっき膜105としては、銅めっき、銀めっき、金めっき、錫めっき、はんだ又は代替はんだのめっき等がある。中でも銅めっきはプリント配線板や半導体チップの配線層としても使用されており、配線層と非貫通穴100との密着性や耐食性の面で優れている。さらに銅めっきプロセスは配線めっき材料として液組成やめっき条件と膜質との関係が明らかになっており、非貫通穴100の埋め込みについても広く検討されているので、本発明に関しても応用が容易である。一方銀めっき、金めっきは銅めっきと比べると高価だが、低抵抗のめっき膜105が得られるのでチップ間の信号遅延が問題となる高速デバイスや低消費電力が求められるデバイスには有効である。はんだ又は代替はんだのめっきの場合は、チップを重ね合わせて加熱するだけでチップ間の接合が可能となるため、接合工程を簡略化できる。しかし一般的なはんだめっきでは、パッケージング後、チップを基板に実装する際の加熱により貫通穴内部が融解してしまうため、組成を調整し、基板に用いるはんだよりも高融点の材料を用いる必要がある。
【0028】
めっき液Q中に分散させる固体粒子(以下「フィラー」という)103の種類としては、例えば金属系(Cu粉、Ag粉、Au粉等)、セラミック系(Al2O3粉、SiO2粉、CeO2粉、TiO2粉等)、有機系(ポリイミド粉、フッ素樹脂粉、シリコーン粉、カーボン粉等)がある。これらのフィラー103の多くはめっき液Q中で沈殿、凝集若しくは浮漂してしまうため、めっき液Q中に分散させるための分散剤として界面活性剤、特にカチオン系界面活性剤を用いる。カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、及びこれらの誘導体の内の少なくとも1つを用いる。カチオン系界面活性剤が吸着すると、フィラー103表面は正に帯電するので、電解めっき中に静電気力により負極である基板W表面に引っ張られ、付着する。これと同時にめっき液Qの電解が進行すると、付着したフィラー103を取り囲むようにめっき膜105が成長するので、結果としてフィラー103を含んだめっき膜105が形成される。
【0029】
フィラー103を非貫通穴100内に埋め込む場合、フィラー103の粒径は非貫通穴100の径に対してある程度以上小さい必要があり、特に非貫通穴100の底面まで行き渡らせるには穴径の3分の1程度が上限である。また、フィラー103の粒径はめっき液Q中での分散性にも影響を与える。粒径が大きい場合は沈殿し易いため、めっき液Q中で均一な分散を得るためには強い攪拌が必要となるが、攪拌が強すぎるとフィラー103が基板Wへ固定しにくくなる。さらにフィラー103が基板Wに衝突することで剥離や傷が発生し、製品不良の原因となる。逆に粒径が小さすぎるとめっき液Qの腐食性によりフィラー103が完全に溶解する恐れがある。まためっき液Q中での凝集も懸念され、埋め込み時のフィラー103間の隙間も狭くなるのでめっき膜105の穴埋め性も悪くなる。よってフィラーの粒径としては概ね0.1μmから10μm程度が望ましい。それに加えて粒度分布が大きいと流速により粒子の移動速度に差が出るため、基板Wの場所により粒径に差が出てしまう。このことからフィラー103の粒子はある程度分級しておいた方が望ましい。
【0030】
〔導体フィラーを用いる場合〕
Cu粉、Ag粉、Au粉等の金属系(導体)のフィラーは、めっき膜中に取り込まれても電気抵抗を上昇させないため、非貫通穴を埋める材料としては理想的である。また、特にめっき膜と同種の金属を用いれば熱膨張係数の違いによる劣化も起きにくい。しかし、図2(a)に示すように、めっき液Q中に金属系のフィラー200を分散させた場合、基板のめっき膜210への付着と同時にフィラー200表面が電極となり、そこで電解が起きてしまう。そのため図2(b)に示すようにフィラー200表面にも成膜が行なわれ、図2(c)に示すようにフィラー200が連結し、疎な構造となり、平滑なめっき膜210が得にくいという問題がある。そこで上記凹凸を緩和する方法として、基板へのフィラーの付着とめっきによる成膜とを別工程で行なう方法がある。具体的にはまず図3(a)から図3(b)に示すように、金属系のフィラー200を含んだ第1のめっき液Q1中で基板のめっき膜210上に薄く電解めっきする。この状態ではフィラー200が付着した上に少量のめっき膜210が成膜しており、基板表面の凹凸は激しい。次に図3(c)に示すように、フィラー200を含まない第2のめっき液Q2中でめっきを行ない、基板表面の凹凸を平滑化する。第2のめっき液Q2は、凹凸の穴埋めと基板表面の平滑化を促進するために添加剤濃度を調整すると良い。また、非貫通穴が大きい場合は図3(d)〜(f)に示すようにこの2種類のめっき液Q1,Q2によるめっき処理を交互に繰り返すと、平滑なめっき膜210が高速で得られる。
【0031】
〔不導体フィラーを用いる場合〕
セラミック系や有機系等の不導体のフィラーを用いる場合は、金属系のフィラーと比べて非貫通穴は高抵抗となるが、図4(a)〜(c)に示すように、めっき中に基板のめっき膜210にフィラー200が付着してもフィラー200表面では電解が起きないため、めっき膜210の表面のみ成膜が行なわれてフィラー200が埋め込まれて行き、比較的平滑な埋め込みが可能になる。また特にめっき膜210とは異種の金属系フィラーを用いた場合、局部電池効果で腐食する恐れがあるのに対し、絶縁体のフィラーでは腐食の恐れがない。セラミック系や有機系のフィラーは金属と硬度の差が大きいので、埋め込むことで接合部表面には硬度の局部的な分布ができる。この状態で他のチップと直接接触させ摩擦すると、硬度の違いにより対向面の表面酸化膜を相互に破壊でき、接合後の信頼性が向上する。
【0032】
次にめっき膜中に取り込まれるフィラーの濃度は、めっき膜の成長速度と電極表面へのフィラーの付着量とのバランスで決まる。そのため、電極表面へのフィラーの供給、即ち電極表面でのめっき液の流れが重要である。まためっきが進行すると、電極近傍ではめっき液中のフィラーがめっき膜中に取り込まれるため、フィラー濃度の低い層(拡散層)が形成される。拡散層の低下したフィラー濃度を補うには攪拌によりフィラーを供給する必要がある。一方、強度の攪拌は電極表面に付着したフィラー粒子を引き剥がしてしまうため、めっき膜中への取り込み量を減少させてしまい、結果として膜成長速度を上げることができなくなってしまう。特にPTFE等の密度の低いフィラーでは流れの影響を受け易く、攪拌は極力抑える。それ以外のフィラーについてもめっき液の流れを抑制し、フィラーが確実にめっき膜中に取り込まれるようにすると同時に基板面内での流れ分布を均一化する必要がある。具体的にはめっき液中のフィラー濃度を高くして拡散層厚さを低くした上で、基板表面で緩やかな流れを起こすのが効果的である。但し定常的な流れはフィラーの粒度分布等に起因した面内分布が生じ易いので、適宜流れを乱した方が望ましい。
【0033】
めっき液中にフィラーを分散させるのに必要な界面活性剤量はフィラーの量と種類及び界面活性剤の種類によって決まり、疎水性の強いフィラーほど大量の界面活性剤が必要となる。界面活性剤濃度はめっき膜の組織に強い影響を与えるので、過剰な添加には注意を要する。添加する界面活性剤の量はめっき液の表面張力により決定する。即ちめっき液中にフィラーを添加しておき、界面活性剤を徐々に加えながら表面張力を測定する。図5に示すように、界面活性剤濃度を増加していくと、めっき液の表面張力はしばらく一定値を維持した後で徐々に低下し、ある濃度を超えると再び一定となる。低濃度側で界面活性剤を添加しても表面張力が下がらない範囲a1では、添加した界面活性剤がフィラー表面に吸着することで消費されていると考えられ、その後の低下する範囲a2はめっき液と気相、容器との界面に界面活性剤が付着しているものと推定される。その後再び表面張力が一定になる範囲a3は、めっき液中の界面活性剤がミセルを形成する濃度範囲で、一定になる直前の変曲点の界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)と呼ぶ。添加する界面活性剤量をCMC以下、さらには表面張力が低下する直前の値とすることでフィラーの分散性を確保しながらめっき膜構造への界面活性剤添加の影響も抑えることができる。
【0034】
一方、例えばAl2O3のような粒子は、親水性表面を持ち、酸性のめっき液中での表面電位が正であるため、界面活性剤なしにめっき液中に分散させることが可能である。この場合はめっき液にフィラーのみを添加、攪拌するだけでよい。
【0035】
フィラーを含んだめっき液を繰り返し使用すると、めっき液中の金属イオン(例えばCuイオン)や添加剤の他、フィラー、界面活性剤の量も変化していく。そのためフィラー、界面活性剤の濃度をモニタし、必要に応じて調整する必要がある。フィラーは一般的に不透明なので、濃度はめっき液の吸光度を測定することで求めることができる。具体的にはめっきセル又はめっき液配管等に吸光度計を設置し、吸光度の変化をモニタする。フィラーの減少により吸光度がある値以下に低下したらフィラーを添加して回復させる。フィラーの添加には界面活性剤を添加した濃厚なフィラー分散液を用いても良いし、フィラーと界面活性剤とを別々に添加しても良い。
【0036】
液中のフィラー濃度の別の求め方としては、めっき液を一定量サンプリングし、その密度を測定する方法がある。この方法は金属系フィラー等の比重の大きなフィラーを用いる場合や、液中のフィラー量が多く、光が透過しにくいめっき液の濃度管理に効果的である。
【0037】
界面活性剤量はめっき液の表面張力をモニタすることで管理することができる。めっきによりフィラーが消費されると、フィラー表面に吸着していた界面活性剤の一部がめっき液に放出されるため、めっき液の表面張力が低下する。表面張力は液適法(滴下する液滴の重量と表面張力とのバランスから求める)や泡圧法(液中の管から発生させた気泡の最大圧力から求める)といった簡便な方法により求めることができる。またその他の表面張力の測定方法として、プレート法、懸滴法もある。これらの方法によってめっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を用いてめっき槽や別のタンク内等で表面張力をモニタし、余剰な界面活性剤量に見合うだけのフィラーを添加すれば、界面活性剤はフィラーに吸着するので、めっき膜質の変化を抑えることができる。
【0038】
図6は本発明にかかる基板処理方法を実現する基板処理装置の1例を示す全体概略構成図である。同図に示す基板処理装置1は、めっき液Qを満たしためっき槽3内に基板ホルダ7に保持した基板5と、対極(アノード)9とを対向して設置し、両者間に電源11を接続し、めっき液供給槽13から配管15及び配管15に接続したポンプ17によってめっき液Qをめっき槽3に供給するように構成されている。めっき槽3内の基板5の表面(被めっき面)に対向する位置と、めっき槽3の下部とにそれぞれ攪拌器19,21を設置している。めっき液Qは上記本発明のフィラーを添加しためっき液である。攪拌器19は上下方向に向けて設置した棒状のパドル191を基板5の表面近傍で平行移動(紙面手前奥方向)することでめっき液Qを攪拌するものであり、攪拌器21は羽根211を回転することでめっき液Qを攪拌するものである。めっき槽3の下部にはめっき槽3内のめっき液Qをめっき液供給槽13に戻すドレイン23が設けられている。めっき液供給槽13には内部のめっき液Qを攪拌する攪拌器25,25が設置されており、まためっき液Qにフィラーを補給するフィラー貯蔵槽(濃度調整手段)27と、めっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なうめっき液分析装置29が接続されている。配管15中には吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)31と表面張力計(表面張力測定手段)35とが設置され、それらの出力はフィラー濃度測定器33に入力されている。
【0039】
以上のように構成された基板処理装置1において、基板5と対極9間に電流を流すことで基板5表面に電解めっきを行なう。一方フィラーは攪拌器19,21による攪拌により基板5の表面に補給される。めっき槽3内のめっき液Qはドレイン23を通して排出され、めっき液供給槽13に貯蔵される。めっき液供給槽13では攪拌器25によって適宜攪拌が行なわれフィラーの沈殿が抑えられる。めっき液分析装置29では前述のようにめっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なう。めっき液供給槽13内のめっき液Qはポンプ17によってめっき槽3に送られるが、その途中に設置された吸光度計31でめっき液Q中のフィラーの濃度が検出され、また表面張力計35で界面活性剤濃度が検出され、それらの結果がフィラー濃度測定器33で演算され、フィラー濃度測定器33からの出力によってフィラーの必要量がフィラー貯蔵槽27からめっき液供給槽13に補給され、めっき液Q中の固体粒子の濃度が調整される。
【0040】
〔第2発明〕
本願の第2発明は、主として数10μmオーダの非貫通穴を高速で穴埋めするために、微細な固体粒子を分散させた液を用いて、非貫通穴内に固体粒子を充填するものである。その上から電解めっきを行なうと、めっきする体積が減少するため、穴埋めは早く完了する。これによって非貫通穴を導体で埋める際の処理時間を大幅に短縮できる。
【0041】
図8(a),(b)は固体粒子の充填液を用いためっき膜の嵩上げと高速化の基本原理を示す図である。液体(充填液)300中に分散させた固体粒子(フィラー)301を重力や遠心力、静電気力等により基板Wの表面に沈降させる。その上からめっきを行なうと、めっき膜303中に固体粒子301が取り込まれるため、めっき膜303全体の体積は固体粒子301の体積と析出金属の体積の和となる。従って固体粒子301を用いない場合に比べ、取り込まれた固体粒子301の分だけ膜厚が厚くなるので、成長速度が高速になるといえる。
【0042】
図9(a)〜(f)は本発明による基板の処理手順の一例を示す概略図である。図9(a)に示すように基板Wの表面には非貫通穴400の内部表面を含む表面にシード層401が形成されている。そして基板Wをそのシード層401が上向きとなるように設置し、図9(b)に示すように基板Wのシード層401上に固体粒子(フィラー)403を分散させた充填液405を載せて静置する。しばらくすると固体粒子403は比重により沈殿して非貫通穴400内部を含めた基板Wの表面全体を被覆する。次に基板Wを充填液405から取り出し(取り出さなくても良い)、図9(c)に示すようにへらやスポンジ等の固体粒子除去機構により基板W表面を擦り、余分な固体粒子403を除去すると、図9(d)に示すように非貫通穴400の内部にのみ固体粒子403が残る。その後、基板Wをめっき槽に移して図9(e)に示すようにめっき液Qに浸漬してめっきを行なう。このとき形成されるめっき膜407は固体粒子403を取り込んで成長し、非貫通穴400内部は固体粒子403とめっき膜407により充填される。一方基板Wの表面でもめっき膜は成長するが、これについてはその後の工程で大部分は不要であり、図9(f)に示すように除去する必要がある(もちろん除去する必要がない場合はそのまま使用しても良い)。基板Wの表面の余剰なめっき膜407の除去には化学的機械的研磨(CMP)やケミカルエッチング、プラズマエッチング等が用いられる。特にCMPやケミカルエッチングを用いる場合には、めっき膜407と固体粒子403双方の溶解性、研磨レートに加え、固体粒子403とめっき膜407の電位差による腐食の発生も考慮して処理条件を決める必要がある。さらに余剰なめっき膜407の膜厚が厚いと処理時間や部材のコストを上昇させるため、除去を容易にする必要がある。このようなことを考慮してこの例では、図9(e)においてめっき膜407を成膜する際のめっき液中にPTFE等の軟質材料を固体粒子(フィラー)409として分散させためっき液Qを用いてめっきを行なった。このめっきを行う前に非貫通穴400内部は既に固体粒子403による埋め込みが済んでおり、軟質の固体粒子409の非貫通穴400内部への入り込みはほとんどない。一方、基板W表面のめっき膜407中には軟質の固体粒子409が分散して取り込まれるので、その成膜時間を短くできる。軟質の固体粒子409はCMPによる研磨時に容易に変形、脱離するので、めっき膜407を研磨する速度を速くでき、余剰のめっき膜407の除去を促進することができる。
【0043】
なお前記非貫通穴400の寸法は、その直径(正方形の場合はその一辺)が10μmから500μm、深さが10μmから500μmであることが好ましい。また固体粒子403は金属(銅、銀、金、白金、又はこれらの合金又は化合物)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、又は酸化セリウム、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、黒鉛、炭素繊維、又はカーボンブラックを含有することが好ましい。また前記固体粒子403の直径は0.1μmから10μmであり、この固体粒子403は前記非貫通穴400中の1〜90vol%を占有することが好ましい。また前記めっき液Qにはカチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。以下本発明の各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0044】
前記第1発明でも説明したが、非貫通穴400を埋める電解めっき膜407としては、銅めっき、銀めっき、金めっき、錫めっき、はんだ又は代替はんだのめっき等がある。各金属の特性は第1発明で説明した内容と同じである。
【0045】
非貫通穴400に充填する固体粒子(以下「フィラー」という)403の種類としては、例えば金属系(Cu粉、Ag粉、Au粉等)、セラミック系(Al2O3粉、SiO2粉、CeO2粉、TiO2粉等)、有機系(ポリイミド粉、フッ素樹脂粉、シリコーン粉、カーボン粉等)がある。これらのフィラー403の多くはそのままでは充填液405中で沈殿、凝集若しくは浮漂してしまうため、充填液405中に分散させるため必要に応じて界面活性剤を用いる。このときの界面活性剤濃度は、フィラー403の量と種類及び界面活性剤の種類によって決まり、疎水性の強いフィラー403ほど大量の界面活性剤が必要となる。界面活性剤はめっき膜407の組織に強い影響を与えるので、過剰な使用には注意を要する。添加する界面活性剤量は臨界ミセル濃度(CMC)以下、さらには表面張力が低下する直前の値とすることでフィラー403の分散性を確保しながら基板Wへの界面活性剤添加の影響も抑えることができる。
【0046】
フィラー403を分散させる充填液405の溶媒の候補として、純水の他、低沸点のアルコール類、めっき液等が挙げられる。純水は取り扱いが容易であり、またフィラー403への影響も少ないが、導電層や銅等の金属製フィラーは溶存酸素により酸化する恐れがある。また、埋め込んだフィラー403に水分が残留したままめっき工程に送られると、非貫通穴406内でめっき液Qが希釈されてしまうため、めっき膜407による穴埋めが妨げられる。メタノール、エタノール、プロパノール等の低沸点のアルコール類は純水と比べて導電層や銅への影響が少ない。さらに加熱、減圧により容易に蒸発させることができるので、めっき液Qの希釈の影響を抑えることができる。しかし、加熱、排気、除害等の設備が必要となるため装置が大規模になってしまう。
【0047】
溶媒として次工程で使用するめっき液を用いると、フィラー403充填後に液を除去せずにそのままめっきすることができ、非貫通穴400内でめっき液が希釈される心配もないため、比較的扱い易い。ただしめっき液によるフィラー403や導通層の溶解、腐食の影響を考慮する必要があり、特にフィラー403充填後は速やかにめっきを行なうことが重要である。
【0048】
図10は本発明にかかる基板処理方法を実現する基板処理装置の1例を示す全体概略構成図である。この例においては、めっき液Q中にフィラーを分散させた充填液を用い、沈殿により非貫通穴内にフィラーを充填し、その後めっきを行なって非貫通穴内部及び基板表面に導通層を形成する場合を示しているが、装置の構成や処理方法により、フィラーの充填とめっきを個別の液で処理することも可能である。
【0049】
図10に示す基板処理装置1−2は、充填液(以下「めっき液」という)Qを満たしためっき槽(固体粒子充填機構でもある)503内に基板ホルダ507に保持された基板505と、対極(アノード)509とを対向して設置し、両者間に電源511を接続し、めっき液供給槽513から配管515及び配管515に接続したポンプ517によってめっき液Qを供給するように構成されている。処理する基板505はめっき槽503内の基板ホルダ507に表面(被処理面)を上方に向けて設置されている。めっき液供給槽513には内部のめっき液Qを攪拌する攪拌器525が設置されており、まためっき液Qにフィラーを補給するフィラー貯蔵槽(濃度調整手段)527と、めっき液Q中の金属イオン及び各種添加剤の量を測定し必要に応じて減少成分の補給を行なうめっき液分析装置529が接続されている。配管515中には吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)531と(表面張力測定手段)表面張力計535とが設置され、それらの出力はフィラー濃度測定器533に入力されている。
【0050】
以上のように構成された基板処理装置1−2において、フィラーを含んだめっき液Qはめっき液供給槽513に貯蔵され、ポンプ517によってめっき槽503に送られる。めっき液供給槽513ではフィラーの沈降による濃度ばらつきや凝集の発生を避けるため、攪拌機525を用いてめっき液Qを適宜攪拌する。めっき液Q中のフィラー濃度は繰り返しの処理により消耗するため、濃度管理が必要となる。ポンプ517によってめっき槽503に送られる途中のめっき液Q中のフィラーの濃度は吸光度計531を用いて光の透過率を測定することで測定され、まためっき液Q中の界面活性剤濃度は表面張力計535で測定され、それらの結果を元にフィラー濃度測定器533では消費されたフィラー量を算出し、フィラー濃度測定器533からの出力によってフィラー貯蔵槽527から必要量のフィラーがめっき液供給槽513に補給され、めっき液Q中の固体粒子の濃度が調整される。フィラー貯蔵槽527にはフィラー、界面活性剤の他、例えば濃厚なめっき液を入れておき、めっき液成分も併せて供給しても良い。また添加剤等のめっき液Q中の各種成分については、めっき液分析装置529にて分析し、適宜不足成分を補給する。
【0051】
図11〜図15は前記図10に示すめっき槽503の具体的構成例及びその処理動作を示す模式図である。このめっき槽503は沈殿槽(固体粒子充填機構)でもあり、処理する基板505の表面(被めっき面)を上方に向けて設置し且つ駆動手段によって上下動する基板ホルダ507と、基板ホルダ507の上部に設置され基板ホルダ507の周囲を囲むように筒状に形成されるめっき槽本体541と、めっき槽本体541の上部に設置されて駆動装置545によって上下方向に移動される対極509と、めっき槽本体541の外側近傍に設置されるスキージ(固体粒子除去機構)547とを具備して構成されている。スキージ(へら)547は、図13に示すように水平に設置されたガイド棒549にガイドされてガイド棒549に沿って移動し、またガイド棒549はその一端がスキージ駆動機構551に上下動と水平方向への旋回移動とができるように取り付けられている。
【0052】
以上のように構成されためっき槽503において、まず図11に示すように処理する基板505をその表面を上方に向けて基板ホルダ507に設置する。次に図12に示すように基板ホルダ507を上昇してめっき槽本体541の下辺に接合し(これによって沈殿槽が構成される)、前記図10に示すポンプ517を駆動することでめっき槽本体541内にフィラーを分散させためっき液Qを投入する。そしてこのめっき液Qを投入した状態で一定の時間静置する。一定時間が経過してフィラーを基板505表面に沈殿させた後、図13に示すようにスキージ547をめっき槽本体541内に挿入してその先端を基板505上に当接し、スキージ347の先端で基板505の表面を擦り、基板505に設けた非貫通穴以外の表面部分に堆積した余剰フィラーを除去する。次に図14に示すようにスキージ547をめっき槽本体541の外部に引き出して元の位置に戻した後、対極509を駆動装置545によって下降してめっき槽本体541内に挿入してめっき液Qに浸し、所定の条件で電解めっきを行なう。このめっきによって基板505に形成した非貫通穴内部及び基板505の表面にめっき膜が形成され、非貫通穴の穴埋めが行なわれる。そして図15に示すように基板ホルダ507を下降することでめっき槽本体541からめっき液Qを排出する。排出されためっき液Qは図10に示すめっき液供給槽513に戻され、再利用される。一方基板505は基板ホルダ507から取り外された後、洗浄、乾燥して次工程処理(例えば研磨工程)に送られる。
【0053】
上記図11に示すめっき槽503においては、非貫通穴にフィラーを充填する方法として静置して沈殿する方法を用いたが、それ以外に、静電気的な吸着(静電気力)や遠心分離(遠心力)により強制的にフィラーを貫通穴に充填する方法もある。静電気的な吸着を利用する固体粒子充填機構の例としては、電気泳動槽を用いる方法がある。例えば溶液にフィラーを分散させる際にカチオン系界面活性剤を用い、フィラー粒子表面を正に帯電させる。そして基板に負の電位を印加するとフィラーが静電気力により基板表面に引っ張られる。静電気的な吸着と静置による沈降とは同時に行っても良く、併用することでフィラーの沈降速度を上げ、非貫通穴内部でのフィラーの充填率も上げることができる。
【0054】
図16,図17は遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す図であり、図16は概略平面図(但し図17に示す筐体609と中蓋613と上蓋617の記載は省略)、図17は概略側断面図である。両図に示すように基板処理装置1−3は、駆動手段(以下「モータ」という)601と、モータ601の回転軸602によって回転する回転槽603と、回転槽603の壁面に設置された複数(この実施形態では8個)の基板ホルダ605と回転槽603を囲むように設置される外槽607と、外槽607を囲むように設置される筐体609と、筐体609の上部に設置され前記モータ601を制御する制御部611とを具備して構成されている。回転槽603の上部開口は中蓋613によって塞がれ、回転槽603の下部中央には開閉自在な排液口615が設けられている。外槽607の上部開口は上蓋617によって塞がれ、外槽607の底面には排出管619が取れ付けられ、また外槽607の上部には2本の導入管621が取り付けられている。導入管621は外槽607の外部から内部に挿入され、その根元部分には導入管621の先端側を水平面内において旋回自在に駆動する駆動部623が設けられ、これによって導入管621の先端が回転槽603の外部と内部との間で旋回できる構成にしている。
【0055】
そして前記各基板ホルダ605に基板606を固定し、排液口615を閉じて中蓋613を開け、導入管621の先端を図16に点線で示す回転槽603の上部に移動し、導入管621からフィラーを分散させた充填液を回転槽603内に投入し、その後導入管621を退避させて中蓋613と上蓋617を閉める。そしてモータ601を駆動することで回転槽603を所定時間回転すれば、充填液内のフィラーが遠心力により基板606表面に沈降する。沈降速度vは、下記式(1)で表される。
【数1】
【0056】
この式(1)と装置性能、フィラー、溶液の物性から遠心分離処理条件を決定する。
そして所定の回転数で所定時間遠心分離を行なった後、排液口615を開けて充填液を排出し、基板606を回転槽603から取り出す。取り出した後の基板606は、非貫通穴内部だけでなく、基板606の表面全体にフィラーが堆積した状態になっている。そこで次工程では非貫通穴内部のフィラーを残しながら、基板606の表面平坦部の余剰なフィラーを除去し、めっき法により導通層を形成する。
【0057】
図18は遠心分離による基板の非貫通穴へのフィラー充填と導通層のめっきとを連続処理で行なう基板処理装置1−4の概略構成図である。基板処理装置1−4は、基板を収納する基板ケース701と、図16,図17に示す基板処理装置1−3と同一構成の固体粒子充填機構(遠心分離機構)703と、基板を搬送する搬送ロボット705と、固体粒子充填機構703で処理した後の基板を液体中で一次保管するバッファ槽(基板保管機構)707と、フィラー除去槽(固体粒子除去機構)709と、基板のめっきを行なうめっき槽711と、基板を洗浄・乾燥する洗浄乾燥槽713とを具備して構成されている。固体粒子充填機構703には固体粒子充填機構703の各基板ホルダ717への基板719の着脱を行なう搬送アーム715が設置されている。
【0058】
以上のように構成された基板処理装置1−4において、基板ケース701に入っている基板は搬送ロボット705によって取り出され、固体粒子充填機構703に搬送される。搬送アーム715は搬送ロボット705から基板を受け取り、固体粒子充填機構703内の各基板ホルダ717に基板719をセットする。その後、前述のように充填液を固体粒子充填機構703の回転槽721内に導入し、遠心分離によりフィラーを基板719表面に堆積させる。フィラーが堆積した基板719は搬送アーム715により固体粒子充填機構703から取り出されて搬送ロボット705に受け渡され、搬送ロボット705によりバッファ槽707に送られる。バッファ槽707は次工程で処理できるようになるまでの間にフィラーが乾燥や脱落するのを防ぐための一時的な保管槽であり、固体粒子充填機構703に収納される数と同数の基板を収納し、めっき液等の溶液に浸漬する。次に基板は搬送ロボット705によりフィラー除去槽709に送られる。ここでは基板表面をへら、又はブラシ、又はスポンジ、又は水流供給手段から供給される水流、又は気流供給手段から供給される気流等で摩擦し、非貫通穴内部に充填されたフィラーを残し余剰なフィラーを除去する。次に搬送ロボット705は余剰フィラーを除去した基板をめっき槽711に送り、電解めっき法により導通層を形成する。その後、基板は搬送ロボット705により洗浄乾燥槽713に送られ、基板表面に付着しているめっき液を純水で除去し、スピン乾燥により乾燥してから、再度搬送ロボット705によって基板ケース701に戻され、一連の基板処理が完了する。
【0059】
なお上記した本願第2発明の各例では、基板に対するフィラーの充填とめっきとを別々の工程で行なっているが、これらの工程は同時に行っても良い。例えば図11〜図15に示す装置構成の場合、その一連の処理において、余剰フィラーを除去する図13の処理を省略し、フィラーが完全に沈降するのを待たずに図14に示すめっき処理を開始しても良い。また図16,図17に示す装置構成の場合では、基板ホルダ605に保持した基板606を負極とし、回転軸602側に正極となる対極を設け、回転槽603を回転させながらめっきすることも可能である。このとき、基板606、対極への給電には外部からブラシ接点を用いて行なう他、回転槽603に充電池等の電源装置や電源制御装置を載せてともに回転させても良い。この場合、基板一枚当たりの処理時間を短縮でき、さらにめっき速度もある程度向上させられる。しかし同時に、非貫通穴内以外の平坦部にも大量のフィラーがめっき膜中に取り込まれるので、その後の余剰なめっき膜の除去工程への負担が大きくなる。めっきと除去の両工程を考慮してフィラーの充填量、めっき膜厚を調整する必要がある。
【実施例1】
【0060】
〔第1発明の実施例〕
めっき液として硫酸銅を基本とした半導体バックエンドプロセス用銅めっき液に適宜添加剤を加えたものを基本めっき浴とした。カチオン系界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、フィラーとしてPTFE粉(旭硝子社製Fluon PTFE )を用い、めっき液を調合した。PTFE粉の濃度は20g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板には表面にスパッタ法により銅膜を成膜したSi基板を、対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき時間を固定した定電流法によるめっきを、前記フィラーを含むめっき液と、フィラーを含まないめっき浴(基本めっき浴)とを用いてそれぞれ行なった。めっき後のそれぞれの試料の膜厚を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、フィラー添加による嵩上げ効果の比較を行った。
図7に各試料のめっき膜厚の比較を示す。フィラーなしに比べ、PTFEフィラーを用いた場合、めっき膜厚に約27%の嵩上げ効果が見られた。
【実施例2】
【0061】
〔第2発明の実施例〕
(1)フィラーの重力による沈降の実施例
めっき液としては硫酸銅を基本とした半導体バックエンドプロセス用銅めっき液に適宜添加剤を加えたものを基本めっき浴とした。カチオン系界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、フィラーとしてPTFE粉(旭硝子社製Fluon PTFE(粒径約1μm))を準備し、PTFEフィラーめっき液を調合した。PTFE粉の濃度は20g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板にはスパッタ法により表面に銅膜を成膜したSi基板を用いた。対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき時間を固定した定電流法によるめっきを行なった。基板の向きは垂直(vertical)と表面上向き(Face Up)の2条件とした。めっき後の試料の膜厚を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、フィラー添加による嵩上げ効果の比較を行った。
図19に各試料のめっき膜厚の比較を示す。フィラーなしに比べ、基板表面を上向きにし、フィラーを沈降させた場合で約78%の嵩上げ効果が見られた。一方重力による沈降の影響を除去するために基板表面を垂直にした場合の嵩上げ効果は約27%に留まった。
【0062】
(2)フィラーの遠心力による沈降の実施例
次にフィラーとしてAl2O3粉(アドマテックス社製、アドマファインアルミナ)を準備し、Al2O3フィラーめっき液を調合した例を示す。Al2O3粉の濃度を10g/Lとし、界面活性剤濃度はめっき液の表面張力を目安に決定した。基板には約80μm角、深さ約100μmの非貫通穴を持つSiウエハの表面にスパッタ法により銅を成膜したものを用いた。基板表面が遠心分離機の回転軸に対向するように基板をセットし、Al2O3フィラーめっき液を回転槽に入れて6000rpmで5分間回転させ、フィラーを基板表面に沈降させた。遠心分離機から基板を取り出した後、基板表面をセルロース製ワイパーで摩擦し、基板表面の余剰なフィラーを除去した。次にめっき法により導通層の形成を行なった。めっき液には半導体バックエンドプロセス用銅めっき液を用い、対極にはSUS板を使用し、電流値及びめっき条件を適宜調整して基板上に銅めっきを行なった。めっき時間は約20分で一定とした。試料の断面構造の模式図を図20に示す。フィラーなしでめっきを行なった試料(without filler)と比較して、フィラーを使用した試料(with filler)では非貫通穴内部の充填率が大幅に向上することを確認した。またフィラーを充填することにより非貫通穴内部に空隙はほとんど見られなかった。エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray spectroscopy , EDX)により組成分布を測定したところ、模式図に示すように非貫通穴の内部にAl2O3フィラーが、非貫通穴側面には銅めっき膜が成長した構造であることが確認できた。結果として非貫通穴内部にほとんど空隙を作らずに、銅めっき膜を介して基板の表裏方向に導通を取ることが可能となった。
このように非貫通穴内部にフィラーを充填することで、空隙の無い導通層を短時間で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1(a−1)〜図1(a−3)は固体粒子を含有しためっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態を示す概略図、図1(b−1)〜図1(b−3)は固体粒子を含有しない従来のめっき液によって非貫通穴を穴埋めする状態を示す概略図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図3】図3(a)〜図3(f)は導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は不導体のフィラーを用いた場合の基板のめっき膜210へのフィラー200の付着状態を示す概略図である。
【図5】界面活性剤濃度と表面張力の関係を示す図である。
【図6】基板処理装置1を示す全体概略構成図である。
【図7】フィラーの有無によるめっき膜厚の比較を示す図である。
【図8】図8(a),(b)は固体粒子の充填液を用いためっき膜の嵩上げと高速化の基本原理を示す図である。
【図9】図9(a)〜図9(f)は固体粒子を用いためっきの処理手順を示す概略図である。
【図10】基板処理装置1−2を示す全体概略構成図である。
【図11】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図12】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図13】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図14】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図15】めっき槽503の処理動作を示す模式図である。
【図16】遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す概略平面図である。
【図17】遠心分離機構によりフィラーの充填を行なう固体粒子充填機構を有する基板処理装置1−3の装置構成例を示す概略側断面図である。
【図18】基板処理装置1−4を示す全体概略構成図である。
【図19】フィラーの有無及び基板の設置条件によるめっき膜厚の比較を示す図である。
【図20】フィラーの有無による非貫通穴のめっきの状態を示す要部概略拡大断面図である。
【符号の説明】
【0064】
W 基板
Q めっき液
100 非貫通穴
103 固体粒子(フィラー)
105 めっき膜
200 固体粒子(フィラー)
210 めっき膜
1 基板処理装置
3 めっき槽
5 基板
9 対極
13 めっき液供給槽
27 フィラー貯蔵槽(濃度調整手段)
31 吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)
33 フィラー濃度測定器
35 表面張力計(表面張力測定手段)
300 液体(充填液)
301 固体粒子(フィラー)
303 めっき膜
400 非貫通穴
403 固体粒子(フィラー)
405 充填液
407 めっき膜
1−2 基板処理装置
503 めっき槽(沈殿槽、固体粒子充填機構)
505 基板
509 対極
527 フィラー貯蔵槽(濃度調整手段)
531 吸光度計(固体粒子の濃度測定手段)
533 フィラー濃度測定器
535 表面張力計(表面張力測定手段)
541 めっき槽本体
547 スキージ(へら、固体粒子除去機構)
1−3 基板処理装置(遠心分離機構、固体粒子充填機構)
601 駆動手段(モータ)
603 回転槽
606 基板
1−4 基板処理装置
703 固体粒子充填機構(遠心分離機構)
705 搬送ロボット
707 バッファ槽(基板保管機構)
709 フィラー除去槽(固体粒子除去機構)
711 めっき槽
713 洗浄乾燥槽
715 搬送アーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、
前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、
前記めっき法によるめっきの前又はめっき中に、外力により固体粒子を前記非貫通穴に充填することを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
前記外力は、重力又は遠心力又は静電気力であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記固体粒子はめっき液又はその他の液体に分散していることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記固体粒子は金属系又はセラミック系又は有機系の材料であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記固体粒子を分散させためっき液又はその他の液体にはカチオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は4に記載の基板処理方法。
【請求項7】
表面と裏面とを電気的に導通する貫通穴を有する半導体装置であって、
前記貫通穴にはめっき法によって形成された導体と、前記導体と同種又は異種の材質の固体粒子とが充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、
前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
前記固体粒子の濃度測定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記めっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、
前記非貫通穴に固体粒子を充填する固体粒子充填機構を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
前記固体粒子充填機構は遠心分離機構又は沈殿槽又は電気泳動槽を含むことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、
前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
基板に非貫通穴を形成し、前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理方法において、
前記めっき法によるめっきの前又はめっき中に、外力により固体粒子を前記非貫通穴に充填することを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
前記外力は、重力又は遠心力又は静電気力であることを特徴とする請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記固体粒子はめっき液又はその他の液体に分散していることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記固体粒子は金属系又はセラミック系又は有機系の材料であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記固体粒子を分散させためっき液又はその他の液体にはカチオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は4に記載の基板処理方法。
【請求項7】
表面と裏面とを電気的に導通する貫通穴を有する半導体装置であって、
前記貫通穴にはめっき法によって形成された導体と、前記導体と同種又は異種の材質の固体粒子とが充填されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、
前記めっき法に用いるめっき液には固体粒子を含有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
前記固体粒子の濃度測定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記めっき液の表面張力を測定する表面張力測定手段を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
非貫通穴を有する基板の前記非貫通穴内部にめっき法により導体を充填する基板処理装置において、
前記非貫通穴に固体粒子を充填する固体粒子充填機構を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
前記固体粒子充填機構は遠心分離機構又は沈殿槽又は電気泳動槽を含むことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−291469(P2007−291469A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122600(P2006−122600)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
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