基板実装端子台とプリント配線板の組立体
【課題】はんだ付け性・はんだ付け品質を維持しつつ、温度ヒューズの挿入作業性を向上させた基板実装端子台とプリント配線板の組立体を得る。
【解決手段】温度ヒューズを組み付ける端子台1と、端子台1をプリント配線板4にはんだ付けしたものにおいて、温度ヒューズリード11を挿入する挿入穴12、13が端子台1及びプリント配線板4にそれぞれ設けられる。端子台1の挿入穴12の公差上限の大きさgと、プリント配線板4の挿入穴13の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g、とする。
【解決手段】温度ヒューズを組み付ける端子台1と、端子台1をプリント配線板4にはんだ付けしたものにおいて、温度ヒューズリード11を挿入する挿入穴12、13が端子台1及びプリント配線板4にそれぞれ設けられる。端子台1の挿入穴12の公差上限の大きさgと、プリント配線板4の挿入穴13の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g、とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度ヒューズを組み付ける基板実装端子台をプリント配線板にはんだ付けする組立体に関し、特に、温度ヒューズの挿入作業の容易化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リードのある挿入部品をはんだ付けする際の部品保持具とプリント配線板の挿入穴径との関係については、部品保持具よりもプリント配線板の挿入穴を大きくしている例などがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平9−503721号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来例(特許文献1)においては、挿入部品のリードの挿入性はプリント配線板側の穴径を部品保持具の挿入穴径よりも大きくすることにより確保されているが、その穴径の大きさの算出方法についての記述はなされていない。そのため、プリント配線板の穴径が各々の公差や穴位置のずれなどを考慮されずに小さい場合には、挿入性が十分に改善されなかったり、逆に穴径が大きくなりすぎた場合には、はんだ付け時に穴あきが発生し、修正作業が必要になったり、はんだ接合信頼性が低下するという問題点があった。
また、挿入部品として例えば温度ヒューズを使用する場合には、熱で動作する部品であるために、はんだ付け時の熱により溶断や特性劣化をさせないように考慮する必要があり、はんだ付け不良が発生した際に、容易にはんだ修正作業をすることができないという問題点もあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、はんだ付け性・はんだ付け品質を維持しつつ、温度ヒューズの挿入作業性を向上させた基板実装端子台とプリント配線板の組立体を得ることを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体は、温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴を前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設け、前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさgと、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g
としたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体は、上記の構成を採用したことにより、プリント配線板の穴径を適正な大きさとすることができ、はんだ付け性・はんだ付け品質を維持しつつ、温度ヒューズの挿入作業が容易にできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の図である。
【図2】図1の基板実装端子台をプリント配線板に接する面から見た平面図である。
【図3】図1のA−A線の断面拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体を示した図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。図2は、基板実装端子台をプリント配線板に接する面から見た平面図である。図3は、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)、図4は、図3の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態1の説明上必要な箇所に限定されている略図である。
【0010】
図1〜図4において、基板実装端子台1は、例えば空気調和機の室内機、室外機間を電気的に接続し、相互の電力供給や通信などをする内外接続電線(図示せず)を接続するためのものであり、その内外接続電線は、電線挿入穴2から挿入され、基板実装端子台1内部の金属製端子3やばね等により電気的、機械的に接続されている。その金属製端子3は、さらにプリント配線板4の挿入穴5に挿入され、その周囲に設けられたランド6とはんだ7によりはんだ付けされ、電気的、機械的に接続されている。このランド6は、パターン8を介して空気調和機の電子回路や電源等(図示せず)と接続される。また、金属製端子3は、必要に応じてタブ端子も兼ねており、タブ端子と接続する端子により空気調和機の電子回路や電源等(図示せず)と接続される。
【0011】
ここで、内外接続電線の基板実装端子台1への挿入不足などにより金属製端子3やばね等との接触抵抗が大きくなると、その接触抵抗による発熱も大きくなり、発煙・発火に至る可能性があり、それを防ぐために温度ヒューズ9が基板実装端子台1に設けられた凹部10に取り付けられている。
また、温度ヒューズリード11は、直角に曲げられており、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13とに挿入され、そこから出て、その周囲に設けられたランド14とはんだ15によりはんだ付けされ、パターン8を介して空気調和機の電子回路等へ接続される。尚、温度ヒューズ挿入穴12は、漏斗状に上部が大きく広がり下部が小さい穴形状となっている。
【0012】
温度ヒューズリード11、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12及びプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の大きさは、それぞれ図面寸法、公差より下記式が成り立つ数値としている。
温度ヒューズリード径(公差上限)a、温度ヒューズリード径(図面寸法)b、温度ヒューズリード径公差(図面寸法からの±公差)c、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)d、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)e、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法からの±公差)f、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)g、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)h、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)i、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)j。
a=b+c、d=e−f、g=e+f、h=i−j
【0013】
次に、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12と、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の穴寸法の関係及び組立て方法について説明する。
(1)上記のような構成において、まず、プリント配線板4の挿入穴5に基板実装端子台1の金属製端子3を挿入することで、基板実装端子台1をプリント配線板4に実装する。本例では使用していないが、他に基板実装端子台1にプリント配線板4との位置決め用の凸ボスを設け、プリント配線板4に設ける凸ボス用の穴に挿入することで、位置決め精度を高めることもできる。
【0014】
(2)次に、温度ヒューズリード11を基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12に挿入する。このとき、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)dを温度ヒューズリード11径(公差上限)aより大きくすることで、無理なく挿入することができる。また、温度ヒューズ挿入穴12は、漏斗状に上部が大きく広がり下部が小さい穴形状となっているため、より挿入作業が容易となる。ここで、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径に関するd、e、f、gは、漏斗状の形状の中でもっとも穴径が小さくなる部分の穴径を示している。
【0015】
(3)さらに温度ヒューズリード11を奥へ挿入すると、プリント配線板の挿入穴12にも挿入される。このとき、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)gと、プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)hにおいて、下式に示すようにhの穴径をgと同じか大きくする。
h≧g、i−j≧e+f、i≧e+f+i
これにより、各々の穴径が製造ばらつきや温度変化などにより変動しても、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の周辺に温度ヒューズリード11が引っかかることなく、容易に挿入することができる。
【0016】
(4)その後、フローはんだ付けや手はんだ付け等適切な手法により、温度ヒューズリード11は、プリント配線板のランド14とはんだ15で接合されることとなる。
【0017】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴12、13の関係を、基板実装端子台1の挿入穴12よりもプリント配線板4の挿入穴13の方が寸法公差を含めて同じか大きく作ることにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴周辺に引っかかることによる挿入作業性悪化を防止することができる。但し、プリント配線板4の挿入穴13が大きくなると、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるため、むやみに大きくすることは好ましくない。このはんだ付け性を考慮すると、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の穴径の公差下限は、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の公差上限と同じにする(h=g)ことが良いと判断される。
【0018】
尚、この発明は次のような変形例も含む。
(a)本実施の形態ではプラス公差とマイナス公差を同値として説明したが、異なっていても構わない。
(b)また、温度ヒューズ挿入穴12、13を丸穴としているが、その他の形状でも構わない。
(c)また、温度ヒューズ9の上記の形状は一例であり、ラジアル等の他の形状の温度ヒューズへ変更しても構わない。
(d)また、基板実装端子台1の電線固定方法は、ばねを使用した速結式として説明したが、ねじを使用したねじ式でも構わない。
(e)また、基板実装端子台1をプリント配線版4に取り付けてから温度ヒューズリード11を挿入する例について説明したが、温度ヒューズリード11を基板実装端子台1へ事前に挿入し、温度ヒューズ9を実装した状態で基板実装端子台1をプリント配線板4へ実装しても構わない。
上記の(a)〜(e)は、後述の実施の形態においても同様に適用される。
【0019】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図5に基づいて説明する。
図5は、この発明の実施の形態2に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の図1のA−A断面(但し、はんだ付け前の状態)の要部拡大図である。上記の図1〜図3は、本実施の形態2においても同様に適用される。また、図5において、図4と同一箇所についての説明は省略する。
【0020】
図5において、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13とはその中心位置がずれて配置されている。kは、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の中心とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の中心の位置のずれの寸法の公差上限の大きさである。この場合、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の公差上限の大きさgに、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13間の位置の差の公差上限の大きさkを加えた大きさ(g+k=g’)と、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の公差下限の大きさhの関係は次式により表される。その結果、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径iは、位置ずれkの分、上記の実施の形態1よりも大きく設定される。
h≧g+k=g’、i−j≧e+f+k、i≧e+f+k+j
【0021】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴12、13の関係を、基板実装端子台1の挿入穴12よりも、プリント配線板4の挿入穴13の方が寸法公差と穴位置ずれを含めて同じか大きく作られていることにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。但し、プリント配線板4の挿入穴13は大きくなると、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるため、むやみに大きくすることは好ましくない。このはんだ付け性を考慮すると、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径の公差下限の図面寸法は、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴の公差上限に各々の挿入穴の位置ずれを加えた大きさと同じにする(h=g’)ことが良いと判断される。
【0022】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3を図6及び図7に基づいて説明する。
図6は、この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)に相当し、図7は、図6の要部拡大図である。尚、各図は、本実施の形態3の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態においても適用される。また、図3及び図4と同じ部分についての説明は省略する。
【0023】
図6及び図7において、温度ヒューズリード11は、八の字のように下側が広がった形状となっている。これは、一般にスプリングバックと呼ばれる現象で、リードの材料や曲げ加工方法によるが、曲げた状態からある程度曲げが元に戻ってしまうために発生する。あるいは温度ヒューズリード11を意図的に直角曲げよりも大きい角度で加工し、下側を広げた形状としても構わない。この場合には、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12間の間隔に対して、温度ヒューズリード11の先端の間隔は両外側よりに広がるが、その温度ヒューズリード11の先端の間隔は基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12に挿入することで、漏斗状の穴形状により誘導されて規制される。これにより温度ヒューズリード11の先端同士の間隔のばらつきは温度ヒューズ挿入穴12の穴同士の間隔と同様になり、小さくなる。
【0024】
したがって、その温度ヒューズリード11が広がった方向のみプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を拡大すればよいことになる。このときの拡大する方向の大きさは、上記の実施の形態1及び実施の形態2と同様の大きさとする。但し、温度ヒューズリード11が斜めに挿入されるために、温度ヒューズ挿入穴12よりも温度ヒューズリード11は図7のpの分外側に位置することとなる。ここで、pは、温度ヒューズリード11の外側の端面が、プリント配線板4のはんだ付け面と交差する位置mと、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12のプリント配線板側の面と交差する位置nの、プリント配線板に平行な方向の差の寸法である。
【0025】
したがって、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13はこのpの分、上記の実施の形態1及び2よりも大きくすることでより挿入性を改善することができる。また、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13同士の内側には温度ヒューズリード11が挿入されないため、内側方向をさらに小さくすることも可能である。
【0026】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の挿入穴12、13の関係において、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12よりも、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を温度ヒューズリード11の曲げ方向に応じて特定方向のみ大きくしたことにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴13周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。また、一般に挿入部品の曲げ加工では、曲げ加工のばらつきが発生し、さらにその後の取扱いや梱包などによりさらにリード先端の間隔が様々な方向にばらつくこととなる。これを許容するためには、どの方向にばらついていても構わない穴径とする必要があるが、穴径拡大によるはんだ付け不良の発生など品質の低下が懸念される。本実施の形態では、リード線端の広がり方向を特定方向のみに限定することにより、プリント配線板4の穴拡大も特定方向に限定できるため、はんだ付け品質の悪化を抑制することができる。さらに、温度ヒューズリード11が挿入されない側の穴を小さくした場合には、よりはんだ付け性が向上する。
【0027】
尚、本実施の形態では、温度ヒューズリード11が両外側に広がる形状としているが、反対に内側に狭まる形状や左右どちらか一方に曲がる形状でも構わない。また、温度ヒューズリード11の曲げは直角としても、基板実装端子台1の挿入穴12同士の間隔を温度ヒューズリード11の先端と異なる寸法とすることでも、同様の効果を得ることができる。
【0028】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4を図8及び図9に基づいて説明する。
図8は、この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)に相当し、図9は、図8の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態4の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態4においても適用される。また、図6及び図7と同じ部分についての説明は省略する。
【0029】
図8及び図9において、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13は、温度ヒューズリード11の角度に応じて斜めに設けられている。これにより穴径を大きくせずに、斜めの温度ヒューズリード11を容易に挿入することができる。そして、穴径が大きくなることによる、はんだ付け性の悪化を防止することができる。
【0030】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入するプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を、温度ヒューズリード11の曲げ方向に応じて斜めに設けたことにより、通常のプリント配線板4の面に垂直に穴を設けた場合と比較して、より小さい穴でも温度ヒューズリード11が温度ヒューズ挿入穴13周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。これにより、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13は大きくなるほど、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるが、穴径を小さくできるため、はんだ付け品質の悪化を抑制することができる。
【0031】
尚、本実施の形態では、温度ヒューズリード11が両外側に広がる形状としているが、反対に内側に狭まる形状や左右どちらか一方に曲がる形状でも構わない。また、温度ヒューズリード11の曲げは直角としても、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12同士の間隔を温度ヒューズリード11の先端と異なる寸法とすることでも、同様の効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5を図10及び図11に基づいて説明する。
図10は、この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図に相当し、図11は、図10の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態5の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態5においても適用される。図3及び図4と同じ部分についての説明は省略する。
【0033】
図10及び図11において、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴16の内壁は両面のランド17と同様に銅で形成されており、この挿入穴16は一般にスルーホールと呼ばれる。これにより、はんだ付けすると、温度ヒューズリード11は、スルーホール16の内壁や両面のランド17と広範囲においてはんだ15で接合されることとなり、はんだ付け部の信頼性を向上することができる。また、挿入穴16の穴径を大きくしても、はんだ接合の信頼性が向上することとなる。尚、温度ヒューズ挿入穴16についての寸法及び形状については、上記の実施の形態1〜実施の形態4に記載のものが適宜適用される。
【0034】
以上のように、プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴をスルーホールとしたことにより、挿入穴を大きくしても、はんだ接合の信頼性の低下を防止することができる。
【0035】
尚、この発明は、上記の実施の形態1〜実施の形態5が適宜組み合わせた態様についても含むものである。
【符号の説明】
【0036】
1 基板実装端子台、2 内外接続電線挿入穴、3 金属製端子、4 プリント配線板、5 端子用挿入穴、6 端子用ランド、7 はんだ、8 パターン、9 温度ヒューズ、10 温度ヒューズ収納凹部、11 温度ヒューズリード、12 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴、13 プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴、14 温度ヒューズ用ランド、15 はんだ、16 スルーホール、17 温度ヒューズ用ランド(両面)。
a 温度ヒューズリード径(公差上限)、b 温度ヒューズリード径(図面寸法)、c 温度ヒューズリード径公差(図面寸法からの±公差)、d 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)、e 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)、f 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)、g 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)、g’基板実装端子台の挿入穴の公差上限の大きさに端子台の挿入穴とプリント配線板の挿入穴間の位置の差の公差上限を加えた大きさ、h プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)、i プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)、j プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)、k 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴位置とプリント配線板の温度ヒューズ挿入穴位置のずれの寸法(公差上限)、m 温度ヒューズのリードがプリント配線板のはんだ面と交差する位置、n 温度ヒューズのリードが基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴のプリント配線板側面と交差する位置、p mとnの2点間のプリント配線板と平行な方向の距離の寸法。
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度ヒューズを組み付ける基板実装端子台をプリント配線板にはんだ付けする組立体に関し、特に、温度ヒューズの挿入作業の容易化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リードのある挿入部品をはんだ付けする際の部品保持具とプリント配線板の挿入穴径との関係については、部品保持具よりもプリント配線板の挿入穴を大きくしている例などがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平9−503721号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来例(特許文献1)においては、挿入部品のリードの挿入性はプリント配線板側の穴径を部品保持具の挿入穴径よりも大きくすることにより確保されているが、その穴径の大きさの算出方法についての記述はなされていない。そのため、プリント配線板の穴径が各々の公差や穴位置のずれなどを考慮されずに小さい場合には、挿入性が十分に改善されなかったり、逆に穴径が大きくなりすぎた場合には、はんだ付け時に穴あきが発生し、修正作業が必要になったり、はんだ接合信頼性が低下するという問題点があった。
また、挿入部品として例えば温度ヒューズを使用する場合には、熱で動作する部品であるために、はんだ付け時の熱により溶断や特性劣化をさせないように考慮する必要があり、はんだ付け不良が発生した際に、容易にはんだ修正作業をすることができないという問題点もあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、はんだ付け性・はんだ付け品質を維持しつつ、温度ヒューズの挿入作業性を向上させた基板実装端子台とプリント配線板の組立体を得ることを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体は、温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴を前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設け、前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさgと、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g
としたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体は、上記の構成を採用したことにより、プリント配線板の穴径を適正な大きさとすることができ、はんだ付け性・はんだ付け品質を維持しつつ、温度ヒューズの挿入作業が容易にできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の図である。
【図2】図1の基板実装端子台をプリント配線板に接する面から見た平面図である。
【図3】図1のA−A線の断面拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図(図1のA−A線断面拡大図)である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体を示した図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図である。図2は、基板実装端子台をプリント配線板に接する面から見た平面図である。図3は、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)、図4は、図3の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態1の説明上必要な箇所に限定されている略図である。
【0010】
図1〜図4において、基板実装端子台1は、例えば空気調和機の室内機、室外機間を電気的に接続し、相互の電力供給や通信などをする内外接続電線(図示せず)を接続するためのものであり、その内外接続電線は、電線挿入穴2から挿入され、基板実装端子台1内部の金属製端子3やばね等により電気的、機械的に接続されている。その金属製端子3は、さらにプリント配線板4の挿入穴5に挿入され、その周囲に設けられたランド6とはんだ7によりはんだ付けされ、電気的、機械的に接続されている。このランド6は、パターン8を介して空気調和機の電子回路や電源等(図示せず)と接続される。また、金属製端子3は、必要に応じてタブ端子も兼ねており、タブ端子と接続する端子により空気調和機の電子回路や電源等(図示せず)と接続される。
【0011】
ここで、内外接続電線の基板実装端子台1への挿入不足などにより金属製端子3やばね等との接触抵抗が大きくなると、その接触抵抗による発熱も大きくなり、発煙・発火に至る可能性があり、それを防ぐために温度ヒューズ9が基板実装端子台1に設けられた凹部10に取り付けられている。
また、温度ヒューズリード11は、直角に曲げられており、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13とに挿入され、そこから出て、その周囲に設けられたランド14とはんだ15によりはんだ付けされ、パターン8を介して空気調和機の電子回路等へ接続される。尚、温度ヒューズ挿入穴12は、漏斗状に上部が大きく広がり下部が小さい穴形状となっている。
【0012】
温度ヒューズリード11、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12及びプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の大きさは、それぞれ図面寸法、公差より下記式が成り立つ数値としている。
温度ヒューズリード径(公差上限)a、温度ヒューズリード径(図面寸法)b、温度ヒューズリード径公差(図面寸法からの±公差)c、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)d、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)e、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法からの±公差)f、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)g、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)h、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)i、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)j。
a=b+c、d=e−f、g=e+f、h=i−j
【0013】
次に、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12と、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の穴寸法の関係及び組立て方法について説明する。
(1)上記のような構成において、まず、プリント配線板4の挿入穴5に基板実装端子台1の金属製端子3を挿入することで、基板実装端子台1をプリント配線板4に実装する。本例では使用していないが、他に基板実装端子台1にプリント配線板4との位置決め用の凸ボスを設け、プリント配線板4に設ける凸ボス用の穴に挿入することで、位置決め精度を高めることもできる。
【0014】
(2)次に、温度ヒューズリード11を基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12に挿入する。このとき、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)dを温度ヒューズリード11径(公差上限)aより大きくすることで、無理なく挿入することができる。また、温度ヒューズ挿入穴12は、漏斗状に上部が大きく広がり下部が小さい穴形状となっているため、より挿入作業が容易となる。ここで、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径に関するd、e、f、gは、漏斗状の形状の中でもっとも穴径が小さくなる部分の穴径を示している。
【0015】
(3)さらに温度ヒューズリード11を奥へ挿入すると、プリント配線板の挿入穴12にも挿入される。このとき、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)gと、プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)hにおいて、下式に示すようにhの穴径をgと同じか大きくする。
h≧g、i−j≧e+f、i≧e+f+i
これにより、各々の穴径が製造ばらつきや温度変化などにより変動しても、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の周辺に温度ヒューズリード11が引っかかることなく、容易に挿入することができる。
【0016】
(4)その後、フローはんだ付けや手はんだ付け等適切な手法により、温度ヒューズリード11は、プリント配線板のランド14とはんだ15で接合されることとなる。
【0017】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴12、13の関係を、基板実装端子台1の挿入穴12よりもプリント配線板4の挿入穴13の方が寸法公差を含めて同じか大きく作ることにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴周辺に引っかかることによる挿入作業性悪化を防止することができる。但し、プリント配線板4の挿入穴13が大きくなると、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるため、むやみに大きくすることは好ましくない。このはんだ付け性を考慮すると、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の穴径の公差下限は、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の公差上限と同じにする(h=g)ことが良いと判断される。
【0018】
尚、この発明は次のような変形例も含む。
(a)本実施の形態ではプラス公差とマイナス公差を同値として説明したが、異なっていても構わない。
(b)また、温度ヒューズ挿入穴12、13を丸穴としているが、その他の形状でも構わない。
(c)また、温度ヒューズ9の上記の形状は一例であり、ラジアル等の他の形状の温度ヒューズへ変更しても構わない。
(d)また、基板実装端子台1の電線固定方法は、ばねを使用した速結式として説明したが、ねじを使用したねじ式でも構わない。
(e)また、基板実装端子台1をプリント配線版4に取り付けてから温度ヒューズリード11を挿入する例について説明したが、温度ヒューズリード11を基板実装端子台1へ事前に挿入し、温度ヒューズ9を実装した状態で基板実装端子台1をプリント配線板4へ実装しても構わない。
上記の(a)〜(e)は、後述の実施の形態においても同様に適用される。
【0019】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図5に基づいて説明する。
図5は、この発明の実施の形態2に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の図1のA−A断面(但し、はんだ付け前の状態)の要部拡大図である。上記の図1〜図3は、本実施の形態2においても同様に適用される。また、図5において、図4と同一箇所についての説明は省略する。
【0020】
図5において、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13とはその中心位置がずれて配置されている。kは、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の中心とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の中心の位置のずれの寸法の公差上限の大きさである。この場合、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12の公差上限の大きさgに、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13間の位置の差の公差上限の大きさkを加えた大きさ(g+k=g’)と、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13の公差下限の大きさhの関係は次式により表される。その結果、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径iは、位置ずれkの分、上記の実施の形態1よりも大きく設定される。
h≧g+k=g’、i−j≧e+f+k、i≧e+f+k+j
【0021】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴12、13の関係を、基板実装端子台1の挿入穴12よりも、プリント配線板4の挿入穴13の方が寸法公差と穴位置ずれを含めて同じか大きく作られていることにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。但し、プリント配線板4の挿入穴13は大きくなると、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるため、むやみに大きくすることは好ましくない。このはんだ付け性を考慮すると、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴径の公差下限の図面寸法は、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴の公差上限に各々の挿入穴の位置ずれを加えた大きさと同じにする(h=g’)ことが良いと判断される。
【0022】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3を図6及び図7に基づいて説明する。
図6は、この発明の実施の形態3に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)に相当し、図7は、図6の要部拡大図である。尚、各図は、本実施の形態3の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態においても適用される。また、図3及び図4と同じ部分についての説明は省略する。
【0023】
図6及び図7において、温度ヒューズリード11は、八の字のように下側が広がった形状となっている。これは、一般にスプリングバックと呼ばれる現象で、リードの材料や曲げ加工方法によるが、曲げた状態からある程度曲げが元に戻ってしまうために発生する。あるいは温度ヒューズリード11を意図的に直角曲げよりも大きい角度で加工し、下側を広げた形状としても構わない。この場合には、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12間の間隔に対して、温度ヒューズリード11の先端の間隔は両外側よりに広がるが、その温度ヒューズリード11の先端の間隔は基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12に挿入することで、漏斗状の穴形状により誘導されて規制される。これにより温度ヒューズリード11の先端同士の間隔のばらつきは温度ヒューズ挿入穴12の穴同士の間隔と同様になり、小さくなる。
【0024】
したがって、その温度ヒューズリード11が広がった方向のみプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を拡大すればよいことになる。このときの拡大する方向の大きさは、上記の実施の形態1及び実施の形態2と同様の大きさとする。但し、温度ヒューズリード11が斜めに挿入されるために、温度ヒューズ挿入穴12よりも温度ヒューズリード11は図7のpの分外側に位置することとなる。ここで、pは、温度ヒューズリード11の外側の端面が、プリント配線板4のはんだ付け面と交差する位置mと、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12のプリント配線板側の面と交差する位置nの、プリント配線板に平行な方向の差の寸法である。
【0025】
したがって、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13はこのpの分、上記の実施の形態1及び2よりも大きくすることでより挿入性を改善することができる。また、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13同士の内側には温度ヒューズリード11が挿入されないため、内側方向をさらに小さくすることも可能である。
【0026】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入する基板実装端子台1とプリント配線板4の挿入穴12、13の関係において、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12よりも、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を温度ヒューズリード11の曲げ方向に応じて特定方向のみ大きくしたことにより、温度ヒューズリード11がプリント配線板4の挿入穴13周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。また、一般に挿入部品の曲げ加工では、曲げ加工のばらつきが発生し、さらにその後の取扱いや梱包などによりさらにリード先端の間隔が様々な方向にばらつくこととなる。これを許容するためには、どの方向にばらついていても構わない穴径とする必要があるが、穴径拡大によるはんだ付け不良の発生など品質の低下が懸念される。本実施の形態では、リード線端の広がり方向を特定方向のみに限定することにより、プリント配線板4の穴拡大も特定方向に限定できるため、はんだ付け品質の悪化を抑制することができる。さらに、温度ヒューズリード11が挿入されない側の穴を小さくした場合には、よりはんだ付け性が向上する。
【0027】
尚、本実施の形態では、温度ヒューズリード11が両外側に広がる形状としているが、反対に内側に狭まる形状や左右どちらか一方に曲がる形状でも構わない。また、温度ヒューズリード11の曲げは直角としても、基板実装端子台1の挿入穴12同士の間隔を温度ヒューズリード11の先端と異なる寸法とすることでも、同様の効果を得ることができる。
【0028】
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4を図8及び図9に基づいて説明する。
図8は、この発明の実施の形態4に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図(但し、はんだ付け前の状態)に相当し、図9は、図8の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態4の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態4においても適用される。また、図6及び図7と同じ部分についての説明は省略する。
【0029】
図8及び図9において、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13は、温度ヒューズリード11の角度に応じて斜めに設けられている。これにより穴径を大きくせずに、斜めの温度ヒューズリード11を容易に挿入することができる。そして、穴径が大きくなることによる、はんだ付け性の悪化を防止することができる。
【0030】
以上のように、温度ヒューズリード11を挿入するプリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13を、温度ヒューズリード11の曲げ方向に応じて斜めに設けたことにより、通常のプリント配線板4の面に垂直に穴を設けた場合と比較して、より小さい穴でも温度ヒューズリード11が温度ヒューズ挿入穴13周辺に引っかかり挿入作業性が悪化することを防止することができる。これにより、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴13は大きくなるほど、はんだ付け時に穴あき等の品質不具合が発生しやすくなるが、穴径を小さくできるため、はんだ付け品質の悪化を抑制することができる。
【0031】
尚、本実施の形態では、温度ヒューズリード11が両外側に広がる形状としているが、反対に内側に狭まる形状や左右どちらか一方に曲がる形状でも構わない。また、温度ヒューズリード11の曲げは直角としても、基板実装端子台1の温度ヒューズ挿入穴12同士の間隔を温度ヒューズリード11の先端と異なる寸法とすることでも、同様の効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5を図10及び図11に基づいて説明する。
図10は、この発明の実施の形態5に係る基板実装端子台とプリント配線板の組立体の断面図であり、図1のA−A断面拡大図に相当し、図11は、図10の要部拡大図を示すものである。尚、各図は、本実施の形態5の説明上必要な箇所に限定されている略図である。図1及び図2は本実施の形態5においても適用される。図3及び図4と同じ部分についての説明は省略する。
【0033】
図10及び図11において、プリント配線板4の温度ヒューズ挿入穴16の内壁は両面のランド17と同様に銅で形成されており、この挿入穴16は一般にスルーホールと呼ばれる。これにより、はんだ付けすると、温度ヒューズリード11は、スルーホール16の内壁や両面のランド17と広範囲においてはんだ15で接合されることとなり、はんだ付け部の信頼性を向上することができる。また、挿入穴16の穴径を大きくしても、はんだ接合の信頼性が向上することとなる。尚、温度ヒューズ挿入穴16についての寸法及び形状については、上記の実施の形態1〜実施の形態4に記載のものが適宜適用される。
【0034】
以上のように、プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴をスルーホールとしたことにより、挿入穴を大きくしても、はんだ接合の信頼性の低下を防止することができる。
【0035】
尚、この発明は、上記の実施の形態1〜実施の形態5が適宜組み合わせた態様についても含むものである。
【符号の説明】
【0036】
1 基板実装端子台、2 内外接続電線挿入穴、3 金属製端子、4 プリント配線板、5 端子用挿入穴、6 端子用ランド、7 はんだ、8 パターン、9 温度ヒューズ、10 温度ヒューズ収納凹部、11 温度ヒューズリード、12 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴、13 プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴、14 温度ヒューズ用ランド、15 はんだ、16 スルーホール、17 温度ヒューズ用ランド(両面)。
a 温度ヒューズリード径(公差上限)、b 温度ヒューズリード径(図面寸法)、c 温度ヒューズリード径公差(図面寸法からの±公差)、d 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)、e 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)、f 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)、g 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴径(公差上限)、g’基板実装端子台の挿入穴の公差上限の大きさに端子台の挿入穴とプリント配線板の挿入穴間の位置の差の公差上限を加えた大きさ、h プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(公差下限)、i プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径(図面寸法)、j プリント配線板の温度ヒューズ挿入穴径公差(図面寸法からの±公差)、k 基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴位置とプリント配線板の温度ヒューズ挿入穴位置のずれの寸法(公差上限)、m 温度ヒューズのリードがプリント配線板のはんだ面と交差する位置、n 温度ヒューズのリードが基板実装端子台の温度ヒューズ挿入穴のプリント配線板側面と交差する位置、p mとnの2点間のプリント配線板と平行な方向の距離の寸法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさgと、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g
としたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項2】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさに端子台の挿入穴と前記プリント配線板の挿入穴間の位置の差の公差上限を加えた大きさg’と、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhの関係を、h≧g’
としたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項3】
前記プリント基板の挿入穴は、特定方向における寸法が、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項4】
前記プリント配線板の挿入穴は、前記プリント基板の挿入穴の前記特定方向における寸法が、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhに、前記温度ヒューズのリードが前記プリント配線板のはんだ付け面及び前記基板実装端子台のプリント配線板側面と交差した2点間の前記プリント配線板と平行な方向の距離pを加えた大きさに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項5】
前記プリント配線板の挿入穴が当該プリント配線板に対して斜めに設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項6】
前記プリント配線板の挿入穴をスルーホールとしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項7】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記プリント配線板の挿入穴が当該プリント配線板に対して斜めに設けられたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項8】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記プリント配線板の挿入穴をスルーホールとしたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項1】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさgと、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhとの関係を、h≧g
としたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項2】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記端子台の挿入穴の公差上限の大きさに端子台の挿入穴と前記プリント配線板の挿入穴間の位置の差の公差上限を加えた大きさg’と、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhの関係を、h≧g’
としたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項3】
前記プリント基板の挿入穴は、特定方向における寸法が、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項4】
前記プリント配線板の挿入穴は、前記プリント基板の挿入穴の前記特定方向における寸法が、前記プリント配線板の挿入穴の公差下限の大きさhに、前記温度ヒューズのリードが前記プリント配線板のはんだ付け面及び前記基板実装端子台のプリント配線板側面と交差した2点間の前記プリント配線板と平行な方向の距離pを加えた大きさに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項5】
前記プリント配線板の挿入穴が当該プリント配線板に対して斜めに設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項6】
前記プリント配線板の挿入穴をスルーホールとしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項7】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記プリント配線板の挿入穴が当該プリント配線板に対して斜めに設けられたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【請求項8】
温度ヒューズを組み付ける端子台と、前記端子台をプリント配線板にはんだ付けしたものにおいて、
前記温度ヒューズのリードを挿入する挿入穴が前記端子台及び前記プリント配線板にそれぞれ設けられ、
前記プリント配線板の挿入穴をスルーホールとしたことを特徴とする基板実装端子台とプリント配線板の組立体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−119373(P2011−119373A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274073(P2009−274073)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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