説明

基板搬送装置

【課題】ストレスがほとんどかかることなく基板を搬送することができる基板搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置本体2の上流側部に配設された上流側搬送部4と、その下流側部に配設された下流側搬送部6とを具備し、上流側搬送部4及び下流側搬送部6は、基板12を搬送するための搬送経路を規定する基板搬送装置。下流側搬送部6は、下流側搬送ベルト機構70及び基板ストック手段72を備え、下流側搬送ベルト機構70が基板ストック手段72の上方に配設され、これらが上下方向に移動自在に搬送装置本体2に支持されている。また、上流側搬送部4は、上流側搬送ベルト機構16及び基板挿入手段18を備え、基板挿入手段18は、非作用位置と作用位置との間を移動自在に前記搬送装置本体2に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板などの基板を搬送するための基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路基板を搬送する基板搬送装置として、基板を搬送する搬送ベルト機構と、この搬送ベルト機構の下流側に配設された収納ラックと、収納ラックを上下方向に移動させるための移動機構を備えたものが用いられている(例えば、特許文献1の従来の技術の欄参照)。搬送ベルト機構は所定方向に移動される一対の搬送ベルトを有し、かかる一対の搬送ベルト上に基板の両側部が支持されて搬送される。収納ラックは、上下方向に配設された複数の収納空間が設けられ、かかる収納ラックに関連して、基板を収納ラックに収納するための基板挿入手段と、収納ラックに収納された基板を下流側に押し出すための基板押出手段とが設けられている。
【0003】
このような基板搬送装置においては、回路基板は搬送ベルト機構によって収納ラックに向けて下流側に搬送され、搬送ベルト機構の所定位置に停止保持される。そして、収納ラックの所定収納空間が搬送ベルト機構の搬送面に対応する位置に保持され、また基板挿入手段が搬送ベルト上の基板に作用して下流に押し、この基板挿入手段の作用によって基板が収納ラック所定収納空間に挿入され、搬送ベルト機構によって搬送されてきた基板は、このようにして収納ラックの所定収納空間に一時的に挿入保持される。
【0004】
収納した基板を更に下流側に搬送するときには、収納ラックの所定収納空間が基板押出手段に対応する位置に位置付けられ、また基板押出手段が所定収納空間に収納された基板に作用して下流側に押し出し、このようにして収納ラックに収納された基板が下流側に移動して搬送される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−48619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した基板搬送装置には、次の通りの解決すべき問題がある。基板は搬送ベルト機構などによって搬送するときには大きな力は作用せず、ストレスがかかることはほとんどないが、基板挿入手段によって基板を収納ラックに挿入するときには、基板挿入手段が基板に作用してこれを押圧挿入するので、基板に押圧力が作用してストレスがかかるようになる。また、基板押出手段によって収納ラックから押し出すときにも同様に、基板押出手段が基板に作用して収納ラックから押し出すので、この基板に押圧力が作用してストレスがかかるようになる。このように基板にストレスがかかると、電子部品などのハンダ接合部にストレスがかかり、このストレスが大きくなるとハンダ接合部に悪影響がでる(例えば、接合不良の原因となる)おそれがある。
【0007】
また、このような基板搬送装置では、搬送ベルト機構により搬送される基板を一時的に収納ラックに収容するために、基板を下流側に搬送するためのタクトが長くなる問題がある。即ち、搬送ベルト機構により搬送され基板を基板挿入手段(一般的に、空圧シリンダ機構により作動される)により収納ラックに収納し、その後収納ラックに収納された基板を基板押出手段(一般的に、空圧シリンダ機構により作動される)により下流側に押し出すので、上流側から移送されてきた基板を基板搬送装置から更に下流側に移送するのに時間を要し、その結果、基板の搬送タクトが長くなる。
【0008】
本発明の目的は、ストレスがほとんどかかることなく基板を搬送することができる基板搬送装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、基板の搬送タクトを短くすることができる基板搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の基板搬送装置は、搬送装置本体の上流側部に配設された上流側搬送部と、前記搬送装置本体の下流側部に配設された下流側搬送部とを具備し、前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部は、基板を搬送するための搬送経路を規定し、
前記下流側搬送部は、前記搬送経路の下流側部を規定する下流側搬送ベルト機構と、前記基板をストックするための基板ストック手段とを備え、前記下流側搬送ベルト機構は前記基板ストック手段の上方に配設され、前記下流側搬送ベルト機構及び前記基板ストック手段が上下方向に移動自在に前記搬送装置本体に支持されており、
前記上流側搬送部は、前記搬送経路の上流側部を規定する上流側搬送ベルト機構と、前記上流側搬送ベルト機構により搬送された前記基板を前記基板ストック手段に収納するための基板挿入手段とを備え、前記基板挿入手段は、前記搬送経路から後退する非作用位置と、前記搬送経路に突出する作用位置との間を移動自在に前記搬送装置本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の基板搬送装置では、前記上流側搬送部は、更に、前記基板ストック手段に挿入収納された前記基板を下流側に押し出すための基板押出手段を備え、前記基板押出手段が前記基板挿入手段と一体的に移動するように前記搬送装置本体に移動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の基板搬送装置によれば、搬送装置本体の下流側搬送部は下流側搬送ベルト機構及び基板ストック手段とを備え、その上流側搬送部は上流側搬送ベルト機構及び基板挿入手段を備え、下流側搬送ベルト機構及び基板ストック手段が一体的に上下方向に移動自在に支持され、また基板挿入手段が非作用位置と作用位置との間を移動自在に装着されている。基板を下流側に搬送するときには、下流側搬送ベルト機構が上流側搬送ベルト機構に対応する位置に位置付けられ、基板は上流側搬送ベルト機構及び下流側ベルト搬送機構により搬送され、この搬送時に基板に大きな力が作用せず、ストレスがかかることがほとんどなく搬送することができ、またこれら搬送ベルト機構によって短時間で搬送することができ、搬送タクトを短くすることができる。また、基板を一時的にストックするときには、基板ストック手段が上流側搬送ベルト機構に対応する位置に位置付けられるとともに、基板挿入手段が作用位置に位置付けられ、基板は基板挿入手段によって基板ストック手段に一時的に挿入保持される。このように基板ストック手段に挿入される基板は、例えば不良の基板である。
【0012】
また、下流側搬送部においては、下流側搬送ベルト機構が基板ストック手段の上方に配設されているので、基板ストック手段及びこれに収納された基板からの塵、埃などが下流側搬送ベルト機構を通して搬送される基板上に落下することがなく、基板をきれいな状態に保ちながら下流側に搬送することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の基板搬送装置によれば、上流側搬送部は基板押出手段を備えているので、基板ストック手段に収納された基板をこの基板押出手段によって下流側に押し出して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う基板搬送装置の一実施形態について説明する。図1は、一実施形態の基板搬送装置を簡略的に示す断面図であり、図2は、図1の基板搬送装置の一部を簡略的に示す平面図であり、図3は、図1の基板搬送装置において基板挿入手段を作用位置に、昇降ユニットを最上昇位置に保持した状態を簡略的に示す断面図であり、図4は、基板を基板ストック手段に挿入するために昇降ユニットを上昇させた状態を簡略的に示す図であり、図5は、基板挿入手段によって基板を基板ストック手段に挿入する状態を示す図であり、図6は、挿入保持した基板を押し出すために基板押出手段を作用位置に、また昇降ユニットを上昇させた状態を示す図であり、図7は、基板押出手段によって基板を基板ストック手段から押し出す状態を示す図である。
【0015】
図1〜図3において、図示の基板搬送装置は、工場の床面などに設置される搬送装置本体2を備え、この搬送装置本体2は、その上流側部に配設される上流側搬送部4と、その下流側に配設される下流側搬送部6から構成されている。上流側搬送部4の上流側には第1装置8が配設され、下流側搬送部6の下流側には第2装置10が配設され、第1装置8から搬送された回路基板の如き基板12は、この基板搬送装置(上流側搬送部4及び下流側搬送部6)を通して第2装置10に搬送される。
【0016】
上流側搬送部4は、上流側装置本体14を備え、この上流側装置本体14に上流側搬送ベルト機構16、基板挿入手段18及び基板押出手段20が設けられている。上流側搬送ベルト機構16は上流側装置本体14の上端部に配設され、矢印22で示す搬送方向に対して垂直な方向(上流側装置本体14の横方向であって、図1及び図3において紙面に垂直な方向、図2において上下方向)に間隔をおいて配設された一対の搬送ベルト手段24,26を備えている。一対の搬送ベルト手段24,26は実質上同一の構成であり、搬送方向に間隔をおいて配設されたプーリ28,30と、これらプーリ28,30に巻き掛けられた無端状ベルト32を備え、無端状ベルト32の上走行部が、基板12を搬送するための上流側搬送経路を規定する。
【0017】
一対の搬送ベルト手段24,26における無端状ベルト32の上走行部の両外側(上流側装置本体14の横方向両外側)には、略L字状の案内部材34,36が配設され、これら案内部材34,36の上方に延びる案内部38,40が、搬送ベルト手段24,26によって搬送される基板12を案内し、基板12は、一対の案内部材34,36に案内されて矢印22で示す方向に搬送される。
【0018】
基板挿入手段18及び基板押出手段20は、一対の搬送ベルト手段24,26の間に配置される。上流側装置本体14には中間支持板42が設けられ、この中間支持板42に、空圧シリンダ機構の如き第1昇降シリンダ機構44が取り付けられ、第1昇降シリンダ機構44の出力ロッド46に取付支持体47が取り付けられている。基板押出手段20は、空圧シリンダ機構の如きシリンダ機構48から構成され、このシリンダ機構48が取付支持体47の中間部に取り付けられ、その出力ロッド50は下流側搬送部6に向けて延び、出力ロッド50の先端部に押圧部52が設けられている。また、基板挿入手段18は、ロッドレス型の空圧シリンダ機構の如きシリンダ機構54を備え、このシリンダ機構54が取付支持体47の上端部に取り付けられている。シリンダ機構54の出力部には支持部材56を介して押圧部材58が取り付けられ、この押圧部材58は下流側搬送部6に向かって延びている。
【0019】
このように構成されているので、第1昇降シリンダ機構44が収縮した状態においては、取付支持体47(これに取り付けられた基板挿入手段18及び基板押出手段20)は、図1に示す下降位置に位置付けられ、基板挿入手段18(換言すると、押圧部材58)は上記上流側搬送経路の下方に後退して非作用位置に位置し、上流側搬送ベルト機構16によって搬送される基板12に作用することがない。また、第1昇降シリンダ機構44が伸長した状態においては、取付支持体47は図3に示す上昇位置に位置付けられ、基板挿入手段18(換言すると、押圧部材58)は上記上流側搬送経路に突出する作用位置に位置付けられ、上流側搬送ベルト機構16によって搬送される基板12に作用する。また、基板挿入手段18のシリンダ機構54が図1〜図3に示す第1の状態にある(即ち、その先端側に例えば空圧が作用する状態)ときには、その押圧部材58は上流側装置本体14の上流部に位置し、そのシリンダ機構54が図5に示す第2の状態にある(即ち、その基部側に例えば空圧が作用する状態)ときには、その押圧部材58の先端部は、後述するように下流側搬送部6内に突出して基板12を挿入する(図5参照)。更に、基板押出手段20のシリンダ機構48が伸縮した状態においては、その出力部50(及びそれに取り付けられた押圧部52)は上流側装置本体14に位置し、そのシリンダ機構54が伸長した状態においては、その出力ロッド50の先端部(押圧部52)は、後述するように下流側搬送部6内に突出して基板12を下流側に押し出す。
【0020】
この上流側装置本体14の中間支持板42には第1駆動源としての電動モータ60が装着され、この電動モータ60の出力部がスプロケット、チェーン及び歯車など駆動伝達機構62を介して一対の搬送ベルト手段24,26のプーリ28に駆動連結されている。従って、この電動モータ60が所定方向に回転駆動されると、一対の搬送ベルト機構24,26の搬送ベルト32の上走行部は矢印22で示す方向移動され、これによって、基板12は下流側搬送部6に向けて搬送される。
【0021】
次に、下流側搬送部6について説明すると、図示の下流側搬送部6は、下流側装置本体68を備え、この下流側装置本体68に下流側搬送ベルト機構70及び基板ストック手段72が設けられ、下流側搬送ベルト機構70及び基板ストック手段72が昇降ユニット74として構成されている。下流側装置本体68の底部には、空圧シリンダ機構の如き一対の第2昇降シリンダ機構76が設けられ、第2昇降シリンダ機構76の出力ロッド77に昇降ユニット74が取り付けられている。尚、この実施形態では、上流側搬送部4の上流側装置本体14と下流側搬送部6の下流側装置本体74とが別体に構成されているが、これらを一体的に構成するようにしてもよい。
【0022】
昇降ユニット74は、一対の第2昇降シリンダ機構76の出力ロッド77に取り付けられたベース部材78を備え、このベース部材78に基板ストック手段72が取り付けられている。基板ストック手段78は上下方向に間隔を置いて配設された複数の仕切プレート80を備え、上下方向に隣接する仕切プレート80間に、基板12を収納するための収納空間82が規定される。下流側搬送ベルト機構70はこの基板ストック手段72の上方に配設され、一対の支持部材84を介して基板ストック手段72に取り付けられている。下流側搬送ベルト機構70は、上流側搬送ベルト機構16と同様に、矢印22で示す搬送方向に対して垂直な方向(下流側装置本体68の横方向であって、図1及び図3において紙面に垂直な方向、図2において上下方向)に間隔をおいて配設された一対の搬送ベルト手段86,88を備えている。一対の搬送ベルト手段86,88は実質上同一の構成であり、搬送方向に間隔をおいて配設されたプーリ90,92と、これらプーリ90,92に巻き掛けられた無端状ベルト94を備え、無端状ベルト94の上走行部が、基板12を搬送するための下流側搬送経路を規定する。この下流側搬送経路は、上流側搬送部4の上流側搬送経路とともに、第1装置8から第2装置10に基板を搬送するための搬送経路を規定する。
【0023】
この下流側搬送部6においても、上流側搬送部4と同様に、一対の搬送ベルト手段86,88の無端状ベルト94の上走行部の両外側には、略L字状の案内部材96,98が配設され、これら案内部材96,98が、搬送ベルト手段86,88によって搬送される基板12を案内する。
【0024】
下流側搬送ベルト機構70は、更に、第2駆動源としての電動モータ100を含み、この電動モータ100の出力部が駆動伝達機構102を介して一対の搬送ベルト手段86,88のプーリ90に駆動連結されている。従って、この電動モータ100が所定方向に回転駆動されると、一対の搬送ベルト機構86,88の搬送ベルト94の上走行部は矢印22で示す方向移動され、これによって、基板12は第2装置10に向けて搬送される。
【0025】
このように構成されているので、下流側搬送ベルト機構70及び基板ストック手段72はユニットとして一体的に昇降動され、第2昇降シリンダ機構76が収縮された状態においては、昇降ユニット72は図1に示す下降位置に位置付けられ、この下降位置においては、昇降ユニット74の下流側搬送ベルト機構70が上流側搬送ベルト機構16に対応する位置関係に保持され、上流側搬送ベルト機構16の一対の搬送ベルト手段24,26の下流側に下流側搬送ベルト機構70の一対の搬送ベルト手段86,88が位置し、これらが直線状に延びる搬送経路を規定する。また、第2昇降シリンダ機構76が最も伸長した状態においては、図3に示す最上昇位置に位置付けられ、この最上昇位置においては、昇降ユニット74の基板ストック手段72の最下位の収納空間82が、上流側搬送部4の基板挿入手段18の押圧部材58に対応する位置関係に保持され、第2昇降シリンダ機構76の伸長量に応じて、昇降ユニット74は、上記下降位置と上記最上昇位置との間の適宜の位置に保持される。
【0026】
次いで、上述した基板搬送装置による基板の搬送について説明する。第1装置8からこの基板搬送装置を通して第2装置に基板12を搬送するときには、第1昇降シリンダ機構46は収縮されて取付支持体47が下降位置に保持され(これによって、基板挿入手段18が非作用位置に保持される)、また第2昇降シリンダ機構76が収縮されて昇降ユニット74が下降位置に保持される。かかる状態においては、図1に示すように、上流側搬送部6の上流側搬送ベルト機構16と下流側搬送部6の下流側搬送ベルト機構70とが対応する位置関係に保持され、第1装置8から搬送された基板12は、上流側搬送ベルト機構16の一対の搬送ベルト手段24,26により矢印22で示す下流側に搬送され、更に下流側搬送ベルト機構70の一対の搬送ベルト手段86,88により搬送され、このようにして第2装置10に搬送される。このような搬送状態においては、基板12は上流側及び下流側搬送ベルト機構14,70により搬送されるので、この基板搬送装置を通して短時間で基板12を搬送することができる。
【0027】
また、第1装置8からの基板12を基板ストック手段72に収納する(例えば、不良の基板12を基板ストック手段72に収納する)ときには、図1、図4及び図5に示すように搬送される。このときには、まず、第1昇降シリンダ機構46は収縮されて取付支持体47が下降位置に、また第2昇降シリンダ機構76が収縮されて昇降ユニット74が下降位置に保持され、第1装置8からの基板12は、図1に一点鎖線で示すように、上流側搬送ベルト機構16の一対の搬送ベルト手段24,26により矢印22で示す方向に上流側搬送部6の下流部まで搬送される。この実施形態では、基板12の停止位置に対応して、基板検知センサ106が配設されており、この基板検知センサ106が基板12を検知することによって、電動モータ60の回転駆動が停止する。
【0028】
このように基板12の搬送が停止すると、図4に示すように、第1昇降シリンダ機構44が伸長して取付支持体47が上昇位置に位置付けられ、これによって、基板挿入手段18(即ち、押圧部材18)が作用位置に位置付けられ、押圧部材58が上流側搬送経路内に突出する。また、第2昇降シリンダ機構76が伸長して昇降ユニット74が上昇され、昇降ユニット74の基板ストック手段72の所定収納空間82(基板12を収納すべき特定収納空間82a)が上流側搬送部4の上流側搬送経路の下流側に位置する位置に保持される。
【0029】
そして、図5に示すように、基板挿入手段18が第1状態から第2状態になり(シリンダ機構54の基部側に例えば空圧が作用する)、押圧部材58が矢印22で示す方向に移動される。かくすると、押圧部材58が上流側搬送ベルト機構14の無端状ベルト32の上走行部に保持された基板12に作用し、この基板12を押しながら基板ストック手段72に向けて移動し、押圧部材58により移動される基板12は、その所定収納空間82aに収納されて保持され、このようにして基板12が基板ストック手段72に一時的に収納保持される。
【0030】
基板12がこのように収納された後は、基板挿入手段18が第2状態から第1状態になり、押圧部材58が上流側装置本体14に戻り、その後、第1昇降シリンダ機構44が収縮され、取付支持体47が下降位置に保持されて基板挿入手段18(即ち、押圧部材58)が非作用位置に保持される。また、第2昇降シリンダ機構76が収縮され、昇降ユニット74が下降位置に保持される。
【0031】
その後、基板ストック手段72に収納された基板12を下流側に押し出すときには、図6及び図7に示すようにして押し出される。このときには、図6に示すように、第1昇降シリンダ機構44が伸長して取付支持体47が上昇位置に位置付けられ、これによって、基板押出手段20(即ち、シリンダ機構48の押圧部54)が押出位置に位置付けられる。また、第2昇降シリンダ機構76が伸長して昇降ユニット74が所定量上昇され、昇降ユニット74の基板ストック手段72の所定収納空間82(押し出すべき基板12を収納す特定収納空間82b)が上流側搬送部4の基板押出手段20の下流側に位置する位置に保持される。
【0032】
そして、かかる状態において、図7に示すように、基板押出手段20のシリンダ機構48が伸長される。かくすると、シリンダ機構44の出力ロッド50が延び、出力ロッド650の押圧部52が所定収納空間82bに収納された基板12に作用し、この基板12を下流側に押し出し、このようにして基板ストック手段72に収納された基板12を押し出して下流側に取り出すことができる。
【0033】
基板12がこのように取り出された後は、基板押出手段20のシリンダ機構48が収縮されて元の状態に戻る。そして、収容された基板12を更に押し出すときには、第2昇降シリンダ機構76が所要の通り伸長(又は収縮)され、昇降ユニット74の基板ストック手段72の他の所定収納空間82(押し出すべき基板12を収納す特定収納空間)が上流側搬送部4の基板押出手段20の下流側に位置付けられ、かかる状態において基板押出手段20のシリンダ機構48が再び伸長して所定収納空間80に保持された基板12が押し出され、押し出すべき基板12が無くなるまで、上述した動作が繰り返し遂行される。
【0034】
上述したようにして基板12を下流側に押し出した後は、第1昇降シリンダ機構44が収縮され、取付支持体47が下降位置に保持され、また第2昇降シリンダ機構76が収縮され、昇降ユニット74が下降位置に保持される。
【0035】
以上、本発明に従う基板搬送装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の実施形態が可能である。
【0036】
例えば、上述した実施形態においては、基板ストック手段72に収納された基板12を基板押出手段20によって一つずつ押し出す構成になっているが、このような構成に代えて、収納された基板12を基板ストック手段72ごと昇降ユニット74から取り出すようにしてもよい。この場合、複数の基板ストック手段72が準備され、これら基板ストック手段72が着脱自在に昇降ユニット74に取り付けられ、基板ストック手段72の収納空間が基板12で満たされると、新たな基板ストック手段72と交換される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施形態の基板搬送装置を簡略的に示す断面図。
【図2】図1の基板搬送装置の一部を簡略的に示す平面図。
【図3】図1の基板搬送装置において基板挿入手段を作用位置に、昇降ユニットを最上昇位置に保持した状態を簡略的に示す断面図。
【図4】基板を基板ストック手段に挿入するために昇降ユニットを上昇させた状態を簡略的に示す図。
【図5】基板挿入手段によって基板を基板ストック手段に挿入する状態を示す図。
【図6】挿入保持した基板を押し出すために基板押出手段を作用位置に、また昇降ユニットを上昇させた状態を示す図。
【図7】基板押出手段によって基板を基板ストック手段から押し出す状態を示す図。
【符号の説明】
【0038】
2 搬送装置本体
4 上流側搬送部
6 下流側搬送部
12 基板
16 上流側搬送ベルト機構
18 基板挿入手段
20 基板押出手段
24,26 搬送ベルト手段
44 第1昇降シリンダ機構
70 下流側搬送ベルト機構
72 基板ストック手段
74 昇降ユニット
76 第2昇降シリンダ機構
82,82a,82b 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置本体の上流側部に配設された上流側搬送部と、前記搬送装置本体の下流側部に配設された下流側搬送部とを具備し、前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部は、基板を搬送するための搬送経路を規定し、
前記下流側搬送部は、前記搬送経路の下流側部を規定する下流側搬送ベルト機構と、前記基板をストックするための基板ストック手段とを備え、前記下流側搬送ベルト機構は前記基板ストック手段の上方に配設され、前記下流側搬送ベルト機構及び前記基板ストック手段が上下方向に移動自在に前記搬送装置本体に支持されており、
前記上流側搬送部は、前記搬送経路の上流側部を規定する上流側搬送ベルト機構と、前記上流側搬送ベルト機構により搬送された前記基板を前記基板ストック手段に収納するための基板挿入手段とを備え、前記基板挿入手段は、前記搬送経路から後退する非作用位置と、前記搬送経路に突出する作用位置との間を移動自在に前記搬送装置本体に取り付けられていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記上流側搬送部は、更に、前記基板ストック手段に挿入収納された前記基板を下流側に押し出すための基板押出手段を備え、前記基板押出手段が前記基板挿入手段と一体的に移動するように前記搬送装置本体に移動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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