説明

基板検査装置、及び基板検査方法

【課題】基板を斜めにセットする場合でも電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる基板検査装置及び基板検査方法を得る。
【解決手段】ストッパーピン36が円孔118の周囲に接触した状態で、レバーを操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動さて、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗して支持台12側に移動させる。そして、ガイドピン46の円錐部46Aを円孔118に挿入し、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持させる。円孔118の円縁が、接触部40によって夫々の円錐部46Aに押し付けられ、基板100を基板100の面沿い方向に移動させることで、基板100の位置ずれが補正されるため、電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置、及び基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリント基板検査冶具に設けられた第2可動板は、第1可動板に吊持部材を介して取り付けられることで第1可動板に対してフリー状態(水平方向に動ける状態)とされている。
【0003】
そして、第1可動板及び第1可動板に吊り下げられた第2可動板を下降させる際には、第2可動板に固定された位置決めガイドピンの円錐柱状部が、対向して配置されたベース部材に備えられた位置決めリニヤブッシュに挿入される。これにより、第2可動板がベース部材に対して位置決めされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−74815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、基板を斜めにセットする場合でも電気検査工程における検査精度の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る基板検査装置は、水平方向に対して傾斜して配置される検査対象の基板に対して鉛直方向の上方に位置させることが可能な対向台と、前記基板を挟んで前記対向台に対して対向して配置され、前記基板の板厚方向に沿って前記対向台に対して相対的に近接又は離間する近接離間方向に移動可能に支持される支持台と、前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向に移動させる移動部材と、前記支持台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられると共に、前記基板を前記基板の下面から支持する下面支持部と、前記基板における鉛直方向下側の端縁を支持する端縁支持部とを備える支持部材と、前記支持部材を前記対向台に向けて付勢する第一付勢部材と、前記対向台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられると共に、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると前記基板に形成された位置決め用の複数個の円孔の周囲に夫々接触する複数個の接触部材と、前記接触部材を前記支持台に向けて付勢する第二付勢部材と、前記支持台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられ、下端部が前記円孔の直径よりも大きい円錐状又は角錘状とされる錐部を備えると共に、前記接触部材が前記円孔の周囲に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させると、前記支持部材が前記第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動することで、前記円孔に前記錐部が挿入され、前記接触部材と前記錐部との間で前記基板を保持する保持部材と、前記保持部材を前記対向台に向けて付勢する第三付勢部材と、基端側が前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方に取り付けられ、先端側が伸縮すると共に、前記接触部材と前記錐部との間で前記基板を保持した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると、前記支持部材が前記第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動し、前記接触部材が前記第二付勢部材の付勢力に対抗して前記対向台側に移動し、前記保持部材が前記第三付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動することで、前記基板の一方の面及び他方の面のうち少なくとも一方に設けられた電気的検査を行うための接触点に接触して通電する通電部材と、前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記基板の電気的検査を行う検査部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る基板検査装置は、請求項1に記載において、前記支持部材の下面支持部には、前記基板の下面を支持する複数個の突起が設けられ、前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると、前記突起との間で前記基板を挟み込み前記基板の歪みを抑制する複数個の抑制棒が設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る基板検査方法は、請求項1に記載の基板検査装置を用いて基板を検査する基板検査方法であって、前記基板の端縁を支持部材の端縁支持部に支持させ、さらに下面支持部に基板を下面から支持させる工程と、移動部材を用いて支持台及び対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させ、前記基板に形成された位置決め用の複数個の円孔の周囲に夫々の接触部材を夫々接触させる工程と、前記接触部材が前記円孔の周囲に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させ、前記支持部材を第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動させることで、前記円孔に保持部材に設けられた錐部を挿入し、前記保持部材の前記錐部と前記接触部材との間で前記基板を保持させる工程と、前記保持部材の前記錐部と前記接触部材との間で前記基板が保持された状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させ、前記支持部材を第一付勢部材の付勢力に対抗して支持台側に移動させ、前記接触部材を第二付勢部材の付勢力に対抗して前記対向台側に移動させ、前記保持部材を第三付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動させることで、前記基板の一方の面及び他方の面のうち少なくとも一方に設けられた接触点に通電部材を接触させる工程と、前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、検査部によって前記基板の電気的検査を行う工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る基板検査方法は、請求項3に記載において、請求項2に記載の基板検査装置を用いて基板を検査する基板検査方法であって、前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させ、抑制棒と突起との間で前記基板を挟み込む前記基板の歪みを抑制する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の基板検査装置によれば、基板に設けられた位置決め用の円孔に円柱状の位置決めピンを挿入して電気的検査を行う場合と比して、基板を斜めにセットする場合でも電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項2の基板検査装置によれば、基板の歪みを抑制するように基板を一方の面と他方の面から挟み込まない場合と比して、効果的に電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項3の基板検査方法によれば、基板に設けられた位置決め用の円孔に円柱状の位置決めピンを挿入して電気的検査を行う場合と比して、基板を斜めにセットする場合でも電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項4の基板検査方法によれば、基板の歪みを抑制するように基板を一方の面と他方の面から挟み込まない場合と比して、効果的に電気検査工程における検査精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1−1】(A)(B)本実施形態に係る基板検査装置を示した断面図である。
【図1−2】(C)(D)本実施形態に係る基板検査装置を示した断面図である。
【図1−3】(E)(F)本実施形態に係る基板検査装置を示した断面図である。
【図1−4】(G)本実施形態に係る基板検査装置を示した断面図である。
【図2】(A)(B)本実施形態に係る基板検査装置を示した側面図である。
【図3】本実施形態に係る基板検査装置を示した分解斜視図である。
【図4】本実施形態に係る基板検査装置によって検査される基板を示した斜視図である。
【図5】本実施形態に係る基板検査装置によって検査される基板を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る基板検査装置、及び基板検査方法の一例について図1〜図5に従って説明する。なお、図中に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
【0016】
(全体構成)
図2(A)に示されるように、基板検査装置10は、検査対象のプリント配線基板100(以下単に基板100と言う)が支持される支持台12と、基板100を挟んで支持台12に対して対向して配置される対向台14とを備えている。
【0017】
この支持台12においては、鉛直方向上方の上面12Aが水平方向に対して傾斜している。これにより、この上面12Aが向いている方向から(図に示す左側から)作業者が、支持台12と対抗台14との間から基板100を出し入れすることで、基板を水平にセットする場合と比して作業性が向上するようになっている。また、基板検査装置10を傾斜できるので、省スペース化を図ることができる。また、支持台12は、上面12Aに沿って支持した基板100の板厚方向に沿って対向台14に対して近接又は離間する近接離間方向(板厚方向と同一方向:図に示す矢印A方向)に移動可能に支持されている。
【0018】
具体的には、支持台12の端部と対向台14の端部との間には、近接離間方向に延びる案内レール16が設けられ、この案内レール16に案内されながら支持台12が対向台14に対して近接離間方向に移動するようになっている。
【0019】
さらに、基板検査装置10には、支持台12を近接離間方向に移動させる移動部材の一例としてのレバー18が設けられている。レバー18は、側面視(図2の矢視)で、L字状とされて屈曲部に紙面奥行方向に延びる回転軸18Aが設けられている。さらに、レバー18には、回転軸18Aから支持台12の下面に向って延びて端部が支持台12の下面と当る支持部18Bと、回転軸18Aから鉛直方向斜め上方に延びて先端部に把持部20を備える操作部18Cとが備えられている。
【0020】
この構成により、作業者が把持部20を把持して、操作部18Cを、回転軸18Aを中心に反時計回りに回転移動させることで、支持部18Bが回転軸18Aを中心に反時計回りに回転移動する。これにより、支持部18Bの端部が支持台12を押し上げ、支持台12が近接離間方向における近接側(対向台14に近接する側、以下単に近接側という)に移動するようになっている(図2(B)参照)。
【0021】
また、支持台12に支持される基板100の電気的検査を行う検査部28が、基板検査装置10に備えられている。
【0022】
<プリント配線基板>
次に、基板100について説明する。
【0023】
図4、図5に示されるように、基板100は矩形状とされ、基板100の一方の実装面100Aには、表面実装タイプの電子部品102と、スルーホールに挿入するリード104を備えるスルーホール実装タイプの電子部品106とが実装されている。
【0024】
電子部品102は一方の実装面100A側に半田付けされていて、接触点の一例としての半田フィレット108が一方の実装面100A側に形成されている。また、電子部品106は、そのリード104を基板100のスルーホールに挿入して他方の実装面100B側に半田付けされており、接触点の一例としての半田部109が他方の実装面100B側に形成されている。
【0025】
一方、基板100の他方の実装面100Bにはコネクタ110が実装されており、このコネクタ110は、そのリード112を基板100のスルーホールに挿入して一方の実装面100A側に半田付けされている。そして、半田付けされた半田部114が一方の実装面100A側に形成されている。
【0026】
また、矩形状とされた基板100の四隅のうち三隅には、基板検査装置10に対する位置決め用の円孔118が形成され、残りの一隅には、角孔119が形成されている。尚、角孔119は、円孔であっても良い。
【0027】
<支持台・対向台>
次に、支持台12および対向台14に支持される部材について説明する。
【0028】
図1−1(A)(B)、図3に示されるように、支持台12の上面12Aには、支持台12に対して近接離間方向に移動可能に支持部材22が設けられている。
【0029】
支持部材22は、基板100を下側から支持する平面視矩形状の下面支持部24と、下面支持部24の鉛直方向下側の両隅部に設けられ、下端縁が水平方向を向くように配置され基板100の下端縁と接触する2個の端縁支持部26とを備えている。
【0030】
さらに、基板100側を向いた下面支持部24の上面24Aには、基板100の下面を支持する複数個の突起25が設けられている。
【0031】
また、下面支持部24の四隅側には、支持台12に向って近接離間方向に延びる円柱状の案内ロッド30が夫々設けられ、案内ロッド30の延出側は、支持台12に形成された断面円状の凹部32に移動可能に挿入されている。さらに、夫々の凹部32の内部には、支持部材22を対向台14に向けて付勢する第一付勢部材の一例としてのバネ34が設けられている。これにより、外力が付加されない支持部材22は、バネ34の付勢力で図示せぬストッパー部材と当たり支持部材22の初期位置(図1−1(A)(B)参照)に配置されるようになっている。
【0032】
また、図1−1(B)に示されるように、対向台14の下面には、対向台14に対して近接離間方向に移動可能に接触部材の一例としてのストッパーピン36が設けられている。そして、このストッパーピン36は、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させると基板100に形成された位置決め用の円孔118及び角孔119の周囲に夫々接触するようになっている。
【0033】
詳細には、ストッパーピン36は、対向台14に向って近接離間方向に延びる円柱状の案内ロッド38と、案内ロッド38の端部に固定されると共に内部に段付き状の円筒凹部40Aが形成された円柱状の接触部40とを備えている。そして、案内ロッド30は、対向台14に形成された断面円状の凹部42に移動可能に挿入されている。
【0034】
また、夫々の凹部42の内部には、ストッパーピン36を支持台12に向けて付勢する第二付勢部材の一例としてのバネ44が設けられている。これにより、外力が付加されないストッパーピン36は、バネ44の付勢力で図示せぬストッパー部材と当たり、ストッパーピン36の初期位置(図1(A)(B)参照)に配置されるようになっている。
【0035】
この構成により、前述したように、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させると、ストッパーピン36の接触部40が基板100に形成された位置決め用の円孔118及び角孔119の周囲に接触するようになっている(図1−2(C)参照)。
【0036】
また、図1−2(C)に示されるように、支持台12に対して近接離間方向に移動可能に取り付けられる保持部材の一例としてのガイドピン46がストッパーピン36と対向するように設けられている。夫々のガイドピン46は、円孔118及び角孔119に挿入される円錐形状とされる錐部の一例としての円錐部46Aを備えている。さらに、ガイドピン46は、この円錐部46Aを支持する円柱状の円柱部46Bとを備えている。
【0037】
そして、円柱部46Bは、支持台12に形成された断面円状の凹部48に移動可能に挿入されている。また、夫々の凹部48の内部には、ガイドピン46を対向台14に向けて付勢する第三付勢部材の一例としてのバネ52が設けられている。これにより、外力が付加されないガイドピン46は、バネ52の付勢力で図示せぬストッパー部材と当たりガイドピン46の初期位置(図1(A)(B)(C)参照)に配置されるようになっている。ここで、バネ44の付勢力(全てのバネ44の付勢力を合計した付勢力)は、バネ34の付勢力(全てのバネ34の付勢力を合計した付勢力)より大きく(強く)されている。また、バネ52の付勢力(全てのバネ52の付勢力を合計した付勢力)は、バネ34の付勢力(全てのバネ34の付勢力を合計した付勢力)より大きく(強く)されている。
【0038】
この構成により、ストッパーピン36が円孔118及び角孔119の周囲に接触した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させると、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗して支持台12側に移動させる。これにより、ガイドピン46の円錐部46Aが円孔118及び角孔119に挿入され、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持するようになっている(図1−2(D)参照)。
【0039】
また、図1−2(D)に示されるように、基端部が対向台14に取り付けられ、先端部が支持台12側に延びると共に先端側が伸縮する通電部材の一例としてのプローブピン56が設けられている。そして、このプローブピン56は、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させると基板100の半田フィレット108に先端部が接触するようになっている(図1−3(E)参照)。
【0040】
具体的には、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗して支持台12側にさらに移動させ、ストッパーピン36をバネ44の付勢力に対抗して対向台14側にさらに移動させ、ガイドピン46をバネ52の付勢力に対抗して支持台12側にさらに移動させる。そして、プローブピン56の先端が半田フィレット108に接触するようになっている(図1−3(E)参照)。
【0041】
また、図1−3(E)に示されるように、基端部が支持台12に取り付けられ、先端部が対向台14側に延びると共に先端側が伸縮する通電部材の一例としてのプローブピン60が設けられている。そして、このプローブピン60は、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させると基板100の半田部109に先端部が接触するようになっている(図1−3(F)参照)。
【0042】
具体的には、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗して支持台12側に移動させ、ストッパーピン36をバネ44の付勢力に対抗して対向台14側に移動させ、ガイドピン46をバネ52の付勢力に対抗して支持台12側に移動させる。さらに、プローブピン56の先端側が縮む。これにより、プローブピン60の先端が、下面支持部24に設けられた貫通孔24Bを通って半田部109に接触するようになっている(図1−3(F)参照)。
【0043】
また、図1−3(F)に示されるように、基端部が対向台14に取り付けられ、先端部が支持台12側に延びる棒状の抑制棒の一例としての押え棒64が、下面支持部24に備えられた突起25と対向するように設けられている。
【0044】
そして、プローブピン56が半田フィレット108に接触し、さらにプローブピン60が半田部109に接触した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、押え棒64は、突起25との間で基板100を挟み込み基板100の歪み抑制するようになっている(図1−4(G)参照)。
(作用)
次に、基板検査装置10の作用を、基板検査装置10を用いて基板100を検査する基板検査方法と共に説明する。なお、下記検査工程においては、レバー18の操作度合い(操作角度)を工程毎に説明するが、レバー18の操作は一連の動作である。
【0045】
先ず、図1−1(A)(B)に示されるように、レバー18(図2参照)を操作していない状態で、基板100の端縁を支持部材22の端縁支持部26に接触さて下面支持部24に基板100の下面を支持させる。
【0046】
次に、図1−2(C)に示されるように、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させ、ストッパーピン36の接触部40を基板100に形成された位置決め用の円孔118及び角孔119の周囲に接触させる。
【0047】
次に、図1−2(D)に示されるように、ストッパーピン36が円孔118の周囲に接触した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動さて、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗して支持台12側に移動させる。そして、ガイドピン46の円錐部46Aを円孔118及び角孔119に挿入し、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持させる。
【0048】
これにより、夫々の円孔118の円縁が、接触部40によって夫々の円錐部46Aに押し付けられ、基板100を基板100の面沿い方向に移動させることで、基板100の位置ずれが補正される(正規の位置に基板100が位置決めされる)。
【0049】
次に、図1−3(E)に示されるように、ストッパーピン36と円錐部46Aとの間で基板100を保持させた状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させ、ストッパーピン36をバネ44の付勢力に対抗させて対向台14側に移動させ、ガイドピン46をバネ52の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させる。そして、プローブピン56の先端を半田フィレット108に接触させる。
【0050】
次に、図1−3(F)に示されるように、プローブピン56の先端を半田フィレット108に接触させた状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させ、ストッパーピン36をバネ44の付勢力に対抗させて対向台14側に移動させ、ガイドピン46をバネ52の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させる。さらに、プローブピン56の先端側を縮ませ、プローブピン60の先端を半田部109に接触させる。
【0051】
次に、図1−4(G)に示されるように、プローブピン56が半田フィレット108に接触し、さらにプローブピン60が半田部109に接触した状態で、レバー18(図2参照)を操作して支持台12を近接離間方向の近接側に移動させる。これにより、支持部材22をバネ34の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させ、ストッパーピン36をバネ44の付勢力に対抗させて対向台14側に移動させ、ガイドピン46をバネ52の付勢力に対抗させて支持台12側に移動させる。また、プローブピン56の先端側を縮ませ、さらに、プローブピン60の先端側を縮ませる。そして、押え棒64が突起25との間で基板100を挟み込んで、基板100の歪み抑制する。
【0052】
次に、図2(B)に示されるように、この状態で、検査部28が、プローブピン56及びプローブピン60を介して基板100の電気的検査を行う。
【0053】
以上説明したように、夫々の円孔118の円縁が、接触部40によって夫々の円錐部46Aに押し付けられることで、円柱状の位置決めピンを位置決め孔に挿入する場合と比して、基板100を斜めにセットする場合でも基板100の位置ずれが補正される(正規の位置に基板100が配置される)。
【0054】
また、基板100の位置ずれが補正されるため、基板100を斜めにセットした場合でも電気検査工程における検査精度の低下が抑制される。
【0055】
また、押え棒64が突起25との間で基板100を挟み込むことで、基板100の歪みが抑制される。
【0056】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、錐部の一例として円錐状の円錐部46Aを例にとって説明したが、三角以上の角錐形状であってもよい。また、頂部を有さない錐台形状であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、支持台12を近接離間方向に移動させることで、支持台12と対向台14とを相対的に近接させたが、対向台14を近接離間方向に移動させることで、支持台12と対向台14とを相対的に近接させてもよい。さらには、両方を移動させることで、支持台12と対向台14とを相対的に近接させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、位置決め用の円孔118を3個設けたが、特に3個に限定されず、2個であったり、4個以上であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、基板100の一方の実装面100Aに接触するプローブピン56と、基板100の他方の実装面100Bに接触するプローブピン60とを設けたが、どちらか一方のプローブピンだけであってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、対向台14が基板100の厚さ方向に移動するものを示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、特開平07−146336号公報における上面ユニットのように、対向台14がダンパーを介して案内レール16に回動自在に装着された構成であっても良い。つまり、対向台14は、水平方向に対して傾斜して配置される検査対象の基板100に対して鉛直方向の上方に位置させることが可能な構成であれば良い。かかる構成においては、対向台14を回動させて閉じた状態(特開平07−146336号公報の図1の状態)が、図1−1(A)に示した状態に相当する。
【符号の説明】
【0061】
10 基板検査装置
12 支持台
12A 上面
14 対向台
18 レバー(移動部材の一例)
22 支持部材
24 下面支持部
25 突起
26 端縁支持部
28 検査部
34 バネ(第一付勢部材の一例)
36 ストッパーピン(接触部材の一例)
44 バネ(第二付勢部材の一例)
46 ガイドピン(保持部材の一例)
46A 円錐部(錐部の一例)
52 バネ(第三付勢部材の一例)
56 プローブピン(通電部材の一例)
60 プローブピン(通電部材の一例)
64 押え棒(抑制棒の一例)
100 プリント配線基板
100A 一方の実装面(一方の面の一例)
100B 他方の実装面(他方の面の一例)
108 半田フィレット(接触点の一例)
109 半田部(接触点の一例)
118 円孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に対して傾斜して配置される検査対象の基板に対して鉛直方向の上方に位置させることが可能な対向台と、
前記基板を挟んで前記対向台に対して対向して配置され、前記基板の板厚方向に沿って前記対向台に対して相対的に近接又は離間する近接離間方向に移動可能に支持される支持台と、
前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向に移動させる移動部材と、
前記支持台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられると共に、前記基板を前記基板の下面から支持する下面支持部と、前記基板における鉛直方向下側の端縁を支持する端縁支持部とを備える支持部材と、
前記支持部材を前記対向台に向けて付勢する第一付勢部材と、
前記対向台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられると共に、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると前記基板に形成された位置決め用の複数個の円孔の周囲に夫々接触する複数個の接触部材と、
前記接触部材を前記支持台に向けて付勢する第二付勢部材と、
前記支持台に対して前記近接離間方向に移動可能に取り付けられ、下端部が前記円孔の直径よりも大きい円錐状又は角錘状とされる錐部を備えると共に、前記接触部材が前記円孔の周囲に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させると、前記支持部材が前記第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動することで、前記円孔に前記錐部が挿入され、前記接触部材と前記錐部との間で前記基板を保持する保持部材と、
前記保持部材を前記対向台に向けて付勢する第三付勢部材と、
基端側が前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方に取り付けられ、先端側が伸縮すると共に、前記接触部材と前記錐部との間で前記基板を保持した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると、前記支持部材が前記第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動し、前記接触部材が前記第二付勢部材の付勢力に対抗して前記対向台側に移動し、前記保持部材が前記第三付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動することで、前記基板の一方の面及び他方の面のうち少なくとも一方に設けられた電気的検査を行うための接触点に接触して通電する通電部材と、
前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記基板の電気的検査を行う検査部と、
を備える基板検査装置。
【請求項2】
前記支持部材の下面支持部には、前記基板の下面を支持する複数個の突起が設けられ、
前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させると、前記突起との間で前記基板を挟み込み前記基板の歪みを抑制する複数個の抑制棒が設けられる請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板検査装置を用いて基板を検査する基板検査方法であって、
前記基板の端縁を支持部材の端縁支持部に支持させ、さらに下面支持部に基板を下面から支持させる工程と、
移動部材を用いて支持台及び対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させ、前記基板に形成された位置決め用の複数個の円孔の周囲に夫々の接触部材を夫々接触させる工程と、
前記接触部材が前記円孔の周囲に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させ、前記支持部材を第一付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動させることで、前記円孔に保持部材に設けられた錐部を挿入し、前記保持部材の前記錐部と前記接触部材との間で前記基板を保持させる工程と、
前記保持部材の前記錐部と前記接触部材との間で前記基板が保持された状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を前記近接離間方向の近接側に移動させ、前記支持部材を第一付勢部材の付勢力に対抗して支持台側に移動させ、前記接触部材を第二付勢部材の付勢力に対抗して前記対向台側に移動させ、前記保持部材を第三付勢部材の付勢力に対抗して前記支持台側に移動させることで、前記基板の一方の面及び他方の面のうち少なくとも一方に設けられた接触点に通電部材を接触させる工程と、
前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、検査部によって前記基板の電気的検査を行う工程と、
を備える基板検査方法。
【請求項4】
請求項2に記載の基板検査装置を用いて基板を検査する基板検査方法であって、
前記通電部材が前記接触点に接触した状態で、前記移動部材を用いて前記支持台及び前記対向台のうち少なくとも一方を近接離間方向の近接側に移動させ、抑制棒と突起との間で前記基板を挟み込む前記基板の歪みを抑制する工程を備える請求項3に記載の基板検査方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−40780(P2013−40780A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175979(P2011−175979)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【特許番号】特許第4858657号(P4858657)
【特許公報発行日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】