基板検査装置、基板検査方法及び記憶媒体
【課題】検査用基板を用いることなく照明部の照度の低下による検査の不具合が発生することを防ぐことができる技術を提供すること。
【解決手段】筐体内に設けられた載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を撮像部の撮像素子に導光するための導光部材と、メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、を備えるように基板検査装置を構成する。
【解決手段】筐体内に設けられた載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を撮像部の撮像素子に導光するための導光部材と、メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、を備えるように基板検査装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)などの基板を撮像して、検査を行う基板検査装置、基板検査方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィ工程では、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウエハ上に所定のレジストパターンが形成される。
【0003】
そして、一連のフォトリソグラフィが行われたウエハについては、例えば上記レジスト塗布処理及び現像処理を行う塗布、現像装置内に設けられた検査装置に搬入され、検査装置内に設けられたカメラによりその表面が撮像される。その撮像されたウエハの画像が出力画面に表示され、その表示に基づいてウエハの表面に所定のレジスト膜が形成されているか否か、またその表面に傷、異物の付着があるか否かなどの検査が行われている。
【0004】
この撮像時にウエハは検査装置に設けられた照明部により照らされるが、この照明部の照度は経時劣化により次第に低下し、照度が低下した環境下で撮像を行うと、検査の精度が低下してしまう。そこで、検査装置の定期メンテナンスとして、その表面にレジスト膜などの各種の膜が形成されていない調整用ウエハを当該検査装置に搬送し、この調整用ウエハを撮像して得られた画像から照明部の明るさを確認する場合がある。そして、前記画像から照明部の照度が基準よりも低下していると判定した場合には照明部の交換や画像の輝度の増幅度の調整を行っている。なお、以降、調整用ウエハと区別するために単にウエハと記載したときには半導体を製造するためのウエハを示すものとする。
【0005】
調整用ウエハは、塗布、現像装置のローディングポートに搬送された専用のキャリアから塗布、現像装置の搬送機構を用いて検査装置に搬送される。このように専用のキャリアをローディングポートに搬送することは手間であるし、さらに当該キャリアと検査装置との間で調整用ウエハを搬送する間は、前記搬送機構によるウエハの搬送を停止させなければならないので、このような検査中には塗布、現像装置でのウエハの処理が行えなくなる。従って、このようなメンテナンスを行うことで、スループットの低下が大きくなる懸念があった。また、このようにメンテナンスを行うことが手間であるため、メンテナンスを行う回数を抑えようとすると、照明部の照度が基準よりも高くても当該照明部を交換したり、基準よりも照明部の照度が基準よりも低い状態で検査を続けてしまうことになるおそれがある。
【0006】
特許文献1には、ランプから放射される光の光度、スペクトル分布などについて目標値と比較し、その結果に基づいて当該ランプの交換が必要か否かを報知する照明装置について記載されているが、上記のウエハを撮像する際の問題については記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−201431(段落0041など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、調整用基板を装置に搬送することなく、照明部の照度の低下による基板の検査の不具合が発生することを防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板検査装置は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の基板検査装置は筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記メンテナンスモード実行時に前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅し、その増幅度が可変できるように構成された増幅部と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて前記増幅度を調整する増幅度調整部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の具体的な態様は、例えば下記の通りである。
(1)前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、を備える。
(2) 前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された増幅度と、前記期間とを対応付けて表示する表示部と、を備える。
(3)導光部材は、前記メンテナンスモード実行時に照明部の光を前記撮像素子に導光し、検査モード実行時には照明部の光を撮像素子に導光しないように構成される。
(4)メンテナンスモード実行時において載置台に基板が載置されていないときに導光部材により撮像素子への導光を行うための光路が、検査モード実行時において載置台に載置された基板により遮断される。
(5)導光部材を前記照明部に対して、当該照明部からの光を撮像素子に導光するための第1の位置と、当該照明部からの光を撮像素子に導光しない第2の位置との間で相対的に移動させる駆動機構が設けられる。
(6)導光部材は、照明部の光を反射して撮像素子に照射するための反射部材により構成される。
(7)前記メンテナンスモードは、前記照明部の光の照射領域に基板が位置していないときに実行される。
【0012】
本発明の基板検査方法は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知部により報知する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の基板検査方法は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
その増幅度が可変できるように構成された増幅部により、前記照明部からの光の輝度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅する工程と、
前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて増幅度調整部により前記増幅度を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の記憶媒体は、基板を検査する検査装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の基板検査方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照明部の光を筐体内に設けられた導光部材により撮像素子に導光した状態で取得された照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定し、この判定結果に応じて前記照明部の交換が必要であることが報知されるため、照度の調整用の基板を検査装置に搬入することなく、照明の照度の低下による検査の不具合が発生することを防ぐことができる。結果として、この照明の照度を確認するメンテナンスに要する手間や時間を抑えることができる。
また、他の発明では前記導光部材から撮像素子に導光をした状態で取得された前記照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて、撮像素子から出力される輝度信号を増幅する増幅部が設けられる。従って調整用の基板を検査装置に搬入することなく、照明の照度の低下による検査の不具合が発生することを防ぐことができる。結果として、画像の輝度の増幅度を調整するメンテナンスに要する時間を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板検査装置の縦断側面図である。
【図2】前記基板検査装置の横断平面図である。
【図3】前記基板検査装置の制御部及び撮像カメラのブロック図である。
【図4】指示値と補正値との相関関係の一例を示すグラフ図である。
【図5】画像が補正される工程を示す説明図である。
【図6】前記撮像カメラに反射板により導光される様子を示した説明図である。
【図7】表示部によるゲインと照明使用期間との関係を示したグラフ図である。
【図8】メンテナンスモードのフローチャートである。
【図9】他の基板検査装置の縦断側面図である。
【図10】前記基板検査装置の反射板の側面図である。
【図11】他の反射板の側面図である。
【図12】前記反射板の側面図である。
【図13】前記反射板の側面図である。
【図14】他の反射板の側面図である。
【図15】前記反射板の側面図である。
【図16】他の基板検査装置の横断平面図である。
【図17】さらに他の基板検査装置の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る基板検査装置1について説明する。図1、図2は基板検査装置1の縦断平面、横断平面を夫々示している。基板検査装置1は、その筐体10内にウエハWの裏面側中央部を吸着し、ウエハWを水平に保持する載置台11を備えている。図中12はウエハWの筐体10内への搬入及び筐体10内からの搬出を行うための搬送口である。このウエハWはフォトリソグラフィが行われ、その表面のレジスト膜には所定のパターンが形成されている。
【0018】
載置台11は水平駆動部13に支持されている。筐体10内において搬送口12が開口している側を手前側とすると、基板検査装置1への床面には手前側から奥側に向かってガイドレール14が敷設されており、水平駆動部13はこのガイドレール14に沿って水平移動自在に構成されている。この水平駆動部13から筐体10の奥側に伸びるようにガイドレール14の上側を覆うカバー15が設けられている。このカバー15は、ウエハWの撮像時にガイドレール14による光の反射を防ぎ、当該光が撮像カメラ31へ向かうことを防ぐ役割を有する。カバー15の表面には反射板16が設けられており、水平駆動部13の移動に伴って載置台11と共に筐体10内を手前側と奥側との間で移動する。図中16aは反射板の反射面である。この反射板16についてはさらに後述する。
【0019】
ガイドレール14上には筐体10の左右に伸びる横長のハーフミラー21が設けられており、このハーフミラー21は当該ガイドレール14の伸長方向に対して斜めに設けられている。また、ハーフミラー21の上方には当該ハーフミラー21を介して下方に光を照射する照明部22が設けられている。この照明部22は例えば発光ダイオードにより構成され、交換自在に構成されている。
【0020】
ハーフミラー21の奥側には撮像カメラ31が設けられている。この撮像カメラ31は、レンズ32と、レンズ32に写った像が結像する撮像素子群33とを備えている。撮像素子群33は横方向に一列に配列された例えば2048個のCCD素子(画素)である撮像素子30により構成されている。撮像カメラ31はウエハWが移動するときに、このウエハW全体を撮像することができるように取り付けられている。図3のブロック図も参照しながら説明する。この図3では図の理解を容易にするために撮像素子30に1〜2048の番号を付している。撮像素子30はA/D(アナログ/ディジタル)変換器34に接続されており、A/D変換器34の後段には増幅部をなす出力補正部35が接続され、その後段には信号処理部36が接続されている。撮像素子群33に入射した光は、この撮像素子群33により光電変換されてアナログ信号となり、各撮像素子30からのアナログ信号が所定の順番でA/D変換器34に出力され、当該A/D変換器34で0〜255の数値に対応するディジタル信号に変換されて、出力補正部35に出力される。
【0021】
この0〜255の数値は、撮像素子30に入射した光量、すなわち撮像された被写体の輝度を示す。ここで輝度とは2次光源、即ちウエハWや反射板16から撮像カメラ31に向かって発する光の強さであり、画像の明るさ(グレーレベル)で表現される無単位の値である。そして、出力補正部35では、各撮像素子30からの前記輝度を示す数値に対して予め設定された補正値が乗算され、0〜255までの数値に対応するディジタル信号として出力される。つまり、この出力補正部35は、各撮像素子30から出力される画像の輝度を同じ補正値で一律に補正して、撮像カメラ31の感度を調整する役割を有しており、補正値が大きいほど補正された画像は高い輝度を有することになる。
【0022】
信号処理部36では、出力補正部35から出力された信号に対してシェーディング補正、γ補正をこの順に行う。このシェーディング補正により各撮像素子30からの輝度は各撮像素子30ごとに予め設定された増幅度で個別に増幅される。そしてγ補正により各撮像素子30からの画像の輝度が予め設定した値で一律に増加するように補正され、0〜255の数値に対応するディジタル信号として出力される。
【0023】
この撮像カメラ31には変換部37が設けられており、上記のように出力補正部35で補正を行うための補正値が出力される。画像の輝度を補正するために後述の制御部4からこの変換部37に指示値が送信されるが、変換部37では例えば図4で示すような前記指示値と前記補正値との対応関係が記憶される記憶部を備えており、前記指示値とこの対応関係とから当該変換部37で補正値が決定されて、この補正値が出力補正部35に出力される。このように変換部37で指示値から補正値への変換を行うのは、撮像カメラ31の仕様によって撮像カメラ31ごとにA/D変換器34からの出力がばらついたときに、出力補正部35からの出力のばらつきを抑えるためである。つまり、前記相関関係は撮像カメラ31ごとに設定される。なお、A/D変換器34からのディジタル値は通常は、比較的低い値になるため、前記補正値としては1以上の値についても出力されるように前記相関関係が設定されている。
【0024】
図5はこのように輝度が増幅されて画像が補正される様子を示した図である。図5の上段では、被写体の像が写り込んだ撮像素子群33を示しており、各撮像素子30の上にはA/D変換されて得られる輝度を示している。そして、図5中段は、図5上段の各撮像素子30から出力補正部35により増幅されて生成した画像を示しており、図中の数値はその輝度を示している。この例では補正値により各撮像素子30の輝度を10倍に増幅している。図5下段は、シェーディング補正を行い、所定の撮像素子30からの輝度が10加算されて補正されて得られた画像を示している。この後γ補正が行われ、各撮像素子30から得られた画像は、制御部4に記憶される。
【0025】
図1の説明に戻る。照明部22からの照明がハーフミラー21を通過し、図中rで示すハーフミラー21の下方の照射領域に当てられる。そして、この照射領域rにおける物体の反射光がハーフミラー21で反射し、撮像カメラ31に取り込まれる。すなわち撮像カメラ31は、照射領域rに位置する物体を撮像することができる。そして、ウエハWがガイドレール14に沿ってハーフミラー21の下方を手前側から奥側に向けて移動しているときに、撮像カメラ31が制御部4の制御信号に従って間欠的に撮像を行い、ウエハWの表面全体が撮像される。
【0026】
この基板検査装置1は、上記のようにウエハWを撮像してその表面の検査を行うための検査モードと、当該装置1にウエハWが搬入されていない状態で撮像カメラ31で得られる画像の輝度の調整及び照明部22の交換の要否を確認するメンテナンスモードとを選択して実行する。具体的にメンテナンスモードでは、反射板16を撮像して得られる画像の輝度に応じて、出力補正部35による信号の増幅度、つまり前記補正値及びこの補正値に対応する指示値を設定し、画像の輝度を適切な値に制御する。そして指示値が許容値を超えたときには、信号中のノイズが増幅されることによる画像の劣化を防ぐために照明部22の交換をユーザに報知する。
【0027】
ここで、反射板16についてさらに詳しく説明する。反射板16は前記メンテナンスモード実行時に用いられ、照射領域rに位置したときに図6に示すように照明部22の光を反射する。反射板16で反射した光は図中矢印で示すようにハーフミラー21により反射され、撮像カメラ31の撮像素子群33に照射されるようになっている。検査モード実行時には図1に示すように載置台11に載置されたウエハWの下方に反射板16は位置している。従って図6に矢印で示した反射板16と撮像素子群33との間の光路が当該ウエハWにより遮断されることになり、反射板16は撮像カメラ31により撮像されない。このような位置に反射板16を設けるのは、検査モード実行時に反射板16からの光が撮像カメラ31に供給されて光飽和が起きる、つまり撮像素子群33で発生する電荷が飽和し、取得されるウエハWの画像が不鮮明になることを防ぐためである。
【0028】
続いて、コンピュータからなる制御部4について図3を参照しながら説明する。制御部4はバス41を備え、バス41には各種の演算を行うCPU42、プログラム格納部43、メモリ44、表示部45及び入力部46が接続されている。プログラム格納部43には検査モード実行用のプログラム51と、メンテナンスモード実行用のプログラム52とが格納される。プログラム51、52は、制御部4から基板検査装置1の各部に制御信号を送り、後述の各モードの処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。プログラム格納部43は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等からなる。
【0029】
メモリ44は、出力補正部35の補正値を設定するために用いられる各種のデータが記憶される補正値設定用データ記憶領域53と、撮像カメラ31から取得された画像の輝度が記憶される画像データ記憶領域54と、設定された指示値を記憶する指示値記憶領域55と、検査モードでウエハWの適否の判定を行うための基準データ記憶領域56を備えている。
【0030】
メモリ44の各領域についてさらに詳しく説明すると、補正値設定用データ記憶領域53には、メンテナンスモード実行時において反射板16が撮像されたときに画像データ記憶領域54に記憶される輝度の目標値と、その目標値からのずれの許容範囲と、指示値の上限値とが記憶されている。前記許容範囲は前記目標値以下且つ目標値よりも若干低い値以上の範囲である。
【0031】
画像データ記憶領域54には、前記撮像素子群33を構成する各撮像素子30から順番にアナログ信号が出力されることにより、各撮像素子30から出力された画像の輝度が各々所定のアドレスに格納される。指示値記憶領域55には、メンテナンスモード実行時に決定された指示値と当該指示値を決定した日時とが互いに対応付けられて記憶される。この指示値及び日時は、指示値の変更が行われる度に記憶される。また、この指示値記憶領域55には照明部22を交換した日時が記憶される。この日時は入力部46からユーザが所定の設定を行うことにより記憶される。基準データ記憶領域56には欠陥がないウエハ(基準ウエハ)の画像が記憶され、この基準ウエハの画像の輝度と、検査モード実行時に画像データ記憶領域54に記憶されるウエハWの画像の輝度とが互いに比較され、ウエハWの欠陥の有無が判定される。
【0032】
続いて報知部をなす表示部45について説明する。表示部45は、ウエハ表示領域61と、指示値表示領域62と、アラーム表示領域63とを備えている。ウエハ表示領域61は画像データ記憶領域54に記憶された画像データが表示される領域である。つまり、検査モード実行時には撮像カメラ31から取得されたウエハWの画像がこのウエハ表示領域61に表示される。指示値表示領域62は、メモリ44の指示値記憶領域55に記憶されるデータに基づいて、照明部22を交換してからの指示値の経時変化を示す。
【0033】
図7は、この指示値表示領域62の表示の一例を示したグラフである。グラフの横軸は照明部22を交換してからの経過期間(単位:時間)であり、これは指示値記憶領域55に記憶される照明交換日時と各指示値の設定日時との差分である。図中の縦軸は決定された指示値を示している。指示値記憶領域55に記憶される指示値が、その設定日時に応じてグラフ中にプロットされる。グラフ中には補正値設定用データ記憶領域53に記憶される指示値の上限値も表示される。
【0034】
グラフ中の上限値到達予測時間は、最も新しく設定された指示値をα、その直前に設定された指示値をβ、指示値αの設定された日時をt1、指示値βの設定された日時をt2として、指示値αが設定された後、指示値の上昇率が(α−β)/(t1−t2)であるものとして上限値までの到達時間が演算されて表示されたものである。なお、指示値表示領域62の表示としてはこのような表示に限られず、例えば照明を交換してから各指示値を設定するまでの時間と、設定された各指示値とが対応付けられた表が表示されてもよい。指示値の代わりに補正値が表示されてもよい。
【0035】
アラーム表示領域63は、設定された指示値に基づいて照明の交換が必要であるか否かを表示してユーザに報知するための領域である。また、このアラーム表示領域63には指示値の変更が行われたか否かも示される。なお、ユーザに照明の交換を要することや指示値が変更されたことを報知するためのアラームとしては、このように画面表示することに限られず、警告音を鳴らすことにより行ってもよい。
【0036】
入力部46は例えば複数のボタンなどにより構成されている。既述のようにユーザは、入力部46から照明部22を交換したときに所定の操作を行う。また、この入力部46から操作を行うことで、メンテナンスモードと検査モードとの間で実行するモードを切り替えることができる。
【0037】
続いてメンテナンスモード、検査モードの順に各モードが行われる手順を説明する。図8のフローチャートはメンテナンスモードのフローを示しており、このフローも参照しながら説明する。
(メンテナンスモード)
ユーザが入力部46から所定の操作を行うと、照明部22による光照射が行われた状態で、水平駆動部13により載置台11が筐体10の手前側のウエハWを受け取るための受け取り位置から前進し、それに伴って反射板16が前進して、図6に示したように照明部22の照射領域rに位置する。それによって、照明部22の光が反射板16で反射し、ハーフミラー21を介して撮像カメラ31に向けて導光される。撮像カメラ31の不図示のシャッタが開き、前記反射板16からの光がレンズ32に入射し、撮像素子群33に結像する(ステップS1)。
【0038】
既述したように撮像素子群33の各撮像素子30から、各撮像素子が受光した光量に応じた出力でアナログ信号が発生し、このアナログ信号がA/D変換器34でディジタル信号に変換される。制御部4からは指示値記憶領域55に最も新しく記憶された指示値(aとする)が撮像カメラ31に出力され、変換部37からはこの指示値aに対応する補正値が出力されて、出力補正部35にてA/D変換器34からのディジタル値とこの補正値とが乗算され、0〜255の輝度のディジタル値が出力される。そして、上記のように信号処理部36によりこの輝度はさらに補正され、各撮像素子30からの出力ごとにメモリ44の画像データ記憶領域54の異なるアドレスに記憶される。
【0039】
続いて、この画像データ記憶領域54に記憶された輝度のデータのうち、前記反射板16からの光が射しこむ複数の撮像素子30からの輝度について平均値が演算され、この輝度の平均値が補正値設定用データ記憶領域53に記憶される目標値からの許容範囲に含まれるか否かが判定される(ステップS2)。どの撮像素子30から出力された輝度から平均を算出するかは予め設定しておくものとする。
【0040】
ステップS2で輝度の平均値が許容範囲に含まれると判定された場合、表示部45のアラーム表示領域63に照明交換不要である旨のサイン及び指示値の変更が行われなかった旨のサインが表示される。ステップS2で輝度の平均値が許容範囲外であると判定された場合、指示値がa+1に設定され(ステップS3)、再びステップS1と同様に反射板16が撮像される(ステップS4)。指示値a+1に対応する補正値で出力補正部35による増幅が行われ、各撮像素子30からの画像の輝度が画像データ記憶領域54に記憶される。そして、ステップS2と同様に複数の撮像素子30の輝度の平均値が演算され、補正値設定用データ記憶領域53に記憶される目標値以上であるか否かが判定される(ステップS5)。
【0041】
そして、ステップS5で、目標値以上ではないと判定された場合には、指示値をa+2に設定し、反射板16の撮像、輝度が目標値以上であるかの判定を再度行う。この判定結果が目標値以上ではないとされた場合には、指示値をa+3に設定し、反射板16の撮像、輝度が目標値以上であるかの判定を再度行う。つまり、ステップS3〜S5を繰り返し実行し、ステップS5で輝度が目標値以上ではないと判定される度にステップS3で指示値を+1ずつ上昇させて設定する。
【0042】
ステップS5で、目標値以上であると判定された場合には、設定した指示値が補正値設定用データ記憶領域53に記憶される指示値の上限値よりも高いか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6で上限値よりも高くないと判定された場合、このように判定が行われた日時と設定された指示値とが対応付けられて指示値記憶領域55に記憶され(ステップS7)、アラーム表示領域63には指示値が変更された旨のサインが表示される。さらに、指示値表示領域62のグラフが更新され、新たに記憶された指示値と、その設定日時に対応する箇所にプロットが追加され、グラフ線が引かれる。また、上限値到達予測時間が演算され、グラフ内の表示が更新される。
【0043】
上限値よりも高いと判定された場合、アラーム表示領域63に照明交換を要する旨のアラームが出力される(ステップS8)。上記のフローは、判定部及び増幅度調整部をなすメンテナンスモード用プログラム52により実行される。このようにアラームが出力されると、ユーザは基板検査装置1に立ち入って照明部22を交換し、交換終了後に入力部46から所定の操作を行う。それによって指示値記憶領域55に記憶されたデータがリセットされ、それによって表示部45の指示値表示領域62のグラフもリセットされる。照明部22の交換日時としては入力部46による前記操作を行った日時が新たに記憶される。そして、このように照明部22の交換を行ったときには例えば予め設定された指示値(初期値)が用いられて、上記のメンテナンスモードが行われ、指示値が改めて設定される。
【0044】
(検査モード)
メンテナンスモード終了後、入力部46から所定の操作を行うと検査モードが開始される。ウエハWが図示しない搬送機構により基板検査装置1に搬送され、その裏面側中央部が図1中に実線で示す受け取り位置に位置する載置台11に保持される。然る後、当該載置台11がウエハWを保持した状態で筐体10の奥側(撮像カメラ31側)へと前進する。照明部22の下方の照射領域rに位置すると、撮像カメラ31により撮像が行われる。既述のようにウエハWが前進を続けながら間欠的に撮像が行われることで、ウエハW全体が撮像される。
【0045】
このとき、制御部4からは最も新しく設定された指示値が撮像カメラ31に出力され、その指示値に対応する補正値によりA/D変換器34からの出力が補正され、画像の輝度が増幅される。そしてメンテナンスモード実行時と同様に画像の輝度は信号処理部36で補正された後、メモリ44の画像データ記憶領域54に記憶される。記憶された輝度に基づいて表示部45のウエハ表示領域61にウエハWの画像が表示されると共に、この画像が基準ウエハの画像と比較され、撮像されたウエハWの欠陥の有無が判定される。上記の一連の処理は検査モード用プログラム51により実行される。
【0046】
この基板検査装置1によれば、反射板16により反射された照明部22の光を撮像カメラ31が撮像し、撮像された画像データの輝度に基づいて、照明の交換の要否が判定される。従って、照明部22の照度を確認するための冶具(調整用ウエハ)を当該基板検査装置1に搬送する必要が無いので、この照度の確認によりウエハWのスループットが低下することを抑えることができる。また、この基板検査装置1では、前記反射板16により反射された照明部22の光を撮像カメラ31が撮像し、撮像された画像の輝度が目標値以上になるように補正値を上昇させている。従って、この補正値を設定するために冶具を当該基板検査装置1に搬送する必要が無いので、この補正値を設定するにあたりウエハWの処理のスループットが低下することを抑えることができる。また、このように補正値を上昇させることにより、照明部22の交換の頻度を抑えることができるので、より確実にスループットの低下を抑えることができる。
【0047】
また、この基板検査装置1によれば照明部22を交換してから指示値が変更されるまでの各時間と変更された各指示値とを対応付けて表示する。これによって、ユーザは、指示値の経時変化から照明部22の照度の低下度合を把握し、照明部22の照度が所定の基準を下回るタイミングを予測することができる。従って、照明部22から十分な光が照射されない状態でウエハWを検査して、存在する欠陥を検出できなくなることが防がれるし、照明部22から十分な照度が得られるのにも関わらず無駄にメンテナンスモードを実行してスループットが低下することを抑えたり、新しい照明部22に交換してしまったりすることを防ぐことができる。
【0048】
さらに、この基板検査装置1は、検査モード実行時に反射板16からの光がウエハWにより遮られるように当該反射板16が設けられている。従って、ウエハWの検査を行うときにウエハWから反射する光と反射板16から反射する光が共に撮像カメラ31に供給され、撮像素子群33から発生する電荷が飽和する、いわゆる光飽和の状態になり、適切な画像データが得られなくなることが防がれる。これによって精度高くウエハWの検査を行うことができる。
【0049】
ところで、実際には基板検査装置1の照明部22の照度は複数段階に設定され、輝度の下限値及び目標値はその段階ごとに設定されている。照明部22の交換時にこの照度の設定を行い、メンテナンスモード実行時にはこの照度に対応した前記輝度の目標値及び許容範囲が読み出されて、上記の各ステップSが実行される。
【0050】
上記の実施形態において、指示値を補正値に変換して出力せずに、制御部4から直接補正値を出力し、A/D変換器34から出力されるディジタル値に乗算して増幅させてもよい。また、このようにA/D変換器34の後段で信号の増幅を行う代わりに、各撮像素子30から出力されたアナログ信号に対して補正値を用いて増幅し、その後にA/D変換を行ってもよい。また、上記の各実施形態で指示値が表示部45に表示される指示値をユーザが監視し、その表示に基づいて当該ユーザが照明部22の交換のタイミングを判定してもよい。
【0051】
また、上記の実施形態ではメンテナンスモードで補正値を設定するにあたり、指示値を1ずつ上昇させているが、このように設定することには限られない。例えば画像データを所定の値、例えば5上昇させるために必要な指示値の増加分cを求めておく。そしてメンテナンスモード実行時に輝度の目標値が200で測定された輝度が180であったときに(200−180)/5×cを演算し、この演算値を指示値に加算して、再び輝度を測定する。そして、測定された輝度が目標値である200より小さければ上記の実施形態と同様に、目標値になるまで指示値を1ずつ増加させ、逆に測定された輝度が目標値である200より大きければ目標値になるまで指示値を1ずつ低下させて、輝度を調整してもよい。また、上記のステップS2、S5で各撮像素子30から得た輝度の平均を輝度の許容範囲と比較する代わりに、複数の撮像素子30から得た輝度を個別に輝度の許容範囲と比較し、所定の個数の撮像素子30の輝度が許容範囲から外れたときにステップS3の補正値の上昇が行われるようにしてもよい。
【0052】
続いて、他の基板検査装置の実施形態について説明する。図9は基板検査装置8であり、基板検査装置1と略同様に構成されている。基板検査装置1との差異点を説明すると、この基板検査装置8では反射板16が筐体10の天井部にハーフミラー21の手前側に起立した状態で設けられており、反射面16aは筐体10の奥側に向けられている。図中71は反射板16を昇降させるための昇降機構である。検査モード実行時には、図9に示す撮像カメラ31による撮像が行われる撮像領域r1の外側の退避位置に反射板16が退避している。
【0053】
メンテナンスモード実行時においては、図10に示すように昇降機構71により反射板16が下降し、前記撮像領域r1内に位置する。このときに図中に点線で示すように照明部22から反射板16で反射された光が撮像カメラ31の撮像素子群33に入射する。即ち反射板16が撮像される。このような構成とすることで基板検査装置1と同様に、検査モード実行時に撮像素子群33に過剰な光が照射されて光飽和が起きることを防ぐことができる。なお、照明部22及びハーフミラー21を昇降機構71により反射板16に対して昇降させることで撮像素子群33への導光状態と非導光状態とを切り替えてもよい。
【0054】
このように光飽和が起きないようにするためには、図11のように反射板16を構成してもよい。この図11では、ハーフミラー21の手前側(搬送口側)に支持板72が設けられ、支持板72は筐体10の側壁に設けられた回動機構73により図12、図13に示すように水平軸回りに回動する。支持板72には反射板16が設けられている。そして、検査モード実行時には図11に示すように反射板16が手前側を向くことにより、照明部22の光が反射せず、反射板16は撮像カメラ31により撮像されない。そして、メンテナンスモード実行時には反射面16aが奥側を向き、基板検査装置7の反射板16と同様に撮像カメラ31の撮像領域r1に位置することができる。
【0055】
図14は、光飽和を防ぐためのさらに他の反射板の構成例を示している。この例では反射板16は、反射面16aが奥側(撮像カメラ31側)を向くようにハーフミラー21の手前側に設けられ、反射面16aに重ねられるように調光ガラス74が設けられている。この調光ガラス74は、液晶からなる板状体が対になる透明な導電膜に面方向に挟まれ、さらにその導電膜を外側から面方向に、対になる板ガラスが挟むことにより構成される。この調光ガラス74において、電圧が導電膜に印加されていないときには前記液晶を構成する分子が不規則に配列されることにより透明度が低く、照明部22の光が反射板16により反射されない。電圧が導電膜に印加されているときには、前記分子の配列が規則的になることで調光ガラス74の透明度が高くなり、照明部22の光を透過する。それによって図15に示すように反射板16が照明部22の光を反射し、その光が撮像カメラ31の撮像素子群33に入射する。
なお、載置台11の表面に反射板16を設けて、メンテナンスモードの実行時にはこの載置台11が照明部22の光の照射領域rに移動するように構成してもよい。
【0056】
このように昇降機構71や回動機構73により反射板16が移動したり、調光ガラス74を設けたりする場合も、メンテナンスモード実行時には反射板からの光とウエハWから反射した光とが撮像素子群33に入射することを防ぐために、ウエハWが筐体10内に搬送されていない状態で行うことが好ましい。ただし、ウエハWが筐体10内において照明部22の照射領域rから外れた位置にある状態でメンテナンスモードが行われてもよい。
【0057】
反射板16を設ける場所はこれらの例に限られず、例えば図16に示すように水平駆動部13による載置台11の移動を妨げないように照明部22の下方の床面に設けてもよい。ただし、この場合は検査モード実行時に反射板16の光がウエハWに反射して撮像カメラ31の撮像素子群33に入射しないように、例えば水平面に対して若干傾けて設けられる。
【0058】
図17は、基板検査装置1の他の変形例であり、この例ではカバー15に横長の反射板16が設けられ、撮像素子群33の横方向に配列されたすべての撮像素子30に反射板16からの光が照射される。この基板検査装置9では、基板検査装置1に比べてより多くの様々な位置の撮像素子30から得た輝度をサンプリングして平均値を求めて、許容範囲と比較したり個別に許容範囲と比較することができるため、照明部22の照度の低下具合が照明部22の長さ方向にばらついたときにも、画像の輝度が許容値より低くなることをより確実に抑えることができる。
【0059】
上記の各実施形態において、メンテナンスモード実行時に画像の輝度が下限値より低くなっているときに補正値を変更せず、アラームを出力してもよい。つまり、上記のフローでステップS2を実行した後、ステップS3〜S6を行わずステップS8を行ってもよい。また、撮像素子群33に照明部22の光を導光する導光部材としては反射板に限られず、例えば照明部22の下方に光ファイバの一端を照明部22の下方に配置し、他端を撮像カメラ31に向けて配置して照明部22の光が撮像素子群33に導光されるようにしてもよい。
【0060】
ところで、補正値設定用データ記憶領域53に記憶される輝度の目標値の設定方法について説明しておく。予め表面にレジスト等の膜が形成されていないウエハを装置に搬送し、撮像カメラ31による撮像を行う。表示部45に表示されるウエハの画像を参照しながらユーザが入力部46より手動で出力補正部35による指示値を変化させて、適切な輝度の画像が得られる指示値を特定する。その後、速やかに前記ウエハを基板検査装置1から搬出し、反射板16を撮像する。そして、特定した指示値に対応する補正値で輝度を増幅し、前記反射板16による光が入射する撮像素子30から制御部4に出力される輝度を目標値とする。
【0061】
上記の各実施形態において、メンテナンスモードは、例えば基板検査装置1の上流側の装置から搬送される一のロットのウエハWと、後続のロットとのウエハWとの間隔が大きく空いている場合に上記のようにユーザが入力部46から操作を行うことで実行されるようにしてもよい。
また、各ウエハWの搬送を制御する上位コンピュータから一のロットと次のロットとが基板検査装置1に搬送される予測時刻を制御部4に送信する。制御部4のメモリ44には閾値が記憶されており、一のロットと次のロットとの搬送される間隔が、その閾値よりも長い場合に一のロットの検査終了後、自動でメンテナンスモードを行い、メンテナンスモード終了後、自動で検査モードに戻って次のロットに対して検査を行うように、各プログラム51、52を組んでもよい。なお、本発明はウエハ以外のLCD基板などの基板の検査にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
W ウエハ
1 基板検査装置
10 筐体
11 載置台
22 照明部
30 撮像素子
31 撮像カメラ
35 出力補正部
4 制御部
51 検査モード実行用プログラム
52 メンテナンスモード実行用プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)などの基板を撮像して、検査を行う基板検査装置、基板検査方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィ工程では、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウエハ上に所定のレジストパターンが形成される。
【0003】
そして、一連のフォトリソグラフィが行われたウエハについては、例えば上記レジスト塗布処理及び現像処理を行う塗布、現像装置内に設けられた検査装置に搬入され、検査装置内に設けられたカメラによりその表面が撮像される。その撮像されたウエハの画像が出力画面に表示され、その表示に基づいてウエハの表面に所定のレジスト膜が形成されているか否か、またその表面に傷、異物の付着があるか否かなどの検査が行われている。
【0004】
この撮像時にウエハは検査装置に設けられた照明部により照らされるが、この照明部の照度は経時劣化により次第に低下し、照度が低下した環境下で撮像を行うと、検査の精度が低下してしまう。そこで、検査装置の定期メンテナンスとして、その表面にレジスト膜などの各種の膜が形成されていない調整用ウエハを当該検査装置に搬送し、この調整用ウエハを撮像して得られた画像から照明部の明るさを確認する場合がある。そして、前記画像から照明部の照度が基準よりも低下していると判定した場合には照明部の交換や画像の輝度の増幅度の調整を行っている。なお、以降、調整用ウエハと区別するために単にウエハと記載したときには半導体を製造するためのウエハを示すものとする。
【0005】
調整用ウエハは、塗布、現像装置のローディングポートに搬送された専用のキャリアから塗布、現像装置の搬送機構を用いて検査装置に搬送される。このように専用のキャリアをローディングポートに搬送することは手間であるし、さらに当該キャリアと検査装置との間で調整用ウエハを搬送する間は、前記搬送機構によるウエハの搬送を停止させなければならないので、このような検査中には塗布、現像装置でのウエハの処理が行えなくなる。従って、このようなメンテナンスを行うことで、スループットの低下が大きくなる懸念があった。また、このようにメンテナンスを行うことが手間であるため、メンテナンスを行う回数を抑えようとすると、照明部の照度が基準よりも高くても当該照明部を交換したり、基準よりも照明部の照度が基準よりも低い状態で検査を続けてしまうことになるおそれがある。
【0006】
特許文献1には、ランプから放射される光の光度、スペクトル分布などについて目標値と比較し、その結果に基づいて当該ランプの交換が必要か否かを報知する照明装置について記載されているが、上記のウエハを撮像する際の問題については記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−201431(段落0041など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、調整用基板を装置に搬送することなく、照明部の照度の低下による基板の検査の不具合が発生することを防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板検査装置は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の基板検査装置は筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記メンテナンスモード実行時に前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅し、その増幅度が可変できるように構成された増幅部と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて前記増幅度を調整する増幅度調整部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の具体的な態様は、例えば下記の通りである。
(1)前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、を備える。
(2) 前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された増幅度と、前記期間とを対応付けて表示する表示部と、を備える。
(3)導光部材は、前記メンテナンスモード実行時に照明部の光を前記撮像素子に導光し、検査モード実行時には照明部の光を撮像素子に導光しないように構成される。
(4)メンテナンスモード実行時において載置台に基板が載置されていないときに導光部材により撮像素子への導光を行うための光路が、検査モード実行時において載置台に載置された基板により遮断される。
(5)導光部材を前記照明部に対して、当該照明部からの光を撮像素子に導光するための第1の位置と、当該照明部からの光を撮像素子に導光しない第2の位置との間で相対的に移動させる駆動機構が設けられる。
(6)導光部材は、照明部の光を反射して撮像素子に照射するための反射部材により構成される。
(7)前記メンテナンスモードは、前記照明部の光の照射領域に基板が位置していないときに実行される。
【0012】
本発明の基板検査方法は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知部により報知する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の基板検査方法は、筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
その増幅度が可変できるように構成された増幅部により、前記照明部からの光の輝度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅する工程と、
前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて増幅度調整部により前記増幅度を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の記憶媒体は、基板を検査する検査装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の基板検査方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照明部の光を筐体内に設けられた導光部材により撮像素子に導光した状態で取得された照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定し、この判定結果に応じて前記照明部の交換が必要であることが報知されるため、照度の調整用の基板を検査装置に搬入することなく、照明の照度の低下による検査の不具合が発生することを防ぐことができる。結果として、この照明の照度を確認するメンテナンスに要する手間や時間を抑えることができる。
また、他の発明では前記導光部材から撮像素子に導光をした状態で取得された前記照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて、撮像素子から出力される輝度信号を増幅する増幅部が設けられる。従って調整用の基板を検査装置に搬入することなく、照明の照度の低下による検査の不具合が発生することを防ぐことができる。結果として、画像の輝度の増幅度を調整するメンテナンスに要する時間を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板検査装置の縦断側面図である。
【図2】前記基板検査装置の横断平面図である。
【図3】前記基板検査装置の制御部及び撮像カメラのブロック図である。
【図4】指示値と補正値との相関関係の一例を示すグラフ図である。
【図5】画像が補正される工程を示す説明図である。
【図6】前記撮像カメラに反射板により導光される様子を示した説明図である。
【図7】表示部によるゲインと照明使用期間との関係を示したグラフ図である。
【図8】メンテナンスモードのフローチャートである。
【図9】他の基板検査装置の縦断側面図である。
【図10】前記基板検査装置の反射板の側面図である。
【図11】他の反射板の側面図である。
【図12】前記反射板の側面図である。
【図13】前記反射板の側面図である。
【図14】他の反射板の側面図である。
【図15】前記反射板の側面図である。
【図16】他の基板検査装置の横断平面図である。
【図17】さらに他の基板検査装置の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る基板検査装置1について説明する。図1、図2は基板検査装置1の縦断平面、横断平面を夫々示している。基板検査装置1は、その筐体10内にウエハWの裏面側中央部を吸着し、ウエハWを水平に保持する載置台11を備えている。図中12はウエハWの筐体10内への搬入及び筐体10内からの搬出を行うための搬送口である。このウエハWはフォトリソグラフィが行われ、その表面のレジスト膜には所定のパターンが形成されている。
【0018】
載置台11は水平駆動部13に支持されている。筐体10内において搬送口12が開口している側を手前側とすると、基板検査装置1への床面には手前側から奥側に向かってガイドレール14が敷設されており、水平駆動部13はこのガイドレール14に沿って水平移動自在に構成されている。この水平駆動部13から筐体10の奥側に伸びるようにガイドレール14の上側を覆うカバー15が設けられている。このカバー15は、ウエハWの撮像時にガイドレール14による光の反射を防ぎ、当該光が撮像カメラ31へ向かうことを防ぐ役割を有する。カバー15の表面には反射板16が設けられており、水平駆動部13の移動に伴って載置台11と共に筐体10内を手前側と奥側との間で移動する。図中16aは反射板の反射面である。この反射板16についてはさらに後述する。
【0019】
ガイドレール14上には筐体10の左右に伸びる横長のハーフミラー21が設けられており、このハーフミラー21は当該ガイドレール14の伸長方向に対して斜めに設けられている。また、ハーフミラー21の上方には当該ハーフミラー21を介して下方に光を照射する照明部22が設けられている。この照明部22は例えば発光ダイオードにより構成され、交換自在に構成されている。
【0020】
ハーフミラー21の奥側には撮像カメラ31が設けられている。この撮像カメラ31は、レンズ32と、レンズ32に写った像が結像する撮像素子群33とを備えている。撮像素子群33は横方向に一列に配列された例えば2048個のCCD素子(画素)である撮像素子30により構成されている。撮像カメラ31はウエハWが移動するときに、このウエハW全体を撮像することができるように取り付けられている。図3のブロック図も参照しながら説明する。この図3では図の理解を容易にするために撮像素子30に1〜2048の番号を付している。撮像素子30はA/D(アナログ/ディジタル)変換器34に接続されており、A/D変換器34の後段には増幅部をなす出力補正部35が接続され、その後段には信号処理部36が接続されている。撮像素子群33に入射した光は、この撮像素子群33により光電変換されてアナログ信号となり、各撮像素子30からのアナログ信号が所定の順番でA/D変換器34に出力され、当該A/D変換器34で0〜255の数値に対応するディジタル信号に変換されて、出力補正部35に出力される。
【0021】
この0〜255の数値は、撮像素子30に入射した光量、すなわち撮像された被写体の輝度を示す。ここで輝度とは2次光源、即ちウエハWや反射板16から撮像カメラ31に向かって発する光の強さであり、画像の明るさ(グレーレベル)で表現される無単位の値である。そして、出力補正部35では、各撮像素子30からの前記輝度を示す数値に対して予め設定された補正値が乗算され、0〜255までの数値に対応するディジタル信号として出力される。つまり、この出力補正部35は、各撮像素子30から出力される画像の輝度を同じ補正値で一律に補正して、撮像カメラ31の感度を調整する役割を有しており、補正値が大きいほど補正された画像は高い輝度を有することになる。
【0022】
信号処理部36では、出力補正部35から出力された信号に対してシェーディング補正、γ補正をこの順に行う。このシェーディング補正により各撮像素子30からの輝度は各撮像素子30ごとに予め設定された増幅度で個別に増幅される。そしてγ補正により各撮像素子30からの画像の輝度が予め設定した値で一律に増加するように補正され、0〜255の数値に対応するディジタル信号として出力される。
【0023】
この撮像カメラ31には変換部37が設けられており、上記のように出力補正部35で補正を行うための補正値が出力される。画像の輝度を補正するために後述の制御部4からこの変換部37に指示値が送信されるが、変換部37では例えば図4で示すような前記指示値と前記補正値との対応関係が記憶される記憶部を備えており、前記指示値とこの対応関係とから当該変換部37で補正値が決定されて、この補正値が出力補正部35に出力される。このように変換部37で指示値から補正値への変換を行うのは、撮像カメラ31の仕様によって撮像カメラ31ごとにA/D変換器34からの出力がばらついたときに、出力補正部35からの出力のばらつきを抑えるためである。つまり、前記相関関係は撮像カメラ31ごとに設定される。なお、A/D変換器34からのディジタル値は通常は、比較的低い値になるため、前記補正値としては1以上の値についても出力されるように前記相関関係が設定されている。
【0024】
図5はこのように輝度が増幅されて画像が補正される様子を示した図である。図5の上段では、被写体の像が写り込んだ撮像素子群33を示しており、各撮像素子30の上にはA/D変換されて得られる輝度を示している。そして、図5中段は、図5上段の各撮像素子30から出力補正部35により増幅されて生成した画像を示しており、図中の数値はその輝度を示している。この例では補正値により各撮像素子30の輝度を10倍に増幅している。図5下段は、シェーディング補正を行い、所定の撮像素子30からの輝度が10加算されて補正されて得られた画像を示している。この後γ補正が行われ、各撮像素子30から得られた画像は、制御部4に記憶される。
【0025】
図1の説明に戻る。照明部22からの照明がハーフミラー21を通過し、図中rで示すハーフミラー21の下方の照射領域に当てられる。そして、この照射領域rにおける物体の反射光がハーフミラー21で反射し、撮像カメラ31に取り込まれる。すなわち撮像カメラ31は、照射領域rに位置する物体を撮像することができる。そして、ウエハWがガイドレール14に沿ってハーフミラー21の下方を手前側から奥側に向けて移動しているときに、撮像カメラ31が制御部4の制御信号に従って間欠的に撮像を行い、ウエハWの表面全体が撮像される。
【0026】
この基板検査装置1は、上記のようにウエハWを撮像してその表面の検査を行うための検査モードと、当該装置1にウエハWが搬入されていない状態で撮像カメラ31で得られる画像の輝度の調整及び照明部22の交換の要否を確認するメンテナンスモードとを選択して実行する。具体的にメンテナンスモードでは、反射板16を撮像して得られる画像の輝度に応じて、出力補正部35による信号の増幅度、つまり前記補正値及びこの補正値に対応する指示値を設定し、画像の輝度を適切な値に制御する。そして指示値が許容値を超えたときには、信号中のノイズが増幅されることによる画像の劣化を防ぐために照明部22の交換をユーザに報知する。
【0027】
ここで、反射板16についてさらに詳しく説明する。反射板16は前記メンテナンスモード実行時に用いられ、照射領域rに位置したときに図6に示すように照明部22の光を反射する。反射板16で反射した光は図中矢印で示すようにハーフミラー21により反射され、撮像カメラ31の撮像素子群33に照射されるようになっている。検査モード実行時には図1に示すように載置台11に載置されたウエハWの下方に反射板16は位置している。従って図6に矢印で示した反射板16と撮像素子群33との間の光路が当該ウエハWにより遮断されることになり、反射板16は撮像カメラ31により撮像されない。このような位置に反射板16を設けるのは、検査モード実行時に反射板16からの光が撮像カメラ31に供給されて光飽和が起きる、つまり撮像素子群33で発生する電荷が飽和し、取得されるウエハWの画像が不鮮明になることを防ぐためである。
【0028】
続いて、コンピュータからなる制御部4について図3を参照しながら説明する。制御部4はバス41を備え、バス41には各種の演算を行うCPU42、プログラム格納部43、メモリ44、表示部45及び入力部46が接続されている。プログラム格納部43には検査モード実行用のプログラム51と、メンテナンスモード実行用のプログラム52とが格納される。プログラム51、52は、制御部4から基板検査装置1の各部に制御信号を送り、後述の各モードの処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。プログラム格納部43は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等からなる。
【0029】
メモリ44は、出力補正部35の補正値を設定するために用いられる各種のデータが記憶される補正値設定用データ記憶領域53と、撮像カメラ31から取得された画像の輝度が記憶される画像データ記憶領域54と、設定された指示値を記憶する指示値記憶領域55と、検査モードでウエハWの適否の判定を行うための基準データ記憶領域56を備えている。
【0030】
メモリ44の各領域についてさらに詳しく説明すると、補正値設定用データ記憶領域53には、メンテナンスモード実行時において反射板16が撮像されたときに画像データ記憶領域54に記憶される輝度の目標値と、その目標値からのずれの許容範囲と、指示値の上限値とが記憶されている。前記許容範囲は前記目標値以下且つ目標値よりも若干低い値以上の範囲である。
【0031】
画像データ記憶領域54には、前記撮像素子群33を構成する各撮像素子30から順番にアナログ信号が出力されることにより、各撮像素子30から出力された画像の輝度が各々所定のアドレスに格納される。指示値記憶領域55には、メンテナンスモード実行時に決定された指示値と当該指示値を決定した日時とが互いに対応付けられて記憶される。この指示値及び日時は、指示値の変更が行われる度に記憶される。また、この指示値記憶領域55には照明部22を交換した日時が記憶される。この日時は入力部46からユーザが所定の設定を行うことにより記憶される。基準データ記憶領域56には欠陥がないウエハ(基準ウエハ)の画像が記憶され、この基準ウエハの画像の輝度と、検査モード実行時に画像データ記憶領域54に記憶されるウエハWの画像の輝度とが互いに比較され、ウエハWの欠陥の有無が判定される。
【0032】
続いて報知部をなす表示部45について説明する。表示部45は、ウエハ表示領域61と、指示値表示領域62と、アラーム表示領域63とを備えている。ウエハ表示領域61は画像データ記憶領域54に記憶された画像データが表示される領域である。つまり、検査モード実行時には撮像カメラ31から取得されたウエハWの画像がこのウエハ表示領域61に表示される。指示値表示領域62は、メモリ44の指示値記憶領域55に記憶されるデータに基づいて、照明部22を交換してからの指示値の経時変化を示す。
【0033】
図7は、この指示値表示領域62の表示の一例を示したグラフである。グラフの横軸は照明部22を交換してからの経過期間(単位:時間)であり、これは指示値記憶領域55に記憶される照明交換日時と各指示値の設定日時との差分である。図中の縦軸は決定された指示値を示している。指示値記憶領域55に記憶される指示値が、その設定日時に応じてグラフ中にプロットされる。グラフ中には補正値設定用データ記憶領域53に記憶される指示値の上限値も表示される。
【0034】
グラフ中の上限値到達予測時間は、最も新しく設定された指示値をα、その直前に設定された指示値をβ、指示値αの設定された日時をt1、指示値βの設定された日時をt2として、指示値αが設定された後、指示値の上昇率が(α−β)/(t1−t2)であるものとして上限値までの到達時間が演算されて表示されたものである。なお、指示値表示領域62の表示としてはこのような表示に限られず、例えば照明を交換してから各指示値を設定するまでの時間と、設定された各指示値とが対応付けられた表が表示されてもよい。指示値の代わりに補正値が表示されてもよい。
【0035】
アラーム表示領域63は、設定された指示値に基づいて照明の交換が必要であるか否かを表示してユーザに報知するための領域である。また、このアラーム表示領域63には指示値の変更が行われたか否かも示される。なお、ユーザに照明の交換を要することや指示値が変更されたことを報知するためのアラームとしては、このように画面表示することに限られず、警告音を鳴らすことにより行ってもよい。
【0036】
入力部46は例えば複数のボタンなどにより構成されている。既述のようにユーザは、入力部46から照明部22を交換したときに所定の操作を行う。また、この入力部46から操作を行うことで、メンテナンスモードと検査モードとの間で実行するモードを切り替えることができる。
【0037】
続いてメンテナンスモード、検査モードの順に各モードが行われる手順を説明する。図8のフローチャートはメンテナンスモードのフローを示しており、このフローも参照しながら説明する。
(メンテナンスモード)
ユーザが入力部46から所定の操作を行うと、照明部22による光照射が行われた状態で、水平駆動部13により載置台11が筐体10の手前側のウエハWを受け取るための受け取り位置から前進し、それに伴って反射板16が前進して、図6に示したように照明部22の照射領域rに位置する。それによって、照明部22の光が反射板16で反射し、ハーフミラー21を介して撮像カメラ31に向けて導光される。撮像カメラ31の不図示のシャッタが開き、前記反射板16からの光がレンズ32に入射し、撮像素子群33に結像する(ステップS1)。
【0038】
既述したように撮像素子群33の各撮像素子30から、各撮像素子が受光した光量に応じた出力でアナログ信号が発生し、このアナログ信号がA/D変換器34でディジタル信号に変換される。制御部4からは指示値記憶領域55に最も新しく記憶された指示値(aとする)が撮像カメラ31に出力され、変換部37からはこの指示値aに対応する補正値が出力されて、出力補正部35にてA/D変換器34からのディジタル値とこの補正値とが乗算され、0〜255の輝度のディジタル値が出力される。そして、上記のように信号処理部36によりこの輝度はさらに補正され、各撮像素子30からの出力ごとにメモリ44の画像データ記憶領域54の異なるアドレスに記憶される。
【0039】
続いて、この画像データ記憶領域54に記憶された輝度のデータのうち、前記反射板16からの光が射しこむ複数の撮像素子30からの輝度について平均値が演算され、この輝度の平均値が補正値設定用データ記憶領域53に記憶される目標値からの許容範囲に含まれるか否かが判定される(ステップS2)。どの撮像素子30から出力された輝度から平均を算出するかは予め設定しておくものとする。
【0040】
ステップS2で輝度の平均値が許容範囲に含まれると判定された場合、表示部45のアラーム表示領域63に照明交換不要である旨のサイン及び指示値の変更が行われなかった旨のサインが表示される。ステップS2で輝度の平均値が許容範囲外であると判定された場合、指示値がa+1に設定され(ステップS3)、再びステップS1と同様に反射板16が撮像される(ステップS4)。指示値a+1に対応する補正値で出力補正部35による増幅が行われ、各撮像素子30からの画像の輝度が画像データ記憶領域54に記憶される。そして、ステップS2と同様に複数の撮像素子30の輝度の平均値が演算され、補正値設定用データ記憶領域53に記憶される目標値以上であるか否かが判定される(ステップS5)。
【0041】
そして、ステップS5で、目標値以上ではないと判定された場合には、指示値をa+2に設定し、反射板16の撮像、輝度が目標値以上であるかの判定を再度行う。この判定結果が目標値以上ではないとされた場合には、指示値をa+3に設定し、反射板16の撮像、輝度が目標値以上であるかの判定を再度行う。つまり、ステップS3〜S5を繰り返し実行し、ステップS5で輝度が目標値以上ではないと判定される度にステップS3で指示値を+1ずつ上昇させて設定する。
【0042】
ステップS5で、目標値以上であると判定された場合には、設定した指示値が補正値設定用データ記憶領域53に記憶される指示値の上限値よりも高いか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6で上限値よりも高くないと判定された場合、このように判定が行われた日時と設定された指示値とが対応付けられて指示値記憶領域55に記憶され(ステップS7)、アラーム表示領域63には指示値が変更された旨のサインが表示される。さらに、指示値表示領域62のグラフが更新され、新たに記憶された指示値と、その設定日時に対応する箇所にプロットが追加され、グラフ線が引かれる。また、上限値到達予測時間が演算され、グラフ内の表示が更新される。
【0043】
上限値よりも高いと判定された場合、アラーム表示領域63に照明交換を要する旨のアラームが出力される(ステップS8)。上記のフローは、判定部及び増幅度調整部をなすメンテナンスモード用プログラム52により実行される。このようにアラームが出力されると、ユーザは基板検査装置1に立ち入って照明部22を交換し、交換終了後に入力部46から所定の操作を行う。それによって指示値記憶領域55に記憶されたデータがリセットされ、それによって表示部45の指示値表示領域62のグラフもリセットされる。照明部22の交換日時としては入力部46による前記操作を行った日時が新たに記憶される。そして、このように照明部22の交換を行ったときには例えば予め設定された指示値(初期値)が用いられて、上記のメンテナンスモードが行われ、指示値が改めて設定される。
【0044】
(検査モード)
メンテナンスモード終了後、入力部46から所定の操作を行うと検査モードが開始される。ウエハWが図示しない搬送機構により基板検査装置1に搬送され、その裏面側中央部が図1中に実線で示す受け取り位置に位置する載置台11に保持される。然る後、当該載置台11がウエハWを保持した状態で筐体10の奥側(撮像カメラ31側)へと前進する。照明部22の下方の照射領域rに位置すると、撮像カメラ31により撮像が行われる。既述のようにウエハWが前進を続けながら間欠的に撮像が行われることで、ウエハW全体が撮像される。
【0045】
このとき、制御部4からは最も新しく設定された指示値が撮像カメラ31に出力され、その指示値に対応する補正値によりA/D変換器34からの出力が補正され、画像の輝度が増幅される。そしてメンテナンスモード実行時と同様に画像の輝度は信号処理部36で補正された後、メモリ44の画像データ記憶領域54に記憶される。記憶された輝度に基づいて表示部45のウエハ表示領域61にウエハWの画像が表示されると共に、この画像が基準ウエハの画像と比較され、撮像されたウエハWの欠陥の有無が判定される。上記の一連の処理は検査モード用プログラム51により実行される。
【0046】
この基板検査装置1によれば、反射板16により反射された照明部22の光を撮像カメラ31が撮像し、撮像された画像データの輝度に基づいて、照明の交換の要否が判定される。従って、照明部22の照度を確認するための冶具(調整用ウエハ)を当該基板検査装置1に搬送する必要が無いので、この照度の確認によりウエハWのスループットが低下することを抑えることができる。また、この基板検査装置1では、前記反射板16により反射された照明部22の光を撮像カメラ31が撮像し、撮像された画像の輝度が目標値以上になるように補正値を上昇させている。従って、この補正値を設定するために冶具を当該基板検査装置1に搬送する必要が無いので、この補正値を設定するにあたりウエハWの処理のスループットが低下することを抑えることができる。また、このように補正値を上昇させることにより、照明部22の交換の頻度を抑えることができるので、より確実にスループットの低下を抑えることができる。
【0047】
また、この基板検査装置1によれば照明部22を交換してから指示値が変更されるまでの各時間と変更された各指示値とを対応付けて表示する。これによって、ユーザは、指示値の経時変化から照明部22の照度の低下度合を把握し、照明部22の照度が所定の基準を下回るタイミングを予測することができる。従って、照明部22から十分な光が照射されない状態でウエハWを検査して、存在する欠陥を検出できなくなることが防がれるし、照明部22から十分な照度が得られるのにも関わらず無駄にメンテナンスモードを実行してスループットが低下することを抑えたり、新しい照明部22に交換してしまったりすることを防ぐことができる。
【0048】
さらに、この基板検査装置1は、検査モード実行時に反射板16からの光がウエハWにより遮られるように当該反射板16が設けられている。従って、ウエハWの検査を行うときにウエハWから反射する光と反射板16から反射する光が共に撮像カメラ31に供給され、撮像素子群33から発生する電荷が飽和する、いわゆる光飽和の状態になり、適切な画像データが得られなくなることが防がれる。これによって精度高くウエハWの検査を行うことができる。
【0049】
ところで、実際には基板検査装置1の照明部22の照度は複数段階に設定され、輝度の下限値及び目標値はその段階ごとに設定されている。照明部22の交換時にこの照度の設定を行い、メンテナンスモード実行時にはこの照度に対応した前記輝度の目標値及び許容範囲が読み出されて、上記の各ステップSが実行される。
【0050】
上記の実施形態において、指示値を補正値に変換して出力せずに、制御部4から直接補正値を出力し、A/D変換器34から出力されるディジタル値に乗算して増幅させてもよい。また、このようにA/D変換器34の後段で信号の増幅を行う代わりに、各撮像素子30から出力されたアナログ信号に対して補正値を用いて増幅し、その後にA/D変換を行ってもよい。また、上記の各実施形態で指示値が表示部45に表示される指示値をユーザが監視し、その表示に基づいて当該ユーザが照明部22の交換のタイミングを判定してもよい。
【0051】
また、上記の実施形態ではメンテナンスモードで補正値を設定するにあたり、指示値を1ずつ上昇させているが、このように設定することには限られない。例えば画像データを所定の値、例えば5上昇させるために必要な指示値の増加分cを求めておく。そしてメンテナンスモード実行時に輝度の目標値が200で測定された輝度が180であったときに(200−180)/5×cを演算し、この演算値を指示値に加算して、再び輝度を測定する。そして、測定された輝度が目標値である200より小さければ上記の実施形態と同様に、目標値になるまで指示値を1ずつ増加させ、逆に測定された輝度が目標値である200より大きければ目標値になるまで指示値を1ずつ低下させて、輝度を調整してもよい。また、上記のステップS2、S5で各撮像素子30から得た輝度の平均を輝度の許容範囲と比較する代わりに、複数の撮像素子30から得た輝度を個別に輝度の許容範囲と比較し、所定の個数の撮像素子30の輝度が許容範囲から外れたときにステップS3の補正値の上昇が行われるようにしてもよい。
【0052】
続いて、他の基板検査装置の実施形態について説明する。図9は基板検査装置8であり、基板検査装置1と略同様に構成されている。基板検査装置1との差異点を説明すると、この基板検査装置8では反射板16が筐体10の天井部にハーフミラー21の手前側に起立した状態で設けられており、反射面16aは筐体10の奥側に向けられている。図中71は反射板16を昇降させるための昇降機構である。検査モード実行時には、図9に示す撮像カメラ31による撮像が行われる撮像領域r1の外側の退避位置に反射板16が退避している。
【0053】
メンテナンスモード実行時においては、図10に示すように昇降機構71により反射板16が下降し、前記撮像領域r1内に位置する。このときに図中に点線で示すように照明部22から反射板16で反射された光が撮像カメラ31の撮像素子群33に入射する。即ち反射板16が撮像される。このような構成とすることで基板検査装置1と同様に、検査モード実行時に撮像素子群33に過剰な光が照射されて光飽和が起きることを防ぐことができる。なお、照明部22及びハーフミラー21を昇降機構71により反射板16に対して昇降させることで撮像素子群33への導光状態と非導光状態とを切り替えてもよい。
【0054】
このように光飽和が起きないようにするためには、図11のように反射板16を構成してもよい。この図11では、ハーフミラー21の手前側(搬送口側)に支持板72が設けられ、支持板72は筐体10の側壁に設けられた回動機構73により図12、図13に示すように水平軸回りに回動する。支持板72には反射板16が設けられている。そして、検査モード実行時には図11に示すように反射板16が手前側を向くことにより、照明部22の光が反射せず、反射板16は撮像カメラ31により撮像されない。そして、メンテナンスモード実行時には反射面16aが奥側を向き、基板検査装置7の反射板16と同様に撮像カメラ31の撮像領域r1に位置することができる。
【0055】
図14は、光飽和を防ぐためのさらに他の反射板の構成例を示している。この例では反射板16は、反射面16aが奥側(撮像カメラ31側)を向くようにハーフミラー21の手前側に設けられ、反射面16aに重ねられるように調光ガラス74が設けられている。この調光ガラス74は、液晶からなる板状体が対になる透明な導電膜に面方向に挟まれ、さらにその導電膜を外側から面方向に、対になる板ガラスが挟むことにより構成される。この調光ガラス74において、電圧が導電膜に印加されていないときには前記液晶を構成する分子が不規則に配列されることにより透明度が低く、照明部22の光が反射板16により反射されない。電圧が導電膜に印加されているときには、前記分子の配列が規則的になることで調光ガラス74の透明度が高くなり、照明部22の光を透過する。それによって図15に示すように反射板16が照明部22の光を反射し、その光が撮像カメラ31の撮像素子群33に入射する。
なお、載置台11の表面に反射板16を設けて、メンテナンスモードの実行時にはこの載置台11が照明部22の光の照射領域rに移動するように構成してもよい。
【0056】
このように昇降機構71や回動機構73により反射板16が移動したり、調光ガラス74を設けたりする場合も、メンテナンスモード実行時には反射板からの光とウエハWから反射した光とが撮像素子群33に入射することを防ぐために、ウエハWが筐体10内に搬送されていない状態で行うことが好ましい。ただし、ウエハWが筐体10内において照明部22の照射領域rから外れた位置にある状態でメンテナンスモードが行われてもよい。
【0057】
反射板16を設ける場所はこれらの例に限られず、例えば図16に示すように水平駆動部13による載置台11の移動を妨げないように照明部22の下方の床面に設けてもよい。ただし、この場合は検査モード実行時に反射板16の光がウエハWに反射して撮像カメラ31の撮像素子群33に入射しないように、例えば水平面に対して若干傾けて設けられる。
【0058】
図17は、基板検査装置1の他の変形例であり、この例ではカバー15に横長の反射板16が設けられ、撮像素子群33の横方向に配列されたすべての撮像素子30に反射板16からの光が照射される。この基板検査装置9では、基板検査装置1に比べてより多くの様々な位置の撮像素子30から得た輝度をサンプリングして平均値を求めて、許容範囲と比較したり個別に許容範囲と比較することができるため、照明部22の照度の低下具合が照明部22の長さ方向にばらついたときにも、画像の輝度が許容値より低くなることをより確実に抑えることができる。
【0059】
上記の各実施形態において、メンテナンスモード実行時に画像の輝度が下限値より低くなっているときに補正値を変更せず、アラームを出力してもよい。つまり、上記のフローでステップS2を実行した後、ステップS3〜S6を行わずステップS8を行ってもよい。また、撮像素子群33に照明部22の光を導光する導光部材としては反射板に限られず、例えば照明部22の下方に光ファイバの一端を照明部22の下方に配置し、他端を撮像カメラ31に向けて配置して照明部22の光が撮像素子群33に導光されるようにしてもよい。
【0060】
ところで、補正値設定用データ記憶領域53に記憶される輝度の目標値の設定方法について説明しておく。予め表面にレジスト等の膜が形成されていないウエハを装置に搬送し、撮像カメラ31による撮像を行う。表示部45に表示されるウエハの画像を参照しながらユーザが入力部46より手動で出力補正部35による指示値を変化させて、適切な輝度の画像が得られる指示値を特定する。その後、速やかに前記ウエハを基板検査装置1から搬出し、反射板16を撮像する。そして、特定した指示値に対応する補正値で輝度を増幅し、前記反射板16による光が入射する撮像素子30から制御部4に出力される輝度を目標値とする。
【0061】
上記の各実施形態において、メンテナンスモードは、例えば基板検査装置1の上流側の装置から搬送される一のロットのウエハWと、後続のロットとのウエハWとの間隔が大きく空いている場合に上記のようにユーザが入力部46から操作を行うことで実行されるようにしてもよい。
また、各ウエハWの搬送を制御する上位コンピュータから一のロットと次のロットとが基板検査装置1に搬送される予測時刻を制御部4に送信する。制御部4のメモリ44には閾値が記憶されており、一のロットと次のロットとの搬送される間隔が、その閾値よりも長い場合に一のロットの検査終了後、自動でメンテナンスモードを行い、メンテナンスモード終了後、自動で検査モードに戻って次のロットに対して検査を行うように、各プログラム51、52を組んでもよい。なお、本発明はウエハ以外のLCD基板などの基板の検査にも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
W ウエハ
1 基板検査装置
10 筐体
11 載置台
22 照明部
30 撮像素子
31 撮像カメラ
35 出力補正部
4 制御部
51 検査モード実行用プログラム
52 メンテナンスモード実行用プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記メンテナンスモード実行時に前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅し、その増幅度が可変できるように構成された増幅部と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて前記増幅度を調整する増幅度調整部と、
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された増幅度と、前記期間とを対応付けて表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項2または3記載の基板検査装置。
【請求項5】
導光部材は、前記メンテナンスモード実行時に照明部の光を前記撮像素子に導光し、検査モード実行時には照明部の光を撮像素子に導光しないように構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項6】
メンテナンスモード実行時において載置台に基板が載置されていないときに導光部材により撮像素子への導光を行うための光路が、検査モード実行時において載置台に載置された基板により遮断されることを特徴とする請求項5に記載の基板検査装置。
【請求項7】
導光部材を前記照明部に対して、当該照明部からの光を撮像素子に導光するための第1の位置と、当該照明部からの光を撮像素子に導光しない第2の位置との間で相対的に移動させる駆動機構が設けられることを特徴とする請求項5に記載の基板検査装置。
【請求項8】
導光部材は、照明部の光を反射して撮像素子に照射するための反射部材により構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項9】
前記メンテナンスモードは、前記照明部の光の照射領域に基板が位置していないときに実行されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項10】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知部により報知する工程と、
を備えたことを特徴とする基板検査方法。
【請求項11】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
その増幅度が可変できるように構成された増幅部により、前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅する工程と、
前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて増幅度調整部により前記増幅度を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする基板検査方法。
【請求項12】
判定部により前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する工程と、
報知部により前記増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項11記載の基板検査方法。
【請求項13】
前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを対応付けて表示部に表示する工程を含むことを特徴とする請求項12または13記載の基板検査方法。
【請求項14】
前記導光部材は、基板に照明部から光を照射して撮像部により撮像するときに照明部の光を撮像素子に導光しないことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一つに記載の基板検査方法。
【請求項15】
基板を検査する検査装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項10ないし14のいずれか一つに記載の基板検査方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う検査装置において、
前記載置台に載置された基板を被写体として撮像して検査を行う検査モードと、照明部の照度を確認するためのメンテナンスモードとの間でモードを選択するためのモード選択部と、
前記筐体内に設けられ、前記メンテナンスモード実行時に前記照明部の光を前記撮像素子に導光するための導光部材と、
前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅し、その増幅度が可変できるように構成された増幅部と、
メンテナンスモード実行時に前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて前記増幅度を調整する増幅度調整部と、
を備えたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知するための報知部と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された増幅度と、前記期間とを対応付けて表示する表示部とを備えたことを特徴とする請求項2または3記載の基板検査装置。
【請求項5】
導光部材は、前記メンテナンスモード実行時に照明部の光を前記撮像素子に導光し、検査モード実行時には照明部の光を撮像素子に導光しないように構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項6】
メンテナンスモード実行時において載置台に基板が載置されていないときに導光部材により撮像素子への導光を行うための光路が、検査モード実行時において載置台に載置された基板により遮断されることを特徴とする請求項5に記載の基板検査装置。
【請求項7】
導光部材を前記照明部に対して、当該照明部からの光を撮像素子に導光するための第1の位置と、当該照明部からの光を撮像素子に導光しない第2の位置との間で相対的に移動させる駆動機構が設けられることを特徴とする請求項5に記載の基板検査装置。
【請求項8】
導光部材は、照明部の光を反射して撮像素子に照射するための反射部材により構成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項9】
前記メンテナンスモードは、前記照明部の光の照射領域に基板が位置していないときに実行されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載の基板検査装置。
【請求項10】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
前記導光部材を介して撮像素子により取得した照明部の光の輝度が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する工程と、
前記判定部により前記輝度が前記許容範囲から外れていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知部により報知する工程と、
を備えたことを特徴とする基板検査方法。
【請求項11】
筐体内に設けられた載置台に載置された基板に照明部から光を照射して撮像素子を含む撮像部により撮像し、その撮像結果に基づいて基板の検査を行う工程と、
前記筐体内に設けられる導光部材により、照明部の照度を確認するために前記照明部の光を前記撮像素子に導光する工程と、
その増幅度が可変できるように構成された増幅部により、前記照明部の照度の低下時においても検査結果を安定させるために撮像素子から出力される輝度信号を増幅する工程と、
前記導光部材、撮像素子及び前記増幅部を介して取得した照明部の光の輝度と、予め設定された輝度とに基づいて増幅度調整部により前記増幅度を調整する工程と、
を備えたことを特徴とする基板検査方法。
【請求項12】
判定部により前記増幅度が予め設定された許容値を超えているか否かを判定する工程と、
報知部により前記増幅度が前記許容値を超えていると判定されたときに照明部の交換を要することを報知する工程と、
を備えたことを特徴とする請求項11記載の基板検査方法。
【請求項13】
前記調整された増幅度と、前記照明部を交換してから前記増幅度が決定されるまでの期間とを対応付けて表示部に表示する工程を含むことを特徴とする請求項12または13記載の基板検査方法。
【請求項14】
前記導光部材は、基板に照明部から光を照射して撮像部により撮像するときに照明部の光を撮像素子に導光しないことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一つに記載の基板検査方法。
【請求項15】
基板を検査する検査装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項10ないし14のいずれか一つに記載の基板検査方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−247368(P2012−247368A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120917(P2011−120917)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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