説明

基板検査装置及びその測定運用システム

【課題】基板全面の検査はもとより基板内の局所的な検査を生産ライン上の流動的なガラスに対して遅延することなく表示する。
【解決手段】各測定モードでは、上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させる流動的な生産ライン上で1枚1枚のガラス基板に対し、走査領域分の測定を行なう。表示画面はスキャン毎並びに基板1枚分毎の2系統の検査結果を表示する。表示画面の例えば右側の領域には光学系を通過した基板の1スキャン分の検査結果、すなわち局所的な検査結果を生産ライン上の流動的なガラスに対して遅延することなく表示する。画面左側の領域には基板1枚分に相当する検査結果を並べて表示する。基板1枚分に相当する検査結果は、画面右側に表示された1枚1枚の基板検査結果の結合に相当し、基板における異物/欠陥の位置における座標をマップとして表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用パネル等の製造に用いられるガラス基板やプラスチック基板等の欠陥を製造ライン上で検査するための基板検査装置及びその測定運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル用基板等の製造は、フォトリソグラフィー技術により、ガラス基板やプラスチック基板等の上にパターンを形成して行われる。その際、基板に傷や異物等の欠陥が存在すると、パターンが良好に形成されず、不良の原因となる。このため、基板検査装置を用いて、基板の傷や異物等の欠陥の検査が行われている。
【0003】
基板検査装置は、レーザー光等の検査光を基板へ照射し、基板からの反射光又は散乱光を受光して、基板の傷や異物等の欠陥を検出するものである。検査光により基板を走査するため、基板全体の検査には時間が掛かる。そのため、従来は、ガラス基板やプラスチック基板等の製造ライン上や、これらの基板等を用いた表示用パネル基板の製造ライン上で、基板の欠陥をリアルタイムに検査することは困難であった。そこで、特許文献1に記載されたもののように、インライン上でガラス基板ごとにカメラでスキャンされた一部の単位領域に対するパーティクルの情報をデータ化して、ガラス基板のそれぞれの全領域に対するパーティクルの情報を統計的な数値で表示することによってガラス基板全体のパーティクル情報を測定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−164558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の典型的な異物検査装置は、生産ラインから別個独立した形式で運用されてきたものが多く、検査測定を行う場合に、生産ラインからガラス基板を抜き取り、搬送装置等を使用して検査装置に投入して検査する必要があった。ガラス基板は、全面を検査することが一般的となっており、搬送・検査動作及び検査処理にかかる演算等に多大な時間を必要とし、生産ラインから一旦ガラス基板を抜き取らなければならないという面で、稼動管理面からすると非効率的であった。また、ガラス基板内の局所的な位置の測定をする際にも、従来の検査装置では、わざわざ全面検査を行なう必要があり、この点からも無駄な時間を費やす結果となっていた。
【0006】
この発明は、基板全面の検査はもとより基板内の局所的な検査を生産ライン上の流動的なガラスに対して遅延することなく表示することのできる基板検査装置及びその測定運用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板検査装置の測定運用システムの第1の特徴は、上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させながら、移動中の基板と直交する方向へ投光系及び受光系からなる光学系を移動させて検査光を照射すると共に前記基板からの反射光又は散乱光を受光し、受光した前記基板からの反射光又は散乱光に基づいて前記基板の欠陥を検査し、予め設定された測定モードに従って前記欠陥を表示する基板検査装置の測定運用システムにおいて、前記測定モードとして、前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンする処理を、前記順番に移動する前記ガラス基板に対して連続的に実行するノーマル測定モードと、前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンした時点で検査を終了するワンマップ測定モードと、指定の時刻に前記ワンマップ測定モードによる検査を実行するスケジュール測定モードとを備え、前記各測定モードにおいて前記スキャン毎及び前記基板1枚分毎における2系統の検査結果を表示画面に表示することにある。
各測定モードでは、上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させる流動的な生産ライン上で1枚1枚のガラス基板に対し、走査領域分の測定を行なう。表示画面にはスキャン毎並びに基板1枚分毎の2系統の検査結果が表示される。表示画面の例えば右側の領域には光学系を通過した基板の1スキャン分の検査結果、すなわち局所的な検査結果を生産ライン上の流動的なガラスに対して遅延することなく表示する。また、画面左側の領域には基板1枚分に相当する検査結果を並べて表示する。基板1枚分に相当する検査結果は、画面右側に表示された1枚1枚の基板検査結果の結合に相当し、基板における異物/欠陥の位置における座標をマップとして表示する。なお、検査結果のピークレベルに合わせて、パラメータで登録された3つの閾値をキーとして大/中/小に分類し、それを欠陥リストとして分類ごとに異物数の表示を行うようにしてもよい。
【0008】
本発明に係る基板検査装置の測定運用システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の基板検査装置の測定運用システムにおいて、前記測定モードとして、さらに通過するガラス基板に対してスキャン位置を固定して同一箇所を測定するスティル測定モードと、1スキャンだけ測定を実施するシングル測定モードと、前記光学系を校正用位置に退避させ、校正用基板を測定し、光学系の調整パラメータを校正するキャリブレーション測定モードを備えたことにある。
この発明は、測定モードとしてスティル測定モードとシングル測定モードとキャリブレーション測定モードを備えたものであり、スティル測定モードは、基板を順番に移動させるコンベア装置等の基板のローラ接触等を監視する場合に適している。シングル測定モードは、検出ヘッド/スキャン位置の評価等に適している。キャリブレーション測定モードは、光学系の各種調整パラメータを変更して基板検査装置の性能を維持させるのに適している。
【0009】
本発明に係る基板検査装置の第1の特徴は、上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させながら、移動中の基板と直交する方向へ投光系及び受光系からなる光学系を移動させて検査光を照射すると共に前記基板からの反射光又は散乱光を受光し、受光した前記基板からの反射光又は散乱光に基づいて前記基板の欠陥を検査し、予め設定された測定モードに従って前記欠陥を表示する基板検査装置において、前記測定モードとして、前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンする処理を、前記順番に移動する前記ガラス基板に対して連続的に実行するノーマル測定モードと、前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンした時点で検査を終了するワンマップ測定モードと、指定の時刻に前記ワンマップ測定モードによる検査を実行するスケジュール測定モードとを備え、前記各測定モードにおいて前記スキャン毎及び前記基板1枚分毎における2系統の検査結果を表示画面に表示することにある。
これは、上述の測定運用システムの第1の特徴を備えた基板検査装置に関する発明である。
【0010】
本発明に係る基板検査装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の基板検査装置において、前記測定モードとして、さらに通過するガラス基板に対してスキャン位置を固定して同一箇所を測定するスティル測定モードと、1スキャンだけ測定を実施するシングル測定モードと、前記光学系を校正用位置に退避させ、校正用基板を測定し、光学系の調整パラメータを校正するキャリブレーション測定モードを備えたことにある。これは、上述の測定運用システムの第2の特徴を備えた基板検査装置に関する発明である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、基板全面の検査はもとより基板内の局所的な検査を生産ライン上の流動的なガラスに対して遅延することなく表示することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による基板検査装置の外観イメージを示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態による基板検査装置を上面から見た上面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による基板検査装置を側面から見た側面図である。
【図4】図2及び図3のステージを上側から見た上面図である
【図5】2つの光学系をY方向に移動させる光学系移動機構の概略構成を示す一部断面側面図である。
【図6】本発明の一実施形態を実現するためのシステム構成を示す図である。
【図7】図1のモニタに表示される検査結果表示画面の一例を示す図である。
【図8】測定モードの設定画面の一例を示す図である。
【図9】スケジュールパラメータの設定画面の一例を示す図である。
【図10】スケジュールパラメータの設定画面の別の一例を示す図である。
【図11】光学系ユニット選択画面の一例を示す図である。
【図12】測定モードがノーマルモードの動作の一例を示すイメージ図である。
【図13】測定モードがスケジュールモードの動作の一例を示すイメージ図である。
【図14】測定モードがスティルモード及びキャリブレーションモードの動作の一例を示すイメージ図である。
【図15】この実施の形態に係る基板検査装置の測定動作の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態による基板検査装置の外観イメージを示す図である。基板検査装置1は、基板に照射された検査光が基板の欠陥や異物によって反射又は散乱された反射光又は散乱光から基板の欠陥を検出するものを示している。基板検査装置1は、ステージ10、検出ガントリ(フレーム)13,14、光学系ユニット20a,20b、制御部30、受電制御盤40、及び光学電源制御盤50を含んで構成される。制御部30には、操作パネル31及びモニタ32が設けられている。なお、各構成要素の詳細については後述する。
【0014】
図2は本発明の一実施の形態による基板検査装置を上面から見た上面図、図3は本発明の一実施の形態による基板検査装置を側面から見た側面図である。基板検査装置1は、ステージ10、ローラ11、フレーム13,14、光学系移動機構、光学系ユニット20a,20b、焦点調節機構41、センサー51、校正用ステージ61a,61b及び制御部30を含んで構成される。なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0015】
図2及び図3において、検査対象である複数の基板1は、ライン内において、搬入コンベア2により基板検査装置1へ順番に搬入され、検査後、搬出コンベア3により基板検査装置1から順番に搬出される。ステージ10は、搬入コンベア2から各基板1を受け取る。図4は、ステージ10を上側から見た上面図である。図4に示すように、ステージ10の両端部にそれぞれ直線状に設けられたローラ11は、図4に破線で示した各基板1の裏面の周辺部に接触しながら回転して、各基板1を矢印で示す基板移動方向(X方向)へ順番に移動させる。ステージ10の上面には、図示しない複数のエア吹き出し口が設けられている。これらの複数のエア吹き出し口は、ローラ11により移動される各基板1の裏面に対してエアを吹き付るようになっている。各基板1の中央部に吹き付けられるエアの働きによって、各基板1は撓むことなく浮上され、X方向に順番に移動する。
【0016】
図2及び図3に示すように、ローラ11によってX方向に移動される基板1の上方(図2の図面奥行き方向の手前側、図3の上側)には、基板1の基板移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)の幅以上に渡って伸びるフレーム13,14が設置される。このフレーム13,14には、光学系ユニット20a,20bをY方向に移動させる光学系移動機構が搭載される。なお、本実施の形態では、2つの光学系ユニット20a,20bが設けられているが、光学系の数はこれに限らず、1つ又は3つ以上の光学系を設けてもよい。
【0017】
図5は、2つの光学系をY方向に移動させる光学系移動機構の概略構成を示す一部断面側面図である。光学系移動機構は、ガイド15,17、移動台16、並びに磁石板18及びコイル19から成るリニアモータを含んで構成される。断面形状が略L字型のフレーム13,14には、図5の図面奥行き方向(Y方向)へ伸びるガイド15が2つの光学系ユニット20a,20bを挟むように設けられている。それぞれのガイド15の上側には、移動台16の収納部16cが搭載される。
【0018】
移動台16は、光学系ユニット20a,20bを収納する凹形の収納部16cと、この収納部16cの上端部から水平方向に伸びるアーム部16dとから構成される。収納部16cには、後述する焦点調節機構41を介して、光学系ユニット20a,20bが収納搭載される。フレーム13の上面部両側には、図5の図面奥行き方向(Y方向)へ伸びるガイド17が設けられている。それぞれのガイド17の上側には、移動台16のアーム部16dが搭載される。
【0019】
フレーム13上面部中央には、リニアモータの固定子である磁石板18が取り付けられている。移動台16のアーム部16dの下側には、リニアモータの可動子であるコイル19が取り付けられている。コイル19へ電流を流すと、コイル19の電流と磁石板18の磁界とから、フレミングの左手の法則によって、コイル19に推力(ローレンツ力)が働き、移動台16がガイド15及びガイド17に沿って移動し、光学系ユニット20a,20bが基板移動方向(X方向)と直交する図面奥行き方向(Y方向)へ移動制御される。
【0020】
図6は、本発明の一実施形態を実現するためのシステム構成を示す図である。基板検査装置1の制御部30は、統括PC33、第1検出PC34、第2検出PC35、測定制御部36から構成される。測定制御部36は、PLC361、第1測定部362、第2測定部363、第1機構部364、第2機構部365及び操作パネル31から構成される。第1測定部362は光学系ユニット20aに、第1機構部364はフレーム13及びその光学系移動機構に、第2測定部363は光学系ユニット20bに、第2機構部365はフレーム14及びその光学系移動機構に、それぞれ対応する。
【0021】
図7は、図1のモニタに表示される検査結果表示画面の一例を示す図である。図7は、統括PC33によって表示されるメイン画面であり、ユーザインターフェースの役割を担う。全体マップ領域(Total Map)71は基板1枚分に相当する検査結果のデータを表示する領域である。1スキャンマップ領域(Scan Map)72は、1つの走査領域の検査結果データを表示する領域である。全体欠陥検出個数領域73は、基板1枚分に相当する検査結果のデータを表示する領域であり、欠陥個数をS/M/L/合計(Total)にそれぞ分類して表示する。スキャン毎欠陥検出個数領域74は、1つの走査領域の検査結果のデータを表示する領域であり、欠陥個数をS/M/L/合計(Total)に各スキャン番号毎にそれぞれ分類して表示する。ヒストグラム領域75は、全体マップ表示領域71の基板1枚分に相当する検査結果のヒストグラムを表示する領域である。オペレーション領域76は、操作メニューを表示する領域である。測定条件領域77は、測定条件に関する情報を表示する領域である。オペレーション領域76の操作メニューから、測定/動作条件の設定、測定結果の表示選択、条件設定、レシピの選択、結果MAP表示選択、データ集計処理選択等を行うことができ、第1検出PC34、第2検出PC35及び測定制御部36の動作管理機能を有している。
【0022】
第1検出PC34及び第2検出PC35は、データ集計処理用のPCであり、統括PC33の指示に従い、測定制御部36からの検出結果を編集し、統括PC33に報告する。測定制御部36は、第1機構部364及び第2機構部365の動作制御を行なうと共に搬入コンベア2及び搬出コンベア3とのインターフェースとなるPLC361各種測定回路から構成されている。搬入コンベア2上を搬送されて来たガラス基板1が第1測定部362に到達した際、想定される通過時間を、PLC361が時間経過の監視処理を行い、通過時間経過後に、ガラス基板1が第1測定部362を通過したものとみなし、PLC361から第1検出PC34(以下、第2検出PC35も同様とする)に通過時間経過した(すなわち測定完了した)旨のイベントを、DI/Oにて通知する。
【0023】
第1検出PC34は、PLC361から通知されたイベントを確認し、第1測定部362から検査結果データをPC内部メモリに取り込み、座標変換演算処理を行った後、第1検出PC34と統括PC33間に生成された共有メモリ領域に、その検査結果データを書き込む。第1検出PC34は、データ書き込み完了後、イベントを統括PC33に通知し、統括PC33は、本イベントを受信したとき、共有メモリにある検査結果データを取得する。データ取得直後に、1スキャンマップ領域72上に検査結果データに基づくXY座標系にて検査結果の点をプロットする。また、上記処理と同時に、パラメータで登録された3つの閾値をキーとして、検査結果データにある検出レベル値を小/中/大(S/M/L)に分類し、そのデータの個数をスキャン毎欠陥検出個数領域74にリストとして表示する。本リスト表示は、検査結果ごとに自動的に上下にスクロールする。スキャン方向が1スキャン目からNスキャン目に向う場合には、下方向にスクロールする。スキャン方向がNスキャン目から1スキャン目に向う場合には、上方向にスクロールする。
【0024】
統括PC33は、ガラス基板1の川幅サイズから、測定すべきスキャン数を算出し、第1検出PC34及び第2検出PC35から送信されてきた検査結果通知の回数が、ガラス基板1の1枚分に相当するものであれば、その1枚分の測定が終了したものと判断し、1スキャンマップ領域72の画面表示を全体マップ表示領域71にコピーする。また、同時に、全体欠陥検出個数領域73に、スキャン毎欠陥検出個数領域74の総計を表示し、ヒストグラム領域75に全検査結果データの検出レベル値をヒストグラムグラフとして表示する。上述の表示完了後は、必要に応じて統括PC33のモニタ画面に表示された内容をそのままプリンタを用いて欠陥数、判定結果を出力することができる。また、モニタ画面のハードコピーについては、画像ファイルとしての指定フォルダに保存することも可能である。
【0025】
図8は、測定モードの設定画面の一例を示す図である。モード選択領域81は各測定モードの選択を行う画面である。モード選択領域81において「ノーマル(Normal)」モード又は「ワンマップ(1Map)」モードが選択された場合は、モードオプション選択領域82の各ボタン(スケジュールパラメータ(Schedule Parameter)/光学系ユニット選択(Optical Unit Select))を選択することはできなくなる。一方、モード選択領域81において「スケジュール(Schedule)」モードが選択された場合、モードオプション選択領域82に測定モードの詳細を設定するためのボタン(スケジュールパラメータ)を選択することができるようになる。このとき、「スケジュールパラメータ」ボタンが選択されると、図9又は図10の画面が表示されるようになる。
【0026】
モード選択領域81において「スティル(Still)」モード、「シングル(Single)」モード、「キャリブレーション(Calibration)」モードが選択された場合、モードオプション選択領域82に表示されている「光学系ユニット選択」ボタンが選択可能となり、光学系ユニットを選択するための画面を表示することが可能となる。このとき、「光学系ユニット選択」ボタン選択されると、図11の画面が表示されるようになる。
【0027】
なお、測定モードを変更しないかぎり、図8の「OK」ボタンは使用不可となり、変更した場合にかぎり使用可能となる。このとき、「OK」ボタンが押されると、LAN経由でPLC361、第1検出PC34及び第2検出PC35に同時に通知され、各内部メモリの測定モード情報が更新される。一方、図8の「Cancel」ボタンが押されると、測定モードの更新は行なわれずに、図8の測定モードの設定画面は終了される。
【0028】
図9及び図10は、スケジュールパラメータの設定画面の一例を示す図である。図9又は図10の画面は、図8の測定モードの設定画面で「スケジュールパラメータ」ボタンが選択された場合に表示されるスケジュールモードの詳細パラメータを設定するための画面であり、図9又は図10の画面中のマニュアルインプット項目91にチェックがない場合には、図9の画面が表示され、チェックがある場合には図10の画面が表示される。図9のスケジュールパラメータ設定画面では、開始時間設定領域92の最上段に設定された開始時間を基準にして、その開始時間からインターバル選択領域93で選択された間隔時間毎に、測定スキャン動作を実行するというスケジュールを選択することができる。一方、マニュアルインプット項目91にチェックがある場合は、図10のスケジュールパラメータ設定画面が表示される。図10のスケジュールパラメータ設定画面では、スケジュールカウント領域101で設定された数の分だけ、開始時間設定領域102の時刻設定が制限される。また、装置が運転中の場合は、開始時間設定領域102の時刻になったら、測定スキャン動作を実行するようになる。図9又は図10のスケジュールパラメータ設定画面において「OK」ボタンが押されると、設定予約が完了し、さらに、図8の測定モードの設定画面の「OK」ボタンが押されることで、設定が更新される。なお、図9又は図10のスケジュールパラメータ設定画面において「Cancel」ボタンが押されると、設定変更は行なわれずに、図9又は図10のスケジュールパラメータ設定画面は終了される。
【0029】
図11は、光学系ユニット選択画面の一例を示す図である。図11の画面は、図8の測定モードの設定画面で光学系ユニット選択ボタンが選択された場合に表示される。図11の光学系ユニット選択画面の光学系ユニット選択領域111では、図8の測定モード設定画面で選択されたスティルモード、「シングル」モード、「キャリブレーション」モードの測定に使用する光学系ユニット20a,20b(リア検出ガントリ(フレーム13),フロント検出ガントリ(フレーム14))のいずれか一方が選択される。スキャン番号選択領域112では、スティルモード、「シングル」モードの測定に使用するスキャン番号が選択される。図11の光学系ユニット選択画面において、「OK」ボタンが押されると、その設定が予約され、さらに、図8の測定モードの設定画面の「OK」ボタンが押されることで、最終的に設定が更新され、PLC361、第1検出PC34及び第2検出PC35にその設定が通知される。図11の光学系ユニット選択画面において、「Cancel」ボタンが押されると、設定変更を行わずに、図11の画面は終了する。
【0030】
以下に、各測定モードの詳細を説明する。図12は、測定モードがノーマルモードの動作の一例を示すイメージ図である。このノーマルモードは、図8の測定モードの設定画面のモード選択領域81においてノーマルモードが選択された場合に実行される処理である。ノーマルモードとは、図12に示すように検出ヘッドとなる2つの光学系ユニット20a,20bを1枚のガラス基板に対し、1スキャンの測定を実施し、ガラス基板ごとに測定エリアが重ならないようにして、検出ヘッドとなる2つの光学系ユニット20a,20bを1スキャン終了に同期させて約100[mm]程度シフトさせながら、連続的に測定するものである。ガラス基板の1枚分に相当する測定エリアをスキャンした後は、光学系ユニット20a,20bの移動方向が逆になる。なお、最終スキャン測定時等のように、ガラス基板のサイズとスキャン動作との関係から、2つの検出ヘッドのうち、どちらか一方のみで1スキャンの測定を実施する場合がある。このノーマルモードは、主に、継続的な生産の場合に使用することができる。
【0031】
ワンマップモードは、2つの検出ヘッドで、ガラス基板1枚に対し1スキャンの測定を実施し、ガラス基板ごとに測定エリアが重ならないよう、検出ヘッドをシフトしながら、1枚分に相当する測定エリアをスキャンした時点でサイクルを停止する処理である。このワンマップモードは、主として、生産用ではなく、評価・調整用にマップを取得する際に使用する。
【0032】
図13は、測定モードがスケジュールモードの動作の一例を示すイメージ図である。このスケジュールモードは、図13に示すように指定の時刻にワンマップモードを実行するものであり、測定開始後は直ぐに測定待機状態となり、予め登録してある時刻に達するたびに測定を開始する。指定時刻の設定は、図10のスケジュールパラメータの設定画面で行なうことができる。指定時刻は0時0分から23時59分までの間で1分単位で設定することができる。また、指定時刻は、最大24組/日の登録が可能である。このスケジュールモードによる測定時にガラス基板n枚分の測定が終了する前に指定時刻に達した場合は、その回数分だけで1枚分に相当する測定エリアのスキャン動作を行う。また、最大24回分の実行予約を保持し、その実行が完了するまでノーマルモードと同様の動作を行う。
【0033】
図14は、測定モードがスティルモード及びキャリブレーションモードの動作の一例を示すイメージ図である。スティルモードは、図14(A)に示すように、2つの検出ヘッドごとに、指定のスキャン位置に固定し、通過するガラス基板に対して、同一箇所を測定するものである。このスティルモードは、コンベア装置等の基板のローラ接触等を監視する場合の使用に適している。シングルモードは、検出ヘッド/スキャン位置を別途設けられた、設定画面によって、設定を行い、1スキャンだけ測定を実施してその評価等に使用するモードである。キャリブレーションモードは、図14(B)に示すように、光学調整作業を行う場合に使用するものである。検出ヘッドを校正用位置に退避させ、校正用ステージ61a,61b上の校正用ガラス基板を測定し、検査結果から表示されたデータに基づき、必要な場合には、光学系調整パラメータを変更して性能を維持させることができる。
【0034】
この以外のモードとして、デュアル(Dual)モードがある。このデュアルモードは、2つの検出ヘッドに別々の機能を持たせることで、同時に別々の評価を行うことができるというものである。一方の検出ヘッドはノーマルモードを実行させ、もう一方はスティルモードを実行させることにより、通常生産を行いながら基板1枚分の測定結果を取得するのと同時に、ガラス基板の局所的な測定をも表示することが可能になる。また、各種モードで測定された検査結果は、PC上の画面にガラス基板の異物数を簡易に認識できるよう表示される。
【0035】
図15は、この実施の形態に係る基板検査装置の測定動作の一例を示すフローチャート図である。まず、統括PC33は、測定モードの確認を行なう(ステップ151)。次いで、光学系ユニット20a,20bの移動を、測定制御部36へ指令する。第1機構部364又は第2機構部365は、統括PC33からの指令に従って、光学系ユニット20a,20bをそれぞれの走査領域が通過する位置の上空へ移動する(ステップ152)。ローラ11による基板1の移動に伴い、第1検出PC34及び第2検出PC35は、第1測定部362及び第2測定部363を構成する光学系ユニット20a,20b内のCCDラインセンサーからのディジタル信号を処理して、走査領域の基板1の欠陥を検出する(ステップ153)。
【0036】
次に、統括PC33は、検出した走査領域の基板の欠陥のデータを記録すると共に予め記録された同じ走査領域の欠陥のデータを順次更新する(ステップ154)。そして、統括PC33は、基板毎に、記憶又は更新された走査領域の欠陥のデータを1スキャンマップ領域72として表示する(ステップ155)。統括PC33は、基板1枚分相当の領域を測定したか否かの判定を行い、基板1枚分の欠陥相当の領域の測定が終了したと判定した場合は、次のステップ157へ進み、基板1枚分の欠陥相当の領域の測定が終了しなかったと判定した場合は、ステップ152へリターンする(ステップ156)。前のステップ156で基板1枚分の欠陥相当の領域の測定が終了したと判定されたので、続いて、統括PC33は、基板1枚分の欠陥データを作成し、その後は、各モード(ノーマルモード、ワンマップモード又はスケジュールモード)に対応した処理を実行する(ステップ157)。測定モードがノーマルモードの場合は、往復動作の準備処理を行い、ステップ152にリターンする(ステップ158)。ワンマップモードの場合は、測定を終了する。スケジュールモードの場合は、次の測定までの待機処理を行なう(ステップ159)。
【0037】
以上説明したようにこの実施の形態によれば、検出した走査領域の基板1枚分の欠陥のデータを取得し、それを各モード毎に表示することができるので、ライン内での基板の欠陥の検査をより的確に迅速に行うことができ、製造ライン内において、異物の増減等を含めた製品品質管理(評価・解析等含む)を迅速に把握することができる。従来の検査装置技術をインライン型に適用して、流動するガラス基板を抜き取る作業をすることなく、欠陥をリアルタイムに表示できる。また、基板内の位置を指定することにより、局所的な検査も流動ガラスに対して遅延することなく提供することができ、結果として、製造ラインにおける異物の増減等を含めた製品品質管理が迅速に把握することができる。
【符号の説明】
【0038】
10…ステージ
101…スケジュールカウント領域
102…開始時間設定領域
11…ローラ
111…光学系ユニット選択領域
112…スキャン番号選択領域
13,14…検出ガントリ(フレーム)
15,17…ガイド
16…移動台
16c…収納部
16d…アーム部
18…磁石板(リニアモータの固定子)
19…コイル(リニアモータの可動子)
2…搬入コンベア
20a,…光学系ユニット
3…搬出コンベア
30…制御部
31…操作パネル
32…モニタ
33…統括PC
34…第1検出PC
35…第2検出PC
36…測定制御部
361…PLC
362…第1測定部
363…第2測定部
364…第1機構部
365…第2機構部
40…受電制御盤
41…焦点調節機構
50…光学電源制御盤
51…センサー
61a…校正用ステージ
71…全体マップ表示領域
72…スキャンマップ領域
73…全体欠陥検出個数領域
74…スキャン毎欠陥検出個数領域
75…ヒストグラム領域
76…オペレーション領域
77…測定条件領域
81…モード選択領域
82…モードオプション選択領域
91…マニュアルインプット項目
92…開始時間設定領域
93…インターバル選択領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させながら、
移動中の基板と直交する方向へ投光系及び受光系からなる光学系を移動させて検査光を照射すると共に前記基板からの反射光又は散乱光を受光し、
受光した前記基板からの反射光又は散乱光に基づいて前記基板の欠陥を検査し、予め設定された測定モードに従って前記欠陥を表示する基板検査装置の測定運用システムにおいて、
前記測定モードとして、
前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンする処理を、前記順番に移動する前記ガラス基板に対して連続的に実行するノーマル測定モードと、
前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンした時点で検査を終了するワンマップ測定モードと、
指定の時刻に前記ワンマップ測定モードによる検査を実行するスケジュール測定モードとを備え、
前記各測定モードの前記スキャン毎及び前記基板1枚分毎における2系統の検査結果を表示画面に表示することを特徴とする基板検査装置の測定運用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基板検査装置の測定運用システムにおいて、前記測定モードとして、さらに通過するガラス基板に対してスキャン位置を固定して同一箇所を測定するスティル測定モードと、1スキャンだけ測定を実施するシングル測定モードと、前記光学系を校正用位置に退避させ、校正用基板を測定し、光学系の調整パラメータを校正するキャリブレーション測定モードを備えたことを特徴とする基板検査装置の測定運用システム。
【請求項3】
上流ラインから下流ラインヘ基板を順番に移動させながら、
移動中の基板と直交する方向へ投光系及び受光系からなる光学系を移動させて検査光を照射すると共に前記基板からの反射光又は散乱光を受光し、
受光した前記基板からの反射光又は散乱光に基づいて前記基板の欠陥を検査し、予め設定された測定モードに従って前記欠陥を表示する基板検査装置において、
前記測定モードとして、
前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンする処理を、前記順番に移動する前記ガラス基板に対して連続的に実行するノーマル測定モードと、
前記光学系を移動させて前記基板に対する1スキャンの測定を、前記基板ごとに測定エリアが重ならないように前記光学系をシフトしながら前記基板1枚分に相当する測定エリアをスキャンした時点で検査を終了するワンマップ測定モードと、
指定の時刻に前記ワンマップ測定モードによる検査を実行するスケジュール測定モードと
を備え、前記各測定モードの前記スキャン毎及び前記基板1枚分毎における2系統の検査結果を表示画面に表示することを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板検査装置において、前記測定モードとして、さらに通過するガラス基板に対してスキャン位置を固定して同一箇所を測定するスティル測定モードと、1スキャンだけ測定を実施するシングル測定モードと、前記光学系を校正用位置に退避させ、校正用基板を測定し、光学系の調整パラメータを校正するキャリブレーション測定モードを備えたことを特徴とする基板検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−106995(P2011−106995A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263187(P2009−263187)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】