説明

基板製造用キャリア部材及びこれを用いた基板の製造方法

【課題】加熱によって、キャリア部材からビルドアップ層を分離して、ルーティング工程を不要にし、キャリア部材の分離の際、基板のサイズを変更しなくてキャリア部材を再使用することができ、基板と製造設備の間に互換性を維持する基板製造用キャリア部材及びこれを用いた基板の製造方法を提供する。
【解決手段】片面または両面に第1金属層110が積層された絶縁層100、第1金属層110の一面に形成された第2金属層120、及び第2金属層120の一面に形成された第3金属層130を含み、第2金属層120の融点は、第1金属層110の融点及び第3金属層130の融点より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板製造用キャリア部材及びこれを用いた基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プリント基板は、種々の熱硬化性合成樹脂でなったボードの片面または両面に銅箔で配線を形成し、ボード上にIC(integrated circuit)または電子部品を配置、固定し、これらの間の電気的配線を具現した後、絶縁体でコートしてなるものである。
【0003】
近年、電子産業の発達につれて、電子部品の高機能化、軽薄短小化に対する要求が急増している。これに応じて、このような電子部品が搭載されるプリント基板も高密度配線化及び薄板化が要求されている。
【0004】
特に、プリント基板の薄板化に対応するために、コア基板を除去して全体的な厚さを減らし、信号処理時間を縮めることができるコアレス基板が注目されている。ところが、コアレス基板の場合、コア基板を使用しないため、製造工程中に支持体の役目をすることができるキャリア部材が必要である。以下、図面に基づいて従来技術によるコアレス基板の製造工程を詳細に説明する。
【0005】
図1A〜図1Eは、従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図で、これを参照して従来技術の問題点を説明する。
【0006】
まず、図1Aに示すように、キャリア部材10を準備する段階である。キャリア部材10は、銅張積層板11(CCL)を中心として両面に接着フィルム12、第1金属層13、第2金属層14の順に積層することで形成する。この際、プレスで加熱及び加圧することにより、接着フィルム12の周縁部は、銅張積層板11と第2金属層14を互いに接合させる。一方、銅張積層板11と第2金属層14を安定に接合させるために10mm以上の接触面を持たなければならなく、第1金属層13と第2金属層14は、真空で吸着される。
【0007】
ついで、図1Bに示すように、キャリア部材10の両面にビルドアップ層15を形成する段階である。ここで、ビルドアップ層15は、一般的な方式で形成され、最外層には、ビルドアップ層15の歪みを防止するための別の第3金属層16を積層する。
【0008】
ついで、図1Cに示すように、ビルドアップ層15をキャリア部材10から分離する段階である。ここで、銅張積層板11と第2金属層14に接合した接着フィルム12の周縁部を、ルータ工程で除去してキャリア部材10からビルドアップ層15を分離する。
【0009】
ついで、図1Dに示すように、ビルドアップ層15の最外層に形成された第2金属層14と第3金属層16をエッチングで除去する。
【0010】
ついで、図1Eに示すように、ビルドアップ層15の最外側絶縁層に、パッド19を露出させる開口部17を加工し、パッド19上にソルダボール18を形成する。
【0011】
前述した従来の基板の製造方法の場合、最後にキャリア部材10とビルドアップ層15は、分離しなければならない。この分離過程において、キャリア部材10は、ルーティング工程によって両端が除去されるので、サイズが縮小して再使用しにくい。よって、プリント基板を製造する都度付加のキャリア部材10を準備しなければならなく、それにより、総製造単価が高くなる問題点があった。また、製造段階でルーティング工程によって、基板のサイズが変更されるので、基板と製造設備間の互換性を維持しにくい問題点があった。
【0012】
また、ビルドアップ層15は、実質的に接着フィルム12の周縁部の接着力だけでキャリア部材10に固定されるものであるため、接着力が弱くて、キャリア部材10を利用した製造工程中に、ビルドアップ層15が偶然に分離してしまうという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、融点が相対的に低い金属層を採用することにより、ルーティング工程なしに、加熱によってキャリア部材からビルドアップ層を分離することができる基板製造用キャリア部材及びこれを用いた基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明の一面によれば、片面または両面に第1金属層が積層された絶縁層;前記第1金属層の一面に形成された第2金属層;及び前記第2金属層の一面に形成された第3金属層;を含み、前記第2金属層の融点は前記第1金属層の融点及び前記第3金属層の融点より低いことを特徴とする、基板製造用キャリア部材が提供される。
【0015】
前記第2金属層は、スズまたはスズ合金で形成することが好ましい。
【0016】
前記第2金属層は、スズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成することが好ましい。
【0017】
前記第1金属層または前記第3金属層は、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成することが好ましい。
【0018】
前記第1金属層が積層された前記絶縁層は、銅張積層板(CCL)であってもよい。
【0019】
前記第1金属層と前記第2金属層との間、または前記第2金属層と前記第3金属層との間には、金属間化合物が形成されることが好ましい。
【0020】
前記課題を解決するために、本発明の他面によれば、(A)片面または両面に第1金属層が積層された絶縁層を準備する段階;(B)前記第1金属層の一面に前記第1金属層より融点が低い第2金属層を形成した後、前記第2金属層の一面に前記第2金属層より融点が高い第3金属層を形成してキャリア部材を提供する段階;(C)前記第3金属層の一面にビルドアップ層を形成する段階;及び(D)前記第2金属層の融点以上に前記第2金属層を加熱して前記キャリア部材から前記ビルドアップ層を分離する段階;を含む、基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法が提供される。
【0021】
前記(B)段階において、前記第2金属層は、スズまたはスズ合金で形成することが好ましい。
【0022】
前記(B)段階において、前記第2金属層は、スズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成することが好ましい。
【0023】
前記(D)段階の後に、前記第3金属層に残存する前記第2金属層を除去する段階をさらに含むことが好ましい。
【0024】
前記(D)段階の後に、前記第3金属層を除去する段階をさらに含むことが好ましい。
【0025】
前記(B)段階において、前記第1金属層の一面に前記第2金属層をメッキして形成することが好ましい。
【0026】
前記(B)段階において、前記第1金属層の一面にホイル形態の前記第2金属層を加熱及び加圧工程で積層して形成することが好ましい。
【0027】
前記(B)段階において、前記第2金属層の一面に前記第3金属層をメッキして形成することが好ましい。
【0028】
前記(B)段階において、前記第2金属層の一面にホイル形態の前記第3金属層を加熱及び加圧工程で積層して形成することが好ましい。
【0029】
前記(A)段階において、前記第1金属層は、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0030】
前記(B)段階において、前記第3金属層は、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成されることが好ましい。
【0031】
前記(A)段階において、前記第1金属層が積層された前記絶縁層は、銅張積層板(CCL)であってもよい。
【0032】
前記(B)段階において、前記第1金属層と前記第2金属層との間、または前記第2金属層と前記第3金属層との間には、金属間化合物が形成されることが好ましい。
【0033】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0034】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、加熱によってキャリア部材からビルドアップ層を分離することができるので、ルーティング工程が必要でない。それにより、キャリア部材からビルドアップ層を分離するとき、基板のサイズが変更されないので、キャリア部材を再使用することができ、基板と製造設備間に互換性を維持することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図(1)である。
【図1B】従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図(2)である。
【図1C】従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図(3)である。
【図1D】従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図(4)である。
【図1E】従来のキャリア部材から基板を製造する方式を工程順に示す図(5)である。
【図2】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材の断面図である。
【図3】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(1)である。
【図4】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(2)である。
【図5】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(3)である。
【図6】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(4)である。
【図7】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(5)である。
【図8】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(6)である。
【図9】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(7)である。
【図10】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(8)である。
【図11】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(9)である。
【図12】本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図(10)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。また、“一面”、“他面”、“第1”、“第2”、“第3”などの用語はある構成要素を他の構成要素と区別するために使用したもので、構成要素が前記用語に制限されるものではない。本発明の説明において、本発明の要旨を不要にあいまいにすることができる関連の公知技術についての具体的な説明は省略する。
【0038】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0039】
図2は、本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材の断面図である。
【0040】
図2に示すように、本実施例による基板製造用キャリア部材1000は、片面または両面に第1金属層110が積層された絶縁層100、第1金属層110の一面に形成された第2金属層120、及び第2金属層120の一面に形成された第3金属層130を含む構成で、第2金属層120の融点は第1金属層110の融点及び第3金属層130の融点より低いことを特徴とするものである。
【0041】
前記絶縁層100は、キャリア部材1000を構成する基本的な部材で、両面または片面に第1金属層110が積層される。絶縁層100の材質は、特に限定されるものではないが、両面または片面に第1金属層110が積層された絶縁層100は、両面銅張積層板(CCL)または片面銅張積層板(CCL)である。その外に、絶縁層100としては、一般的な絶縁材であるプリプレグ(prepreg)またはABF(Ajinomoto Buildup Film)を採用することができる。また、キャリア部材1000の機械的強度を補強するために、絶縁層100に、紙(paper)、ガラス纎維(glass Cloth)、ガラス不織布などの補強基材を添加することができる。
【0042】
前記第1金属層110は、キャリア部材1000の支持体の役目をするので、歪み防止のために所定強度以上の支持力を保有しなければならなく、キャリア部材1000からビルドアップ層140が分離されるときに溶融される第2金属層120より高い融点を持たなければならない。前述した支持力と融点を考慮すると、第1金属層110は、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成することが好ましい。ただ、絶縁層100として銅張積層板(CCL)を用いる場合、第1金属層110が銅で形成されるのはいうまでもない。
【0043】
一方、図面において、第1金属層110は、絶縁層100の両面に積層されているが、これに限定されるものではなく、第1金属層110を絶縁層100の片面にだけ選択的に形成させることができる。すなわち、キャリア部材1000の両面にビルドアップ層140を形成する場合(図8参照)、絶縁層100の両面に第1金属層110を積層すれば良く、キャリア部材1000の片面にだけビルドアップ層140を形成する場合、絶縁層100の片面にだけ第1金属層110を積層すれば良いものである。
【0044】
前記第2金属層120は、第1金属層110と第3金属層130を互いに結合させることにより、全体的にはキャリア部材1000とビルドアップ層140の結合を維持する役目をする。ここで、第2金属層120は、スズまたはスズ合金で形成するか、あるいはスズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金、及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成することができる。
【0045】
また、第2金属層120は、第1金属層110にメッキ工程で形成するか、あるいはホイル形態に形成して加熱及び加圧工程で第1金属層110に結合させることができる。この際、第2金属層120は、第1金属層110と反応して金属間化合物125(intermetallic compound)を生成することができる。
【0046】
例えば、第1金属層110が銅で形成され、第2金属層120がスズで形成された場合、第1金属層110と第2金属層120との間にはCuSn、CuSnなどの金属間化合物125が生成される。ただ、一定温度でキャリア部材1000からビルドアップ層140が分離されるように、すべての第2金属層120が金属間化合物125に変換されてはいけなく、融点が一定した純粋な第2金属層120が残存しなければならない。
【0047】
最後には、第2金属層120を融点以上に加熱して溶融させることで、キャリア部材1000とビルドアップ層140を分離することができるものである(図9参照)。参考として、第2金属層120を形成するスズ、カドミウム、鉛、ビズマスまたは亜鉛などの金属は、融点が約232℃〜約419℃(スズ−約232℃、カドミウム−約320.9℃、鉛−約327℃、ビズマス−約271.3℃、亜鉛−約419℃)であるが、第1金属層110を形成する銅、ニッケルまたはアルミニウムの融点は約660℃〜約1455℃(銅−約1083℃、ニッケル−約1455℃、アルミニウム−約660℃)である。
【0048】
よって、所定温度(例えば、第2金属層120がスズ、第1金属層110及び第3金属層130が銅の場合、232℃以上ないし1083℃未満の温度)に加熱することで、第1金属層110及び第3金属層130の相変化なしに第2金属層120だけ選択的に溶融させることにより、キャリア部材1000からビルドアップ層140を分離することができる。
【0049】
前記第3金属層130は、前述した第1金属層110と同様にキャリア部材1000の支持体の役目をするので、歪み防止のために所定強度以上の支持力を保有しなければならなく、キャリア部材1000からビルドアップ層140が分離されるときに溶融される第2金属層120より高い融点を持たなければならない。
【0050】
また、第3金属層130は、最後に除去されなければならないので、エッチングの容易な材質で形成することが好ましい。前述した支持力、融点及びエッチングの容易性を考慮すると、第3金属層130は銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成することが好ましい。
【0051】
更に、第3金属層130は、第2金属層120にメッキ工程で形成するか、あるいはホイル形態に形成して加熱及び加圧工程で第2金属層120に結合させることができる。この際、第3金属層130は、第2金属層120と反応して金属間化合物135(intermetallic compound)を生成することができるのは、前述したようである。
【0052】
本実施例によるキャリア部材1000は、所定温度(第2金属層120の融点)以上に加熱してビルドアップ層140を分離することができる(図9参照)。よって、従来技術とは異なり、ルーティング工程を省略することができ、基板の製造工程中に通常到逹する約200℃では、キャリア部材1000とビルドアップ層140の結合を安定に維持することができる利点がある。
【0053】
図3〜図12は、本発明の好適な実施例による基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法を工程順に示す図である。
【0054】
図3〜図12に示すように、本実施例による基板製造用キャリア部材1000を利用した基板の製造方法は、(A)片面または両面に第1金属層110が積層された絶縁層100を準備する段階、(B)第1金属層110の一面に第1金属層110より融点が低い第2金属層120を形成した後、第2金属層120の一面に第2金属層120より融点が高い第3金属層130を形成してキャリア部材1000を提供する段階、(C)第3金属層130の一面にビルドアップ層140を形成する段階、及び(D)第2金属層120の融点以上に第2金属層120を加熱することにより、キャリア部材1000から前記ビルドアップ層140を分離する段階を含んでなるものである。
【0055】
まず、図3に示すように、第1金属層110が積層された絶縁層100を準備する段階である。ここで、絶縁層100として、銅張積層板(CCL)を利用することができる。この場合、絶縁層100に積層された第1金属層110は、銅張積層板の銅箔でなるのはいうまでもない。ただ、これに限定されるものではなく、絶縁層100としては一般的な絶縁材のプリプレグ(prepreg)またはABF(Ajinomoto Buildup Film)などを採用することもできる。この際、第1金属層110は銅、ニッケルまたはアルミニウムなどで形成することができる。
【0056】
図面において、第1金属層110は、絶縁層100の両面に積層されているが、絶縁層100の片面にだけ選択的に積層することにより、後述する工程でキャリア部材1000の一面にだけ選択的にビルドアップ層140を形成することができる。
【0057】
ついで、図4に示すように、第1金属層110の一面に第2金属層120を形成する段階である。ここで、第2金属層120は、第1金属層110の一面にメッキして形成するか、あるいはホイル形態に第2金属層120を形成し、第1金属層110に加熱及び加圧工程で積層することができる。
【0058】
一方、第2金属層120は、第1金属層110と反応して、第2金属層120と第1金属層110との間に、金属間化合物125を生成することができる。また、第2金属層120は、後述する工程で溶融して、キャリア部材1000からビルドアップ層140を分離させる役目をしなければならないので、銅、ニッケルまたはアルミニウムなどで形成された第1金属層110と第3金属層130より低い融点を持たなければならない。この点を考慮すると、第2金属層120は、スズまたはスズ合金で形成するか、あるいはスズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成することが好ましい。
【0059】
ついで、図5に示すように、第2金属層120の一面に第3金属層130を形成してキャリア部材1000を提供する段階である。ここで、第3金属層130は、第2金属層120の形成方法と同様に第2金属層120の一面にメッキして形成するか、あるいはホイル形態に第3金属層130を形成し、第2金属層120に加熱及び加圧工程で積層することができる。この際、第3金属層130は、第2金属層120と反応して第3金属層130と第2金属層120の間に金属間化合物135を生成することができる。
【0060】
一方、第3金属層130は、スズなどで形成された第2金属層120より高い融点を持たなければならなく、後述する段階で除去されなければならないので、エッチングの容易な材質を選択することが好ましい。この点を考慮すると、第3金属層130は、銅、ニッケルまたはアルミニウムなどで形成することが好ましい。
【0061】
ついで、図6〜図8に示すように、第3金属層130の一面にビルドアップ層140を形成する段階である。ここで、ビルドアップ層140は、第3金属層130に付加の絶縁材141を積層し、YAGレーザーまたはCOレーザーでビアホールを形成した後、SAP(Semi−Additive Process)またはMSAP(Modified Semi−Additive Process)などを行ってビア145を含む回路層143を形成することで完成することができる。
【0062】
一方、図6〜図11を参照すれば、この段階において、ビルドアップ層140の最外側絶縁材141には、ビア155(図11)を含む回路層153(図11)が形成されず、キャリア部材1000からビルドアップ層140を分離した後、最外側絶縁材141にビア155を含む回路層153が形成されるものが示されているが、本発明の権利範囲が必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、この段階で、それぞれの絶縁材141を積層しながらすべての絶縁材141に順次ビア145、155を含む回路層143、153を形成することができる。
【0063】
ついで、図9に示すように、第2金属層120を融点以上に加熱することで、キャリア部材1000からビルドアップ層140を分離する段階である。前述したように、第2金属層120の融点は、約232℃〜約419℃であるが、第1金属層110の融点と第3金属層130の融点は、約660℃〜約1455℃であるので、所定温度(例えば、第2金属層120がスズ、第1金属層110と第3金属層130が銅の場合、232℃以上ないし1083℃未満の温度)に加熱することでキャリアからビルドアップ層140を分離することができる。この際、キャリア部材1000からビルドアップ層140をより効率よく分離するために、付加の物理力を加えることができるのはいうまでもない。
【0064】
一方、キャリア部材1000からビルドアップ層140を分離した後、第3金属層130には、溶融された第2金属層120が残存することができる。残存する第2金属層120はエッチング工程などで除去することが好ましい。
【0065】
ついで、図10に示すように、第3金属層130を除去する段階である。第3金属層130を除去する方法は、特に限定されるものではないが、第2金属層120と同様に、エッチング工程などで除去することができる。また、残存する第2金属層120をエッチング工程で除去するとき、第3金属層130も同時に除去して製造工程を簡素化することができる。
【0066】
ついで、図11に示すように、ビルドアップ層140の最外側絶縁材141に、ビア155を含む回路層153を形成する段階である。前述した段階で第3金属層130を除去したので、ビルドアップ層140の最外側絶縁材141は露出され、露出された最外側絶縁材141にYAGレーザーまたはCOレーザーでビアホールを形成した後、SAP(Semi−Additive Process)またはMSAP(Modified Semi−Additive Process)などを行ってビア155を含む回路層153を形成することができる。ただ、前述したようにビルドアップ層140を形成する段階で、それぞれの絶縁材141を積層しながらすべての絶縁材141に順次ビア145、155を含む回路層143、153を形成する場合、この段階を省略することができる。
【0067】
ついで、図12に示すように、ビルドアップ層140の最外側絶縁材141に、ソルダレジスト層160を形成する段階である。ここで、ソルダレジスト層160は、耐熱性被覆材料で形成され、ソルダリング(soldering)の際に、回路層153に半田が塗布されないように保護する役目をする。また、外部回路との電気的連結のために、ソルダレジスト層160に開口部165を加工することにより、パッドを露出させることができる。
【0068】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのもので、本発明による基板製造用キャリア部材1000及びこれを用いた基板の製造方法は、これに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持った者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、融点が相対的に低い金属層を採用し、ルーティング工程なしに、加熱によって、キャリア部材からビルドアップ層を分離する基板製造用キャリア部材に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 絶縁層
110 第1金属層
120 第2金属層
125、135 金属間化合物
130 第3金属層
140 ビルドアップ層
141 絶縁材
143、153 回路層
145、155 ビア
160 ソルダレジスト層
165 開口部
1000 キャリア部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面または両面に第1金属層が積層された絶縁層;
前記第1金属層の一面に形成された第2金属層;及び
前記第2金属層の一面に形成された第3金属層;
を含み、
前記第2金属層の融点が、前記第1金属層の融点及び前記第3金属層の融点より低いことを特徴とする基板製造用キャリア部材。
【請求項2】
前記第2金属層が、スズまたはスズ合金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の基板製造用キャリア部材。
【請求項3】
前記第2金属層が、スズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の基板製造用キャリア部材。
【請求項4】
前記第1金属層または前記第3金属層が、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の基板製造用キャリア部材。
【請求項5】
前記第1金属層が積層された前記絶縁層が、銅張積層板(CCL)であることを特徴とする請求項1に記載の基板製造用キャリア部材。
【請求項6】
前記第1金属層と前記第2金属層との間、または前記第2金属層と前記第3金属層との間に、金属間化合物が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の基板製造用キャリア部材。
【請求項7】
(A)片面または両面に第1金属層が積層された絶縁層を準備する段階;
(B)前記第1金属層の一面に前記第1金属層より融点が低い第2金属層を形成した後、前記第2金属層の一面に前記第2金属層より融点が高い第3金属層を形成してキャリア部材を提供する段階;
(C)前記第3金属層の一面にビルドアップ層を形成する段階;及び
(D)前記第2金属層の融点以上に前記第2金属層を加熱して前記キャリア部材から前記ビルドアップ層を分離する段階;
を含むことを特徴とする基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項8】
前記(B)段階において、
前記第2金属層が、スズまたはスズ合金で形成されたことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項9】
前記(B)段階において、
前記第2金属層が、スズ、カドミウム、鉛、ビズマス、亜鉛、これらの合金及びこれらの組合せよりなる群から選ばれた物質で形成されたことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項10】
前記(D)段階の後に、
前記第3金属層に残存する前記第2金属層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項11】
前記(D)段階の後に、
前記第3金属層を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項12】
前記(B)段階において、
前記第1金属層の一面に、前記第2金属層をメッキして形成することを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項13】
前記(B)段階において、
前記第1金属層の一面に、ホイル形態の前記第2金属層を加熱及び加圧工程で積層して形成することを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項14】
前記(B)段階において、
前記第2金属層の一面に、前記第3金属層をメッキして形成することを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項15】
前記(B)段階において、
前記第2金属層の一面に、ホイル形態の前記第3金属層を加熱及び加圧工程で積層して形成することを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項16】
前記(A)段階において、
前記第1金属層が、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成されたことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項17】
前記(B)段階において、
前記第3金属層が、銅、ニッケルまたはアルミニウムで形成されたことを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項18】
前記(A)段階において、
前記第1金属層が積層された前記絶縁層が、銅張積層板(CCL)であることを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。
【請求項19】
前記(B)段階において、
前記第1金属層と前記第2金属層との間、または前記第2金属層と前記第3金属層との間に、金属間化合物が形成されることを特徴とする請求項7に記載の基板製造用キャリア部材を利用した基板の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−129859(P2011−129859A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53629(P2010−53629)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】