説明

基板配線図表示装置、プログラム及び方法

【課題】既成の情報から複数の仕向け地の基板配線図を表示することができる基板配線図表示装置、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】基板配線図表示装置1は、基板配線図を表示する基板配線図ビュワー14Aを表示する表示部14と、ある仕向け地が指定されると、基本となる部品構成の部品が実装された基板配線図を表示するための基板配線情報110を参照するとともに、仕向け地毎に構成され、基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成表情報111から指定された仕向け地の部品構成情報を参照して、指定された仕向け地に基づいて基板配線図に実装される部品を入れ替えて基板配線図ビュワー14Aに表示する制御部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板配線図表示装置、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つの回路図で複数の仕向け地に対応する回路図設計装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この回路図設計装置は、全ての仕向け地の回路図情報を含むマスター回路図を作成し、そのマスター回路図中に仕向け地によって部品情報が異なる回路領域を部分回路領域として設定する制御部を有するため、仕向け地ごとに部分回路領域の部品情報を入力することですべての仕向け地に対する回路図の入力を完了することができる。また、制御部は、入力の完了したマスター回路図から任意の仕向け地の回路図を表示し、その回路図の部品表を抽出することができる。
【特許文献1】特開平10−105589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の回路図設計装置によると、すべての仕向け地ごとに部分回路領域の部品情報を入力する必要があり、作業コストが増加するという問題がある。一方、基板配線図の保守・管理において、通常1つの仕向け地の基板配線図を表示するための基板配線情報が用意され、他の仕向け地に対しては実装する部品の情報である部品構成情報のみ用意されているため、他の仕向け地に対する部品構成を確認するには、基板配線情報と該当する仕向け地の部品構成情報を参照する必要があり、確認作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、既成の情報から複数の仕向け地の基板配線図を表示することができる基板配線図表示装置、プログラム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記目的を達成するため、基板配線図を表示する表示部と、ある仕向け地が指定されると、基本となる部品構成の部品が実装された前記基板配線図を表示するための基板配線情報を参照するとともに、仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照して、前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて前記表示部に表示する制御部とを有することを特徴とする基板配線図表示装置を提供する。
【0007】
上記した構成によれば、基本となる部品構成とある仕向け地の部品構成情報を比較して、ある仕向け地の部品を実装した状態に部品を入れ替えるため、ある仕向け地の部品構成を有する基板配線図を表示することができる。
【0008】
(2)また、本発明は上記目的を達成するため、基本となる部品構成の部品が実装された基板配線図を表示するための基板配線情報を参照する基板配線情報参照ステップと、仕向け地を指定する仕向け地指定ステップと、仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照する部品構成情報参照ステップと、前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて表示する表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする基板配線図表示プログラムを提供する。
【0009】
上記した構成によれば、(1)と同様の効果を有する基板配線図表示プログラムを実現できる。
【0010】
(3)また、本発明は上記目的を達成するため、基本となる部品構成の部品が実装された基板配線図を表示するための基板配線情報を参照する基板配線情報参照ステップと、仕向け地を指定する仕向け地指定ステップと、仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照する部品構成情報参照ステップと、前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて表示する表示ステップとを有することを特徴とする基板配線図表示方法を提供する。
【0011】
上記した構成によれば、(1)と同様の効果を有する基板配線図表示方法を実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既成の情報から複数の仕向け地の基板配線図を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の基板配線図表示装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(基板配線図表示装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の構成例を示すブロック図である。
【0015】
この基板配線図表示装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、キーボードやマウス等の入力装置からなり操作内容に基づいて操作信号を出力する操作部10と、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性メモリからなり情報を記憶する記憶部11と、CPU(Central Proccessing Unit)等の情報処理回路からなり各部を制御する制御部12と、揮発性メモリからなり一時的に情報を記憶するメモリ13と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面からなり画像を表示する表示部14とを有する。
【0016】
記憶部11は、基板の形状と実装される部品の情報とを含む基板配線情報110と、基板に実装される部品を仕向け地ごとに管理する表形式の部品構成情報としての部品構成表情報111とを有する。基板配線情報110に実装される部品の情報は、例えば、基本となる部品構成として仕向け地1(後述)の部品構成であるとする。なお、ここで仕向け地とは、出荷地ごとの仕様に限らず、性能ごと、用途ごとの仕様等であってもよい。
【0017】
制御部12は、基板配線情報110と部品構成表情報111とを読み込んで、各仕向け地ごとの基板配線図を表示部14に表示させる基板配線図表示プログラム12Aを制御部12上に設けられた図示しないフラッシュメモリ上に有し、制御部12において動作実行させる。
【0018】
メモリ13は、基板配線図表示プログラム12Aが部品構成表情報111を読み込んで比較することで生成する部品構成差分情報130を一時的に格納する。部品構成差分情報130は、仕向け地ごとに異なる部品の詳細又は実装/非実装を記述する情報である。また、部品構成差分情報130は、メモリ13から記憶部11にコピーして保存する構成としてもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る基板配線図表示プログラムの構成例を示すブロック図である。
【0020】
基板配線図表示プログラム12Aは、基板配線情報110を読み込んで基板配線図を表示処理する基板配線情報読込部120と、部品構成表情報111を読み込み処理する部品構成表情報読込部121と、異なる仕向け地同士の部品構成表を比較する部品構成表比較部122と、部品構成表比較部122の比較結果に基づいて基板配線情報読込部120が表示処理した基板配線図を他の仕向け地の基板配線図に切替表示する基板配線切替表示部123と、部品構成表比較部122の比較結果に基づいて部品構成差分情報130を生成する部品構成差分抽出部124と、部品構成差分情報130を読み込んで表示処理する部品構成差分表示部125とを有する。
【0021】
図3Aは、本発明の実施の形態に係る部品構成情報の内容例を示す概略図である。
【0022】
部品構成表情報111は、複数の仕向け地ごとに複数の部品構成情報を有するが、それぞれ同様の項目を有するため、代表して「仕向け地1」に対する部品構成表を有する情報である部品構成表情報111aについて説明する。部品構成表情報111aは、基板配線図の実装位置を示すリファレンスと、各リファレンスに実装される部品のコードを示す部品コードと、実装又は非実装を示す実装区分とを有する。同一の基板を使用する部品構成情報は、同一のリファレンスを有し、仕向け地ごとに部品コード及び/又は実装区分が異なる。
【0023】
図3Bは、本発明の実施の形態に係る部品構成差分情報の内容例を示す概略図である。
【0024】
部品構成差分情報130は、一例として、「仕向け地1」と各仕向け地との差分を示す情報であり、各仕向け地ごとにリファレンスと、部品コードと、実装区分とを有する。なお、表中の斜線部分は、「仕向け地1」と内容の異なる項目を示している。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態に係る基板配線図ビュワーの表示例を示す概略図である。
【0026】
基板配線図ビュワー14Aは、表示部14の表示画面上(図示せず)に基板配線図表示領域として表示され、仕向け地を切り替えて表示を切り替える仕向け地切替メニュー140と、後述する選択枠144によって選択された部品の詳細情報を表示する部品情報詳細表示141と、基板配線情報110に基づいて基板回路図を表示する基板表示142と、各部品のリファレンス記号と形状とを表示するリファレンス143a〜143e及び143pと、操作部10の入力に基づいて部品を選択する選択枠144とを有する。
【0027】
また、基板配線図ビュワー14Aは、一例として「仕向け地3」の基板配線図が表示されているが、「仕向け地1」と異なる部品に対しては、強調表示145e及び145pを用いて表示される。なお、強調表示145pは、外枠が波線となっており、実装されていないことを示す。
【0028】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態における基板配線図表示装置の動作を各図を参照しつつ説明する。
【0029】
図5は、本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の動作例を示す概略図である。
【0030】
基板配線図表示プログラム12Aは、記憶部11から基板配線情報110と、部品構成表情報111のうち基板配線情報110に適用される部品構成表情報111a〜111mとを基板配線情報読込部120及び部品構成表情報読込部121によって読み込み、部品構成表比較部122によって比較して、比較結果をメモリ13にバッファするとともに、部品構成差分抽出部124によって部品構成差分情報130を生成する。次に、基板配線図表示プログラム12Aは、基板配線図ビュワー14Aにおいて基板配線情報読込部120が読み込んだ基板配線情報110に基づいて仕向け地1に対する基板配線図を表示し、基板配線切替表示部123によってメモリ13にバッファした比較結果又は部品構成差分情報130に基づいて仕向け地2〜仕向け地mに対する基板配線図の表示に切り替える。
【0031】
図6は、本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、基板配線情報読込部120は、基板配線情報110を読み込み(S1)、基本となる仕向け地、例えば、仕向け地1の部品を実装した基板配線図を基板配線図ビュワー14Aに表示する(S2)。
【0033】
次に、部品構成表情報読込部121は、部品構成表情報111を仕向け地ごとに読み込み(S3)、同一基板の部品構成表情報111a〜111mを読み込む(S4)。
【0034】
次に、部品構成表比較部122は、各部品構成表情報111a〜111mを比較してリファレンスが同じで部品コードが異なる部品を抽出する(S5)。また、リファレンスが同じで実装区部の異なる部品を抽出する(S6)。
【0035】
次に、部品構成表比較部122は、抽出した部品の情報(図示せず)をメモリ13にバッファする(S7)。また、部品構成差分情報130を生成する場合は、ステップS7のタイミングで、部品構成差分抽出部124によって、抽出した部品の情報から部品構成差分情報130を生成してメモリ13にバッファする。
【0036】
次に、基板配線図ビュワー14Aの仕向け地切替メニュー140において仕向け地切替要求が有ると(S8;Yes)、基板配線切替表示部123は、メモリ13にバッファした、抽出した部品の情報に基づいて部品を置き換えて、他の仕向け地の基板配線図を基板配線図ビュワー14Aに表示する(S9)。また、ステップS7において、部品構成差分情報130を生成した場合は、部品構成差分情報130に基づいて、他の仕向け地の基板配線図を基板配線図ビュワー14Aに表示する。
【0037】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、基本となる部品構成と、ある仕向け地の部品構成表情報の部品構成とを比較して、ある仕向け地の部品を実装した状態を示す基板配線情報110を表示する構成としたため、複数の基板配線情報を改めて作成する必要がなくなる。これにより、部品の検索ミスの低減化及び検索スピードの向上が図られる。また、同一基板を用いた複数の仕様を一括管理することができるようになる。
【0038】
また、部品構成差分情報130を生成したことで、仕向け地間の部品の違いを容易に把握することができるようになり、部品の検索ミスの低減化及び検索スピードの向上が図られる。
【0039】
なお、部品構成差分情報130は、例えば、図3Bに示すような表等の形式で基板配線図ビュワー14A上に表示するようにしてもよい。また、本実施の形態において、部品構成差分情報130は、仕向け地1の部品構成表と異なる部品を抽出したが、任意の仕向け地同士の部品構成表の差分を抽出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板配線図表示プログラムの構成例を示すブロック図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係る部品構成情報の内容例を示す概略図である。
【図3B】本発明の実施の形態に係る部品構成差分情報の内容例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る基板配線図ビュワーの表示例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の動作例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る基板配線図表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1…基板配線図表示装置、10…操作部、11…記憶部、12…制御部、12A…基板配線図表示プログラム、13…メモリ、14…表示部、14A…基板配線図ビュワー、110…基板配線情報、111…部品構成表情報、111a-111m…部品構成表情報、120…基板配線情報読込部、121…部品構成表情報読込部、122…部品構成表比較部、123…基板配線切替表示部、124…部品構成差分抽出部、125…部品構成差分表示部、130…部品構成差分情報、140…仕向け地切替メニュー、141…部品情報詳細表示、142…基板表示、143a-143e、143p…リファレンス、144…選択枠、145e、145p…強調表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板配線図を表示する表示部と、
ある仕向け地が指定されると、基本となる部品構成の部品が実装された前記基板配線図を表示するための基板配線情報を参照するとともに、仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照して、前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて前記表示部に表示する制御部とを有することを特徴とする基板配線図表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基本となる部品構成と、前記指定された仕向け地の部品構成情報の部品構成とを比較して、互いに異なる部品の情報を有する部品構成差分情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の基板配線図表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記部品構成差分情報に基づいて、前記表示部に表示される前記基板配線図の部品のうち、前記互いに異なる部品に該当する部品を強調表示することを特徴とする請求項1に記載の基板配線図表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記部品構成差分情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の基板配線図表示装置。
【請求項5】
基本となる部品構成の部品が実装された基板配線図を表示するための基板配線情報を参照する基板配線情報参照ステップと、
仕向け地を指定する仕向け地指定ステップと、
仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照する部品構成情報参照ステップと、
前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて表示する表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする基板配線図表示プログラム。
【請求項6】
基本となる部品構成の部品が実装された基板配線図を表示するための基板配線情報を参照する基板配線情報参照ステップと、
仕向け地を指定する仕向け地指定ステップと、
仕向け地毎に構成され、前記基板配線図に実装される部品の部品構成を示す複数の部品構成情報から前記指定された仕向け地の部品構成情報を参照する部品構成情報参照ステップと、
前記指定された仕向け地に基づいて前記基板配線図に実装される部品を入れ替えて表示する表示ステップとを有することを特徴とする基板配線図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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