説明

堆肥を原料とした固化物

【課題】堆肥として生産されていながら過剰に生産されているため、農地に還元されず焼却されるなどしている余剰堆肥の有効活用を促進する。
【解決手段】堆肥に石灰もしくは石灰と石膏、高炉スラグおよび焼却灰の少なくとも1種以上を加えた固化材と水を混ぜて固めたところ、圧縮強度、落下試験及び崩壊性において十分耐えうるレンガ及び建築用ボードを発明し、さらに星形、月形、ハート形、動物形、魚形、昆虫形、自動車形、船形、飛行機形、たまご形、野菜形、果物形、植物形、人形形、サイコロ形、ボール形、ペレット形、パズル形からなる堆肥の固化物を製造する技術を発明した。又、これらの固化物は燃焼させやすく燃料としても利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥の利用に関するものであって、大量に生産され余剰となっている堆肥を安定して固化し堆肥の利用を促進するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の動植物性残渣の有効活用方法としては、ほとんどが、焼却処分されるか窒素成分の多い鶏糞などを混合してのち発酵させて堆肥化し農地などへ還源利用している。しかし、近年、これらの残渣を焼却することにより発生するダイオキシンの発生は、環境ホルモン物質として生態系を破壊することが指摘されている。そのため、特に食品工場などから排出される残渣においては、その有効活用が叫ばれるようになり法整備されてきている。これらの膨大に排出される残渣を処理する方法のひとつとして農地へ還元する堆肥化が行われているが、農地への堆肥としての還元は、必ずしも進んでいないのが実情である。一部では余剰に生産された堆肥を焼却する始末である。また堆肥の固化方法として特許文献1が出願されている。馬鈴薯、小麦などに含有する粘着性の特性を応用して堆肥を、固化・成形する製造方法が発明されているが、強度が弱いので本発明のようなレンガ又は建築用ボードに加工できる技術ではない。さらに特許文献2のように堆肥中に残存するリグノセルロースの融着による固化や、強度を増すために樹脂や接着剤を使用する技術も開発されているが、農業用に開発されているのであって、においなどが残り住宅用の建材には使用できない。
【0003】
【特許文献1】特開2000−119086
【特許文献2】特開2004−107160
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に述べたように堆肥は生産が過剰であり、余剰に生産された量は焼却処分されるなどしている。本発明が解決する課題は、これら余剰に生産される堆肥を農地への還元以外に利用するものであり、具体的には堆肥からレンガ又は建築用ボードを製造し、さらに星形、月形、ハート形、動物形、魚形、昆虫形、自動車形、船形、飛行機形、たまご形、野菜形、果物形、植物形、人形形、サイコロ形、ボール形、ペレット形、パズル形からなる堆肥の固化物を製造する技術である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の発明は堆肥に固化材である石灰と水を混合し、乾燥して固化させた堆肥及び堆肥に対し、石灰1%〜30%の比率で添加したことを特徴とする固化物。
第二の発明は前記第一において固化材として、さらに石膏、高炉スラグ及び焼却灰の少なくとも1種以上を加えた第一に記載の固化物。
第三の発明は固化物がレンガ又は建築用ボードのいずれかに用いるものである第一又は第二のいずれかに記載の固化物。
第四の発明は肥料又は植物の種のいずれか又は両方を固化物に添加した第一ないし第三のいずれかに記載の固化物。
第五の発明は固化物が星形、月形、ハート形、動物形、魚形、昆虫形、自動車形、船形、飛行機形、たまご形、野菜形、果物形、植物形、人形形、サイコロ形、ボール形、ペレット形、パズル形のいずれかである第一ないし第四のいずれかに記載の固化物。
第六の発明は第一ないし第五のいずれかに記載された固化される際に水のかわりに、堆肥に水を浸透してのちに得られた発酵抽出液を混合して固化させた堆肥の固化物。
【0006】
堆肥を原料として、レンガ又は建築用ボードを製造するために、石灰もしくは石灰と石膏、高炉スラグおよび焼却灰を少なくとも1種以上を加えた固化材と水分を混ぜて、よく練り、型枠に入れて成型し、室内で放置乾燥して固めレンガ又は建築用ボードを製造した。
【0007】
具体的な実施例として、十分に発酵されている堆肥500グラムに対し石灰もしくは石灰と石膏、高炉スラグおよび焼却灰を少なくとも1種以上を加えた固化材15〜45グラムと水150〜240mlの割合で混合しよく練り合わせるようにしてから、型枠に入れたのち乾燥させてレンガ又は建築用ボードとする。乾燥方法は、室内で放置すればよく、焼きレンガのような燃料を使う必要はないが、これに限定されるものではない。
【0008】
前述の方法によれば、強度試験において最大圧縮値強度19.9kPaのレンガが得られた。最大時圧縮量は、0.1mm以下であり、落下試験では1m以上の高さから落として破壊されなかった。堆肥由来の臭いもなく実用に耐えることがわかった。
【0009】
また、さらに強度を増すために試験したところ、堆肥と固化材を混ぜ合わせるときに、堆肥に水を浸漬してのちに得られた発酵抽出水にて混ぜ合わせたところ、柔軟性が増し、落下強度が15%増すことが分かった。
【0010】
更なる研究の結果、土の上や土の中に肥料として利用する場合、形状を変形する事ができることから、星形、月形、ハート形、動物形、魚形、昆虫形、自動車形、船形、飛行機形、卵形、野菜形、植物形、人形形、サイコロ形、ボール形、ペレット形、パズル形にする事で大人から子供までがひたしみやすく見た目もよく楽しく学びながら植物に肥料を与えることができ心も豊かにできる堆肥の利用方法。
【0011】
又、これらからなる堆肥の固化物は燃料としても再利用ができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように製造されたレンガを、屋外で使用しても耐久性があり、また、崩壊後、土壌PHを上げることがないので環境に負荷をかけることもなく実用に十分耐えるものであることが分かった。また、原料として使用した堆肥と比較して、においの閾値テストでは、約100倍でありほとんど匂わないことがわかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態を図面にもとづき説明する。
図1の原料1において、生ゴミ、食品残渣、食品廃棄物、もやし、パン屑、米ぬかはスラリー状に加工する。原料2は、木屑、建築残材、林地残材、剪定枝、刈草、製材工場等残材、稲わら、紙、古紙、廃棄紙は、綿状に破砕加工する。原料3は、オガ粉、モミガラである。原料4はオカラ、汚泥、牛乳カス、焼酎カス、コーヒーカス、炭、灰、畜産糞などの水分が多いものであるので水分を調節するが、望ましくは含水率65〜80%が良い。原料5は天ぷら油、食品残り汁、ラーメンの残り汁などの液体であり、従来は堆肥原料には使用できないとされてきたものであるが、原料2を綿状に加工して、これに吸着すれば問題なく発酵堆肥化できる。これらの原料は窒素源や炭素源として利用できうるものであり、C/N比としてバランスよく配合されていれば、すべてを原料として使っても良いが、これにこだわるものではない。
【0014】
実験例として、原料を混合して水分調整したのち、攪拌しながら発酵する。発酵が進まないときは、バクテリア及び黒砂糖を追加して発酵を促す。
【0015】
発酵が進み、堆肥化が完了してから、堆肥500gに対し固化材15〜45gを、水150〜240gの割合で、混合して練り合わせる。
【0016】
型枠に入れて成型する。
【0017】
型枠から取り出して放置、自然乾燥させる。
【0018】
強度試験を行った結果を表に表す。下表は、発明の方法によって製造したレンガの強度試験の結果をまとめたものである。
【0019】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0020】
こうしてできたレンガを花壇に使用したところ、2年以上崩壊することがなく十分使用に耐えることが分かった。崩壊したレンガを土に混ぜて植物の生育を観察したところ異常なく生育した。また、ブロック又は建材ボードに使用しても、一定の強度があることから、十分使用できる。また、現在使用されている建築用の建材ボードは、石膏を紙で包むサンドイッチ構造になっており、廃棄するときに処理が問題になっているが、この固化した堆肥を原料とするボードであれば、農地へ還源しても差し支えなく廃棄も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】製造工程を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥に固化材である石灰と水を混合し、乾燥して固化させた堆肥及び堆肥に対し、石灰1%〜30%の比率で添加したことを特徴とする固化物。
【請求項2】
請求項1において固化材として、さらに石膏、高炉スラグ及び焼却灰の少なくとも1種以上を加えた請求項1に記載の固化物。
【請求項3】
固化物がレンガ又は建築用ボードのいずれかに用いるものである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の固化物。
【請求項4】
肥料又は植物の種のいずれか又は両方を固化物に添加した請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の固化物。
【請求項5】
固化物が星形、月形、ハート形、動物形、魚形、昆虫形、自動車形、船形、飛行機形、たまご形、野菜形、果物形、植物形、人形形、サイコロ形、ボール形、ペレット形、パズル形のいずれかである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の固化物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載された固化される際に水のかわりに、堆肥に水を浸透してのちに得られた発酵抽出液を混合して固化させた堆肥の固化物。

【図1】
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【公開番号】特開2008−12525(P2008−12525A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8681(P2007−8681)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(306009374)
【Fターム(参考)】