塗布、現像装置
【課題】露光装置のメンテナンスを所望のタイミングで行うことができる塗布、現像装置を提供すること。
【解決手段】キャリアブロックに搬入された基板を処理ブロックに搬送して塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理してキャリアブロックに搬送する塗布、現像装置において、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で塗布膜が形成された基板を、キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に直通搬送する搬送手段を設ける。このように構成することで塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとがメンテナンス中であっても検査用基板を露光装置に搬送できるので、露光装置の状態を検査することができる。
【解決手段】キャリアブロックに搬入された基板を処理ブロックに搬送して塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理してキャリアブロックに搬送する塗布、現像装置において、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で塗布膜が形成された基板を、キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に直通搬送する搬送手段を設ける。このように構成することで塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとがメンテナンス中であっても検査用基板を露光装置に搬送できるので、露光装置の状態を検査することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板等の基板に対してレジストを塗布し、露光後の基板を現像する塗布、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板にレジストパターンを得る一連の処理は、レジスト液の塗布や現像を行う塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
既述のような塗布、現像装置として例えば特許文献1には、露光処理前にウエハに塗布処理を施すモジュールを収納する塗布膜形成用のブロックと露光処理後にウエハに現像処理を施すモジュールを収納する現像用のブロックとが上下に配置され、各ブロックの一端はウエハをローディング及びアンローディングするポートに接続され、各ブロックの他端はインターフェイスブロックを介して露光装置に接続された構成を有する塗布、現像装置が示されている。当該塗布、現像装置においては、このような構成を有することで塗布工程と現像工程とが分離されて行われるため、スループットの向上が図られている。
【0004】
露光装置は近年解像度が上がり、現在では例えばArF(フッ化アルゴン)などを光源として用いることで数十nm(ナノメートル)程度の解像線幅で露光処理を行うことが可能になっている。しかし気圧や天候などによる周囲環境のわずかな変化により、例えば光学系の保持部材などが膨張、収縮して光の焦点位置に敏感に影響し、レジストパターンの仕上がりを大きく左右する。このため常に安定した露光処理を行うためには、例えば1日の中でも頻繁に露光装置をチェックし調整する必要がある。
【0005】
一方工場の運転コストを抑えるためにクリーンルームの清浄レベルを低くする傾向があることから露光装置の状態検査は露光装置のメンテナンス用扉を開けずに塗布、現像装置のキャリアブロックから試験用のウエハを処理ブロックの搬送系を介して露光装置に搬送して行われる。しかし前記特許文献1に記載の塗布、現像装置においては、試験用のウエハを露光装置に搬送するためには塗布膜形成用のブロックあるいは現像用のブロックを利用しなければならないため、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対してメンテナンスを行っている場合やこれらのブロックに不具合が発生した場合などにおいては、定期あるいは不定期の露光装置の状態検査及び調整ができなくなる。このため塗布膜形成用のブロックや現像用のブロックのメンテナンス作業終了を待って試験用のウエハを露光装置に搬送して状態検査、調整を行うことになるためブロックのメンテナンス後に速やかに製品ウエハに対してプロセスを行うことができず、結果としてスループットの低下の一因になってしまう。
【0006】
さらにまた半導体の製造ラインを新設する場合などにおいて装置の立ち上げの短縮化は重要なテーマである。しかし特許文献1の装置構成では塗布膜形成用のブロックあるいは現像用のブロックの搬送系の調整を完了しないと露光装置の調整が行えず、一方、露光装置の調整は調整項目が多くしかも微妙な調整が必要であることから長い時間がかかり、こうしたことから装置の立ち上げの短縮化が難しい状況にある。
【0007】
【特許文献1】特許第3337677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は露光装置のメンテナンスを所望のタイミングで行うことができる塗布、現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の塗布、現像装置はキャリアブロックにキャリアにより搬入された基板を処理ブロックに受け渡し、この処理ブロックにて感光材料膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡す塗布、現像装置において、
a)前記処理ブロックは、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸び、感光材料からなる塗布膜を含む膜を形成するための塗布膜形成用のブロックと、この塗布膜形成用のブロックに対して積層された現像用のブロックと、を備え、
b)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックは、薬液を基板に塗布するための液処理ユニットと、基板を加熱する加熱ユニットと、基板を冷却する冷却ユニットと、これらユニット間で基板を搬送するブロック用の搬送手段と、を備え、
c)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段が設けられ、
d)塗布膜が形成された基板は、前記直通搬送手段を通じてキャリアブロック側からインターフェイスブロック側に搬送される
ことを特徴とする。
【0010】
前記塗布膜形成用のブロックは、レジスト膜を形成するためのブロックと、レジスト膜の下側に反射防止膜を形成するためのブロックと、前記レジスト膜の上側に反射防止膜を形成するためのブロックと、の積層体を含んでいてもよく、 また現像用のブロックが塗布膜形成用のブロックの下方側に設けられていてもよい。
【0011】
前記直通搬送手段は、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックとは区画された搬送ブロック内を移動するように構成されていてもよく、この場合例えば前記搬送ブロックは、現像用のブロックと塗布膜形成用のブロックとの間に設けられている。またこの搬送ブロックにおいて、例えば当該搬送ブロックの内部に気体を導入して搬送ブロック内部を陽圧にするための気体導入口が設けられている。
【0012】
本発明の塗布現像装置は塗布膜形成用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、現像用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、及び直通搬送手段により基板の受け渡しができるように夫々配置され、互いに積層された複数の受け渡しステージと、これら受け渡しステージ間にて基板の受け渡しを行うことができるように昇降自在な昇降搬送手段とを備えていてもよく、また基板の搬送を制御する制御部を備え、この制御部は、露光装置の状態を検査するための試験基板をキャリアブロックから直通搬送手段を介して露光装置に搬送する搬送モードを選択できるように構成されていてもよい。
また本発明の塗布、現像装置は、前記処理ブロックとインターフェイスブロックとの間に、塗布膜形成後露光処理前及び/または露光処理後現像処理前の処理を行うユニットと、これらユニット、前記処理ブロック及びインターフェイスブロックの間で基板を搬送するための受け渡しアームと、を備えた補助ブロックを設け、前記直通搬送手段は、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、前記補助ブロックを通過する第2の直通搬送手段と、を含んでいてもよく、その他には例えば前記キャリアブロックと処理ブロックとの間に、基板の検査を行うための検査ユニットと、検査ユニット及びキャリアブロック並びに処理ブロックの間で基板を搬送する受け渡しアームと、を備えた検査ブロックを設け、前記直通搬送手段は、前記検査ブロックを通過する第3の直通搬送手段と、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理ブロックを、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸びる塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとの積層体により構成しているので、設置スペースが小さくて済み、そしてキャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を専用に行うための直通搬送手段を設けているため、露光装置、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックのメンテナンスを同時に行うことができ、メンテナンス時間の短縮が図れる。また塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとがメンテナンス中であってもあるいは例えば排気系にトラブルが発生するなどによりこれらブロックにトラブルが起きていても、露光装置の状態を検査するための試験基板を直通搬送手段によりキャリアブロック側から露光装置に搬送することができるので、露光装置の状態の検査を所望のタイミングで実施することができる。このため塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックが運転可能な状態になった後、速やかに製品基板の処理に移行することができ、スループットの低下を抑えることができる。また装置の据付立ち上げ時において、直通搬送手段の調整をしておけば、この直通搬送手段により試験基板の搬送を行うことで、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックの各搬送手段の調整作業と切り離して露光装置の調整を行うことができ、露光装置の調整が完了していれば、続いて現像条件の設定を行うことができ、結果として装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムの実施の形態について説明する。図1は、このシステムの一実施の形態における平面図を示し、図2は同概略斜視図、図3は同概略側面図である。この塗布、現像装置は、大気雰囲気中のクリーンルーム内に設置されており、基板例えばウエハであるウエハWが13枚密閉収納されたキャリア20を搬入出するためのキャリアブロックS1と、複数個例えば4個のブロックB1〜B4及び搬送ブロックM1を縦に配列して構成された処理ブロックS2と、インターフェイスブロックS3と、露光装置S4と、を備えている。
【0015】
前記キャリアブロックS1には、前記キャリア20を複数個載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。このトランスファーアームCは、後述するブロックB1及びB2の受け渡しステージTRS1〜2との間でウエハWの受け渡しを行うように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、キャリア20の配列方向に移動自在に構成されている。
【0016】
キャリアブロックS1の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では下方側から、現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、搬送ブロックM1、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)の形成処理を行うための第4のブロック(TCT層)B4、として割り当てられている。これらブロックB1〜B4及び搬送ブロックM1はキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3へ向かって伸びている。ここで前記DEV層B1が現像用のブロック、BCT層B2、COT層B3、TCT層B4、が感光材料例えばレジストからなる塗布膜を形成するための塗布膜形成用のブロックに相当する。なお各ブロック間は仕切り板(ベース体)により区画されている。
【0017】
続いて第1〜第4のブロックB(B1〜B4)の構成について説明するが本実施形態においてこれらのブロックB1〜B4には共通部分が多く含まれており、各ブロックBは略同様のレイアウトで構成されている。そこでDEV層B1を例として図4を参照しながら説明する。このDEV層B1の中央部には、横方向、詳しくはDEV層B1の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送用通路R1が形成されている。
【0018】
この搬送用通路R1のキャリアブロックS1側から見て、手前側(キャリアブロックS1側)から奥側に向かって右側には、液処理ユニットとして現像液の塗布処理を行うための複数個の塗布部を備えた現像ユニット3が搬送用通路R1に沿って設けられている。またDEV層B1の手前側から奥側に向かって左側には、順に加熱・冷却系の熱系処理ユニットを多段化した4個の棚ユニットU1,U2,U3,U4、排気ユニット5が搬送用通路R1に沿って設けられている。即ち現像ユニット3と棚ユニットU1〜U4とが搬送用通路R1を介して対向して配列されている。棚ユニットU1〜U4は現像ユニット3にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための熱系処理ユニットが2段に積層されており、またその棚ユニットU1〜U4の下部には排気ユニット5が積層され設けられている。
【0019】
上述の熱系処理ユニットの中には、例えば露光後のウエハWを加熱処理したり、現像処理後のウエハWのを乾燥させるために加熱処理したりする加熱ユニット4や、この加熱ユニット4における処理の後にウエハWを所定温度に調整するための冷却ユニット等が含まれている。なお本実施形態では当該DEV層B1における棚ユニットU1,U2,U3として加熱ユニット4が2段に積層され、棚ユニットU4として冷却ユニットが2段に積層されている。
【0020】
図5を用いて前記現像ユニット3の構成について簡単に説明すると、当該現像ユニットを構成する筐体30の内部には3つのウエハ保持部をなすスピンチャック31が配列されており、各スピンチャック31は駆動部32により鉛直軸回りに回転自在、かつ昇降自在に構成されている。またスピンチャック31の周囲にはカップ33が設けられ、当該カップ33の底面には排気管やドレイン管などを含む排液部(図示せず)が設けられている。図中34は薬液供給ノズルであり、この薬液供給ノズル34は昇降自在に設けられ、また駆動部35によりガイド36に沿ってY方向に移動自在に構成されている。
【0021】
この現像ユニット3では、ウエハWは後述のメインアームA1により搬送用通路R1に面して設けられた搬送口37を介して筐体30内に搬入され、スピンチャック31に受け渡される。なお図中38は筺体30内へのパーティクルの流入を防ぐために搬送口37に設けられた開閉自在のシャッタである。そして供給ノズル34から当該ウエハWの表面に現像液が供給され、ウエハWの表面に現像液の液膜を形成させ、その後図示しない洗浄液供給機構からの洗浄液によりウエハW表面の現像液が洗い流され、その後ウエハWを回転させて乾燥されることにより現像処理が終了する。
【0022】
続いて棚ユニットU1〜U3を構成する加熱ユニット4について簡単に説明すると、図6中40は筐体であり、筐体40の内部には基台41が設置されている。図中42はウエハWの搬送口であり、搬送用通路R1に面して設けられている。図中43は粗熱取り用の冷却プレートであり、図中44は熱板である。冷却プレート43は基台41において熱板44上に移動可能できるように構成されている。図中45は整流用のプレートである。47,48は昇降機構47a,48aにより駆動される昇降ピンである。昇降ピン47が昇降することによりメインアームA1と冷却プレート43との間でウエハWが受け渡され、昇降ピン48により熱板44と冷却プレート43との間でウエハWが受け渡される構成になっている。
【0023】
なお棚ユニットU4を構成する冷却ユニットの詳しい説明は省略するが加熱ユニット4と同様に搬送用通路R1に向かって搬送口42が開口された筺体40を備え、その筺体40内部には例えば水冷方式の冷却プレートを備えた構成の装置が用いられる。
【0024】
また排気ユニット5は、筺体50において搬送用通路R1に面して開口された吸引口51と、筺体の内部の排気室53内を吸引排気する排気管54とを備え排気室53が負圧化されることで搬送用通路R1における気体を吸引してパーティクルの除去を図っている。
【0025】
続いて前記搬送用通路R1に設けられたブロック用の搬送手段であるメインアームA1について説明する。このメインアームA1は、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、現像ユニット3、後述する棚ユニットU5の受け渡しステージ及び棚ユニットU6の受け渡しステージとの間でウエハWの受け渡しを行うように構成されている。メインアームA1は例えばウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本のアーム体61,62を備えており、これらアーム体61,62は搬送基体63上を互いに独立して進退自在に構成されている。また搬送基体63は、昇降基体64上に鉛直軸周りに回転自在に設けられている。
【0026】
図中65はメインアームA1を横方向にガイドするためのガイドレールである。なお図中66は、前記搬送用通路R1の排気を行うためにガイドレール65上に設けられた孔であり、前記吸引口51と重なるように穿孔されている。図中67は昇降ガイドレールであり、当該昇降ガイドレール67に沿って昇降基体64は昇降自在に構成されている。この昇降ガイドレール67の下端部は例えばガイドレール65の下方を潜り、前記排気ユニット5の排気室53内にて当該昇降ガイドレール67を前記ガイドレール65に沿って移動させるための駆動ベルト55に係止されている。
【0027】
ここで搬送ブロックM1について図1、図6及び図7を参照しながら説明しておく。DEV層B1とBCT層B2との間にはウエハWをキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3へ直行して搬送する搬送ブロックM1が形成されている。この搬送ブロックM1はDEV層B1の搬送用通路R1とは仕切り板70aにより仕切られた搬送領域M2と直通搬送手段であるシャトルアーム7とを含んでいる。当該シャトルアーム7は移動部7Aと駆動部7Bとにより構成され、移動部7Aは搬送領域M2に沿って移動できるように設けられている。移動部7Aは例えばウエハWの裏面側周縁領域を支持するためのアーム体71を備えており、このアーム体71は搬送基体72上を進退自在に構成されている。また搬送基体72は、移動基体73上に鉛直軸回りに回転自在に設けられている。なおこの例では、アーム体71、搬送基体72、及び移動基体73により移動部7Aが構成される。なお大きさに限定されなければ、搬送基体72を昇降させる機構が設けられていてもよい。
【0028】
駆動部7Bは筺体70を備えており、筺体70内部の排気室70aには前記移動部7Aを移動させるための駆動部(不図示)が含まれている。筺体70の前面には前記移動部7Aを横方向にガイドするためのガイドレール74が横方向に伸びるように設けられており、このように構成されることでシャトルアーム7は後述の棚ユニットU5に設けられた受け渡しステージTRS1Bと棚ユニットU6に設けられた受け渡しステージTRS5Bとの間でウエハWが直行して搬送され、受け渡しが行われるように構成されている。
【0029】
また当該筺体70は搬送領域M2に面して開口された吸引口75を備えており、当該吸引口75と重なるように前記ガイドレール74には横方向に間隔をおいて孔74aが設けられている。搬送領域M2に面する側を手前側とすると前記排気室70aの奥側には横方向に間隔をおいて複数箇所、排気口77が開口しており、排気口77には排気室70a内を吸引排気するための排気管78が接続されている。当該排気管78を介して排気室70aが負圧化されることで搬送領域M2における気体が排気室70aに流入する構成になっている。
【0030】
また搬送領域M2には例えば角型の筺体を備えた気体導入部79が横方向に、例えば当該搬送領域M2全域をカバーするように設けられている。当該筺体には例えば横方向に一定の間隔をおいて搬送領域M2に面する気体導入口(不図示)が設けられており、気体導入部79中を流通する清浄気体が当該気体導入口を介して例えば搬送領域M2全域に放射状に供給されるように構成されている。このように気体導入口から搬送領域M2に清浄気体が供給される一方、前記排気室70aを介して搬送領域M2の排気が行われることで、搬送領域M2におけるパーティクルの除去が図られている。また例えばこのような清浄気体の供給と排気とのバランスを取り、搬送領域M2における圧力がクリーンルーム内の圧力よりも若干高い圧力(陽圧)になるようコントロールされることで、当該塗布、現像装置の外部から気流に乗って当該搬送領域M2にパーティクルが流入することが抑えられている。
【0031】
搬送用通路R1及び搬送領域M2におけるキャリアブロックS1と隣接する領域は、第1のウエハ受け渡し領域R2となっていて、この領域R2には、図1及び図3に示すようにメインアームA1と、シャトルアーム7と、及びトランスファーアームCとがアクセスできる位置に棚ユニットU5が設けられると共に、この棚ユニットU5に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降搬送手段である受け渡しアームD1を備えている。
【0032】
この棚ユニットU5において、ブロックB1には受け渡しステージTRS1B、受け渡しステージTRS1が上段からこの順に設けられており、受け渡しステージTRS1BにはトランスファーアームC、前記シャトルアーム7及び受け渡しアームD1がアクセスできるように構成されている。受け渡しステージTRS1にはメインアームA1、トランスファーアームC、及び受け渡しアームD1がアクセスできるように構成されている。当該受け渡しステージTRS1及び受け渡しステージTRS1Bの構造としては例えば方形の筺体内を備え、当該筺体内にはウエハWを載置することでウエハWの温度を予定した温度に調節する機構を備えたステージが設けられ、また当該ステージ上を突没自在なピンが設けられている。例えば筺体の各アームに向かう側面に設けられた搬送口を介して各アームが前記筺体内に進入し、前記ピンを介してステージから浮いたウエハWの裏面を各アームが保持することができる、または前記ピンを介してプレート上に各アームにより搬送されたウエハWが載置されるような構造を備えている。
【0033】
なおこの例では図3に示すようにブロックB2〜B4には各2基の受け渡しステージTRS2〜TRS4が設けられているが各TRSは総て既述のような構造を有しており、受け渡しステージTRS2〜TRS4は各層に設けられたメインアームA2〜A4、及び受け渡しアームD1とウエハWの受け渡しができるように構成されている。またTRS2にはこれらのアームの他にトランスファーアームCともウエハの受け渡しができるように構成されている。ところで各TRSの数は限定されるものではなく、各ブロックに対応して2基以上設けられていてもよい。
【0034】
前記受け渡しアームD1はB1からB4の各層を移動して、各層に設けられた受け渡しステージTRS1〜TRS4及び受け渡しステージTRS1Bに対してウエハWの受け渡しを行うことができるように、進退自在及び昇降自在に構成されている。また前記受け渡しステージTRS1、TRS2及び受け渡しステージTRS1Bは、この例ではトランスファーアームCとの間でウエハWの受け渡しが行われるように構成されている。
【0035】
さらにDEV層B1の搬送用通路R1及び搬送ブロックM1の搬送領域M2のインターフェイスブロックS3と隣接する領域は、第2のウエハ受け渡し領域R3となっていて、この領域R3には、図3に示すように棚ユニットU6が設けられている。棚ユニットU6は図3に示すように、受け渡しステージであるTRS5B,TRS5が上からこの順に設けられており、受け渡しステージTRS5Bはシャトルアーム7とインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しが行えるように構成されている。また受け渡しステージTRS5はメインアームA1及びインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しが行えるように構成されている。受け渡しステージTRS5B,TRS5は例えば既述の受け渡しステージTRS1Bと同様の構造を有しており、ウエハWの冷却機能を備え、受け渡されたウエハWの温調管理ができるように構成されている。
【0036】
また処理ブロックS2における棚ユニットU6の奥側には、インターフェイスブロックS3を介して露光装置S4が接続されている。インターフェイスブロックS3には、処理ブロックS2の棚ユニットU6と露光装置S4とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアームBが備えられている。このインターフェイスアームBは例えば図8に示すように、ウエハWの裏面側中央領域を支持するための1本のアーム201が基台202に沿って進退自在に設けられている。前記基台202は、昇降台203に回転機構204により鉛直軸回りに回転自在に取り付けられ、昇降レール205に沿って昇降自在に設けられている。こうしてアーム201は、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
なお既述の受け渡しアームD1も、鉛直軸回りに回転しない他は、インターフェイスアームBと同様に構成されている。
【0037】
このインターフェイスアームBは、処理ブロックS2と露光装置S4との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この実施形態では、ブロックB1の受け渡しステージTRS5からウエハWを受け取り露光装置S4へ搬入する一方で、露光装置S4からウエハWを受け取り、ステージTRS5Bに受け渡すように構成されている。
【0038】
続いて他のブロックについて簡単に説明する。BCT層B2、COT層B3、TCT層B4は、DEV層B1と略同様に構成されており、差異としては液処理ユニットの薬液として現像液の代わりに反射防止膜用の薬液あるいはレジスト膜形成用の薬液(レジスト液)が用いられる点、薬液の塗布の手法が異なる点が挙げられ、また棚ユニットU1〜U4を構成する加熱系、冷却系のユニットにおける処理条件が異なる点、さらにはインターフェイスS3側に棚ユニットU6が配置されていない点などが挙げられる。また例えばブロックB2〜B4のいずれかにウエハWの周縁部を露光する周縁露光ユニットが設けられており、COT層B3の棚ユニットU1〜U4にはウエハWに対して疎水化処理を行うユニットが含まれている。
【0039】
また、この塗布、現像装置は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有する制御部100を備えている。プログラム格納部には後述するような当該塗布、現像装置の作用、つまりウエハWの処理、ウエハWの受け渡し、排気、及び気流の制御、搬送経路のレシピの管理などが実施されるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納される。そして当該プログラムが制御部100に読み出されることにより制御部100は当該塗布、現像装置の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクなどの記録媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0040】
なお前記搬送経路のレシピは処理種別に応じたウエハWの搬送経路(ウエハWが置かれる受け渡しステージやユニットなどのモジュールの順番)を指定したものであり、その処理種別毎に作成されており操作者がこの処理種別を選択でき、選択したレシピがプログラムから制御部100に読み出されるように構成されている。また製品ウエハに対する処理種別の他に、露光装置をチェックするためのウエハWを露光装置に搬送するための処理モードが選択できるようになっており、この処理モード(露光チェックモード)を選択するとシャトルアーム7によりウエハWがキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3に搬送され、またシャトルアーム7によりインターフェイスブロックS3からキャリアブロックS1に戻るようになっている。
【0041】
ここでこの塗布、現像装置における作用について先ずレジスト膜の上下に夫々反射防止膜を形成する場合におけるウエハWの流れの例について説明する。外部からキャリア20がキャリアブロックS1に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内からウエハWが取り出される。ウエハWは、トランスファーアームCから、棚ユニットU5の受け渡しステージTRS2を介してBCT層B2のメインアームA2に受け渡される。そしてBCT層B2では、メインアームA2により、冷却ユニット→反射防止膜形成ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニット→棚ユニットU5の受け渡しステージTRS2の順序で搬送されて、下部反射防止膜が形成される。
【0042】
続いて受け渡しステージTRS2のウエハWは受け渡しアームD1により、COT層B3の受け渡しステージTRS3に搬送され、次いで当該COT層B3のメインアームA3に受け渡される。そしてCOT層B3では、メインアームA3により、ウエハWは冷却ユニット→レジスト塗布ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニットの順序で搬送されて下部反射防止膜の上層にレジスト膜が形成された後、周縁露光ユニットに搬送されて周縁部が露光され、さらに棚ユニットU5の受け渡しステージTRS3に搬送される。
【0043】
次いで受け渡しステージTRS3のウエハWは受け渡しアームD1により、TCT層B4の受け渡しステージTRS4に搬送され、当該TCT層B4のメインアームA4に受け渡される。そしてTCT層B4では、メインアームA4により、冷却ユニット→第2の反射防止膜形成ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニットの順序で搬送されてレジスト膜の上層に上部反射防止膜が形成された後に、棚ユニットU5の受け渡しステージTRS4に搬送される。
【0044】
受け渡しステージTRS4のウエハWは受け渡しアームD1により、受け渡しステージTRS1Bに搬送される。次いでシャトルアーム7の移動部7AがウエハWを受け取りインターフェイスブロックS3側に向きを変えると共にインターフェイスブロックS3側に移動し、ウエハWが受け渡しステージTRS5Bに搬送される。このステージTRS5B上に載置されたウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。
【0045】
露光処理後のウエハWはインターフェイスアームBにより棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5に搬送され、このステージTRS5上のウエハWは、DEV層B1のメインアームA1に受け取られ、当該DEV層B1にて、棚ユニットU1〜U4に含まれる加熱ユニット→冷却ユニット→現像ユニット3→加熱ユニット→冷却ユニットの順序で搬送され、所定の現像処理が行われる。こうして現像処理が行われたウエハWは棚ユニットU5の受け渡しステージTRS1に搬送されトランスファーアームCにより、キャリアブロックS1に載置されている元のキャリア20に戻される。
【0046】
図9は以上説明したウエハWの搬送経路を模式的に示したものである。ウエハWは塗布膜形成用のブロックB2〜B4間を移動し、塗布膜が形成され(ステップ1)、その後シャトルアーム7により処理ブロックS2におけるキャリアブロックS1側からインターフェイス側S3へ搬送ブロックM1を経由して搬送され、さらに露光装置S4に運ばれる(ステップ2)。露光処理を終えたウエハWは露光装置S4からDEV層B1を通過し、現像処理を受けてキャリアブロックS1に戻される(ステップ3)。
【0047】
次に露光装置S4のメンテナンスを行うためにブロックB2〜B4の各層を通さず当該露光装置S4にウエハWを搬送する場合の搬送経路について説明する。先ず制御部100により露光チェックモードが選択される。モードの選択後、外部からキャリア20がキャリアブロックS1に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内から例えばレジストが塗布されたテストウエハWが取り出される。当該テストウエハWは、トランスファーアームCから受け渡しステージTRS1Bに受け渡され、シャトルアーム7の移動部7Aにより、受け渡しステージTRS5Bに直通して搬送される。この受け渡しステージTRS5B上のテストウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、当該テストウエハWを用いて露光装置S4の例えばフォーカス精度校正、位置精度校正、レンズ歪確認、レンズ透過率確認、光学系ごみ付着確認などのメンテナンス作業が行われる。
【0048】
メンテナンスのために使用されたテストウエハWは露光装置S4からインターフェイスアームBにより受け渡しステージTRS5Bに搬送され、シャトルアーム7の移動部7Aにより、受け渡しステージTRS1Bに直通で搬送される。この受け渡しステージTRS1Bに載置されたテストウエハWはトランスファーアームCによりキャリア20に戻される。
【0049】
本実施形態における塗布、現像装置は、処理ブロックS2を各々キャリアブロックS1側からインターフェイスブロックS3側に伸びる塗布膜形成用のブロックB2〜B4と現像用のブロックB1との積層体により構成しているので、設置スペースが小さくて済み、そしてDEV層B1とBCT層B2との間に処理ブロックS2に搬送ブロックM1を設け、その搬送ブロックM1内にはキャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間でウエハWの直通搬送を専用に行うシャトルアーム7が設けられているため、露光装置S4、塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1のメンテナンスを同時に行うことができ、メンテナンス時間の短縮が図れる。また塗布膜形成用のブロックB2〜B4と現像用のブロックB1とがメンテナンス中であってもあるいは例えば排気系にトラブルが発生するなどによりこれらブロックにトラブルが起きていても、露光装置S4の状態を検査するためのウエハWを搬送ブロックM1のシャトルアーム7を介して、キャリアブロックS1側から露光装置S4に搬送することができるので、露光装置S4の状態の検査を所望のタイミングで実施することができる。このため塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1が運転可能な状態になった後、速やかに製品ウエハWの処理に移行することができ、スループットの低下を抑えることができる。また装置の据付立ち上げ時において、直通シャトルアーム7の調整を先行して完了しておけば、このシャトルアーム7により試験ウエハWの搬送を行うことで、塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1に備えられたメインアームA1〜A4の調整作業と切り離して露光装置S4の調整を行うことができ、露光装置S4の調整が完了していれば、続いて現像条件の設定を行うことができ、結果として装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【0050】
また本実施形態においては塗布膜形成ブロックB2〜B4の下方側に現像用のブロックB1を設け、そのブロックB1とブロックB2との間にシャトルアーム7を備えた搬送ブロックM1を設けているのでインターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBの昇降ストロークを小さくできる。従ってこのインターフェイスアームBにより構成される搬送手段の小型化を図ることができる。
【0051】
本発明では各ブロックの積層数や積層の順番は上述の例に限られず、塗布膜形成用のブロックを例えば、下方側から上方側に向かって順番にTCT層、COT層、BCT層となるように配列してもよい。また塗布膜形成用のブロックを下方側に配置し、その上に現像処理用のブロックを配置してもよい。また例えば反射防止膜を形成せずレジスト膜のみをウエハWに形成する場合は塗布膜形成用のブロックとしてはCOT層のみが設けられた構成であってもよい。なお塗布膜形成用のブロックは一層の中で下側反射防止膜の形成、レジスト膜の形成、上側反射防止膜の形成を行うようにしてもよく、このような層を複数段積層して塗布、現像装置を構成してもよい。またDEV層B1において既述の現像ユニット3が例えば2段積層されてもよい。
【0052】
ところで既述の実施形態においては搬送通路R1へのパーティクルの落下を防ぐためDEV層B1の搬送用通路R1と搬送ブロックM1の搬送領域M2とは仕切り板70aにより区画されているが、この仕切り板70aを設けない構成としてもよい。この場合例えば当該移動部7Aの移動領域(搬送領域)は前記メインアームA1のが移動可能な領域(搬送領域)上限位置における当該メインアームA1の上端部分よりもやや上方に設定され、メインアームA1と移動部7Aとは互いに干渉することがないように構成してもよい。
【0053】
また直通搬送手段であるシャトルアーム7の構成としては既述の実施例で示した構成に限られず、例えばシャトルアーム7は、搬送基体72上をアーム体71が進退する機構を設けず、搬送基体72が旋回することでTRS1BあるいはTRS5Bにてピンにより持ち上げられたウエハWの下にアーム体71が潜り込み、ピンの下降によりアーム体71がウエハWを受け取ってTRS1BとTRS5Bとの間でウエハWを搬送するような構成であってもよい。
【0054】
また直通搬送手段としてはキャリアブロックS1側からインターフェイスブロックS3側に、塗布あるいは現像を行うためのユニットを介さないで直通にウエハWを搬送できればよいため以上説明したようなアーム搬送に限らず、例えばエンドレスベルトを用いたベルトコンベアにより構成すると共に、受け渡しステージTRS1B及びTRS5Bを切り欠いて例えばコ字型に形成し、その切り欠き空間にベルトコンベアの両端部を位置させて、これらの一方の受け渡しステージ上に載置されたウエハWが前記エンドレスベルトに載せられて他方の受け渡しステージ上に搬送されるように構成してもよい。あるいは横方向に沿った両側にウエハWの落下防止用のガイドレールを備えたスロープを、受け渡しステージTRS1BとTRS5Bとの間に、TRS5B側が低くなるように設けて、当該スロープの床にTRS5B側にエアを噴出す穴を配列させて当該エアの圧力とウエハWの自重とによりTRS5B側にウエハWが押し出されるような構成としてもよい。
【0055】
なお本発明の直通搬送手段は、キャリアブロックからインターフェイスブロックに、塗布あるいは現像を行うためのユニットを介さないで直通に搬送するためのものであるが、この直通搬送手段の搬送経路中に例えば周縁露光装置や検査ユニットなどが介在している場合であっても、例えばこれら装置内を介して直通搬送手段とキャリアブロック側の搬送手段あるいはインターフェイスブロック側の搬送手段との間で基板の受け渡しが行われる場合をも含む意味である。
【0056】
また本発明の塗布、現像装置は、以下のように構成してもよい。この実施の形態について図10〜図13を用いて説明すると、この塗布、現像装置101は、キャリアブロックS1と処理ブロックS2との間にウエハWに対して所定の検査を行うための、検査ブロックS5が設けられると共に処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に補助ブロックS6が設けられている。この補助ブロックS6内には、液浸露光される際の液体がレジストに含浸されるのを防ぐための保護膜を塗布する撥水性保護膜塗布ユニット(ITC)(以下「保護膜塗布ユニット(ITC)」という)と、この撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」という)とが設けられている。またインターフェイスブロックS3には液浸露光の前後にウエハWを洗浄するための洗浄ユニット(RD)が設けられている。
【0057】
ここで液浸露光について簡単に説明すると、この液浸露光とは、基板の表面に光を透過させる液層を形成した状態で露光することにより、露光の解像度を上げることを目的とするものであって、例えば光を純水の中を透過させ、水中では光の波長が短くなることから193nmのArFの波長が水中では実質134nmになる、という特徴を利用して露光を行うものである。
【0058】
ところで液浸露光では、レジストの表面に液層を形成するため、レジストが液相側に溶出してその溶出成分がウエハW上に残ってしまったり、露光処理終了後に、ウエハWの表面に形成された液層をウエハWから排出する際に、ウエハ表面に液滴である微小な水滴が残留するおそれがある。このようにレジストの溶出分や液滴がウエハWに残存すると、前記溶出分がウエハWに付着し、欠陥原因となるパーティクルの発生要因となったり、露光処理後の加熱処理時に前記溶出分から発生するパーティクルが固着や溶着を起こしてしまい、パターンの線幅に影響を及ぼしたり、液滴の存在で露光処理後の加熱処理時にウエハWの面内において温度差が発生し、熱処理の面内均一性が悪化したり、液滴が空気と反応してウエハW表面のウォーターマークの発生原因となるという問題がある。
【0059】
このため液浸露光処理では、ウエハWにレジスト液を塗布した後液浸露光を行なう前に、レジストの溶出を抑えると共に、液浸露光時の液体をウエハW表面に残りにくくするために、撥水性の保護膜をウエハW表面に塗布しており、この処理が保護膜塗布ユニット(ITC)にて行なわれる。またこの保護膜が塗布された状態で現像処理を行うと、現像液によりレジストが溶解できなくなるため、現像処理の前にこの保護膜を除去する必要があり、この処理が保護膜除去ユニット(ITR)にて行なわれる。さらにより確実にウエハWに付着したレジスト液の溶出成分や、液浸露光時の液体である水滴を除去するために、液浸露光処理を行なった後に、ウエハWの表面を洗浄しており、この洗浄が洗浄ユニット(RD)にて行なわれる。
【0060】
この塗布、現像装置101の処理ブロックS2には、DEV層B1が2段積層されており、DEV層B1、B1の上段側が搬送ブロックM1として構成されている。なお図11では、図示の便宜上棚ユニットU5,U6には、単位ブロックB1〜B4毎に夫々1個の上段側の受け渡しステージTRS1〜TRS5のみを描いている。
【0061】
続いて検査ブロックS5の構成について図12をも参照しながら説明する。この検査ブロックS5は例えば筺体111を備え、この筺体111により周囲から区画されている。キャリアブロックS1側を手前側、処理ブロックS2側を奥側とすると、筺体111の内部の手前側中央部にはキャリアブロックS1のトランスファーアームCからウエハWを受けとるための受け渡しステージであるTRS11が設けられている。この受け渡しステージTRS11は既述のTRS1〜5と同様に構成されている。またこのステージTRS11の下方には所定の枚数のウエハWを収容できるバッファユニットBUが例えば5段積層されて設けられており、これら5つのバッファユニットは例えば計10〜20枚程度のウエハWを収容できるようになっている。DEV層B1で現像処理を受けたウエハWは後述の110のアームにより例えば各バッファユニットBUに搬入され一時的に蓄えられる。またこのバッファユニットBUにはトランスファーアームCがアクセスして、ここに収容されているウエハWをキャリア20へと搬送するようになっている。
【0062】
この検査ブロックS5の筺体111内において手前側から奥側を見て左右に検査ユニット112,113が夫々設けられている。ここで検査ユニット112,113としては、この例では模式的に2つの検査ユニットを記載しているが、より具体的には、検査の種類に応じて配置数が決められることになる。なおこの例のように2つの検査ユニット112,113を設け、その一方が例えば基板表面の状態を検査するための、基板に形成された塗布膜の膜厚を検査するための膜厚検査ユニットであり、他方がウエハWの表面をCCDカメラ等の撮像手段で撮像してその画像を解析する検査ユニットであってもよい。この他方の検査ユニットでは、現像欠陥やレジストパターンの線幅等が検査される。
【0063】
なおこれらの検査ユニット112,113としては既述のような検査ユニットの他にも例えば、露光装置にて生じるパターンの位置ずれを検出するためのデフォーカス検査装置、レジスト液の塗布ムラを検出するための塗布ムラ検出装置、現像処理の不良を検出するための現像不良検出装置、基板に付着したパーティクル数を検出するためのパーティクル数検出装置、レジスト塗布後の基板に発生するコメットを検出するためのコメット検出装置、スプラッシュバック検出装置、基板表面の欠陥を検出するための欠陥検出装置、現像処理後の基板に残存するレジスト残渣を検出するためのスカム検出装置、レジスト塗布処理及び/又は現像処理の不具合を検出するための不具合検出装置、基板上に形成されたレジスト膜の線幅を測定するための線幅測定装置、露光後の基板とフォトマスクとの重ね合わせ精度を検査するための重ね合わせ検査装置などの検査装置の中から所望の検査の種類に応じて選択される検査装置をユニット化したものを用いることができる。
【0064】
検査ブロックS5の筺体111内の奥側中央部には昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在なウエハWの受け渡しアーム110が設けられており、この受け渡しアーム110は検査ユニット112,113、バッファユニットBUに夫々アクセスしてこれらの各ユニット間でウエハWを受け渡すことができるようになっている。また受け渡しアーム110は処理ブロックS2の各受け渡しステージTRS1にもアクセスできるようになっており、この受け渡しアーム110により検査ブロックS5と処理ブロックS2との間で現像処理を受けたウエハWの受け渡しが行われる。
また処理ブロックS2の搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7を第1のシャトルアームとすると、受け渡しアーム110の上方には昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されたウエハWの搬送機構である第2の直通搬送手段であるシャトルアーム120が設けられており、この第2のシャトルアーム120はレシピの中から露光チェックモードを選択したときに前記受け渡しステージTRS11と処理ブロックB2の棚ユニットU5のTRS1Bとの間でウエハWを搬送するためのものである。なお検査ユニット112,113の上方には塗布、現像装置101の各ユニットを作動させるための電装部品が収納された電装ユニット117が設けられている。
【0065】
次に補助ブロックS6について説明する。この補助ブロックS6は例えば筺体400を備え、この筺体400により周囲から区画されている。筺体400の内部においてキャリアブロックS1から見て奥側と右側と左側には、夫々棚ユニットU7,U8,U9が設けられている。例えば前記棚ユニットU7には、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しを行なうための受け渡しステージである2つのTRS12,TRS13,2つのTRS14が、下からこの順に積層されている。なおこれら受け渡しステージTRS12〜14は例えば受け渡しステージTRS1〜5と同様に構成されている。
【0066】
棚ユニットU8は上下に分割されており、例えばその棚ユニットU8の分割された上部側には例えば2つの保護膜塗布ユニット(ITC)401が積層されている。その一方で棚ユニットU8の分割された下部側には例えば2つの保護膜除去ユニット(ITR)402が積層されている。棚ユニットU9には、例えば塗布膜形成後露光処理前に行う検査や、露光処理後現像処理前や、現像処理後の検査を行うための検査ユニットや、既述の冷却ユニット(COL)、加熱ユニット(CHP)等の加熱、冷却系のユニット等が多段に積層して設けられている。なお図11では、図示の便宜上棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12,TRS14は夫々一つずつ記載している。
【0067】
例えばこの例では、2つの保護膜除去ユニット402は、各々処理ブロックS2の2つのDEV層B1,B1に対応する位置に設けられ、2つの保護膜塗布ユニット401は、BCT層B2とCOT層B3とに夫々対応する位置に設けられている。
【0068】
またこの例では棚ユニットU7の2つの受け渡しステージTRS12は、保護膜除去ユニット402に対応する位置に設けられ、また2つの受け渡しステージTRS14は保護膜塗布ユニット401に対応する位置に設けられている。例えば受け渡しステージTRS14は、補助ブロックS6からインターフェイスブロックS3にウエハWを受け渡す際に用いられ、例えば受け渡しステージTRS12はインターフェイスブロックS3から補助ブロックS6へウエハWを受け渡す際に用いられるようになっている。また受け渡しステージTRS13は搬送ブロックM1に対応する位置に設けられ、後述のシャトルアームFによりウエハWの受け渡しが行われる。
【0069】
そして補助ブロックS6には、上下に2段に受け渡しアームF1,F2が設けられており、上方側の受け渡しアームF1は、補助ブロックS6の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば棚ユニットU8の2個の保護膜塗布ユニット401と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS14と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
【0070】
また下方側の受け渡しアームF2は、処理ブロックS2の各DEV層B1との間でウエハWの受け渡しを行なうと共に、当該補助ブロックS6の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば処理ブロックS2の棚ユニットU6の各受け渡しステージTRS5と、棚ユニットU8の2個の保護膜除去ユニット402と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
【0071】
この受け渡しアームF1,F2は、例えばメインアームA1〜A5と同様に構成され、棚ユニットU8を支持する図示しない台部のアームF1,F2の搬送領域に臨む面に取り付けられたY軸レール405に沿って、例えば図中Y方向に移動自在、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
また受け渡しアームF1,F2の間には進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成された第3の直通搬送手段であるシャトルアームFが設けられ、このシャトルアームFにより処理ブロックS2のU6の受け渡しステージTRS5Bとこの補助ブロックS6の棚ユニットU8の受け渡しステージTRS13との間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0072】
インターフェイスブロックS3においては、インターフェイスアームBがアクセスできる位置に、液浸露光後にウエハWを洗浄するための、例えば2個の洗浄ユニット(RD)403が積層されて設けられている。
さらにインターフェイスブロックS3の上方側には、ULPAフィルタ406が設けられており、このULPAフィルタ406によりゴミ、塵埃などが除去された清浄空気がインターフェイスブロックS3内に供給されるようになっている。
【0073】
続いて前記保護膜塗布ユニット401、保護膜除去ユニット402、洗浄ユニット403の構造について簡単に説明する。これらの各ユニットは例えば既述の処理ブロックS2のレジスト塗布ユニットと略同様に構成されており、差異としてはウエハWの保持部をなすスピンチャックは夫々各ユニットの筺体内に一つずつ設けられている。またその他の差異として保護膜塗布ユニット401においては保護膜形成用の薬液が、保護膜除去ユニット402においては前記保護膜塗布ユニット401で形成された保護膜を除去するための剥離液が、洗浄ユニット403においては液浸露光処理を終えたウエハWを洗浄するための洗浄液が、夫々レジスト液の代わりにウエハWに供給されるようになっている。
【0074】
以上において図1の実施形態では、搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7は、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間の直通搬送を行う直通搬送手段を構成するものであったが、この実施形態では検査ユニットS5に設けられたシャトルアーム120、搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7及び補助ブロックS6に設けられたシャトルアームFによって直通搬送手段が構成される。
【0075】
このような構成を有する塗布、現像装置101においても既述の実施形態の塗布、現像装置と同様にその処理種別毎に搬送経路のレシピが作成されており、操作者がこの処理種別を選択でき、選択したレシピがプログラムから制御部100に読み出されるように構成されている。また製品ウエハに対する処理種別の他に、露光装置をチェックするためのウエハWを露光装置に搬送するための処理モードが選択できるようになっており、この処理モード(露光チェックモード)を選択すると3つのシャトルアーム120,7,FによりウエハWがキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3に直通搬送され、またこれら3つのシャトルアーム120,7,FによりウエハWがインターフェイスブロックS3からキャリアブロックS1に直通で戻されるようになっている。
【0076】
このような構成の塗布、現像装置101において、液浸露光処理を行い、次いで当該露光処理後に洗浄処理を行なう場合には、例えばウエハWは、キャリア20→キャリアブロックS1→トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→受け渡しステージTRS1Bの順でキャリアブロックS1から検査ブロックS5を通り処理ブロックS2へと搬送される。続いてウエハWは、受け渡しアームD1→受け渡しステージTRS2→BCT層B2→COT層B3→TCT層B4→TRS4の順で搬送され、次いで受け渡しアームD1→受け渡しステージTRS1B→シャトルアーム7→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5B→シャトルアームF→受け渡しステージTRS13の順で補助ブロックS6に搬送され、その次に受け渡しアームF1→棚ユニットU8の保護膜塗布ユニット401→補助ブロックS6の受け渡しアームF1→棚ユニットU7の受け渡しステージTRS14→インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→露光装置S4の経路で搬送され、露光処理を受ける。
【0077】
露光後のウエハWは、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→洗浄ユニット403→インターフェイスアームB→補助ブロックS6の棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12→受け渡しアームF2→棚ユニットU8の保護膜除去ユニット402→受け渡しアームF2→処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5→DEV層B1→棚ユニットU5のTRS1の経路で搬送される。
【0078】
続いてウエハWは既述したように検査ブロックS5の受け渡しアーム110によりバッファユニットBUを介してあるいは直接各欠陥検査ユニット112,113に搬送され、検査が終わると受け渡しアーム110によりバッファユニットBUに搬送される。そしてバッファユニットBUに収容されたウエハWはトランスファーアームCによりキャリア20に戻される。なお検査ユニット112,113の中に膜厚検査ユニットが含まれる場合にはCOT層B3にてレジストが塗布された後のウエハWについて膜厚検査が行われる。またバッファユニットBUはこの例ではキャリアブロックS1のトランスファーアームCとの間でウエハWの受け渡しを行うための役割の他に、例えば所定枚数毎にウエハWの検査を行う場合には検査を行わないウエハWが待機して、ロット中のウエハWの搬送順序を確保する役割なども持っている。
【0079】
次に露光装置S4のメンテナンスを行うためにブロックB1〜B4の各層を通さず当該露光装置S4にウエハWを搬送する場合の搬送経路について説明する。先ず制御部100により露光チェックモードが選択される。モードの選択後、外部から例えばレジストが塗布されたテストウエハWが収納されたキャリア20がキャリアブロックS1に搬入される。そしてキャリア20内のテストウエハWは、トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→棚ユニットU5の受け渡しステージTRS1B→シャトルアーム7→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5B→シャトルアームF→棚ユニットU7の受け渡しステージTRS13→インターフェイスアームB→露光装置S4の順で受け渡され、既述の実施形態と同様のメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業後のテストウエハWはこの露光装置S4に搬入されるときの手順とは逆の手順でキャリア20に戻される。
【0080】
上述の実施の形態では、検査ブロックS5を備えた塗布、現像装置を構成し、この検査ブロックS5をキャリアブロックS1と処理ブロックS2との間に設置したので、レジストの塗布、露光、現像、検査を、共通のオペレータで監視することができるので、オペレータの省数化を図ることができる上、検査により何らかの欠陥が認められたときに、速やかに原因の特定や、原因の排除などの次のアクションを起こすことができる。
【0081】
またこの実施の形態では、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に設けられた補助ブロックS6に、液浸露光を行なう場合に必要なユニットである保護膜塗布ユニット401や保護膜除去ユニット402を設けたので、この補助ブロックS6を組み込むことにより、処理ブロックS2のレイアウトを変更することなく、液浸露光を行なう場合と液浸露光を行わない場合とに対応することができる。この際液浸露光を行なわない場合には、補助ブロックS6内を素通りするようにウエハWを搬送すればよい。
【0082】
ところで検査ブロックS5の第2のシャトルアーム120と処理ブロックS2の第1のシャトルアーム7との間の受け渡しは、上述の例では共通の受け渡しステージTRS11により行われているが、第1のシャトルアーム7により受け渡しが行われるステージと第2のシャトルアーム120により受け渡しが行われるステージとが互いに異なり、互いに異なったステージ間のウエハWの搬送を受け渡しアームD1が行う場合でも、第1のシャトルアーム7及び第2のシャトルアーム120は直通搬送を行っていることになる。
【0083】
なお既述の塗布、現像装置101における各ブロックに設けられた各受け渡しステージTRSの数及び各ユニットの数は既述の例に限られない。また検査ブロックS5または補助ブロックS6のいずれかが既述の塗布、現像装置に設けられているような構成であってもよい。
【0084】
既述の実施形態においてはCOT層B3の棚ユニットU1〜U4にはウエハWに対して疎水化処理を行うユニット(ADH)が含まれているが、この疎水化ユニットをCOT層B3に設ける代わりに図14〜図15に示すように既述の検査ブロックS5に設けてもよい。具体的に説明するとこの図14〜15に示す塗布、現像装置102の検査ブロックS5は、前記塗布、現像装置101の検査ブロックS5と略同様に構成されているが、受け渡しステージTRS11の上方には疎水化ユニット118が例えば3つ積層されて設けられている。またキャリアブロックS1側から見てこの検査ブロックS5の手前左側には例えば処理ブロックS2の受け渡しアームD1と同様に、昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成された受け渡しアーム119が設けられており、この受け渡しアーム119は受け渡しステージTRS11及び各疎水化ユニット118にアクセスできるように構成されている。
【0085】
このように構成された塗布、現像装置102において露光処理を受けるウエハWは、キャリア20→キャリアブロックS1→トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→受け渡しアーム119→疎水化ユニット118→受け渡しアーム119→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→受け渡しステージTRS1Bの順でキャリアブロックS1から検査ブロックS5を通り処理ブロックB2へと搬送される。疎水化処理は、例えばレジストを塗布する前に行われ、その場合下側の反射防止膜を塗布しないプロセスに適用されるが、下側の反射防止膜を塗布する前に行うようにしてもよい。ウエハWは疎水化処理のための搬送以外は、既述の塗布、現像装置101と同様の経路で搬送され露光処理を受ける。なお露光処理を受けたウエハWが現像処理を受けてキャリア20に戻される場合ウエハWは、既述の塗布、現像装置101と同様の経路により搬送される。
また露光チェックモードが選択された場合テストウエハWは、既述の塗布、現像装置101と同様の経路で搬送される。
【0086】
このように疎水化ユニット118を検査ブロックS5に設ける場合、各単位ブロックB2〜B4の棚ユニットU1〜U4に疎水化ユニットを設ける場合に比べて各単位ブロックのメインアームA2〜A4の負荷を減らすことができる。
【0087】
以上において、検査ブロックS5及び補助ブロックS6のうちの少なくとも一方を備えた塗布、現像装置において、検査ブロックS5及び補助ブロックS6についてはシャトルアームを設けずに露光チェックのときにも通常処理の時に用いられる受け渡しアームにより搬送する構成を採用した場合にも、処理ブロックS2に設けたシャトルアーム7は、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段に相当するものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る塗布、現像装置を塗布、現像装置に適用した実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置を示す側部断面図である。
【図4】前記塗布、現像装置におけるDEV層の塗布ユニット、棚ユニット、メインアーム及び排気ユニットを示す斜視図である。
【図5】前記塗布、現像装置における塗布ユニットを示す平面図と縦断断面図である。
【図6】前記DEV層の縦断側面図である。
【図7】前記DEV層におけるシャトルアームの移動部の構成の一例を示す斜視図である。
【図8】前記塗布、現像装置におけるインターフェイスアームの一例を示す斜視図である。
【図9】前記塗布、現像装置におけるウエハの搬送経路を示した模式図である。
【図10】本発明に係る他の塗布、現像装置の構成を示した平面図である。
【図11】前記塗布、現像装置を示す側部断面図である。
【図12】前記塗布、現像装置に設けられた検査ブロックの構成を示す斜視図である。
【図13】前記塗布、現像装置に設けられた補助ブロックの各部の配置を示す縦断平面図である。
【図14】前記検査ブロックに疎水化ユニットを設けた塗布、現像装置の構成の一例を示す平面図である。
【図15】前記塗布、現像装置の縦断平面図である。
【符号の説明】
【0089】
W 半導体ウエハ
S2 処理ブロック
S3 インターフェイスブロック
S4 露光装置
A1〜A5 メインアーム
B インターフェイスアーム
C トランファーアーム
D1 受け渡しアーム
M1 搬送ブロック
R1 搬送用通路
U1〜U9 棚ユニット
7,120,F シャトルアーム
100 制御部
101,102 塗布、現像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハや液晶ディスプレイ用のガラス基板等の基板に対してレジストを塗布し、露光後の基板を現像する塗布、現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板にレジストパターンを得る一連の処理は、レジスト液の塗布や現像を行う塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
既述のような塗布、現像装置として例えば特許文献1には、露光処理前にウエハに塗布処理を施すモジュールを収納する塗布膜形成用のブロックと露光処理後にウエハに現像処理を施すモジュールを収納する現像用のブロックとが上下に配置され、各ブロックの一端はウエハをローディング及びアンローディングするポートに接続され、各ブロックの他端はインターフェイスブロックを介して露光装置に接続された構成を有する塗布、現像装置が示されている。当該塗布、現像装置においては、このような構成を有することで塗布工程と現像工程とが分離されて行われるため、スループットの向上が図られている。
【0004】
露光装置は近年解像度が上がり、現在では例えばArF(フッ化アルゴン)などを光源として用いることで数十nm(ナノメートル)程度の解像線幅で露光処理を行うことが可能になっている。しかし気圧や天候などによる周囲環境のわずかな変化により、例えば光学系の保持部材などが膨張、収縮して光の焦点位置に敏感に影響し、レジストパターンの仕上がりを大きく左右する。このため常に安定した露光処理を行うためには、例えば1日の中でも頻繁に露光装置をチェックし調整する必要がある。
【0005】
一方工場の運転コストを抑えるためにクリーンルームの清浄レベルを低くする傾向があることから露光装置の状態検査は露光装置のメンテナンス用扉を開けずに塗布、現像装置のキャリアブロックから試験用のウエハを処理ブロックの搬送系を介して露光装置に搬送して行われる。しかし前記特許文献1に記載の塗布、現像装置においては、試験用のウエハを露光装置に搬送するためには塗布膜形成用のブロックあるいは現像用のブロックを利用しなければならないため、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対してメンテナンスを行っている場合やこれらのブロックに不具合が発生した場合などにおいては、定期あるいは不定期の露光装置の状態検査及び調整ができなくなる。このため塗布膜形成用のブロックや現像用のブロックのメンテナンス作業終了を待って試験用のウエハを露光装置に搬送して状態検査、調整を行うことになるためブロックのメンテナンス後に速やかに製品ウエハに対してプロセスを行うことができず、結果としてスループットの低下の一因になってしまう。
【0006】
さらにまた半導体の製造ラインを新設する場合などにおいて装置の立ち上げの短縮化は重要なテーマである。しかし特許文献1の装置構成では塗布膜形成用のブロックあるいは現像用のブロックの搬送系の調整を完了しないと露光装置の調整が行えず、一方、露光装置の調整は調整項目が多くしかも微妙な調整が必要であることから長い時間がかかり、こうしたことから装置の立ち上げの短縮化が難しい状況にある。
【0007】
【特許文献1】特許第3337677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は露光装置のメンテナンスを所望のタイミングで行うことができる塗布、現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の塗布、現像装置はキャリアブロックにキャリアにより搬入された基板を処理ブロックに受け渡し、この処理ブロックにて感光材料膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡す塗布、現像装置において、
a)前記処理ブロックは、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸び、感光材料からなる塗布膜を含む膜を形成するための塗布膜形成用のブロックと、この塗布膜形成用のブロックに対して積層された現像用のブロックと、を備え、
b)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックは、薬液を基板に塗布するための液処理ユニットと、基板を加熱する加熱ユニットと、基板を冷却する冷却ユニットと、これらユニット間で基板を搬送するブロック用の搬送手段と、を備え、
c)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段が設けられ、
d)塗布膜が形成された基板は、前記直通搬送手段を通じてキャリアブロック側からインターフェイスブロック側に搬送される
ことを特徴とする。
【0010】
前記塗布膜形成用のブロックは、レジスト膜を形成するためのブロックと、レジスト膜の下側に反射防止膜を形成するためのブロックと、前記レジスト膜の上側に反射防止膜を形成するためのブロックと、の積層体を含んでいてもよく、 また現像用のブロックが塗布膜形成用のブロックの下方側に設けられていてもよい。
【0011】
前記直通搬送手段は、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックとは区画された搬送ブロック内を移動するように構成されていてもよく、この場合例えば前記搬送ブロックは、現像用のブロックと塗布膜形成用のブロックとの間に設けられている。またこの搬送ブロックにおいて、例えば当該搬送ブロックの内部に気体を導入して搬送ブロック内部を陽圧にするための気体導入口が設けられている。
【0012】
本発明の塗布現像装置は塗布膜形成用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、現像用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、及び直通搬送手段により基板の受け渡しができるように夫々配置され、互いに積層された複数の受け渡しステージと、これら受け渡しステージ間にて基板の受け渡しを行うことができるように昇降自在な昇降搬送手段とを備えていてもよく、また基板の搬送を制御する制御部を備え、この制御部は、露光装置の状態を検査するための試験基板をキャリアブロックから直通搬送手段を介して露光装置に搬送する搬送モードを選択できるように構成されていてもよい。
また本発明の塗布、現像装置は、前記処理ブロックとインターフェイスブロックとの間に、塗布膜形成後露光処理前及び/または露光処理後現像処理前の処理を行うユニットと、これらユニット、前記処理ブロック及びインターフェイスブロックの間で基板を搬送するための受け渡しアームと、を備えた補助ブロックを設け、前記直通搬送手段は、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、前記補助ブロックを通過する第2の直通搬送手段と、を含んでいてもよく、その他には例えば前記キャリアブロックと処理ブロックとの間に、基板の検査を行うための検査ユニットと、検査ユニット及びキャリアブロック並びに処理ブロックの間で基板を搬送する受け渡しアームと、を備えた検査ブロックを設け、前記直通搬送手段は、前記検査ブロックを通過する第3の直通搬送手段と、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理ブロックを、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸びる塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとの積層体により構成しているので、設置スペースが小さくて済み、そしてキャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を専用に行うための直通搬送手段を設けているため、露光装置、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックのメンテナンスを同時に行うことができ、メンテナンス時間の短縮が図れる。また塗布膜形成用のブロックと現像用のブロックとがメンテナンス中であってもあるいは例えば排気系にトラブルが発生するなどによりこれらブロックにトラブルが起きていても、露光装置の状態を検査するための試験基板を直通搬送手段によりキャリアブロック側から露光装置に搬送することができるので、露光装置の状態の検査を所望のタイミングで実施することができる。このため塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックが運転可能な状態になった後、速やかに製品基板の処理に移行することができ、スループットの低下を抑えることができる。また装置の据付立ち上げ時において、直通搬送手段の調整をしておけば、この直通搬送手段により試験基板の搬送を行うことで、塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックの各搬送手段の調整作業と切り離して露光装置の調整を行うことができ、露光装置の調整が完了していれば、続いて現像条件の設定を行うことができ、結果として装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムの実施の形態について説明する。図1は、このシステムの一実施の形態における平面図を示し、図2は同概略斜視図、図3は同概略側面図である。この塗布、現像装置は、大気雰囲気中のクリーンルーム内に設置されており、基板例えばウエハであるウエハWが13枚密閉収納されたキャリア20を搬入出するためのキャリアブロックS1と、複数個例えば4個のブロックB1〜B4及び搬送ブロックM1を縦に配列して構成された処理ブロックS2と、インターフェイスブロックS3と、露光装置S4と、を備えている。
【0015】
前記キャリアブロックS1には、前記キャリア20を複数個載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。このトランスファーアームCは、後述するブロックB1及びB2の受け渡しステージTRS1〜2との間でウエハWの受け渡しを行うように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、キャリア20の配列方向に移動自在に構成されている。
【0016】
キャリアブロックS1の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では下方側から、現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、搬送ブロックM1、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)の形成処理を行うための第4のブロック(TCT層)B4、として割り当てられている。これらブロックB1〜B4及び搬送ブロックM1はキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3へ向かって伸びている。ここで前記DEV層B1が現像用のブロック、BCT層B2、COT層B3、TCT層B4、が感光材料例えばレジストからなる塗布膜を形成するための塗布膜形成用のブロックに相当する。なお各ブロック間は仕切り板(ベース体)により区画されている。
【0017】
続いて第1〜第4のブロックB(B1〜B4)の構成について説明するが本実施形態においてこれらのブロックB1〜B4には共通部分が多く含まれており、各ブロックBは略同様のレイアウトで構成されている。そこでDEV層B1を例として図4を参照しながら説明する。このDEV層B1の中央部には、横方向、詳しくはDEV層B1の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送用通路R1が形成されている。
【0018】
この搬送用通路R1のキャリアブロックS1側から見て、手前側(キャリアブロックS1側)から奥側に向かって右側には、液処理ユニットとして現像液の塗布処理を行うための複数個の塗布部を備えた現像ユニット3が搬送用通路R1に沿って設けられている。またDEV層B1の手前側から奥側に向かって左側には、順に加熱・冷却系の熱系処理ユニットを多段化した4個の棚ユニットU1,U2,U3,U4、排気ユニット5が搬送用通路R1に沿って設けられている。即ち現像ユニット3と棚ユニットU1〜U4とが搬送用通路R1を介して対向して配列されている。棚ユニットU1〜U4は現像ユニット3にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための熱系処理ユニットが2段に積層されており、またその棚ユニットU1〜U4の下部には排気ユニット5が積層され設けられている。
【0019】
上述の熱系処理ユニットの中には、例えば露光後のウエハWを加熱処理したり、現像処理後のウエハWのを乾燥させるために加熱処理したりする加熱ユニット4や、この加熱ユニット4における処理の後にウエハWを所定温度に調整するための冷却ユニット等が含まれている。なお本実施形態では当該DEV層B1における棚ユニットU1,U2,U3として加熱ユニット4が2段に積層され、棚ユニットU4として冷却ユニットが2段に積層されている。
【0020】
図5を用いて前記現像ユニット3の構成について簡単に説明すると、当該現像ユニットを構成する筐体30の内部には3つのウエハ保持部をなすスピンチャック31が配列されており、各スピンチャック31は駆動部32により鉛直軸回りに回転自在、かつ昇降自在に構成されている。またスピンチャック31の周囲にはカップ33が設けられ、当該カップ33の底面には排気管やドレイン管などを含む排液部(図示せず)が設けられている。図中34は薬液供給ノズルであり、この薬液供給ノズル34は昇降自在に設けられ、また駆動部35によりガイド36に沿ってY方向に移動自在に構成されている。
【0021】
この現像ユニット3では、ウエハWは後述のメインアームA1により搬送用通路R1に面して設けられた搬送口37を介して筐体30内に搬入され、スピンチャック31に受け渡される。なお図中38は筺体30内へのパーティクルの流入を防ぐために搬送口37に設けられた開閉自在のシャッタである。そして供給ノズル34から当該ウエハWの表面に現像液が供給され、ウエハWの表面に現像液の液膜を形成させ、その後図示しない洗浄液供給機構からの洗浄液によりウエハW表面の現像液が洗い流され、その後ウエハWを回転させて乾燥されることにより現像処理が終了する。
【0022】
続いて棚ユニットU1〜U3を構成する加熱ユニット4について簡単に説明すると、図6中40は筐体であり、筐体40の内部には基台41が設置されている。図中42はウエハWの搬送口であり、搬送用通路R1に面して設けられている。図中43は粗熱取り用の冷却プレートであり、図中44は熱板である。冷却プレート43は基台41において熱板44上に移動可能できるように構成されている。図中45は整流用のプレートである。47,48は昇降機構47a,48aにより駆動される昇降ピンである。昇降ピン47が昇降することによりメインアームA1と冷却プレート43との間でウエハWが受け渡され、昇降ピン48により熱板44と冷却プレート43との間でウエハWが受け渡される構成になっている。
【0023】
なお棚ユニットU4を構成する冷却ユニットの詳しい説明は省略するが加熱ユニット4と同様に搬送用通路R1に向かって搬送口42が開口された筺体40を備え、その筺体40内部には例えば水冷方式の冷却プレートを備えた構成の装置が用いられる。
【0024】
また排気ユニット5は、筺体50において搬送用通路R1に面して開口された吸引口51と、筺体の内部の排気室53内を吸引排気する排気管54とを備え排気室53が負圧化されることで搬送用通路R1における気体を吸引してパーティクルの除去を図っている。
【0025】
続いて前記搬送用通路R1に設けられたブロック用の搬送手段であるメインアームA1について説明する。このメインアームA1は、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、現像ユニット3、後述する棚ユニットU5の受け渡しステージ及び棚ユニットU6の受け渡しステージとの間でウエハWの受け渡しを行うように構成されている。メインアームA1は例えばウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本のアーム体61,62を備えており、これらアーム体61,62は搬送基体63上を互いに独立して進退自在に構成されている。また搬送基体63は、昇降基体64上に鉛直軸周りに回転自在に設けられている。
【0026】
図中65はメインアームA1を横方向にガイドするためのガイドレールである。なお図中66は、前記搬送用通路R1の排気を行うためにガイドレール65上に設けられた孔であり、前記吸引口51と重なるように穿孔されている。図中67は昇降ガイドレールであり、当該昇降ガイドレール67に沿って昇降基体64は昇降自在に構成されている。この昇降ガイドレール67の下端部は例えばガイドレール65の下方を潜り、前記排気ユニット5の排気室53内にて当該昇降ガイドレール67を前記ガイドレール65に沿って移動させるための駆動ベルト55に係止されている。
【0027】
ここで搬送ブロックM1について図1、図6及び図7を参照しながら説明しておく。DEV層B1とBCT層B2との間にはウエハWをキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3へ直行して搬送する搬送ブロックM1が形成されている。この搬送ブロックM1はDEV層B1の搬送用通路R1とは仕切り板70aにより仕切られた搬送領域M2と直通搬送手段であるシャトルアーム7とを含んでいる。当該シャトルアーム7は移動部7Aと駆動部7Bとにより構成され、移動部7Aは搬送領域M2に沿って移動できるように設けられている。移動部7Aは例えばウエハWの裏面側周縁領域を支持するためのアーム体71を備えており、このアーム体71は搬送基体72上を進退自在に構成されている。また搬送基体72は、移動基体73上に鉛直軸回りに回転自在に設けられている。なおこの例では、アーム体71、搬送基体72、及び移動基体73により移動部7Aが構成される。なお大きさに限定されなければ、搬送基体72を昇降させる機構が設けられていてもよい。
【0028】
駆動部7Bは筺体70を備えており、筺体70内部の排気室70aには前記移動部7Aを移動させるための駆動部(不図示)が含まれている。筺体70の前面には前記移動部7Aを横方向にガイドするためのガイドレール74が横方向に伸びるように設けられており、このように構成されることでシャトルアーム7は後述の棚ユニットU5に設けられた受け渡しステージTRS1Bと棚ユニットU6に設けられた受け渡しステージTRS5Bとの間でウエハWが直行して搬送され、受け渡しが行われるように構成されている。
【0029】
また当該筺体70は搬送領域M2に面して開口された吸引口75を備えており、当該吸引口75と重なるように前記ガイドレール74には横方向に間隔をおいて孔74aが設けられている。搬送領域M2に面する側を手前側とすると前記排気室70aの奥側には横方向に間隔をおいて複数箇所、排気口77が開口しており、排気口77には排気室70a内を吸引排気するための排気管78が接続されている。当該排気管78を介して排気室70aが負圧化されることで搬送領域M2における気体が排気室70aに流入する構成になっている。
【0030】
また搬送領域M2には例えば角型の筺体を備えた気体導入部79が横方向に、例えば当該搬送領域M2全域をカバーするように設けられている。当該筺体には例えば横方向に一定の間隔をおいて搬送領域M2に面する気体導入口(不図示)が設けられており、気体導入部79中を流通する清浄気体が当該気体導入口を介して例えば搬送領域M2全域に放射状に供給されるように構成されている。このように気体導入口から搬送領域M2に清浄気体が供給される一方、前記排気室70aを介して搬送領域M2の排気が行われることで、搬送領域M2におけるパーティクルの除去が図られている。また例えばこのような清浄気体の供給と排気とのバランスを取り、搬送領域M2における圧力がクリーンルーム内の圧力よりも若干高い圧力(陽圧)になるようコントロールされることで、当該塗布、現像装置の外部から気流に乗って当該搬送領域M2にパーティクルが流入することが抑えられている。
【0031】
搬送用通路R1及び搬送領域M2におけるキャリアブロックS1と隣接する領域は、第1のウエハ受け渡し領域R2となっていて、この領域R2には、図1及び図3に示すようにメインアームA1と、シャトルアーム7と、及びトランスファーアームCとがアクセスできる位置に棚ユニットU5が設けられると共に、この棚ユニットU5に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降搬送手段である受け渡しアームD1を備えている。
【0032】
この棚ユニットU5において、ブロックB1には受け渡しステージTRS1B、受け渡しステージTRS1が上段からこの順に設けられており、受け渡しステージTRS1BにはトランスファーアームC、前記シャトルアーム7及び受け渡しアームD1がアクセスできるように構成されている。受け渡しステージTRS1にはメインアームA1、トランスファーアームC、及び受け渡しアームD1がアクセスできるように構成されている。当該受け渡しステージTRS1及び受け渡しステージTRS1Bの構造としては例えば方形の筺体内を備え、当該筺体内にはウエハWを載置することでウエハWの温度を予定した温度に調節する機構を備えたステージが設けられ、また当該ステージ上を突没自在なピンが設けられている。例えば筺体の各アームに向かう側面に設けられた搬送口を介して各アームが前記筺体内に進入し、前記ピンを介してステージから浮いたウエハWの裏面を各アームが保持することができる、または前記ピンを介してプレート上に各アームにより搬送されたウエハWが載置されるような構造を備えている。
【0033】
なおこの例では図3に示すようにブロックB2〜B4には各2基の受け渡しステージTRS2〜TRS4が設けられているが各TRSは総て既述のような構造を有しており、受け渡しステージTRS2〜TRS4は各層に設けられたメインアームA2〜A4、及び受け渡しアームD1とウエハWの受け渡しができるように構成されている。またTRS2にはこれらのアームの他にトランスファーアームCともウエハの受け渡しができるように構成されている。ところで各TRSの数は限定されるものではなく、各ブロックに対応して2基以上設けられていてもよい。
【0034】
前記受け渡しアームD1はB1からB4の各層を移動して、各層に設けられた受け渡しステージTRS1〜TRS4及び受け渡しステージTRS1Bに対してウエハWの受け渡しを行うことができるように、進退自在及び昇降自在に構成されている。また前記受け渡しステージTRS1、TRS2及び受け渡しステージTRS1Bは、この例ではトランスファーアームCとの間でウエハWの受け渡しが行われるように構成されている。
【0035】
さらにDEV層B1の搬送用通路R1及び搬送ブロックM1の搬送領域M2のインターフェイスブロックS3と隣接する領域は、第2のウエハ受け渡し領域R3となっていて、この領域R3には、図3に示すように棚ユニットU6が設けられている。棚ユニットU6は図3に示すように、受け渡しステージであるTRS5B,TRS5が上からこの順に設けられており、受け渡しステージTRS5Bはシャトルアーム7とインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しが行えるように構成されている。また受け渡しステージTRS5はメインアームA1及びインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しが行えるように構成されている。受け渡しステージTRS5B,TRS5は例えば既述の受け渡しステージTRS1Bと同様の構造を有しており、ウエハWの冷却機能を備え、受け渡されたウエハWの温調管理ができるように構成されている。
【0036】
また処理ブロックS2における棚ユニットU6の奥側には、インターフェイスブロックS3を介して露光装置S4が接続されている。インターフェイスブロックS3には、処理ブロックS2の棚ユニットU6と露光装置S4とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアームBが備えられている。このインターフェイスアームBは例えば図8に示すように、ウエハWの裏面側中央領域を支持するための1本のアーム201が基台202に沿って進退自在に設けられている。前記基台202は、昇降台203に回転機構204により鉛直軸回りに回転自在に取り付けられ、昇降レール205に沿って昇降自在に設けられている。こうしてアーム201は、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
なお既述の受け渡しアームD1も、鉛直軸回りに回転しない他は、インターフェイスアームBと同様に構成されている。
【0037】
このインターフェイスアームBは、処理ブロックS2と露光装置S4との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この実施形態では、ブロックB1の受け渡しステージTRS5からウエハWを受け取り露光装置S4へ搬入する一方で、露光装置S4からウエハWを受け取り、ステージTRS5Bに受け渡すように構成されている。
【0038】
続いて他のブロックについて簡単に説明する。BCT層B2、COT層B3、TCT層B4は、DEV層B1と略同様に構成されており、差異としては液処理ユニットの薬液として現像液の代わりに反射防止膜用の薬液あるいはレジスト膜形成用の薬液(レジスト液)が用いられる点、薬液の塗布の手法が異なる点が挙げられ、また棚ユニットU1〜U4を構成する加熱系、冷却系のユニットにおける処理条件が異なる点、さらにはインターフェイスS3側に棚ユニットU6が配置されていない点などが挙げられる。また例えばブロックB2〜B4のいずれかにウエハWの周縁部を露光する周縁露光ユニットが設けられており、COT層B3の棚ユニットU1〜U4にはウエハWに対して疎水化処理を行うユニットが含まれている。
【0039】
また、この塗布、現像装置は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有する制御部100を備えている。プログラム格納部には後述するような当該塗布、現像装置の作用、つまりウエハWの処理、ウエハWの受け渡し、排気、及び気流の制御、搬送経路のレシピの管理などが実施されるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納される。そして当該プログラムが制御部100に読み出されることにより制御部100は当該塗布、現像装置の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクなどの記録媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0040】
なお前記搬送経路のレシピは処理種別に応じたウエハWの搬送経路(ウエハWが置かれる受け渡しステージやユニットなどのモジュールの順番)を指定したものであり、その処理種別毎に作成されており操作者がこの処理種別を選択でき、選択したレシピがプログラムから制御部100に読み出されるように構成されている。また製品ウエハに対する処理種別の他に、露光装置をチェックするためのウエハWを露光装置に搬送するための処理モードが選択できるようになっており、この処理モード(露光チェックモード)を選択するとシャトルアーム7によりウエハWがキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3に搬送され、またシャトルアーム7によりインターフェイスブロックS3からキャリアブロックS1に戻るようになっている。
【0041】
ここでこの塗布、現像装置における作用について先ずレジスト膜の上下に夫々反射防止膜を形成する場合におけるウエハWの流れの例について説明する。外部からキャリア20がキャリアブロックS1に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内からウエハWが取り出される。ウエハWは、トランスファーアームCから、棚ユニットU5の受け渡しステージTRS2を介してBCT層B2のメインアームA2に受け渡される。そしてBCT層B2では、メインアームA2により、冷却ユニット→反射防止膜形成ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニット→棚ユニットU5の受け渡しステージTRS2の順序で搬送されて、下部反射防止膜が形成される。
【0042】
続いて受け渡しステージTRS2のウエハWは受け渡しアームD1により、COT層B3の受け渡しステージTRS3に搬送され、次いで当該COT層B3のメインアームA3に受け渡される。そしてCOT層B3では、メインアームA3により、ウエハWは冷却ユニット→レジスト塗布ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニットの順序で搬送されて下部反射防止膜の上層にレジスト膜が形成された後、周縁露光ユニットに搬送されて周縁部が露光され、さらに棚ユニットU5の受け渡しステージTRS3に搬送される。
【0043】
次いで受け渡しステージTRS3のウエハWは受け渡しアームD1により、TCT層B4の受け渡しステージTRS4に搬送され、当該TCT層B4のメインアームA4に受け渡される。そしてTCT層B4では、メインアームA4により、冷却ユニット→第2の反射防止膜形成ユニット(図示していないが、図5における現像ユニット3に対応するユニットである)→加熱ユニットの順序で搬送されてレジスト膜の上層に上部反射防止膜が形成された後に、棚ユニットU5の受け渡しステージTRS4に搬送される。
【0044】
受け渡しステージTRS4のウエハWは受け渡しアームD1により、受け渡しステージTRS1Bに搬送される。次いでシャトルアーム7の移動部7AがウエハWを受け取りインターフェイスブロックS3側に向きを変えると共にインターフェイスブロックS3側に移動し、ウエハWが受け渡しステージTRS5Bに搬送される。このステージTRS5B上に載置されたウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。
【0045】
露光処理後のウエハWはインターフェイスアームBにより棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5に搬送され、このステージTRS5上のウエハWは、DEV層B1のメインアームA1に受け取られ、当該DEV層B1にて、棚ユニットU1〜U4に含まれる加熱ユニット→冷却ユニット→現像ユニット3→加熱ユニット→冷却ユニットの順序で搬送され、所定の現像処理が行われる。こうして現像処理が行われたウエハWは棚ユニットU5の受け渡しステージTRS1に搬送されトランスファーアームCにより、キャリアブロックS1に載置されている元のキャリア20に戻される。
【0046】
図9は以上説明したウエハWの搬送経路を模式的に示したものである。ウエハWは塗布膜形成用のブロックB2〜B4間を移動し、塗布膜が形成され(ステップ1)、その後シャトルアーム7により処理ブロックS2におけるキャリアブロックS1側からインターフェイス側S3へ搬送ブロックM1を経由して搬送され、さらに露光装置S4に運ばれる(ステップ2)。露光処理を終えたウエハWは露光装置S4からDEV層B1を通過し、現像処理を受けてキャリアブロックS1に戻される(ステップ3)。
【0047】
次に露光装置S4のメンテナンスを行うためにブロックB2〜B4の各層を通さず当該露光装置S4にウエハWを搬送する場合の搬送経路について説明する。先ず制御部100により露光チェックモードが選択される。モードの選択後、外部からキャリア20がキャリアブロックS1に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内から例えばレジストが塗布されたテストウエハWが取り出される。当該テストウエハWは、トランスファーアームCから受け渡しステージTRS1Bに受け渡され、シャトルアーム7の移動部7Aにより、受け渡しステージTRS5Bに直通して搬送される。この受け渡しステージTRS5B上のテストウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、当該テストウエハWを用いて露光装置S4の例えばフォーカス精度校正、位置精度校正、レンズ歪確認、レンズ透過率確認、光学系ごみ付着確認などのメンテナンス作業が行われる。
【0048】
メンテナンスのために使用されたテストウエハWは露光装置S4からインターフェイスアームBにより受け渡しステージTRS5Bに搬送され、シャトルアーム7の移動部7Aにより、受け渡しステージTRS1Bに直通で搬送される。この受け渡しステージTRS1Bに載置されたテストウエハWはトランスファーアームCによりキャリア20に戻される。
【0049】
本実施形態における塗布、現像装置は、処理ブロックS2を各々キャリアブロックS1側からインターフェイスブロックS3側に伸びる塗布膜形成用のブロックB2〜B4と現像用のブロックB1との積層体により構成しているので、設置スペースが小さくて済み、そしてDEV層B1とBCT層B2との間に処理ブロックS2に搬送ブロックM1を設け、その搬送ブロックM1内にはキャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間でウエハWの直通搬送を専用に行うシャトルアーム7が設けられているため、露光装置S4、塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1のメンテナンスを同時に行うことができ、メンテナンス時間の短縮が図れる。また塗布膜形成用のブロックB2〜B4と現像用のブロックB1とがメンテナンス中であってもあるいは例えば排気系にトラブルが発生するなどによりこれらブロックにトラブルが起きていても、露光装置S4の状態を検査するためのウエハWを搬送ブロックM1のシャトルアーム7を介して、キャリアブロックS1側から露光装置S4に搬送することができるので、露光装置S4の状態の検査を所望のタイミングで実施することができる。このため塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1が運転可能な状態になった後、速やかに製品ウエハWの処理に移行することができ、スループットの低下を抑えることができる。また装置の据付立ち上げ時において、直通シャトルアーム7の調整を先行して完了しておけば、このシャトルアーム7により試験ウエハWの搬送を行うことで、塗布膜形成用のブロックB2〜B4及び現像用のブロックB1に備えられたメインアームA1〜A4の調整作業と切り離して露光装置S4の調整を行うことができ、露光装置S4の調整が完了していれば、続いて現像条件の設定を行うことができ、結果として装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【0050】
また本実施形態においては塗布膜形成ブロックB2〜B4の下方側に現像用のブロックB1を設け、そのブロックB1とブロックB2との間にシャトルアーム7を備えた搬送ブロックM1を設けているのでインターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBの昇降ストロークを小さくできる。従ってこのインターフェイスアームBにより構成される搬送手段の小型化を図ることができる。
【0051】
本発明では各ブロックの積層数や積層の順番は上述の例に限られず、塗布膜形成用のブロックを例えば、下方側から上方側に向かって順番にTCT層、COT層、BCT層となるように配列してもよい。また塗布膜形成用のブロックを下方側に配置し、その上に現像処理用のブロックを配置してもよい。また例えば反射防止膜を形成せずレジスト膜のみをウエハWに形成する場合は塗布膜形成用のブロックとしてはCOT層のみが設けられた構成であってもよい。なお塗布膜形成用のブロックは一層の中で下側反射防止膜の形成、レジスト膜の形成、上側反射防止膜の形成を行うようにしてもよく、このような層を複数段積層して塗布、現像装置を構成してもよい。またDEV層B1において既述の現像ユニット3が例えば2段積層されてもよい。
【0052】
ところで既述の実施形態においては搬送通路R1へのパーティクルの落下を防ぐためDEV層B1の搬送用通路R1と搬送ブロックM1の搬送領域M2とは仕切り板70aにより区画されているが、この仕切り板70aを設けない構成としてもよい。この場合例えば当該移動部7Aの移動領域(搬送領域)は前記メインアームA1のが移動可能な領域(搬送領域)上限位置における当該メインアームA1の上端部分よりもやや上方に設定され、メインアームA1と移動部7Aとは互いに干渉することがないように構成してもよい。
【0053】
また直通搬送手段であるシャトルアーム7の構成としては既述の実施例で示した構成に限られず、例えばシャトルアーム7は、搬送基体72上をアーム体71が進退する機構を設けず、搬送基体72が旋回することでTRS1BあるいはTRS5Bにてピンにより持ち上げられたウエハWの下にアーム体71が潜り込み、ピンの下降によりアーム体71がウエハWを受け取ってTRS1BとTRS5Bとの間でウエハWを搬送するような構成であってもよい。
【0054】
また直通搬送手段としてはキャリアブロックS1側からインターフェイスブロックS3側に、塗布あるいは現像を行うためのユニットを介さないで直通にウエハWを搬送できればよいため以上説明したようなアーム搬送に限らず、例えばエンドレスベルトを用いたベルトコンベアにより構成すると共に、受け渡しステージTRS1B及びTRS5Bを切り欠いて例えばコ字型に形成し、その切り欠き空間にベルトコンベアの両端部を位置させて、これらの一方の受け渡しステージ上に載置されたウエハWが前記エンドレスベルトに載せられて他方の受け渡しステージ上に搬送されるように構成してもよい。あるいは横方向に沿った両側にウエハWの落下防止用のガイドレールを備えたスロープを、受け渡しステージTRS1BとTRS5Bとの間に、TRS5B側が低くなるように設けて、当該スロープの床にTRS5B側にエアを噴出す穴を配列させて当該エアの圧力とウエハWの自重とによりTRS5B側にウエハWが押し出されるような構成としてもよい。
【0055】
なお本発明の直通搬送手段は、キャリアブロックからインターフェイスブロックに、塗布あるいは現像を行うためのユニットを介さないで直通に搬送するためのものであるが、この直通搬送手段の搬送経路中に例えば周縁露光装置や検査ユニットなどが介在している場合であっても、例えばこれら装置内を介して直通搬送手段とキャリアブロック側の搬送手段あるいはインターフェイスブロック側の搬送手段との間で基板の受け渡しが行われる場合をも含む意味である。
【0056】
また本発明の塗布、現像装置は、以下のように構成してもよい。この実施の形態について図10〜図13を用いて説明すると、この塗布、現像装置101は、キャリアブロックS1と処理ブロックS2との間にウエハWに対して所定の検査を行うための、検査ブロックS5が設けられると共に処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に補助ブロックS6が設けられている。この補助ブロックS6内には、液浸露光される際の液体がレジストに含浸されるのを防ぐための保護膜を塗布する撥水性保護膜塗布ユニット(ITC)(以下「保護膜塗布ユニット(ITC)」という)と、この撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」という)とが設けられている。またインターフェイスブロックS3には液浸露光の前後にウエハWを洗浄するための洗浄ユニット(RD)が設けられている。
【0057】
ここで液浸露光について簡単に説明すると、この液浸露光とは、基板の表面に光を透過させる液層を形成した状態で露光することにより、露光の解像度を上げることを目的とするものであって、例えば光を純水の中を透過させ、水中では光の波長が短くなることから193nmのArFの波長が水中では実質134nmになる、という特徴を利用して露光を行うものである。
【0058】
ところで液浸露光では、レジストの表面に液層を形成するため、レジストが液相側に溶出してその溶出成分がウエハW上に残ってしまったり、露光処理終了後に、ウエハWの表面に形成された液層をウエハWから排出する際に、ウエハ表面に液滴である微小な水滴が残留するおそれがある。このようにレジストの溶出分や液滴がウエハWに残存すると、前記溶出分がウエハWに付着し、欠陥原因となるパーティクルの発生要因となったり、露光処理後の加熱処理時に前記溶出分から発生するパーティクルが固着や溶着を起こしてしまい、パターンの線幅に影響を及ぼしたり、液滴の存在で露光処理後の加熱処理時にウエハWの面内において温度差が発生し、熱処理の面内均一性が悪化したり、液滴が空気と反応してウエハW表面のウォーターマークの発生原因となるという問題がある。
【0059】
このため液浸露光処理では、ウエハWにレジスト液を塗布した後液浸露光を行なう前に、レジストの溶出を抑えると共に、液浸露光時の液体をウエハW表面に残りにくくするために、撥水性の保護膜をウエハW表面に塗布しており、この処理が保護膜塗布ユニット(ITC)にて行なわれる。またこの保護膜が塗布された状態で現像処理を行うと、現像液によりレジストが溶解できなくなるため、現像処理の前にこの保護膜を除去する必要があり、この処理が保護膜除去ユニット(ITR)にて行なわれる。さらにより確実にウエハWに付着したレジスト液の溶出成分や、液浸露光時の液体である水滴を除去するために、液浸露光処理を行なった後に、ウエハWの表面を洗浄しており、この洗浄が洗浄ユニット(RD)にて行なわれる。
【0060】
この塗布、現像装置101の処理ブロックS2には、DEV層B1が2段積層されており、DEV層B1、B1の上段側が搬送ブロックM1として構成されている。なお図11では、図示の便宜上棚ユニットU5,U6には、単位ブロックB1〜B4毎に夫々1個の上段側の受け渡しステージTRS1〜TRS5のみを描いている。
【0061】
続いて検査ブロックS5の構成について図12をも参照しながら説明する。この検査ブロックS5は例えば筺体111を備え、この筺体111により周囲から区画されている。キャリアブロックS1側を手前側、処理ブロックS2側を奥側とすると、筺体111の内部の手前側中央部にはキャリアブロックS1のトランスファーアームCからウエハWを受けとるための受け渡しステージであるTRS11が設けられている。この受け渡しステージTRS11は既述のTRS1〜5と同様に構成されている。またこのステージTRS11の下方には所定の枚数のウエハWを収容できるバッファユニットBUが例えば5段積層されて設けられており、これら5つのバッファユニットは例えば計10〜20枚程度のウエハWを収容できるようになっている。DEV層B1で現像処理を受けたウエハWは後述の110のアームにより例えば各バッファユニットBUに搬入され一時的に蓄えられる。またこのバッファユニットBUにはトランスファーアームCがアクセスして、ここに収容されているウエハWをキャリア20へと搬送するようになっている。
【0062】
この検査ブロックS5の筺体111内において手前側から奥側を見て左右に検査ユニット112,113が夫々設けられている。ここで検査ユニット112,113としては、この例では模式的に2つの検査ユニットを記載しているが、より具体的には、検査の種類に応じて配置数が決められることになる。なおこの例のように2つの検査ユニット112,113を設け、その一方が例えば基板表面の状態を検査するための、基板に形成された塗布膜の膜厚を検査するための膜厚検査ユニットであり、他方がウエハWの表面をCCDカメラ等の撮像手段で撮像してその画像を解析する検査ユニットであってもよい。この他方の検査ユニットでは、現像欠陥やレジストパターンの線幅等が検査される。
【0063】
なおこれらの検査ユニット112,113としては既述のような検査ユニットの他にも例えば、露光装置にて生じるパターンの位置ずれを検出するためのデフォーカス検査装置、レジスト液の塗布ムラを検出するための塗布ムラ検出装置、現像処理の不良を検出するための現像不良検出装置、基板に付着したパーティクル数を検出するためのパーティクル数検出装置、レジスト塗布後の基板に発生するコメットを検出するためのコメット検出装置、スプラッシュバック検出装置、基板表面の欠陥を検出するための欠陥検出装置、現像処理後の基板に残存するレジスト残渣を検出するためのスカム検出装置、レジスト塗布処理及び/又は現像処理の不具合を検出するための不具合検出装置、基板上に形成されたレジスト膜の線幅を測定するための線幅測定装置、露光後の基板とフォトマスクとの重ね合わせ精度を検査するための重ね合わせ検査装置などの検査装置の中から所望の検査の種類に応じて選択される検査装置をユニット化したものを用いることができる。
【0064】
検査ブロックS5の筺体111内の奥側中央部には昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在なウエハWの受け渡しアーム110が設けられており、この受け渡しアーム110は検査ユニット112,113、バッファユニットBUに夫々アクセスしてこれらの各ユニット間でウエハWを受け渡すことができるようになっている。また受け渡しアーム110は処理ブロックS2の各受け渡しステージTRS1にもアクセスできるようになっており、この受け渡しアーム110により検査ブロックS5と処理ブロックS2との間で現像処理を受けたウエハWの受け渡しが行われる。
また処理ブロックS2の搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7を第1のシャトルアームとすると、受け渡しアーム110の上方には昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されたウエハWの搬送機構である第2の直通搬送手段であるシャトルアーム120が設けられており、この第2のシャトルアーム120はレシピの中から露光チェックモードを選択したときに前記受け渡しステージTRS11と処理ブロックB2の棚ユニットU5のTRS1Bとの間でウエハWを搬送するためのものである。なお検査ユニット112,113の上方には塗布、現像装置101の各ユニットを作動させるための電装部品が収納された電装ユニット117が設けられている。
【0065】
次に補助ブロックS6について説明する。この補助ブロックS6は例えば筺体400を備え、この筺体400により周囲から区画されている。筺体400の内部においてキャリアブロックS1から見て奥側と右側と左側には、夫々棚ユニットU7,U8,U9が設けられている。例えば前記棚ユニットU7には、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しを行なうための受け渡しステージである2つのTRS12,TRS13,2つのTRS14が、下からこの順に積層されている。なおこれら受け渡しステージTRS12〜14は例えば受け渡しステージTRS1〜5と同様に構成されている。
【0066】
棚ユニットU8は上下に分割されており、例えばその棚ユニットU8の分割された上部側には例えば2つの保護膜塗布ユニット(ITC)401が積層されている。その一方で棚ユニットU8の分割された下部側には例えば2つの保護膜除去ユニット(ITR)402が積層されている。棚ユニットU9には、例えば塗布膜形成後露光処理前に行う検査や、露光処理後現像処理前や、現像処理後の検査を行うための検査ユニットや、既述の冷却ユニット(COL)、加熱ユニット(CHP)等の加熱、冷却系のユニット等が多段に積層して設けられている。なお図11では、図示の便宜上棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12,TRS14は夫々一つずつ記載している。
【0067】
例えばこの例では、2つの保護膜除去ユニット402は、各々処理ブロックS2の2つのDEV層B1,B1に対応する位置に設けられ、2つの保護膜塗布ユニット401は、BCT層B2とCOT層B3とに夫々対応する位置に設けられている。
【0068】
またこの例では棚ユニットU7の2つの受け渡しステージTRS12は、保護膜除去ユニット402に対応する位置に設けられ、また2つの受け渡しステージTRS14は保護膜塗布ユニット401に対応する位置に設けられている。例えば受け渡しステージTRS14は、補助ブロックS6からインターフェイスブロックS3にウエハWを受け渡す際に用いられ、例えば受け渡しステージTRS12はインターフェイスブロックS3から補助ブロックS6へウエハWを受け渡す際に用いられるようになっている。また受け渡しステージTRS13は搬送ブロックM1に対応する位置に設けられ、後述のシャトルアームFによりウエハWの受け渡しが行われる。
【0069】
そして補助ブロックS6には、上下に2段に受け渡しアームF1,F2が設けられており、上方側の受け渡しアームF1は、補助ブロックS6の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば棚ユニットU8の2個の保護膜塗布ユニット401と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS14と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
【0070】
また下方側の受け渡しアームF2は、処理ブロックS2の各DEV層B1との間でウエハWの受け渡しを行なうと共に、当該補助ブロックS6の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば処理ブロックS2の棚ユニットU6の各受け渡しステージTRS5と、棚ユニットU8の2個の保護膜除去ユニット402と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
【0071】
この受け渡しアームF1,F2は、例えばメインアームA1〜A5と同様に構成され、棚ユニットU8を支持する図示しない台部のアームF1,F2の搬送領域に臨む面に取り付けられたY軸レール405に沿って、例えば図中Y方向に移動自在、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
また受け渡しアームF1,F2の間には進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成された第3の直通搬送手段であるシャトルアームFが設けられ、このシャトルアームFにより処理ブロックS2のU6の受け渡しステージTRS5Bとこの補助ブロックS6の棚ユニットU8の受け渡しステージTRS13との間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0072】
インターフェイスブロックS3においては、インターフェイスアームBがアクセスできる位置に、液浸露光後にウエハWを洗浄するための、例えば2個の洗浄ユニット(RD)403が積層されて設けられている。
さらにインターフェイスブロックS3の上方側には、ULPAフィルタ406が設けられており、このULPAフィルタ406によりゴミ、塵埃などが除去された清浄空気がインターフェイスブロックS3内に供給されるようになっている。
【0073】
続いて前記保護膜塗布ユニット401、保護膜除去ユニット402、洗浄ユニット403の構造について簡単に説明する。これらの各ユニットは例えば既述の処理ブロックS2のレジスト塗布ユニットと略同様に構成されており、差異としてはウエハWの保持部をなすスピンチャックは夫々各ユニットの筺体内に一つずつ設けられている。またその他の差異として保護膜塗布ユニット401においては保護膜形成用の薬液が、保護膜除去ユニット402においては前記保護膜塗布ユニット401で形成された保護膜を除去するための剥離液が、洗浄ユニット403においては液浸露光処理を終えたウエハWを洗浄するための洗浄液が、夫々レジスト液の代わりにウエハWに供給されるようになっている。
【0074】
以上において図1の実施形態では、搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7は、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間の直通搬送を行う直通搬送手段を構成するものであったが、この実施形態では検査ユニットS5に設けられたシャトルアーム120、搬送ブロックM1に設けられたシャトルアーム7及び補助ブロックS6に設けられたシャトルアームFによって直通搬送手段が構成される。
【0075】
このような構成を有する塗布、現像装置101においても既述の実施形態の塗布、現像装置と同様にその処理種別毎に搬送経路のレシピが作成されており、操作者がこの処理種別を選択でき、選択したレシピがプログラムから制御部100に読み出されるように構成されている。また製品ウエハに対する処理種別の他に、露光装置をチェックするためのウエハWを露光装置に搬送するための処理モードが選択できるようになっており、この処理モード(露光チェックモード)を選択すると3つのシャトルアーム120,7,FによりウエハWがキャリアブロックS1からインターフェイスブロックS3に直通搬送され、またこれら3つのシャトルアーム120,7,FによりウエハWがインターフェイスブロックS3からキャリアブロックS1に直通で戻されるようになっている。
【0076】
このような構成の塗布、現像装置101において、液浸露光処理を行い、次いで当該露光処理後に洗浄処理を行なう場合には、例えばウエハWは、キャリア20→キャリアブロックS1→トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→受け渡しステージTRS1Bの順でキャリアブロックS1から検査ブロックS5を通り処理ブロックS2へと搬送される。続いてウエハWは、受け渡しアームD1→受け渡しステージTRS2→BCT層B2→COT層B3→TCT層B4→TRS4の順で搬送され、次いで受け渡しアームD1→受け渡しステージTRS1B→シャトルアーム7→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5B→シャトルアームF→受け渡しステージTRS13の順で補助ブロックS6に搬送され、その次に受け渡しアームF1→棚ユニットU8の保護膜塗布ユニット401→補助ブロックS6の受け渡しアームF1→棚ユニットU7の受け渡しステージTRS14→インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→露光装置S4の経路で搬送され、露光処理を受ける。
【0077】
露光後のウエハWは、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→洗浄ユニット403→インターフェイスアームB→補助ブロックS6の棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12→受け渡しアームF2→棚ユニットU8の保護膜除去ユニット402→受け渡しアームF2→処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5→DEV層B1→棚ユニットU5のTRS1の経路で搬送される。
【0078】
続いてウエハWは既述したように検査ブロックS5の受け渡しアーム110によりバッファユニットBUを介してあるいは直接各欠陥検査ユニット112,113に搬送され、検査が終わると受け渡しアーム110によりバッファユニットBUに搬送される。そしてバッファユニットBUに収容されたウエハWはトランスファーアームCによりキャリア20に戻される。なお検査ユニット112,113の中に膜厚検査ユニットが含まれる場合にはCOT層B3にてレジストが塗布された後のウエハWについて膜厚検査が行われる。またバッファユニットBUはこの例ではキャリアブロックS1のトランスファーアームCとの間でウエハWの受け渡しを行うための役割の他に、例えば所定枚数毎にウエハWの検査を行う場合には検査を行わないウエハWが待機して、ロット中のウエハWの搬送順序を確保する役割なども持っている。
【0079】
次に露光装置S4のメンテナンスを行うためにブロックB1〜B4の各層を通さず当該露光装置S4にウエハWを搬送する場合の搬送経路について説明する。先ず制御部100により露光チェックモードが選択される。モードの選択後、外部から例えばレジストが塗布されたテストウエハWが収納されたキャリア20がキャリアブロックS1に搬入される。そしてキャリア20内のテストウエハWは、トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→棚ユニットU5の受け渡しステージTRS1B→シャトルアーム7→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS5B→シャトルアームF→棚ユニットU7の受け渡しステージTRS13→インターフェイスアームB→露光装置S4の順で受け渡され、既述の実施形態と同様のメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業後のテストウエハWはこの露光装置S4に搬入されるときの手順とは逆の手順でキャリア20に戻される。
【0080】
上述の実施の形態では、検査ブロックS5を備えた塗布、現像装置を構成し、この検査ブロックS5をキャリアブロックS1と処理ブロックS2との間に設置したので、レジストの塗布、露光、現像、検査を、共通のオペレータで監視することができるので、オペレータの省数化を図ることができる上、検査により何らかの欠陥が認められたときに、速やかに原因の特定や、原因の排除などの次のアクションを起こすことができる。
【0081】
またこの実施の形態では、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に設けられた補助ブロックS6に、液浸露光を行なう場合に必要なユニットである保護膜塗布ユニット401や保護膜除去ユニット402を設けたので、この補助ブロックS6を組み込むことにより、処理ブロックS2のレイアウトを変更することなく、液浸露光を行なう場合と液浸露光を行わない場合とに対応することができる。この際液浸露光を行なわない場合には、補助ブロックS6内を素通りするようにウエハWを搬送すればよい。
【0082】
ところで検査ブロックS5の第2のシャトルアーム120と処理ブロックS2の第1のシャトルアーム7との間の受け渡しは、上述の例では共通の受け渡しステージTRS11により行われているが、第1のシャトルアーム7により受け渡しが行われるステージと第2のシャトルアーム120により受け渡しが行われるステージとが互いに異なり、互いに異なったステージ間のウエハWの搬送を受け渡しアームD1が行う場合でも、第1のシャトルアーム7及び第2のシャトルアーム120は直通搬送を行っていることになる。
【0083】
なお既述の塗布、現像装置101における各ブロックに設けられた各受け渡しステージTRSの数及び各ユニットの数は既述の例に限られない。また検査ブロックS5または補助ブロックS6のいずれかが既述の塗布、現像装置に設けられているような構成であってもよい。
【0084】
既述の実施形態においてはCOT層B3の棚ユニットU1〜U4にはウエハWに対して疎水化処理を行うユニット(ADH)が含まれているが、この疎水化ユニットをCOT層B3に設ける代わりに図14〜図15に示すように既述の検査ブロックS5に設けてもよい。具体的に説明するとこの図14〜15に示す塗布、現像装置102の検査ブロックS5は、前記塗布、現像装置101の検査ブロックS5と略同様に構成されているが、受け渡しステージTRS11の上方には疎水化ユニット118が例えば3つ積層されて設けられている。またキャリアブロックS1側から見てこの検査ブロックS5の手前左側には例えば処理ブロックS2の受け渡しアームD1と同様に、昇降自在、進退自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成された受け渡しアーム119が設けられており、この受け渡しアーム119は受け渡しステージTRS11及び各疎水化ユニット118にアクセスできるように構成されている。
【0085】
このように構成された塗布、現像装置102において露光処理を受けるウエハWは、キャリア20→キャリアブロックS1→トランスファーアームC→受け渡しステージTRS11→受け渡しアーム119→疎水化ユニット118→受け渡しアーム119→受け渡しステージTRS11→シャトルアーム120→受け渡しステージTRS1Bの順でキャリアブロックS1から検査ブロックS5を通り処理ブロックB2へと搬送される。疎水化処理は、例えばレジストを塗布する前に行われ、その場合下側の反射防止膜を塗布しないプロセスに適用されるが、下側の反射防止膜を塗布する前に行うようにしてもよい。ウエハWは疎水化処理のための搬送以外は、既述の塗布、現像装置101と同様の経路で搬送され露光処理を受ける。なお露光処理を受けたウエハWが現像処理を受けてキャリア20に戻される場合ウエハWは、既述の塗布、現像装置101と同様の経路により搬送される。
また露光チェックモードが選択された場合テストウエハWは、既述の塗布、現像装置101と同様の経路で搬送される。
【0086】
このように疎水化ユニット118を検査ブロックS5に設ける場合、各単位ブロックB2〜B4の棚ユニットU1〜U4に疎水化ユニットを設ける場合に比べて各単位ブロックのメインアームA2〜A4の負荷を減らすことができる。
【0087】
以上において、検査ブロックS5及び補助ブロックS6のうちの少なくとも一方を備えた塗布、現像装置において、検査ブロックS5及び補助ブロックS6についてはシャトルアームを設けずに露光チェックのときにも通常処理の時に用いられる受け渡しアームにより搬送する構成を採用した場合にも、処理ブロックS2に設けたシャトルアーム7は、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段に相当するものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る塗布、現像装置を塗布、現像装置に適用した実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置を示す側部断面図である。
【図4】前記塗布、現像装置におけるDEV層の塗布ユニット、棚ユニット、メインアーム及び排気ユニットを示す斜視図である。
【図5】前記塗布、現像装置における塗布ユニットを示す平面図と縦断断面図である。
【図6】前記DEV層の縦断側面図である。
【図7】前記DEV層におけるシャトルアームの移動部の構成の一例を示す斜視図である。
【図8】前記塗布、現像装置におけるインターフェイスアームの一例を示す斜視図である。
【図9】前記塗布、現像装置におけるウエハの搬送経路を示した模式図である。
【図10】本発明に係る他の塗布、現像装置の構成を示した平面図である。
【図11】前記塗布、現像装置を示す側部断面図である。
【図12】前記塗布、現像装置に設けられた検査ブロックの構成を示す斜視図である。
【図13】前記塗布、現像装置に設けられた補助ブロックの各部の配置を示す縦断平面図である。
【図14】前記検査ブロックに疎水化ユニットを設けた塗布、現像装置の構成の一例を示す平面図である。
【図15】前記塗布、現像装置の縦断平面図である。
【符号の説明】
【0089】
W 半導体ウエハ
S2 処理ブロック
S3 インターフェイスブロック
S4 露光装置
A1〜A5 メインアーム
B インターフェイスアーム
C トランファーアーム
D1 受け渡しアーム
M1 搬送ブロック
R1 搬送用通路
U1〜U9 棚ユニット
7,120,F シャトルアーム
100 制御部
101,102 塗布、現像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された基板を処理ブロックに受け渡し、この処理ブロックにて感光材料膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡す塗布、現像装置において、
a)前記処理ブロックは、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸び、感光材料からなる塗布膜を含む膜を形成するための塗布膜形成用のブロックと、この塗布膜形成用のブロックに対して積層された現像用のブロックと、を備え、
b)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックは、薬液を基板に塗布するための液処理ユニットと、基板を加熱する加熱ユニットと、基板を冷却する冷却ユニットと、これらユニット間で基板を搬送するブロック用の搬送手段と、を備え、
c)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段が設けられ、
d)塗布膜が形成された基板は、前記直通搬送手段を通じてキャリアブロック側からインターフェイスブロック側に搬送される
ことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
前記塗布膜形成用のブロックは、レジスト膜を形成するためのブロックと、レジスト膜の下側に反射防止膜を形成するためのブロックと、前記レジスト膜の上側に反射防止膜を形成するためのブロックと、の積層体を含むことを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
現像用のブロックが塗布膜形成用のブロックの下方側に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の塗布、現像装置。
【請求項4】
前記直通搬送手段は、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックとは区画された搬送ブロック内を移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
前記搬送ブロックは、現像用のブロックと塗布膜形成用のブロックとの間に設けられていることを特徴とする請求項4記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
前記搬送ブロックの内部に気体を導入することで搬送ブロック内部を陽圧にする気体導入部を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
塗布膜形成用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、現像用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、及び直通搬送手段により基板の受け渡しができるように夫々配置され、互いに積層された複数の受け渡しステージと、これら受け渡しステージ間にて基板の受け渡しを行うことができるように昇降自在な昇降搬送手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項8】
基板の搬送を制御する制御部を備え、この制御部は、露光装置の状態を検査するための試験基板をキャリアブロックから直通搬送手段を介して露光装置に搬送する搬送モードを選択できるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項9】
前記処理ブロックとインターフェイスブロックとの間に、塗布膜形成後露光処理前及び/または露光処理後現像処理前の処理を行うユニットと、これらユニット、前記処理ブロック及びインターフェイスブロックの間で基板を搬送するための受け渡しアームと、を備えた補助ブロックを設け、
前記直通搬送手段は、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、前記補助ブロックを通過する第2の直通搬送手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項10】
前記キャリアブロックと処理ブロックとの間に、基板の検査を行うための検査ユニットと、検査ユニット及びキャリアブロック並びに処理ブロックの間で基板を搬送する受け渡しアームと、を備えた検査ブロックを設け、
前記直通搬送手段は、前記検査ブロックを通過する第3の直通搬送手段と、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項1】
キャリアブロックにキャリアにより搬入された基板を処理ブロックに受け渡し、この処理ブロックにて感光材料膜を含む塗布膜を形成した後、インターフェイスブロックを介して露光装置に搬送し、前記インターフェイスブロックを介して戻ってきた露光後の基板を前記処理ブロックにて現像処理して前記キャリアブロックに受け渡す塗布、現像装置において、
a)前記処理ブロックは、各々キャリアブロック側からインターフェイスブロック側に伸び、感光材料からなる塗布膜を含む膜を形成するための塗布膜形成用のブロックと、この塗布膜形成用のブロックに対して積層された現像用のブロックと、を備え、
b)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックは、薬液を基板に塗布するための液処理ユニットと、基板を加熱する加熱ユニットと、基板を冷却する冷却ユニットと、これらユニット間で基板を搬送するブロック用の搬送手段と、を備え、
c)前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックに対して積層され、キャリアブロックとインターフェイスブロックとの間で基板の直通搬送を行うための直通搬送手段が設けられ、
d)塗布膜が形成された基板は、前記直通搬送手段を通じてキャリアブロック側からインターフェイスブロック側に搬送される
ことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
前記塗布膜形成用のブロックは、レジスト膜を形成するためのブロックと、レジスト膜の下側に反射防止膜を形成するためのブロックと、前記レジスト膜の上側に反射防止膜を形成するためのブロックと、の積層体を含むことを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
現像用のブロックが塗布膜形成用のブロックの下方側に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の塗布、現像装置。
【請求項4】
前記直通搬送手段は、前記塗布膜形成用のブロック及び現像用のブロックとは区画された搬送ブロック内を移動するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
前記搬送ブロックは、現像用のブロックと塗布膜形成用のブロックとの間に設けられていることを特徴とする請求項4記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
前記搬送ブロックの内部に気体を導入することで搬送ブロック内部を陽圧にする気体導入部を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
塗布膜形成用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、現像用のブロックにおけるブロック用の搬送手段、及び直通搬送手段により基板の受け渡しができるように夫々配置され、互いに積層された複数の受け渡しステージと、これら受け渡しステージ間にて基板の受け渡しを行うことができるように昇降自在な昇降搬送手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項8】
基板の搬送を制御する制御部を備え、この制御部は、露光装置の状態を検査するための試験基板をキャリアブロックから直通搬送手段を介して露光装置に搬送する搬送モードを選択できるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項9】
前記処理ブロックとインターフェイスブロックとの間に、塗布膜形成後露光処理前及び/または露光処理後現像処理前の処理を行うユニットと、これらユニット、前記処理ブロック及びインターフェイスブロックの間で基板を搬送するための受け渡しアームと、を備えた補助ブロックを設け、
前記直通搬送手段は、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、前記補助ブロックを通過する第2の直通搬送手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項10】
前記キャリアブロックと処理ブロックとの間に、基板の検査を行うための検査ユニットと、検査ユニット及びキャリアブロック並びに処理ブロックの間で基板を搬送する受け渡しアームと、を備えた検査ブロックを設け、
前記直通搬送手段は、前記検査ブロックを通過する第3の直通搬送手段と、前記処理ブロックを通過する第1の直通搬送手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−287178(P2006−287178A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297989(P2005−297989)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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