塗布修正装置および塗布修正方法
【課題】補修材の温度変化を低減し、欠陥部に補修材を精度よく微量塗布し得る塗布修正装置および塗布修正方法の提供。
【解決手段】補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる2つの樹脂製の断熱手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉できるようにする連結手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉しないようにする結合手段とを有し、前記2つの断熱手段は間に前記シリンジを挟みこむための溝を有する。
【解決手段】補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる2つの樹脂製の断熱手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉できるようにする連結手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉しないようにする結合手段とを有し、前記2つの断熱手段は間に前記シリンジを挟みこむための溝を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板に塗布材料を微量塗布する場合の塗布修正装置および塗布修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば液晶表示素子は、ガラス基板上に回路を形成したTFT基板と、ガラス基板上に遮光部により区切られた各画素に赤、青、緑に着色された樹脂を塗布してマトリクス状に配置したカラーフィルタ基板の間に液晶を挟持して構成されている。
【0003】
回路やカラーフィルタに欠陥が発生すると表示異常となり、その液晶表示素子は不良品となる。液晶表示素子市場は年々拡大しており、低価格化に対する要求が厳しくなっている。一方製造に使用されるガラス基板は年々大型化しており、プロセス改善だけでは欠陥のない液晶表示素子を製造することが難しく、コスト増大の大きな原因の一つとなっている。そのため、欠陥を修正する工程は必須となってきている。
【0004】
カラーフィルタの欠陥には黒欠陥、白欠陥などがあり、黒欠陥は着色された一部に異物等が付着して、バックライトからの光が透過されなくなる欠陥で、白欠陥は赤、青、緑に着色された樹脂の一部が欠損している欠陥である。黒欠陥の修正方法は、レーザ光の照射により異物が付着した樹脂を画素ごと除去して白欠陥にする方法がある。白欠陥を修正する技術としては、欠陥部に同色の修正インク等の補修材を塗布する方法がある。
【0005】
白欠陥部に補修材を塗布するには、0.1から数nl程度の微量の液滴を精度よく塗布する必要がある。欠陥部に微量塗布する方法の一つとしては、例えば下記特許文献1に開示されているようにディスペンサを用いる方式がある。ディスペンサはシリンジに塗布材料を充填し、ピストンを押し込むことでシリンジ先端に取り付けたノズルから塗布材料を吐出する装置であり、吐出量はピストンの押し込み量により制御され、使用するシリンジによるが10plから1ml程度の範囲を吐出することが出来る。ノズルをガラス基板から1μm以上離して微量塗布しようとしても、ノズル先端から吐出されたレジストがすぐにノズル周りに濡れ上がってしまいガラス基板に転写されないので、もっとノズルを基板に近づけなければ微量塗布できない。しかし、0.1μm単位で塗布ヘッドの高さを制御することは容易でないので、非接触ではなくてノズルをガラス基板に押し当てながら塗布する必要がある。ノズルの先端部の径は数百μmと細くガラス基板との接触面積が小さいので、ガラス基板に数N以上の荷重がかかるとガラス基板に圧痕が残ってしまう。また、ノズルがガラス基板に接触したときに衝撃荷重がかかるので、塗布ヘッドは低速で降下させなければならない。衝撃荷重は塗布ヘッド部の質量と、塗布ヘッド部の降下速度の2乗に比例するので、質量を大きくした場合はガラス基板を傷つけないために、より降下速度を小さくする必要がある。しかし降下速度が小さすぎると、補修材を塗布するまでに時間がかかり補修材に含まれる溶剤がノズル先端部から揮発して補修材が乾燥してしまうので好ましくない。前記の問題を解決するには、塗布ヘッド部を軽量化したり、塗布ヘッド部の荷重がそのままガラス基板にかからないように荷重バランサーを塗布ヘッド部に取り付けて荷重を軽減しなければならない。
【0006】
近年製造に使用されるガラス基板の大型化に伴い、カラーフィルタ欠陥部を修正するための装置も大型化している。さらに、修正装置内のモータ等の発熱源がいくつも存在するために、装置内全体を空調等で修正装置内の雰囲気温度を均一にすることは難しく、雰囲気温度にばらつきが生じる。雰囲気温度にばらつきがあるため、ディスペンサが装着された塗布ヘッド部が移動すると、塗布ヘッド部の温度が変動してしまう。温度が変動するとシリンジおよびノズル内に存在する補修材の温度が変動し、補修材の体積が変化する。例えば、塗布ヘッド部の温度が上昇した場合にガラス基板に塗布すると、温度の上昇によって補修材が体積膨張する。上部はピストンによって塞がれているので体積膨張分だけノズルの先端からにじむこととなる。その結果、膨張した分だけ余分に基板に転写されるので、塗布量がばらつき精度よく微量塗布できなくなる。また、次の欠陥に塗布するときは、一つ前に塗布してから次に塗布するまでの補修材の温度変動による体積変化分だけ余分に基板に転写されることとなる。よって、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔でどれほど温度が変動するかにより、基板に塗布される量のばらつきが影響される。0.1から数nlの微小量をばらつき数%以下で精度よく塗布するには、補修材の温度変動を±0.02℃以下に低減する必要がある。
【0007】
前記の問題を解決する一つの方法として、シリンジにペルチェ素子を用いた温調システムを取り付けて、補修材の温度を一定に管理する方法がある。しかしこの温調システムで温度の変動を±0.02℃以下で精度よく温度を管理するのは困難である。また、ペルチェ素子を用いると放熱側が高温となるため放熱フィン等で発熱を逃す構造が必要となり塗布ヘッド部に装着すると質量が大きくなる。よって荷重バランサーで塗布ヘッド部自体の荷重を小さくしても、ガラス基板とノズルの接触時の荷重が大きくなりガラス基板を傷つけてしまう。
【0008】
前記の問題を解決する別の方法として、塗布ヘッド部全体を断熱カバーで覆う方法がある。しかし、このような方法では塗布ヘッド部内のモータからの発熱により、充填された補修材の温度が上昇すると考えられる。また、塗布ヘッド部とカバーとの隙間が大きいので、空気の対流が発生しやすく温度変化を0.02℃以下に低減するには断熱効果は不十分である。逆に隙間が小さくするほど対流が発生しにくくなる。
【0009】
別な解決方法として補修材をシリンジに充填する量を少なくして温度の変動によって体積が変化する量を小さくする方法がある。しかし、例えば100nlしか充填しなかった場合は1回当たりの塗布量を1nlとすると1回の充填で100回しか塗布できなくなるので、補修材を充填する頻度が多くなり運用面で問題となる。
【0010】
塗布間隔を短縮して塗布ヘッド部の温度が変動しないうちに塗布することで、補修材の体積変化を低減する方法も考えられる。しかし、ガラス基板は年々大型化していて塗布ヘッド部の移動距離も延びており、なおかつガラス基板に低速で降下させなければならないので塗布間隔を短縮させるのは難しい。
【特許文献1】特開2006−68627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
カラーフィルタ欠陥部に0.1nlから数nlの補修材を塗布量のばらつき数%以下で精度よく微量塗布するためには、補修材の温度の変動を±0.02℃以下に低減する必要がある。しかしながら、従来のシリンジに温調システムを取り付ける方法や塗布ヘッド全体を断熱カバーで覆う方法では、温度変動を±0.02℃以下に低減することは困難であった。また補修材の充填量を小さくする方法や塗布間隔を短縮する方法は運用時に問題となった。
【0012】
本発明の目的は、補修材の温度変化を低減し、欠陥部に補修材を精度よく微量塗布し得る塗布修正装置および塗布修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
補修材の体積変化を低減するのに、塗布ヘッド部の温度の絶対値は重要ではない。温度が一定であれば、室温付近では温度の絶対値がいくつであっても補修材の体積はほとんど変化しないからである。しかし、温度が変動すると補修材の体積が変化するので、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔でどれくらい温度が変動するのかが重要となる。
【0014】
このことから、ある一定の温度でシリンジを管理できる温調システムを用いる必要は無い。そこで樹脂製の断熱材でシリンジやノズル周りを覆うことで、補修材の温度の変動を低減した。断熱材を取り付けても、長期的な雰囲気温度の変動に対しては塗布ヘッド部もゆっくりと温度が変動する。しかしながら、断熱材で覆うことで補修材の温度応答性を小さくすることができるので、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔が数十秒以内であるならば、温度の変動を低減できて体積変化量が小さくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗布修正装置によれば、短期的な温度変動を低減し精度よく安定した微量塗布が可能となる。また、断熱材が樹脂製であるので温調システムと比較して軽量で、断熱材を取り付けない場合よりも1N弱の重量の増加で済み、ガラス基板にノズルを押し当てときに基板を傷つけることがなくなる。また、断熱材とシリンジの隙間が小さいので空気の対流が発生しにくく、大きな断熱効果を得ることが出来る。運用面においても断熱材を取り外すことなくシリンジを容易に着脱できるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の塗布修復装置および塗布修復方法の実施例を図面を用いて説明する。なお、各図および各実施例において、同一又は類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0017】
〈実施例1〉
以下、本発明の実施例1について図1〜図12を用いて説明する。この実施例1の説明ではカラーフィルタの欠陥修正を例にとって説明するが、ガラス基板に0.1から数nl程度の微量な補修材をディスペンサで塗布する場合に適用可能である。
【0018】
図1に一般的なカラーフィルタ基板1とこのカラーフィルタ基板1に発生したカラーフィルタ欠陥部2を示す。カラーフィルタ基板1は、遮光部12により区切られた赤、緑、青それぞれに着色された画素13a、13b、13cのパターンがマトリクス状に規則的に並んだ構成になっている。ここに示すカラーフィルタ欠陥部2は一般に白欠陥と呼ばれ、たとえば画素13bの一部に樹脂が塗布されなかったり、黒欠陥部をレーザなどで除去してしまった場合に発生する。カラーフィルタ欠陥部2を修正する方法としては、カラーフィルタ欠陥部2に同色の補修材を塗布して修正する方法がある。カラーフィルタの1画素分を修正するためには、0.1から数nl程度で微量塗布しなければならない。例えば200×600μmの大きさで10μmの厚さのカラーフィルタ1画素分を一面に塗布するためには1.2nlの補修材が必要となる。
【0019】
図2(a)、(b)はメカニカルディスペンサの塗布ヘッド部20を示した構成図である。図2(a)は塗布ヘッド部20を正面から見た図で、図2(b)は塗布ヘッド20を側面から見た図である。シリンジ21の先端部にノズル22をはめ込み、補修材を充填するためのシリンジ21の貫通孔にピストン23を差し込んだ状態(図7参照)で、シリンジ21、ノズル22、ピストン23は塗布ヘッド部20に取り付けられる。塗布ヘッド部20は、大きく分けてピストンホルダ50、支柱60、背面部70から成る。また、図2では図示していないが荷重バランサーが塗布ヘッド部20に取り付けてあり、カラーフィルタ基板1かかる荷重を軽減している。背面部70内部にはモータ(図示せず)があり、このモータによりピストンホルダ50を下降させ、ピストン23を押し込むことで補修材がノズル22から塗布される。支柱60は背面部70に固定され、シリンジ21を断熱し固定するための断熱材100とノズル22を支えるためのノズルホルダ30が支柱60に取り付けられる。
【0020】
次に断熱材100とノズルホルダ30について詳細に説明する。まず断熱材100の構造について図3〜図4を用いて説明する。図3は断熱材100とノズルホルダ30にシリンジ21とノズル22とピストン23を取り付けた場合の図である。断熱材100は補修材の温度の変動を低減する役割だけではなく、シリンジ21を固定する役割も兼ねている。断熱材100の下面とノズルホルダ30上面の間に隙間ができないように断熱材100とノズルホルダ30を接触させた状態で断熱材100は支柱60に固定され、シリンジ21全体を覆うように取り付けられている。補修材を再充填する場合等にシリンジ21やノズル22を交換する場合があるので、断熱材100はシリンジ21やノズル22を容易に着脱できる構造にする必要がある。そこで、断熱材100を二つの樹脂製の断熱材100aと100bから構成し、断熱材100aと断熱材100bを連結するための丁番102を備えさせ、断熱材100は開閉自在にできる構造とした。また、断熱材100はシリンジ固定用つまみ101を備え、シリンジ固定用つまみ101を締めることでシリンジ21を断熱材100に固定する。シリンジ固定用つまみ101は指で容易に締めることができるように例えばローレットネジを用いて構成される。
【0021】
図4(a)に断熱材100a、図4(b)に断熱材100bの構造を示す。なお、図4(a)におい、正面図の他に、上面図、および側面図も描画している。図4(b)においても同様である。シリンジ21を挟み込むことができるように断熱材100aと100bの中央部にはそれぞれ半円筒状のシリンジ取り付け溝103a、シリンジ取り付け溝103bがあり、断熱材100を閉めた時は図3に示すように断熱材100の中心部にシリンジ取り付け貫通孔110が形成される。シリンジ取り付け貫通孔110の径はシリンジ21の直径より大きいが、シリンジ取り付け貫通孔110とシリンジ21との隙間で空気の対流が発生しないようにその差は1mm以下とした。またシリンジ取り付け溝103a、103bの一部分であるシリンジ固定用溝106aと106bは、径がシリンジ21の直径と等しくなるように絞られている。これにより、シリンジ固定用つまみ101で締めてシリンジ21を断熱材100に固定することが可能で、さらに断熱材100にシリンジ21を取り付けた時にシリンジ取り付け貫通孔110の上端からシリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の間に空気が流れ込むのを防ぐ。前記したように断熱材100の下面はノズルホルダ30との間に隙間がないように接触させて固定する。これにより、断熱材100の下面からシリンジ固定用溝106までのシリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の間に存在する空気層は密閉され、対流が起こらないので大きな断熱効果を得ることが出来る。
【0022】
断熱材100の形状は、断熱材100aを精度よく支柱70に固定できるように直方体とするのが望ましい。断熱材100が閉じた時に断熱材100の底面の大きさが、ノズルホルダ30の上面と一致するようにすると、断熱材100は図3のX方向の長さが20mm、Y方向の長さが30mm程度となる。また、シリンジは直径10mm弱で長さが100mm程度であるから断熱材100のZ方向の長さが100mm、シリンジ取り付け貫通孔110の直径は10mm程度となる。よって断熱材100は20mm×30mm×100mmの直方体から直径10mmのシリンジ取り付け貫通孔110を除いた形状となり、断熱材100に密度が1.3g/cm3の樹脂を用いると質量は70gとなる。よってカラーフィルタ基板1にノズル22を押し当てても、追加される荷重が0.7Nと軽荷重であるので、カラーフィルタ基板1を傷つけることは無い。断熱材100の厚さを大きくするほど断熱効果も大きくなるが、質量が増加する。詳細は後述するが断熱材100底面の短辺の長さを断熱材100の厚さとすると厚さ20mmで十分の断熱効果を得ることが出来る。
【0023】
次にノズルホルダ30の構造について図6を用いて説明する。ノズルホルダ30はノズル22を通すためのノズル取り付け貫通孔31がある。ノズル取り付け貫通孔31はノズル取り付け貫通孔上部31aとノズル取り付け貫通孔下部31bで径が違っており、ノズル取り付け貫通孔下部31bで径が絞られている。また図7に示すようにノズル22もノズル針元91とノズル針先92では外径が違っていて、ノズル針元91の外径寸法はノズル取り付け貫通孔上部31aの内径寸法と等しくし、ノズル針先92の径はノズル取り付け貫通孔下部31bより小さくなっている。ノズル22を取り付けるときは、ノズル針元91の下面がノズル取り付け貫通孔下部31bの上面に接触するまで差し込み、ノズル22が固定される。また、ノズルホルダ30は支柱60に固定するためのノズルホルダ固定用ネジ穴32があり、ノズルホルダ固定用ネジ33により固定される。一般的にノズルホルダ30は金属製(アルミ等)であることが多いが、熱伝導率が高いため雰囲気の温度変動の影響を受けやすく、ノズル22の温度も変動しその結果ノズル22内に存在する補修材の温度が変動する。またメカニカルディスペンサで塗布する場合は、シリンジ21の背面部70内部にモータが取り付けられていて、このモータから発生した熱が支柱60、ノズルホルダ30、ノズル22へと伝わる。その結果ノズル22内に存在する補修材の温度が変動する。そこでノズルホルダ30を金属よりも断熱効果の高い材料にすることで補修材の温度変動をより低減できる。
【0024】
断熱材100及びノズルホルダ30の材質は、有機溶剤を含んだ補修材をシリンジ21に充填するので通常断熱材として用いられるセルロース・発砲スチロール・ウレタン等ではなく、熱伝導率は大きくなるが耐溶剤性のある樹脂を用いる。例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に代表される芳香族ポリエーテルケトン樹脂や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に代表されるフッ素系樹脂を用いるのが望ましい。
【0025】
図8は塗布ヘッド部20を搭載した微量塗布装置全体の構成を示した図である。塗布する際に、ノズル22の目詰まり等があると塗布毎の吐出量が一定ではなくなるので、塗布直前に数回塗布して目詰まりを取り除き、吐出量を一定にしてからカラーフィルタ欠陥部2に塗布する必要がある。そのため、捨て打ち台80を基板ステージ81の外に設置し、塗布直前に基板以外の場所で捨て打ちできる構造としている。基板ステージ81は、カラーフィルタ基板1が搬入されるとカラーフィルタ基板1を吸着し、カラーフィルタ基板1を図8のX軸方向に移動させる。ガントリ82が基板ステージ81を跨ぐように設けられていて、該ガントリ82に塗布ヘッド部20が取り付けられている。塗布ヘッド部20はYZ軸方向に移動可能である。
【0026】
このような装置を用いて、カラーフィルタ欠陥部2に補修材を塗布するまでの一連の動作を説明する。まず塗布ヘッド部20を、捨て打ち台80に移動し捨て打ちする。捨て打ち後ノズル22がカラーフィルタ欠陥部2の真上に来るように、塗布ヘッド部20と基板ステージ81を移動させる。次に塗布ヘッド部20を降下させてカラーフィルタ基板1にノズル22を押し当てる。降下速度は押し当てた際にカラーフィルタ基板1やノズル22が損傷しないように、低速に設定する。最後にピストン23を押し込んでノズル22から補修材を吐出させてカラーフィルタ基板1に塗布する。カラーフィルタ欠陥部2の真上でピストン23を押し込みノズル22先端部に補修材をにじませてから、カラーフィルタ基板1に接触させて塗布してもよい。
【0027】
塗布ヘッド部20の温度が常に一定のときは、補修材を吐出する量はピストン23の押し込み量により制御される。しかし、装置内の場所によって温度差があると、塗布ヘッド部20を移動させたときに塗布ヘッド部20の温度が変動する。そこで断熱材100を装着した場合、前記の捨て打ち台80で塗布してからカラーフィルタ欠陥部2に塗布するまでの間に、補修材がどれくらい温度変動し、体積がどれほど変化するかを計算で求めた。ここでは算出を簡単にするため、断熱材100を円筒構造とし、断熱材100内部の温度はどの部分も一様であると仮定した。断熱材100が単位時間当たりに奪われる熱量と、断熱材100と周りの空気との熱のやり取りによって断熱材100の表面から逃げる熱量が等しいとするニュートンの冷却則から、断熱材100の時間に対する温度変動を求めると次式(1)のように表せる。
【0028】
T=Ts-(Ts-T0)exp(-4λt(0.32+0.43(Re)0.5)/ρCd2) …… (1)
断熱材100の温度をT(℃)、装置内の雰囲気温度Tsを(℃)、断熱材100の初期温度をT0(℃)、空気の熱伝導率をλ(W/m・℃)、断熱材100の密度をρ(kg/m3)、断熱材100の比熱をC(J/kg・℃)、断熱材100の直径をd(m)、レイノルズ数をRe、捨て打ち台で塗布してからの経過時間をt(s)とおいた。ここで、実際の修正装置構成を考慮して、初期の断熱材100の温度と雰囲気温度の差を0.5(℃)、空気の熱伝導率を2.5×10-2(W/m・℃)、断熱材100の密度を1.3×103(kg/m3)、断熱材100の比熱を1.3×103(J/kg・℃)、断熱材100の直径2×10-2(m)レイノルズ数を750とした場合の断熱材100の時間に対する温度変動を図9に示す。捨て打ちしてから塗布するまでに20秒かかるとすると、図9より、捨て打ち台80とカラーフィルタ欠陥部2周辺の雰囲気温度に0.5℃の差がある場合は、塗布するまでに断熱材100は0.02℃弱温度が変動することがわかる。
【0029】
断熱材100の温度が変動すると、シリンジ21とノズル22の温度が変動しシリンジ21とノズル22内に充填された補修材に含まれる有機溶剤の体積が変化する。体積が変化した分の補充材が余分にカラーフィルタ基板1に塗布されるので塗布量がばらつく原因となる。補修材の膨張量(ΔV)は充填されている補修材の体積(V)と温度変化量(Δt)と体積膨張率(α)から次式(2)のように求まる。
【0030】
ΔV=V×Δt×α …… (2)
充填されている補修材の体積を1μl、補修材に含まれる有機溶剤の体積膨張率を1×10-3(1/℃)として、温度の変動と膨張量の関係をグラフに示すと図10に示すようになる。断熱材が有る場合は、前記の通り補修材の温度が0.2×10-1(℃)変動するので体積膨張量は20plとなり、0.1から数nl程度の微少量を塗布する場合の体積膨張による塗布量のばらつきを小さくすることができる。
【0031】
図11に、PEEK製の断熱材100及びノズルホルダ30を取り付けた場合(図2参照)と、断熱材100を取り付けていない一般的なメカニカルディスペンサを用いた場合のそれぞれにおいて、実際に測定したシリンジ21の温度変動のグラフを示す。図11の横軸は、捨て打ち台80で捨て打ちしてからガラス基板に塗布する間の経過時間を示し、縦軸はシリンジ21の温度変動を示す。シリンジ21の温度変動は断熱材有り・無しの場合で、捨て打ち直後の温度を基準としてどれくらい変化したかを示す。断熱材100を取り付けることで数十秒という短期的なシリンジ21の中央部の温度変動を±0.02℃まで低減できることがわかる。シリンジ21中央部の温度変動とガラス基板上に塗布された補修材の直径の関係を図12に示す。図12の横軸は捨て打ち台80で捨て打ちしてからガラス基板に塗布するまでの温度変動を示し、縦軸はシリンジ21が温度変動しない場合にピストン23の押し込み量から計算される塗布量を1としたときの、移動後にガラス基板上に塗布された補修材の体積比を示す。断熱構造を具備させることで、補修材の体積のばらつきが低減することがわかる。本発明によれば温度変化量Δtは0.02℃以下になるので、補修材以外にも体積膨張率(α)が補修材と同程度かそれ以上の溶剤を含む塗布材料を用いて微量塗布する場合に有効となる。
【0032】
シリンジ固定用溝106を備えるかわりに、図5のようにシリンジ21とシリンジ取り付け溝103の隙間の一部が無くなるように、弾力性のあるシリンジ固定用樹脂108a、108bをそれぞれシリンジ取り付け溝103a、103bに接着させる方法もある。この方法ではシリンジ固定用つまみ101で締めたときにシリンジ固定用樹脂103がシリンジ21と密着して固定できる。断熱材100aには支柱70に取り付けるための断熱材取り付け用ネジ穴105が四隅に設けられていて、ネジで断熱材100aは支柱20に固定される。また、断熱材100aと100bそれぞれに、丁番102を取り付けるための丁番取り付け用溝107a、107bと丁番取り付け用ネジ穴109a、109bを備え、シリンジ固定用つまみ101を締めるためのシリンジ固定用ネジ穴104a、104bがある。
【0033】
本実施例により、温度変動を低減でき、精度よく微量塗布することが可能となる。また、塗布ヘッドに搭載する断熱材は軽量で済むので、ガラス基板等の脆弱な基板に対しても傷をつけずに接触させて塗布することができる。また、シリンジ取り付け貫通孔110とシリンジ21の隙間を1mm以下にすることで空気の対流の発生を防ぎ、大きな断熱効果を得ることができる。さらに、シリンジ21の着脱が容易となるような開閉構造を備えることで、作業効率の向上が可能となる。
【0034】
〈実施例2〉
実施例2では断熱材100の構造の別例を図13と図14を用いて説明する。図13(a)は塗布ヘッドを正面から見た図で図13(b)は塗布ヘッド部20を側面から見た図である。図14(a)は断熱材100を上面から見た図で図14(b)は断熱材100の断面を図示したものである。断熱材100は四隅に断熱材取り付け用ネジ穴105を備え、ネジにより支柱60に固定されている。また、断熱材100は上部に切り欠き111a切り欠き111bを備え、同様に上部にシリンジ固定用つまみ101が取り付けられている。シリンジ固定用つまみ101を締めると切り欠き111より上部のシリンジ取り付け貫通孔110が絞られてシリンジ21を固定することができ、逆にシリンジ固定用つまみ101を緩めることでシリンジ21とノズル22をシリンジ取り付け貫通孔110から抜き差しすることが出来る。シリンジ21を通すシリンジ取り付け貫通孔110の直径はシリンジ21の直径より0.1mm大きくし、シリンジ21と断熱材26の間に隙間が出来るようにする。シリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の隙間で空気の対流が起きないように、断熱材100の底面とノズルホルダ30の上面を接触させて断熱材100を支柱60に固定させる。実施例2により丁番102を用いる必要が無く、部品点数を削減でき、かつ軽量化できる。
【0035】
以上実施例1、2ではメカニカルディスペンサを用いた微量塗布装置を例にとり説明したが、空気圧を制御することでピストン23の押し込み量を制御するエアーパルス式ディスペンサにも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、樹脂製の断熱材をシリンジに具備させることで補修材の温度変化を低減して、欠陥部に補修材を精度よく微量塗布することができる。したがって、本発明は液晶表示素子やプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ(Electro Luminescence)、FED(Field Emission Display)などの平面ディスプレイの塗布修正技術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】カラーフィルタ基板と欠陥の説明図である。
【図2】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の説明図である。
【図3】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の別の説明図である。
【図4】断熱材の構造の説明図である。
【図5】断熱材の構造の別の説明図である。
【図6】ノズルホルダの構成の説明図である。
【図7】補修材充填部の構成の説明図である。
【図8】微量塗布修正装置の説明図である。
【図9】シリンジの時間に対する温度変動の説明図である。
【図10】温度と体積膨張の関係を示した説明図である。
【図11】塗布ヘッド部の温度変動の説明図である。
【図12】温度変動と補修材の直径の関係を示した説明図である。
【図13】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の別例の説明図である。
【図14】断熱材の構造の別例の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1…カラーフィルタ基板、2…カラーフィルタ欠陥部、12…遮光部、13…画素、20…塗布ヘッド部、21…シリンジ、22…ノズル、23…ピストン、30…ノズルホルダ、31…ノズル取り付け用貫通孔、32…ノズルホルダ固定用ネジ穴、33…ノズルホルダ固定用ネジ、50…ピストンホルダ、60…支柱、70…背面部、80…捨て打ち台、81…基板ステージ、82…ガントリ、91…ノズル針元、92…ノズル針先、100…断熱材、 101…シリンジ固定用つまみ、102…丁番、103…シリンジ取り付け溝、104…シリンジ固定用ネジ穴、105…断熱材取り付け用ネジ穴、106…シリンジ固定用溝、107…丁番取り付け用溝、108…シリンジ固定用樹脂、109…丁番取り付け用ネジ穴、110…シリンジ取り付け貫通孔、111…切り欠き。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板に塗布材料を微量塗布する場合の塗布修正装置および塗布修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば液晶表示素子は、ガラス基板上に回路を形成したTFT基板と、ガラス基板上に遮光部により区切られた各画素に赤、青、緑に着色された樹脂を塗布してマトリクス状に配置したカラーフィルタ基板の間に液晶を挟持して構成されている。
【0003】
回路やカラーフィルタに欠陥が発生すると表示異常となり、その液晶表示素子は不良品となる。液晶表示素子市場は年々拡大しており、低価格化に対する要求が厳しくなっている。一方製造に使用されるガラス基板は年々大型化しており、プロセス改善だけでは欠陥のない液晶表示素子を製造することが難しく、コスト増大の大きな原因の一つとなっている。そのため、欠陥を修正する工程は必須となってきている。
【0004】
カラーフィルタの欠陥には黒欠陥、白欠陥などがあり、黒欠陥は着色された一部に異物等が付着して、バックライトからの光が透過されなくなる欠陥で、白欠陥は赤、青、緑に着色された樹脂の一部が欠損している欠陥である。黒欠陥の修正方法は、レーザ光の照射により異物が付着した樹脂を画素ごと除去して白欠陥にする方法がある。白欠陥を修正する技術としては、欠陥部に同色の修正インク等の補修材を塗布する方法がある。
【0005】
白欠陥部に補修材を塗布するには、0.1から数nl程度の微量の液滴を精度よく塗布する必要がある。欠陥部に微量塗布する方法の一つとしては、例えば下記特許文献1に開示されているようにディスペンサを用いる方式がある。ディスペンサはシリンジに塗布材料を充填し、ピストンを押し込むことでシリンジ先端に取り付けたノズルから塗布材料を吐出する装置であり、吐出量はピストンの押し込み量により制御され、使用するシリンジによるが10plから1ml程度の範囲を吐出することが出来る。ノズルをガラス基板から1μm以上離して微量塗布しようとしても、ノズル先端から吐出されたレジストがすぐにノズル周りに濡れ上がってしまいガラス基板に転写されないので、もっとノズルを基板に近づけなければ微量塗布できない。しかし、0.1μm単位で塗布ヘッドの高さを制御することは容易でないので、非接触ではなくてノズルをガラス基板に押し当てながら塗布する必要がある。ノズルの先端部の径は数百μmと細くガラス基板との接触面積が小さいので、ガラス基板に数N以上の荷重がかかるとガラス基板に圧痕が残ってしまう。また、ノズルがガラス基板に接触したときに衝撃荷重がかかるので、塗布ヘッドは低速で降下させなければならない。衝撃荷重は塗布ヘッド部の質量と、塗布ヘッド部の降下速度の2乗に比例するので、質量を大きくした場合はガラス基板を傷つけないために、より降下速度を小さくする必要がある。しかし降下速度が小さすぎると、補修材を塗布するまでに時間がかかり補修材に含まれる溶剤がノズル先端部から揮発して補修材が乾燥してしまうので好ましくない。前記の問題を解決するには、塗布ヘッド部を軽量化したり、塗布ヘッド部の荷重がそのままガラス基板にかからないように荷重バランサーを塗布ヘッド部に取り付けて荷重を軽減しなければならない。
【0006】
近年製造に使用されるガラス基板の大型化に伴い、カラーフィルタ欠陥部を修正するための装置も大型化している。さらに、修正装置内のモータ等の発熱源がいくつも存在するために、装置内全体を空調等で修正装置内の雰囲気温度を均一にすることは難しく、雰囲気温度にばらつきが生じる。雰囲気温度にばらつきがあるため、ディスペンサが装着された塗布ヘッド部が移動すると、塗布ヘッド部の温度が変動してしまう。温度が変動するとシリンジおよびノズル内に存在する補修材の温度が変動し、補修材の体積が変化する。例えば、塗布ヘッド部の温度が上昇した場合にガラス基板に塗布すると、温度の上昇によって補修材が体積膨張する。上部はピストンによって塞がれているので体積膨張分だけノズルの先端からにじむこととなる。その結果、膨張した分だけ余分に基板に転写されるので、塗布量がばらつき精度よく微量塗布できなくなる。また、次の欠陥に塗布するときは、一つ前に塗布してから次に塗布するまでの補修材の温度変動による体積変化分だけ余分に基板に転写されることとなる。よって、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔でどれほど温度が変動するかにより、基板に塗布される量のばらつきが影響される。0.1から数nlの微小量をばらつき数%以下で精度よく塗布するには、補修材の温度変動を±0.02℃以下に低減する必要がある。
【0007】
前記の問題を解決する一つの方法として、シリンジにペルチェ素子を用いた温調システムを取り付けて、補修材の温度を一定に管理する方法がある。しかしこの温調システムで温度の変動を±0.02℃以下で精度よく温度を管理するのは困難である。また、ペルチェ素子を用いると放熱側が高温となるため放熱フィン等で発熱を逃す構造が必要となり塗布ヘッド部に装着すると質量が大きくなる。よって荷重バランサーで塗布ヘッド部自体の荷重を小さくしても、ガラス基板とノズルの接触時の荷重が大きくなりガラス基板を傷つけてしまう。
【0008】
前記の問題を解決する別の方法として、塗布ヘッド部全体を断熱カバーで覆う方法がある。しかし、このような方法では塗布ヘッド部内のモータからの発熱により、充填された補修材の温度が上昇すると考えられる。また、塗布ヘッド部とカバーとの隙間が大きいので、空気の対流が発生しやすく温度変化を0.02℃以下に低減するには断熱効果は不十分である。逆に隙間が小さくするほど対流が発生しにくくなる。
【0009】
別な解決方法として補修材をシリンジに充填する量を少なくして温度の変動によって体積が変化する量を小さくする方法がある。しかし、例えば100nlしか充填しなかった場合は1回当たりの塗布量を1nlとすると1回の充填で100回しか塗布できなくなるので、補修材を充填する頻度が多くなり運用面で問題となる。
【0010】
塗布間隔を短縮して塗布ヘッド部の温度が変動しないうちに塗布することで、補修材の体積変化を低減する方法も考えられる。しかし、ガラス基板は年々大型化していて塗布ヘッド部の移動距離も延びており、なおかつガラス基板に低速で降下させなければならないので塗布間隔を短縮させるのは難しい。
【特許文献1】特開2006−68627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
カラーフィルタ欠陥部に0.1nlから数nlの補修材を塗布量のばらつき数%以下で精度よく微量塗布するためには、補修材の温度の変動を±0.02℃以下に低減する必要がある。しかしながら、従来のシリンジに温調システムを取り付ける方法や塗布ヘッド全体を断熱カバーで覆う方法では、温度変動を±0.02℃以下に低減することは困難であった。また補修材の充填量を小さくする方法や塗布間隔を短縮する方法は運用時に問題となった。
【0012】
本発明の目的は、補修材の温度変化を低減し、欠陥部に補修材を精度よく微量塗布し得る塗布修正装置および塗布修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
補修材の体積変化を低減するのに、塗布ヘッド部の温度の絶対値は重要ではない。温度が一定であれば、室温付近では温度の絶対値がいくつであっても補修材の体積はほとんど変化しないからである。しかし、温度が変動すると補修材の体積が変化するので、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔でどれくらい温度が変動するのかが重要となる。
【0014】
このことから、ある一定の温度でシリンジを管理できる温調システムを用いる必要は無い。そこで樹脂製の断熱材でシリンジやノズル周りを覆うことで、補修材の温度の変動を低減した。断熱材を取り付けても、長期的な雰囲気温度の変動に対しては塗布ヘッド部もゆっくりと温度が変動する。しかしながら、断熱材で覆うことで補修材の温度応答性を小さくすることができるので、塗布してから次に塗布するまでの塗布間隔が数十秒以内であるならば、温度の変動を低減できて体積変化量が小さくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗布修正装置によれば、短期的な温度変動を低減し精度よく安定した微量塗布が可能となる。また、断熱材が樹脂製であるので温調システムと比較して軽量で、断熱材を取り付けない場合よりも1N弱の重量の増加で済み、ガラス基板にノズルを押し当てときに基板を傷つけることがなくなる。また、断熱材とシリンジの隙間が小さいので空気の対流が発生しにくく、大きな断熱効果を得ることが出来る。運用面においても断熱材を取り外すことなくシリンジを容易に着脱できるので、作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の塗布修復装置および塗布修復方法の実施例を図面を用いて説明する。なお、各図および各実施例において、同一又は類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0017】
〈実施例1〉
以下、本発明の実施例1について図1〜図12を用いて説明する。この実施例1の説明ではカラーフィルタの欠陥修正を例にとって説明するが、ガラス基板に0.1から数nl程度の微量な補修材をディスペンサで塗布する場合に適用可能である。
【0018】
図1に一般的なカラーフィルタ基板1とこのカラーフィルタ基板1に発生したカラーフィルタ欠陥部2を示す。カラーフィルタ基板1は、遮光部12により区切られた赤、緑、青それぞれに着色された画素13a、13b、13cのパターンがマトリクス状に規則的に並んだ構成になっている。ここに示すカラーフィルタ欠陥部2は一般に白欠陥と呼ばれ、たとえば画素13bの一部に樹脂が塗布されなかったり、黒欠陥部をレーザなどで除去してしまった場合に発生する。カラーフィルタ欠陥部2を修正する方法としては、カラーフィルタ欠陥部2に同色の補修材を塗布して修正する方法がある。カラーフィルタの1画素分を修正するためには、0.1から数nl程度で微量塗布しなければならない。例えば200×600μmの大きさで10μmの厚さのカラーフィルタ1画素分を一面に塗布するためには1.2nlの補修材が必要となる。
【0019】
図2(a)、(b)はメカニカルディスペンサの塗布ヘッド部20を示した構成図である。図2(a)は塗布ヘッド部20を正面から見た図で、図2(b)は塗布ヘッド20を側面から見た図である。シリンジ21の先端部にノズル22をはめ込み、補修材を充填するためのシリンジ21の貫通孔にピストン23を差し込んだ状態(図7参照)で、シリンジ21、ノズル22、ピストン23は塗布ヘッド部20に取り付けられる。塗布ヘッド部20は、大きく分けてピストンホルダ50、支柱60、背面部70から成る。また、図2では図示していないが荷重バランサーが塗布ヘッド部20に取り付けてあり、カラーフィルタ基板1かかる荷重を軽減している。背面部70内部にはモータ(図示せず)があり、このモータによりピストンホルダ50を下降させ、ピストン23を押し込むことで補修材がノズル22から塗布される。支柱60は背面部70に固定され、シリンジ21を断熱し固定するための断熱材100とノズル22を支えるためのノズルホルダ30が支柱60に取り付けられる。
【0020】
次に断熱材100とノズルホルダ30について詳細に説明する。まず断熱材100の構造について図3〜図4を用いて説明する。図3は断熱材100とノズルホルダ30にシリンジ21とノズル22とピストン23を取り付けた場合の図である。断熱材100は補修材の温度の変動を低減する役割だけではなく、シリンジ21を固定する役割も兼ねている。断熱材100の下面とノズルホルダ30上面の間に隙間ができないように断熱材100とノズルホルダ30を接触させた状態で断熱材100は支柱60に固定され、シリンジ21全体を覆うように取り付けられている。補修材を再充填する場合等にシリンジ21やノズル22を交換する場合があるので、断熱材100はシリンジ21やノズル22を容易に着脱できる構造にする必要がある。そこで、断熱材100を二つの樹脂製の断熱材100aと100bから構成し、断熱材100aと断熱材100bを連結するための丁番102を備えさせ、断熱材100は開閉自在にできる構造とした。また、断熱材100はシリンジ固定用つまみ101を備え、シリンジ固定用つまみ101を締めることでシリンジ21を断熱材100に固定する。シリンジ固定用つまみ101は指で容易に締めることができるように例えばローレットネジを用いて構成される。
【0021】
図4(a)に断熱材100a、図4(b)に断熱材100bの構造を示す。なお、図4(a)におい、正面図の他に、上面図、および側面図も描画している。図4(b)においても同様である。シリンジ21を挟み込むことができるように断熱材100aと100bの中央部にはそれぞれ半円筒状のシリンジ取り付け溝103a、シリンジ取り付け溝103bがあり、断熱材100を閉めた時は図3に示すように断熱材100の中心部にシリンジ取り付け貫通孔110が形成される。シリンジ取り付け貫通孔110の径はシリンジ21の直径より大きいが、シリンジ取り付け貫通孔110とシリンジ21との隙間で空気の対流が発生しないようにその差は1mm以下とした。またシリンジ取り付け溝103a、103bの一部分であるシリンジ固定用溝106aと106bは、径がシリンジ21の直径と等しくなるように絞られている。これにより、シリンジ固定用つまみ101で締めてシリンジ21を断熱材100に固定することが可能で、さらに断熱材100にシリンジ21を取り付けた時にシリンジ取り付け貫通孔110の上端からシリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の間に空気が流れ込むのを防ぐ。前記したように断熱材100の下面はノズルホルダ30との間に隙間がないように接触させて固定する。これにより、断熱材100の下面からシリンジ固定用溝106までのシリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の間に存在する空気層は密閉され、対流が起こらないので大きな断熱効果を得ることが出来る。
【0022】
断熱材100の形状は、断熱材100aを精度よく支柱70に固定できるように直方体とするのが望ましい。断熱材100が閉じた時に断熱材100の底面の大きさが、ノズルホルダ30の上面と一致するようにすると、断熱材100は図3のX方向の長さが20mm、Y方向の長さが30mm程度となる。また、シリンジは直径10mm弱で長さが100mm程度であるから断熱材100のZ方向の長さが100mm、シリンジ取り付け貫通孔110の直径は10mm程度となる。よって断熱材100は20mm×30mm×100mmの直方体から直径10mmのシリンジ取り付け貫通孔110を除いた形状となり、断熱材100に密度が1.3g/cm3の樹脂を用いると質量は70gとなる。よってカラーフィルタ基板1にノズル22を押し当てても、追加される荷重が0.7Nと軽荷重であるので、カラーフィルタ基板1を傷つけることは無い。断熱材100の厚さを大きくするほど断熱効果も大きくなるが、質量が増加する。詳細は後述するが断熱材100底面の短辺の長さを断熱材100の厚さとすると厚さ20mmで十分の断熱効果を得ることが出来る。
【0023】
次にノズルホルダ30の構造について図6を用いて説明する。ノズルホルダ30はノズル22を通すためのノズル取り付け貫通孔31がある。ノズル取り付け貫通孔31はノズル取り付け貫通孔上部31aとノズル取り付け貫通孔下部31bで径が違っており、ノズル取り付け貫通孔下部31bで径が絞られている。また図7に示すようにノズル22もノズル針元91とノズル針先92では外径が違っていて、ノズル針元91の外径寸法はノズル取り付け貫通孔上部31aの内径寸法と等しくし、ノズル針先92の径はノズル取り付け貫通孔下部31bより小さくなっている。ノズル22を取り付けるときは、ノズル針元91の下面がノズル取り付け貫通孔下部31bの上面に接触するまで差し込み、ノズル22が固定される。また、ノズルホルダ30は支柱60に固定するためのノズルホルダ固定用ネジ穴32があり、ノズルホルダ固定用ネジ33により固定される。一般的にノズルホルダ30は金属製(アルミ等)であることが多いが、熱伝導率が高いため雰囲気の温度変動の影響を受けやすく、ノズル22の温度も変動しその結果ノズル22内に存在する補修材の温度が変動する。またメカニカルディスペンサで塗布する場合は、シリンジ21の背面部70内部にモータが取り付けられていて、このモータから発生した熱が支柱60、ノズルホルダ30、ノズル22へと伝わる。その結果ノズル22内に存在する補修材の温度が変動する。そこでノズルホルダ30を金属よりも断熱効果の高い材料にすることで補修材の温度変動をより低減できる。
【0024】
断熱材100及びノズルホルダ30の材質は、有機溶剤を含んだ補修材をシリンジ21に充填するので通常断熱材として用いられるセルロース・発砲スチロール・ウレタン等ではなく、熱伝導率は大きくなるが耐溶剤性のある樹脂を用いる。例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に代表される芳香族ポリエーテルケトン樹脂や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に代表されるフッ素系樹脂を用いるのが望ましい。
【0025】
図8は塗布ヘッド部20を搭載した微量塗布装置全体の構成を示した図である。塗布する際に、ノズル22の目詰まり等があると塗布毎の吐出量が一定ではなくなるので、塗布直前に数回塗布して目詰まりを取り除き、吐出量を一定にしてからカラーフィルタ欠陥部2に塗布する必要がある。そのため、捨て打ち台80を基板ステージ81の外に設置し、塗布直前に基板以外の場所で捨て打ちできる構造としている。基板ステージ81は、カラーフィルタ基板1が搬入されるとカラーフィルタ基板1を吸着し、カラーフィルタ基板1を図8のX軸方向に移動させる。ガントリ82が基板ステージ81を跨ぐように設けられていて、該ガントリ82に塗布ヘッド部20が取り付けられている。塗布ヘッド部20はYZ軸方向に移動可能である。
【0026】
このような装置を用いて、カラーフィルタ欠陥部2に補修材を塗布するまでの一連の動作を説明する。まず塗布ヘッド部20を、捨て打ち台80に移動し捨て打ちする。捨て打ち後ノズル22がカラーフィルタ欠陥部2の真上に来るように、塗布ヘッド部20と基板ステージ81を移動させる。次に塗布ヘッド部20を降下させてカラーフィルタ基板1にノズル22を押し当てる。降下速度は押し当てた際にカラーフィルタ基板1やノズル22が損傷しないように、低速に設定する。最後にピストン23を押し込んでノズル22から補修材を吐出させてカラーフィルタ基板1に塗布する。カラーフィルタ欠陥部2の真上でピストン23を押し込みノズル22先端部に補修材をにじませてから、カラーフィルタ基板1に接触させて塗布してもよい。
【0027】
塗布ヘッド部20の温度が常に一定のときは、補修材を吐出する量はピストン23の押し込み量により制御される。しかし、装置内の場所によって温度差があると、塗布ヘッド部20を移動させたときに塗布ヘッド部20の温度が変動する。そこで断熱材100を装着した場合、前記の捨て打ち台80で塗布してからカラーフィルタ欠陥部2に塗布するまでの間に、補修材がどれくらい温度変動し、体積がどれほど変化するかを計算で求めた。ここでは算出を簡単にするため、断熱材100を円筒構造とし、断熱材100内部の温度はどの部分も一様であると仮定した。断熱材100が単位時間当たりに奪われる熱量と、断熱材100と周りの空気との熱のやり取りによって断熱材100の表面から逃げる熱量が等しいとするニュートンの冷却則から、断熱材100の時間に対する温度変動を求めると次式(1)のように表せる。
【0028】
T=Ts-(Ts-T0)exp(-4λt(0.32+0.43(Re)0.5)/ρCd2) …… (1)
断熱材100の温度をT(℃)、装置内の雰囲気温度Tsを(℃)、断熱材100の初期温度をT0(℃)、空気の熱伝導率をλ(W/m・℃)、断熱材100の密度をρ(kg/m3)、断熱材100の比熱をC(J/kg・℃)、断熱材100の直径をd(m)、レイノルズ数をRe、捨て打ち台で塗布してからの経過時間をt(s)とおいた。ここで、実際の修正装置構成を考慮して、初期の断熱材100の温度と雰囲気温度の差を0.5(℃)、空気の熱伝導率を2.5×10-2(W/m・℃)、断熱材100の密度を1.3×103(kg/m3)、断熱材100の比熱を1.3×103(J/kg・℃)、断熱材100の直径2×10-2(m)レイノルズ数を750とした場合の断熱材100の時間に対する温度変動を図9に示す。捨て打ちしてから塗布するまでに20秒かかるとすると、図9より、捨て打ち台80とカラーフィルタ欠陥部2周辺の雰囲気温度に0.5℃の差がある場合は、塗布するまでに断熱材100は0.02℃弱温度が変動することがわかる。
【0029】
断熱材100の温度が変動すると、シリンジ21とノズル22の温度が変動しシリンジ21とノズル22内に充填された補修材に含まれる有機溶剤の体積が変化する。体積が変化した分の補充材が余分にカラーフィルタ基板1に塗布されるので塗布量がばらつく原因となる。補修材の膨張量(ΔV)は充填されている補修材の体積(V)と温度変化量(Δt)と体積膨張率(α)から次式(2)のように求まる。
【0030】
ΔV=V×Δt×α …… (2)
充填されている補修材の体積を1μl、補修材に含まれる有機溶剤の体積膨張率を1×10-3(1/℃)として、温度の変動と膨張量の関係をグラフに示すと図10に示すようになる。断熱材が有る場合は、前記の通り補修材の温度が0.2×10-1(℃)変動するので体積膨張量は20plとなり、0.1から数nl程度の微少量を塗布する場合の体積膨張による塗布量のばらつきを小さくすることができる。
【0031】
図11に、PEEK製の断熱材100及びノズルホルダ30を取り付けた場合(図2参照)と、断熱材100を取り付けていない一般的なメカニカルディスペンサを用いた場合のそれぞれにおいて、実際に測定したシリンジ21の温度変動のグラフを示す。図11の横軸は、捨て打ち台80で捨て打ちしてからガラス基板に塗布する間の経過時間を示し、縦軸はシリンジ21の温度変動を示す。シリンジ21の温度変動は断熱材有り・無しの場合で、捨て打ち直後の温度を基準としてどれくらい変化したかを示す。断熱材100を取り付けることで数十秒という短期的なシリンジ21の中央部の温度変動を±0.02℃まで低減できることがわかる。シリンジ21中央部の温度変動とガラス基板上に塗布された補修材の直径の関係を図12に示す。図12の横軸は捨て打ち台80で捨て打ちしてからガラス基板に塗布するまでの温度変動を示し、縦軸はシリンジ21が温度変動しない場合にピストン23の押し込み量から計算される塗布量を1としたときの、移動後にガラス基板上に塗布された補修材の体積比を示す。断熱構造を具備させることで、補修材の体積のばらつきが低減することがわかる。本発明によれば温度変化量Δtは0.02℃以下になるので、補修材以外にも体積膨張率(α)が補修材と同程度かそれ以上の溶剤を含む塗布材料を用いて微量塗布する場合に有効となる。
【0032】
シリンジ固定用溝106を備えるかわりに、図5のようにシリンジ21とシリンジ取り付け溝103の隙間の一部が無くなるように、弾力性のあるシリンジ固定用樹脂108a、108bをそれぞれシリンジ取り付け溝103a、103bに接着させる方法もある。この方法ではシリンジ固定用つまみ101で締めたときにシリンジ固定用樹脂103がシリンジ21と密着して固定できる。断熱材100aには支柱70に取り付けるための断熱材取り付け用ネジ穴105が四隅に設けられていて、ネジで断熱材100aは支柱20に固定される。また、断熱材100aと100bそれぞれに、丁番102を取り付けるための丁番取り付け用溝107a、107bと丁番取り付け用ネジ穴109a、109bを備え、シリンジ固定用つまみ101を締めるためのシリンジ固定用ネジ穴104a、104bがある。
【0033】
本実施例により、温度変動を低減でき、精度よく微量塗布することが可能となる。また、塗布ヘッドに搭載する断熱材は軽量で済むので、ガラス基板等の脆弱な基板に対しても傷をつけずに接触させて塗布することができる。また、シリンジ取り付け貫通孔110とシリンジ21の隙間を1mm以下にすることで空気の対流の発生を防ぎ、大きな断熱効果を得ることができる。さらに、シリンジ21の着脱が容易となるような開閉構造を備えることで、作業効率の向上が可能となる。
【0034】
〈実施例2〉
実施例2では断熱材100の構造の別例を図13と図14を用いて説明する。図13(a)は塗布ヘッドを正面から見た図で図13(b)は塗布ヘッド部20を側面から見た図である。図14(a)は断熱材100を上面から見た図で図14(b)は断熱材100の断面を図示したものである。断熱材100は四隅に断熱材取り付け用ネジ穴105を備え、ネジにより支柱60に固定されている。また、断熱材100は上部に切り欠き111a切り欠き111bを備え、同様に上部にシリンジ固定用つまみ101が取り付けられている。シリンジ固定用つまみ101を締めると切り欠き111より上部のシリンジ取り付け貫通孔110が絞られてシリンジ21を固定することができ、逆にシリンジ固定用つまみ101を緩めることでシリンジ21とノズル22をシリンジ取り付け貫通孔110から抜き差しすることが出来る。シリンジ21を通すシリンジ取り付け貫通孔110の直径はシリンジ21の直径より0.1mm大きくし、シリンジ21と断熱材26の間に隙間が出来るようにする。シリンジ21とシリンジ取り付け貫通孔110の隙間で空気の対流が起きないように、断熱材100の底面とノズルホルダ30の上面を接触させて断熱材100を支柱60に固定させる。実施例2により丁番102を用いる必要が無く、部品点数を削減でき、かつ軽量化できる。
【0035】
以上実施例1、2ではメカニカルディスペンサを用いた微量塗布装置を例にとり説明したが、空気圧を制御することでピストン23の押し込み量を制御するエアーパルス式ディスペンサにも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、樹脂製の断熱材をシリンジに具備させることで補修材の温度変化を低減して、欠陥部に補修材を精度よく微量塗布することができる。したがって、本発明は液晶表示素子やプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ(Electro Luminescence)、FED(Field Emission Display)などの平面ディスプレイの塗布修正技術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】カラーフィルタ基板と欠陥の説明図である。
【図2】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の説明図である。
【図3】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の別の説明図である。
【図4】断熱材の構造の説明図である。
【図5】断熱材の構造の別の説明図である。
【図6】ノズルホルダの構成の説明図である。
【図7】補修材充填部の構成の説明図である。
【図8】微量塗布修正装置の説明図である。
【図9】シリンジの時間に対する温度変動の説明図である。
【図10】温度と体積膨張の関係を示した説明図である。
【図11】塗布ヘッド部の温度変動の説明図である。
【図12】温度変動と補修材の直径の関係を示した説明図である。
【図13】断熱材搭載時の塗布ヘッド部の構成の別例の説明図である。
【図14】断熱材の構造の別例の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1…カラーフィルタ基板、2…カラーフィルタ欠陥部、12…遮光部、13…画素、20…塗布ヘッド部、21…シリンジ、22…ノズル、23…ピストン、30…ノズルホルダ、31…ノズル取り付け用貫通孔、32…ノズルホルダ固定用ネジ穴、33…ノズルホルダ固定用ネジ、50…ピストンホルダ、60…支柱、70…背面部、80…捨て打ち台、81…基板ステージ、82…ガントリ、91…ノズル針元、92…ノズル針先、100…断熱材、 101…シリンジ固定用つまみ、102…丁番、103…シリンジ取り付け溝、104…シリンジ固定用ネジ穴、105…断熱材取り付け用ネジ穴、106…シリンジ固定用溝、107…丁番取り付け用溝、108…シリンジ固定用樹脂、109…丁番取り付け用ネジ穴、110…シリンジ取り付け貫通孔、111…切り欠き。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる2つの樹脂製の断熱手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉できるようにする連結手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉しないようにする結合手段とを有し、前記2つの断熱手段は間に前記シリンジを挟みこむための溝を有することを特徴とした塗布修正装置。
【請求項2】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる断熱手段を有し、前期断熱手段は前記シリンジを挿入する貫通孔を有するとともに、前記シリンジを貫通孔内部で固定するための手段を有することを特徴とした塗布修正装置。
【請求項3】
請求項1と2に記載の断熱手段として、中空層を形成し中空層に空気もしくは前記断熱手段よりも熱伝導率の低い材料を充填したことを特徴とした塗布修正装置。
【請求項4】
請求項1と2に記載の断熱手段として、総質量が0.1kg以下であることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項5】
請求項1に記載の溝として、前記溝の内径寸法が前記シリンジの外形寸法より大きく、その差が1mm以下であることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項6】
請求項2に記載の貫通孔として、前記貫通孔の内径寸法が前記シリンジの外形寸法より大きく、その差が1mm以下であり、かつ貫通孔上部の内径寸法は前記シリンジの外形寸法とほぼ同じであることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項7】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、シリンジ及び前記シリンジを固定するためのシリンジホルダが芳香族ポリエーテルケトン樹脂またはフッ素樹脂からなることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項8】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正方法であって、塗布する前に捨て打ちするとともに、捨て打ちから塗布するまでの温度変動を±0.02℃以下とすることを特徴とした塗布修正方法。
【請求項1】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる2つの樹脂製の断熱手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉できるようにする連結手段と、前記2つの断熱手段を連結して開閉しないようにする結合手段とを有し、前記2つの断熱手段は間に前記シリンジを挟みこむための溝を有することを特徴とした塗布修正装置。
【請求項2】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、吐出量0.1から数nlで塗布可能なシリンジと、前記シリンジ周りに取り付けられる断熱手段を有し、前期断熱手段は前記シリンジを挿入する貫通孔を有するとともに、前記シリンジを貫通孔内部で固定するための手段を有することを特徴とした塗布修正装置。
【請求項3】
請求項1と2に記載の断熱手段として、中空層を形成し中空層に空気もしくは前記断熱手段よりも熱伝導率の低い材料を充填したことを特徴とした塗布修正装置。
【請求項4】
請求項1と2に記載の断熱手段として、総質量が0.1kg以下であることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項5】
請求項1に記載の溝として、前記溝の内径寸法が前記シリンジの外形寸法より大きく、その差が1mm以下であることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項6】
請求項2に記載の貫通孔として、前記貫通孔の内径寸法が前記シリンジの外形寸法より大きく、その差が1mm以下であり、かつ貫通孔上部の内径寸法は前記シリンジの外形寸法とほぼ同じであることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項7】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正装置であって、シリンジ及び前記シリンジを固定するためのシリンジホルダが芳香族ポリエーテルケトン樹脂またはフッ素樹脂からなることを特徴とした塗布修正装置。
【請求項8】
補修材を塗布して修正する平面ディスプレイの修正方法であって、塗布する前に捨て打ちするとともに、捨て打ちから塗布するまでの温度変動を±0.02℃以下とすることを特徴とした塗布修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−258421(P2009−258421A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107894(P2008−107894)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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