説明

塗布容器

【課題】 塗布容器において、塗布部や被塗布物の異物混入液等が容器本体の内部に取り込まれないようにすること。
【解決手段】 容器本体10から突出して設けられるノズル22の周囲に塗布部23を設け、容器本体10の圧縮によりノズル22の吐出口22Aから吐出される内容液を塗布部23に含ませる塗布容器1であって、ノズル22の吐出口22Aを塗布部23の上端より低い位置に配置し、塗布部23とノズル22との間に塗布部23の倒れ止め24が設けられてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗剤等の液体を塗布する塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗布容器として、特許文献1、2に記載の如く、容器本体に設けられる吐出口の周囲に塗布部を設け、容器本体の圧縮により吐出口から吐出される内容液を塗布部に含ませるものがある。
【特許文献1】特開平10-15472
【特許文献2】特開2000-177767
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の塗布容器では、吐出口が容器本体から突出して形成されていないから、塗布部に一旦付着した液が塗布部の基部に流れ、吐出口から容器本体の内部に回収される。特に、特許文献1に記載の塗布容器は、塗布部の基部を吐出口に向けて下がる傾斜面としたから、塗布部に付着した液が吐出口に向けて流れ易い。ところが、塗布部に付着した液は、被塗布物の汚れ、水等の異物が混入しており、この異物混入液等が吐出口から容器本体の内部に回収されると、容器本体の内容液が異物との接触によって化学変化する等、変質するおそれがある。
【0004】
特許文献2に記載の塗布容器では、吐出口が弾性部材に切り込みを入れたスリットからなるが、被塗布物に接触させた塗布部がたわむと、塗布部と吐出口、又は被塗布物と吐出口が隣接又は接触し、容器本体の圧縮の解除によって吐出口に作用する吸引力が塗布部又は被塗布物の異物混入液等を容器本体の内部に取り込む。この場合にも、容器本体の内容液が異物との接触によって変質するおそれがある。
【0005】
また、吐出口が塗布部より低い位置にある塗布容器では、塗布部に残った液が重力により容器本体の内部に戻る不都合もある。
【0006】
本発明の課題は、塗布容器において、塗布部や被塗布物の異物混入液等が容器本体の内部に取り込まれないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、容器本体から突出して設けられるノズルの周囲に塗布部を設け、容器本体の圧縮によりノズルの吐出口から吐出される内容液を塗布部に含ませる塗布容器であって、ノズルの吐出口を塗布部の上端より低い位置に配置し、塗布部とノズルとの間に塗布部の倒れ止めが設けられ、倒れ止めが、塗布部の上端より低く、ノズルの吐出口より高い位置まで形成されたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は塗布容器を示す断面図、図2はノズル付キャップを示す断面図である。
【0009】
塗布容器1は、液体が収容される容器本体10と、容器本体10に螺着されるノズル付キャップ20とを有する。尚、塗布容器1の流通段階や再使用前の長期保管時には、ノズル付キャップ20にカバーキャップ30が螺着され、カバーキャップ30の内面プラグ31がキャップ20のノズル22に挿し込まれて該ノズル22を閉鎖する。
【0010】
容器本体10は、使用時に手で握る部分となる有底筒状部11と、筒状部11の底部を化粧台等に載置面に置いた正立状態で、筒状部11の中心軸に対し斜め上方に屈曲する中心軸を有する開口部12を備え、開口部12の外周のねじ部12Aにノズルキャップ20を螺着可能にする。容器本体10の筒状部11はスクイズ性を有し、手の握り力により圧縮変形して内容液を開口部12に設けたノズルキャップ20から絞り出され、握り力の解放により圧縮を解除されて復元する。容器本体10に収容される内容液は、例えば洗剤であり、他の物質との混合によって分解され、化学変化を起こして変質する不安定な物質、例えば、過酸化水素系漂白剤(過酸化水素水)、次亜塩素酸ナトリウム等を含む。
【0011】
ノズル付キャップ20は、容器本体10の開口部12のねじ部12Aに螺着されるカップ状取付部21と、取付部21の天端面21Aの中央部から外方に突出するノズル22とを有する。ノズル22は、正立状態にある容器本体10から開口部12の中心軸に沿う斜め上方に突出して設けられ、天端面21Aの中央孔に連なる吐出口22Aを先端に備える。天端面21Aの上面は、中央部に向かって陥没しており、好ましくは中央部を頂点とする円錐面状をなす。
【0012】
ノズル付キャップ20は、取付部21の天端面21Aの上面におけるノズル22の周囲に塗布部23を設ける。塗布部23は取付部21の天端面21Aの上面を基部とし、取付部21の中心軸に概ね直交する面を上端(先端塗布面)とする。塗布部23の先端塗布面が容器本体10の筒状部11の中心軸に対して傾斜し、使用性は良い。
【0013】
本実施形態の塗布部23は取付部21の天端面21Aの上面に植設された樹脂製の多数の刷毛からなるブラシ状とされる。刷毛は、被塗布物に液を塗布するに際し、容器本体10の圧縮によりノズル22の吐出口22Aから吐出された液を一時貯留する如くに含み、ブラッシング動作に応じてこれを被塗布物に供給する。
【0014】
ノズル付キャップ20は、ノズル22の吐出口22Aを塗布部23の上端より低い位置に配置し、塗布部23とノズル22との間に塗布部23の倒れ止め24を設ける。倒れ止め24は、塗布部23の上端より低く、ノズル22の吐出口22Aより高い位置まで形成される。本実施例の倒れ止め24は筒状体をなす。倒れ止め24は筒状体の上端部を除く領域に、天端面21Aの上面を起点とする液回収スリットを備える。尚、倒れ止め24はノズル22を囲む多数の棒状体を天端面21Aの上面から立上げ、相隣る棒状体の間隙を塗布部23の刷毛太さより狭くするものでも良い。
【0015】
ノズル付キャップ20は、ノズル22と塗布部23との間に、塗布部23の基部(天端面21Aの上面)より連続し、塗布部23の基部より低い液回収部25を設ける。
【0016】
ノズル付キャップ20は、取付部21の天端面21Aまわりの外周で、塗布部23の周囲に、塗布部23の基部より高く、塗布部23の上端より低い液垂れ防止壁26を設ける。液垂れ防止壁26と塗布部23の外周との間には、環状の液回収溝27を設ける
【0017】
従って、塗布容器1は、逆さにした容器本体10の圧縮によりノズル22の吐出口22Aから吐出される内容液を、被塗布物を介して、又は直接的に塗布部23の全域に拡散するように供給して該塗布部23に含ませる。この塗布部23を被塗布物に擦り付け塗布作業が行なわれる。塗布容器1は、塗布作業後に、容器本体10の底部を化粧台上等の載置面に置いた正立状態で再使用のために待機される。
【0018】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)塗布容器1は、ノズル22を容器本体10から突出して設けたから、ノズル22の周囲に設けてある塗布部23に付着した異物混入液等が重力等により該塗布部23の基部に流れても、ノズル22の吐出口22Aに到達することはなく、吐出口22Aから容器本体10の内部に回収されることがない。
【0019】
(b)ノズル22の吐出口22Aを塗布部23の上端より低い位置に配置し、塗布部23とノズル22との間に塗布部23の倒れ止め24が設けられた。これにより、被塗布物に接触した塗布部23が撓んでも、塗布部23とノズル22の吐出口22A、又は被塗布物とノズル22の吐出口22Aが近接又は接触しない。従って、塗布部23又は被塗布物の異物、特に異物が混入した液が、容器本体10の圧縮の解除によってノズル22の吐出口22Aに作用する吸引力により、容器本体10の内部に取り込まれることがない。
【0020】
(c)上述(a)、(b)により、塗布部23又は被塗布物の異物混入液等が容器本体10の内部に取り込まれることがないから、容器本体10の内容液が異物との接触によって変質するおそれがない。
【0021】
(d)倒れ止め24は、塗布部23の上端より低いから、塗布部23の塗布作業を阻害しないし、ノズル22の吐出口22Aより高いから、塗布部23とノズル22の吐出口22A、又は被塗布物とノズル22の吐出口22Aの近接又は接触を確実に回避する。
【0022】
(e)塗布部23とノズル22との間に、塗布部23の基部より連続し、塗布部23の基部より低い液回収部25が設けられた。塗布部23の基部に流れた異物混入液等をより低位の液回収部25に確実に回収できる。回収液は、次回塗布時に使用し、又は廃棄できる。
【0023】
(f)塗布部23の周囲に、塗布部23の基部より高く、塗布部23の上端より低い液垂れ防止壁26が設けられ、液垂れ防止壁26と塗布部23との間に液回収溝27が設けられた。塗布部23の外周から垂れ落ちようとする液を液垂れ防止壁26により止め、液回収溝27に確実に回収できる。回収液は、次回塗布時に使用し、又は廃棄できる。
【0024】
尚、塗布部23は可撓性の部材、軟質部材で塗布作業等の負荷をかけて変形可能なものが採用され、スポンジ、不織布等からなるものでも良い。また、倒れ止め24は液回収スリット(又は孔)のない、全面を閉じた筒状体からなるものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は塗布容器を示す断面図である。
【図2】図2はノズル付キャップを示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 塗布容器
10 容器本体
22 ノズル
22A 吐出口
23 塗布部
24 倒れ止め
25 液回収部
26 液垂れ防止壁
27 液回収溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体から突出して設けられるノズルの周囲に塗布部を設け、容器本体の圧縮によりノズルの吐出口から吐出される内容液を塗布部に含ませる塗布容器であって、
ノズルの吐出口を塗布部の上端より低い位置に配置し、
塗布部とノズルとの間に塗布部の倒れ止めが設けられ、
前記倒れ止めが、塗布部の上端より低く、ノズルの吐出口より高い位置まで形成されてなる塗布容器。
【請求項2】
前記塗布部とノズルとの間に、塗布部の基部より連続し、塗布部の基部より低い液回収部が設けられてなる請求項1又は2に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記塗布部の周囲に、塗布部の基部より高く、塗布部の上端より低い液垂れ防止壁が設けられ、液垂れ防止壁と塗布部との間に液回収溝が設けられてなる請求項1〜3のいずれかに記載の塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−24320(P2008−24320A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197037(P2006−197037)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】