塗布方法及び塗布装置
【課題】3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布方法及び塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布液吐出口6bから吐出される塗布液は、矢印Eで示すように、アプリケーターロール2の中心軸2bに向かって吐出され、吐出された塗布液によって液ダム5内の塗布液がアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに強固に付着される。従って、塗布液供給開始部2cにおける空気の巻き込みが抑制され、アプリケーターロール2の回転に伴い空気同伴が抑制された状態で、塗布液10が塗布液供給開始部2cから検量部19までアプリケーターロール2の周面2aに連続して付着されることになる。
【解決手段】塗布液吐出口6bから吐出される塗布液は、矢印Eで示すように、アプリケーターロール2の中心軸2bに向かって吐出され、吐出された塗布液によって液ダム5内の塗布液がアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに強固に付着される。従って、塗布液供給開始部2cにおける空気の巻き込みが抑制され、アプリケーターロール2の回転に伴い空気同伴が抑制された状態で、塗布液10が塗布液供給開始部2cから検量部19までアプリケーターロール2の周面2aに連続して付着されることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム、紙、粘着紙、金属箔等の可撓性支持体又は被塗布体(以下ウェブと称する)に、種々の塗料を塗布する塗布方法及び塗布装置に係り、特に、塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する、所謂3本リバースロールを用いた塗布方法及び塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リバースロールコーターとしては、例えば、図13に示すような3本リバースロールコーターが知られている。(例えば、特許文献1参照)この塗布装置は、アプリケーターロール2と、当該ロールの上方に、ウェブ4走行用の間隙を設けて配備されたウェブ走行用のバックアップロール3と、アプリケーターロール2の下方に塗布厚調整用の間隙を設けて配備されたメータリングロール1と、アプリケーターロール2及びメータリングロール1の後方に配備された塗布液10の液ダム5とを備えている。液ダム5は、背板5aと、背板5aの左右両側に設けたサイドディッケル5bと底板5cとによって構成され、アプリケーターロール2の幅方向(軸方向)に沿って設けられており、塗布液10を貯留している。
この塗布装置では、アプリケーターロール2及びメータリングロール1が矢印方向に回転すると、液ダム5内の塗布液10がアプリケーターロール2とメータリングロール1の間隙を通って液ダム5から排出され、所定厚みの塗布液層101がアプリケーターロール2の周面2aに形成される。そして、アプリケーターロール2の周面2a上の塗布液層101はバックアップロール3の矢印方向への回転によって走行するウェブ4の表面に転液されて塗布液層102が形成される。これによりウェブ4の表面に塗布液10が均一な厚みで塗布されることになる。
このような、3本リバースロールを用いた塗布装置は、比較的簡単な構成で、容易に均一厚みの塗布液層102をウェブ4上に形成できるため、汎用されているが、塗布速度が100m/分以下と遅い塗布速度でしか使用できないという問題があった。このような塗布速度が遅くなる一因としては、アプリケーターロール2に塗布液が最初に供給される塗布液供給開始部(動的接液線)2bで空気が取り込まれる空気同伴現象が生じることである。
【0003】
液ダム方式の3本リバースロール塗布方法においては、塗布液10を貯留する液ダム5が使用されるが、低粘度塗布液ではアプリケーターロール2と液ダム5が接触する隙間から塗布液が漏れ易いため、比較的高粘度塗布液で塗布する事が一般的である。従って、液流動性が低い高粘度液で塗布するため、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部(動的接液線)2aの塗布液表面10aがアプリケーターロール2の回転方向へ引き込まれやすく、高速になると空気同伴現象を起こし易くなる。このような空気同伴現象によって同伴空気10bがアプリケーターロール2とメータリングロール1の検量部19にまで達すると図14に示すように、アプリケーターローラ2の周面2aに形成される塗布液層101が連続した層とならず、断続した層となるいわゆる液切れ現象が発生し、この液切れ現象がウェブ4に転移されてしまい、ウェブ4上に断続した液切れの塗布液層102が形成されることになる。このような空気同伴現象は、液特性としてニュートニアンの塗布液を使用した場合にはより顕著に発生し、アプリケーターロール2の回転によるシェアが掛かり低粘度化するシェア減粘性の強い液であっても若干塗布速度限界は大きくなるものの、空気同伴現象が生じて液切れ現象を起こし易い。
また、リバースロール塗布の高速塗布方法として、図15に示すように、アプリケーターロール2の周面2aに直接塗布液をオフセットダイ14から供給して所定厚みの塗布液層101を形成することが知られている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平6−339651号公報
【特許文献2】特開平10−128204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2記載のものでは、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2bの塗布液10の表面に自由表面が形成されないために空気同伴現象が発生しにくく、液切れを起こすことなく高速での塗布が可能となるが、所定厚みの塗布液層101をアプリケーターロール2の周面2aに形成するために、ダイ14の先端の塗布液吐出口14aとアプリケーターロール周面10aとの塗布ギャップKを狭くする必要があり、その結果、塗布ギャップKに異物等の詰りによる塗布スジや液切れが発生し易いという問題を招き安い。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する塗布方法において、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールに前記塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の塗布方法において、前記ウェブに塗布液を塗布する塗布速度を100m/分以上として塗布することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーは、前記塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの中心軸に向けて前記アプリケーターロール周面の供給開始部に吐出することを特徴とする。
【0006】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口を、前記アプリケーターロールの供給開始部から前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布液層厚みの1〜12倍の範囲内で離隔させて当該塗布液吐出口から前記アプリケーターロールの供給開始部に塗布液を吐出することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に液圧を付加して吐出することを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記アプリケーターロールに吐出する塗布液量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量以上に設定して塗布液を当該塗布液吐出口から吐出することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の塗布方法において、前記液ダム内の液面高さを前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口と同一高さとなるように調整することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、塗布液を貯留する液ダムと、当該液ダムから当該塗布液が供給される回転するアプリケーターロールと、当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転し、前記塗布液を当該アプリケーターロールとの間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成するメータリングロールと、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転して前記ウェブ上に前記塗布液層を転液するバックアップロールを備えた塗布液をウェブ上に塗布する塗布装置において、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の発明は、請求項8記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口は、前記アプリケーターロールの中心軸に向かって配設され、当該塗布液吐出口からアプリケーターロールの中心軸に向かって前記塗布液が吐出されることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項8又は9記載の塗布装置において、前記アプリケーターロールと前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口との間隔を0〜1mmの範囲で可変させる可変手段を前記ノズルフィーダーに設けたことを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項8乃至10の何れか1項記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口からの塗布液の吐出量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量の1〜2倍の範囲に設定された塗布液吐出口を有していることを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項8乃至11の何れか1項記載の塗布装置において、該液ダム内の液面高さが該ノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さと同一高さとなるように液面高さ調整手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項8乃至12の何れか1項記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーは、前記液ダム内の塗布液の前記アプリケーターロールの軸方向への流出を防止するサイドディッケル上に取り付けられ、当該サイドディッケルとノズルフィーダーとの間に塗布液流出防止用プレートを配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液ダム内に、アプリケーターロールに塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することによって、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することによって、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者らは、3本リバースロールを用いて塗布速度限界を拡大するため、液ダム方式のものにおいて、高速塗布を行う際に発生する空気同伴現象について検討を行った。アプリケーターロールの高速回転に伴い、液ダム内の塗布液表面が自由表面となっているために、塗布液表面とアプリケーターロール周面との間に空気を巻き込み塗布液供給開始部が下降することに着目し、塗布液供給開始部の下降を抑制するため検討の結果、塗布液供給開始部の塗布液表面に液圧を付加して、塗布液表面とアプリケーターロール周面との付着性を上げると塗布液供給開始部の下降を防止できることを見出した。
この発見に基づき更なる検討を行った結果、液ダム内にアプリケーターロールの塗布液供給開始部に向けて塗布液を吐出するノズルフィーダーを設け、このノズルフィーダーから塗布液をアプリケーターロールの塗布液供給開始部に吐出すれば、塗布液表面とアプリケーターロール周面との付着性が向上して、空気同伴現象を抑制できることを究明し、以下述べるような発明を完成するに至った。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2は、本発明による一実施形態の塗布装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る塗布装置は、塗布液10を貯留する液ダム5と、液ダム5から塗布液10が供給される中心軸2bを中心として矢印A方向に回転するアプリケーターロール2とを有している。さらに、アプリケーターロール2の下方には、アプリケーターロール2の回転方向Aと逆方向Bに中心軸1aを中心として回転し、塗布液10をアプリケーターロール2との間隙(検量部)19から供給してアプリケーターロール2の周面2aに所定厚みの塗布液層101を形成するメータリングロール1を有している。また、アプリケーターロール2の上方には、ウェブ4を介して前記アプリケーターロール2と圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向Aと逆方向Cに中心軸3aを中心として回転してウェブ4を矢印D方向に搬送すると共に、ウェブ4上に前記塗布液層101を転液して塗布液層102を形成するバックアップロール3を備えている。
液ダム5は、背板5aと、背板5aの両側にアプリケーターロール2の周面2aと摺接する側端壁5b1及びメータリングロール1の周面1aと摺接する側端壁5b2を有するサイドディッケル5bを有している(図2参照)。さらに、液ダム5は、メータリングロール1の周面1aと摺接する端壁5c1を有する底板5cを有し、この液ダム5内に塗布液10を貯留することができるようになっている。そして液ダム5は、アプリケーターロール2の幅方向(軸方向)に沿って取り付けられ、液ダム5の側方が開口されてこの開口部5dからアプリケーターロール2の周面2aおよびメータリングロール1の周面1aに塗布液10を供給可能となっている。
【0011】
また、液ダム5内には、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cにリップ部6aの先端の塗布液吐出口6bから塗布液10を吐出するノズルフィーダー6が配設されている。ノズルフィーダー6は、上部6cと下部6dを組み合わされて形成され、上部6cと下部6dとの中間部分にアプリケーターロール2の軸線に平行に連通して形成されてアプリケーターロール2の幅方向に塗布液を均一に分配する凹部からなるマニホールド7とマニホールド7と連通し、塗布液吐出口6bまで延びるスロット8を備えている。塗布液吐出口6bは、アプリケーターロール2の塗布幅の全長に亘って開口されており、マニホールド7内に供給された塗布液10がスロット8を介して塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の周面2aの塗布液供給開始部2cに吐出されるようになっている。
この場合、塗布液吐出口6bから吐出される塗布液は、矢印Eで示すように、アプリケーターロール2の中心軸2bに向かって吐出され、吐出された塗布液によって液ダム5内の塗布液がアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに強固に付着される。従って、塗布液供給開始部2cにおける空気の巻き込みが抑制され、アプリケーターロール2の回転に伴い空気同伴が抑制された状態で、塗布液10が塗布液供給開始部2cから検量部19までアプリケーターロール2の周面2aに連続して付着されることになる。
このように、塗布液供給開始部2cにおいて空気の巻き込みが抑制された状態で塗布液供給開始部2cに塗布液が供給されるためには、塗布液吐出口6bから吐出される塗布液が塗布液供給開始部2c近傍の塗布液に液圧を付与する必要がある。このような液圧は、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出方向、吐出量、塗布液吐出口6bの配設位置、塗布液吐出口6bとアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cとの間隔等によって影響される。
【0012】
ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出方向について説明すると、塗布液の吐出方向がアプリケーターロール2の中心軸2bから上下方向にはずれると塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出力による液圧が塗布液供給開始部2cで減圧され易くなり、空気同伴を良好に抑制することが困難となるので、塗布液の吐出方向がアプリケーターロール2の中心軸2bに向かうように設定すれば、最も効果的に塗布液供給開始部2cに液圧を付与することが可能となるので好ましい。この場合、塗布液吐出口6bを形成するノズルフィーダー6のリップ部6aの先端面6a1は、塗布液供給開始部2cの接線に対して概ね平行に形成されており、塗布液吐出口6bを適切にアプリケーターロール2の中心軸2bに向けて設定することが可能となる。この先端面6a1が塗布液供給開始部2cの接線に対して上下に傾斜して形成されている場合には、ノズルフィーダー6のリップ部6aへの塗布液の乗り上げや液圧の不足を招いて空気同伴現象が生じ易くなる。
【0013】
また、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2c間の間隔Fは、ウェブ4上に形成される塗布液層102の厚みdの1〜12倍の範囲で設定するのが良くこの間隔Fが小さいと異物等の詰まりが発生して空気同伴を招き易く、反対に12倍以上とすると塗布液吐出口6bからの塗布液の液圧が小さくなり、これまた空気同伴を招き易くなる。本実施形態の塗布装置においては、この間隔を微調整するために、図3に示すように、ノズルフィーダー6を矢印J方向に0〜1mm程度小さく可変させる図示しない可変手段が設けられており、この可変手段でノズルフィーダー6の間隔Fを微調整して、最適な塗布液層102がウェブ4上に形成可能となっている。なお、ノズルフィーダー6は、リップ部6aを洗浄するため、2点鎖線位置まで200mm程度大きく移動可能となっている。
このように、ノズルフィーダー6が前後に若干移動可能なため、ノズルフィーダー6とサイドディッケル5bとの間に隙間が形成され、この隙間から塗布液が漏れ出す可能性がある。これを防ぐため、図2及び図3に示すように、本実施形態においては、ゴム材等からなる塗布液流出防止用プレート13がサイドディッケル5b上に取り付けられている。この点については、実施例で詳述する。
【0014】
また、ノズルフィーダー6の取り付け位置は、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面10aの高さと同一高さとし、塗布液吐出口6bとアプリケーターロール2の中心軸2bの中心とこの中心から塗布液10の液面10aと平行な線(水平線)との交差角(ノズルフィーダー傾斜角度)θが30〜40度となるようにノズルフィーダー6を傾斜させることが望ましい。ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面高さより低い場合には、塗布液中に浸漬されたノズルフィーダー6のリップ部6aの上方に渦が発生し、そこから空気同伴を招き、液切れが発生する。反対に、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面高さより高い位置にある場合には、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cが下方となり、塗布液供給開始部2cの近辺の塗布液が自由表面となって空気同伴を招き易くなる。これらの点については、実施例に基づいて詳述する。
【0015】
このように、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bは、その高さを液ダム5内の塗布液10の液面と同一高さとすることが好ましい。そのため、このような状態を維持するために、本実施形態においては、液ダム5内の塗布液の液面高さが同一高さとなるように、液ダム5内に補充する塗布液量を制御している。即ち、塗布液の液面の高さを、レベルセンサやフロートセンサ等の液面検知手段によって検知し、この検知信号に基づいて液ダム5内に補充する塗布液量を制御したり、塗布液が所定液面高さ以上に液ダム内に補充された場合には、過剰の塗布液が液ダム5からオーバーフローして、液ダム5内の塗布液10の液面が常時一定高さとなるように調整されるようになっている。
以上のように、液ダム5内にノズルフィーダー6を配設し、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに向けて塗布液を吐出するようにしたので、高速度で塗布した際にも、塗布液供給開始部2cでの空気同伴が抑制され、液切れのない連続した塗布液層102をウェブ4上に形成することが可能となる。
【0016】
続いて、実施例に基づいて具体的な条件等について説明する。
[実施例1]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件、塗布液条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の液切れが発生する限界塗布速度を評価した。
<塗布条件>
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダーの塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
塗布液条件(1)
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:350mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
塗布液条件(2)
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
塗布液条件(3)
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:30mPa・s(B型粘度計 No.2)
塗布液条件(4)
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:50mPa・s(B型粘度計 No.2)
図4に各塗布液条件の塗布液を使用した場合の液切れ限界塗布速度の結果を示す。この結果から、低粘度の塗布液(塗布液条件(3)、(4))においても145m/分以上と100m/分以上の高速塗布速度においても液切れが生ぜず、良好な塗布液層が形成すれることが明らかである。さらに、高粘度の塗布液(塗布液条件(1)、(2))を使用した場合には、さらに塗布速度を上げることが可能となり、生産性が向上している。
【0017】
[実施例2]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の液切れが発生する限界塗布速度を評価した。評価方法は、比較例1の限界塗布速度との対比として速度アップ率として効果を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
条件(1)
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:800g/分(吐出幅:240mm)
条件(2)
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
【0018】
[比較例1]
塗布条件は実施例2と同様とし、ノズルフィーダーを設置せず通常の液ダム方式3本リバースロール塗布法(図13参照)として塗布評価を行った。
次に、実施例2及び比較例1の結果を図5に示す。この結果から、ノズルフィーダーを使用しない比較例1のものに比べ、本発明による実施例2のものは、限界塗布速度が大きく上昇していることが明らかである。また、条件(2)で示すノズルフィーダー吐出液流量の大きい場合に方が、条件(1)で示すものよりも限界塗布速度が上昇している。
【0019】
[実施例3]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の塗布欠陥(塗布スジ、液切れ等)の発生の有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
【0020】
[比較例2]
本比較例では図6に示す液ダムを使用しないオフセットダイ14を使用して、直接アプリケーターロール2に塗布液を塗布する塗布装置を用いた。この装置を使用して下記条件で1時間塗布し、塗布欠陥(スジ、液切れ等)の有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<オフセットダイ条件>
・オフセットダイ傾斜角度α:15度
・スロットギャップ:200μm
・アプリケーターロール〜オフセットダイギャップK:30μm
・オフセットダイ液流量:900g/分(吐出幅240mm)
次に実施例3及び比較例2の結果を図7に示す。この結果から比較例2のものでは、オフセットダイ先端に異物が詰まり、塗布スジが発生したのに対し、本発明による実施例3のものは、塗布欠陥なく、良好な塗布液層が形成された。
【0021】
[実施例4]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダー吐出液流量を変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に実施例4の結果を図8に示す。この結果から、ノズルフィーダー吐出液流量をウェブ塗布量と等量以上とすることによって液切れの発生が抑制されることが明らかである。
【0022】
[実施例5]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダー傾斜角度を変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例5の結果を図9に示す。この結果から、ノズルフィーダー傾斜角度θは、上記アプリケーターロールの直径が200mm、液面高さ193mmの場合には、30度〜40度が適切であることが明らかである。
【0023】
[実施例6]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔dを変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
次に実施例6の結果を図10に示す。この結果から、ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔dがウェブ上に形成される塗布液層厚の12倍(300μm)に相当する間隔であれば、液切れの発生が認められないが、12倍を越える間隔dとすると液切れの発生が認められることが判明する。なお、間隔dが20μmとウェブ上の塗布液層厚に対して0.8倍であっても液切れの発生が認められなかったものの、ノズルフィーダーのリップ先端に異物が詰まり、その結果、比較例2の場合と同様の塗布欠陥が見られる場合が発生した。
【0024】
[実施例7]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、液ダム内の液面高さを変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例7の結果を図11に示す。この結果から、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さより10mm高い場合には、ノズルフィーダーの塗布液吐出口が液ダム内に浸漬され過ぎて吐出塗布液で塗布液内に渦が発生して液切れの発生が認められ、また、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さより10mm低い場合には、塗布液吐出口が塗布液面上から離隔した状態となり、アプリケーターローラの塗布液供給開始部と液ダム内の塗布液面間とが離隔してしまい、空気同伴が発生して液切れが発生してしまうことが明である。これに対し、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さに対して+5mm〜−5mm以内となるように設定すれば、空気同伴が抑制されて液切れの発生が抑制されることが明らかである。
【0025】
[実施例8]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、塗布液流出防止用プレート13を使用しない場合及び塗布液流出防止用プレート13の材質を変えて下記条件で1時間アプリケーターロールを回転させ、ノズルフィーダー6と塗布液流出防止用プレート13との接触面(図3参照)及びノズルフィーダー6とサイドディッケル5bとの接触面(図3参照)からの塗布液の液漏れの状態を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:150m/分
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例7の結果を図12に示す。この結果から、塗布液流出防止用プレートを使用しない場合には、塗布液がノズルフィーダーとサイドディッケルとの接触面から漏出し、周囲を汚損するのに対して、軟質PTFE(ポリテトラフロロエチレン)やゴム材の弾性を有する塗布液流出防止用プレートを使用した場合には、ノズルフィーダーを前後に移動させても、ノズルフィーダーと塗布液流出防止用プレートの接触面が弾性的に密着して、この接触面からの塗布液の漏出が認められないことが明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による一実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1で示す塗布装置の側面図である。
【図3】図1で示す塗布装置のノズルフィーダーの移動を説明する側面図である。
【図4】本発明による実施例1に係る評価結果を示す表図である。
【図5】本発明による実施例2に係る評価結果を示す表図である。
【図6】比較例2で使用される塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明による実施例3及び比較例2に係る評価結果を示す表図である。
【図8】本発明による実施例4に係る評価結果を示す表図である。
【図9】本発明による実施例5に係る評価結果を示す表図である。
【図10】本発明による実施例6に係る評価結果を示す表図である。
【図11】本発明による実施例7に係る評価結果を示す表図である。
【図12】本発明による実施例8に係る評価結果を示す表図である。
【図13】従来の塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】従来の塗布装置の空気同伴現象を説明するための断面図である。
【図15】従来の他の塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…メータリングロール、2…アプリケーターロール、2a…周面、2b…中心軸、2c…塗布液供給開始部、3…バックアップロール、4…ウェブ、5…液ダム、5b…サイドディッケル、6…ノズルフィーダー、6a…リップ部、6b…塗布液吐出口、7…マニホールド、8…スロット、10…塗布液、10a…塗布液面、13…塗布液流出防止用プレート、101、102…塗布液層、d…ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔、θ…ノズルフィーダー傾斜角度、H…塗布液層厚、G…ノズルフィーダースロットギャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム、紙、粘着紙、金属箔等の可撓性支持体又は被塗布体(以下ウェブと称する)に、種々の塗料を塗布する塗布方法及び塗布装置に係り、特に、塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する、所謂3本リバースロールを用いた塗布方法及び塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リバースロールコーターとしては、例えば、図13に示すような3本リバースロールコーターが知られている。(例えば、特許文献1参照)この塗布装置は、アプリケーターロール2と、当該ロールの上方に、ウェブ4走行用の間隙を設けて配備されたウェブ走行用のバックアップロール3と、アプリケーターロール2の下方に塗布厚調整用の間隙を設けて配備されたメータリングロール1と、アプリケーターロール2及びメータリングロール1の後方に配備された塗布液10の液ダム5とを備えている。液ダム5は、背板5aと、背板5aの左右両側に設けたサイドディッケル5bと底板5cとによって構成され、アプリケーターロール2の幅方向(軸方向)に沿って設けられており、塗布液10を貯留している。
この塗布装置では、アプリケーターロール2及びメータリングロール1が矢印方向に回転すると、液ダム5内の塗布液10がアプリケーターロール2とメータリングロール1の間隙を通って液ダム5から排出され、所定厚みの塗布液層101がアプリケーターロール2の周面2aに形成される。そして、アプリケーターロール2の周面2a上の塗布液層101はバックアップロール3の矢印方向への回転によって走行するウェブ4の表面に転液されて塗布液層102が形成される。これによりウェブ4の表面に塗布液10が均一な厚みで塗布されることになる。
このような、3本リバースロールを用いた塗布装置は、比較的簡単な構成で、容易に均一厚みの塗布液層102をウェブ4上に形成できるため、汎用されているが、塗布速度が100m/分以下と遅い塗布速度でしか使用できないという問題があった。このような塗布速度が遅くなる一因としては、アプリケーターロール2に塗布液が最初に供給される塗布液供給開始部(動的接液線)2bで空気が取り込まれる空気同伴現象が生じることである。
【0003】
液ダム方式の3本リバースロール塗布方法においては、塗布液10を貯留する液ダム5が使用されるが、低粘度塗布液ではアプリケーターロール2と液ダム5が接触する隙間から塗布液が漏れ易いため、比較的高粘度塗布液で塗布する事が一般的である。従って、液流動性が低い高粘度液で塗布するため、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部(動的接液線)2aの塗布液表面10aがアプリケーターロール2の回転方向へ引き込まれやすく、高速になると空気同伴現象を起こし易くなる。このような空気同伴現象によって同伴空気10bがアプリケーターロール2とメータリングロール1の検量部19にまで達すると図14に示すように、アプリケーターローラ2の周面2aに形成される塗布液層101が連続した層とならず、断続した層となるいわゆる液切れ現象が発生し、この液切れ現象がウェブ4に転移されてしまい、ウェブ4上に断続した液切れの塗布液層102が形成されることになる。このような空気同伴現象は、液特性としてニュートニアンの塗布液を使用した場合にはより顕著に発生し、アプリケーターロール2の回転によるシェアが掛かり低粘度化するシェア減粘性の強い液であっても若干塗布速度限界は大きくなるものの、空気同伴現象が生じて液切れ現象を起こし易い。
また、リバースロール塗布の高速塗布方法として、図15に示すように、アプリケーターロール2の周面2aに直接塗布液をオフセットダイ14から供給して所定厚みの塗布液層101を形成することが知られている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平6−339651号公報
【特許文献2】特開平10−128204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2記載のものでは、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2bの塗布液10の表面に自由表面が形成されないために空気同伴現象が発生しにくく、液切れを起こすことなく高速での塗布が可能となるが、所定厚みの塗布液層101をアプリケーターロール2の周面2aに形成するために、ダイ14の先端の塗布液吐出口14aとアプリケーターロール周面10aとの塗布ギャップKを狭くする必要があり、その結果、塗布ギャップKに異物等の詰りによる塗布スジや液切れが発生し易いという問題を招き安い。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布方法及び塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する塗布方法において、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールに前記塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の塗布方法において、前記ウェブに塗布液を塗布する塗布速度を100m/分以上として塗布することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーは、前記塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの中心軸に向けて前記アプリケーターロール周面の供給開始部に吐出することを特徴とする。
【0006】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口を、前記アプリケーターロールの供給開始部から前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布液層厚みの1〜12倍の範囲内で離隔させて当該塗布液吐出口から前記アプリケーターロールの供給開始部に塗布液を吐出することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に液圧を付加して吐出することを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の塗布方法において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記アプリケーターロールに吐出する塗布液量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量以上に設定して塗布液を当該塗布液吐出口から吐出することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の塗布方法において、前記液ダム内の液面高さを前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口と同一高さとなるように調整することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、塗布液を貯留する液ダムと、当該液ダムから当該塗布液が供給される回転するアプリケーターロールと、当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転し、前記塗布液を当該アプリケーターロールとの間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成するメータリングロールと、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転して前記ウェブ上に前記塗布液層を転液するバックアップロールを備えた塗布液をウェブ上に塗布する塗布装置において、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の発明は、請求項8記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口は、前記アプリケーターロールの中心軸に向かって配設され、当該塗布液吐出口からアプリケーターロールの中心軸に向かって前記塗布液が吐出されることを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項8又は9記載の塗布装置において、前記アプリケーターロールと前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口との間隔を0〜1mmの範囲で可変させる可変手段を前記ノズルフィーダーに設けたことを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項8乃至10の何れか1項記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口からの塗布液の吐出量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量の1〜2倍の範囲に設定された塗布液吐出口を有していることを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項8乃至11の何れか1項記載の塗布装置において、該液ダム内の液面高さが該ノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さと同一高さとなるように液面高さ調整手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項13の発明は、請求項8乃至12の何れか1項記載の塗布装置において、前記ノズルフィーダーは、前記液ダム内の塗布液の前記アプリケーターロールの軸方向への流出を防止するサイドディッケル上に取り付けられ、当該サイドディッケルとノズルフィーダーとの間に塗布液流出防止用プレートを配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液ダム内に、アプリケーターロールに塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することによって、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することによって、3本リバースロール塗布における塗布速度限界を拡大し、高速薄膜塗布が可能な3本リバースロール塗布装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者らは、3本リバースロールを用いて塗布速度限界を拡大するため、液ダム方式のものにおいて、高速塗布を行う際に発生する空気同伴現象について検討を行った。アプリケーターロールの高速回転に伴い、液ダム内の塗布液表面が自由表面となっているために、塗布液表面とアプリケーターロール周面との間に空気を巻き込み塗布液供給開始部が下降することに着目し、塗布液供給開始部の下降を抑制するため検討の結果、塗布液供給開始部の塗布液表面に液圧を付加して、塗布液表面とアプリケーターロール周面との付着性を上げると塗布液供給開始部の下降を防止できることを見出した。
この発見に基づき更なる検討を行った結果、液ダム内にアプリケーターロールの塗布液供給開始部に向けて塗布液を吐出するノズルフィーダーを設け、このノズルフィーダーから塗布液をアプリケーターロールの塗布液供給開始部に吐出すれば、塗布液表面とアプリケーターロール周面との付着性が向上して、空気同伴現象を抑制できることを究明し、以下述べるような発明を完成するに至った。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2は、本発明による一実施形態の塗布装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る塗布装置は、塗布液10を貯留する液ダム5と、液ダム5から塗布液10が供給される中心軸2bを中心として矢印A方向に回転するアプリケーターロール2とを有している。さらに、アプリケーターロール2の下方には、アプリケーターロール2の回転方向Aと逆方向Bに中心軸1aを中心として回転し、塗布液10をアプリケーターロール2との間隙(検量部)19から供給してアプリケーターロール2の周面2aに所定厚みの塗布液層101を形成するメータリングロール1を有している。また、アプリケーターロール2の上方には、ウェブ4を介して前記アプリケーターロール2と圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向Aと逆方向Cに中心軸3aを中心として回転してウェブ4を矢印D方向に搬送すると共に、ウェブ4上に前記塗布液層101を転液して塗布液層102を形成するバックアップロール3を備えている。
液ダム5は、背板5aと、背板5aの両側にアプリケーターロール2の周面2aと摺接する側端壁5b1及びメータリングロール1の周面1aと摺接する側端壁5b2を有するサイドディッケル5bを有している(図2参照)。さらに、液ダム5は、メータリングロール1の周面1aと摺接する端壁5c1を有する底板5cを有し、この液ダム5内に塗布液10を貯留することができるようになっている。そして液ダム5は、アプリケーターロール2の幅方向(軸方向)に沿って取り付けられ、液ダム5の側方が開口されてこの開口部5dからアプリケーターロール2の周面2aおよびメータリングロール1の周面1aに塗布液10を供給可能となっている。
【0011】
また、液ダム5内には、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cにリップ部6aの先端の塗布液吐出口6bから塗布液10を吐出するノズルフィーダー6が配設されている。ノズルフィーダー6は、上部6cと下部6dを組み合わされて形成され、上部6cと下部6dとの中間部分にアプリケーターロール2の軸線に平行に連通して形成されてアプリケーターロール2の幅方向に塗布液を均一に分配する凹部からなるマニホールド7とマニホールド7と連通し、塗布液吐出口6bまで延びるスロット8を備えている。塗布液吐出口6bは、アプリケーターロール2の塗布幅の全長に亘って開口されており、マニホールド7内に供給された塗布液10がスロット8を介して塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の周面2aの塗布液供給開始部2cに吐出されるようになっている。
この場合、塗布液吐出口6bから吐出される塗布液は、矢印Eで示すように、アプリケーターロール2の中心軸2bに向かって吐出され、吐出された塗布液によって液ダム5内の塗布液がアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに強固に付着される。従って、塗布液供給開始部2cにおける空気の巻き込みが抑制され、アプリケーターロール2の回転に伴い空気同伴が抑制された状態で、塗布液10が塗布液供給開始部2cから検量部19までアプリケーターロール2の周面2aに連続して付着されることになる。
このように、塗布液供給開始部2cにおいて空気の巻き込みが抑制された状態で塗布液供給開始部2cに塗布液が供給されるためには、塗布液吐出口6bから吐出される塗布液が塗布液供給開始部2c近傍の塗布液に液圧を付与する必要がある。このような液圧は、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出方向、吐出量、塗布液吐出口6bの配設位置、塗布液吐出口6bとアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cとの間隔等によって影響される。
【0012】
ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出方向について説明すると、塗布液の吐出方向がアプリケーターロール2の中心軸2bから上下方向にはずれると塗布液吐出口6bからの塗布液の吐出力による液圧が塗布液供給開始部2cで減圧され易くなり、空気同伴を良好に抑制することが困難となるので、塗布液の吐出方向がアプリケーターロール2の中心軸2bに向かうように設定すれば、最も効果的に塗布液供給開始部2cに液圧を付与することが可能となるので好ましい。この場合、塗布液吐出口6bを形成するノズルフィーダー6のリップ部6aの先端面6a1は、塗布液供給開始部2cの接線に対して概ね平行に形成されており、塗布液吐出口6bを適切にアプリケーターロール2の中心軸2bに向けて設定することが可能となる。この先端面6a1が塗布液供給開始部2cの接線に対して上下に傾斜して形成されている場合には、ノズルフィーダー6のリップ部6aへの塗布液の乗り上げや液圧の不足を招いて空気同伴現象が生じ易くなる。
【0013】
また、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2c間の間隔Fは、ウェブ4上に形成される塗布液層102の厚みdの1〜12倍の範囲で設定するのが良くこの間隔Fが小さいと異物等の詰まりが発生して空気同伴を招き易く、反対に12倍以上とすると塗布液吐出口6bからの塗布液の液圧が小さくなり、これまた空気同伴を招き易くなる。本実施形態の塗布装置においては、この間隔を微調整するために、図3に示すように、ノズルフィーダー6を矢印J方向に0〜1mm程度小さく可変させる図示しない可変手段が設けられており、この可変手段でノズルフィーダー6の間隔Fを微調整して、最適な塗布液層102がウェブ4上に形成可能となっている。なお、ノズルフィーダー6は、リップ部6aを洗浄するため、2点鎖線位置まで200mm程度大きく移動可能となっている。
このように、ノズルフィーダー6が前後に若干移動可能なため、ノズルフィーダー6とサイドディッケル5bとの間に隙間が形成され、この隙間から塗布液が漏れ出す可能性がある。これを防ぐため、図2及び図3に示すように、本実施形態においては、ゴム材等からなる塗布液流出防止用プレート13がサイドディッケル5b上に取り付けられている。この点については、実施例で詳述する。
【0014】
また、ノズルフィーダー6の取り付け位置は、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面10aの高さと同一高さとし、塗布液吐出口6bとアプリケーターロール2の中心軸2bの中心とこの中心から塗布液10の液面10aと平行な線(水平線)との交差角(ノズルフィーダー傾斜角度)θが30〜40度となるようにノズルフィーダー6を傾斜させることが望ましい。ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面高さより低い場合には、塗布液中に浸漬されたノズルフィーダー6のリップ部6aの上方に渦が発生し、そこから空気同伴を招き、液切れが発生する。反対に、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bが液ダム5内の塗布液10の液面高さより高い位置にある場合には、アプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cが下方となり、塗布液供給開始部2cの近辺の塗布液が自由表面となって空気同伴を招き易くなる。これらの点については、実施例に基づいて詳述する。
【0015】
このように、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bは、その高さを液ダム5内の塗布液10の液面と同一高さとすることが好ましい。そのため、このような状態を維持するために、本実施形態においては、液ダム5内の塗布液の液面高さが同一高さとなるように、液ダム5内に補充する塗布液量を制御している。即ち、塗布液の液面の高さを、レベルセンサやフロートセンサ等の液面検知手段によって検知し、この検知信号に基づいて液ダム5内に補充する塗布液量を制御したり、塗布液が所定液面高さ以上に液ダム内に補充された場合には、過剰の塗布液が液ダム5からオーバーフローして、液ダム5内の塗布液10の液面が常時一定高さとなるように調整されるようになっている。
以上のように、液ダム5内にノズルフィーダー6を配設し、ノズルフィーダー6の塗布液吐出口6bからアプリケーターロール2の塗布液供給開始部2cに向けて塗布液を吐出するようにしたので、高速度で塗布した際にも、塗布液供給開始部2cでの空気同伴が抑制され、液切れのない連続した塗布液層102をウェブ4上に形成することが可能となる。
【0016】
続いて、実施例に基づいて具体的な条件等について説明する。
[実施例1]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件、塗布液条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の液切れが発生する限界塗布速度を評価した。
<塗布条件>
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダーの塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
塗布液条件(1)
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:350mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
塗布液条件(2)
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
塗布液条件(3)
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:30mPa・s(B型粘度計 No.2)
塗布液条件(4)
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:50mPa・s(B型粘度計 No.2)
図4に各塗布液条件の塗布液を使用した場合の液切れ限界塗布速度の結果を示す。この結果から、低粘度の塗布液(塗布液条件(3)、(4))においても145m/分以上と100m/分以上の高速塗布速度においても液切れが生ぜず、良好な塗布液層が形成すれることが明らかである。さらに、高粘度の塗布液(塗布液条件(1)、(2))を使用した場合には、さらに塗布速度を上げることが可能となり、生産性が向上している。
【0017】
[実施例2]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の液切れが発生する限界塗布速度を評価した。評価方法は、比較例1の限界塗布速度との対比として速度アップ率として効果を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
条件(1)
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:800g/分(吐出幅:240mm)
条件(2)
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
【0018】
[比較例1]
塗布条件は実施例2と同様とし、ノズルフィーダーを設置せず通常の液ダム方式3本リバースロール塗布法(図13参照)として塗布評価を行った。
次に、実施例2及び比較例1の結果を図5に示す。この結果から、ノズルフィーダーを使用しない比較例1のものに比べ、本発明による実施例2のものは、限界塗布速度が大きく上昇していることが明らかである。また、条件(2)で示すノズルフィーダー吐出液流量の大きい場合に方が、条件(1)で示すものよりも限界塗布速度が上昇している。
【0019】
[実施例3]
図1〜図3で示す前記実施形態の塗布装置を使用し、下記塗布条件、ノズルフィーダー条件でウェブ上に塗布液層を形成し、アプリケーターロールの周面に形成される塗布液層の塗布欠陥(塗布スジ、液切れ等)の発生の有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
【0020】
[比較例2]
本比較例では図6に示す液ダムを使用しないオフセットダイ14を使用して、直接アプリケーターロール2に塗布液を塗布する塗布装置を用いた。この装置を使用して下記条件で1時間塗布し、塗布欠陥(スジ、液切れ等)の有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:アクリルエマルジョン糊
・粘度:500mPa・s(せん断速度:3000s‐1)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
<オフセットダイ条件>
・オフセットダイ傾斜角度α:15度
・スロットギャップ:200μm
・アプリケーターロール〜オフセットダイギャップK:30μm
・オフセットダイ液流量:900g/分(吐出幅240mm)
次に実施例3及び比較例2の結果を図7に示す。この結果から比較例2のものでは、オフセットダイ先端に異物が詰まり、塗布スジが発生したのに対し、本発明による実施例3のものは、塗布欠陥なく、良好な塗布液層が形成された。
【0021】
[実施例4]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダー吐出液流量を変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に実施例4の結果を図8に示す。この結果から、ノズルフィーダー吐出液流量をウェブ塗布量と等量以上とすることによって液切れの発生が抑制されることが明らかである。
【0022】
[実施例5]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダー傾斜角度を変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例5の結果を図9に示す。この結果から、ノズルフィーダー傾斜角度θは、上記アプリケーターロールの直径が200mm、液面高さ193mmの場合には、30度〜40度が適切であることが明らかである。
【0023】
[実施例6]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔dを変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
次に実施例6の結果を図10に示す。この結果から、ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔dがウェブ上に形成される塗布液層厚の12倍(300μm)に相当する間隔であれば、液切れの発生が認められないが、12倍を越える間隔dとすると液切れの発生が認められることが判明する。なお、間隔dが20μmとウェブ上の塗布液層厚に対して0.8倍であっても液切れの発生が認められなかったものの、ノズルフィーダーのリップ先端に異物が詰まり、その結果、比較例2の場合と同様の塗布欠陥が見られる場合が発生した。
【0024】
[実施例7]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、下記条件で塗布し、液ダム内の液面高さを変え、アプリケーターロール2の周面に形成された塗布液層101の液切れの有無を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:125m/分
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・塗布速度:150m/分
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例7の結果を図11に示す。この結果から、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さより10mm高い場合には、ノズルフィーダーの塗布液吐出口が液ダム内に浸漬され過ぎて吐出塗布液で塗布液内に渦が発生して液切れの発生が認められ、また、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さより10mm低い場合には、塗布液吐出口が塗布液面上から離隔した状態となり、アプリケーターローラの塗布液供給開始部と液ダム内の塗布液面間とが離隔してしまい、空気同伴が発生して液切れが発生してしまうことが明である。これに対し、液ダム内液面高さがノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さに対して+5mm〜−5mm以内となるように設定すれば、空気同伴が抑制されて液切れの発生が抑制されることが明らかである。
【0025】
[実施例8]
本実施例では図1〜3に示す塗布装置を用い、塗布液流出防止用プレート13を使用しない場合及び塗布液流出防止用プレート13の材質を変えて下記条件で1時間アプリケーターロールを回転させ、ノズルフィーダー6と塗布液流出防止用プレート13との接触面(図3参照)及びノズルフィーダー6とサイドディッケル5bとの接触面(図3参照)からの塗布液の液漏れの状態を評価した。
<塗布条件>
・塗布液:PVA318水溶液(クラレ社製)
・粘度:500mPa・s(B型粘度計 No.2ローター)
・ウェブ上の塗布液付着量:25g/m2(塗布液層厚み:25μm)
・塗布幅:240mm
・アプリケーターロール回転速度:150m/分
・アプリケーターロール直径:Φ200mm
・液面高さ:193mm(ノズルフィーダー塗布液吐出口高さ)
<ノズルフィーダー条件>
・ノズルフィーダー吐出液流量:900g/分(吐出幅:240mm)
・ノズルフィーダースロットギャップG:500μm
・ノズルフィーダー傾斜角度θ:35度
・ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔d:150μm
次に、実施例7の結果を図12に示す。この結果から、塗布液流出防止用プレートを使用しない場合には、塗布液がノズルフィーダーとサイドディッケルとの接触面から漏出し、周囲を汚損するのに対して、軟質PTFE(ポリテトラフロロエチレン)やゴム材の弾性を有する塗布液流出防止用プレートを使用した場合には、ノズルフィーダーを前後に移動させても、ノズルフィーダーと塗布液流出防止用プレートの接触面が弾性的に密着して、この接触面からの塗布液の漏出が認められないことが明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による一実施形態に係る塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1で示す塗布装置の側面図である。
【図3】図1で示す塗布装置のノズルフィーダーの移動を説明する側面図である。
【図4】本発明による実施例1に係る評価結果を示す表図である。
【図5】本発明による実施例2に係る評価結果を示す表図である。
【図6】比較例2で使用される塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明による実施例3及び比較例2に係る評価結果を示す表図である。
【図8】本発明による実施例4に係る評価結果を示す表図である。
【図9】本発明による実施例5に係る評価結果を示す表図である。
【図10】本発明による実施例6に係る評価結果を示す表図である。
【図11】本発明による実施例7に係る評価結果を示す表図である。
【図12】本発明による実施例8に係る評価結果を示す表図である。
【図13】従来の塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【図14】従来の塗布装置の空気同伴現象を説明するための断面図である。
【図15】従来の他の塗布装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…メータリングロール、2…アプリケーターロール、2a…周面、2b…中心軸、2c…塗布液供給開始部、3…バックアップロール、4…ウェブ、5…液ダム、5b…サイドディッケル、6…ノズルフィーダー、6a…リップ部、6b…塗布液吐出口、7…マニホールド、8…スロット、10…塗布液、10a…塗布液面、13…塗布液流出防止用プレート、101、102…塗布液層、d…ノズルフィーダーとアプリケーターロールとの間隔、θ…ノズルフィーダー傾斜角度、H…塗布液層厚、G…ノズルフィーダースロットギャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する塗布方法において、
前記液ダム内に、前記アプリケーターロールに前記塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の塗布方法において、
前記ウェブに塗布液を塗布する塗布速度を100m/分以上として塗布することを特徴とする塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーは、前記塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの中心軸に向けて前記アプリケーターロール周面の供給開始部に吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口を、前記アプリケーターロールの供給開始部から前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布液層厚みの1〜12倍の範囲内で離隔させて当該塗布液吐出口から前記アプリケーターロールの供給開始部に塗布液を吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に液圧を付加して吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記アプリケーターロールに吐出する塗布液量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量以上に設定して塗布液を当該塗布液吐出口から吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載の塗布方法において、
前記液ダム内の液面高さを前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口と同一高さとなるように調整することを特徴とする塗布方法。
【請求項8】
塗布液を貯留する液ダムと、当該液ダムから当該塗布液が供給される回転するアプリケーターロールと、当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転し、前記塗布液を当該アプリケーターロールとの間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成するメータリングロールと、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転して前記ウェブ上に前記塗布液層を転液するバックアップロールを備えた塗布液をウェブ上に塗布する塗布装置において、
前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
請求項8記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口は、前記アプリケーターロールの中心軸に向かって配設され、当該塗布液吐出口からアプリケーターロールの中心軸に向かって前記塗布液が吐出されることを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の塗布装置において、
前記アプリケーターロールと前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口との間隔を0〜1mmの範囲で可変させる可変手段を前記ノズルフィーダーに設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口からの塗布液の吐出量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量の1〜2倍の範囲に設定された塗布液吐出口を有していることを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか1項記載の塗布装置において、
該液ダム内の液面高さが該ノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さと同一高さとなるように液面高さ調整手段を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか1項記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーは、前記液ダム内の塗布液の前記アプリケーターロールの軸方向への流出を防止するサイドディッケル上に取り付けられ、当該サイドディッケルとノズルフィーダーとの間に塗布液流出防止用プレートを配設したことを特徴とする塗布装置。
【請求項1】
塗布液を貯留する液ダムから当該塗布液を、回転するメータリングロールと当該メータリングロールの回転方向と逆回転するアプリケーターロール間の間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成し、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転するバックアップロール上の前記ウェブ上に前記塗布液層を転液して塗布液をウェブ上に塗布する塗布方法において、
前記液ダム内に、前記アプリケーターロールに前記塗布液を供給するノズルフィーダーを設け、当該ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に供給してアプリケーターロールの周面に所定厚みの塗布液層を形成することを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の塗布方法において、
前記ウェブに塗布液を塗布する塗布速度を100m/分以上として塗布することを特徴とする塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーは、前記塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの中心軸に向けて前記アプリケーターロール周面の供給開始部に吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口を、前記アプリケーターロールの供給開始部から前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布液層厚みの1〜12倍の範囲内で離隔させて当該塗布液吐出口から前記アプリケーターロールの供給開始部に塗布液を吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記塗布液を前記アプリケーターロールの供給開始部に液圧を付加して吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の塗布方法において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口から前記アプリケーターロールに吐出する塗布液量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量以上に設定して塗布液を当該塗布液吐出口から吐出することを特徴とする塗布方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載の塗布方法において、
前記液ダム内の液面高さを前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口と同一高さとなるように調整することを特徴とする塗布方法。
【請求項8】
塗布液を貯留する液ダムと、当該液ダムから当該塗布液が供給される回転するアプリケーターロールと、当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転し、前記塗布液を当該アプリケーターロールとの間隙から供給して当該アプリケーターロールの表面に所定厚みの塗布液層を形成するメータリングロールと、ウェブを介して前記アプリケーターロールと圧接しながら当該アプリケーターロールの回転方向と逆回転して前記ウェブ上に前記塗布液層を転液するバックアップロールを備えた塗布液をウェブ上に塗布する塗布装置において、
前記液ダム内に、前記アプリケーターロールの塗布液供給開始部に塗布液を吐出する塗布液吐出口を有するノズルフィーダーを配設することを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
請求項8記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口は、前記アプリケーターロールの中心軸に向かって配設され、当該塗布液吐出口からアプリケーターロールの中心軸に向かって前記塗布液が吐出されることを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の塗布装置において、
前記アプリケーターロールと前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口との間隔を0〜1mmの範囲で可変させる可変手段を前記ノズルフィーダーに設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーの塗布液吐出口からの塗布液の吐出量を、前記ウェブに前記塗布液を塗布する塗布量の1〜2倍の範囲に設定された塗布液吐出口を有していることを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか1項記載の塗布装置において、
該液ダム内の液面高さが該ノズルフィーダーの塗布液吐出口の高さと同一高さとなるように液面高さ調整手段を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか1項記載の塗布装置において、
前記ノズルフィーダーは、前記液ダム内の塗布液の前記アプリケーターロールの軸方向への流出を防止するサイドディッケル上に取り付けられ、当該サイドディッケルとノズルフィーダーとの間に塗布液流出防止用プレートを配設したことを特徴とする塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−28638(P2009−28638A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194980(P2007−194980)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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