説明

塗布装置および電子写真感光体の製造方法

【課題】 複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行うための塗布装置において、溶剤の蒸気や周囲の風により発生する塗膜ダレや、被塗布体の配列位置による被塗布体間の膜厚ムラが生じにくい塗布装置、および、該塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】 塗布装置は、複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の塗布槽と、複数の塗布槽を上から覆うための覆い蓋とを備えており、覆い蓋には、複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の貫通口が設けられており、塗布装置は、さらに、複数の貫通口のそれぞれの上方に配された複数のフードと、フードと覆い蓋の上面とに囲まれるフード内空間の気体を吸引するための吸引機とを備えており、フード内空間から吸引されていく気体の量が、フード内空間ごとに個別に調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体の製造に好適に用いられる塗布装置、および、該塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真感光体は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有するものが一般的である。また、支持体と感光層との間には導電層や中間層(下引き層)などが設けられる場合があり、また、感光層上には保護層などが設けられる場合もある。
【0003】
このような電子写真感光体を製造するにあたり、支持体上に感光層などの層を形成する方法としては、たとえば、浸漬塗布法、ロールコーター法、スプレー法、静電塗装法などが挙げられる。このうち浸漬塗布法は、被塗布体が、円筒状やシームレスベルト状などの立体形状を有する場合に有利な方法である。さらに、浸漬塗布法は、1つの塗布装置(浸漬塗布装置)で複数の被塗布体に対して同時に塗布が可能であるため、大量生産に広く使用されている。
【0004】
図1に、従来の塗布装置(浸漬塗布装置)の例を示す。
図1に示す塗布装置において、塗布液20は、ポンプなどの送液手段3により、回収タンク2およびフィルター4経由で塗布槽9の下部に送液され、また、塗布槽9の容量を越える塗布液20は、オーバーフロー槽10に落下した後、配管を経由して回収タンク2に循環される。なお、被塗布体1を通過させるための貫通口8が設けられている覆い蓋7が塗布槽9の上を覆っており、塗布液20への異物の混入や、塗布液20からの溶媒の揮発を抑制している。円筒状の被塗布体1は、その一部を不図示の昇降手段によって把持されており、塗布槽9中の塗布液20に浸漬され、次いで引き上げられることにより、表面に湿潤した塗膜が形成される。また、引き上げ直後の湿潤した塗膜が周囲の風などによる影響を受けないようにするためのフード5が、覆い蓋7の貫通口8の上方に設置されている。なお、図1中、6はオーバーフロー面である。
【0005】
また、図2は、複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行う塗布装置において、貫通口8が設けられている覆い蓋7、フード5および被塗布体1を上から見た位置関係を表す図である。
【0006】
しかしながら、上記のような従来の塗布装置では、引き上げ直後の被塗布体がフードの内側に存在している際、湿潤した塗膜から蒸発する溶剤の蒸気が、フードの内側(フード内空間)に滞留しやすい。すると、溶剤の蒸気の濃度が高いために塗膜の乾燥が遅くなり、結果として、塗膜ダレが生じる、すなわち、塗膜の上部の膜厚が薄くなり、塗膜の下部の膜厚が厚くなる傾向があった。
【0007】
このような欠点を改善するものとして、特許文献1には、図3に示すような、フードの下部に溶剤の蒸気を排出するための隙間を設けた構成の塗布装置が開示されている。
【0008】
図3は、複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行う塗布装置において、フード5の下部に隙間11を設けた構成を表す図である。なお、図3中、1−1、1−2、1−3は被塗布体であり、7は覆い蓋であり、8−1、8−2、8−3は貫通口であり、9は塗布槽であり、10はオーバーフロー槽であり、20は塗布液である。
【0009】
また、特許文献2には、フード5−1、5−2、5−3を外部との通気性があるメッシュ状にし、図4に示すように、それらを、それぞれ、被塗布体1−1、1−2、1−3の周囲に配した構成の塗布装置が開示されている。なお、図4中、7は覆い蓋であり、8−1、8−2、8−3は貫通口であり、9−1、9−2、9−3は塗布槽であり、10はオーバーフロー槽であり、20は塗布液である。
【0010】
これらの構成の塗布装置によれば、フードの内側の溶剤の蒸気の濃度がある程度は低減されるため、塗膜ダレの抑制に一定の効果がある。
【特許文献1】特許第2889513号公報
【特許文献2】特開平10−337514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、これらの塗布装置によって複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行った場合、被塗布体の配列位置において端に位置する被塗布体に比べて、中央に位置する被塗布体ほど周囲の溶剤の蒸気の濃度が下がりにくく、塗膜ダレが発生しやすいことがわかった。その結果として、被塗布体間の塗膜ダレの程度が異なってしまい、被塗布体間の膜厚ムラが生じることになる。そして、この傾向は、被塗布体の本数が多いほど、また、被塗布体同士の間隔を近づけるほど顕著になることもわかった。
【0012】
本発明の目的は、複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行うための塗布装置において、溶剤の蒸気や周囲の風により発生する塗膜ダレや、被塗布体の配列位置による被塗布体間の膜厚ムラが生じにくい塗布装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、該塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、複数の被塗布体を塗布槽中の塗布液に浸漬した後に引き上げて該複数の被塗布体のそれぞれの表面に塗膜を形成するための塗布装置において、
該塗布装置は、該複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の塗布槽と、該複数の塗布槽を上から覆うための覆い蓋とを備えており、
該覆い蓋には、該複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の貫通口が設けられており、
該塗布装置は、さらに、該複数の貫通口のそれぞれの上方に配された複数のフードと、該フードと該覆い蓋の上面とに囲まれるフード内空間の気体を吸引するための吸引機とを備えており、
該フード内空間から吸引されていく気体の量が、フード内空間ごとに個別に調整可能である
ことを特徴とする塗布装置である。
【0015】
また、本発明は、複数の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、
該製造方法は、複数の被塗布体を塗布槽中の塗布液に浸漬した後に引き上げて該複数の被塗布体のそれぞれの表面に塗膜を形成する塗布工程を有し、
該塗布工程は、上記の塗布装置を用いて行われる
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の被塗布体に対して同時に浸漬塗布を行うための塗布装置において、溶剤の蒸気や周囲の風により発生する塗膜ダレや、被塗布体の配列位置による被塗布体間の膜厚ムラが生じにくい塗布装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明によれば、該塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の塗布装置の一例を図5に示す。
図5に示す塗布装置において、塗布液20を収容する塗布槽9−1、9−2、9−3を上から覆う覆い蓋7には、貫通口8−1、8−2、8−3が設けられている。これら貫通口の穴径は、塗布槽の内径より小さいことが好ましい。そして、フード5−1、5−2、5−3の下部には、それぞれ、開口部12−1、12−2、12−3が設けられている。開口部12−1、12−2、12−3には、それぞれ、配管が接続されており、各配管は不図示の吸引機に繋がっている。フードと覆い蓋の上面とに囲まれるフード内空間の気体は、配管を経由して外部へ排出される。フード内空間から吸引されていく気体の量(吸引量ともいう)は、バルブ13−1、13−2、13−3によってフード内空間ごとに個別に調整可能である。吸引機とフードとの距離がフードごとに異なるなどの理由で、フード内空間ごとに吸引されていく気体の吸引力に違いが生じても、各バルブの開口量によってバランスをとることができる。1つのフード内空間に対して開口部の数は1つでも複数でもよいが、溶剤の蒸気の濃度を被塗布体の全周にわたって均一に制御するためには、複数であることが好ましい。なお、図5中、1−1、1−2、1−3は被塗布体であり、10はオーバーフロー槽である。
【0019】
また、本発明において、「複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の塗布槽」とは、たとえば図5や後述の図6、図12のように、被塗布体も塗布槽も複数あり、かつ、被塗布体1つに対して塗布槽が1つあることを意味する。また、本発明において、「複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の貫通口」とは、たとえば図5や後述の図6、図12のように、被塗布体も貫通口も複数あり、かつ、被塗布体1つに対して貫通口が1つあることを意味する。
【0020】
本発明の塗布装置の別の例を図6に示す。
図6に示す塗布装置において、覆い蓋7の内部には、気体が流通可能な流通路が備わっている(覆い蓋7の内部が空洞になっている。)。また、覆い蓋7の上面には、開口部14−1、14−2、14−3が設けられている。フード内空間の気体は、不図示の吸引機による吸引によって、開口部14−1、14−2、14−3から流出し、覆い蓋7の内部の流通路を経由し、配管15を経由して、不図示の吸引機に吸引される。この構成においては、覆い蓋7の下側に位置する塗布槽9−1、9−2、9−3中の塗布液20から発生する溶剤の蒸気の吸引が少なく、塗布液20の揮発を助長することがない。さらに、溶剤の蒸気の吸引方向が被塗布体に向かって垂直とはならないため、被塗布体の表面に塗布された直後の湿潤した塗膜から局所的に溶剤の蒸気を吸引するなどの悪影響を及ぼすことがない。さらには、フードの近傍に配管を用いないために、各フード間に配管用のスペースが不要となり、清掃などのメンテナンスも容易となる。なお、図6中、1−1、1−2、1−3は被塗布体であり、5−1、5−2、5−3はフードであり、8−1、8−2、8−3は貫通口であり、10はオーバーフロー槽である。
【0021】
開口部は、フード内空間1つあたりに複数設けられていることが好ましく、また、この複数設けられている開口部は、貫通口を取り囲むように配置されていることが好ましい。その配置は均等であることが好ましい。これにより、被塗布体の周方向においても、溶剤の蒸気の濃度をより均一に制御することが可能となる。
【0022】
覆い蓋の上面に開口部を複数設けた場合の開口部の配列例を図7、図8、図9に示す。
【0023】
図7では、覆い蓋7に設けられた貫通口8の周囲に3個の開口部14が配置されている。図8では、覆い蓋7に設けられた貫通口8の周囲に12個の開口部14を配置されている。図9では、覆い蓋7に設けられた貫通口8の周囲に配置された開口部14が、スリット形状となっている。なお、図7、図8、図9中、1は被塗布体であり、5はフードである。
【0024】
覆い蓋の上面に開口部を複数設けた場合の、フード内空間から吸引されていく気体の量(吸引量)の調整方法の一例を図10を用いながら説明する。
【0025】
図10において、複数の開口部14はいずれもネジ穴として加工されており、ネジ16を開口部14の蓋として用いることができる。ネジ16の開閉もしくは閉め度合いにより、開口部14のそれぞれの開口量を調整することによって、各フード間の溶剤の蒸気の濃度のバランスをとることができる。さらには、フード内空間における周方向の溶剤の蒸気のバランスも適正化することが可能となる。
【0026】
図10においては、不図示の吸引機の吸引により、フード内空間の気体は、開口部14から流出し、覆い蓋7の内部の流通路(空洞)を通過し、不図示の吸引機に接続された配管15を通過して、不図示の吸引機に吸引される構成となっている。配管15に近い開口部ほど流出しようとする力が強い傾向があるため、各開口部の開口量を調整することによって、各フード間およびフード内空間におけるバランスを調整している。なお、図10中、1は被塗布体であり、5はフードである。
【0027】
また、図11に示すように、複数設けられている開口部14と貫通口8との間には、貫通口8を取り囲むようにリング形状の突起部17を設けてもよい。突起部17により、塗布液から発生する溶剤の蒸気の吸引は一層抑制され、また、被塗布体の表面に塗布された直後の湿潤した塗膜から局所的に溶剤の蒸気を吸引する懸念はさらに少なくなる。なお、図11中、1は被塗布体であり、5はフードであり、7は覆い蓋である。
【0028】
図12には、覆い蓋7の上面に貫通口8−1、8−2、8−3のそれぞれを取り囲むように開口部14−1、14−2、14−3がそれぞれ配置され、さらに、開口部と貫通口との間にリング形状の突起部17−1、17−2、17−3がそれぞれ設けられている塗布装置の例を示す。なお、図12中、1−1、1−2、1−3は被塗布体であり、5−1、5−2、5−3はフードであり、9−1、9−2、9−3は塗布槽であり、10はオーバーフロー槽であり、15は配管であり、20は塗布液である。
【0029】
次に、本発明の塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法について説明する。
【0030】
電子写真感光体は、一般的に、支持体上に感光層を形成することによって製造される。感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに機能分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは、感光層は、積層型感光層であることが好ましい。また、積層型感光層の中でも、支持体側から電荷発生層および電荷輸送層をこの順に積層してなるもの(順層型感光層)が好ましい。また、支持体と感光層との間には、後述の導電層や中間層を設けてもよいし、感光層上には、後述の保護層を設けてもよい。
【0031】
なお、上記「塗膜」とは、導電層であっても、中間層であっても、感光層(電荷発生層、電荷輸送層)であっても、保護層であってもよく、また、その他の層であってもよい。また、上記「被塗布体」とは、当該「塗膜」がその表面に形成されるものを意味する。たとえば、電子写真感光体が、支持体上に導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層をこの順に形成してなる物である場合、
当該「塗膜」が導電層であるときには「被塗布体」は支持体であり、
当該「塗膜」が中間層であるときには「被塗布体」は支持体上に導電層を形成してなる物であり、
当該「塗膜」が電荷発生層であるときには「被塗布体」は支持体上に導電層および中間層をこの順に形成してなる物であり、
当該「塗膜」が電荷輸送層であるときには「被塗布体」は支持体上に導電層、中間層および電荷発生層をこの順に形成してなる物であり、
当該「塗膜」が保護層であるときには「被塗布体」は支持体上に導電層、中間層、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に形成してなる物である。
【0032】
本発明の製造装置は、「塗膜」が上記のどの層の場合であっても適用可能であり、複数の層に適用することも可能であるが、材料や膜厚の理由から塗布液を比較的低粘度に設定することが多い中間層、電荷発生層、保護層が「塗膜」である場合が特に好適である。
【0033】
以下、積層型感光層を有する電子写真感光体を例に挙げてより詳細に述べる。
【0034】
支持体は、導電性を有しているもの(導電性支持体)であればよく、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金、白金などの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、これら金属(合金)を真空蒸着によって被膜形成した層を有する金属製支持体やプラスチック(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂など)製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂とともにプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。
【0035】
また、支持体の形状としては、円筒状、シームレスベルト状(エンドレスベルト状)などが挙げられるが、円筒状が好ましい。
【0036】
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
【0037】
支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)または後述の中間層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
【0038】
導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
【0039】
導電層の膜厚は、1〜40μmであることが好ましく、特には2〜20μmであることがより好ましい。
【0040】
また、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
【0041】
中間層は、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。また、中間層には、金属、合金、それらの酸化物、塩類、界面活性剤などを含有させてもよい。
【0042】
中間層の膜厚は0.05〜7μmであることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
【0043】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを、加熱および/または放射線の照射などにより、乾燥および/または硬化させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
【0044】
電荷発生物質としては、たとえば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0045】
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0046】
電荷発生層中の結着樹脂の割合は、電荷発生層全質量に対して90質量%以下であることが好ましく、特には50質量%以下であることがより好ましい。
【0047】
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
【0048】
電荷発生層の膜厚は0.001〜6μmであることが好ましく、特には0.01〜1μmであることがより好ましい。
【0049】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0050】
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを、加熱および/または放射線の照射などにより、乾燥および/または硬化させることによって形成することができる。
【0051】
電荷輸送物質としては、たとえば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0052】
電荷輸送層中の電荷輸送物質の割合は、電荷輸送層全質量に対して20〜80質量%であることが好ましく、特には30〜70質量%であることがより好ましい。したがって、電荷輸送層用塗布液には、電荷輸送層形成後の電荷輸送物質の割合が上記範囲になるように電荷輸送物質を含有させることが好ましい。
【0053】
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、たとえば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0054】
電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、5:1〜1:5(質量比)の範囲が好ましい。
【0055】
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、たとえば、モノクロロベンゼン、ジオキサン、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メチラールなどが挙げられる。
【0056】
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0057】
感光層上には、これを保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる保護層用塗布液を塗布し、これを、加熱および/または放射線の照射などにより、乾燥および/または硬化させることによって形成することができる。
【0058】
また、電子写真感光体の表面層には、潤滑剤を含有させてもよい。潤滑剤としては、たとえば、ケイ素原子やフッ素原子を含むポリマー、モノマーおよびオリゴマーなどが挙げられる。具体的には、N−(n−プロピル)−N−(β−アクリロキシエチル)−パーフルオロオクチルスルホン酸アミド、N−(n−プロピル)−(β−メタクリロキシエチル)−パーフルオロオクチルスルホン酸アミド、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロカプリル酸、N−n−プロピル−n−パーフルオロオクタンスルホン酸アミド−エタノール、3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、N−n−プロピル−N−2,3−ジヒドロキシプロピルパーフルオロオクチルスルホンアミドなどが挙げられる。また、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素原子含有樹脂の粒子なども挙げられる。これらは単独または混合して1種または2種以上用いることができる。また、潤滑剤の数平均分子量は、3000〜5000000であることが好ましく、特には10000〜3000000であることが好ましい。潤滑剤が粒子である場合、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、特には0.05〜2.0μmであることが好ましい。
【0059】
また、電子写真感光体の表面層には、抵抗調整剤を含有させてもよい。抵抗調整剤としては、たとえば、SnO、ITO、カーボンブラック、銀粒子などが挙げられる。また、これらに疎水化処理を施したものを用いてもよい。抵抗調整剤を添加した場合の表面層の抵抗は10〜1014Ω・cmであることが好ましい。
【0060】
なお、保護層を設ける場合は、保護層が電子写真感光体の表面層であり、保護層を設けない場合であって感光層が順層型感光層の場合は、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層であり、保護層を設けない場合であって逆層型感光層の場合は、電荷発生層が電子写真感光体の表面層である。
【0061】
図13に、本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【0062】
図13において、101は円筒状の電子写真感光体であり、軸102を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0063】
回転駆動される電子写真感光体101の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)103により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)104を受ける。こうして電子写真感光体101の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0064】
電子写真感光体101の表面に形成された静電潜像は、現像手段105の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体101の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)106からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段106との間(当接部)に電子写真感光体101の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
【0065】
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体101の表面から分離されて定着手段108へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0066】
トナー像転写後の電子写真感光体101の表面は、クリーニング手段(クリーニングプレードなど) 107によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図13に示すように、帯電手段103が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0067】
上述の電子写真感光体101、帯電手段103、現像手段105、転写手段106およびクリーニング手段107などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図13では、電子写真感光体101と、帯電手段103、現像手段105およびクリーニング手段107とを一体に支持してカートリッジ化して,電子写真装置本体のレールなどの案内手段110を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ109としている。
【実施例】
【0068】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、以下の実施例および比較例は、いずれも計9本の電子写真感光体を作製した例である。
【0069】
(実施例1)
直径30mm、長さ254mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
【0070】
次に、酸化スズコート処理酸化チタン10部、酸化チタン10部、フェノール樹脂10部、シリコーンオイル0.001部、メタノール15部およびメチルセロソルブ15部をサンドミル装置で3時間分散処理して、導電層用塗布液を調製した。
【0071】
この導電層用塗布液を支持体に浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥・硬化させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。なお、この浸漬塗布は、図4に示す構成を有し、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用い、9本同時に行った。
【0072】
次に、ポリアミド樹脂(商品名:M−4000、東レ(株)製)10部を、メタノール100部/イソプロパノール90部の混合溶剤に溶解させることによって、8mPa・sの粘度を有する中間層用塗布液を調製した。
【0073】
この中間層用塗布液を、導電層と同様の塗布装置を用いて導電層上に浸漬塗布し、これを10分間90℃で乾燥させることによって、膜厚が0.6μmの中間層を形成した。
【0074】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.1°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)9部およびポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)3部をテトラヒドロフラン100部に溶解させることによって得られた液を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で3時間分散処理した。これに200部の酢酸ブチルを加えて希釈した後、回収して、1mPa・sの粘度を有する電荷発生層用塗布液を調製した。
【0075】
この電荷発生層用塗布液を、導電層と同様の塗布装置を用いて中間層上に浸漬塗布し、これを15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0076】
次に、下記構造式で示されるスチリル化合物(電荷輸送物質)10部、
【0077】
【化1】

【0078】
および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−400、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン120部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0079】
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを60分間120℃で乾燥させることによって、電荷輸送層を形成した。なお、この浸漬塗布は、図5に示す構成を有し、1個のフードに開口部が1個ずつ設けられており、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用い、9本同時に行った。また、被塗布体(支持体上に導電層、中間層、電荷発生層をこの順に形成してなる物)を電荷輸送層用塗布液に浸漬した後に引き上げ、表面に該塗布液の塗膜が形成された被塗布体の下端部がフードの上端部より高い位置に達するまで吸引機の吸引によって各開口部から気体を流出させ続けた。また、フード内空間から吸引されていく気体の量(吸引量)は各バルブによって調整した。
【0080】
・測定および評価
このようにして作製した9本の電子写真感光体について、電荷輸送層の膜厚を断面の顕微鏡観察によって測定した。測定箇所は塗り始め(塗膜上端)から、20mm、115mm、230mmの各位置において、円周方向90°間隔で4点ずつ、合計12点を測定し、12点の平均を平均膜厚とした。また、20mm、115mm、230mmの位置それぞれにおいて周方向4点から平均値を算出し、これらの最大値と最小値の差を軸方向ムラとした。また、円周方向4箇所それぞれにおいて軸方向3点から平均値を算出し、これらの最大値と最小値の差を周方向ムラとした。
【0081】
得られた結果を表1に示す。なお、各被塗布体の配列位置は、図14に示すようにA〜Iで表す。
【0082】
【表1】

【0083】
(比較例1)
実施例1において、導電層と同じ塗布装置を用いて電荷輸送層を塗布する以外は、実施例1と同様にして9本の電子写真感光体を作製し、測定および評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
(比較例2)
実施例1において、図3に示す構成を有し、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用いて電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして9本の電子写真感光体を作製し、測定および評価を行った。得られた結果を表3に示す。
【0086】
【表3】

【0087】
(実施例2)
実施例1において、図5に示す構成を有し、かつ1個のフードに開口部が2個ずつ、180°対向する位置に設けられており、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用いて電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして9本の電子写真感光体を作製し、測定および評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
(実施例3)
実施例1において、図6に示す構成を有し、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用いて電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして9本の電子写真感光体を作製し、測定および評価を行った。ここで開口部は、図8に示すように、均等に12箇所で貫通口を囲む配列とした。得られた結果を表5に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
(実施例4)
実施例1において、図12に示す構成を有し、かつ3列×3列(計9本分)の被塗布体の配列を有する塗布装置を用いて電荷輸送層を形成した以外は、実施例1と同様にして9本の電子写真感光体を作製し、測定および評価を行った。ここで開口部は、図11に示すように、均等に12箇所で貫通口を囲む配列とした。また、開口部と貫通口との間には、貫通口を囲むリング形状の突起部を設けた。得られた結果を表6に示す。
【0092】
【表6】

【0093】
以上から、本発明の塗布装置を用いた場合(実施例1〜4)は、膜厚ムラの少ない塗膜を得られていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】従来の塗布装置(浸漬塗布装置)の例を示す図である。
【図2】貫通口が設けられている覆い蓋、フードおよび被塗布体を上から見た位置関係を表す図である。
【図3】フードの下部に溶剤の蒸気を排出するための隙間を設けた構成の塗布装置の図である。
【図4】外部との通気性があるメッシュ状のフードを被塗布体の周囲に配した構成の塗布装置の図である。
【図5】本発明の塗布装置の一例を示す図である。
【図6】本発明の塗布装置の別の例を示す図である。
【図7】覆い蓋の上面に開口部を複数設けた場合の開口部の配列例を示す図である。
【図8】覆い蓋の上面に開口部を複数設けた場合の開口部の配列例を示す図である。
【図9】覆い蓋の上面に開口部を複数設けた場合の開口部の配列例を示す図である。
【図10】フード内空間から吸引されていく気体の量(吸引量)の調整方法の一例を説明するための図である。
【図11】開口部と貫通口との間に貫通口を取り囲むようにリング形状の突起部が設けられている例を示す図である。
【図12】貫通口を取り囲むように開口部が配置され、開口部と貫通口との間にリング形状の突起部が設けられている例を示す図である。
【図13】本発明の製造方法で製造された電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【図14】各被塗布体の配列位置を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 被塗布体
1−1 被塗布体
1−2 被塗布体
1−3 被塗布体
2 回収タンク
3 液送手段
4 フィルター
5 フード
5−1 フード
5−2 フード
5−3 フード
6 オーバーフロー面
7 覆い蓋
8 貫通口
8−1 貫通口
8−2 貫通口
8−3 貫通口
9 塗布槽
9−1 塗布槽
9−2 塗布槽
9−3 塗布槽
10 オーバーフロー槽
11 隙間
12−1 開口部
12−2 開口部
12−3 開口部
13−1 バルブ
13−2 バルブ
13−3 バルブ
14−1 開口部
14−2 開口部
14−3 開口部
15 配管
16 ネジ(開口部の蓋)
17 突起部
20 塗布液
101 電子写真感光体
102 軸
103 帯電手段
104 露光光
105 現像手段
106 転写手段
107 クリーニング手段
108 定着手段
109 プロセスカートツツジ
110 案内手段
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被塗布体を塗布槽中の塗布液に浸漬した後に引き上げて該複数の被塗布体のそれぞれの表面に塗膜を形成するための塗布装置において、
該塗布装置は、該複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の塗布槽と、該複数の塗布槽を上から覆うための覆い蓋とを備えており、
該覆い蓋には、該複数の被塗布体のそれぞれに対応する複数の貫通口が設けられており、
該塗布装置は、さらに、該複数の貫通口のそれぞれの上方に配された複数のフードと、該フードと該覆い蓋の上面とに囲まれるフード内空間の気体を吸引するための吸引機とを備えており、
該フード内空間から吸引されていく気体の量が、フード内空間ごとに個別に調整可能である
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記覆い蓋の上面には、前記フード内空間の気体が流出するための開口部が設けられており、
前記覆い蓋の内部には、前記フード内空間から流出した気体が流通可能な流通路が備わっており、
前記フード内空間の気体は、該開口部および該流通路を経由して前記吸引機に吸引される
請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記開口部が、前記フード内空間1つあたりに複数設けられており、
前記フード内空間から流出する気体の量が、該複数設けられている開口部ごとに個別に調整可能である
請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記複数設けられている開口部が、前記覆い蓋の上面に前記貫通口を取り囲むように配置されている請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記覆い蓋の上面で、かつ、前記貫通口と前記複数設けられている開口部との間に、前記貫通口を取り囲むようにリング形状の突起部が設けられている請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記貫通口の穴径が前記塗布槽の内径より小さい請求項1〜5のいずれかに記載の塗布装置。
【請求項7】
複数の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法において、
該製造方法は、複数の被塗布体を塗布槽中の塗布液に浸漬した後に引き上げて該複数の被塗布体のそれぞれの表面に塗膜を形成する塗布工程を有し、
該塗布工程は、請求項1〜6のいずれかに記載の塗布装置を用いて行われる
ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−75828(P2010−75828A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246336(P2008−246336)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】