説明

塗布装置

【課題】部材から突出するねじ部品の周囲の規定範囲内のみに被覆材を塗布することが簡単かつ容易にできる塗布装置を提供する。
【解決手段】板材10から突出するねじ部品11,12に同軸をなして着脱可能にはめ込まれてねじ部品11,12を中心にして回転可能となる位置決め回転穴111aを有する位置決め回転軸111と、位置決め回転軸111の回転に伴って位置決め回転軸111を中心とした円周運動を生じるように位置決め回転軸111に設けられたアーム112と、アーム112に設けられて植毛部113b,116bを板材10に接触させると共に植毛部113b,116bからシール材を送出するブラシ113,116とを備えて塗布装置100を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機の主翼の表面は、ボルト及びナット等のねじ部品で固定されている。上記ねじ部品は、主翼の内側に設けられている燃料タンクに延在している。このため、航空機の主翼の表面から突出する上記ねじ部品及びその周囲の規定範囲内のみをシール材で覆うことにより、余計な重量の増加を抑えつつ燃料漏れの防止や落雷からの保護等を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−120188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したようなシール材は、作業者が刷毛等により手作業で塗布して設けられていることから、前記ねじ部品の周囲の規定範囲内のみに設けることが難しいばかりか、多数(数千)の前記ねじ部品に対して設けなければならないため、非常に手間がかかってしまっていた。
【0005】
このような問題は、上述したような航空機の主翼の表面から突出する前記ねじ部品の周囲にシール材を塗布する場合に限らず、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を塗布する場合であれば、上述した場合と同様にして生じ得ることである。
【0006】
このようなことから、本発明は、部材から突出するねじ部品の周囲の規定範囲内のみに被覆材を塗布することが簡単かつ容易にできる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係る塗布装置は、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を塗布する塗布装置であって、前記部材から突出する前記ねじ部品に同軸をなして着脱可能にはめ込まれて当該ねじ部品を中心にして回転可能となる位置決め回転穴を有する位置決め回転手段と、前記位置決め回転手段の回転に伴って当該位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じるように当該位置決め回転手段に設けられた円周運動発生手段と、前記円周運動発生手段の円周運動に伴って前記位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じるように当該円周運動発生手段に設けられて先端を前記部材に接触させると共に当該先端から前記被覆材を送出する第一の被覆材送出手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
第二番目の発明に係る塗布装置は、第一番目の発明において、先端を前記部材に接触させるように前記位置決め回転手段の前記部材に最も接近する端部に設けられて当該先端から前記被覆材を送出する第二の被覆材送出手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
第三番目の発明に係る塗布装置は、第一番目又は第二番目の発明において、先端を前記ねじ部品に接触させるように前記位置決め回転手段の前記位置決め回転穴の内側に設けられて当該先端から前記被覆材を送出する第三の被覆材送出手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第四番目の発明に係る塗布装置は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記第一の被覆材送出手段の先端側を前記部材に対して押し付けるように付勢する第一の付勢手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
第五番目の発明に係る塗布装置は、第二番目の発明において、前記第二の被覆材送出手段の先端側を前記部材に対して押し付けるように付勢する第二の付勢手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第六番目の発明に係る塗布装置は、第三番目の発明において、前記第三の被覆材送出手段の先端側を前記ねじ部品に対して押し付けるように付勢する第三の付勢手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る塗布装置によれば、位置決め回転手段の位置決め回転穴をねじ部品にはめ込んで、位置決め回転手段を回転させることにより、位置決め回転手段の回転に伴って、円周運動発生手段が位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じ、この円周運動発生手段の円周運動に伴って、第一の被覆材送出手段が位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じて、部材に接触する先端から被覆材を送出することから、ねじ部品を中心とした周囲の部材上に被覆材が円状で塗布されるので、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を規定の範囲で均一に塗布することが簡単かつ容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る塗布装置の第一番目の実施形態の概略構成図である。
【図2】本発明に係る塗布装置の第二番目の実施形態の概略構成図である。
【図3】図2の III−III 線断面矢線視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る塗布装置の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る塗布装置の第一番目の実施形態を図1に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、航空機の主翼を構成する部材である板材10は、表面において、ねじ部品を構成するボルト12のねじ部が突出し、ねじ部品を構成するナット11が当該ボルト12のねじ部に螺合して固定されている。
【0018】
図1に示すように、円柱型をなす位置決め回転軸111の先端側(図1中、下側)には、前記ナット11に対して周方向に摺動回転できるように当該ナット11に同軸をなして着脱可能にはめ込まれる位置決め回転穴111aが形成されている。前記位置決め回転軸111の基端側(図1中、上側)には、円柱型の握り部111bが同軸をなして設けられている。
【0019】
前記位置決め回転軸111の軸方向中程には、平板型のアーム112の長手方向中程が当該位置決め回転軸111の軸方向と直交する方向へ長手方向を向けるようにして嵌合しており、当該アーム112は、当該位置決め回転軸111の回転に伴って、当該位置決め回転軸111を中心とした円周運動を生じるように一体的に回転することができるようになっている。
【0020】
前記アーム112の一方端側(図1中、右側)の前記位置決め回転軸111寄りには、先端側(図1中、下側)に植毛部113bを有するブラシ113の本体軸113aの中程が当該本体軸113aの軸方向に沿って摺動移動できるように上記植毛部113bを下方に向けて当該アーム112に対して貫通支持されている。
【0021】
前記アーム112の一方端側の上面の前記位置決め回転軸111寄りには、前記ブラシ113の前記本体軸113aの基端側(図1中、上側)を覆う円筒型のケース114が取り付けられている。前記ケース114の天井面と前記ブラシ113の前記本体軸113aの基端面との間には、圧縮コイルばね115が介在しており、当該圧縮コイルばね115は、前記ブラシ113の植毛部113bを先端側(図1中、下方側)へ向けて付勢することができるようになっている。
【0022】
前記アーム112の他方端側(図1中、左側)の端部寄りには、先端側(図1中、下側)に植毛部116bを有するブラシ116の本体軸116aの中程が当該本体軸116aの軸方向に沿って摺動移動できるように上記植毛部116bを下方に向けて当該アーム112に対して貫通支持されている。
【0023】
前記アーム112の他方端側の上面の端部寄りには、前記ブラシ116の前記本体軸116aの基端側(図1中、上側)を覆う円筒型のケース117が取り付けられている。前記ケース117の天井面と前記ブラシ116の前記本体軸116aの基端面との間には、圧縮コイルばね118が介在しており、当該圧縮コイルばね118は、前記ブラシ116の植毛部116bを先端側(図1中、下方側)へ向けて付勢することができるようになっている。
【0024】
なお、本実施形態においては、前記位置決め回転軸111等により位置決め回転手段を構成し、前記アーム112等により円周運動発生手段を構成し、前記ブラシ113,116等により第一の被覆材送出手段を構成し、前記ケース114,117、前記圧縮コイルばね115,118等により第一の付勢手段を構成している。
【0025】
このような本実施形態に係る塗布装置100においては、前記ブラシ113,116の前記植毛部113b,116bに被覆材であるシール材を付着させて、前記位置決め回転軸111の前記位置決め回転穴111aを前記ナット11に差し込んで当該位置決め回転軸111を当該ナット11に対して同軸上に位置決め保持すると、上記ブラシ113,116の上記植毛部113b,116bが前記圧縮コイルばね115,118の付勢力によって前記板材10に所定の圧力で押し付けられる。
【0026】
続いて、前記位置決め回転軸111の前記握り部111bを把持して前記ナット11を中心にして当該位置決め回転軸111を回転させると、当該位置決め回転軸111の回転に伴って、前記アーム112が当該位置決め回転軸111を中心とした円周運動を生じるように回転し、当該アーム112の当該円周運動に伴って、前記ブラシ113,116が上記位置決め回転軸111を中心とした円周運動(公転移動)を生じることにより、当該ブラシ113,116の前記植毛部113b,116bに付着しているシール材が上記ナット11を中心とした周囲の前記板材10上に円状で塗布される。
【0027】
このようにして前記板材10上の前記ナット11を中心とした周囲に前記シール材を塗布したら、当該ナット11から前記位置決め回転軸111を取り外し、上記板材10から突出する当該ナット11及び前記ボルト12にシール材を刷毛等で塗布する。
【0028】
これにより、前記板材10から突出する前記ナット11及び前記ボルト12並びにその周囲にシール材が規定の範囲で均一に設けられる。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、前記板材10から突出する前記ナット11及び前記ボルト12の周囲にシール材を規定の範囲で均一に塗布することが簡単かつ容易にできる。
【0030】
[第二番目の実施形態]
本発明に係る塗布装置の第二番目の実施形態を図2,3に基づいて説明する。なお、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0031】
図2,3に示すように、一方側(図2中、下方側)の端部を開放すると共に他方側(図2中、上方側)の端部に天板211aを有する円筒状をなす本体ケース211の内部には、一方側(図2中、下方側)の端部を開放すると共に他方側(図2中、上方側)の端部に天板212aを有する内歯歯車212が当該本体ケース211の周壁211bに対して当該本体ケース211の周方向に回転することなく軸方向に沿ってのみ摺動移動できるように外周を保持されている。
【0032】
前記内歯歯車212の前記天板212a上には、駆動モータ213が取り付けられている。前記駆動モータ213の回転軸214は、前記内歯歯車212の同軸上に位置するように前記天板212aを回転可能に貫通している。前記本体ケース211の前記天板211aの軸心部分には、前記駆動モータ213の作動のための操作用の穴211cが形成されている。
【0033】
前記回転軸214の先端側(図2中、下側)には、一方側(図2中、下方側)の端部を開放すると共に他方側(図2中、上方側)の端部に天板215aを有して前記ナット11のフランジの外径と略同一の内径の円筒状をなすことにより当該ナット11に対して着脱可能にはめ込まれる位置決め回転筒215の上記天板215aが同軸をなして連結されている。
【0034】
前記位置決め回転筒215の周壁215bの一方側(図2中、下方側)の端面、すなわち、前記板材10に最も接近する端部には、植毛部216aが周方向全長にわたって設けられている。前記位置決め回転筒215の内側(位置決め回転穴)の前記周壁215bには、植毛部216bが周方向全長にわたって設けられている。前記位置決め回転筒215の内側(位置決め回転穴)の前記天板215aには、植毛部216cが全面にわたって設けられている。
【0035】
つまり、前記位置決め回転筒215を前記ナット11に差し込むと、当該位置決め回転筒215は、前記植毛部216bが上記ナット11に接触することにより、当該ナット11に対して同軸をなすように位置決めされると共に、前記植毛部216aが板材10上に接触すると共に前記植毛部216cが前記ボルト12に接触し、前記駆動モータ213を作動さて前記回転軸214を回転させることにより、上記植毛部216a〜216cを上記板材10、上記ナット11、上記ボルト12に接触させながら当該ナット11の軸心を中心にして回転することができるようになっているのである。
【0036】
前記回転軸214には、当該回転軸214と同軸をなす太陽歯車217が前記内歯歯車212の内側に位置するようにして取り付けられている。この太陽歯車217には、前記内歯歯車212と噛み合う複数(本実施形態では3つ)の遊星歯車218がそれぞれ噛み合っている。これら遊星歯車218には、先端側(図2中、下側)に植毛部219bを有するブラシ219の本体軸219aの基端側(図2中、上側)が当該遊星歯車218と同軸をなしてそれぞれ取り付けられている。
【0037】
つまり、前記駆動モータ213を作動させて前記回転軸214を回転させると、前記太陽歯車217が回転し、当該太陽歯車217の回転に伴って、前記遊星歯車218が回転しながら当該太陽歯車217を中心にして前記内歯歯車212に沿って公転する、すなわち、上記回転軸214を中心とした円周運動を生じることにより、前記ブラシ219の前記植毛部219bが上記回転軸214を中心とした円周運動を生じる、すなわち、前記板材10上の前記ナット11の周囲を公転移動するようになっているのである。
【0038】
前記本体ケース211の前記天板211aと前記内歯歯車212の前記天板212aとの間には、複数の圧縮コイルばね220が介在しており、これら圧縮コイルばね220は、前記歯車212,217,218並びに前記駆動モータ213及び前記回転軸214等を介して、前記ブラシ219の植毛部219a及び前記位置決め回転筒215の前記植毛部216aを前記板材10に対して押し付けるように付勢することができると共に、当該位置決め回転筒215の前記植毛部216cを前記ナット11及び前記ボルト12に対して押し付けるように付勢することができるようになっている。
【0039】
なお、本実施形態においては、前記駆動モータ213、前記回転軸214、前記位置決め回転筒215等により位置決め回転手段を構成し、前記内歯歯車212、前記太陽歯車217、前記遊星歯車218等により円周運動発生手段を構成し、前記ブラシ219等により第一の被覆材送出手段を構成し、前記植毛部216a等により第二の被覆材送出手段を構成し、前記植毛部216b,216c等により第三の被覆材送出手段を構成し、前記本体ケース211、前記圧縮コイルばね220等により第一の付勢手段と第二の付勢手段と第三の付勢手段とを兼ねるように構成している。
【0040】
このような本実施形態に係る塗布装置200においては、前記ブラシ219の前記植毛部219b及び前記位置決め回転筒215の前記植毛部216a〜216cに被覆材であるシール材を付着させて、上記位置決め回転筒215を前記ナット11に差し込むと、当該位置決め回転筒215が当該ナット11に対して前記植毛部216bを介して同軸上に位置決め保持されると共に、前記圧縮コイルばね220の付勢力によって、上記ブラシ219の上記植毛部219b及び上記位置決め回転筒215の上記植毛部216aが前記板材10に所定の圧力で押し付けられ、上記位置決め回転筒215の上記植毛部216cが上記ナット11及び前記ボルト12に所定の圧力で押し付けられる。
【0041】
続いて、前記駆動モータ213を作動させて前記回転軸214を回転させると、前記位置決め回転筒215及び前記太陽歯車217が回転し、前記植毛部216a〜216cが前記板材10、前記ナット11、前記ボルト12にそれぞれ接触しながら前記ナット11を中心にして回転することにより、当該植毛部216aに付着しているシール材が上記板材10上の当該ナット11のフランジ脇に当該ナット11を中心とした円状で塗布され、当該植毛部216b,216cに付着しているシール材が上記ナット11及び上記ボルト12の上記板材10から突出する部分全体にわたって塗布されると共に、前記太陽歯車217の回転に伴って、前記遊星歯車218が回転しながら当該太陽歯車217を中心にして前記内歯歯車212に沿って公転することにより、前記ブラシ219の前記植毛部219bに付着しているシール材が、前記板材10上の前記植毛部216aで塗布されたシール材の外側の周囲に上記ナット11を中心とした円状で塗布される。
【0042】
このようにして前記板材10上に突出する前記ナット11及び前記ボルト12並びに当該板材10上の当該ナット11の周囲に前記シール材を塗布したら、前記駆動モータ213の作動を停止して、上記ナット11から前記位置決め回転筒215を取り外すように塗布装置200を上記板材10上から退去させる。
【0043】
これにより、前記板材10上の前記ナット11を中心とした周囲にシール材が規定の範囲内に均一に設けられる。
【0044】
つまり、前述した第一番目の実施形態においては、前記位置決め回転軸111の前記位置決め回転穴111aを前記ナット11に差し込んで、当該位置決め回転軸111の前記握り部111bを把持して手動で回転させることにより、当該ナット11を中心とした周囲の前記板材10上に円状でシール材を塗布した後、当該ナット11から前記位置決め回転軸111を取り外して、当該ナット11及び前記ボルト12にシール材を刷毛等で別途塗布するようにしたが、本実施形態においては、前記位置決め回転筒215を前記ナット11に差し込んで、前記駆動モータ213を作動させて前記回転軸214を電動で回転させることにより、当該ナット11を中心とした周囲の前記板材10上に円状でシール材を塗布すると同時に、当該ナット11及び前記ボルト12にもシール材を塗布できるようにしたのである。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、前述した第一番目の実施形態の場合よりも、前記板材10上の前記ナット11を中心とした周囲にシール材を規定の範囲内に均一に塗布することがさらに簡単かつ容易にできる。
【0046】
[他の実施形態]
なお、前述した第一番目の実施形態においては、位置決め回転軸111にアーム112の長手方向中程を嵌合し、当該アーム112の両端側にブラシ113,116をそれぞれ設けるようにしたが、ブラシの数やアームの形状等は特に限定されず、例えば、他の実施形態として、位置決め回転軸111にアームの一方端側を取り付け、当該アームの他方端側にブラシを一本のみ設けるようにすることや、十字型をなすアームの中心部を位置決め回転軸111に嵌合し、当該アームの4つの先端側にブラシをそれぞれ設けるようにすることも可能である。
【0047】
また、前述した第二番目の実施形態においては、ブラシ219を取り付けた遊星歯車218を3つ用いるようにしたが、ブラシや遊星歯車の数等は特に限定されず、例えば、他の実施形態として、ブラシ219を取り付けた遊星歯車218を1つだけ用いることや、ブラシ219を取り付けた遊星歯車218を2つ又は4つ以上用いることも可能である。
【0048】
また、前述した第一,二番目の実施形態においては、航空機の主翼を構成する板材10の表面から突出するナット11及びボルト12の周囲にシール材を塗布する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を塗布する場合であれば、前述した第一,二番目の実施形態の場合と同様にして適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る塗布装置は、部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を規定の範囲で均一に塗布することが簡単かつ容易にできるので、航空機製造業を始めとする各種製造業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 板材
11 ナット
12 ボルト
100 塗布装置
111 位置決め回転軸
111a 位置決め回転穴
111b 握り部
112 アーム
113,116 ブラシ
113a,116a 本体軸
113b,116b 植毛部
114,117 ケース
115,118 圧縮コイルばね
200 塗布装置
211 本体ケース
211a 天板
211b 周壁
211c 穴
212 内歯歯車
212a 天板
213 駆動モータ
214 回転軸
215 位置決め回転筒
215a 天板
215b 周壁
216a〜216c 植毛部
217 太陽歯車
218 遊星歯車
219 ブラシ
219a 本体軸
219b 植毛部
220 圧縮コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材から突出するねじ部品の周囲に被覆材を塗布する塗布装置であって、
前記部材から突出する前記ねじ部品に同軸をなして着脱可能にはめ込まれて当該ねじ部品を中心にして回転可能となる位置決め回転穴を有する位置決め回転手段と、
前記位置決め回転手段の回転に伴って当該位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じるように当該位置決め回転手段に設けられた円周運動発生手段と、
前記円周運動発生手段の円周運動に伴って前記位置決め回転手段を中心とした円周運動を生じるように当該円周運動発生手段に設けられて先端を前記部材に接触させると共に当該先端から前記被覆材を送出する第一の被覆材送出手段と
を備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、
先端を前記部材に接触させるように前記位置決め回転手段の前記部材に最も接近する端部に設けられて当該先端から前記被覆材を送出する第二の被覆材送出手段を備えている
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の塗布装置において、
先端を前記ねじ部品に接触させるように前記位置決め回転手段の前記位置決め回転穴の内側に設けられて当該先端から前記被覆材を送出する第三の被覆材送出手段を備えている
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の塗布装置において、
前記第一の被覆材送出手段の先端側を前記部材に対して押し付けるように付勢する第一の付勢手段を備えている
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項2に記載の塗布装置において、
前記第二の被覆材送出手段の先端側を前記部材に対して押し付けるように付勢する第二の付勢手段を備えている
ことを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項3に記載の塗布装置において、
前記第三の被覆材送出手段の先端側を前記ねじ部品に対して押し付けるように付勢する第三の付勢手段を備えている
ことを特徴とする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210564(P2012−210564A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77050(P2011−77050)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】