説明

塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品

【課題】 耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性、塗装作業性に優れ、中でも特に耐洗車傷性に優れた塗膜が得られる塗料組成物、塗装仕上げ方法、及び塗装物品を提供する。
【解決手段】 (A)(a)ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物、(b)ラクトン化合物、及び(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を、さらに、必要に応じて(d)その他のラジカル重合性単量体とを、付加反応及び重合して得られる、樹脂水酸基価が180〜400mgKOH/gであり、重量平均分子量が2,000〜30,000である水酸基含有樹脂であって、(b)成分のラクトン化合物に基づく構成単位の含有量が樹脂固形分中20〜60質量%の範囲である水酸基含有樹脂と、(B)水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも1つ以上含有する架橋剤を必須成分とする塗料組成物にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な塗料組成物、塗装仕上げ方法及び塗装物品に関する。さらに詳しく言えば、塗装作業性に優れ、耐酸性雨性、耐汚染性、耐水性、耐候性に優れた塗膜が得られ、中でも自動車塗装分野において、特に耐洗車傷性に優れた塗膜が得られる塗料組成物、塗装仕上げ方法、及び塗装物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車塗装分野においては、水酸基含有アクリル樹脂と、水酸基と反応する官能基を有する架橋剤からなる塗料組成物が多く使用されている。これらの塗料組成物に使用される、水酸基含有アクリル樹脂は、従来、水酸基を有するラジカル重合性単量体とその他のラジカル重合性単量体の共重合体が主に用いられているが、近年、自動車塗装分野においては、塗料、特に上塗り塗料に、耐酸性雨性、耐洗車傷性が要求され、そのため、水酸基価の高い樹脂が必要となってきている。
【0003】
例えば、炭素数が6〜8の2,2−ジメチロールアルカン酸とアルカン酸モノグリシジルエステルとをエステル付加反応させてなる水酸基含有樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この水酸基含有樹脂は、低溶剤化、無溶剤化を目的としているために分子量が小さく、この樹脂を基体樹脂として自動車用塗料に用いた場合、充分な耐久性能を得ることができず、特に耐酸性雨性、耐洗車傷性が十分ではないという欠点があった。
【0004】
また、カルボキシル基含有化合物とエポキシ基含有化合物との生成物であって、かつ、重量平均分子量が1,000以下で、水酸基価が200〜800である水酸基含有化合物と、ポリイソシアネート化合物及びメラミン樹脂とを含有することを特徴とする高固形分塗料組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、重量平均分子量が1,000以下の樹脂の場合、自動車用塗料として通常用いられるベースコート塗料と上塗り塗料とのウェットオンウェット塗装方法では、上下2層のセパレート性が充分に得られず、界面で塗料が混ざり合う状態になって良好な塗膜外観が得られないという欠点があった。特に、最近要求される高いレベルの耐洗車傷性には十分ではなかった。
【0005】
また、一般的に、樹脂の水酸基価を高くすると、樹脂の極性が上がり、低極性溶剤との相溶性が低下し、希釈溶剤として高極性な溶剤が必要となり、この場合にも、ベースコートとのセパレート性が低下してしまう欠点があった。そして、樹脂の極性が高いため、架橋剤との相溶性が低下し、外観不良を引き起こしてしまい、使用できる架橋剤が限られることになり、外観性と諸性能の両立が困難であった。さらに、これらの問題を満足させるために、樹脂の水酸基価を低く設計した場合には、耐酸性、耐洗車傷性、耐溶剤性などの性能を十分に満足することが困難であるという欠点があった。特に、最近要求される高いレベルの耐洗車傷性には十分ではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−055313号公報
【特許文献2】特開2002−348529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗装作業性に優れ、外観性、特に、ベースコートとのウェットオンウェット塗装での外観性、耐酸性雨性、耐溶剤性、耐水性、耐候性に優れ、特に、耐洗車傷性に優れた塗膜を得ることができる、水酸基価を含有する樹脂を用いた塗料組成物、塗装仕上げ方法、及び塗装物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物、ラクトン化合物、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と、必要に応じて、さらにその他のラジカル重合性単量体とを、付加反応及び重合反応させることにより得られる水酸基含有樹脂と、水酸基と反応する官能基を有する架橋剤を必須成分とする塗料組成物により、その目的を達成し得ることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)(a)ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物、(b)ラクトン化合物、及び(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を、付加及び重合して得られる、樹脂水酸基価が180〜400mgKOH/gであり、重量平均分子量が2,000〜30,000である水酸基含有樹脂であって、(b)成分のラクトン化合物に基づく構成単位の含有量が樹脂固形分中20〜60質量%の範囲である水酸基含有樹脂と、(B)水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個以上含有する架橋剤を必須成分とすることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記塗料組成物において、水酸基含有樹脂が、(a)成分、(b)成分及び(c)成分に加えて、さらに、(d)その他のラジカル重合性単量体を、付加及び共重合して得られる水酸基含有樹脂である塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記塗料組成物において、(a)ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物が、2,2−ジメチロールブタン酸又は2,2−ジメチロールプロピオン酸である塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記塗料組成物において、(B)の架橋剤が、メラミン樹脂及び/又はイソシアネート化合物である塗料組成物を提供するものである。
さらに、本発明は、上記の塗料組成物を上塗り塗料として塗装することを特徴とする塗装仕上げ方法を提供し、また、上記塗装仕上げ方法により塗装された塗装物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塗料組成物は、塗装作業性に優れ、特に、ベースコートとのウェットオンウェット塗装での外観性、かつ、耐酸性雨性、耐溶剤性、耐水性、耐候性に優れ、特に、耐洗車傷性に優れた塗膜を与える。また、本発明の塗料組成物を用いた塗装仕上げ方法は、優れた外観性を与え、塗装物品は、前記塗膜性能に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の水酸基含有樹脂における(a)成分であるラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ピバル酸、バーサチック酸、安息香酸などのモノカルボン酸;ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グルコン酸などのオキシ酸などが挙げられるが、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸など、1個のカルボン酸と2個以上の水酸基、好ましくは2〜3個の水酸基、特に好ましくは2個の水酸基を含有する化合物が、架橋剤との相溶性に優れ、かつ、高い水酸基価を有しながら低極性な樹脂が得られるため好ましい。(a)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
この(a)成分のカルボキシル基含有化合物は、(c)成分である、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体との付加反応により、樹脂組成物に水酸基を与えるものである。この(a)成分のカルボキシル基含有化合物と(c)成分のエポキシ基との付加反応は、(c)成分の単量体の、又は必要に応じて、さらに(d)成分の単量体との重合よりも前でも、重合時でもよく、また、重合が完了した後でもよい。
(a)成分のカルボキシル基含有化合物の配合量は、(c)成分の量、および、樹脂の水酸基価に依存するが、(c)成分のエポキシ基に対して、モル比で1.2倍以下の範囲で用いられることが望ましい。(a)成分のカルボキシル基がエポキシ基に対し、モル比で1.2倍よりも多い場合、未反応のカルボキシル基が樹脂組成物中で析出する場合があり、好ましくない。(a)成分のカルボキシル基含有化合物の下限値は特に制限ないが、樹脂固形分中5質量%以上が好ましい。(a)成分のカルボキシル基含有化合物の過剰なカルボキシル基は、(c)成分のエポキシ基と反応ができないので、重合性二重結合を有しない(a)成分のカルボキシル基含有化合物が未反応のまま、本発明の塗料組成物に存在していてもよい。一方、(c)成分のエポキシ基が(a)成分のカルボキシル基含有化合物のカルボキシル基よりも過剰な場合、得られる水酸基含有樹脂は、エポキシ基を有していてもよい。
【0014】
また、本発明の水酸基含有樹脂における(c)成分である、エポキシ基を有するラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。(c)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(c)成分に基づく構成単位の含有量は、水酸基含有樹脂固形分の10〜60質量%の範囲であることが好ましく、15〜55質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0015】
硬化塗膜に優れた耐洗車傷性、耐汚染性、耐酸性雨性を得るためには、(A)の水酸基含有樹脂の水酸基価は、180〜400mgKOH/gの範囲で用いられるが、200〜350mgKOH/gの範囲用いられることが好ましい。水酸基価が180mgKOH/g未満の場合には、耐汚染性、耐酸性が低下するという欠点があり、400mgKOH/gを超える場合には、架橋剤との相溶性が低下し、外観が低下するという欠点がある。
【0016】
また、本発明に用いられる水酸基含有樹脂の重量平均分子量は2,000〜30,000であり、好ましくは、3,000〜15,000である。重量平均分子量が2,000未満の場合には、ベースコートと上塗りコートとのウエットオンウエット塗装において、上塗り塗膜とベースコートとの界面において混層が生じやすくなり、塗膜の外観が低下するという欠点があり、30,000を超える場合には、相溶性が低下し、塗膜の外観が低下するという欠点がある。
【0017】
本発明の水酸基含有樹脂においては、(c)成分と共に、(d)成分であるその他のラジカル重合性単量体を用いてもよい。(d)成分のその他のラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。(d)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
(d)成分に基づく構成単位の含有量は、水酸基含有樹脂固形分の0〜50質量%の範囲であることが好ましく、(d)成分が必須成分である場合は、1〜40質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、本発明における、水酸基含有塗料用樹脂組成物においては、(a)成分と(c)成分の反応により生じる水酸基と、(d)成分としての水酸基を有するラジカル重合性単量体による水酸基を併用することも可能であり、これら水酸基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アリルアルコール、アクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物、メタクリル酸とバーサチック酸グリシジルエステルの付加物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。水酸基を有するラジカル重合性単量体は、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0019】
なお、後述する(メタ)アクリル酸ヒドロキシ低級アルキルエステルのε−カプロラクトン付加物は、水酸基を含有しているが、ラクトン化合物の範疇に含まれるものであり、本発明の(d)成分の水酸基を有するラジカル重合性単量体の範疇には含まれないものである。
水酸基を有するラジカル重合性単量体に基づく構成単位の含有量は、水酸基含有樹脂固形分の0〜20質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の(b)成分として用いられるラクトン化合物は、開環付加反応による水酸基が、樹脂中に組み込まれる。このラクトンによる樹脂の変性によって、本発明の塗料用樹脂組成物を用いたクリヤー塗料組成物は、硬化した塗膜にゴム弾性を付与し、高度な耐洗車傷性を発現させる。
【0020】
該ラクトン化合物としては、例えば、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ノナノイックラクトン、δ−ドデカノラクトンなどが挙げられ、ε−カプロラクトンが特に好ましい。また、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシ低級アルキルエステルのε−カプロラクトン付加物を用いてもよい。これらのラクトン化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該ラクトン化合物は、ラクトン化合物に基づく構成単位の含有量が水酸基含有樹脂固形分中20〜60質量%の範囲になるように用いられることが好ましく、22〜55重量%の範囲になるように用いられることがより好ましく、25〜50質量%の範囲になるように用いられることが特に好ましい。該ラクトン化合物に基づく構成単位の含有量が、60質量%を超えた場合には、得られる硬化塗膜が軟質になりすぎて、耐汚染性、耐酸性雨性が劣り、20質量%未満の場合には、十分な耐洗車傷性が得られない。
【0021】
上記水酸基含有樹脂の製造方法は、(1)(a)成分のラジカル二重結合を有しない1個のカルボキシル基を有する化合物が水酸基を有する場合は、(a)成分の水酸基とラクトン化合物とを付加させた後に、その付加化合物の存在下に(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体、必要に応じて、さらに(d)その他のラジカル重合性単量体とを重合しても良いし、あるいは、(2)(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と、必要に応じて、さらに(d)その他のラジカル重合性単量体との重合体に(a)成分の化合物のカルボキシル基を付加させた後に、ラクトン化合物を付加しても良いし、又は(3)(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と、必要に応じて、さらに(d)その他のラジカル重合性単量体との重合体を製造し、次に(a)成分の化合物とラクトン化合物を付加させた後に、その付加化合物のカルボキシル基を重合体に付加、若しくは(a)成分の化合物とラクトン化合物の付加と、その付加化合物のカルボキシル基と重合体の付加を、同時付加しても良い。
【0022】
また、(a)成分が、水酸基を含有しない場合は、(4)(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体と、必要に応じて、さらに(d)その他のラジカル重合性単量体との重合体に(a)成分の化合物のカルボキシル基を付加させた後に、ラクトン化合物を付加しても良いし、又は(5)(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体に(a)成分の化合物のカルボキシル基を付加させた後に、ラクトン化合物、必要に応じて、さらに(d)その他のラジカル重合性単量体の付加及び重合を、同時に行っても良い。
【0023】
(c)成分及び必要に応じて、さらに(d)成分のラジカル重合をおこなう場合、ラジカル重合開始剤を配合してもよい。ラジカル重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルヒドロパーオキンド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、イソブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシソプロピルカーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
ラジカル重合開始剤の配合量は、特に制限ないが、ラジカル重合性単量体の全量に対して0.01〜20重量%にすることが好ましい。
これらのラジカル重合開始剤の系においては必要に応じてジメチルアニリン、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、酢酸第1鉄等の第1鉄塩、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット等の還元剤を組み合わせても差し支えないが、重合温度が低くなりすぎないように留意して選択する必要がある。
なお、必要に応じて、(a)成分のカルボキシル基と(c)成分のエポキシ基間の反応を促進する目的で、ルイス酸、三級アミン、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の公知の反応触媒も1種又は複数種組合せて用いることができる。
【0025】
本発明の(A)成分の水酸基含有樹脂の製造において用いられる有機溶剤は(a)成分のカルボキシル基、(b)成分又は(c)成分のエポキシ基と反応する官能基を有さないものが好ましい。
本発明の(A)成分の製造において用いられる有機溶剤の適当な例としては、例えばシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸3−メトキシブチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)等のエステル系溶剤、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等のエーテル系溶剤、アセトニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等の含窒素系溶剤が挙げられる。有機溶剤は1種単独であっても、あるいは2種以上の複数種類の混合溶剤であっても差し支えない。この際、水酸基含有樹脂の固形分濃度は樹脂の分散安定性を損なわない範囲において任意に選ぶことができるが、通常固形分濃度で10〜70質量%である。
【0026】
(A)成分の水酸基含有樹脂の製造に際して、有機溶剤及びラジカル重合開始剤の添加方法は任意であるが、重合熱、反応熱をコントロールする目的で、(a)成分あるいはその有機溶剤溶液を反応槽に仕込み撹拌しなから、滴下槽より(c)成分を含むラジカル重合性単量体あるいはその有機溶剤溶液を滴下する方法、又は(a)成分あるいはその有機溶剤溶液、(c)成分を含むラジカル重合性単量体あるいはその有機溶剤溶液の双方を滴下槽より滴下する方法が好ましい。なお、上記(c)成分を含むラジカル重合性単量体は、(c)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体のみでもよいし、(c)成分のエポキシ基を有するラジカル重合性単量体と(d)成分の他のラジカル重合性単量体との混合物でもよい。
【0027】
上記重合反応の重合温度はラジカル重合開始剤の種類、併用する還元剤の有無、カルボキシル基とエポキシ基の反応触媒の有無によって異なるが、50〜200℃の条件で行うことが好ましく、80〜160℃の条件で行うことがさらに好ましい。重合温度が50℃以下の場合には、(a)成分のカルボキシル基と(c)成分のエポキシ基の反応が十分に進行せず、ラジカル重合性単量体と水酸基含有樹脂とが相分離し易くなることがある。一方、200℃を越える場合には予期せぬ解重合等の副反応が起こることがある。
【0028】
本発明において、(B)成分の架橋剤は、水酸基と反応する官能基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有する架橋剤であり、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基などの官能基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するイソシアネート化合物、メラミン樹脂などが挙げられ、1種単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0029】
1分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート及びこれらのビュレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。
【0030】
ブロックイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートをアセト酢酸メチル、マロン酸ジメチル等の活性メチレン系、オキシム系等のブロック剤でブロックしたイソシアネート化合物を挙げることができる。
メラミン樹脂としては、アルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、メラミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化アミノ樹脂を1種又は2種以上の低級アルコールによってエーテル化したものも使用でき、エーテル化に用いられるアルコールの例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n− ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化メラミン樹脂や、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素原子数1〜4の1価アルコールでエーテル化してなるメラミン樹脂が好適である。
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えばユーバン20SE−60、ユーバン225(いずれも三井化学(株)製、商品名)、スーパーベッカミンG840、同G821(いずれも大日本インキ化学工業(株)製、商品名)などのブチルエーテル化メラミン樹脂、スミマールM−100、同M−40S、同M−55(いずれも住友化学(株)製、商品名)、サイメル303、同325、同350、同370(いずれも日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名)等のメチルエーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
本発明の塗料組成物における架橋剤の割合は、塗料の樹脂固形分中、20〜80質量%の範囲で用いられることが好ましく、30〜70質量%の範囲で用いられることが、より好ましい。架橋剤の割合が、20質量未満の場合、架橋密度が十分ではなく得られた塗膜の耐水性、耐汚染性に劣り、80質量%を超えた場合には、未反応の架橋剤が塗膜中に残存し、塗膜硬度が低下する。
【0031】
本発明の塗料組成物は、そのままで、あるいは必要に応じて、有機溶剤、各種添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、表面調整剤、硬化反応触媒、帯電防止剤、香料、脱水剤、さらにはポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、内部架橋型樹脂微粒子等のレオロジー調整剤などを1種又は2種以上添加して使用することができる。
本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料として用いてもよいし、染料、顔料などの着色剤を配合して着色塗料として用いてもよい。
【0032】
本発明の塗料組成物は、上塗り塗料組成物として使用することが好ましい。
本発明の上塗り塗料の塗装仕上げ方法は、例えば、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま上塗り塗料として本発明の塗料組成物を塗装する2コート1ベーク塗装仕上げ方法、基材上に着色ベースコートを塗装し、未架橋のまま中塗り塗料を塗装し、同時に焼き付けた後に、オーバーコート塗料として本発明の塗料組成物を塗装し焼き付けるオーバーコート塗装仕上げ方法、及び上記オーバーコート塗装仕上げ方法において、下地コートとの密着性確保のために、プライマー塗料を塗装し、未架橋のまま本発明の塗料組成物をオーバーコート塗料として塗装する塗装仕上げ方法等が挙げられる。
【0033】
前記着色ベースコート塗料、中塗り塗料、上塗り塗料、オーバーコート塗料、及びプライマー塗料は、必要に応じて加温したり、有機溶剤又は反応性希釈剤を添加することにより所望の粘度に調整した後、エアースプレー、静電エアースプレー、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機等の通常使用される塗装機、又は刷毛、バーコーター、アプリケーターなどを用いて塗装が行われる。これらのうちスプレー塗装が好ましい。
本発明の塗料組成物の塗布量は、乾燥膜厚が通常10〜100μmとなるようにすることが好ましい。本発明の塗料組成物を塗装して得られる塗膜は、通常焼付けることが好ましい。
【0034】
また、本発明の塗料組成物を塗装する基材としては、木、ガラス、金属、布、プラスチック、発泡体、弾性体、紙、セラミック、コンクリート、石膏ボード等の有機素材及び無機素材などが挙げられる。これらの基材は、予め表面処理されたものでもよいし、予め表面に塗膜が形成されたものでもよい。
これまで具体例を示したが、本発明の塗料組成物の塗装仕上げ方法は、これらにより何ら制限されるものではない。
【0035】
本発明の塗料組成物により得られる塗装物品としては、例えば、構造物、木製品、金属製品、プラスチック製品、ゴム製品、加工紙、セラミック製品、ガラス製品などが挙げられる。より具体的には、自動車、自動車用部品(例えば、ボディー、バンパー、スポイラー、ミラー、ホイール、内装材等の部品であって、各種材質のもの)、鋼板等の金属板、二輪車、二輪車用部品、道路用資材(例えば、ガードレール、交通標識、防音壁等)、トンネル用資材(例えば、側壁板等)、船舶、鉄道車両、航空機、家具、楽器、家電製品、建築材料、容器、事務用品、スポーツ用品、玩具などが挙げられる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、本発明のクリヤー塗料組成物により得られる塗膜の性能は次のようにして求めた。
(1)外観性
目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯が鮮明に映る。
△:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)がややぼやける。
×:塗膜に蛍光灯を映すと、蛍光灯の周囲(輪郭)が著しくぼやける。
(2)塗料の濁り
目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:濁りが観察されない。
△:僅かに濁りが観察される。
×:白濁している。
【0037】
(3)耐洗車傷性
耐擦り傷性:試験板上に泥水(JIS Z−8901−84 8種ダスト/水/中性洗剤=10/99/1重量比で混合したもの)をハケで塗布後、自動車用洗車機にて洗車ブラシを150rpmで10秒間回転させ、試験板を流水にて洗浄する。以上の操作を10回繰り返した後、試験板表面の擦り傷の程度を色彩色差計(CR−331 ミノルタカメラ(株)製)によりL*値を測定した。数値が低いほど良好である。
(4)耐酸性
耐酸性:40%硫酸水溶液0.2mlを試験板にスポット状に乗せた後60℃で15分間加熱し、その後水洗いしてシミ跡の発生度合いを目視観察した。
○;塗膜にほとんど変化が見られない。
△;わずかに水シミ跡が見られる。
×;著しい水シミ跡が見られる。
【0038】
(5)耐汚染性
試験板上に汚染水(JIS Z−8901−84 8種ダスト/水/カーボンブラック/イエローオーカー=1.3/98/0.5/0.2重量比で混合したもの)を塗布後、50℃で10分乾燥させ8サイクル実施後、水洗しながらネル布で一定の力で塗膜を洗浄し、汚染性跡を目視観察により、次の基準に従い評価した。
○:汚染物無し
△:部分的に汚染物が残る
×:完全に汚染物が残る
(6)耐水性
JIS K−5400(1990)9.9耐候性に準じて屋外にて3ヶ月曝露後、塗膜の未洗浄面の色をJIS K−5400(1990)7.4.2塗膜の色−計測法に準じて測定し、試験片を40℃の温水に240時間浸漬した後のL値から試験前のL値を引くことにより△L値を算出し、塗膜の白化を判定した。数値が小さいほど良好である。
(7)耐候性
サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験機(JIS K−5400(1990)9.8.1)を用いて3000時間曝露後、塗膜の状態を目視判定した。
【0039】
<製造例1>
水酸基含有樹脂溶液 A−1の製造
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、キシレン 60質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら加熱し140℃を保った。次に、140℃の温度で、メタクリル酸グリシジル22質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、メタクリル酸n−ブチル19質量部、及び、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4質量部の混合物を2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、140℃の温度を1時間保った後、反応温度を110℃に下げた。その後、2質量部のキシレンに溶解させたt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2質量部の重合開始剤溶液(追加触媒)を添加し、さらに110℃の温度を2時間保った後、2,2−ジメチロールブタン酸23質量部とε−カプロラクトン26質量部、キシレン2.5質量部とを加え、150℃の温度を3時間保ったところで反応を終了し、水酸基含有樹脂溶液A−1を得た。樹脂水酸基価は251、不揮発分は61.8%、重量平均分子量は7,500であった。
【0040】
<製造例2〜12>
水酸基含有樹脂溶液 A−2〜A−12の製造
表1及び表2に示した単量体の組成に代えた以外は、製造例1と同様にして水酸基含有樹脂溶液A−2〜A−12を得た。樹脂溶液の特性値を表1及び表2に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
<実施例1〜7>
クリヤー塗料 CC−1〜7の製造
表3に記載した原料を順次混合して均一になるように撹拌し、クリヤー塗料CC−1〜CC−7を得た。
【0044】

【表3】

【0045】
≪表3及び表5の注記≫
1)ユーバン20ES−60:商品名、三井化学(株)製、メラミン樹脂溶液(不揮発分60質量%)
2)デスモジュールN3200:商品名、住化バイエルウレタン(株)製、液状HDIのビュレットタイプ樹脂(不揮発分100質量%、NCO含有率23質量%)
3)チヌビン900:紫外線吸収剤、商品名、チバスペシャルティケミカルス社製の20質量%キシレン溶液
4)チヌビン292:光安定剤、商品名、チバスペシャルティケミカルス社製の20質量%キシレン溶液
5)BYK−300:表面調整剤、商品名、ビックケミー社製の10質量%キシレン溶液
6)ソルベッソ100:商品名、エッソ社製、芳香族石油ナフサ
【0046】
<実施例1>
試験片の作成及び塗膜性能の評価
リン酸亜鉛処理軟鋼板にカチオン電着塗料アクアNo.4200(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製)を乾燥膜厚20μmとなるよう電着塗装して175℃で25分間焼き付け、さらに中塗り塗料HS−H300(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製)を乾燥膜厚30μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた。次に、溶剤系ベースコート塗料であるベルコートNo.6000黒(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製、塗色:黒)を乾燥膜厚15μmとなるようエアスプレー塗装し20℃で3分間セット後、クリヤー塗料CC−1をソルベッソ100(商品名、エッソ社製、芳香族石油ナフサ)で塗装粘度(フォードカップNo.4、20℃で25秒)に希釈したものをウェット・オン・ウェット方式でそれぞれ乾燥膜厚40μmとなるようエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて試験片を作成した。
ただし、耐汚染性の試験板のみは、ベースコート塗料をベルコートNo.6000白(商品名、日本油脂BASFコーティングス(株)製、塗色:白)に替えて用いた。
塗膜性能を表4に示すが、優れた耐洗車傷性、耐酸性、耐水性、耐汚染性、耐候性を示し、また、塗料の濁りも生じず、均一でツヤのある塗膜が得られた。
【0047】
<実施例2〜7>
試験片の作成及び塗膜性能の評価
クリヤー塗料をCC−2〜6とした以外は、実施例1と同様にして、試験片を作成し、塗膜性能を評価した。塗膜性能を表4に示す。優れた耐洗車傷性、耐酸性、耐水性、耐汚染性、耐候性を示し、また、塗料の濁りも生じず、均一でツヤのある塗膜が得られた。
【0048】
【表4】

【0049】
<比較例1〜7>
クリヤー塗料 CC−8〜14の製造
表5に記載した原料を順次混合して均一になるように撹拌し、クリヤー塗料CC−8〜CC−14を得た。
試験片の作成及び塗膜性能の評価
CC−1の代わりにCC−8〜14のクリヤー塗料組成物をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、試験片を作成し、塗膜性能を評価した。
塗膜性能を表6に示すが、比較例1においては、十分な耐洗車傷性が得られず、また、比較例2、比較例3では、耐汚染性、耐酸性が低下した。比較例4〜7では外観性が低下し、比較例4、6,7では塗料の濁りも生じた。
【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の塗料組成物は、種々の塗装分野に利用でき、特に自動車塗装分野において利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物、(b)ラクトン化合物、及び(c)エポキシ基を有するラジカル重合性単量体を、付加及び重合して得られる、樹脂水酸基価が180〜400mgKOH/gであり、重量平均分子量が2,000〜30,000である水酸基含有樹脂であって、(b)成分のラクトン化合物に基づく構成単位の含有量が樹脂固形分中20〜60質量%の範囲である水酸基含有樹脂と、(B)水酸基と反応する官能基を1分子中に少なくとも2個以上含有する架橋剤を必須成分とすることを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
水酸基含有樹脂が、(a)成分、(b)成分及び(c)成分に加えて、さらに、(d)その他のラジカル重合性単量体を、付加及び共重合して得られる水酸基含有樹脂である請求項1記載の塗料組成物。
【請求項3】
(a)ラジカル重合性二重結合を有しない1個のカルボキシル基を含有する化合物が、2,2−ジメチロールブタン酸又は2,2−ジメチロールプロピオン酸である請求項1又は2記載の塗料組成物。
【請求項4】
(B)の架橋剤が、メラミン樹脂及び/又はイソシアネート化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物を上塗り塗料として塗装することを特徴とする塗装仕上げ方法。
【請求項6】
請求項5の塗装仕上げ方法により塗装された塗装物品。

【公開番号】特開2006−291111(P2006−291111A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116327(P2005−116327)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】