説明

塗料組成物及び塗膜形成方法

【課題】
各種工業製品、特に自動車の外板に適用できるハイライト(正反射光近傍)においては高明度のグレー且つシェード(斜め方向)においては青みの黒色を呈するスチール調の金属感を発現する塗膜を形成可能な塗料組成物及び塗膜を形成可能な塗膜形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、鱗片状光輝性顔料及び一次粒子径が20nm以上100nm以下のカーボンブラック顔料を含む塗料組成物及び鱗片状光輝性顔料が、鱗片状アルミニウム顔料である塗料組成物並びに、基材上に上記塗料組成物を塗装しさらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つシェード(斜め方向)においては青みの黒色を呈するスチール調の金属感を発現する塗料組成物及び塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の工業製品において、シルバーやグレーのメタリック塗色は人気が高いものとなっている。その中で、ハイライト(正反射光近傍)ではグレー、シェード(斜め方向)では青みの黒を呈するスチール調の塗色への要求がある。これまで、メタリック塗色において、明度や色相を調整する場合には、通常、着色顔料が使用される。特にシルバーメタリック塗色において、明度を調整する場合には、着色顔料として小粒径の高漆黒性カーボンブラック顔料を、鱗片状光輝性顔料であるアルミニウムフレーク顔料に併用して使用する場合があった。この場合、ハイライトにおいては高明度のグレー、シェードにおいては黒いフリップフロップ性がある塗色が得られるが、シェードにおいて、黒く濁り、黄味が感じられる難があり、スチール調の塗色が得られるものではない。
【0003】
特許文献1は、塗膜を斜めに見た場合のシェード部で白ボケを起こさない高漆黒性で干渉性を発現する漆黒性塗料組成物に関する出願であって、2種以上の金属元素からなる金属混合酸化物フレーク顔料、カーボンブラック顔料およびヒビクルを含有する漆黒性塗料組成物が開示されている。特許文献1に開示された塗料組成物による塗膜は、黒に近い色を呈する複合金属酸化物フレーク顔料と黒色のカーボンブラック顔料を併用することで、漆黒性と干渉性を両立する塗膜を得ようとするものであるが、ハイライトにおける明度も低いものとなって、全体の明度が低く、金属感に優れた塗膜が得られない問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2002−275425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度のグレー且つシェード(斜め方向)においては青みの黒色を呈するスチール調の金属感を発現する塗膜を形成可能な塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
1.鱗片状光輝性顔料及び一次粒子径が20nm以上100nm以下のカーボンブラック顔料を含む塗料組成物。
2.鱗片状光輝性顔料が、鱗片状アルミニウム顔料である1項に記載の塗料組成物。
3.塗装して得られる塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*が50以上であって且つ75度の角度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系におけるb*が1.0以下である1項又は2項に記載の塗料組成物。
4.基材に1項〜3項に記載された塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度のグレー且つシェード(斜め方向)においては青みの黒色を呈するスチール調の金属感を発現する塗料組成物及び塗膜形成方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜のハイライトにおいて明度を高くすることを目的として、鱗片状光輝性顔料を含有する。鱗片状光輝性顔料としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着させた鱗片状金属顔料、表面に酸化還元反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料、アルミニウム固溶板状酸化鉄顔料、ガラスフレーク顔料、表面を金属又は金属酸化物で被覆したガラスフレーク顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたガラスフレーク顔料、表面を二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料、干渉マイカ顔料を還元した還元マイカ顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたり、表面を酸化鉄で被覆した着色マイカ顔料、表面を二酸化チタンで被覆したグラファイト顔料、表面を二酸化チタンで被覆したシリカフレークやアルミナフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、ホログラム顔料、合成マイカ顔料、らせん構造を持つコレステリック液晶ポリマー顔料、オキシ塩化ビスマス顔料などが挙げられる。
【0009】
本発明の塗料組成物においては、これらのうちで、塗装して得られる塗膜のハイライトにおける明度の点から、アルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料を使用することが好ましく、特に好ましくはアルミニウムフレーク顔料を使用することである。
【0010】
鱗片状光輝性顔料の大きさは、平均粒径が5〜40μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度の点から好ましく、より好ましくは粒径が7〜30μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜25μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜0.5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で該鱗片状光輝性顔料を観察して得られた数値又はレーザー回折法等のレーザーを用いた粒度分布測定装置で測定された数値を意味する。 また、鱗片状光輝性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で1〜25質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは2〜20質量部の範囲内、特に好ましくは3〜18質量部の範囲内である。
【0011】
本発明の塗料組成物は、塗膜の色相、特にシェード部における色相を決定し、シェード
部において青みを発現し、塗膜にスチール調の金属感を付与することを目的として、一次平均粒子径が20nm以上100nm以下のカーボンブラック顔料を含有する。
【0012】
本明細書において、カーボンブラックの一次平均粒子径及びストラクチャーの平均粒子径は、電子顕微鏡による観察により測定される平均粒子径である。なお、カーボンブラックの一次粒子径は、ストラクチャーを形成している為、ストラクチャー内の球状部分を計測した数値を意味する。
【0013】
本発明の塗料組成物において、上記カーボンブラック顔料の含有量は、塗膜の明度の点から、塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対し固形分として0.01〜10質量部の範囲内であり、より好ましくは0.01〜8質量部、特に好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。
【0014】
本発明の塗料組成物は、塗装して得られる塗膜の白さを維持可能な範囲内において、色相を微調整することを目的として、上記カーボンブラック顔料以外の着色顔料も含有することができる。着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明の塗料組成物における着色顔料の含有量は、塗膜のハイライトにおける明度の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは0.01〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0016】
本発明の塗料組成物には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。
樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹
脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤と併用したものが挙げ
られ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0017】
さらに、本発明の塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料
分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の各
種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0018】
本発明の塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装
時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50
質量%に、また、20℃における粘度を17〜23秒/フォ−ドカップ#3に調整してお
くことが好ましい。
【0019】
本発明の塗料組成物を塗装して得られた塗膜は、塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*が50以上であって且つ75度の角度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系におけるb*が1.0以下であることを特徴とする。具体的には、下地として予めグレー色(N−6)の塗膜を形成した塗板上に上記塗料組成物を硬化塗膜として20μmの膜厚となるように塗装して得られた塗膜をX−Rite社製のMA−68II(商品名、多角度分光光度計)を使用して測定することができる。L*a*b*表色系とは、1976年に国際照明委員会で規定され、JIS Z 8729にも採用されている表色系であり、L*は明度を表わす数値であり、b*は黄味から青味を示す数値で数値が小さいほど青味が強いことを示す。
【0020】
本発明の塗膜形成方法においては、上記の如き塗料組成物を基材に塗装し、さらに得られた塗膜上にクリヤー塗料を塗装する。
【0021】
基材としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。これら素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理して基材とすることができる。さらに、上記基材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて基材とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
【0022】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0023】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピン
グ性などを付与するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗
料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定
されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料
を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0024】
特に基材として、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させる場合においては、下塗り
塗膜あるいは中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に後述する次工程の塗料を塗装することが
できる。あるいは、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が未硬化の状態で、本発明の塗料組成物を塗装することもできる。
【0025】
本発明の塗料組成物は、静電塗装、エア−スプレ−、エアレススプレ−などの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができるが、未硬化の状態で後述するクリヤー塗料を塗装することができる。本発明の塗料組成物の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0026】
本発明方法におけるクリヤー塗料は、前述の塗料組成物の未硬化もしくは硬化させてな
る塗面に塗装する塗料であり、樹脂成分および溶剤を主成分とし、さらに必要に応じてそ
の他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料
である。
【0027】
本発明方法におけるクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例
えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基
体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノ−ル基、エポキシ基などの架橋性
官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレ
タン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基
と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物、ブロックポリイソシ
アネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水
物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や
有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、酸化
防止剤、表面調整剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0028】
本発明方法におけるクリヤー塗料には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料
を適時配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔
料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決
定されて良いが、クリヤー塗膜中の樹脂固形分100質量部に対して、固形分として30
質量部以下、好ましくは0.01〜15質量部、特に好ましくは0.01〜10質量部の範囲内である。
【0029】
本発明におけるクリヤー塗料は、静電塗装、エア−スプレ−、エアレススプレ−などの
方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜70μmの範囲内とす
るのが好ましい。クリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0030】
本発明の塗膜形成方法においては、前記の如き本発明の塗料組成物を塗装後、加熱し、
乾燥硬化後に、その塗膜上に上記クリヤー塗料を塗装して加熱し、乾燥硬化させる工程であっても良いが、該塗料組成物を塗装後にその未硬化の状態で上記クリヤー塗料を塗装して、その後に加熱し、これらを同時に乾燥硬化せしめる工程で、複層塗膜を得ることもできる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
【0032】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜4、比較例1,2
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
【0033】
(塗料組成物の調製)
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料及び着色顔料を表1に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調整し、実施例及び比較例に使用する塗料組成物を調製した。
【0034】
【表1】

【0035】
調製した塗料組成物を予めグレー(N−6)色の中塗り塗膜を形成せしめたブリキ板にエアスプレーを使用して硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱して乾燥硬化せしめて得られた塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られたL*a*b*表色系における明度L*及び75度の角度で受光して得られたb*をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して測定し、結果を表1に示した。
【0036】
(試験板の作成)
(基材の調整)
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネ−ト化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0037】
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ル−ガベ−ク中塗りグレ−」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を基材とした。
(塗装)
上記基材に実施例1〜4及び比較例1,2にて調製した塗料組成物をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として20μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にクリヤー塗料(ル−ガベ−ククリヤ−、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)を硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(評価)
上記試験板の意匠性を以下の要領にて評価し、結果を表1に示した。
(1)スチール調の金属感の評価(目視)
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、金属感(ハイライト〜シェードへの光輝感変化)とシェードにおける青みを目視にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が行ない、平均点を採用した。
4:青味の強いスチール調の金属感に優れる。
3:青味でスチール調の金属感がある。
2:黄味でスチール調の金属感が乏しい。
1:黄味が強くスチール調の金属感がない。
(2)金属感の評価
作成した塗板を、L*a*b*表色系における明度LをX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して、正反射光に対して15度の受光角度で測定した明度L*に対する75度の受光角度で測定した明度L*の比で評価した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車外板に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状光輝性顔料及び一次粒子径が20nm以上100nm以下のカーボンブラック顔料を含む塗料組成物。
【請求項2】
鱗片状光輝性顔料が、鱗片状アルミニウム顔料である請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
塗装して得られる塗膜に対して45度となるように照射した光を正反射光に対して15度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系における明度L*が50以上であって且つ75度の角度で受光して得られた分光反射率に基づくL*a*b*表色系におけるb*が1.0以下である請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
基材に請求項1〜3に記載された塗料組成物を塗装し、さらにクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法。

【公開番号】特開2011−127026(P2011−127026A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287842(P2009−287842)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】