説明

塗料配合情報検索システム、その検索方法、およびそのためのサーバ装置

【課題】調色作業を効率良く進めることができる塗料配合情報検索システムを提供する。
【解決手段】塗料の配合情報をデータベースとして記録するサーバ1と、ネットワーク3に接続され、操作部24および表示装置26を有する端末装置2とを備え、サーバ1が、塗料品種とメーカー名とを少なくとも検索条件に含み、塗色番号を検索条件に含まない第1の検索クエリを用いて検索を行い、操作部24から入力される所望の塗色の塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、前記塗料品種と前記メーカー名と前記塗色番号とを少なくとも検索条件に含む第2の検索クエリを用いて検索を行い、検索条件に対応する配合番号を表示装置26に表示する配合番号検索機能と、近似色検索の検索条件に合致する塗色の配合番号を、前記データベースから検索する近似色検索機能とを提供し、該配合番号に対応する配合情報を表示装置26に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の塗色を得るための塗料配合情報検索システム、その検索方法、およびそのためのサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車外板を塗装によって補修する場合、塗装する部分の色をその周囲の色と一致させることが重要となる。このため、所望の塗色が得られるように、調色塗料を調製する必要がある。調色塗料は、複数の原色塗料、着色顔料ペースト、光輝性顔料ペースト、艶調整剤および添加剤等を種々の比率にて混合せしめることにより調製され、通常、調色作業は、塗料販売店、自動車補修工場、および調色工場等(以下、調色現場と記す)で行われる。調色作業において作業者は、所望の塗色の色見本等を参照して、原色塗料を如何に組み合わせるかを試行錯誤して調色塗料を調製しているため、調製後の色は、作業者の技量や経験に依存する。
【0003】
通常、塗料会社は、調色塗料を調製した際の配合情報を蓄積して、ホストコンピュータ内にデータベースとして管理している。また、原色塗料の原料事情の変遷や新規な塗色への対応等の理由で、データベースは常に更新されている。現在、調色現場で調色作業を行う作業者(以下、ユーザとも記す)が、データベースに蓄積された配合情報を参照するためのシステムが、すでに実用化されている。
【0004】
下記特許文献1には、配合情報取得システムが開示されている。この配合情報取得システムによると、調色作業を行う作業者が、所望の塗色の塗色情報を携帯型情報処理装置に入力し、該携帯型情報処理装置が、ネットワークを介してサーバに接続して前記塗色情報をサーバに送信し、サーバ内のデータベースを検索して前記塗色情報に対応する配合情報を取得し、取得した配合情報を前記携帯型情報処理装置に表示させることにより、作業者は、所望の塗色を得るための調色塗料の配合情報を容易に取得することができる。
【特許文献1】特開2007−314772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の配合情報取得システムによって配合情報を取得し、取得した配合情報に基づいて調色塗料を調製しても、完全には所望の塗色と同一の塗色を得られないことが多いという問題がある。これは、例えば、経年変化により塗装が色あせて、色見本に示された本来の塗色から塗膜が変化している点、もしくは、新規な塗色の色見本をすべての調色現場に配布することが容易ではないことから、所望の塗色に最も近い塗色を色見本から選択することが困難である点等が原因であると考えられる。そのため、調色現場では、これまでと同様に、作業者の技量や経験に頼った試行錯誤の調色作業が依然として行われており、作業効率の点からも、より精度の高い配合情報検索システムが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、調色作業を効率良く進めることができ、且つ、高い精度で所望の配合情報を検索および取得することができる塗料配合情報検索システム、塗料配合情報検索方法、および塗料配合情報検索サーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここでは、理解を容易にするために、括弧内に符号を付して記載するが、本発明を限定する意図ではない。
【0008】
上記目的の達成のために、本発明に係る塗料配合情報検索システムは、記録部(12)を有するサーバ(1)と、操作部(24)、表示装置(26)、および、ネットワーク(3)に接続されたインタフェース部(25)を有する端末装置(2)とを備える塗料配合情報検索システムであって、塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップ(S22)と、前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップ(S23)と、前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップ(S25)と、前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップ(S26)と、前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップ(S24)と、を含む配合番号検索機能を、前記サーバが提供することを特徴とする。
【0009】
また、前記塗装対象製品が自動車であり、前記第1の検索条件が、自動車の車種と、当該車種の年式又は当該車種の本体色とをさらに含んでもよい。
【0010】
また、前記サーバが、前記配合番号検索機能により得られた前記配合番号に対する色を基準色として、該基準色に近似する近似色の検索条件として、前記光学データに対する制限を、前記端末装置から受信する第6ステップと、前記サーバが、前記近似色の検索条件に合致する塗色の配合番号を、前記記録部から取得する第7ステップと、を含む近似色検索機能を、前記サーバが更に提供してもよい。
【0011】
また、前記サーバが、前記インタフェース部に付与されたMACアドレスを、前記端末装置から受信する第8ステップと、前記サーバが、前記MACアドレスが前記記録部に記録されているか否かを判断する第9ステップと、前記MACアドレスが前記記録部に記録されていない場合、前記操作部から入力されるユーザIDおよびパスワードを、前記MACアドレスと対応付けて、前記記録部に記録する第10ステップと、を含む端末認証機能を、前記サーバが更に提供してもよい。
【0012】
また、前記配合情報が、原色塗料を特定する情報、前記原色塗料の指示量、および前記原色塗料の配合率を含み、前記サーバが、前記端末装置から、検索により得られた前記配合番号に対応する塗色の、試し塗り後の調色塗料の残重量を受信して、該受信時における前記原色塗料の前記配合率と、受信した前記調色塗料の前記残重量とに基づいて、前記原色塗料の配合量を計算する第11ステップと、前記サーバが、前記端末装置から、前記原色塗料の指示量を受信し、該指示量を、該受信時における前記原色塗料の配合量に対する増分として、受信した前記指示量を、該受信時における前記配合量に加算し、該加算された結果を新たに前記原色塗料の配合量とし、当該配合量に基づいて、前記配合情報に含まれる前記配合率を修正する第12ステップと、を含む配合情報修正機能を、前記サーバが更に提供してもよい。
【0013】
また、前記端末装置が更に、表示部を有する計量装置を備え、該計量装置が、前記端末装置から、前記配合情報を受信して、受信した前記配合情報に含まれている、前記原色塗料の前記原色塗料名および前記指示量を前記表示部に表示してもよい。
【0014】
また、本発明に係る塗料配合情報を検索するサーバ装置は、記録部を備え、操作部、表示装置、および、ネットワークに接続されたインタフェース部を有する端末装置に、前記ネットワークを介して接続される、塗料配合情報を検索するサーバ装置であって、塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップと、前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップと、前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップと、前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップと、前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップと、を含む配合番号検索機能を提供することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る塗料配合情報を検索する方法は、記録部を有するサーバと、操作部、表示装置、および、ネットワークに接続されたインタフェース部を有する端末装置とを備えるシステムにおいて、塗料配合情報を検索する方法であって、塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップと、前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップと、前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップと、前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップと、前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップと、を含む配合番号検索処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、色見本は作成されていないがデータベースには蓄積されている塗色の配合情報を容易に取得することができるので、調色作業を効率良く進めることができる。
【0017】
また、本発明によると、所望の塗色に近い塗色の配合番号をデータベースから検索する際に、近似色検索を行うことができるので、高い精度で所望の塗色の配合番号を検索することができ、該配合番号に対応する配合情報を容易に取得することができる。
【0018】
また、本発明によると、塗色情報のうち、塗色番号が不明であっても、所望の塗色の配合番号を検索することができ、該配合番号に対応する配合情報を容易に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムの概略構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る塗料配合情報検索システムはサーバ1および端末装置2を備え、サーバ1と端末装置2とは広域ネットワーク3に接続されている。サーバ1は、後述するデータ処理を行うCPU10と、データ処理の作業領域に使用するメモリ11と、処理データを記録する記録部12と、各部の間でデータを伝送するバス13と、外部機器とのデータの入出力を行うインタフェース部15(以下、I/F部と記す)とを備えている。端末装置2は、サーバ1と同様に、CPU20と、メモリ21と、記録部22と、バス23と、I/F部25とを備え、さらに、端末装置2は、作業者によって操作される操作部24と、処理結果を表示する表示装置26とを備えている。また、印刷装置4および計量装置5が、接続ケーブル6を介して端末装置2に接続されている。
【0021】
サーバ1は、調色塗料を調製した際の配合情報(例えば、後述するステップS41において述べる、原色塗料番号、原色塗料名、指示量、および配合率を含む)、並びに塗色の色及び質感を表すデータを、塗色情報(後述する表1を参照)に対応付けて、データベースとして記録部12に予め記録しており、塗料配合情報の検索サービスをウェブサイトの形式で提供する。端末装置2は、操作部24から入力される検索条件等のデータをサーバ1に送信し、サーバ1から受信する検索結果等の処理結果のデータを表示装置26に表示する。従って、以下の説明において、サーバ1が処理結果のデータを表示するとは、サーバ1が処理結果のデータを端末装置2に送信し、端末装置2が、受信した処理結果のデータを表示装置26に表示することを意味する。印刷装置4は、サーバ1内のデータベースを検索して得られた配合情報を端末装置2から受信し、受信した配合情報を印刷する。計量装置5は、表示部を有し、サーバ1内のデータベースを検索して得られた配合情報を端末装置2から受信し、受信した配合情報に含まれている原色塗料の種類および指示量を表示部に表示する。
【0022】
図2〜図5は、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理について、図2〜図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0023】
本実施の形態に係る塗料配合情報検索システムの動作の概要を説明すると次の通りである。まず、サーバ1と端末装置2との間で、サーバ1が端末装置2を認証する処理(S11〜S15)を行い、次に、端末装置2に入力される検索条件に基づいて、サーバ1が配合番号を検索する処理(S21〜S26)を行う。さらに、ユーザからの指示を受けた場合、端末装置2に入力される近似色検索の検索条件に基づいて、サーバ1が、選択した配合番号に対応する塗色の近似色を検索する処理(S31〜S33)を行う。さらに、ユーザからの指示を受けた場合、サーバ1が、選択した配合番号に対応する塗色の配合情報を修正する処理(S41〜S45)を行う。最後に、端末装置2が、印刷装置4もしくは計量装置5に、検索の結果得られた配合番号の配合情報を出力する処理を行う。
【0024】
以下の説明において、サーバ1及び端末装置2が行う処理は、実際には、サーバ1及び端末装置2のCPU10及び20が行う処理を意味する。CPU10及び20は、メモリ11及び21を作業領域として必要なデータ(設定値、処理途中の中間データ等)を一時記憶し、記録部12及び22に処理結果等のデータを適宜記録する。また、CPU10及び20は、処理の必要に応じて、操作部24からの入力をメモリ11及び21、若しくは記録部12及び22に記録し、メモリ11及び21、若しくは記録部12及び22に記録したデータに基づいて、画像や文字等を表示装置26に表示する。なお、端末装置2において、記録部22は任意要素であり、例えば、電源をオフした後に記録しておくべきデータが無い場合には、記録部22が無くてもよい。また、サーバ1は、以下で説明するステップの処理を行うためのプログラムを、例えばHTML言語およびJAVA(登録商標)言語により記述されたウェブサイトと、例えばOracle(登録商標)データベース等のデータベース管理システムとが組み合わされたウェブアプリケーションの形式で、記録部12に予め記録しており、サーバ1は、ユーザからの入力を操作部24を介して受け取ることにより、記録部12に記録したプログラムを使用して処理を行う。また、図6〜図16に示す本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムにおける端末装置2の表示装置26の画面表示の一例も、適宜参照して説明する。
【0025】
端末認証処理(S11〜S15)
図2に、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う端末認証処理のフローチャートを示す。
【0026】
ステップS11において、端末装置2が、広域ネットワーク3を介して、サーバ1上の所定のURLにアクセスし、サーバ1が、端末装置2からハードウェアアドレス(以下、HWアドレスと記す)を受信する。HWアドレスはハードウェア固有の物理アドレスであり、例えば、I/F部25のうち、広域ネットワーク3に接続するためのハードウェアに付与されたMACアドレスである。HWアドレスにより、端末装置2は広域ネットワーク3内において一意に特定される。端末装置2が広域ネットワーク3を介してサーバ1にアクセスすると、端末装置2は、HWアドレスを含むデータパケットをサーバ1へ送信し、サーバ1は、サーバ1上に起動しているOS(オペレーティング・システム)を介して、アクセスを受けた端末装置2のHWアドレスを取得することができる。
【0027】
次に、ステップS12において、サーバ1は、端末装置2から送信されたHWアドレスが記録部12に記録されているか否か、即ち、その端末装置からの利用が初めてか否かを判断する。記録されている場合、サーバ1はステップS15の処理を行い、記録されていない場合、サーバ1は引き続きユーザ登録を行うステップS13の処理を行う。
【0028】
ステップS13において、端末装置2は、ユーザIDおよびパスワードの入力をユーザに促す画面を表示装置26に表示する。サーバ1は、ユーザが操作部24から入力したユーザIDおよびパスワードを端末装置2から受信する。
【0029】
次に、ステップS14において、サーバ1は、端末装置2から受信したユーザIDおよびパスワードを、端末装置2から受信したHWアドレスと対応付けて、データベースとして記録部12に記録する。HWアドレスとユーザIDおよびパスワードとが記録部12に記録されるので、次回利用時から、作業者は、煩雑なユーザIDおよびパスワードの入力作業を省略することができる。
【0030】
ステップS15において、サーバ1は、本システムが提供する塗料配合情報の検索サービスの検索サイトURLを端末装置2に送信する。端末装置2は、受信した検索サイトURLにアクセスし、検索サービスのトップ画面を表示装置26に表示する。図6に、検索サービスのトップ画面の一例を示す。サーバ1は、引き続き配合番号検索処理(S21〜S26)を行う。
【0031】
配合番号検索処理(S21〜S26)
図3に、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う配合番号検索処理のフローチャートを示す。また、表1に、塗色情報に関するデータベースの項目名および値の一例を示す。なお、以下の説明において、端末装置2の操作部24から入力される値とは、数値とテキスト形式の文字列との両方を含むこととする。
【0032】
【表1】

【0033】
塗色番号は、自動車に塗装された塗料を識別する番号であり、メーカー毎に付与されている。配合番号は、同一の塗色番号が付与されている複数の色の各々を特定する番号である。例えば、配合番号CK000は、メーカーが発表する配合情報に基づいて原色塗料が配合された調色塗料に付与されており、配合情報CK001及びCK002は、原色塗料の原料の変更により、もしくは調色現場で調色作業を行う作業者からの報告に基づいて、塗料会社が新たに配合を調整した調色塗料に付与されている。また、塗料会社は、塗色番号に対応する塗料を、塗料品種毎にラインナップしている。従って、塗色情報のデータベースから所望の配合番号を検索するためには、塗料品種、メーカー名、および塗色番号を検索条件として指定する必要がある。これら検索条件のうち、補修対象である自動車の塗色番号が不明な場合があるので、本システムには、検索条件として、塗色番号を直接指定するモード、即ち操作部24から入力する通常の検索モード(塗色番号検索モード)の他に、塗色番号に代えて、例えば車種または企業色等を検索条件として指定する異なる複数の検索モード(車種検索モード、部品色検索モード、および企業色検索モード)が存在する。サーバ1は、塗料品種、メーカー名、および塗色番号をキー項目とし、配合番号をレコードとするデータベースを予め記録部12に記録している。また、サーバ1は、それぞれの配合番号に配合情報等のデータを対応させて記録部12に記録している。
【0034】
ステップS21において、サーバ1は、検索ボタンの入力を受信する。図6中の検索ボタン66、67a〜67cは、それぞれ塗色番号検索モード、車種検索モード、部品色検索モード、および企業色検索モードに対応付けられており、サーバ1は、後述するステップS23において、押下された検索ボタン66、67a〜67cに応じて、検索モードの切り替えを行う。
【0035】
次に、ステップS22において、サーバ1は、所望の塗色を検索するための検索条件を端末装置2から受信する。検索条件は、少なくとも塗料品種、およびメーカー名を含み、さらに塗色番号を含むことができる。これら検索条件は、図6中の入力欄61〜63に値(テキスト文字列を含む)が設定されることにより端末装置2に入力され、サーバ1に送信される。また、図6中の入力欄64に値が設定されることにより、調色塗料の作成量がサーバ1に送信される。この調色塗料の作成量は、後述する配合情報修正処理(S41〜S45)を行う際に使用される。また、入力欄65に値が設定されることにより、FC配合塗料を使用するか否かの情報が検索条件としてサーバ1に送信されてもよい。FC配合塗料とは、調色を行う際の配合量の微調整を容易にするために、着色剤を少量含む塗料、即ち、通常の配合塗料よりも濃度の低い塗料である。本実施形態では、一例として、FC配合塗料を使用せずに、通常の配合塗料を使用して調色を行う場合(通常配合の場合)について説明する。
【0036】
次に、ステップS23において、サーバ1は、押下された検索ボタンに応じて、検索モードの切り替えを行い、検索クエリを作成する。例えば、塗色番号検索モードに対応する検索ボタン66が押下されると、サーバ1は、検索条件に塗色番号を含む検索クエリを作成し、ステップS24の処理を行い、車種検索モード、部品色検索モード、又は企業色検索モードに対応する検索ボタン67a〜67cの何れか1つが押下されると、サーバ1は、検索条件に塗色番号を含まない検索クエリを作成し、ステップS25の処理を行う。従って、車種検索モード、部品色検索モード、又は企業色検索モードの何れかが選択される場合、塗色番号の値は無視される。
【0037】
ステップS24において、サーバ1は、塗色番号を検索条件に含む検索クエリを用いてデータベースを検索し、検索条件に対応する配合番号を端末装置2の表示装置26に表示する。図7に、配合番号一覧画面の一例を示す。端末装置2は、図7中の表示欄74に示すように、ステップS22において受信した検索条件である塗料品種、メーカー名、および塗色番号を表示装置26に表示する。図7には、検索条件(塗料品種=PGHB、メーカー名=A社、塗色番号=051)に対応する配合番号の一覧が、塗膜層の種類(カラーベース又はパールベース)毎に、配合番号に対応する使用頻度(例えば星印等の記号の数で表す)および構成原色の原色塗料番号と共に、表示欄71に表示されている。ユーザが調色を希望する塗色の配合番号が、図7の画面上で、操作部24を介して選択されると、端末装置2は、表示欄71中の選択された配合番号の行を例えば反転表示する。次いで、図7中のボタン72が押下されると、サーバ1は、選択された配合番号に対応する塗色の配合情報を表示装置26上に表示(後述するステップS41において述べる図9の表示欄91を参照)したうえで、所定のボタンが押下された場合、選択された配合番号の塗色について、配合情報修正処理(S41〜S45)を行う。一方、ボタン73が押下されると、サーバ1は、選択された配合番号の塗色について、近似色検索処理(S31〜S33)を行う。
【0038】
ステップS23において、車種検索モード、部品色検索モード、又は企業色検索モードに対応する検索ボタン67a〜67cの何れか1つが押下された場合、ステップS25において、サーバ1は、塗色番号を検索条件に含まない検索クエリを用いてデータベースを検索し、検索条件に対応する塗色番号を端末装置2の表示装置26に表示する。塗色番号を検索条件に含まない検索クエリとは、例えば、車種検索モードの場合、検索クエリは、塗料品種およびメーカー名に加えて、車種および年式の情報を検索条件として含み、企業色検索モードの場合、検索クエリは、業種および企業名の情報を検索条件として含む。図12〜図14に、車種検索モード時、部品色検索モード時、および企業色検索モード時それぞれの塗色番号選択画面の一例を示す。例えば、図12には、サーバ1が、塗料品種(PGHB)およびメーカー名(A社)に加えて、入力欄121及び122に設定される車種(自動車A)および当該車種の年式(2008)のテキスト文字列を追加の検索条件として絞り込み検索を行い、その結果として、検索条件に合致する塗色番号が表示欄124に表示されている。同様に、図13では、サーバ1が、塗料品種(PGHB)およびメーカー名(A社)に加えて、入力欄131及び132に設定される車種(自動車A)および当該車種に設定されている本体色(1C0)のテキスト文字列を追加の検索条件として絞り込み検索を行う。図14では、サーバ1が、入力欄141及び142に設定される業種(官公庁)および企業名(消防庁)を検索条件として絞り込み検索を行う。
【0039】
次に、ステップS26において、サーバ1は、塗色番号を端末装置2から受信する。ユーザが配合番号の検索を希望する塗色の塗色番号が、図12の表示欄124に表示される塗色番号の一覧から、操作部24を介して選択され、図12中のボタン123が押下されると、サーバ1は、既に受信している検索条件である塗料品種およびメーカー名と、選択された塗色番号とを検索条件として検索クエリを作成し、ステップS24の処理を行う。同様に、図13では、ユーザが配合番号の検索を希望する塗色の塗色番号が、表示欄134に表示される塗色番号の一覧から、操作部24を介して選択され、ボタン123が押下されると、サーバ1は、塗料品種およびメーカー名と、選択された塗色番号とを検索条件として検索クエリを作成し、ステップS24の処理を行う。図14では、ユーザが配合番号の検索を希望する塗色の塗色番号が、表示欄144に表示される塗色番号の一覧から、操作部24を介して選択され、ボタン123が押下されると、サーバ1は、ステップS24の処理を行う。
【0040】
近似色検索処理(S31〜S33)
図4に、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う近似色検索処理のフローチャートを示す。また、図8に、近似色検索画面の一例を示す。
【0041】
ステップS31において、サーバ1は、選択された配合番号の塗色の近似色を検索するための検索条件を、端末装置2から受信する。近似色検索の検索条件は、明るさ(明度)を表すL値と、色味(色度)を表すa値及びb値と、粒子感(ミクロ光輝感)を表すHG値とを含む。L値、a値、およびb値は、塗色の色を表す数値であり、正面及びスカシ方向におけるそれぞれの値が、検索条件に含まれる。HG値は塗色の質感を表す数値であり、正面方向での値が、検索条件に含まれる。これら検索条件は、図8中の入力欄81に、例えばテキスト文字列が設定されることにより、当該テキスト文字列に応じた所定の数値が端末装置2に入力され、サーバ1に送信される。サーバ1は、受信した当該所定の数値に基づいて、当該テキスト文字列で表される検索条件を満たすように、近似色検索の検索対象を制限する。
【0042】
具体的には、例えば、入力欄81がプルダウンメニューボタンで実現され、正面方向の明るさの検索条件を、例えば「明るい」、「暗い」および「指定なし」の3種類で設定する場合、プルダウンメニューボタンで指定される上記3種類の検索条件に応じた所定の数値(例えば、「明るい」=2、「暗い」=1、「指定なし」=0)が、サーバ1に送信される。例えば、正面方向の明るさを指定する入力欄81に「明るい」が設定されると、検索条件「明るい」に対応する所定の数値「2」がサーバ1に送信される。サーバ1が、所定の数値として「2」を受信すると、サーバ1は、正面方向の明るさが、基準となる配合番号の色の正面方向の明るさよりも明るい色の集合を検索の対象として、近似色検索を行う。また、例えば、正面方向の明るさを指定する入力欄81に「指定なし」が設定されると、検索条件「指定なし」に対応する所定の数値「0」がサーバ1に送信され、サーバ1は、正面方向の明るさについては特に制限を設けずに、近似色検索を行う。
【0043】
スカシ方向の明るさ(例えば、「明るい」、「暗い」および「指定なし」の3種類)、正面及びスカシ方向の色味(例えば、「赤が強い」、「赤が弱い」、「黄が強い」、「黄が弱い」および「指定なし」の5種類)、正面方向の粗さ(例えば、「荒い」、「細かい」、および「指定なし」の3種類)の検索条件についても同様に、検索条件の制限が、例えば3種類又は5種類で指定されることができ、それぞれの種類に応じた所定の数値がサーバ1に送信される。サーバ1は、受信した当該所定の数値に基づいて、近似色検索を行う際の検索条件を制限する。
図7中の近似色検索ボタン82が押下されると、サーバ1は、ステップS32の処理を行う。
【0044】
ステップS32において、サーバ1は近似色検索を行う。近似色検索の一形態としては、例えば、サーバ1は、色空間において、選択された配合番号の塗色を基準として、近似色検索の検索条件を満たす塗色のうち、基準との距離が近いものから例えば5件を、データベースから検索する。この際、サーバ1は、ステップS31において受信した近似色検索の検索条件の強さの強弱(即ち、例えば「明るい」=2、「暗い」=1、「指定無し」=0である、上記した所定の数値)に基づいて、近似色を検索する。図8に示す例では、サーバ1は配合番号CK000の塗色を基準として近似色検索を行っている。
【0045】
次に、ステップS33において、サーバ1は、近似色検索の検索条件に対応する配合番号の配合情報及び光学データを表示装置26に表示する。例えば、近似色検索により、配合番号CK000の塗色に近似する塗色の1つとして、配合番号CK019の塗色が検索された場合、図8中の表示欄83に、配合番号CK019の配合情報(例えば、原色塗料の種類)を表示し、表示欄84に、配合番号CK019の光学データ(例えば、配合番号CK000を基準とする、配合番号CK019の正面L値、スカシL値、および正面HG値の差分値を、それぞれに対応する1軸上に表示し、正面a値及び正面b値の差分値と、スカシa値及びスカシb値の差分値とを、2次元平面上にマッピング表示する)を表示する。ボタン85又はボタン86が押下されると、サーバ1は、近似色検索により得られた例えば5件の近似色の中から、現在表示されている配合番号の色とは別の配合番号を選択し、当該配合番号の配合情報及び光学データを表示装置26に表示する。
【0046】
ユーザが、端末装置2の表示装置26上に表示された光学データを基に、表示されている配合番号の塗色が所望の塗色であると判断した場合、例えば、図8中のボタン87が押下されると、サーバ1は、選択された配合番号に対応する塗色の配合情報を表示装置26上に表示(後述するステップS41において述べる図9の表示欄91を参照)したうえで、所定のボタンが押下された場合、選択された配合番号(即ち、表示欄83に表示されている配合番号)の塗色について配合情報修正処理(S41〜S45)を行う。そうではない場合、サーバ1は、再びステップS31から処理を繰り返す。
【0047】
このように、サーバ1が、ステップS31〜S33に示される近似色検索処理を繰り返し行うことができるので、作業者は、色見本が存在する塗色の配合情報を手がかりとして、色見本が存在しない塗色の配合情報を取得することができる。
【0048】
配合情報修正処理(S41〜S45)
図5に、本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う配合情報修正処理および配合情報出力処理のフローチャートを示す。また、図9に、配合情報修正画面の一例を示す。
【0049】
図9は、配合情報修正処理において最初に表示される画面であり、図9中の表示欄91には、選択された配合番号に対応する塗色の配合情報として、原色塗料番号、原色塗料名、指示量(単位g)、および配合率(単位%)が、配合情報に含まれている原色塗料毎に表示されている。ここで、表示されている配合情報のうち、原色塗料番号、原色塗料名、および原色塗料の配合率の値は、データベースに記録されている値がそのまま表示されており、原色塗料の指示量の値は、次の(式1)により計算された値が表示されている。また、表示欄95には、配合番号検索処理のステップS22において指示された、調色塗料の作成量(例えば、100g)が表示されている。
【0050】
原色塗料の指示量 = 原色塗料の配合率 × 調色塗料の作成量 (式1)
ステップS41において、サーバ1は、ユーザが試し塗りを行うための配合情報を出力する。図9中のボタン97a及び97bは、配合情報の出力に対応付けられており、例えば、ボタン97aが押下されると、サーバ1は、端末装置2を介して計量装置5へ配合情報を送信し、ボタン97bが押下されると、サーバ1は、端末装置2を介して印刷装置4へ配合情報を送信する。印刷装置4および計量装置5は、配合情報を出力する。なお、配合情報に含まれて出力される原色塗料の指示量の値は、ステップS41の1回目の実行時には、(式1)により計算される値であり、2回目以降の実行時には、後述するステップS44にて入力される値である。
【0051】
計量装置5は、表示部および計量部を有し、重量を計測する通常の計量部の機能とは別に、配合情報を受信し、当該配合情報に含まれている、調色塗料に混合する原色塗料名および指示量を、作業指示として表示部に表示する機能を有する。さらに、計量装置5は、計量部上に載置された容器内に、必要な原色塗料が作業者によって投入されたら、その旨を音声及び/又はランプの点灯で表示してもよい。計量装置5には、例えば、はかりJO’S3(商品名、関西ペイント株式会社製、オンライン計量器)を使用することができる。印刷装置4は、配合情報を受信し、紙等の媒体に出力する機能を有する。印刷装置4には、市販のインクジェットプリンターやレーザプリンタ等の公知のプリンターを使用することができる。
【0052】
次に、ユーザは、印刷された配合情報に基づいて原色塗料を混合し、調色塗料を作成する。もしくは、ユーザは、計量装置5の表示部に表示される作業指示に従い調色塗料を作成する。ユーザは、作成した調色塗料を実際に使用して試し塗りを行う。図9中のボタン96が押下されると、サーバ1は、表示欄91に現在表示している配合情報の内容と、指示された調色塗料の作成量の値とに基づいて、各原色塗料毎に配合量を計算(調合)して、表示欄91に表示する。図10に、ボタン96が押下された後の配合情報修正画面の一例を示す。図10中の表示欄91には、(式2)により計算される原色塗料の配合量の値が表示されている。
【0053】
原色塗料の配合量 = 現在の原色塗料の配合量 + 原色塗料の指示量 (式2)
ここで、現在の原色塗料の配合量は、後述するステップS43が実行された場合に調色塗料の残重量から再計算された値である。また、原色塗料の指示量は、後述するステップS44が実行された場合に指定された「現在の原色塗料の配合量に対する増分(増加量)」である。なお、(式2)により原色塗料の配合量が計算されて表示された直後に、原色塗料の指示量には値0が設定されて表示される。
【0054】
即ち、最初にステップS41を実行する際(式2が最初に計算される前)には、現在の原色塗料の配合量の値(即ち、原色塗料の配合量の初期値)は0であるので、結果として、(式1)により計算される原色塗料の指示量の値がそのまま、原色塗料の配合量の値(即ち、 原色塗料の配合量 = 原色塗料の指示量 )となる。以後、サーバ1は、ステップS41の処理を繰り返し実行する度に(式2)の処理を行い、現在の原色塗料の配合量に、原色塗料の指示量を足し込む処理を行う。
【0055】
また、原色塗料の配合率は、ボタン96が一度でも押下された後、即ち(式2)により原色塗料の配合量が再計算される度に再計算される。この際、各原色塗料の配合率は、その原色塗料の配合量の、全ての原色塗料(配合番号で指定される)の配合量の合計に対する割合(百分率)として計算される。
【0056】
試し塗りの結果、作成した調色塗料が所望の塗色感であるとユーザが判断すると、例えば、図10中のボタン99が押下され、サーバ1は、ステップS45の処理を行う。試し塗りの結果、作成した調色塗料が所望の塗色感であるとユーザが判断しなかった場合、ユーザは、以後、ステップS42〜ステップS44に示す配合情報の修正処理を、所望の塗色が得られるまで繰り返し複数回行うことができる。
【0057】
ステップS42において、サーバ1は、試し塗り後の調色塗料の残重量(単位g)を受信する。ユーザは、計量装置5の重量を計測する機能を利用して調色塗料の残重量を得ることができる。図10中のボタン98が押下されると、サーバ1は、調色塗料の残重量の入力を受け付けるダイアログボックスを表示装置26に表示し、ユーザは、ダイアログボックス中の入力欄に、調色塗料の残重量(例えば、69.9g)を入力する。入力された調色塗料の残重量は、サーバ1に送信される。
【0058】
ステップS43において、サーバ1は、原色塗料の配合量を再計算し、実際に塗料として作成した調色塗料中の原色塗料の配合量を得る。サーバ1は、表示欄91に現在表示している配合情報の内容と、入力された調色塗料の残重量の値とに基づいて、各原色塗料毎に配合量を計算(調合)して、表示装置26に表示する。図11に、この状態の配合情報修正画面の一例を示す。図11中の表示欄91には、(式3)により計算される原色塗料の配合量の値が表示されている。
【0059】
原色塗料の配合量 = 原色塗料の配合率 × 調色塗料の残重量 (式3)
このように、サーバ1が原色塗料の配合量を再計算することにより、ユーザは、配合情報を修正する作業の間、実際に塗料として作成した調色塗料中の原色塗料の配合量(即ち、配合量の実績値)を正確に把握することができ、配合情報を修正して所望の塗色を得るための調色作業を円滑に進めることができる。
【0060】
ステップS44において、サーバ1は、配合番号に対応する塗色の配合情報を修正する。図11中のボタン92〜94は、それぞれ原色塗料の指示量の入力、原色塗料の追加、および原色塗料の削除に対応付けられており、例えば、ユーザが修正を希望する原色塗料の原色塗料番号が、図11の画面上で、操作部24を介して選択されると、端末装置2は、表示欄91中の選択された原色塗料番号の行を例えば反転表示する。次いで、図11中のボタン92が押下されると、選択された原色塗料の指示量を入力することができる。この際、ステップS41において述べたように、原色塗料の指示量は、現在の原色塗料の配合量に対する増分(増加量)で指定される。図11中のボタン97a又は97bが押下されると、サーバ1はステップS41の処理を行う。なお、ボタン94による原色塗料の削除は、原色塗料の追加を指定した色に限って、画面上で削除することを意味する。
【0061】
ステップS45において、サーバ1は、修正した配合情報を、HWアドレスと共に記録する。サーバ1は、表示欄91に現在表示している配合情報の内容(配合率を含む)と、指示された調色塗料の残重量の値とを、ユーザ独自の配合情報として、これに一意の配合番号(例えば、UK000)を、自動的に又はユーザの指定により付して、HWアドレスに対応付けて、記録部12に記録する。さらに、サーバ1は、操作部24から入力される、配合情報を識別するための任意の文字列(例えば、該当車両のナンバープレートに記載の番号)を受信して、ユーザ独自の配合情報を、受信した任意の文字列に対応付けて、データベースとして記録部12に記録してもよい。
【0062】
また、端末装置2が、修正した配合情報をサーバ1から受信して、印刷装置4もしくは計量装置5に送信し、ステップS41と同様に、印刷装置4及び計量装置5は配合情報を出力してもよい。
【0063】
以上、本発明を特定の実施の形態によって説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0064】
上記実施の形態では、通常の配合塗料を使用して調色を行う場合について説明したが、FC配合塗料を使用して調色を行ってもよい。この場合、サーバ1は、FC配合塗料の希釈濃度に応じて、原色塗料の指示量、配合量、および配合率を比例計算して使用すればよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、ステップS41において(式2)により原色塗料の配合量が再計算される度に、原色塗料の配合率が再計算される場合を説明したが、この場合に限られず、例えば、ステップS44において原色塗料の指示量が入力される度に、(式2)により原色塗料の配合量を計算し、その配合量に基づいて、原色塗料の配合率が再計算されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、ステップS45において、サーバ1が、修正した配合情報をHWアドレスと共に記録する場合を説明したが、この処理は任意であり、サーバ1は修正した配合情報を記録しなくてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、検索条件に対応する配合番号を一覧表示し、ユーザが、表示された一覧の中から調色を希望する塗色の配合番号を選択する場合を説明したが、ユーザが配合番号を直接入力してもよい。具体的には、ステップS21において、図6中の入力欄68、69に配合区分(CK又はUK)と配合区分の番号(例えば000から始まる3桁の自然数)とが入力されると、サーバ1は、配合番号の検索条件である塗料品種、メーカー名、および塗色番号に加えて、検索条件に配合番号を追加してデータベースを検索し、検索により得られた該配合番号に対応する塗色の配合情報について、ステップS41の処理を行ってもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、図7の表示欄71に示すように、検索条件に対応する配合番号の一覧を、構成原色の原色塗料番号と共に表示する場合を説明したが、図15の配合番号一覧画面の一例に示すように、対応車種の情報と共に表示してもよく、もしくは、図16の配合番号一覧画面の一例に示すように、色傾向の情報と共に表示してもよい。その場合、サーバ1は、配合番号に対応する対応車種の情報および色傾向の情報を、配合番号に対応付けて、予めデータベースとして記録部12に記録していればよい。例えば、図7、図15、および図16中のプルダウンメニューボタン75によって、構成原色、対応車種、または色傾向の何れかの表示内容が選択されることにより、検索条件に対応する配合番号の一覧を、選択された何れかの表示内容で、端末装置2の表示装置26に表示することができる。
【0069】
また、上記実施の形態では、塗装対象製品として自動車を挙げたが、これに限定されず、例えば、二輪車、飛行機、船舶、列車等の輸送機器であってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、塗色の色を表す数値として、L表色系の明度および色度を使用したが、マンセル表色系、Lh表色系、ハンターLab表色系、XYZ表色系等の明度、色度、彩度および分光反射率等を使用してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、塗色の質感を表す数値として、ミクロ光輝感を表すHG値を使用したが、塗膜の正反射方向の光輝感を表すIV値、スカシ方向の光輝感を表すSV値、IV値及びSV値の関係から光輝性顔料の塗膜内における配向状況を表すフリップフロップ値(FF値)等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが行う処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る塗料配合情報検索システムが提供する検索サービスのトップ画面の一例を示す図である。
【図7】配合番号一覧画面の一例を示す図である。
【図8】近似色検索画面の一例を示す図である。
【図9】配合情報修正画面の一例を示す図である。
【図10】配合情報修正画面の一例を示す図である。
【図11】配合情報修正画面の一例を示す図である。
【図12】車種検索モード時の塗色番号選択画面の一例を示す図である。
【図13】部品色検索モード時の塗色番号選択画面の一例を示す図である。
【図14】企業色検索モード時の塗色番号選択画面の一例を示す図である。
【図15】対応車種の情報が表示される配合番号一覧画面の一例を示す図である。
【図16】色傾向の情報が表示される配合番号一覧画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 サーバ
2 端末装置
3 広域ネットワーク
4 印刷装置
5 計量装置
6 接続ケーブル
10,20 CPU
11,21 メモリ
12,22 記録部
13,23 バス
24 操作部
15,25 インタフェース部
26 表示装置
61〜65,68,69 入力欄
66,67a〜67c 検索ボタン
71,74 表示欄
72,73 ボタン
75 プルダウンメニューボタン
82 近似色検索ボタン
83,84,91,95 表示欄
85〜87,92〜94,96,97a,97b,98,99,123 ボタン
81,121,122,131,132,141,142 入力欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録部を有するサーバと、
操作部、表示装置、および、ネットワークに接続されたインタフェース部を有する端末装置とを備える塗料配合情報検索システムであって、
塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、
該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、
前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップと、
前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップと、
前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップと、
を含む配合番号検索機能を、前記サーバが提供することを特徴とする塗料配合情報検索システム。
【請求項2】
前記塗装対象製品が自動車であり、
前記第1の検索条件が、自動車の車種と、当該車種の年式又は当該車種の本体色とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の塗料配合情報検索システム。
【請求項3】
前記サーバが、前記配合番号検索機能により得られた前記配合番号に対する色を基準色として、該基準色に近似する近似色の検索条件として、前記光学データに対する制限を、前記端末装置から受信する第6ステップと、
前記サーバが、前記近似色の検索条件に合致する塗色の配合番号を、前記記録部から取得する第7ステップと、
を含む近似色検索機能を、前記サーバが更に提供することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料配合情報検索システム。
【請求項4】
前記サーバが、前記インタフェース部に付与されたMACアドレスを、前記端末装置から受信する第8ステップと、
前記サーバが、前記MACアドレスが前記記録部に記録されているか否かを判断する第9ステップと、
前記MACアドレスが前記記録部に記録されていない場合、前記操作部から入力されるユーザIDおよびパスワードを、前記MACアドレスと対応付けて、前記記録部に記録する第10ステップと、
を含む端末認証機能を、前記サーバが更に提供することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料配合情報検索システム。
【請求項5】
前記配合情報が、原色塗料を特定する情報、前記原色塗料の指示量、および前記原色塗料の配合率を含み、
前記サーバが、前記端末装置から、検索により得られた前記配合番号に対応する塗色の、試し塗り後の調色塗料の残重量を受信して、該受信時における前記原色塗料の前記配合率と、受信した前記調色塗料の前記残重量とに基づいて、前記原色塗料の配合量を計算する第11ステップと、
前記サーバが、前記端末装置から、前記原色塗料の指示量を受信し、該指示量を、該受信時における前記原色塗料の配合量に対する増分として、受信した前記指示量を、該受信時における前記配合量に加算し、該加算された結果を新たに前記原色塗料の配合量とし、当該配合量に基づいて、前記配合情報に含まれる前記配合率を修正する第12ステップと、
を含む配合情報修正機能を、前記サーバが更に提供することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗料配合情報検索システム。
【請求項6】
前記端末装置が更に、表示部を有する計量装置を備え、
該計量装置が、前記端末装置から、前記配合情報を受信して、受信した前記配合情報に含まれている、前記原色塗料の前記原色塗料名および前記指示量を前記表示部に表示することを特徴とする請求項5に記載の塗料配合情報検索システム。
【請求項7】
記録部を備え、操作部、表示装置、および、ネットワークに接続されたインタフェース部を有する端末装置に、前記ネットワークを介して接続される、塗料配合情報を検索するサーバ装置であって、
塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、
該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、
前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップと、
前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップと、
前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップと、
を含む配合番号検索機能を提供することを特徴とする塗料配合情報を検索するサーバ装置。
【請求項8】
記録部を有するサーバと、
操作部、表示装置、および、ネットワークに接続されたインタフェース部を有する端末装置とを備えるシステムにおいて、塗料配合情報を検索する方法であって、
塗料の配合情報と塗色の色及び質感を表す光学データとが、塗色情報に対応付けて前記記録部に記録され、
該塗色情報が、塗料品種、塗装対象製品のメーカー名、前記塗料を識別する番号である塗色番号、および同一の前記塗色番号が付与された複数の色の各々を特定する配合番号を含み、
前記サーバが、前記塗料品種と前記メーカー名とを少なくとも含み、前記塗色番号を含まない第1の検索条件を、前記端末装置から受信する第1ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索条件から、第1の検索クエリを作成する第2ステップと、
前記サーバが、前記第1の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する複数の塗色番号を前記表示装置に表示する第3ステップと、
前記サーバが、前記操作部によって、前記表示装置に表示された複数の塗色番号の中から選択される所望の塗色番号を前記端末装置から受信し、受信した該塗色番号を前記第1の検索クエリに追加して、第2の検索クエリを作成する第4ステップと、
前記サーバが、前記第2の検索クエリを用いて前記記録部を検索し、検索条件に対応する配合番号を前記表示装置に表示する第5ステップと、
を含む配合番号検索処理を含むことを特徴とする塗料配合情報を検索する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−24359(P2010−24359A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187689(P2008−187689)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】