説明

塩素系漂白剤組成物

【課題】トリガー等のスプレーヤー等で吐出される泡の視認性、対象面への付着滞留性などの使い勝手に優れた塩素系漂白剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩、(b)アルカリ金属の水酸化物、(c)界面活性剤、(d)下記一般式(1)の化合物、を含有する塩素系漂白剤組成物。
XO(AO)pY (1)
(式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、pは1〜100の数で平均付加モル数を示す。Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはアルカノイル基を示す。Yは−SO3H、−CH2COOHあるいはこれらのアルカリ金属塩を示す。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素系漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次亜塩素酸アルカリ金属塩を主成分とする漂白剤組成物は多く知られており、浴室、浴槽、台所、トイレ、配水管等の硬質表面に付着した汚れ、特にカビ等に起因する汚れの除去を目的として広範囲に使用されている。上記の如き漂白剤組成物は、適用される硬質表面が水平面に限らず垂直面、傾斜面など様々であることから、いかなる表面に適用された場合にも優れた漂白性能を発揮させるために、対象となる汚れへの付着滞留性が要求されている。また、浴室などで漂白剤組成物を使用する際には、広い範囲に効率的に塗布することができる、あるいは、対象とする汚れに集中的に塗布することが可能であるという点から、トリガー式のスプレーヤーを用いることが多く、このような容器を使用した際の適合性についても同時に満足する必要がある。このような要求に応えるべく、種々の方法による組成物の付着滞留性の向上が試みられている。例えば、特許文献1には組成物に粘度を付与することで付着滞留性を高めた洗浄剤製品が開示されている。特許文献2にはチキソトロピー性を有する比較的高粘度の洗浄剤を、スプレーヤーを用いて適度な粗さの泡状に噴霧することで、対象物が網目構造体であっても網目を通過することなく対象物の表面を均一に覆うように付着し、優れた付着滞留性を発揮することが可能な洗浄剤及び洗浄剤製品が開示されている。また、特許文献3では特定の重合体を含有する貯蔵安定性に優れた漂白剤組成物が開示されている。
【特許文献1】特開2003−41300号
【特許文献2】特開2003−253297号
【特許文献3】特開平7−305099号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の洗浄剤製品は、組成物の付着滞留性は高まるが、トリガー式のスプレーヤーで噴霧しても泡にならず、使い心地や視認性に劣る。特許文献2記載の洗浄剤及び洗浄剤製品は、洗浄剤の付着滞留性は高まるが、粗い泡のため視認性などの使い勝手に劣る。また、特許文献3記載の漂白剤組成物は、次亜塩素酸アルカリ金属塩の貯蔵安定性には優れるが、トリガー式スプレーヤーで噴霧した際の状態についての記載はなく、こうした用途に適した特徴的な泡を提供できる手段については具体的に示唆されていない。
【0004】
すなわち、トリガー等のスプレーヤーで噴霧時に吐出される泡が視認性、対象面への付着滞留性などの使い勝手に優れた塩素系漂白剤組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩〔以下、(a)成分という〕、(b)アルカリ金属の水酸化物〔以下、(b)成分という〕、(c)界面活性剤〔以下、(c)成分という〕、(d)下記一般式(1)の化合物〔以下、(d)成分という〕、を含有する塩素系漂白剤組成物に関する。
XO(AO)pY (1)
(式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、pは10〜100の数で平均付加モル数を示す。Xは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはアルカノイル基を示す。Yは−SO3H、−CH2COOHあるいはこれらのアルカリ金属塩を示す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トリガー等のスプレーヤーで噴霧時に吐出される泡により得られる視認性、対象面への付着滞留性などの使い勝手に優れた塩素系漂白剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(a)成分の次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等が挙げられ、特に次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムは、製造上次亜塩素酸ナトリウムと当モルの塩化ナトリウムが混在するが、塩化ナトリウムが多量に存在する次亜塩素酸ナトリウムは貯蔵安定性を損なう場合があるため、予め塩化ナトリウムを低減化したものを用いることが好ましい。具体的には塩化ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムに対して10〜60モル%、好ましくは10〜40モル%のものが好適である。このような塩化ナトリウムを低減化した次亜塩素酸ナトリウムは、低食次亜塩素酸ナトリウムとして市販されている。本発明の塩素系漂白剤組成物中における(a)成分の含有量は、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜4.0質量%が更に好ましく、1.0〜3.0質量%が特に好ましい。(a)成分の含有量が0.1質量%以上では充分な漂白力が得られ、5.0質量%以下では次亜塩素酸アルカリ金属塩の良好な安定性が得られる。
【0008】
(b)成分のアルカリ金属の水酸化物とは、塩素系漂白剤組成物中に存在するアルカリ金属イオンとヒドロキシイオンとの組合せ、すなわち遊離アルカリを示し、他の対イオンとの組合せの場合はこの対象としない。(b)成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、特に水酸化ナトリウムが好ましい。なお、本発明において、組成物中の(b)成分の量はASTM D 2022−89記載の方法により測定される。すなわち、この方法は、漂白剤中の遊離アルカリ量を水酸化ナトリウム(NaOH)として測定するものであり、本発明においてもこの方法で得られた組成物中の遊離アルカリの量を組成物中の(b)成分の量とする。本発明の塩素系漂白剤組成物には、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性を向上する成分として(b)成分を含有しており、その含有量は、0.1〜1.0質量%が好ましく、0.2〜0.8質量%が更に好ましく、0.3〜0.7質量%が特に好ましい。(b)成分の含有量が0.1質量%以上では良好な次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性が得られ、1.0質量%以下では良好な安定性が得られる。
【0009】
本発明の塩素系漂白剤組成物中における(c)成分の界面活性剤としては、通常塩素系漂白剤組成物に用いられる界面活性剤を用いることができるが、中でも下記一般式(2)、(3)、(4)、(5)、及び(6)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。
123N→O (2)
4SO3M (3)
5O(AO)qSO3M (4)
6COOM (5)
7O(AO)r8COOM (6)
(式中、R1は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R2及びR3は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R4は炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又はベンゼン環に炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が結合したアルキルアリール基、R5、R6及びR7はそれぞれ炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。Aは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基の1種又は2種以上を示し、R8は炭素数1〜4のアルキレン基を示す。q及びrはそれぞれ0〜100の数で平均付加モル数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。)
【0010】
これらの中でも、一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表される化合物を1種以上配合することが好ましく、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)、(4)、(5)で表される化合物との組合せや、一般式(4)で表される化合物と一般式(3)、(5)で表される化合物との組合せが特に好ましい。
【0011】
それぞれの化合物を具体的に説明すると、一般式(2)はアルキルアミンオキシドを示しており、R1はスプレー時の起泡性や組成物の安定性の点から、炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、中でも炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、特に炭素数12〜16のアルキル基が好ましい。R2とR3は組成物の安定性の点からメチル基が好ましい。
【0012】
一般式(3)はアルカンスルホン酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩を示しており、R4は起泡性や組成物の安定性の点から、炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、中でも炭素数8〜16のアルキル基が好ましく、特に炭素数10〜14のアルキル基が好ましい。アルカンスルホン酸塩の場合、スルホン酸基が結合するアルキル基の炭素原子は1級、2級、3級炭素原子のいずれでも、またこれらの組合せでも構わない。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、アルキル基は直鎖のものが一般的に用いられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、組成物の低温安定性、配合時の白濁を抑制する効果を示す。アルキルベンゼンスルホン酸塩は単体でも十分な起泡性を示すが、他の界面活性剤と併用することがより好ましい。
【0013】
一般式(4)はアルキル硫酸エステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を示し、R5は起泡性や組成物の安定性の点から、炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、中でも炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、特に炭素数10〜14のアルキル基が好ましい。qは起泡性や組成物の安定性の点から、0〜10の数が好ましく、特には0〜5が好ましい。
【0014】
一般式(5)は脂肪酸又はその塩を示し、R6は起泡性や組成物の安定性の点から、炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。起泡性や付着性の点では、R6は炭素数10〜16、特に好ましくは炭素数10〜14の単一アルキル基が好ましいが、組成物の安定性が損なわれる場合には、炭素数12〜14のアルキル基を6割(質量比)以上含有し、かつ炭素数8〜18までの分布を有するような混合アルキル基を用いることが好ましい。
【0015】
一般式(6)はアルキルカルボキシメチルエステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルカルボキシメチルエステル塩を示し、R7は起泡性の点から炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、中でも炭素数8〜14のアルキル基が好ましく、特に炭素数8〜10のアルキル基が好ましい。また、他の界面活性剤、特に脂肪酸塩と併用する場合には、組成物の安定性の点から、R7は炭素数8〜18のアルキル基が好ましく、中でも炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、特に炭素数12〜14のアルキル基が好ましい。rは起泡性や組成物の安定性の点から、1〜20の数が好ましく、特には3〜15が好ましい。
【0016】
このような化合物の中でも、ドデシルジメチルアミンオキサイドと、ドデカンスルホン酸ナトリウムやドデシル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレン(q=4)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの組合せ、テトラデシルジメチルアミンオキサイドと、ドデカンスルホン酸ナトリウムやデシル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレン(q=4)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウムなどの組合せ、あるいはポリオキシエチレン(q=4)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウムと、ドデカンスルホン酸ナトリウムやデカン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムとの組合せなどが好ましい。中でも付着性や起泡性の点から、ドデシルジメチルアミンオキサイドと、ドデシル硫酸エステルナトリウム、ドデカン酸ナトリウムなどの組合せ、テトラデシルジメチルアミンオキサイドと、ドデカンスルホン酸ナトリウムやデシル硫酸エステルナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウムなどの組合せがより好ましく、テトラデシルジメチルアミンオキサイドと、デシル硫酸エステルナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウムの組合せが最も好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、これら界面活性剤の組み合わせに、追加することにより、組成物の低温安定性や配合時の白濁抑制を向上させることができる。
【0017】
組成物中の(c)成分の含有量としては、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.2〜2.0質量%がさらに好ましく、0.3〜1.5質量%が特に好ましい。(c)成分の含有が0.1質量%以上では良好な起泡性が得られ、3.0質量%以下では組成物の安定性が良好となる。(c)成分のうち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は組成物中に、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.4質量%、最も好ましくは0.05〜0.3質量%の濃度で配合される。これはナトリウム塩としてカウントされた場合の濃度である。アルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量が0.01質量%以上では低温安定性を更に改善でき、0.5質量%以下では配合時の白濁を抑制できる。
【0018】
(d)成分は下記一般式(1)で表される化合物である。
XO(AO)pY (1)
(式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、pは10〜100の数で平均付加モル数を示す。Xは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはアルカノイル基を示す。Yは−SO3H、−CH2COOHあるいはこれらのアルカリ金属塩を示す。)
【0019】
(d)成分として具体的には、Aは起泡性や付着性の点から炭素数2が好ましい。pは起泡性や付着性の点から10〜100が好ましく、10〜70がさらに好ましく、20〜40が特に好ましい。Xは水素原子と炭素数1〜2のアルキル基、炭素数2〜3のアルカノイル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。Yは−SO3H、−CH2COOHあるいはこれらのアルカリ金属塩を示すが、次亜塩素酸塩の安定性に優れていることから−SO3Hあるいはこのアルカリ金属塩が好ましい。組成物中の(d)成分の含有量としては、0.05〜3.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がさらに好ましく、0.1〜1.0質量%が特に好ましい。(d)成分の含有量は、起泡性の点で0.05質量%以上であり、安定性の観点から3.0質量%以下である。
【0020】
本発明の塩素系漂白剤組成物は、低温安定性やトリガー式のスプレーヤーで噴霧した時の起泡力及び泡の緻密さを更に向上させる成分として、(e)ベンゼン環を有するハイドロトロープ剤を含有することが好ましい。(e)成分としてキシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、安息香酸又はそれらのアルカリ金属塩等のハイドロトロープ剤を含有することで低温安定性、及び起泡力を更に向上することが出来る。これらの中でも特にメタキシレンスルホン酸又はそのナトリウム塩が好ましい。本発明の塩素系漂白剤組成物中における(e)成分の含有量は、0.1〜3.0質量%が好ましく、0.2〜2.0質量%が更に好ましく、0.3〜1.0質量%が特に好ましい。(e)成分の含有量が0.1質量%以上で低温安定性やトリガー等のスプレーヤーで噴霧した時の起泡力及び付着性を更に向上する効果が大きくなり、3.0質量%以下で次亜塩素酸アルカリ金属塩の良好な安定性が得られる。
【0021】
本発明の塩素系漂白剤組成物は、香料を含有することができる。次亜塩素酸塩系に配合可能な香料成分の例としては、特開昭50−74581号公報及び特開昭62−205200号公報を参考にすることができ、単体香料及びそれらを組合せた配合香料であってもよい。香料は通常、組成物中に0.001〜0.5質量%含有されるが、安定性を損なう恐れがあるので、配合成分と含有量には注意を要する。
【0022】
本発明の塩素系漂白剤組成物の残部は水であり、保存安定性の上で、微量に存在する金属イオンなどを除去したイオン交換水や蒸留水が好ましい。水の含有量は保存安定性の点から、組成物中80〜98質量%、更に90〜98質量%が好ましい。また、組成物の20℃におけるpHを12.5〜13.5に調整することが、保存安定性及び漂白効果の点から好ましい。
【0023】
本発明の塩素系漂白剤組成物は、垂直面や傾斜面など様々な対象面への付着滞留性という点から粘性を付与した組成物が好ましく、粘度(B型粘度計、測定条件:20℃、ローターNo.1、60rpm、回転を始めてから60秒後の値を粘度とする)が、5〜100mPa・sが好ましく、5〜50mPa・sが更に好ましく、5〜30mPa・sが特に好ましい。
【0024】
本発明の塩素系漂白剤組成物の使用方法としては、簡便性、発泡性の点からスプレー容器に充填してなる、容器入り漂白剤の形態が好ましい。噴霧器としては(a)〜(d)成分、更に(e)成分と水を含有する塩素系漂白剤組成物を泡状にして噴霧することができるトリガー式スプレー、具体的には1回の操作で0.5〜2mLの組成物を吐出し、泡を形成する機構を備えたトリガーが好ましい。また、本発明の塩素系漂白剤組成物を使用する際には対象物1m2に対して5〜15gの割合で噴霧することが好ましい。
【実施例】
【0025】
表1に示す塩素系漂白剤組成物を調製し、粘度の測定、泡比容の測定、泡の付着滞留性評価を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0026】
<粘度の測定>
表1に示す塩素系漂白剤組成物を、B型粘度計(TOKIMEC製)を使用して、組成物の温度を20℃、ローターNo.1を用い、回転数を60rpm、回転を始めてから60秒後の条件で測定した。
【0027】
<泡比容の測定>
表1に示す塩素系漂白剤組成物を、カビとりハイターストロング(花王株式会社製)のトリガースプレーヤーを用いて、200mLのメスシリンダーに10回スプレーした時に出来る泡の容量(mL)を読みとる。また、その時の噴霧量(g)を10mgの単位まで測定可能な天秤を用いて測定し、泡比容(mL/g)=泡の容量(mL)/噴霧量(g)の計算式で算出した。数値が大きい程、良好な効果感や視認性が得られる。
【0028】
<泡の付着滞留性評価>
表1に示す塩素系漂白剤組成物を、カビとりハイターストロング(花王株式会社製)のトリガースプレーヤーを用いて、10cm×10cmの陶器タイルが張られた浴室壁のタイル目地に沿って10cm離れたところから、横幅10cmの範囲内に横に4回噴霧し、泡が付着した位置から1分後に泡が垂れ落ちた位置までの面積を算出した。数値が小さい程、付着滞留性が高いことを示している。なお、数値上の表現による相違は少ないが、目視のよる相違は明らかである。
【0029】
【表1】

【0030】
・次亜塩素酸ナトリウム:次亜塩素酸ナトリウム、南海化学工業(株)製
・水酸化ナトリウム:48%液体苛性ソーダ、南海化学工業(株)製(表中の数値は、遊離した水酸化ナトリウム量を示す。)
・テトラデシルジメチルアミンオキサイド:ファーミン DM4098ミリスチルアミン(花王(株)製)と過酸化水素水(日本パーオキサイド社製)から合成したサンプル。
・脂肪酸Na:ルナックL−70(カプリン酸10,ラウリン酸76、ミリスチン酸14の組成質量比である脂肪酸の混合物)のナトリウム塩、花王(株)製
・アルキルベンゼンスルホン酸Na:ネオペレックスG−25、花王(株)製
・化合物1:メタノールにエチレンオキサイドを付加し、さらに無水硫酸を反応させたサンプル。エチレンオキサイドの平均付加モル数は23であり、エチレンオキサイドの末端は完全に硫酸エステル基であった。
・化合物2:メタノールにエチレンオキサイドを付加し、さらに無水硫酸を反応させたサンプル。エチレンオキサイドの平均付加モル数は54であり、エチレンオキサイドの末端は完全に硫酸エステル基であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)次亜塩素酸アルカリ金属塩、(b)アルカリ金属の水酸化物、(c)界面活性剤、(d)下記一般式(1)の化合物、を含有する塩素系漂白剤組成物。
XO(AO)pY (1)
(式中、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、pは10〜100の数で平均付加モル数を示す。Xは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはアルカノイル基を示す。Yは−SO3H、−CH2COOHあるいはこれらのアルカリ金属塩を示す。)
【請求項2】
(c)成分の界面活性剤が下記一般式(2)、(3)、(4)、(5)、及び(6)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の塩素系漂白剤組成物。
123N→O (2)
4SO3M (3)
5O(AO)qSO3M (4)
6COOM (5)
7O(AO)r8COOM (6)
(式中、R1は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R2及びR3は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R4は炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又はベンゼン環に炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が結合したアルキルアリール基、R5、R6及びR7はそれぞれ炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。Aは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基の1種又は2種以上を示し、R8は炭素数1〜4のアルキレン基を示す。q及びrはそれぞれ0〜100の数で平均付加モル数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。)

【公開番号】特開2007−177095(P2007−177095A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377820(P2005−377820)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】