説明

塵芥収集装置のバケット反転装置およびこれを備えた塵芥収集車

【課題】バケット内に地上面付近から直接塵芥を投入して塵芥収集装置内へ放出することが可能な塵芥収集装置のバケット反転装置およびこれを備えた塵芥収集車の提供。
【解決手段】塵芥収集装置に固定される支持ブラケット31と、地上面付近に配置されるときに地上面付近に開口部が向けられるバケット32と、支持ブラケット31に軸支され、回動することによりバケット32を押し上げて反転させるためのリフトアーム44と、支持ブラケット31およびリフトアーム44に軸支され、リフトアーム44を回動させるためのリンク機構45と、上下に昇降可能であって、バケット32を軸支するとともにリンク機構45を押し上げることによりリフトアーム44を回動させる押上体33bを備えた昇降フレーム33と、この昇降フレーム33を上下に昇降させる昇降装置34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を投入して塵芥収集装置内へ放出することが可能な塵芥収集装置のバケット反転装置およびこれを備えた塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車の塵芥投入箱後部へバケット反転装置を設け、地上の低い位置から荷箱内へ廃棄物等を積み込むようにした装置は知られている。例えば、特許文献1には、塵芥投入箱(パッカ)の後部にバケットを固定したアームを軸支し、このアームと塵芥投入箱の底部との間に車両前後斜め方向に油圧シリンダを設け、この油圧シリンダの伸縮動作にてバケットを回動させるものが開示されている。同様に、特許文献2には、油圧シリンダをアームと塵芥投入箱の上部との間に車両前後斜め方向に設けたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、塵芥収集車の塵芥投入箱の後部に回動可能なアームを設け、このアームにダストコンテナボックスを取り付けて回動させることにより、ダストコンテナボックスを反転させ、ダストコンテナボックス内に収容している塵芥を塵芥投入箱の塵芥投入口内に放出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5−24042号公報
【特許文献2】特開昭49−110025号公報
【特許文献3】特許第2769071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載のようなバケット反転装置では、地上面の塵芥(高速道路脇で刈り取った草木など)を直接箒などの道具でバケットに収納することができないほか、バケットを反転させるためにアームと塵芥投入箱との間に車両前後方向に油圧シリンダを設けなければならず、この油圧シリンダの設置スペースの確保が問題となる。また、既存の塵芥収集車に適用しようとしても、油圧シリンダを車両本体側の適切な位置に取り付けなければならず、非常に困難である。
【0006】
一方、特許文献3に記載のダストコンテナボックスの反転装置では、反転機構が塵芥収集車と独立しているため、既存の塵芥収集車への適用は容易であるが、この装置は、予め塵芥が収容されたダストコンテナボックスを単に反転させるものであり、地上の低い位置から塵芥を投入して塵芥投入箱内へ積み込むものではない。
【0007】
本発明は、バケット内に地上面付近から直接塵芥を投入して塵芥収集装置内へ放出することが可能な塵芥収集装置のバケット反転装置およびこれを備えた塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塵芥収集装置のバケット反転装置は、塵芥が投入される開口部と、この開口部より奥側に形成された貯留部とを有するバケットと、塵芥収集装置の投入口に設けられ、バケットを昇降および反転させる昇降反転機構とからなり、バケットは、地上面に降ろされたときには開口部が地上面に向けられ、上昇時には反転して開口部から塵芥を投入口に放出することが可能であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、地上面に降ろされたときに地上面に向けられたバケットの開口部からこの開口部の奥側に形成された貯留部へ直接塵芥を投入し、このバケットを昇降反転機構により昇降および反転させ、貯留部内の塵芥を開口部から塵芥収集装置の投入口へ放出することが可能となる。
【0010】
ここで、昇降反転機構は、塵芥収集装置の投入口に固定される支持ブラケットと、支持ブラケットに軸支され、回動することによりバケットを押し上げて反転させるためのリフトアームと、支持ブラケットおよびリフトアームに軸支され、リフトアームを回動させるためのリンク機構と、上下に昇降可能であって、バケットを軸支するとともにリンク機構を押し上げることによりリフトアームを回動させる押上体を備えた昇降フレームと、この昇降フレームを上下に昇降させる昇降装置とを有するものであることが望ましい。
【0011】
これにより、地上面に降ろされたときに地上面に向けられたバケットの開口部からこの開口部の奥側に形成された貯留部へ直接塵芥を投入し、昇降装置により昇降フレームを上昇させると、この昇降フレームとともにバケットが上昇する。また、この昇降フレームに備えられた押上体によりリンク機構が押し上げられることにより、リフトアームが回動して、バケットが反転し、貯留部内の塵芥を開口部から塵芥収集装置の投入口へ放出することが可能となる。
【0012】
ここで、リフトアームは、バケットが地上面付近に配置されるときに略鉛直方向に配置される第1アーム部分と、略水平方向に配置され、端部で支持ブラケットに軸支される第2アーム部分とからなる略L字状のアームであり、かつ、バケットが反転した際にローラを止めるストッパ部を備えたものであり、バケットは、昇降フレームとともに所定高さ上昇した後、リフトアームの第1アーム部分に沿って転回するローラが軸支されたものであることが望ましい。これにより、バケットが昇降フレームとともに所定高さ上昇した後、このバケットのローラがリフトアームの第1アーム部分に沿って転回することにより、バケットはリフトアームの回動により押し上げられて反転する。また、バケットがリフトアームの回動により押し上げられた反転した際に、バケットのローラの転回がストッパ部により止められ、バケットが反転状態に維持される。
【0013】
また、リンク機構は、支持ブラケットに軸支され、押上体により押し上げられる第1リンクと、この第1リンクの端部およびリフトアームの第2アーム部分に軸支される第2リンクとから構成されるものであることが望ましい。これにより、第1リンクが押上体により押し上げられると、第2リンクによってリフトアームの第2アーム部分が押し上げられるので、リフトアームが回動して、バケットが反転する。
【0014】
また、本発明の塵芥収集車は、上記バケット反転装置および塵芥収集装置が搭載されたものである。この塵芥収集車によれば、塵芥収集車により移動しながら、バケット内に地上面付近から直接塵芥を投入して塵芥収集装置内へ放出し、塵芥収集することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバケット反転装置は、塵芥が投入される開口部と、この開口部より奥側に形成された貯留部とを有するバケットと、塵芥収集装置の投入口に設けられ、バケットを昇降および反転させる昇降反転機構とからなり、バケットが、地上面に降ろされたときには開口部が地上面に向けられ、上昇時には反転して開口部から塵芥を投入口に放出することが可能であるため、高速道路脇で刈り取った草木などの地上面の塵芥を直接箒などの道具でバケット内に収容し、このバケットを上昇、反転させて、塵芥収集装置内へ放出することが可能となり、塵芥の収集作業を容易に行えるので、作業者の肉体的負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における塵芥収集車の後部を断面にて示す側面図である。
【図2】図1のバケット反転装置の拡大図である。
【図3】図2のバケット反転装置の背面図である。
【図4】図2のバケット反転装置を地上面付近まで下降させた状態を示す側面図である。
【図5】図2のバケット反転装置の上昇途中の状態を示す側面図である。
【図6】図2のバケット反転装置の上昇途中の状態を示す側面図である。
【図7】図2のバケット反転装置の上昇途中の状態を示す側面図である。
【図8】図2のバケット反転装置の反転終了状態を示す側面図である。
【図9】図1の塵芥積込装置の上昇終了位置を説明する概略縦断面図である。
【図10】図1の塵芥積込装置の反転終了位置を説明する概略縦断面図である。
【図11】図1の塵芥積込装置の下降終了位置を説明する概略縦断面図である。
【図12】図1の塵芥積込装置の圧縮終了位置を説明する概略縦断面図である。
【図13】回転式の塵芥積込装置を示す塵芥投入箱の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施の形態における塵芥収集車の後部を断面にて示す側面図、図2は図1のバケット反転装置の拡大図、図3は図1のバケット反転装置の背面図である。なお、以下の説明において、前後方向は車体の前後方向と同じ方向を指すものとし、左右方向は車体の前方に向かって左右方向を指すものとする。
【0018】
図1において、塵芥収集車1は、車体2上に塵芥収集装置2aが搭載されたものである。塵芥収集装置2aは、車体2上に搭載された塵芥収容箱3と、この塵芥収容箱3の後端の後方開口部4に連設された塵芥投入箱5とから構成される。塵芥投入箱5は、後方開口部4の上方で投入箱支持ピン6により軸支されており、この投入箱支持ピン6を中心に傾動自在となっている。
【0019】
塵芥投入箱5の後部には、塵芥を投入する投入口7が開口されている。塵芥投入箱5の内部には、圧縮式の塵芥積込装置8が装備されている。塵芥積込装置8は、塵芥投入箱5内に投入口7を通じて投入された塵芥を圧縮して、塵芥収容箱3内に積み込むためのものである。
【0020】
塵芥投入箱5の左右両側壁には、溝形鋼で形成された案内溝部材9が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。塵芥投入箱5内には、その横幅いっぱいに広がる摺動板10が収容されている。この摺動板10の左右両測縁の上下には、案内ローラ11が回転可能に設けられている。これらの案内ローラ11は、案内溝部材9の内壁に沿って転動自在に嵌入されている。
【0021】
また、摺動板10の背面上部の左右端部にはボス部12が設けられている。このボス部12には、摺動板支持軸13が挿通されている。この摺動板支持軸13は、塵芥投入箱5の左右両側壁に形成された摺動用開口5aを越えて塵芥投入箱5の内側より外側に突出するように配置されている。
【0022】
また、塵芥投入箱5の左右両側壁からそれぞれ外側に突出した摺動板支持軸13と塵芥投入箱5の下部間には、左右それぞれ塵芥投入箱5の外側に案内溝部材9の傾斜方向に沿って配置された摺動シリンダ14がそれぞれ連結されている。この摺動シリンダ14の伸縮動作によって、摺動板10は案内溝部材9に沿って上下に往復移動する。
【0023】
摺動板10の下端には、塵芥投入箱5の横幅いっぱいに広がる圧縮板15が前後方向に揺動自在に支持されている。この圧縮板15の先端は前方に向かって若干屈曲形成されている。また、圧縮板15の左右両背面には接続部15aが突設されている。この左右それぞれの接続部15aと、摺動板10の背面上部に設けられた摺動板支持軸13の左右両端部との間には、それぞれ揺動シリンダ16が連結されている。この揺動シリンダ16の伸縮作動によって、圧縮板15は前後に揺動する。
【0024】
一方、塵芥収容箱3内には排出板17が車体2の前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3内で車体2の前後方向に摺動する支持フレーム18に支持されている。支持フレーム18の左右両測縁には、排出板17の車体2の前後方向への移動をガイドするガイド部を構成する溝形鋼で形成された案内溝部材19が設けられている。一方、塵芥収容箱3の左右内側面には、この案内溝部材19とともにガイド部を構成する案内凸部材20が車体2の前後方向に延設されている。
【0025】
また、塵芥収容箱3内には、伸縮動作により排出板17を車体2の前後方向に移動させる排出シリンダ21が備えられている。排出シリンダ21は、多段伸縮式のテレスコピックシリンダである。排出シリンダ21の後端は、排出板17の下方に設けられた支持部材22に、軸部材23により回動自在に軸支されている。一方、図示しないが、排出シリンダ21の前端は塵芥収容箱3内の前方に回動自在に軸支されている。
【0026】
また、本実施形態における塵芥収集車1においては、塵芥投入箱5の後部の投入口7の下部に、バケット反転装置30が装備されている。バケット反転装置30は、塵芥投入箱5の投入口7の左右両側下部に固定される支持ブラケット31と、支持ブラケット31に軸支され、回動することによりバケット32を押し上げ、反転させるリフトアーム44と、支持ブラケット31およびリフトアーム44に軸支され、リフトアーム44を回動させるリンク機構45と、バケット32を軸支して上下に昇降する昇降フレーム33と、昇降フレーム33を上下に昇降させる昇降装置34とを備えている。支持ブラケット31、リフトアーム44、リンク機構45、昇降フレーム33および昇降装置34は、バケット32を昇降および反転させる昇降反転機構を構成している。また、投入口7の下部には、塵芥投入テーブル35を備えている。
【0027】
昇降装置34は、投入口7の左右両端部に設けられた支柱フレーム36と、この左右の支柱フレーム36に固定され、前記昇降フレーム33を鉛直上下方向に昇降するようにガイドするガイドフレーム37と、左右の支柱フレーム36の下部に橋渡された補助フレーム38と、左右の支柱フレーム36の上部にそれぞれ左右方向の軸に軸支されたガイドローラ39と、左右の支柱フレーム36の下部の補助フレーム38にそれぞれ前後方向に軸支されたガイドローラ40aと、補助フレーム38内に、左右方向に伸縮するように設けられた油圧シリンダ40と、油圧シリンダ40の先端に回転自在に軸支されたガイドローラ40cと、一端が車体2に接続され、他端が昇降フレーム33に接続されたワイヤ40dとから構成される。
【0028】
昇降装置34は、油圧シリンダ40の縮退動作により、ガイドローラ39,40a,40cを介して昇降フレーム33に固定されたワイヤ40dを引っ張ることで、昇降フレーム33を上昇させるものである。一方、昇降フレーム33の下降の際は、油圧シリンダ40の伸長動作により、昇降フレーム33やバケット32等の自重によりワイヤ40dが戻され、昇降フレーム33が下降する。
【0029】
バケット32は、投入口7の開口部分よりも若干小さい幅で形成されており、図2に示す初期位置から地上面付近に配置されるときに車両2の背面を向いて塵芥が投入される開口部32aと、この開口部32aの奥側に形成された貯留部32bとを有している。なお、バケット32は、左右の側板を除いてパンチング板により形成されている。
【0030】
また、バケット32は、図4に示すように、地上面に降ろされたときに地上面に開口部32aが向けられるが、この開口部32aの下端部には地上面に当接するゴム板32cが固定されている。なお、このゴム板32cは、地上面への当接状態に応じて回動するようにしても良い。また、ゴム板32cと反対側のバケット32の下端部には、バケット32が転回する際に地上面に当接して回転するローラ32dが軸支されている。
【0031】
また、バケット32には、側板からバケット32の左右両外側に向かって、バケット32を支持する支持アーム42が固定されている。また、バケット32の左右と支持アーム42との間にはそれぞれ支持軸41が設けられており、この支持軸41には回転自在なローラ43が軸支されている。また、バケット32の重心は、図2に示す状態においてローラ43の上方に位置するように設定されている。
【0032】
支持アーム42は、昇降フレーム33に固定された昇降ブラケット33cに対し、回転軸33aにより回転自在に軸支されている。すなわち、バケット32は支持アーム42を介して昇降ブラケット33cに軸支されている。前述のローラ43は、この昇降ブラケット33cとともにバケット32が所定高さ上昇した後、後述のリフトアーム44の第1アーム部分44aに沿って転動するものである。また、昇降ブラケット33cは、後述のリンク機構45を押し上げることにより後述のリフトアーム44を回動させる円柱状の押上体33bを備えている。
【0033】
また、支持ブラケット31には、リフトアーム44が回動軸44cによって回動自在に軸支されている。このリフトアーム44は、回動することによりバケット32を押し上げて反転させるためのものである。リフトアーム44は、図2に示すようにバケット32が初期位置から地上面付近に配置されるときに略鉛直方向に配置される第1アーム部分44aと、略水平方向に配置され、端部で支持ブラケット31に回動軸44cによって軸支される第2アーム部分44bとからなる略L字状のアームである。第1アーム部分44aには、バケット32が反転した際にローラ43を止めるストッパ部44dが形成されている。
【0034】
また、バケット反転装置30は、支持ブラケット31およびリフトアーム44に軸支されて、リフトアーム44を回動させるためのリンク機構45を備えている。リンク機構45は、支持ブラケット31に回転軸46aによって軸支され、押上体33bにより押し上げられる略への字状の第1リンク46と、この第1リンク46およびリフトアーム44に軸支される直線状の第2リンク47とから構成される。第1リンク46と第2リンク47とは回転軸45aによって回転可能に連結されている。第2リンク47は、リフトアーム44上において、第2アーム44b部分の支持ブラケット31に軸支される端部と第1アーム44aとの接続部分との間に回転軸47aによって軸支されている。
【0035】
ここで、図4から図8を参照してバケット反転装置30の動作について説明する。図4は図2のバケット反転装置を地上面付近まで下降させた状態を示す側面図、図5から図7は上昇途中の状態を示す側面図、図8は反転終了状態を示す側面図である。
【0036】
まず、図2に示す初期位置から昇降装置34により昇降フレーム33を下降させる。昇降フレーム33はガイドフレーム37に沿って鉛直下方向に下降し、この昇降フレーム33に固定された昇降ブラケット33cに支持されたバケット32が下降し、図4に示すようにゴム板32cおよびローラ32dの先端が地上面G.Lに到達する。この状態において、バケット32の開口部32aは地上面G.Lに向けられているので、作業者は地上面G.L付近から箒などの道具で直接塵芥をバケット32内に投入することができる。
【0037】
そして、昇降装置34により昇降フレーム33を上昇させると、リフトアーム44の第1アーム部分44aが、図5に示すようにバケット32のローラ43の下方(図6に示すようにリフトアーム44の回動方向に対して下方。図5においてはローラ43の左側)に入る。また、この昇降フレーム33の上昇に伴い、昇降ブラケット33cの押上体33bがリンク機構45の第1リンク46のへの字状の内側に当接する。ここで、さらに昇降フレーム33を上昇させると、昇降ブラケット33cとともに押上体33bが上昇し、図6および図7に示すようにリンク機構45を押し上げる。
【0038】
これにより、リフトアーム44が回動軸44cを中心に回動し、図6および図7に示すように、バケット32を、回転軸33aを中心に回動させることにより上昇させる。このとき、バケット32は、ローラ43がリフトアーム44の第1アーム部分44aに沿って転回する。そして、さらに昇降フレーム33を上昇させると、リフトアーム44が上昇し、回転軸33aを中心に回動するバケット32は反転し、ローラ43がストッパ部44dによって止められて、図8に示すようにバケット32の開口部32aが塵芥投入箱5の投入口7に対面する。
【0039】
これにより、このバケット32内に地上面G.L付近で投入された塵芥は、塵芥投入箱5の後部の投入口7へ放出される。また、このとき、バケット32の開口部32aの下方には塵芥投入テーブル35が備えられているので、バケット32の開口部32aから下方へ落下した塵芥は、この塵芥投入テーブル35の傾斜に沿って投入口7まで導かれる。
このように、このバケット反転装置30によれば、バケット32内に地上面G.L付近から直接塵芥を投入して塵芥投入箱5内へ放出することが可能であり、塵芥の収集作業を容易に行え、作業者の肉体的負担が軽減される。
【0040】
そして、塵芥投入箱5内に投入された塵芥は、以下のように塵芥積込装置8により塵芥収容箱3内へ積み込まれる。図9は塵芥積込装置8の上昇終了位置を説明する概略縦断面図、図10は塵芥積込装置8の反転終了位置を説明する概略縦断面図、図11は塵芥積込装置8の下降終了位置を説明する概略縦断面図、図12は塵芥積込装置8の圧縮終了位置を説明する概略縦断面図である。なお、図9〜図12において、簡略化のために、摺動シリンダ14は省略している。
【0041】
図9に示すように、摺動シリンダ14および揺動シリンダ16がいずれも伸長して摺動板10が上昇終了位置(最上位置)にある状態で、投入口7を通して塵芥60を塵芥投入箱5内に投入し、積込指示ボタンを押し込み操作する。積込指示ボタンによる積込指示がなされると、以下の積込動作が行われる。
【0042】
まず、図9に示す状態で、揺動シリンダ16が縮退作動して圧縮板15が反転作動し、反転終了位置(図10参照。)に達する(反転工程)。この後、摺動シリンダ14が縮退作動して摺動板10が下降し、これに伴って圧縮板15が下降する(下降工程)。そして、圧縮板15が下降終了位置(図11参照。)に達すると、揺動シリンダ16を伸長させて圧縮板15を前方に揺動させ、圧縮工程に移行する。
【0043】
そして、圧縮板15が圧縮終了位置(図12参照。)まで揺動する(圧縮行程)と、摺動シリンダ14を伸長させて圧縮板15を上昇させる(上昇工程)。この圧縮板15が上昇終了位置に達すると(図9参照。)、一連の積込動作を終了する。これにより反転、下降、圧縮、上昇の各工程を1サイクルとして塵芥積込動作を繰り返して行うことができる。
【0044】
なお、上記のように、塵芥収容箱3内への塵芥60を積み込み開始する際には、排出シリンダ21を伸長させて、排出板17を塵芥収容箱3内の最後方位置に配置しておく。そして、塵芥積込装置8により積込まれる塵芥60が排出板17を押圧する力が所定以上に達した際に、排出シリンダ21を縮退させることで、排出板17が徐々に前方に移動するようにしている。このような排出板17の移動動作によって、塵芥60を圧縮しながら塵芥収容箱3内へ積み込むことができるようになっている。
【0045】
また、塵芥収容箱3が塵芥60で満杯状態になったときには、塵芥投入箱5を傾動して塵芥収容箱3の後方開口部4を開放し、排出シリンダ21を伸長させることで、塵芥収容箱3の前部に位置する排出板17を後方に移動させ、塵芥収容箱3内に収容された塵芥60を排出することができるようになっている。
【0046】
また、本実施形態においては、圧縮式の塵芥積込装置を備えた塵芥収集車について説明したが、回転式の塵芥積込装置を備えた塵芥収集車にも適用可能である。図13は回転式の塵芥積込装置を示す塵芥投入箱の概略縦断面図である。
【0047】
図13に示すように、回転式の塵芥積込装置50は、車体2の前後方向に揺動する押込板51と、この押込板51の下端付近に回転中心を有して正逆転する回転板52とを備えている。押込板51は、塵芥投入箱5の幅方向全体に亘って延設され、かつ後方開口部4に対向するように配設されている。この押込板51の上部は、塵芥投入箱5の左右両側壁の中央付近に、中心軸51aよりも上方に延びる延設部51bが設けられている。
【0048】
延設部51bの先端には、左右一対の押込シリンダ53の先端が連設されている。押込シリンダ53は、その基端が投入箱支持ピン6に回動自在に支持されている。この押込シリンダ53の伸縮動作により、押込板51が中心軸51a周りに車体2の前後方向に揺動するようになっている。
【0049】
一方、回転板52は、押込板51の下側に設けられている。回転板52は、押込板51の下端付近に回転中心としての回転軸52aを有し、塵芥投入箱5の断面略半円弧状に形成された底壁54に沿って回転軸52a周りに回転するように構成されている。また、回転軸52aの一方は、正逆回転可能なモータ(図示せず。)に減速機構を介して駆動連結されており、このモータにより回転力がトルクアップされた状態で、モータと同期して正逆回転するように構成されている。
【0050】
このような構成の回転式の塵芥積込装置50においては、投入口7を通して塵芥投入箱5内に投入された塵芥は、回転板52が正回転(図13において右回り)することにより掻き集められ、回転板52の先端が後方開口部4の下縁の対応位置まで持ち上げられる。そして、押込板51が後方位置から前方位置へ揺動することにより、回転板52上の塵芥が後方開口部4を経て塵芥収容箱3内へ押し込まれる。
【0051】
そして、塵芥積込装置50により塵芥60が塵芥収容箱3の後方開口部4を経て積み込まれ、塵芥60を塵芥収容箱3内へ積み込むことができるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の塵芥収集装置のバケット反転装置は、バケット内に地上面付近から直接塵芥を投入して塵芥収集装置内へ放出する装置として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 塵芥収集車
2 車体
2a 塵芥収集装置
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
5 塵芥投入箱
5a 摺動用開口
6 投入箱支持ピン
7 投入口
8 塵芥積込装置
9 案内溝部材
10 摺動板
11 案内ローラ
12 ボス部
13 摺動板支持軸
14 摺動シリンダ
15 圧縮板
15a 接続部
16 揺動シリンダ
17 排出板
18 支持フレーム
19 案内溝部材
20 案内凸部材
21 排出シリンダ
22 支持部材
23 軸部材
30 バケット反転装置
31 支持ブラケット
32 バケット
32a 開口部
32b 側板
32c ゴム板
32d ローラ
33 昇降フレーム
33a 回転軸
33b 押上体
33c 昇降ブラケット
34 昇降装置
35 塵芥投入テーブル
36 支柱フレーム
37 ガイドフレーム
38 補助フレーム
39 ガイドローラ
40 油圧シリンダ
40a,40c ガイドローラ
40d ワイヤ
41 支持軸
42 支持アーム
43 ローラ
44 リフトアーム
44a 第1アーム部分
44b 第2アーム部分
44c 回動軸
44d ストッパ部
45 リンク機構
45a 回転軸
46 第1リンク
46a 回転軸
47 第2リンク
47a 回転軸
50 塵芥積込装置
51 押込板
51a 中心軸
51b 延設部
52 回転板
52a 回転軸
53 押込シリンダ
54 底壁
60 塵芥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥が投入される開口部と、この開口部より奥側に形成された貯留部とを有するバケットと、
塵芥収集装置の投入口に設けられ、前記バケットを昇降および反転させる昇降反転機構とからなり、
前記バケットは、前記地上面に降ろされたときには前記開口部が地上面に向けられ、上昇時には反転して前記開口部から前記塵芥を前記投入口に放出することが可能であることを特徴とする塵芥収集装置のバケット反転装置。
【請求項2】
前記昇降反転機構は、
前記塵芥収集装置の投入口に固定される支持ブラケットと、
前記支持ブラケットに軸支され、回動することにより前記バケットを押し上げて反転させるためのリフトアームと、
前記支持ブラケットおよび前記リフトアームに軸支され、前記リフトアームを回動させるためのリンク機構と、
上下に昇降可能であって、前記バケットを軸支するとともに前記リンク機構を押し上げることにより前記リフトアームを回動させる押上体を備えた昇降フレームと、
この昇降フレームを上下に昇降させる昇降装置と
を有するものである請求項1記載の塵芥収集装置のバケット反転装置。
【請求項3】
前記リフトアームは、前記バケットが地上面付近に配置されるときに略鉛直方向に配置される第1アーム部分と、略水平方向に配置され、端部で前記支持ブラケットに軸支される第2アーム部分とからなる略L字状のアームであり、かつ、前記バケットが反転した際に前記ローラを止めるストッパ部を備えたものであり、
前記バケットは、前記昇降フレームとともに所定高さ上昇した後、前記リフトアームの第1アーム部分に沿って転回するローラが軸支されたものである
請求項2記載の塵芥収集装置のバケット反転装置。
【請求項4】
前記リンク機構は、前記支持ブラケットに軸支され、前記押上体により押し上げられる第1リンクと、この第1リンクの端部および前記リフトアームの第2アーム部分に軸支される第2リンクとから構成されるものである請求項3記載の塵芥収集装置のバケット反転装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のバケット反転装置および塵芥収集装置が搭載された塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−235307(P2010−235307A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88035(P2009−88035)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】