説明

塵芥収集車の積込制御装置

【課題】積込作業の効率低下を最小限に抑えて、安全性をより向上できる塵芥収集車の積込制御装置を提供する。
【解決手段】所定の起動信号が入力された際に、車両後部の塵芥投入箱4に内装された積込装置5により、塵芥投入箱4に投入された塵芥を塵芥収容箱3内に積込むための積込動作を開始させる塵芥収集車の積込制御装置18において、積込動作を停止させる停止信号が入力されて積込動作が停止された際、当該積込動作の積込停止時間の計測を開始する計測部31と、起動信号が入力された際、計測部31により計測された積込停止時間と予め設定された閾値とを比較し、積込停止時間が閾値を超える場合は、積込停止時間が閾値を下回る場合よりも積込動作の開始時の動作速度を緩やかに上昇させるように調整する動作速度調整部32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塵芥収集車の積込制御装置に関し、特に積込動作開始時の動作速度を制御するようにした塵芥収集車の積込制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集車は、シャーシフレーム上に塵芥収容箱と積込装置を内装した塵芥投入箱とを搭載しており、所定の収集場所に順次走行移動して、塵芥投入箱の後端開口部から投入された塵芥を塵芥収容箱内に収容するようにしている。
【0003】
上記の積込装置としては、例えば、圧縮式積込装置(例えば、特許文献1参照)や、回転式積込装置(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
前者の圧縮式積込装置は、塵芥投入箱の側面の案内溝に沿って上下に摺動可能に設けられた可動遮蔽板と、この可動遮蔽板の下端に揺動可能に設けられた掻込板とを有し、可動遮蔽板を上下動用の油圧シリンダにより上下動させながら、その上下動動作と連動させて掻込板を揺動用の油圧シリンダにより揺動させて、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱内に収容するように構成されている。
【0005】
また、後者の回転式積込装置は、回転板と揺動可能な押込板とを有し、回転板を油圧モータにより回転させながら、その回転動作と連動して押込板を油圧シリンダにより揺動させて、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱内に収容するように構成されている。
【0006】
ここで、上述した油圧シリンダや油圧モータは、油圧ポンプを駆動源とする作動油の油圧回路に、それぞれバルブを介して連結されている。また、油圧ポンプは、動力取出装置であるPTO(Power Take Off)を介して、塵芥収集車のエンジンにより駆動されるようになっている。
【0007】
そして、積込制御装置は、積込動作の停止中に、操作パネルに設けられた作動ボタンの操作によって起動信号が入力されると、エンジンの回転数を上昇させて、油圧ポンプの回転数をエンジンのアイドル回転数よりも高くし、その状態で各バルブをシーケンス制御することにより、積込動作を実行するように積込装置を制御する。また、積込制御装置は、積込動作の実行中に、操作パネルに設けられた停止ボタンの操作によって停止信号が入力されると、油圧ポンプの回転数をエンジンのアイドル回転数に戻して、積込動作を停止するように積込装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−175605号公報
【特許文献2】特開2002−128205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の塵芥収集車の積込制御装置は、例えば図9にタイミングチャートを示すように、作動ボタンが操作されて起動信号が入力すると、油圧ポンプの回転数を、常に、アイドル回転数(図9では、500rpm)から予め設定された回転数(図9では、1000rpm)まで瞬時に増加させて、積込動作を最初から所定の動作速度で開始するように構成されている。
【0010】
ここで、積込動作を開始するまでの動作停止時間が比較的短ければ、例えば、同一収集場所において起動と停止とが短時間に繰り返し行われるような場合においては、作業者は動作速度を意識し易いので、各起動時に最初から所定の動作速度で積込動作を開始しても、作業安全上、特に問題ない。
【0011】
しかし、比較的長い積込停止時間の経過後、例えば、当日最初に積込動作を開始するような場合や、次の収集場所に移動して積込動作を再開するような場合においては、作業の停止時間が長かったために、作業者によっては、動作速度を意識せずに作動ボタンを操作する場合も想定される。このような場合、作動ボタンの操作により、所定の動作速度で積込動作が開始されると、作業者は予期せぬ動作速度に対応できなく円滑な作業動作が実行できないことが懸念され、作業安全上好ましくない。
【0012】
なお、作業の安全性を図るため、積込動作の開始時は、常に、時間をかけて所定の動作速度まで緩やかに上昇させることが考えられる。しかし、このようにすると、作業効率の低下を招くことになる。
【0013】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、積込作業の効率低下を最小限に抑えて、安全性をより向上できる塵芥収集車の積込制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する請求項1に記載の塵芥収集車の積込制御装置の発明は、所定の起動信号が入力された際に、上記塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱内に積込むための積込動作を塵芥の積込装置に開始させる塵芥収集車の積込制御装置において、上記積込動作を停止させる停止信号が入力されて上記積込動作が停止された際、当該積込動作の積込停止時間の計測を開始する計測部と、上記起動信号が入力された際、上記計測部により計測された上記積込停止時間と予め設定された閾値とを比較し、上記積込停止時間が上記閾値を超える場合は、上記積込停止時間が上記閾値を下回るの場合よりも上記積込動作の開始時の動作速度を緩やかに上昇させる動作速度調整部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
これによると、積込動作の開始時の動作速度は、計測部で計測された前回の積込動作からの積込停止時間が閾値を超えている場合は、その積込停止時間が閾値を下回る場合よりも緩やかに上昇するように調整される。これにより、当日最初に積込動作を開始する場合や、次の収集場所に移動して積込動作を再開する場合のように、前回の積込動作からの積込停止時間が長く、閾値を超えるような場合は、積込動作開始時の動作速度が相対的に緩やかに上昇し、同一収集場所において起動と停止とが短時間に繰り返される場合のように、前回の積込動作からの積込停止時間が短く、閾値を下回る場合は、積込動作開始時の動作速度が相対的に速く上昇することになる。したがって、積込作業の効率低下を最小限に抑えながら、安全性をより向上することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の塵芥収集車の積込制御装置において、上記計測部は、上記起動信号の入力により上記積込停止時間の計測を停止し、上記動作速度調整部は、上記計測部により計測された上記積込停止時間を取得すると、上記計測部をリセットすることを特徴とする。
【0017】
これによると、起動信号が入力される毎に、直前の動作停止時からの経過時間である積込停止時間を容易に認識することが可能となり、処理時間の短縮が図れる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の塵芥収集車の積込制御装置において、上記積込装置は、上記積込動作を実行する駆動源としての油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動する電動モータとを有し、上記動作速度調整部は、上記電動モータの回転数を制御して上記動作速度を調整する、ことを特徴とする。
【0019】
これによると、積込装置の駆動源である油圧ポンプを電動モータにより駆動し、この電動モータの回転数を制御して動作速度を調整するので、動作速度を簡単かつ高精度で調整することが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の塵芥収集車の積込制御装置において、上記積込装置は、上記積込動作を実行する駆動源としての油圧ポンプと、該油圧ポンプを上記塵芥収集車のエンジンにより駆動させる動力取出装置とを有し、上記動作速度調整部は、上記塵芥収集車のエンジン制御装置を介して、上記エンジンの回転数を制御して上記動作速度を調整する、ことを特徴とする。
【0021】
これによると、積込装置の駆動源である油圧ポンプを、動力取出装置(PTO)を介してエンジンにより駆動し、そのエンジンの回転数を動作速度調整部によりエンジン制御装置を介して制御するので、PTOを有する既存の塵芥収集車にも、本発明を容易に実施することができ、汎用性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、積込動作を開始する際、前回の積込動作からの積込停止時間が閾値より長い場合は、その積込停止時間が閾値を下回る場合よりも積込動作の動作速度が緩やかに上昇するので、積込作業の効率低下を最小限に抑えながら、安全性をより向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る積込制御装置を適用可能な塵芥収集車を示す要部側面図である。
【図2】図1に示す積込装置の要部拡大側面図である。
【図3】図1に示した塵芥収集車の積込動作を構成する順次の動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る積込制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4に示した積込制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4に示した積込制御装置による積込動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る積込制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図8】図7に示した積込制御装置による積込動作を示すタイミングチャートである。
【図9】従来の積込制御装置による積込動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0025】
(第1実施の形態)
図1〜図3は、本発明の第1実施の形態に係る積込制御装置を適用可能な塵芥収集車を示すもので、図1は要部側面図、図2は図1に示す積込装置の要部拡大側面図であり、図3(a)〜(d)は積込動作を構成する順次の動作を説明するための図である。
【0026】
この塵芥収集車1は、キャブ2の後方のシャーシフレーム上に塵芥収容箱3が装着され、この塵芥収容箱3の後部開口端3aに、塵芥投入箱4が連接されている。そして、投入口から塵芥投入箱4に投入された塵芥は、当該塵芥投入箱4に内蔵された積込装置5によって塵芥収容箱3内に積み込まれるように構成されている。
【0027】
積込装置5は圧縮式のもので、図2に示すように、塵芥投入箱4の両側壁4a(一方のみ図示)に各々前方上部から後方下部に亘って傾斜して設けられた一対の直線状に形成されたガイドレール6を有し、各ガイドレール6内を転動する一対のローラ7a、7bによって上下動可能に可動遮蔽板8が支持され、可動遮蔽板8と側壁4aとの間に可動遮蔽板用油圧シリンダ9が架設されている。
【0028】
可動遮蔽板8の下端には、断面視略三角形状をなす掻込板10が回動軸11によって揺動可能に支持され、可動遮蔽板8と掻込板10との間に架設された掻込板用油圧シリンダ12の伸縮によって掻込板10が回動軸11を中心に揺動するように構成されている。
【0029】
そして、積込装置5は、掻込板10を、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態とする反転動作、図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態とする下降動作、図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態とする掻込動作、図3(d)に示す状態から図3(a)に示す状態とする上昇動作を一サイクルの積込動作として、該積込動作を繰り返し実行することにより、投入口から塵芥投入箱4内に連続的に投入される塵芥を、塵芥収容箱3内に順次積み込み収容するようになっている。
【0030】
図4は、本発明の第1実施の形態に係る積込制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。図4において、積込装置5は、駆動源としての油圧ポンプ13を有し、この油圧ポンプ13による作動油の油圧回路14に、可動遮蔽板用油圧シリンダ9および掻込板用油圧シリンダ12が、それぞれバルブ15および16を介して連結されている。
【0031】
ここでは、油圧ポンプ13を電動モータ17により駆動するようにし、この電動モータ17および上記バルブ15、16を、積込制御装置18により駆動制御する。
【0032】
積込制御装置18は、積込動作の開始を指示する起動信号を発生するための作動ボタン20aおよび積込動作の停止を指示する停止信号を発生するための停止ボタン20bを有する操作盤20、図3(b)の反転動作の完了を検知する反転完了スイッチ21、図3(c)の下降動作の完了を検知する下降完了スイッチ22、図3(d)の掻込動作の完了を検知する掻込完了スイッチ23、図3(a)の上昇動作の完了を検知する上昇完了スイッチ24、積込動作プログラムを含み各種動作プログラムや各種データ等を記録する記憶部25、ブザー等の警報装置26、および制御部27を有する。なお、警報装置26は、例えば、キャブ2内に設置する。
【0033】
制御部27は、例えばCPU(中央処理装置)やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等で構成され、操作盤20からの入力コマンド、完了スイッチ21〜24の各出力、記憶部25に記憶されている各種動作プログラムや各種データに基づいて、電動モータ17、バルブ15、16および警報装置26の動作を制御するようになっている。なお、記憶部25は、制御部27の内蔵メモリで構成してもよいし、動作プログラムと各種データとを別々の記憶部に格納するようにしてもよい。
【0034】
制御部27には、積込停止時間を計測する計測部31と、電動モータ17の回転数(回転速度)を制御して油圧ポンプ13による積込動作の動作速度を調整する動作速度調整部32とを設ける。なお、これら計測部31および動作速度調整部32は、制御部27においてソフトウェアにより実行されるように構成してもよいし、制御部27とは個別に設けてもよい。
【0035】
本実施の形態では、電動モータ17の回転数制御により、油圧ポンプ13の回転数(回転速度)を、積込動作停止状態では0rpmとし、通常の積込動作状態では1000rpmを目標速度とする。また、積込動作開始時の起動モードとして、油圧ポンプ13の回転数を0rpmから目標速度の1000rpmまで緩やかに上昇させる安全起動モードと、安全起動モードよりも急峻に上昇させる通常起動モードとを設け、そのいずれかの起動モードを、前回の積込動作からの積込停止時間と所定の閾値との比較に基づいて選択して積込動作を実行する。これら安全起動モードによる動作プログラム、通常起動モードによる動作プログラムおよび積込停止時間の閾値は、記憶部25に記憶しておく。
【0036】
ここで、再び図3(a)〜(d)を参照して、上述した積込装置5による積込動作について、更に詳細に説明する。ここでは、説明の便宜上、積込装置5の可動遮蔽板8および掻込板10は、図3(a)に示す位置をホームポジションとする。この状態で、操作盤20に設けられた作動ボタン20aが操作されると、制御部27は、作動ボタン20aの操作により発生される起動信号を入力して、電動モータ17の駆動を開始し、バルブ16を制御して、掻込板用油圧シリンダ12を収縮駆動する。これにより、掻込板10を、回転軸11を中心に反転させる反転動作を開始させる。そして、掻込板10の先端10aが、図3(a)に示す積込完了位置aから所定量反転して、図3(b)に示すように、反転完了位置bに達すると、反転完了スイッチ21(図4参照)の作動により、バルブ16を制御して、掻込板用油圧シリンダ12の収縮駆動を停止し、掻込板10を当該位置で静止させる。
【0037】
反転完了スイッチ21が作動すると、制御部27は、反転動作を終了させるとともに、バルブ15を制御して、可動遮蔽板用油圧シリンダ9を収縮駆動し、可動遮蔽板8および掻込板10の下降動作を開始させる。そして、可動遮蔽板8が所定量下降して、掻込板10の先端10aが、図3(c)に示す下降完了位置cに達すると、下降完了スイッチ22(図4参照)の作動により、バルブ15を制御して可動遮蔽板用油圧シリンダ9の収縮駆動を停止し、可動遮蔽板8を当該位置で静止させる。
【0038】
下降完了スイッチ22が作動すると、制御部27は、下降動作を終了させるとともに、バルブ16を制御して、掻込板用油圧シリンダ12を伸張駆動する。これにより、掻込板10を、回動軸11を中心に正転させる掻込動作を開始させる。そして、掻込板10が所定量正転して、先端10aが図3(d)に示す掻込完了位置cに達すると、掻込完了スイッチ23(図4参照)の作動により、バルブ16を制御して、掻込板用油圧シリンダ12の伸張駆動を停止し、掻込板10を当該位置で静止させる。この掻込動作により、塵芥投入箱4に投入された塵芥が掻き込まれる。
【0039】
掻込完了スイッチ23が作動すると、制御部27は、掻込動作を終了させると同時に、バルブ15を制御して、可動遮蔽板用油圧シリンダ9を伸張駆動し、可動遮蔽板8および掻込板10の上昇動作を開始させる。そして、可動遮蔽板8が所定量上昇して、掻込板10の先端10aが、図3(a)に示す上昇完了位置aに達すると、上昇完了スイッチ24(図4参照)の作動により、バルブ15を制御して可動遮蔽板用油圧シリンダ9の伸張駆動を停止し、可動遮蔽板8を当該位置で静止させる。この上昇動作により、掻込動作において掻込板10により掻き込まれた塵芥が後部開口端3aから塵芥収容箱3内に押し込まれる。
【0040】
上記の反転動作、下降動作、掻込動作及び上昇動作により、積込装置5による積込動作の一サイクルが完了し、この積込動作を繰り返し実行することにより、投入口から塵芥投入箱4内に連続的に投入される塵芥が、塵芥収容箱3内に順次積み込み収容されるようになっている。なお、図3(a)〜(d)において、二点鎖線Tは、掻込板10の先端10aの軌跡を示している。
【0041】
本実施の形態の係る積込制御装置18は、作動スイッチ20aの操作により上記の積込動作を開始するにあたって、前回の積込動作からの積込停止時間と所定の閾値との比較に基づいて、安全起動モードまたは通常起動モードのいずれかの起動モードを選択して積込動作を実行する。
【0042】
以下、図5に示すフローチャートを参照して、本実施の形態による積込制御装置18の動作を説明する。
【0043】
先ず、制御部27は、操作盤20の停止ボタン20bの操作による停止信号の入力の有無を監視し(ステップS501)、停止信号が入力されると(YESの場合)、積込動作が起動中であるか否かを判定する(ステップS502)。その結果、起動中であれば(YESの場合)、制御部27は、計測部31による積込停止時間の計測を開始させるとともに(ステップS503)、積込装置5による積込動作を停止させる(ステップS504)。また、制御部27は、通常起動モードの実行フラグをOFFにするとともに(ステップS505)、安全起動モードの実行フラグをOFFにして(ステップS506)、ステップS501の停止信号の監視動作に移行する。なお、ステップS502において、積込動作が起動中でない場合(NOの場合)も、制御部27は、ステップS501の停止信号の監視動作に移行する。
【0044】
一方、ステップS501において、停止信号が入力されない場合、制御部27は、積込動作が起動中であるか否かを判定し(ステップS507)、起動中であれば(YESの場合)、実行フラグの状態に合わせて積込動作を実行して(ステップS508)、ステップS501に移行する。これに対し、積込動作が起動中でなければ(NOの場合)、制御部27は、操作盤20の作動ボタン20aの操作による起動信号の入力の有無を監視する(ステップS509)。
【0045】
その結果、起動信号の入力がなければ(NOの場合)、制御部27は、ステップS501の停止信号の監視動作に移行する。これに対し、起動信号が入力された場合(YESの場合)、制御部27は、動作速度調整部32において計測部31により計測されたその時点までの動作停止時間を取得して、その動作停止時間と所定の閾値とを比較し、動作停止時間が閾値よりも長いか否かを判定する(ステップS510)。
【0046】
その結果、動作停止時間が閾値よりも長い場合(YESの場合)、動作速度調整部32は、安全起動モードの実行フラグをONにする(ステップS511)。これに対し、動作停止時間が閾値以下の場合(NOの場合)、動作速度調整部32は、通常起動モードの実行フラグをONにする(ステップS512)。
【0047】
その後、制御部27は、動作速度調整部32による判定結果に基づく実行フラグの状態に合わせて積込動作を実行して(ステップS508)、ステップS501に移行する。これにより、積込動作開始時の油圧ポンプ13の回転数(回転速度)、すなわち、積込動作速度は、動作速度調整部32による判定結果に応じて、動作停止時間が閾値よりも長い場合は安全起動モードにより緩やかに上昇し、動作停止時間が閾値以下の場合は、通常起動モードにより安全起動モードよりも急峻に上昇して、積込動作が実行される。
【0048】
ここで、計測部31による積込停止時間の計測方法は、例えば、計測部31は記憶素子を有して構成して、停止信号が入力された時点の時刻を計測部31に記録し、その停止時刻と、その後に起動信号が入力された時点の時刻との差から動作停止時間を計測することができる。あるいは、計測部31がカウンタを有して構成して、停止信号が入力された時点でカウンタを起動させ、その後に入力する起動信号でカウント動作を停止して、そのカウント値から動作停止時間を計測することができる。なお、動作速度調整部32は、計測部31により計測された積込停止時間を取得すると、計測部31をリセットして、次回の動作停止時間の計測に備える。
【0049】
図6は、上述した本実施の形態に係る積込制御装置18による積込動作を示すタイムチャートである。
【0050】
本実施の形態においては、上述したように、停止ボタン20bの操作による停止信号が入力されてから、作動ボタン20aの操作による起動信号が入力されるまでの動作停止時間が、閾値よりも長い場合は、安全起動モードが選択される。したがって、当日最初に積込動作を開始する場合や、次の収集場所に移動して積込動作を再開する場合のように、前回の積込動作からの積込停止時間が長い場合は、安全起動モードを選択して、電動モータ17の回転数制御により、油圧ポンプ13の回転数を、0rpmから目標速度の1000rpmまで緩やかに上昇させて積込動作を実行することができる。これにより、作業者が動作速度を意識せずに作動ボタン20aを操作しても、動作速度が緩やかに上昇するので、安全上有利となる。
【0051】
また、停止信号が入力されてから起動信号が入力されるまでの動作停止時間が、閾値以下の場合は、通常起動モードが選択される。したがって、同一収集場所において起動と停止とが短時間に繰り返される場合のように、前回の積込動作からの積込停止時間が短い場合は、作業者は通常動作速度を意識し易いので、通常起動モードを選択して、電動モータ17の回転数制御により、油圧ポンプ13の回転数を、安全起動モードよりも速い速度で、目標速度の1000rpmまで上昇させて積込動作を実行することができる。
【0052】
したがって、本実施の形態によれば、積込作業の効率低下を最小限に抑えながら、安全性をより向上することができる。しかも、油圧ポンプ13を電動モータ17により駆動し、この電動モータ17の回転数を制御して動作速度を調整するので、動作速度を簡単かつ高精度で調整することができる。
【0053】
なお、図6において、安全起動モードで油圧ポンプ13の回転数を目標速度(1000rpm)に到達させるまでの安全起動立ち上がり時間T、通常起動モードで油圧ポンプ13の回転数を目標速度に到達させるまでの通常起動立ち上がり時間Tは、例えば、塵芥収集車1の使用者において、安全性、作業効率、作業者の経験等を考慮して、任意に設定することができる。同様に、積込停止時間Tの閾値も、任意に設定することができる。
【0054】
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態に係る積込制御装置の要部構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る積込制御装置18は、第1実施の形態と同様の構成を有しており、制御対象の積込装置5の構成が第1実施の形態と異なるものである。したがって、第1実施の形態で説明した構成要素と同一作用をなす構成要素には、同一参照符号を付して説明を省略する。
【0055】
すなわち、図7に示す積込装置5は、油圧ポンプ13が、動力取出装置であるPTO(Power Take Off)41を介して、塵芥収集車のエンジン42により駆動されるようになっている。このため、本実施の形態に係る積込制御装置18は、制御部27によりエンジン制御装置43を介してエンジン42の回転数(回転速度)を制御する。ここで、エンジン42は、その駆動を停止させると、積込装置5を作動させることができなくなる。
【0056】
このため、本実施の形態に係る積込制御装置18は、図8にタイミングチャートを示すように、積込動作の停止状態では、油圧ポンプの回転数(回転速度)を、エンジン42のアイドル回転数に相当する500rpmとし、通常の積込動作状態では1000rpmを目標速度とする。
【0057】
そして、安全起動モードでは、油圧ポンプ13の回転数が500rpmから目標速度の1000rpmまで緩やかに上昇するように、エンジン制御装置43を介してエンジン42の回転数を制御し、通常起動モードでは、油圧ポンプ13の回転数が500rpmから目標速度の1000rpmまで、安全起動モードの場合よりも急峻に上昇するように、エンジン制御装置43を介してエンジン42の回転数を制御する。
【0058】
ここで、安全起動モードにおいて、油圧ポンプ13の回転数をアイドル回転数(500rpm)から目標速度(1000rpm)に到達させるまでの安全起動立ち上がり時間T10、通常起動モードで油圧ポンプ13の回転数をアイドル回転数から目標速度に到達させるまでの通常起動立ち上がり時間T11は、それぞれ第1実施の形態における安全起動立ち上がり時間T、通常起動立ち上がり時間Tと同様に設定する。また、積込停止時間Tの閾値も、第1実施の形態の場合と同様に設定する。
【0059】
そして、第1実施の形態の場合と同様に、停止ボタン20bの操作による停止信号が入力されてから、作動ボタン20aの操作による起動信号が入力されるまでの動作停止時間が、閾値よりも長い場合は、安全起動モードを選択して積込動作を実行する。また、停止信号が入力されてから起動信号が入力されるまでの動作停止時間が、閾値以下の場合は、通常起動モードを選択して積込動作を実行する。
【0060】
したがって、本実施の形態においても、第1実施の形態の場合と同様に、積込作業の効率低下を最小限に抑えながら、安全性をより向上することができる。また、積込装置5の駆動源である油圧ポンプ13を、動力取り出し装置(PTO)41を介してエンジン42により駆動し、そのエンジン42の回転数を、エンジン制御装置43を介して制御するので、PTOを有する既存の塵芥収集車にも容易に実施することができ、汎用性の高い積込制御装置を実現することが可能となる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明は、圧縮式の積込装置の積込制御に限らず、上記特許文献2に開示されているような回転式の積込装置の制御にも有効に適用することができる。また、第1実施の形態においては、電動モータ17の回転数を、0rpmから立ち上げたが、第2実施の形態の場合と同様に、アイドル回転数から立ち上げるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 塵芥収集車
3 塵芥収容箱
3a 後部開口端
4 塵芥投入箱
5 圧縮式積込装置
8 可動遮蔽板
9 可動遮蔽板駆動用シリンダ
10 掻込板
11 回動軸
12 掻込板駆動用シリンダ
13 油圧ポンプ
14 油圧回路
17 電動モータ
18 積込制御装置
20 操作盤
25 記憶部
27 制御部
31 計測部
32 動作速度調整部
41 動力取り出し装置(PTO)
42 エンジン
43 エンジン制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の起動信号が入力された際に、上記塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱内に積込むための積込動作を塵芥の積込装置に開始させる塵芥収集車の積込制御装置において、
上記積込動作を停止させる停止信号が入力されて上記積込動作が停止された際、当該積込動作の積込停止時間の計測を開始する計測部と、
上記起動信号が入力された際、上記計測部により計測された上記積込停止時間と予め設定された閾値とを比較し、上記積込停止時間が上記閾値を超える場合は、上記積込停止時間が上記閾値を下回る場合よりも上記積込動作の開始時の動作速度を緩やかに上昇させる動作速度調整部と、
を備えることを特徴とする塵芥収集車の積込制御装置。
【請求項2】
上記計測部は、上記起動信号の入力により上記積込停止時間の計測を停止し、
上記動作速度調整部は、上記計測部により計測された上記積込停止時間を取得すると、上記計測部をリセットする、ことを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車の積込制御装置。
【請求項3】
上記積込装置は、上記積込動作を実行する駆動源としての油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動する電動モータとを有し、
上記動作速度調整部は、上記電動モータの回転数を制御して上記動作速度を調整する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の塵芥収集車の積込制御装置。
【請求項4】
上記積込装置は、上記積込動作を実行する駆動源としての油圧ポンプと、該油圧ポンプを上記塵芥収集車のエンジンにより駆動させる動力取出装置とを有し、
上記動作速度調整部は、上記塵芥収集車のエンジン制御装置を介して、上記エンジンの回転数を制御して上記動作速度を調整する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の塵芥収集車の積込制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−51773(P2011−51773A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204303(P2009−204303)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】