説明

塵芥収集車

【課題】 パワーユニットを車種に影響されずに車両側に配置することができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】 バッテリ46からの電力供給により積込装置Tを動作させるパワーユニット49を、運転室1aと塵芥収容箱2との間であって車体フレーム1bの上方に形成されている箱前空間Sfに配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを動力源とするパワーユニットを駆動させることにより積込装置を動作させる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、塵芥収容箱の後方に塵芥投入箱を備えており、この塵芥投入箱内には、当該塵芥投入箱内に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための積込装置が設けられている。この積込装置は、車両に搭載された駆動装置を駆動させることにより積み込み動作を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
上記駆動装置は、動力源であるバッテリと、このバッテリから電力供給を受けて駆動するパワーユニット(電動モータおよび油圧ポンプ等)とを備えており、エンジンを停止させた状態で積込装置を動作させることができるようになっている。このため、積み込み作業を低騒音で行うことができるとともに、排気ガス量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記塵芥収集車は、車体フレームよりも下方のエンジン付近にバッテリや電動モータ等のパワーユニットが配置されているため、車種によっては、パワーユニットがエンジン周りの他の搭載機器と干渉して、パワーユニットを取り付けることができないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、パワーユニットを車種に影響されずに車両側に配置することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、前記積込装置を動作させるための動力源であるバッテリと、前記運転室と前記塵芥収容箱との間であって前記車体フレームの上方に形成されている箱前空間に配置されているとともに、前記バッテリからの電力供給により前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニットと、を備えていることを特徴としている。
【0006】
このような構成の塵芥収集車によれば、車体フレームの上方に形成されている箱前空間にパワーユニットを配置するようにしたので、パワーユニットを、車体フレームの下方に配置されている他の搭載機器と干渉することなく車両に取り付けることができる。したがって、パワーユニットを、車種に影響されることなく車両側に配置することができる。
【0007】
また、前記パワーユニットが、前記箱前空間の車幅方向の一方側に配置されていることが好ましい。この場合、パワーユニットのメンテナンス作業を上記一方側から容易に行うことができる。
また、前記塵芥収集車は、前記車体フレーム側または前記塵芥収容箱側に固定され、前記箱前空間に配置された前記パワーユニットが取り付けられている取付部材をさらに備えていることが好ましい。この場合、箱前空間に配置されるパワーユニットを取付部材を介して車体フレーム側または塵芥収容箱側に固定することができるので、パワーユニットの車両への取り付け作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、前記塵芥収集車は、前記パワーユニットの駆動による振動が、前記車体フレーム側または前記塵芥収容箱側に伝播するのを抑制するための防振部材をさらに備えていることが好ましい。この場合、パワーユニットの駆動による振動が車体フレーム側または塵芥収容箱側に伝播するのを、防振部材によって抑制することができるため、積込作業時において車体フレーム側または塵芥収容箱側の振動に起因する騒音を効果的に低減することができる。
また、前記塵芥収集車は、前記パワーユニットの少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに備えていることが好ましい。この場合、パワーユニットの少なくとも一部を、カバー部材によって保護することができるため、パワーユニットが損傷するのを抑制することができる。
【0009】
また、前記カバー部材が、前記取付部材に取り付けられていることが好ましい。この場合、箱前空間に配置されるパワーユニットおよびカバー部材を、共用の取付部材を介して車体フレーム側または塵芥収容箱側に取り付けることができるので、パワーユニットおよびカバー部材をユニット化した状態で車両に取り付けることができる。したがって、パワーユニットおよびカバー部材を個別に車両に取り付ける必要がなく、これらの車両への取り付け作業を容易に行うことができる。
また、前記カバー部材が、当該カバー部材の内外を連通する通気孔を有することが好ましい。この場合、カバー部材内の通気性を向上させることができるので、駆動中のパワーユニットから放熱される熱気によって、カバー部材内の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
また、前記パワーユニットに作動流体を給排するための配管が、前記カバー部材の前記通気孔から挿通されて当該パワーユニットに接続されていることが好ましい。この場合、上記配管をカバー部材内に挿通するための孔を別途形成する必要がないため、カバー部材を容易に製造することができる。
また、前記カバー部材が、複数の壁部を有し、前記複数の壁部のうち少なくとも一の壁部が、他の壁部に対して着脱自在とされていることが好ましい。この場合、カバー部材の少なくとも一の壁部を取り外すことにより、カバー部材に覆われたパワーユニットのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵芥収集車によれば、パワーユニットを、車体フレームの下方に配置されている他の搭載機器と干渉することなく車両に取り付けることができるため、パワーユニットを車種に影響されることなく車両側に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。
【図2】塵芥収集車の背面図である。
【図3】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図4】塵芥収集車を右舷側から見た側面図である。
【図5】塵芥収集車の運転室内のスイッチボックスの正面図である。
【図6】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図7】駆動装置を取付部材にユニット化した状態を示す右舷側斜め後方から見た斜視図である。
【図8】図7の要部拡大図である。
【図9】図7の駆動装置のバッテリ、オイルタンクおよび充電器を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図10】図7の駆動装置のパワーユニット、カバー部材および制御ボックスを分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図11】上記塵芥収集車の平面図である。
【図12】塵芥収容箱とバッテリとの配置関係を模式的に示す車両前方から見た断面図である。
【図13】図7の正面図である。
【図14】図7の右側面図である。
【図15】パワーユニットおよびカバー部材の取り付け構造を模式的に示す分解側面図である。
【図16】制御ボックスの取り付け構造を模式的に示す分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置では塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2を開放して塵芥を排出することができる状態とする。
【0014】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置Tについて説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。
【0015】
一方、プッシュシリンダ(圧縮駆動手段)9のシリンダ側端部はピン10により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ(押込駆動手段)12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8と共に、プッシュシリンダ9の伸長動作により斜めに上昇し、収縮動作により斜めに下降する。
【0016】
これにより、押込板8は、図の実線で示す原位置から、プレスシリンダ12の収縮動作によりピン7を中心として反時計回り方向に回動する「反転」の行程を行う。また、押込板8は、反転工程後に、プッシュシリンダ9の収縮動作により「一次圧縮」の行程を行い、続いてプレスシリンダ12の伸長動作により時計回り方向に回動する「二次圧縮」の行程を行う。さらに、押込板8は、プッシュシリンダ9の伸長動作により「押込」の行程を行い、原位置に戻る。
【0017】
塵芥収容箱2の内部には、車両の前後方向に移動可能に排出板18が設けられ、この排出板18の後方(排出板18と開口部2aとの間)に、塵芥を収容する収容スペースSaが形成されている。テレスコ式のディスチャージシリンダ (排出板駆動手段)19の一端部19aは排出板18の後述する傾斜部18aの車幅方向略中間部に接続され、他端部19bは塵芥収容箱2の前壁2dの車幅方向略中間部に接続されている。排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図1の実線で示す最後方位置と二点鎖線で示す最前方位置との間で移動可能である。上記収容スペースSaが空のとき、排出板18は最後方位置より少し前方に位置する初期位置にあり、押込板8により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を、押込板8と排出板18との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ19を徐々に収縮させて排出板18を前方へ移動させ、収容スペースSaを広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ19を伸長させて排出板18を後方へ移動させることにより、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、開口部2aから外部へ排出できるようになっている。
【0018】
排出板18の下部には、後ろ下がりに傾斜した傾斜部18aが形成されており、押込板8の押込動作により、収容スペースSaに積み込まれた塵芥を、前記傾斜部18aに沿って上方へ移動させるようになっている。これにより、収容スペースSa全体にわたって隙間なく塵芥を収容することができる。
【0019】
図2は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(投入箱駆動手段)20は、上端が塵芥収容箱2側に取り付けられ(図1参照)、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長動作させると塵芥投入箱3が上方へ回動して塵芥収容箱2を開き、収縮動作するとこれを閉じる。
なお、本実施形態では、上記押込板8と、プッシュシリンダ9と、プレスシリンダ12と、排出版18と、ディスチャージシリンダ19と、スイングシリンダ20とによって、積込装置Tが構成されている。
【0020】
図3は、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19およびスイングシリンダ20に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、オイルタンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23a〜23e、プッシュシリンダ用電磁弁24、プレスシリンダ用電磁弁25、ディスチャージシリンダ用電磁弁26、スイングシリンダ用電磁弁27(テールゲートロック用電磁弁を兼用)、切換弁28a〜28b、逆止弁29a〜29g、およびフィルタ30a〜30b、テールゲートロック(シリンダ)31、および圧力センサ32を図示のように接続して構成されている。油圧ポンプ22は後述する電動モータ45により駆動される。また、圧力センサ32は、油圧ポンプ22の吐出油路の作動圧を常時検出し、その検出出力を制御部47(後述)に提供する。なお、前記圧力制御弁23a〜23e、各種電磁弁24〜27、切換弁28a〜28b、および逆止弁29a〜29gにより、弁体が構成されている。
【0021】
押込板8が原位置で停止しているとき、プッシュシリンダ9およびプレスシリンダ12は共に伸長状態にあり、対応する各電磁弁24,25は中立位置にある。プレスシリンダ用電磁弁25のソレノイド25sが励磁されると「反転」、ソレノイド25eが励磁されると「二次圧縮」、プッシュシリンダ用電磁弁24のソレノイド24sが励磁されると「一次圧縮」、ソレノイド24eが励磁されると「押込」、の各工程動作が行われる。
【0022】
排出板18が最後方位置(図1の実線)で停止しているとき、ディスチャージシリンダ19は最も伸長した状態にあり、ディスチャージシリンダ用電磁弁26は中立位置にある。ディスチャージシリンダ用電磁弁26のソレノイド26eが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は伸長動作する。また、ソレノイド26sが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は収縮動作する。励磁オフでディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置にあるときは、ディスチャージシリンダ19の両ポート19e,19sは封止された状態となる。但し、圧力制御弁23cや切換弁28aが開位置に動作すれば、ディスチャージシリンダ用電磁弁26が中立位置であってもディスチャージシリンダ19が収縮可能となり、排出板18は前方移動可能となる。
【0023】
塵芥投入箱3が閉鎖されているとき(図1の実線)、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁弁27は中立位置にあり、切換弁28bは図示の位置にある。スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27eが励磁されるとテールゲートロック31がロック解除方向に動作し、スイングシリンダ20が伸長動作して塵芥投入箱3が上方回動する。ソレノイド27eが消磁され、かつ、切換弁28bが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油が切換弁28bおよびスイングシリンダ用電磁弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮動作して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が下方回動端に達した後、スイングシリンダ用電磁弁27のソレノイド27sが励磁されると、テールゲートロック31がロック動作し、塵芥投入箱3がロックされる。その後、ソレノイド27sは消磁されるが、逆止弁29gによりテールゲートロック31のロック状態は維持される。
【0024】
圧力制御弁23a〜23e、各電磁弁24〜27、切換弁28a、逆止弁29a〜29g、フィルタ30bおよび圧力センサ32は、バルブブロック33に内蔵されている。
図4は、塵芥収集車を右舷側から見た側面図である。バルブブロック33は、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の略中央部に垂下固定されている。また、バルブブロック33には、各シリンダ9,12,19,31に作動油を給排するための複数の油圧配管40が接続されている。
【0025】
これらの油圧配管40は、バルブブロック33から底板2bと支持本体部62(後述)とにより形成された角部2e(図10も参照)に沿って後方に延びるように配設された配管部40aと、底板2bの後端から上方に屈曲し、塵芥収容箱2の側壁2fと塵芥収容箱2の後端縁を補強するスチフナ2gとにより形成された角部2hに沿って上斜め前方に延びるように配設された配管部40bとを備えている。このように、油圧配管40は塵芥収容箱2の各角部2e,2hに沿って配置されているので、車両の走行中や積込装置Tの動作中に、油圧配管40および塵芥収容箱2の振動音が共鳴するのを抑制することができる。
【0026】
図5は、運転室1a内に設けられているスイッチボックスSB1を示す平面図ある。図において、スイッチボックスSB1には、メインスイッチ34、テールゲートスイッチ35、排出板スイッチ36、かき出しスイッチ37、メインランプ38、ロックランプ39が設けられている。
メインスイッチ34は、「積込」、「OFF」、「排出」のいずれかの位置に保持することができるスイッチであり、「OFF」から「積込」位置に操作することで積込動作が可能である。「排出」位置ではディスチャージシリンダ19やスイングシリンダ20を動作させることができる。
【0027】
テールゲートスイッチ35は、「上」に操作すると塵芥投入箱3が上昇し、「下」に操作すると塵芥投入箱3が下降する。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。排出板スイッチ36は、「排出」に操作するとディスチャージシリンダ19が伸長動作して排出板18が最後方位置まで後退し、「戻り」に操作すると排出板18が初期位置に戻る。また、手を離すと「OFF」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
かき出しスイッチ37は、「自動」または「手動」の選択スイッチであり、「自動」位置では、塵芥投入箱3を上方端まで回動させると自動的に積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱3の底に残っている塵芥を排出することができる。
メインランプ38は、スイッチボックスSB1の各スイッチ操作が可能な状態のとき点灯している。ロックランプ39は、テールゲートロック31がロック状態のとき点灯している。
【0028】
一方、図2において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」または「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0029】
図6は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は電動モータ45により駆動され、この電動モータ45は、専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。なお、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。パワーユニット49は、カバー部材部80により覆われている。カバー部材80の詳細構造については後述する。
【0030】
バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。なお、1回の充電により、6回の収集作業(1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回および排出板18の排出動作を1回行う作業)を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えており、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0031】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0032】
制御部47は、制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55およびメインスイッチ34を介して通電される。また、制御ボックス56内には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、キースイッチ55をオフ操作することにより、コントロールスイッチ57をオフ状態に切り換え、バッテリ46およびAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。なお、コントロールスイッチ57は、キースイッチ55以外に、別途専用の操作スイッチにより切り換えるようにしてもよい。
【0033】
また、制御ボックス56内には、制御部47をメンテナンス作業するためのメンテナンス部48が収納されている。メンテナンス部48の詳細構造については後述する。なお、上記制御部47、メンテナンス部48、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56およびコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52、カバー部材80および制御装置Cとにより、本発明の駆動装置58が構成されている。なお、駆動装置58の構成部材として、上記以外にバルブブロック33を含めることも可能である。
【0034】
バルブブロック33内の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sおよび切換弁28a〜28bは、制御部47によって励磁・消磁される。なお、各ソレノイド等のブロックの名称は、機能で表示している。制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜37,42〜44、圧力センサ32、後述する温度計59および回転数センサ60から入力信号が与えられる。また、各種ランプ38〜39が制御部47の出力により点灯する。
【0035】
電動モータ45には、電動モータ45の温度を検出する温度計59および電動モータ45の回転数を検出する回転数センサ60が、カバー部材80により覆われた状態で取り付けられている。この温度計59および回転数センサ60の検出信号は制御部47に与えられ、電動モータ45が温度上昇により破損しないように、制御部47により当該電動モータ45の出力が制御されている。なお、温度計59および回転数センサ60は、カバー部材80の外側に配置されていてもよい。
【0036】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、塵芥収容箱2の底部に沿って配置された支持本体部62と、支持本体部62の前端部、中央部および後端部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、中央支持部64および後支持部65とを備えている。
【0037】
支持本体部62は、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各支持本体部62の上面は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定されている(図10参照)。各支持本体部62の前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各支持本体部62の車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、支持本体部62の下面前部には、下方に開口する凹部62aが形成されている(図10参照)。
【0038】
図1において、後支持部65は、車体フレーム1b上面の後端部に溶接により固定されており、その上面には、支持本体部62下面の後端部が載置された状態で、図示しないボルトにより固定されている。なお、前支持部63および中央支持部64の詳細構造については後述する。
【0039】
支持部材61には、支持本体部62の下面に形成された上記凹部62aと、前支持部63の後面と、中央支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。また、前支持部63の前面および塵芥収容箱2の前壁2dと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
【0040】
箱下空間Sdおよび箱前空間Sfには、駆動装置58の全構成部材が一体的にユニット化された状態で配置されている。以下、駆動装置58の各構成部材の配置およびその取付構造について詳しく説明する。
図7は、駆動装置58がユニット化された状態を示す右舷側斜め後方から見た斜視図であり、図8は、その駆動装置58のカバー部材80を示す図7の要部拡大図である。図9は、駆動装置58のバッテリ49、オイルタンク21および充電器50を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図10は、駆動装置58のパワーユニット49、カバー部材80および制御ボックス56を分解した状態を模式的に示す斜視図である。図11は、塵芥収集車1の平面図である。
図7および図9において、駆動装置58の各構成部材は、すべて共用の取付部材71に取り付けられて一体化されている。取付部材71は、箱下空間Sdに配置された駆動装置58の一部が取り付けられている箱下取付部72と、箱前空間Sfに配置された駆動装置58の他部が取り付けられている箱前取付部73とを備えている。
【0041】
箱下取付部72は、前後方向に延びる角パイプからなる左右一対の基部フレーム72aと、左右の基部フレーム72aの各内側面に両端が固定された前後一対のチャンネル材からなる載置フレーム72bと、左右の基部フレーム72aの各上面の後端に両端が固定されたアングル材からなる補助フレーム72cとを有している。各載置フレーム72bの上面には、上記バッテリ46が載置されている。
【0042】
バッテリ46は、図11の平面視において長方形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている。バッテリ46の前面および後面には、それぞれ前方および後方に突出する複数の突出部46aが一体形成されており、これらの突出部46aの上面に、コ字形に形成された固定枠46bがそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。各固定枠46bは、前後の載置フレーム72bにそれぞれボルト(図示せず)により固定されている。なお、図9に示すように、これらのボルトによる突出部46a、固定枠46bおよび基部フレーム72bの各固定位置は、バッテリ46の前面側および後面側のいずれも同様であるため、後面側のみ二点鎖線の矢印で示している。
【0043】
図12は、塵芥収容箱2とバッテリ46との配置関係を模式的に示す車両前方から見た断面図である。
バッテリ46上面の左右両端部には、凸部46c,46dが形成されており、各凸部46c,46dは、左右の支持本体部62の凹部62aに導入されている。また、バッテリ46上面の左右方向の中央部には、凹部46eが形成されている。この凹部46eには、塵芥収容箱2の底板2bに突設されたチャンネル材からなる補強部2b1の下部が導入されている。また、凹部46eには、電気配線用の円筒状の配管91が配置されており、この配管91の前後両端部は、バッテリ46の固定枠46bにボルト・ナットにより固定されている(図7参照)。
【0044】
さらに、凹部46eには、オイルタンク21とバルブブロック33とを接続するための油圧ホース92、および油圧ポンプ22とバルブブロック33とを接続するための油圧ホース93が配置されている。なお、底板2bの下方には、ディスチャージシリンダ19とバルブブロック33とを接続する左右一対の油圧配管94が配置されているが、この油圧配管94を凹部46eに配置させてもよい。
【0045】
図7および図9において、後側の載置フレーム72bの上面および補助フレーム72cの上面には、上記充電器50が載置されている。充電器50の後面には、後方へ突出する突出部50cが一体形成されており、この突出部50cがボルト(図示せず)により補助フレーム72cに固定されている。
充電器50に接続されるコネクタ52は、左舷側の中央支持部64後方の基部フレーム72a上面に、その接続口52aを外側方に向けて取り付けられている(図14参照)。したがって、外部電源からの電源ケーブル51を車両の左舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。なお、コネクタ52は、中央支持部64の後面に取り付けてもよい。
【0046】
図13は、図7の駆動装置58を前方から見た正面図である。
箱前取付部73は、箱前空間Sfの右舷側に配置される第一箱前取付部74と、箱前空間Sfの左舷側に配置される第二箱前取付部75とを有している。
第一箱前取付部74は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム74aと、基部フレーム74aの上面に立設された支持フレーム74bと、支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されたL字型(図9参照)の載置フレーム74cと、支持フレーム74bおよび載置フレーム74cをそれぞれ補強するための補強フレーム74d,74eとを有している。
【0047】
基部フレーム74aは、箱下取付部72の右側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図9参照)。これにより、第一箱前取付部74は、箱下取付部72に一体的に設けられている。載置フレーム74cは、基部フレーム74aに対して右側方にオフセットした状態で配置されており、その水平面には上記オイルタンク21が載置された状態でベルト状の取付枠74fにより固定されている。補強フレーム74dは、一端が基部フレーム74aに固定され、他端が載置フレーム74cの水平面に固定されている。また、補強フレーム74eは、一端が基部フレーム75a(後述)に固定され、他端が支持フレーム74bの上下方向の略中央部に固定されている。
【0048】
オイルタンク21の内側上部には、上記オイルフィルタ30aが接続されている。また、オイルタンク21の内側下部には、一端が油圧ポンプ22に接続された油圧配管95の他端が接続されている。さらに、オイルタンク21の上面および外側面には、ステップ96が配置されており、その上下両端部は支持フレーム74bおよび載置フレーム74cに固定されている。これにより、作業者は、ステップ96を昇って箱前空間Sfへ移動することにより、塵芥収容箱2の前壁2dに設けられた点検窓(図示せず)から塵芥収容箱2内やディスチャージシリンダ19の点検を容易に行うことができる(図4参照)。
【0049】
図8〜図10において、第二箱前取付部75は、前後方向に延びる角パイプからなる基部フレーム75aと、基部フレーム75aの上面に固定された前後一対のアングル材からなる支持フレーム75bとを有している。基部フレーム75aは、箱下取付部72の左側の基部フレーム72aの前端部に一体形成されている(図14参照)。これにより、第二箱前取付部75は、箱下取付部72に一体的に設けられている。
支持フレーム75bは、その長手方向が基部フレーム75aに対して左側方にオフセットした状態で配置されている(図13参照)。支持フレーム75bには、上記パワーユニット49およびカバー部材80が取り付けられている。
【0050】
パワーユニット49には、その電動モータ45の下部に載置部45aが一体的に固定されている。また、電動モータ45の一端部(図9の左側)には、上記油圧ポンプ22がボルトにより固定されている。
カバー部材80は、パワーユニット49の全体を覆うものであり、枠体81と、複数の壁部(上・下壁部82a,82b、右・左壁部82c,82dおよび前・後壁部82e,82f)とによって構成されている。枠体81は、左右一対の横枠部81aと、この横枠部81a同士を連結する前後一対のアングル材からなる上枠部81bとを有している。
【0051】
図15は、パワーユニット49およびカバー部材80の取り付け構造を模式的に示す分解側面図である。
図10および図15において、第二箱前取付部75の各支持フレーム75bの下面には、ボルト84によりカバー部材80の下壁部82bが固定されている。下壁部82bは、基部フレーム75aと干渉しないように、左右に分割された第一下壁部82b1と第二下壁部82b2とから構成されている。第一下壁部82b1には、その内部と外部とを連通する通気孔82b3が形成されている。この通気孔82b3は下方に開口しているため、パワーユニット49の駆動音がこの通気孔82b3からカバー部材80の外部に漏れても、この漏れた音を地面に吸収または反射させて減衰させることができる。その結果、積込作動時の騒音が大きくなるのを効果的に抑制することができる。
【0052】
各支持フレーム75b上には、防振部材である防振ゴム85が、上記ボルト84により固定されている。この防振ゴム85は、各支持フレーム75bに長手方向に所定間隔をあけて一対設けられている。各防振ゴム85の上面には、電動モータ45の載置部45aが、防振ゴム85上に一体的に固定されたボルト85aを貫通させた状態で載置されている。載置部45aは、上記ボルト85およびナット86により防振ゴム85に固定されている。これにより、パワーユニット49は、防振ゴム85を介して支持フレーム75b上に固定されている。
【0053】
図10において、各支持フレーム75b上であって、上記防振ゴム85よりも車幅方向外側には、枠体81の各横枠部81aの下端部がボルト・ナットにより着脱可能に固定されている。右側の横枠部81aの外側面には、平板状に形成された右壁部82cがボルト・ナットにより着脱可能に固定されている。右壁部82cの上部には、その内部と外部とを連通する通気孔82c1が形成されている。カバー部材80内には図示しないファンが配置されており、このファンを駆動することによって、外気を第一下壁部82bの通気孔82b3からカバー部材80の内部に取り込むとともに、パワーユニット49から放熱される熱気を右壁部82cの通気孔82c1からカバー部材80の外部へ排出することができるようになっている。
また、通気孔82c1は、車幅方向の内側に開口しているため、パワーユニット49の駆動音がこの通気孔82c1からカバー部材80の外部に漏れても、この漏れた音を、車幅方向内側に隣接するオイルタンク21の側壁等によって、吸収または反射させて減衰させることができる。その結果、積込作動時の騒音が大きくなるのを効果的に抑制することができる。
【0054】
左側の横枠部81aの外側面には、左壁部82dがボルト・ナットにより着脱可能に固定されている。左壁部82dは、油圧ポンプ22を外側方から覆うように内側方に開口する凹部82d1が形成されている。なお、この凹部82d1の下方は、下壁部82bの第一下壁部82b1によって閉塞されるようになっている。
前側の上枠部81bの前面には、平板状に形成された前壁部82eがボルト・ナットにより着脱可能に固定されている。
後側の上枠部81bの後面には、後壁部82fがボルト・ナットにより着脱可能に固定されている。後壁部82fは、電動モータ45の突出部45bを後方から覆うように前方に開口する凹部82f1が形成されている。なお、凹部82f1の右側には開口が形成されているが、この開口は、後壁部82fを上枠部81bに取り付けた際に、前支持部63の支持フレーム63aによって閉塞されるようになっている(図8参照)。
【0055】
各上枠部81bの上面には、上壁部82aが後述するボルト87a・ナット88により着脱可能に固定されている。上壁部82aには、電動モータ45の上方に配置されている上記油圧配管95および油圧配管97を上方から覆うように、その長手方向の全長に亘って下方に開口する凹部82a1が形成されている。油圧配管97は、一端が油圧ポンプ22に、他端が上記油圧ホース93にそれぞれ接続されており、この油圧配管97と油圧ホース93とによって、油圧ポンプ22とバルブブロック33とが接続されている。なお、油圧配管95,97は、図8に示すように、右壁部82cの通気孔82c1からカバー部材80内に挿通されて油圧ポンプ22に接続されている。
【0056】
カバー部材80上には、上記制御ボックス56が取り付けられている。
図16は、制御ボックス56の取り付け構造を模式的に示す分解側面図である。上壁部82a上面の凹部82a1の前後には、防振材である防振ゴム87が載置されている。この防振ゴム87は、上壁部82aの前後左右の4箇所にそれぞれ配置されている(図10参照)。また、防振ゴム87の下端にはボルト87aが一体的に固定されている。このボルト87aには、上壁部82aおよび上枠部81bを貫通した状態でナット88が螺合されている。これにより、防振ゴム87は上枠部81bに固定されている。
【0057】
各防振ゴム87の上面には、制御ボックス56の下部にL字形に形成された前後一対の脚部56aが、防振ゴム87上に一体的に固定されたボルト87bを貫通させた状態で載置されている。各脚部56aは、上記ボルト87bおよびナット89により防振ゴム87に固定されている。これにより、制御ボックス56は、防振ゴム87を介してカバー部材80上に固定されるため、パワーユニット49の駆動による振動が、カバー部材80を介して制御ボックス56に伝播するのを、防振ゴム87によって抑制することができる。したがって、積込作業時において制御ボックス56の振動に起因する騒音を効果的に低減することができる。また、車両走行中の振動等により制御ボックス56に収納されている機器が破損するのを、防振ゴム87によって抑制することができる。
【0058】
図9において、取付部材71には、上記支持部材61の前支持部63および中央支持部64が、駆動装置58の各構成部材とともに一体的にユニット化された状態で取り付けられている。
前支持部63は、箱下取付部72の基部フレーム72aの前端部に配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のアングル材からなる支持フレーム63aと、各支持フレーム63aの上端に左右両端部が固定された平板状の載置フレーム63bとを有している。この載置フレーム63bの上面には、支持本体部62下面の前端部が載置された状態で、ボルト(図示せず)により固定されている(図1参照)。
【0059】
中央支持部64は、箱下取付部72の基部フレーム72aの後端部に、補助フレーム72cを前後に跨ぐように配置されており、各基部フレーム72aの上面にそれぞれ溶接により固定された左右一対のチャンネル材からなる支持フレーム64aと、各支持フレーム64aの上端に固定された左右一対の平板状の載置フレーム64bとを有している。この載置フレーム64bの上面には、支持本体部62下面の略中央部が載置された状態で、ボルト(図示せず)により固定されている(図1参照)。
【0060】
図14において、取付部材71は、固縛手段76により左右の車体フレーム1bに固定されている。固縛手段76は、取付部材71の前部を各車体フレーム1bの上面に固定している一対の前固縛部77と、取付部材71の後部を各車体フレーム1bの上面に固定している一対の後固縛部78とから構成されている。
前固縛部77は、Uボルト77aとナット77bとにより、各箱前取付部74,75の基部フレーム74a,65aをそれぞれ車体フレーム1bに固定している。後固縛部78は、ボルト78aとナット78bとにより、中央支持部64の外側面および車体フレーム1bの外側面にそれぞれ固定されたコ字形の締結ブラケット78c、78d同士を締結することにより、中央支持部64を車体フレーム1bに固定している。
【0061】
図13および図14において、制御ボックス56内の後壁部56cには、上記メンテナンス部48が固定されている。メンテナンス部48は、基板48a上の取付面48a1に、図示しないメンテナンス作業用の機器(例えば、メンテナンス操作用のボタンやボリューム、配線用のコネクタ、通電状態等を表示するLED、メンテナンス情報等を表示するディスプレイなど)が取り付けられたものである。
【0062】
制御ボックス56は、メンテナンス部48の取付面48a1に近接する車幅方向外側(図13の右側)の外壁部56dに、上記メンテナンス作業用のメンテナンス孔56eを有している。このメンテナンス孔56eの開口面積は、取付面48a1の面積よりも大きく形成されている。外壁部56dには、メンテナンス孔56eを開閉するための蓋部56fが取り付けられている。
【0063】
上記のように、メンテナンス部48に近接する制御ボックス56の外壁部56dに、メンテナンス孔56eを形成したので、このメンテナンス孔56eから制御ボックス56内に配置されたメンテナンス部48を容易に視認することができる。したがって、制御部47のメンテナンス作業を容易に行うことができる。しかも、メンテナンス孔56eは、制御ボックス56の外壁部56d、すなわち車両の左舷側に配置されているため、メンテナンス作業を歩道側から安全に行うことができる。
【0064】
次に、塵芥収集車1を製造する際に、支持部材61、駆動装置58および塵芥収容箱2を、車体フレーム1b上に搭載する作業について説明する。
まず、図9に示すように、取付部材71上に、駆動装置58、支持部材61の前支持部63および中央支持部64を予め取り付けて一体的にユニット化する(図7参照)。その際、パワーユニット49およびカバー部材80の取り付けは、図10に示すように、まず、パワーユニット49を支持フレーム75b上に取り付ける。ついで、支持フレーム75bに枠体81および下壁部82bを取り付けた後、この枠体81に上壁部82a、右・左壁部82c,82dおよび前・後壁部82e,82fを順次取り付ける。
また、支持部材61の支持本体部62は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定する(図1および図12参照)。
【0065】
次に、車体フレーム1b前部の上面に、上記ユニット化された取付部材71を載置し、図14に示すように、固縛手段76の前固縛部77および後固縛部78により、取付部材71の前後を車体フレーム1b上に固定する。また、車体フレーム1b後部の上面に、支持部材61の後支持部65を溶接により固定する(図1参照)。
続いて、塵芥収容箱2を車体フレーム1bの上方に搭載する。具体的には、図1に示すように、塵芥収容箱2の底部に固定された支持本体部62を、車体フレーム1b側の前支持部63、中央支持部64および後支持部65の各上面に載置する。この状態で図示しないボルトにより支持本体部62を各支持部63〜65に締結する。これにより、上記搭載作業が完了する。
【0066】
以上のように構成された本実施形態の塵芥収集車1によれば、車体フレーム1b上に形成されている箱前空間Sfにパワーユニット49を配置するようにしたので、駆動装置58を、車体フレーム1bの下方に配置されている他の搭載機器と干渉することなく車両に取り付けることができる。しかも、パワーユニット49は、上記点検窓から塵芥収容箱2内の点検作業を行う等のために従来から存在する箱前空間Sfに配置されることから、パワーユニット49を配置するためにパワーユニット49全体の大きさに相当するスペースを別途設ける必要がない。したがって、パワーユニット49を、車種に影響されることなく容易に配置することができる。
【0067】
また、パワーユニット49が、箱前空間Sfの車幅方向の一方側である左舷側に配置されているため、パワーユニット49のメンテナンス作業を、歩道側から安全かつ容易に行うことができる。その際、制御ボックス56のメンテナンス孔56eも左舷側に配置されているため、制御ボックス56のメンテナンス作業も、歩道側から安全かつ容易に行うことができる。
また、箱前空間Sfに配置されるパワーユニット49を、取付部材41(第二箱前取付部75)を介して車体フレーム1bに固定することができるので、パワーユニット49の車両への取り付け作業を容易に行うことができる。
【0068】
また、パワーユニット49が、防振ゴム85を介して取付部材71(第二箱前取付部75)に取り付けられているため、パワーユニット49の駆動中における振動が、取付部材71を介して車体フレーム1b側に伝播するのを、防振ゴム85により抑制することができる。したがって、積込作業時において車体フレーム1b側の振動に起因する騒音を効果的に低減することができる。また、車両走行中の振動等によりパワーユニット49が破損するのを、防振ゴム85によって抑制することができる。
【0069】
また、カバー部材80は、パワーユニット49とともに取付部材71を介して車体フレーム1bに取り付けられるため、パワーユニット49およびカバー部材80をユニット化した状態で車体フレーム1bに取り付けることができる。したがって、パワーユニット49およびカバー部材80を個別に車両に取り付ける必要がなく、これらの車両への取り付け作業を容易に行うことができる。
また、パワーユニット49は、その全体がカバー部材80により覆われているため、パワーユニット49を、カバー部材80によって障害物(例えば、道路側に張り出す街路樹等))と干渉しないように保護することができる。したがって、パワーユニット49が損傷するのを抑制することができる。また、カバー部材80によって、パワーユニット49の駆動音が周囲に拡散するのを抑制することができるので、積込作業時の騒音をさらに効果的に低減することができる。
【0070】
また、カバー部材80に通気孔82b3,82c1を形成するようにしたので、カバー部材80内の通気性を向上させることができるので、駆動中のパワーユニット49から放熱される熱気によって、カバー部材80内の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。この結果、パワーユニット49が温度上昇により破損するのを抑制することができる。
また、上記通気孔82c1は、通気用の孔と、油圧配管95,97を挿通するための孔とを兼用することができるため、カバー部材80に形成される孔の数を減らすことができる。この結果、カバー部材80の製造を容易に行うことができるとともに、電動モータ45等の駆動音がカバー部材80の外部へ漏れるのを効果的に抑制することができる。
また、カバー部材80の各壁部82a〜82fが、すべて着脱自在とされているため、いずれか一の壁部を取り外すことにより、カバー部材80に覆われているパワーユニット49のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のパワーユニット49は、箱前空間Sfの左舷側に配置されているが、車幅方向中央部や右舷側など、箱前空間Sfの任意の位置に配置されていればよい。但し、安全性を考慮すると、歩道側となる左舷側に配置されていることが望ましい。
また、取付部材71は、車体フレーム1bに取り付けられているが、車体フレーム側または塵芥収容箱側に取り付けられていればよい。ここで、「車体フレーム側」とは、箱前空間Sfに隣接する車体フレーム1bおよび運転室1aの後部を意味する。また、「塵芥収容箱側」とは、箱前空間Sfに隣接する塵芥収容箱2の前部および支持部材61の前部(本実施形態では、支持本体部62の前部および前支持部63)を意味する。
【0072】
さらに、パワーユニット49を、防振ゴム85を介して取付部材71に取り付けているが、取付部材71に直接取り付けたり、上記車体フレーム側や塵芥収容箱側に直接または防振ゴム85を介して取り付けることも可能である。
また、防振部材として、ゴム製の弾性体(防振ゴム85)を使用しているが、パワーユニット49の駆動による振動が伝播するのを抑制できるものであれば、他の弾性体やばね等を用いてもよい。
また、カバー部材80は、パワーユニット19を構成する油圧ポンプ22と電動モータ45とを覆っているが、いずれか一方のみを覆うようにしてもよい。
【0073】
また、カバー部材80を、取付部材71に取り付けているが、パワーユニット49に取り付けたり、上記車体フレーム側または塵芥収容箱側に取り付けることも可能である。
また、カバー部材80の通気孔82b3,82c1は、下壁部82bおよび右壁部82cにそれぞれ形成されているが、その他の壁部に形成されていてもよい。また、通気孔82b3を排気用として、通気孔82c1を給気用としてそれぞれ用いているが、上記ファンの取付位置を変更することにより、通気孔82b3を給気用として、通気孔82c1を排気用としてそれぞれ用いてもよい。さらに、通気孔82b3,82c1は、カバー部材80の2箇所形成されているが、少なくとも1箇所に形成されていればよい。
【0074】
また、パワーユニット49に接続される油圧配管95,97は、右壁部82cの通気孔82c1から挿通されているが、下壁部82bの通気孔82b3から挿通させてもよい。また、油圧配管95,97をカバー部材80内に挿通するための専用の挿通孔を形成してもよい。
また、カバー部材80は、すべての壁部82a〜82fが着脱自在とされているが、少なくとも一の壁部が着脱自在とされていればよい。
また、パワーユニット49は、油圧ポンプ22と電動モータ45とにより構成されているが、電動ポンプ等の電動アクチュエータのみで構成することも可能である。
【0075】
また、支持部材61は、支持本体部62と、各支持部63〜65とからなる複数の部材を組み合わせて構成されているが、これらを全て一体形成することも可能である。
さらに、支持部材61は、嵩高に形成した支持本体部62のみにより構成することも可能である。この場合、支持部材61(支持本体部62)の一部を切り欠いて窪み部66を形成し、この窪み部66と車体フレーム1bとによって箱下空間Sdを形成すればよい。
また、箱下空間Sdは、車体フレーム1bと下方に開口した窪み部66とによって形成されているが、塵芥収容箱2の底板2bと上方に開口させた窪み部66とにより形成することも可能である。この場合は、箱下空間Sdに配置される駆動装置58を塵芥収容箱2に固定すればよい。また、支持部材61に貫通孔を形成して箱下空間Sdを形成することも可能である。
【0076】
また、箱下空間Sdは、前支持部63と中央支持部64との間に形成されているが、中央支持部63と後支持部65との間に形成することも可能である、また、例えば前支持部63を上記実施形態の配置よりも少し後方に配置して前支持部63の前方に箱下空間Sdを形成したり、あるいは後支持部65を上記実施形態の配置よりも少し前方に配置して後支持部65の後方に箱下空間Sdを形成することも可能である。前者の場合は、箱下空間Sdと箱間空間Sfとが連続する空間として形成されるため、これらの空間における駆動装置58の配置自由度を高めることができる。
また、箱下空間Sdは、支持本体部62の下面よりも下方に形成されているが、支持本体部62の車幅方向外側または内側であって、前記下面よりも上方、かつ塵芥収容箱2の底板2bよりも下方の空間を、箱下空間Sdとしてもよい。
また、箱下空間Sdに配置される駆動装置58を、塵芥収容箱2を支持部材61上に搭載する前に、箱下取付部72に取り付けているが、塵芥収容箱2の搭載後に取り付けてもよい。
また、箱下空間Sdおよび箱前空間Sfに配置される駆動装置58を、それぞれ箱下取付部72および箱前取付部73を介して車体フレーム1bに取り付けているが、両空間Sd,Sfのうち、いずれか一方または両方の空間に配置される駆動装置58を車体フレーム1bの上面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0077】
また、後支持部65は、車体フレーム1b上に固定されているが、例えば箱下取付部72の基部フレーム72aを後方に延長形成することにより、この基部フレーム72aの上面に固定することも可能である。この場合は、後支持部65を箱下取付部72に一体的にユニット化することができるので、後支持部65と箱下取付部72とを個別に車両に取り付けることなく車両への取り付け作業をさらに簡単に行うことができる。
【0078】
また、駆動装置58は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ9,12,19,20を動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。
また、積込装置Tは、押込板8のみで塵芥を積み込むプレス式であるが、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であってもよい。この場合、押込板と、回転板と、これらを動作させるシリンダおよび/またはモータとが、積込装置Tの一部を構成する。
また、積込装置Tは、排出板18により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するようになっているが、塵芥収容箱2をダンプさせることにより上記塵芥を外部へ排出してもよい。この場合、塵芥収容箱2をダンプさせるためのシリンダが、積込装置Tの一部を構成する。また、箱下空間Sdを、上記実施形態のように前支持部63と中央支持部64との間に形成すれば、中央支持部64と後支持部65との間に配置されるダンプ用のシリンダと箱下空間Sdに配置される駆動装置58とが干渉するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 塵芥収集車
1a 運転室
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
46 バッテリ
49 パワーユニット
71 取付部材
80 カバー部材
82a 上壁部
82b 下壁部
82b3 通気孔
82c 右壁部
82c1 通気孔
82d 左壁部
82e 前壁部
82f 後壁部
85 防振ゴム(防振部材)
95 油圧配管(配管)
97 油圧配管(配管)
Sf 箱前空間
T 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室の下方から後方へ延びている車体フレームと、
前記車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、
前記積込装置を動作させるための動力源であるバッテリと、
前記運転室と前記塵芥収容箱との間であって前記車体フレームの上方に形成されている箱前空間に配置されているとともに、前記バッテリからの電力供給により前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニットと、
を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記パワーユニットが、前記箱前空間の車幅方向の一方側に配置されている請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記車体フレーム側または前記塵芥収容箱側に固定され、前記箱前空間に配置された前記パワーユニットが取り付けられている取付部材をさらに備えている請求項1または2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記パワーユニットの駆動による振動が、前記車体フレーム側または前記塵芥収容箱側に伝播するのを抑制するための防振部材をさらに備えている請求項1〜3に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記パワーユニットの少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに備えている請求項1〜4に記載の塵芥収集車。
【請求項6】
前記カバー部材が、前記取付部材に取り付けられている請求項5に記載の塵芥収集車。
【請求項7】
前記カバー部材が、当該カバー部材の内外を連通する通気孔を有する請求項5または6に記載の塵芥収集車。
【請求項8】
前記パワーユニットに作動流体を給排するための配管が、前記カバー部材の前記通気孔から挿通されて当該パワーユニットに接続されている請求項7に記載の塵芥収集車。
【請求項9】
前記カバー部材が、複数の壁部を有し、
前記複数の壁部のうち少なくとも一の壁部が、他の壁部に対して着脱自在とされている請求項5〜8に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−79616(P2011−79616A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231854(P2009−231854)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】