説明

壁パネルの取付構造およびパネル取付金具

【課題】パネル取付金具の断面形状に工夫を凝らすことにより従来のボルト・ナットのような締付け不足や締付け過剰による問題や、振動によるボルト・ナットの緩み問題を解消できて常に安定かつ確実強固な取付状態の確保を図る。
【解決手段】パネル取付金具3が弾性を有する金属板材からなり、パネル支持フレーム1のウェブ4に対向するウェブ7と、このウェブの一端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム1の第1フランジ5に壁パネル2の一側端部2aを介して対向する第1フランジ8と、この第1フランジ8の突出端から該第1フランジの外側に折り返されて壁パネル2の一側端部2aの内面に弾性当接する第1折返板9と、ウェブ7の他端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム1の第2フランジ6の内面に弾性当接する第2フランジ10とを有する。パネル取付金具3のウェブ7とパネル支持フレーム1のウェブ4にわたってセルフドリルビス11を挿通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車場など建物の手摺パネル等の壁パネルの取付構造およびパネル取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁パネルの取付構造として、たとえば、図6に示すように、駐車場の周囲に断面H形状のパネル支持フレーム20が所定間隔置きに立設される。各パネル支持フレーム20のウェブ21の両側に断面略山形状のパネル取付金具22,22が配置される。その際、パネル取付金具22の第1フランジ23がパネル支持フレーム20の第1フランジ24に対し或る間隔を置いて平行に配置され、第2フランジ25がウェブ21に沿うように配置される。第1フランジ23,24間に壁パネル26の一側端部26aを挿入した状態で、第2フランジ25及びウェブ21にボルト27を貫通してナット28に締結する。これにより、パネル取付金具22の第2フランジ25先端の当接部29をウェブ21に圧接させつつ、両パネル取付金具22,22をウェブ21側に押圧させることにより、パネル取付金具22の第1フランジ23により壁パネル26の一側端部26aをパネル支持フレーム20の第1フランジ24側に押圧して固定する、というものがある(特許文献1参照)。これによれば、壁パネル26の取付時に外部足場を必要とせず、建物の内部から安全に取付作業を行える。
【0003】
【特許文献1】特開2002−146956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記壁パネルの取付構造は、ボルト27・ナット28を締付けることによりパネル取付金具22はウェブ21に圧接する当接部29を支点にして第2フランジ25がウェブ21側に少量回転するよう引き寄せ、これに伴い第1フランジ23により壁パネル26の一側端部26aをパネル支持フレーム20の第1フランジ24側に押し付けて固定するものであり、これによれば、ボルト27・ナット28による所定の締付け力を必要とするが、締付け作業者の熟練度差により締付け不足や締付け過剰のばらつきが生じやすく、一定の締付け状態が得難い。締付け不足であると壁パネル26がパネル支持フレーム20内でがたつき、締付け過ぎると第1フランジ23の先端のエッジ部23aが壁パネル26の内面を局部的に強く圧接して傷を付け、この傷付き箇所に雨水が浸入して錆発生の原因になる。また、建物の振動によりボルト27・ナット28の締付けが緩むと、壁パネル26のがたつきが生じ易いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上記のような、断面H形状のパネル支持フレームに対し壁パネルの一側端部をパネル取付金具をもって固定する壁パネル取付構造において、パネル取付金具それ自体の断面形状に工夫を凝らすことにより従来のボルト・ナットのような締付け不足や締付け過剰による問題や、振動によるボルト・ナットの緩み問題を解消できて常に安定かつ確実強固な取付状態を確保できる壁パネルの取付構造およびパネル取付金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の壁パネルの取付構造は、請求項1に記載するように、その発明の内容を理解しやすくするために図1〜図5に示した符号を参照して説明すると、ウェブ(4)の両端に第1,2フランジ(5),(6)を有する断面H形状に形成され、水平方向に所定間隔置きに立設される複数のパネル支持フレーム(1)と、相隣るパネル支持フレーム(1),(1)間に配置される壁パネル(2)と、パネル支持フレーム(1)の第1フランジ(5)と壁パネル(2)の一側端部(2a)との間にパネル支持フレーム(1)の縦長方向に沿って配置されるパネル取付金具3(と)、を備えている壁パネルの取付構造において、
前記パネル取付金具(3)が弾性を有する金属板材からなって、パネル支持フレーム(1)のウェブ(4)に対向するウェブ(7)と、このウェブの一端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム(1)の第1フランジ(5)に壁パネル(2)の一側端部(2a)を介して対向する第1フランジ(8)と、この第1フランジの突出端から該第1フランジの外側に折り返されて壁パネル(2)の一側端部(2a)の内面に弾性当接する第1折返板(9)と、前記ウェブ(7)の他端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム(1)の第2フランジ(6)の内面に弾性当接する第2フランジ(10)とを有する形に形成され、前記パネル取付金具(3)のウェブ(7)をパネル支持フレーム(1)のウェブ(4)にセルフドリルビス(11)で固定していることに特徴を有するものである。
【0007】
このような構成によれば、パネル支持フレームの第2フランジと壁パネルの一側端部との間でパネル取付金具が第1フランジと第1折返板との折畳み角度を縮小するよう弾性変形し、この弾性復元作用によりパネル取付金具の第2フランジがパネル支持フレームの第2フランジに対し強く突っ張るとともに、パネル取付金具の第1折返板が壁パネルの一側端部をパネル支持フレームの第1フランジの内面に強く押し付け固定する取付状態が得られる。したがって、前述した従来のボルト・ナットの締付けによる取付強度と同等もしくはそれ以上の取付強度を得るとともに、従来のボルト・ナットのような締付け不足や締付け過剰による問題や、振動によるボルト・ナットの緩み問題を解消できて常に安定かつ確実強固な取付状態を確保できる。
パネル取付金具の弾性復元作用により第2フランジがパネル支持フレームの第2フランジに対し強く突っ張るとともに、パネル取付金具の第1折返板が壁パネルの一側端部をパネル支持フレームの第1フランジの内面に強く押し付け固定することにより、壁パネルが外方から風荷重(正圧)を受けて内方へ押し動かされるようなことがあっても第1フランジと第1折返板の反発力で押し返すため、壁パネルはパネル支持フレーム内でがたつくようなことがない。
【0008】
パネル取付金具のウェブはパネル支持フレームのウェブにセルフドリルビスで固定するが、このセルフドリルビスの使用目的は、図6に示す従来のパネル取付金具22を締付けるボルト27、ナット28の使用目的とは異なり、パネル取付金具がパネル支持フレームの第1フランジと壁パネルの一側端部との間から外方へはみ出るのを防止するためだけである。したがって、このセルフドリルビスによる固定作業は、従来のボルト27・ナット28による締付け作業のようなシビアな要求はなく、セルフドリルビスをパネル取付金具のウェブとパネル支持フレームのウェブに単に挿通するだけのラフな作業で足りる。
【0009】
請求項1記載の壁パネルの取付構造は、請求項2に記載するように、前記第2フランジ(10)が、この第2フランジの突出端から該第2フランジの外側に折り返され前記パネル支持フレーム(1)の第2フランジ(6)の内面に弾性当接する第2折返板(12)を備えたものとすることができる。これによりパネル取付金具がパネル支持フレームの第2フランジと壁パネルの一側端部との間においても第2フランジと第2折返板との折畳み角度を縮小するよう弾性変形し、第1フランジと第1折返板との折畳み角度を縮小する弾性変形と相俟って弾性復元作用が増大する。したがって、壁パネルが外方から風荷重を受けて内方へ押されるようなことがあってもパネル取付金具の第1フランジと第1折返板による反発力と第2フランジと第2折返板による反発力とで強く押し返すため、壁パネルのパネル支持フレーム内でのがたつきをより確実に防止することができる。
【0010】
本発明のパネル取付金具は、請求項3に記載するように、ウェブ(4)の両端に第1,2フランジ(5),(6)を有する断面H形状に形成され、水平方向に所定間隔置きに立設されるパネル支持フレーム(1)の第1フランジ(5)と、相隣るパネル支持フレーム(1),(1)間に配置される壁パネル(2)の一側端部(2a)との間に、パネル支持フレーム(1)の縦長方向に沿って配置されるパネル取付金具3において、
弾性を有する金属板材からなって、パネル支持フレーム(1)のウェブ(4)に対向配備され該ウェブ(4)にセルフドリルビス(11)で固定されるウェブ(7)と、このウェブの一端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム(1)の第1フランジ(5)に壁パネル(2)の一側端部(2a)を介して対向する第1フランジ(8)と、この第1フランジの突出端から該第1フランジの外側に折り返されて壁パネル(2)の一側端部(2a)の内面に弾性当接する第1折返板(9)と、前記ウェブ(7)の他端縁に折曲げ連設されパネル支持フレーム(1)の第2フランジ(6)の内面に弾性当接する第2フランジ(10)とを有する形に形成されていることに特徴を有するものである。
【0011】
このような構成のパネル取付金具によれば、このパネル取付金具がパネル支持フレームの第2フランジと壁パネルの一側端部との間に配置されることにより第1フランジと第1折返板との折畳み角度を縮小するよう弾性変形し、この弾性復元作用によりパネル取付金具の第2フランジがパネル支持フレームの第2フランジに対し強く突っ張るとともに、パネル取付金具の第1折返板が壁パネルの一側端部をパネル支持フレームの第1フランジの内面に強く押し付け固定する取付状態が得られる。したがって、前述した従来のボルト・ナットの締付けによる取付強度と同等もしくはそれ以上の取付強度を得るとともに、従来のボルト・ナットのような締付け不足や締付け過剰による問題や、振動によるボルト・ナットの緩み問題を解消できて常に安定かつ確実強固な取付状態を確保できる。
パネル取付金具の弾性復元作用により第2フランジがパネル支持フレームの第2フランジに対し強く突っ張るとともに、パネル取付金具の第1折返板が壁パネルの一側端部をパネル支持フレームの第1フランジの内面に強く押し付け固定するパネル取付状態を得ることができる。これにより、壁パネルが外方から風荷重(正圧)を受けて内方へ押し動かされるようなことがあっても第1フランジと第1折返板の反発力で押し返すため、壁パネルがパネル支持フレーム内でがたつくのを防止できる。
【0012】
パネル取付金具のウェブはパネル支持フレームのウェブにセルフドリルビスで固定するようにしてあるが、このセルフドリルビスの使用目的は、図6に示す従来のパネル取付金具22を締付けるボルト27、ナット28の使用目的とは異なり、パネル取付金具がパネル支持フレームの第1フランジと壁パネルの一側端部との間から外方へはみ出るのを防止するためだけである。したがって、このセルフドリルビスによる固定作業は、従来のボルト27・ナット28による締付け作業のようなシビアな要求はなく、セルフドリルビスをパネル取付金具のウェブとパネル支持フレームのウェブに単に挿通するだけのラフな作業で足りる。
【0013】
請求項3記載のパネル取付金具は、請求項4に記載のように、前記第2フランジ(10)が、この第2フランジの突出端から該第2フランジの外側に折り返され前記パネル支持フレーム(1)の第2フランジ(6)の内面に弾性当接する第2折返板(12)を備えたものとすることができる。これによりパネル取付金具がパネル支持フレームの第2フランジと壁パネルの一側端部との間においても第2フランジと第2折返板との折畳み角度を縮小するよう弾性変形することになり、第1フランジと第1折返板との折畳み角度を縮小する弾性変形と相俟って弾性復元作用が増大する。したがって、壁パネルが外方から風荷重を受けて内方へ押されるようなことがあってもパネル取付金具の第1フランジと第1折返板による反発力と第2フランジと第2折返板による反発力とで強く押し返すことになるため、壁パネルのパネル支持フレーム内でのがたつきをより確実に防止できることになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のボルト・ナットのような締付け不足や締付け過剰による問題や、振動によるボルト・ナットの緩み問題を解消できて常に安定かつ確実強固に壁パネルをパネル支持フレームに取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例を示す壁パネルの取付構造の断面図、図2はパネル取付金具の断面図である。
【0016】
本発明に係る壁パネル取付構造の全体的構成は、図6に示す従来例のものと同様であって、図1に示すように、立体駐車場等の建物において水平方向に所定間隔置きに立設されるH形鋼からなる複数のパネル支持フレーム1(図1ではパネル支持フレーム1を1本のみ示す。)と、相隣るパネル支持フレーム1,1間に配置される鋼板パネルあるいはサンドイッチパネル等からなる手摺壁等の壁パネル2と、各パネル支持フレーム1内に該パネル支持フレーム2の縦長方向に沿って配置されるパネル取付金具3とを備える。
【0017】
各パネル支持フレーム1は、ウェブ4の両端に第1,2フランジ5,6を有する断面H形状に形成され、建物に対し第1フランジ5を外側に、第2フランジ6を内側にして設置される。
【0018】
パネル取付金具3は、薄い鋼板(例えば、0.5mm厚)など弾性を有する金属板材からなり、図2に示すように、ウェブ7と、このウェブ7の一端縁に略直角に折曲げ連設された第1フランジ8と、この第1フランジ8の突出端から該第1フランジ8の外側に該第1フランジ8の長さより長く折り返された第1折返板9と、ウェブ7の他端縁に第1フランジ8と同じ方向に略直角に折曲げ連設された第2フランジ10とを有する断面変形状に形成される通し材からなる。なお、第1折返板9の突出端縁9aは外側に折り返している。
取付け前におけるパネル取付金具3の第1折返板9の突出端縁9aと第2フランジ10間の間隔寸法H(図2参照)は、パネル支持フレーム1内に壁パネル2をこれの一側端部2aの外面が第1フランジ5の内面に接触するように納めた場合に形成される、壁パネル2の一側端部2a内面と第2フランジ6内面間の間隙の寸法W(図1参照)より大きくなるよう設定されている。
【0019】
次に、水平方向に所定間隔置きに立設されたパネル支持フレーム1,1間に壁パネル2を取付ける施工要領について説明する。
先ず、パネル支持フレーム1内にパネル取付金具3がウェブ7をパネル支持フレーム1のウェブ4に或る間隔を置いて対向させ、かつ第1折返板9をパネル支持フレーム1の第1フランジ5に或る間隔を置いて対向させるとともに、第2フランジ10をパネル支持フレーム1の第2フランジ6に対向させて当接させるようにパネル支持フレーム1の縦長方向に沿って配置される。そして、セルフドリルビス11がパネル取付金具3のウェブ7とパネル支持フレーム1のウェブ4にわたって挿通される。このセルフドリルビス11はパネル取付金具3がパネル支持フレーム1から外方(図1中、矢印B方向)へはみ出るのを阻止するだけのためのものであるから、必ずしもセルフドリルビス11の頭部11aの座面11bがウェブ7に密着するまで締付ける必要はなく、座面11bがウェブ7から少々離間していてもよく、その締付け加減は重視されず、未熟練者でも簡単に行える。
【0020】
次いで、壁パネル2をこれの一側端部2aがパネル支持フレーム1の第1フランジ5とパネル取付金具3の第1折返板9との間に入り込むように落し込む。この壁パネル2の落し込みによりパネル取付金具3はパネル支持フレーム1の第2フランジ6と壁パネル2の一側端部2aとの間で第1フランジ8と第1折返板9との折畳み角度を縮小するよう弾性変形した状態になる。このパネル取付金具3の弾性復元作用により第2フランジ10がパネル支持フレーム1の第2フランジ6の内面に対し弾性当接して強く突っ張るとともに、第1折返板9の突出端縁9aが壁パネル2の一側端部2aの内面に弾性当接して該一側端部2aをパネル支持フレーム1の第1フランジ5の内面に強く押し付け固定する取付状態が得られる。
壁パネル2の落し込み作業は建物のフロア−から行うので、外部足場を不要にして簡単に施工でき、外部足場を必要とする施工に比し大幅な工期短縮化が図れる。
【0021】
壁パネル2は上記した取付け施工要領に代えて、次のような施工要領で取付けることもできる。先ず、壁パネル2をこれの一側端部2aがパネル支持フレーム1の第1フランジ5と第2フランジ6との間に入り込むように落し込む。次いで、パネル支持フレーム1の第2フランジ6と壁パネル2の一側端部2aの内面との間の間隙内に対し、パネル取付金具3を、ウェブ7がパネル支持フレーム1のウェブ4に対向し、かつ第1折返板9が壁パネル2の一側端部2aの内面に対向して弾性当接するとともに、第2フランジ10がパネル支持フレーム1の第2フランジ6に対向して弾性当接するように押し込むことによりパネル支持フレーム1の縦長方向に沿って配置する。
このようにパネル取付金具3を押し込むことによっても、パネル取付金具3はパネル支持フレーム1の第2フランジ6と壁パネル2の一側端部2aとの間で第1フランジ8と第1折返板9との折畳み角度を縮小するよう弾性変形した状態になる。このパネル取付金具3の弾性復元作用により第2フランジ10がパネル支持フレーム1の第2フランジ6に対し強く突っ張るとともに、第1折返板9の突出端縁9aが壁パネル2の一側端部2aの内面に弾性当接して該一側端部2aをパネル支持フレーム1の第1フランジ5の内面に強く押し付け固定する取付状態が得られる。
最後に、セルフドリルビス11をパネル取付金具3のウェブ7とパネル支持フレーム1のウェブ4にわたって挿通させる。
【0022】
上記のようにパネル取付金具3を用いて壁パネル2を取付けると、パネル取付金具3の弾性復元作用により第2フランジ10がパネル支持フレーム1の第2フランジ6に対し強く突っ張るとともに、第1折返板9が壁パネル2の一側端部2aをパネル支持フレーム1の第1フランジ5の内面に強く押し付け固定し、常に安定かつ確実強固な取付状態が得られる。
【0023】
パネル取付金具3の第2フランジ10がパネル支持フレーム1の第2フランジ6に対し強く突っ張るとともに、パネル取付金具3の第1折返板9が壁パネル2の一側端部2aをパネル支持フレーム1の第1フランジ5の内面に強く押し付け固定するので、壁パネル2が外方(図1中、矢印A方向)から風荷重を受けても第1フランジ8と第1折返板9の反発力で壁パネル2を押し返すため壁パネル2はパネル支持フレーム1内でがたつくようなことがない。
また、パネル取付金具3は第2フランジ10のウェブ7と連接する屈曲部10aをパネル支持フレーム1の第2フランジ6の内面に対し突っ掛かるため、この点でもパネル取付金具3の矢印B方向へのはみ出しを阻止することができる。
【0024】
パネル取付金具3は各パネル支持フレーム1のウェブ4の両側に配置され、一側方のパネル取付金具3のウェブ7に挿通されてパネル支持フレーム1のウェブ4の他側方へ突出するるセルフドリルビス11の先端部11cは、他側方のパネル取付金具3のウェブ7で覆い隠される。因みに、一側方のパネル取付金具3のウェブ7にセルフドリルビス11を挿通する箇所と、他側方のパネル取付金具3のウェブ7にセルフドリルビス11を挿通する箇所とはパネル取付金具3の縦長方向にずらしている。
【0025】
パネル取付金具3の断面形状としては、図3、図4に示すような断面形状に形成することもできる。図3に示すパネル取付金具3はウェブ7の他端縁に第2フランジ10を第1フランジ8とは逆向きに略直角に折曲げ連設してある以外は、図2に示すパネル取付金具3と同様であるため、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
図4に示すパネル取付金具3は第2フランジ10の突出端から該第2フランジ10の外側に折り返された第2折返板12を有する形に形成してある以外は、図2に示すパネル取付金具3と同様であるため、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。因みに、取付け前におけるパネル取付金具3の第1折返板9の突出端縁9aと第2折返板12の突出端縁12a間の間隔寸法H(図4参照)は、パネル支持フレーム1内に壁パネル2をこれの一側端部2aの外面が第1フランジ5の内面に接触するように納めた場合に形成される、壁パネル2の一側端部2a内面と第2フランジ6内面間の間隙の寸法W(図5参照)より大きくなるよう設定されている。
【0026】
図5に示すように、図4の第2折返板12を有するパネル取付金具3を用いて壁パネル2をパネル支持フレーム1に上記取付け施工要領と同じ要領で取付けた場合は、第2折返板12をパネル支持フレーム1の第2フランジ6の内面に弾性当接させることができる。これによれば、パネル取付金具3がパネル支持フレーム1の第2フランジ6と壁パネル2の一側端部2aとの間において第2フランジ10と第2折返板12との折畳み角度を縮小するよう弾性変形し、第1フランジ8と第1折返板9との折畳み角度を縮小する弾性変形と相俟って弾性復元作用を増大させることができる。したがって、壁パネル2が外方(図5中、矢印A方向)から風荷重を受けて内方へ押されるようなことがあってもパネル取付金具3の第1フランジ8と第1折返板9による反発力と第2フランジ10と第2折返板12による反発力とで強く押し返すため、壁パネル2がパネル支持フレーム1内でがたつくのをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示す壁パネルの取付構造の断面図である。
【図2】パネル取付金具の断面図である。
【図3】他の実施例のパネル取付金具の断面図である。
【図4】更に他の実施例のパネル取付金具の断面図である。
【図5】図4のパネル取付金具を用いて取付けた壁パネルの取付構造の断面図である。
【図6】従来例の壁パネル取付構造の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 パネル支持フレーム
2 壁パネル
3 パネル取付金具
4 パネル支持フレームのウェブ
5 パネル支持フレームの第1フランジ
6 パネル支持フレームの第2フランジ
7 パネル取付金具のウェブ
8 パネル取付金具の第1フランジ
9 パネル取付金具の第1折返板
10 パネル取付金具の第2フランジ
11 セルフドリルビス
12 パネル取付金具の第2折返板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブの両端に第1,2フランジを有する断面H形状に形成され、水平方向に所定間隔置きに立設される複数のパネル支持フレームと、相隣るパネル支持フレーム間に配置される壁パネルと、前記パネル支持フレームの第1フランジと前記壁パネルの一側端部との間に前記パネル支持フレームの縦長方向に沿って配置されるパネル取付金具とを備えている壁パネルの取付構造において、
前記パネル取付金具が弾性を有する金属板材からなって、前記パネル支持フレームのウェブに対向するウェブと、このウェブの一端縁に折曲げ連設され前記パネル支持フレームの第1フランジに前記壁パネルの一側端部を介して対向する第1フランジと、この第1フランジの突出端から該第1フランジの外側に折り返されて前記壁パネルの一側端部の内面に弾性当接する第1折返板と、前記ウェブの他端縁に折曲げ連設され前記パネル支持フレームの第2フランジの内面に弾性当接する第2フランジとを有する形に形成され、前記パネル取付金具のウェブを前記パネル支持フレームのウェブにセルフドリルビスで固定していることを特徴とする、壁パネルの取付構造。
【請求項2】
前記第2フランジが、この第2フランジの突出端から該第2フランジの外側に折り返され前記パネル支持フレームの第2フランジの内面に弾性当接する第2折返板を備えている、請求項1記載の壁パネルの取付構造。
【請求項3】
ウェブの両端に第1,2フランジを有する断面H形状に形成され、水平方向に所定間隔置きに立設されるパネル支持フレームの前記第1フランジと、相隣るパネル支持フレーム間に配置される壁パネルの一側端部との間に、前記パネル支持フレームの縦長方向に沿って配置されるパネル取付金具において、
弾性を有する金属板材からなって、前記パネル支持フレームのウェブに対向配備されて該ウェブにセルフドリルビスで固定されるウェブと、このウェブの一端縁に折曲げ連設され前記パネル支持フレームの第1フランジに前記壁パネルの一側端部を介して対向する第1フランジと、この第1フランジの突出端から該第1フランジの外側に折り返されて前記壁パネルの一側端部の内面に弾性当接する第1折返板と、前記ウェブの他端縁に折曲げ連設され前記パネル支持フレームの第2フランジの内面に弾性当接する第2フランジとを有する形に形成されていることを特徴とする、パネル取付金具。
【請求項4】
前記第2フランジが、この第2フランジの突出端から該第2フランジの外側に折り返され前記パネル支持フレームの第2フランジの内面に弾性当接する第2折返板を備えている、請求項3記載のパネル取付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−255055(P2007−255055A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80714(P2006−80714)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(399081718)ダイト工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】