説明

壁パネルの貼着方法

【課題】ハンギングレール2を壁面Wに取り付けながら複数の壁パネル1を床面側から天井側に向かって順次積み上げ式に貼着していく場合の壁パネルの貼着を容易化する。
【解決手段】最終の壁パネル1Cを貼着するとき、その壁パネル1Cの上端を予め壁面Wに取り付けられた上見切材4に板バネやスポンジ等の弾発部材5を介して差し入れて、その弾発部材5の復元力によって最終のハンギングレール2に壁パネル1の下端を装着する。このことで、最終の壁パネル1Cを一旦押し上げて落とすだけで簡単に装着でき、外観上も美麗に仕上がり、ガタ付きなく安心して使用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面にハンギングレールを取り付けながら壁パネルを簡単に貼ることができる壁パネルの貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の被係止物、例えばフック、ハンガー、小物載置棚等を係止保持させるようにするためのハンギングレールを壁面に取り付けながら壁パネルを簡単に貼ることができる装置は特許文献1によって公知である。
【特許文献1】特開2003−219927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来装置にあっては、床側から複数の壁パネルをハンギングレールを介して天井側に向かって順次貼っていくものであり、天井側において壁パネル上端と天井面との間のスペースに余裕がある場合には何等問題は生じない。しかしながら、床面から天井面迄の壁全面に壁パネルを貼りたい場合には、最終の壁パネルの取り付けに色々な工夫が必要であり、作業性において問題があった。
【0004】
また、通常、壁パネルには左右両端部の保護を図り、外観を整えるための枠材即ち縦見切材を取り付けるのであるが、床側から複数の壁パネルをハンギングレールを介して天井側に向かって順次貼っていくため、全ての壁パネルを貼った後、ハンギングレールを含めてこの左右両端部を覆う縦見切材をネジ等で強固に取り付けなければならない。
【0005】
しかし、壁パネルの左右の端部と左右の壁面とが隣接して間隔が狭く、ドライバー等の工具が差し入れられない場合には、断面L字形の縦見切材を左右の壁面との隙間に差し入れてネジ等で壁パネル前面側から装着しなくてはならず、ネジの頭部が見えて体裁が悪いという問題点があった。
【0006】
また、壁パネルの左右の端部と壁面との間隔が広くてドライバー等の工具が差し入れられる場合は、縦見切材を壁パネルの端面側にネジ等で装着することができるが、このように装着しても矢張りネジの頭部が見えて体裁が悪いという問題点があった。
【0007】
本発明の主たる目的は、ハンギングレールを壁面に取り付けながら壁パネルを簡単に貼ることができる壁パネルの貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う請求項1の発明に係る壁パネルの貼着方法は、壁面にハンギングレールを取り付けながら複数の壁パネルを床面側から天井側に向かって順次積み上げ式に貼着していく方法において、最終の壁パネルにおいては、該壁パネルの上端を予め壁面に取り付けられた上見切材に板バネやスポンジ等の弾発部材を介して差し入れて、その弾発部材の復元力によって最終のハンギングレールに壁パネル下端を装着することを特徴とするものである。
【0009】
この請求項1の発明では、最終の壁パネルを一旦押し上げて落とすだけで簡単に装着でき、外観上も美麗に仕上がる。
【0010】
請求項2の発明に係る壁パネルの貼着方法は、請求項1の壁パネルの貼着方法において、壁面または壁パネル端面に、係合片を有する縦見切取付部材を取り付け、全壁パネルの貼着後に、前記係合片に係合する係止片を有する縦見切材を壁パネルの前面側から差し入れて該係止片を前記係合片に係合させることを特徴とする。
【0011】
この請求項2の発明では、請求項1の発明の作用効果に加え、予め縦見切を装着しておくことができない壁パネルに、左右の壁面または壁パネルに取り付けた縦見切取付部材に全壁パネルの貼着後に縦見切材を装着することで、体裁よく縦見切を施すことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように、請求項1の発明に係る壁パネルの貼着方法によれば、壁面にハンギングレールを取り付けながら複数の壁パネルを床面側から天井側に向かって順次積み上げ式に貼着していく方法において、最終の壁パネルにおいてはその壁パネルの上端を予め壁面に取り付けられた上見切材に板バネやスポンジ等の弾発部材を介して差し入れて、その弾発部材の復元力によって最終のハンギングレールに壁パネル下端を装着するものであるから、最終の壁パネルを一旦押し上げて落とすだけで簡単に装着でき、外観上も美麗に仕上がり、ガタ付きなく安心して使用できるものである。
【0013】
また、請求項2の発明に係る壁パネルの貼着方法によれば、請求項1の壁パネルの貼着方法において、左右の壁面または壁パネル端面に、係合片を有する縦見切取付部材を取り付け、全壁パネルの貼着後に前記係合片に係合する係止片を有する縦見切材を壁パネルの前面側から差し入れて該係止片を前記係合片に係合させるものであるから、予め縦見切材を装着しておくことができない壁パネルに壁面または壁パネルに取り付けた縦見切取付部材に全壁パネルの貼着後に縦見切材を装着することで体裁よく縦見切を施すことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る壁パネルの貼着方法によって壁パネルを貼った状態の全体正面図、図2は、図1のA−A線における一部省略拡大縦断側面図、図3は、縦見切取付部材と縦見切材の関係を表す拡大断面図、図4は、壁パネル端面に取り付けられた縦見切取付部材に縦見切材を装着した状態の横断平面図、図5は、左右の壁面に取り付けられた縦見切取付部材に縦見切材を装着した状態の横断平面図である。
【0016】
図において、1(1A〜1C)は壁パネルであって、各壁パネル1の上下には、後述するハンギングレール2の本体胴部2−1が嵌合する断面矩形状の溝1−1がそれぞれ形成されている。
【0017】
前記壁パネル1は板状であればよいので、その材質は特に限定されない。例えば基材として合板、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード、ハードボード、インシュレーションボード、OSB、LVL(単板積層材)、LVB(単板積層板)、集成材等の木質材料板の他、ロックウール板、石膏ボード、火山性ガラス質複層板(大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)等を用いることができ、その表面に化粧シートを被覆してもよい。その化粧シートは厚さ0.2mm〜4.0mm程度の木質単板や、これに限定せずその他の印刷紙、合成樹脂含浸化粧紙、合成樹脂化粧シート等の材料を用いることもできる。前記木質単板は突き板の他、積層単板、予め染色したものを用いてもよく、基板の大きさに対応した1枚ものや、複数枚の単板を基板上に並べて貼着したものを用いてもよい。
【0018】
2はハンギングレールであって、図2に示すように、上下側部がそれぞれ前記壁パネル1の上及び下の溝1−1に嵌合する断面略コ字状の胴部2−1と、この胴部2−1に一体に形成され、ハンギングレール2を壁面に取り付けるためのネジ挿通孔を有するフランジ2−3とを備え、胴部2−1にはフック、ハンガー、小物載置棚、シラーパネル、壁掛けTV用パネル等を係止保持させるための金具(図示せず)を差し入れる係合溝2−2が形成されている。
【0019】
3は、壁パネルを貼るための最初のベース部分となる下レールに相当する金属製または合成樹脂製の断面略コ字状の下見切材であって、壁面にネジ止め等によって取り付けられている。
【0020】
4は、壁パネルを貼るための最終のベース部分となる上レールに相当する金属製または合成樹脂製の断面略コ字状の上見切材であって、壁面にネジ止め等によって取り付けられている。
【0021】
また、前記上見切材4の内部には、最終の壁パネル1を貼るときに上方から圧力をかけてガタ付かないようにするための板バネやスポンジ等の弾発部材5が取り付けられるようになっている。板バネとしては、例えば幅方向から見て略台形状に折り曲げられたものが用いられる。
【0022】
6は、例えば長さ方向の断面形状が同じとされた金属製の縦見切取付部材であって、平板状のベース6−1と、このベース6−1に一体に形成され、係合突起6−2aを有する係合片6−2とから構成されている。
【0023】
7は、同じく例えば長さ方向の断面形状が同じとされた硬質または半硬質の合成樹脂製の縦見切材であって、平板状のベース7−1と、このベース7−1に一体に形成されて直角方向に延びるフランジ7−2と、ベース7−1に一体に形成され、複数の係止突起7−3aを有する係止片7−3とから構成されている。
【0024】
尚、前記縦見切取付部材6及び縦見切材7の材質は前記のものに限らず、縦見切取付部材6が硬質または半硬質の合成樹脂製のもので、縦見切材7が金属製のものでもよく、さらには互いに同じ材質で構成されていてもよい。しかし、本実施形態のように、金属製の縦見切取付部材6に合成樹脂製の縦見切材7を取り付ける方が、より美麗かつ強固に装着される。
【0025】
次に、本発明の実施形態に係る壁パネルの貼着方法について具体的に説明する。先ず、予め、壁面Wの下端部に開口が上方に向きかつ開口の裏面が床面上に載置されるように取り付けられている下見切材3の内部に1枚目(最下端)の壁パネル1Aの下端を落とし込む。次いで、同壁パネル1A上端の溝1−1内に1段目のハンギングレール2の胴部2−1の下側を嵌合させ、そのハンギングレール2をフランジ2−3のネジ挿通孔から通したネジまたはアンカーボルトで壁面Wに取り付ける。この方法によってハンギングレール2の取り付けと同時に1枚目の壁パネル1Aが貼られることになる。
【0026】
前記方法によって壁面Wに取り付けられた1段目のハンギングレール2の胴部2−1の上側を2枚目の壁パネル1Bの下端の溝1−1内に嵌合させ、続いて、該壁パネル1B上端の溝1−1内に2段目のハンギングレール2の胴部2−1の下側を嵌合させ、その2段目のハンギングレール2をフランジ2−3のネジ挿通孔から通したネジまたはアンカーボルトで壁面Wに取り付ける。この方法によってハンギングレール2の取り付けと同時に2枚目の壁パネル1Bが貼られることになる。
【0027】
本実施形態では、説明を簡単にするために、ここまで2段のハンギングレールの取り付けについて説明したが、多段のハンギングレールの取り付けが必要な場合には前記の作業を繰り返せばよい。
【0028】
最終の壁パネル1Cについては、予め、壁面Wの上端部に開口が下方に向くように取り付けられている上見切材4の内部に壁パネル1Cの上端が、該上見切材4内に設けてある弾発部材5の復元力に抗して押し込まれるように壁パネル1C全体を押し上げ、次いで、その壁パネル1Cを下げて、その下端の溝1−1内に前記最終のハンギングレール2の胴部2−1の上側を嵌合させてやればよい。以上で全ての壁パネル1の貼着が完了する。
【0029】
尚、本実施形態では弾発部材5を上見切材4に設けたが、最終の壁パネル1Cの上端に設けてもよいことは勿論である。
【0030】
次に、縦見切材7の装着方法について説明する。上述の方法によって全ての壁パネル1を壁面Wに張った後、即ち壁パネル貼着作業の完了後、壁パネル1の左右両端と左右壁面との間にドライバー等の工具が差し入れられるだけのスペースの余裕がある場合は、図3及び図4に示すように、全ての壁パネル1及びハンギングレール2の端面を覆う長さの縦見切取付部材6を壁パネル1の端面にネジ止めし、その縦見切取付部材6に対し、壁パネル1の前面側から縦見切材7を図3で矢印方向に差し入れてやれば、縦見切取付部材6の係合突起6−2aに縦見切材7の係止突起7−3aが係合して、縦見切取付部材6と縦見切材7との強固な連結がなされ、縦見切が施される。
【0031】
一方、壁パネル貼着作業の完了後、壁パネル1の左右両端と左右壁面との間にドライバー等の工具が差し入れられるだけのスペースの余裕がない場合は、壁パネル1を貼る前に該各壁パネル1の端面に、貼る作業に支障とならない長さの縦見切取付部材6をネジ止めして固定しておき、全壁パネルを壁面Wに張った後、上述のように壁パネル1の前面側から縦見切材7を図3で矢印方向に差し入れてやれば、それぞれの縦見切取付部材6の係合突起6−2aに縦見切材7の係止突起7−3aが係合して、縦見切取付部材6と縦見切材7との強固な連結がなされ、縦見切が施される。
【0032】
この場合、縦見切取付部材6は各壁パネル1毎に取り付けられて高さ方向に不連続状態になっているが、係合突起6−2aと係止突起7−3aとの連結力は殆ど変わることがない。しかも、縦見切取付部材6の不連続状態は、連続している縦見切材7によって隠されるので、外観が変わることもないものである。
【0033】
また、左右の壁面W1の間の全幅に亘って壁パネル1を貼る場合には、図5に示すように、予め、縦見切取付部材6を壁パネル1ではなくて左右の壁面W1にネジ止めして取り付けておき、壁パネル貼着作業の完了後に、その縦見切取付部材6に縦見切材7を装着すればよい。このように、縦見切取付部材6を左右の壁面W1に予め取り付けておく方法は、その縦見切取付部材6が施工作業の基点となって作業性が良好となる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、壁パネルを簡単に貼ることができるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る方法によって壁パネルを貼った状態を示す全体正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線における一部省略拡大縦断側面図である。
【図3】図3は、縦見切取付部材と縦見切材との関係を表す拡大断面図である。
【図4】図4は、壁パネル端面に取り付けられた縦見切取付部材に縦見切材を装着した状態の横断平面図である。
【図5】図5は、左右の壁面に取り付けられた縦見切取付部材に縦見切材を装着した状態の横断平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1(1A〜1C) 壁パネル
2 ハンギングレール
3 下見切材
4 上見切材
5 弾発部材
6 縦見切取付部材
7 縦見切材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面にハンギングレールを取り付けながら複数の壁パネルを床面側から天井側に向かって順次積み上げ式に貼着していく方法において、
最終の壁パネルにおいては、該壁パネルの上端を予め壁面に取り付けられた上見切材に板バネやスポンジ等の弾発部材を介して差し入れて、該弾発部材の復元力によって最終のハンギングレールに壁パネル下端を装着することを特徴とする壁パネルの貼着方法。
【請求項2】
請求項1記載の壁パネルの貼着方法において、
左右の壁面または壁パネル端面に、係合片を有する縦見切取付部材を取り付け、
全壁パネルの貼着後に、前記係合片に係合する係止片を有する縦見切材を壁パネルの前面側から差し入れて該係止片を前記係合片に係合させることを特徴とする壁パネルの貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−121260(P2008−121260A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305590(P2006−305590)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年10月2日 株式会社 大伸社発行の「2006/2007 安全&安心な住まいづくりのための総合カタログ 2 INOMA・きわざ・収納設備」に発表
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【出願人】(592048176)ケージーパルテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】