説明

壁面体

【課題】大型のパネルでも材質の制限を受け難く且つ強固に保持でき、採光面積を小さくしたり通風効率を損なうことを防止できる壁面体を提供する。
【解決手段】本発明は、複数のパネル17と、各パネル17の上下方向又は左右方向中間部に設けたパネル保持部材15とを備えた壁面体1であって、パネル保持部材15はパネル17の一側面と他側面からパネル17を挟持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス、屋外に設置される間仕切り、ルーバやガラリ等の壁面体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネルの上端に上桟を取付け、そのパネルの下端に下桟を取付けてパネルを保持した壁面体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−162259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、パネルに上桟や下桟を取付けるとその分パネルの採光面積が小さくなったり、通風の邪魔になり効率的な通風を得られ難いという問題がある。
また、パネルに上桟や下桟を取付ける場合には、各桟との嵌合部を形成する必要がある為、特に大型のパネルの場合には、例えば、押出形材で嵌合部を一体に製造したパネルに限られるからパネルの材質に制限を受けるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、大型のパネルでも材質の制限を受け難く且つ強固に保持でき、採光面積を小さくしたり通風効率を損なうことを防止できる壁面体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数のパネルと、各パネルの上下方向又は左右方向中間部に設けたパネル保持部材とを備え、パネル保持部材はパネルの一側面と他側面からパネルを挟持していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、パネル保持部材は、パネルの一側面に設けた桟と、パネルの他側面に設けたパネル押え材とを備え、パネル押え材と桟とでパネルを挟持していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、パネルとパネル保持部材とからなるパネルユニットを見付け方向に隣り合わせで複数備え、隣り合うパネルユニットのパネル端部が互いに見込み方向に間隔をあけて重合していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、各々がパネル保持部材を備える複数のパネルを上桟と下桟と左右の縦桟とで囲んで枠組したパネル体と、左右の縦材とを備え、左右の縦材間に複数のパネル体を積み上げていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、パネルは上下方向又は左右方向の中間部に設けたパネル保持部材で保持しているので、従来、パネルの端に取付けてパネルを保持していた上桟や下桟等が不要であるから、上桟や下桟による採光面積の減少や、通風の邪魔になって通風効率を損なうことを防止できると共にパネルに上桟や下桟との嵌合部を設ける必要がないので、大型のパネルでも材質の制限を受け難い。
パネル保持部材は、パネルの上下方向又は左右方向の中間部でパネルを保持しているので、大型のパネルを用いた場合でもパネルの撓みを防止し且つ強固にパネルを保持することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用効果を奏すると共に、桟とパネル押え材とでパネルを挟持しているので、パネルを強固に保持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の作用効果を奏すると共に、パネル端部が互いに見込み方向に間隔をあけて重合しているので、採風しつつ見通しを遮って目隠しをすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作用効果を奏すると共に、左右の縦材間にパネル体を積み上げて壁面体を施工できるので、壁面体の施工が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施の形態を示し、図3のA―A断面図である。
【図2】第1実施の形態を示し、図3のB―B断面図である。
【図3】第1実施の形態にかかる壁面体の正面図である。
【図4】第2実施の形態を示し、図5のC―C断面図である。
【図5】第2実施の形態にかかる壁面体の正面図である。
【図6】第3実施の形態を示し、図6のE―E断面図である。
【図7】第3実施の形態にかかる壁面体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面の図1〜図3を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。本実施の形態にかかる壁面体1は、フェンスである。
図3に示すように、壁面体1は、左右の縦材3、3と、複数のパネル体5を備えており、パネル体5は左右の縦材3、3間に積み上げて固定されている。左右の縦材3、3の上端間には横架材7が架設されており、最上にあるパネル体5と横架材7との間に空間9を形成している。縦材3、3は、本実施の形態では、支柱である。
図2に示すように、左右の縦材3、3には、互いに対向する面に各々竪桟補助材11がねじ固定してある。
【0016】
図1に示すように、パネル体5は、複数のパネル17と、各パネル17を保持するパネル保持部材15と、上桟19と、下桟21と、左右の竪桟13、13(図2参照)とを備えており、複数のパネル17の周囲を上桟19、下桟21及び竪桟13、13で囲んで枠組してある。
各パネル17とパネル保持部材15とでパネルユニット14を構成しており、パネル体5には複数のパネルユニット14が見付け方向に隣り合わせに配置されている。
本実施の形態では、1つのパネル体5内には2つのパネルユニット14が上下に設けてあり、パネル体5内に配置されるパネル17は上下に合計2枚ある。
パネル17は、採光パネルであり、光を透過する樹脂材製である。また、本実施の形態では、パネル17は上下の幅が約300mmで、左右の長さが1000mm〜2000mmの大型のパネルである。
【0017】
パネル保持部材15は、パネル17の上下方向中間部に設けてあり、パネル17の一側面に設けた中桟23と、パネルの他側面に設けたパネル押え材25とを備えており、パネル押え材25と中桟23とでパネル17を挟持している。本実施の形態では、中桟23はパネル17の家側の面に設けてあり、パネル押え材25はパネルの道路側の面に設けてある。
中桟23は、パネル17の当接面を上下に傾斜させており、パネル17を傾斜させて取付けてある。
中桟23とパネル押え材25とはパネル17を貫通するねじ29で固定してある。パネル押え材25の家側面にはカバー27が嵌合固定されている。
【0018】
上桟19には一方側係止部31と他方側係止部33とが形成されており、上に位置するパネル体5の下桟21に形成されている一方側被係止部35と他方側被係止部37が係止している。即ち、一方側係止部31及び一方側被係止部35と、他方側係止部33及び他方側被係止部37が、互いに嵌合により係止してある。
上桟19の下面には、パネル17の上端17aを受けるパネル受け39がねじ固定されており、パネル受け39は家側からパネル17の上端17aに当接している。
尚、最上に位置するパネル体5の上桟19にはカバー45が取付けてある。このカバー45は下桟21に形成されている一方側被係止部35と同じ形状の一方側被係止部41と、下桟21の他方側被係止部37と同じ形状の他方側被係止部43とが形成されており、下桟21と同様に上桟19に嵌合固定されている。
パネル体5において、隣り合うパネルユニット14では、隣り合うパネル17の対向する端部17c、17cが互いに見込み方向に間隔をあけて重合している。
【0019】
下桟21は、その道路側端部でパネル17の下端17bを固定してある。これにより、下桟21の上面は家側が広く取れるから、例えばフラワーボックスや鉢等を載置可能になっている。
尚、最下位置にあるパネル体5の下桟21は、縦材3、3間に固定された下桟補助材16に嵌合固定されている。下桟補助材16には、上桟19の一方側係止部31と同じ形状の一方側係止部49と、上桟19の他方側係止部33と同じ形状の他方側係止部51が設けてあり、最下位置にあるパネル体5の下桟21がパネル体5の上桟19に嵌合するのと同様にして下桟補助材16に嵌合してある。
【0020】
図2に示すように、パネル体5の左右の竪桟13は、竪桟補助材11及び縦材3、3に家側から斜めに止めるねじ12で固定されている。竪桟13を固定するねじ12は目板52で隠してある。
尚、竪桟13の道路側は竪桟補助材11の面部11aで覆っている。また、図1に示すように、竪桟13の上端には、カバー53が取付けてある。
【0021】
次に、本実施の形態にかかる壁面体1の施工、作用効果について説明する。
壁面体1の施工は、図2に示すように、左右の縦材3、3の対向面に各々竪桟補助材11をねじ固定する。また、左右の縦材3、3の下部に下桟補強材16を固定し、図3に示すように、上端に横架材7を固定する。
そして、左右の縦材3、3間の下部に最下のパネル体5を配置し、その下桟21を下桟補強材16に嵌合し、パネル体5の左右の竪桟13、13を家側(他方側)から止めるねじ12で竪桟補助材11及び縦材3に固定する。
次に、そのパネル体5の上に順次パネル体5を積み上げて固定するが、上パネル体5の積み上げは、上パネル体5の上桟19を家側に向けてパネル体5を傾斜させ、上パネル体5の下桟21にある他方側被係止部37を、下パネル体5の上桟19の他方側係止部33に係合して、上パネル体5の上桟19を道路側に向けて回転させるように上パネル体5を立ち上げることにより、下桟21の一方側被係止部35が下パネル体5の上桟19の一方側係止部31に係止する。これにより、下パネル体5の上桟19に上パネル体5の下桟21を嵌合固定する。そして、図2に示すように、上パネル体5の竪桟13、13を家側から止めるねじ12で竪桟補助材11及び支柱3に固定する。
このようにしてパネル体5を順次積み上げて最上のパネル体5を、竪桟補助材11、11及び縦材3、3に固定した後、竪桟13の家側に目板52を嵌め、最上のパネル体5の上桟19にカバー45を被せると共に、竪桟13、13の上端にもカバー53を被せる。
【0022】
本実施の形態によれば、パネル17は上下方向の中間部に設けたパネル保持部材15で保持しているので、従来、パネルの端に取付けてパネルを保持していた上桟や下桟等が不要であるから、上桟や下桟による採光面積の減少や、通風の邪魔になって通風効率を損なうことを防止できる。また、パネル17に上桟や下桟との嵌合部を設ける必要がないので、パネル17に嵌合部を形成した押出し形材を用いる必要がなく、ガラスパネルも使用できるので、材質の制限を受け難い。
パネル保持部材15は、パネル17の上下方向の中間部でパネル17を保持しているので、大型のパネル17でもパネルの撓みを防止し且つ強固にパネルを保持することができる。
【0023】
中桟23とパネル押え材25とでパネル17を挟持しているので、パネル17を強固に保持することができる。
【0024】
更に、本実施の形態では、左右の縦材3、3間にパネル体5を積み上げて壁面体1を施工しているので、壁面体の施工が容易にできる。
最上に位置するパネル体5には上桟19に別体のカバー45を取付けており、それ以外のパネル体5の上桟19には上に位置するパネル体5の下桟21を取付けているので、各パネル体5において、上桟19の上面の仕上げ品質が要求されなくて済み、パネル体5の製造や搬送がし易い。
縦材3、3間に横架材7を設けることで壁面体1全体の強度を向上させることができる。
縦材3、3間に横架材7を取付けて縦材3、3間の強度を高めた後に、パネル体5を順次取付けているので、施工し易い。
上パネル体5の下桟21を下パネル体5の上桟19に回転により嵌合させて取付けているので、縦材3、3間に上からパネル体5を落とし込まなくて済むから最上パネル体5と横架材7との間にほとんど空間がない場合でも容易に施工できる。更に、家側のみから施工ができ、道路側からの作業を不要にできる。
また、最上に位置するパネル体5の上面カバー45と横架材7との間に空間9を形成することにより、パネル17、17間に形成する通風空間に対してより大きな通風空間を確保できる。
パネル5には、パネルユニット14を見付け方向に隣り合わせで複数設けて、隣り合うパネルユニット14のパネル17の端部17c、17cが互いに見込み方向に間隔をあけて重合しているので採風しつつ見通しを遮って目隠しをすることができる。
【0025】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述の第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符合を付することにより、その部分の説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
図4及び図5を参照して、本発明の第2実施の形態にかかる壁面体1を説明する。この第2実施の形態では、最上のパネル体5と横架材7との間に第1実施の形態のような空間9がなく、最上のパネル体5のカバー45と横架材7との間にスペーサ57を介在してある。
【0026】
この第2実施の形態では、最上のパネル体5のカバー45と横架材7との間に第1実施の形態における空間9がないので、パネル17、17間に形成する通風空間に対してより大きな通風空間を確保できる効果を除いて、第1実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0027】
図6及び図7を参照して、本発明の第3実施の形態にかかる壁面体1を説明する。この第3実施の形態では、各パネル17の左右方向中間部にパネル保持部材15を設けており、上下の横材61、61間に、パネル保持部材15で保持したパネル17を固定してある。
即ち、第3実施の形態では、各パネル17は左右方向で傾斜しており、パネル17を固定してある中桟23を上下の横材61、61に固定して、壁面体1を施工している。
【0028】
この第3実施の形態によれば、パネル17は左右方向の中間部に設けたパネル保持部材15で保持しているので、従来、パネルの端に取付けてパネルを保持していた左右竪桟が不要であるから、左右の竪桟による採光面積の減少や、通風の邪魔になって通風効率を損なうことを防止できる。また、パネル17に左右の竪桟との嵌合部を設ける必要がないので、パネル17に押出し形材を用いる必要がなく、材質の制限を受け難い。
パネル保持部材15は、パネル17の左右方向の中間部でパネル17を保持しているので、大型のパネル17でもパネルの撓みを防止し且つ強固にパネルを保持することができる。
中桟23とパネル押え材25とでパネル17を挟持しているので、パネル17を強固に保持することができる。
【0029】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1及び第2実施の形態において、各パネル17は上下に傾斜しないで、各面を垂直にしても良いし、第3実施の形態では、各パネル17は左右に傾斜しないで横材61に平行にしても良い。
パネル17は樹脂材に限らず、ガラスや金属材であっても良いし、材質は制限されない。
第1及び第2実施の形態において、壁面体1はパネル体5を面一に施工することに限らず、縦材3にパネル体5を直角に配置したり、縦材3に対して所定の角度を形成するものであっても良い。
第1及び第2実施の形態において、縦材3、3間には、横架材7を架設しないでも良い。
壁面体1は、フェンスに限らず、屋外に設置する間仕切り、窓に取付けるルーバやガラリ等であっても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 壁面体
3 縦材
5 パネル体
13 竪桟
15 パネル保持部材
23 中桟(桟)
17 パネル
19 上桟
21 下桟
25 パネル押え材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルと、各パネルの上下方向又は左右方向中間部に設けたパネル保持部材とを備え、パネル保持部材はパネルの一側面と他側面からパネルを挟持していることを特徴とする壁面体。
【請求項2】
パネル保持部材は、パネルの一側面に設けた桟と、パネルの他側面に設けたパネル押え材とを備え、パネル押え材と桟とでパネルを挟持していることを特徴とする請求項1に記載の壁面体。
【請求項3】
パネルとパネル保持部材とからなるパネルユニットを見付け方向に隣り合わせで複数備え、隣り合うパネルユニットのパネル端部が互いに見込み方向に間隔をあけて重合していることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面体。
【請求項4】
各々がパネル保持部材を備える複数のパネルを上桟と下桟と左右の縦桟とで囲んで枠組したパネル体と、左右の縦材とを備え、左右の縦材間に複数のパネル体を積み上げていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の壁面体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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