説明

変復調装置、及びそれを備えた通信装置

【課題】アナログFAX通信機能及びネットワークFAX通信機能を備えた通信装置において、アナログ公衆回線網及びIP網に対する制御のための構成を単純にするとともにシステム制御部の負荷を軽減する。
【解決手段】FAXモデム9は、ファクシミリデータの変復調部92と、VoIPデータ処理部93と、アナログファクシミリ通信用のFAX用コーデック10を接続可能なFAX用コーデックI/F94、及びVoIP用コーデック13を接続可能なVoIP用コーデックI/F95を有する。コーデックの制御をFAXモデム9内のコーデックI/Fが行うので、アナログ公衆回線網及びIP網に対する制御のための構成が単純になり、ホストCPU6の負荷を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変復調装置、及びそれを備えた通信装置に関し、さらに詳しくは、ファクシミリデータの変復調機能及びVoIP(Voice over Internet Protocol)データの処理機能を有する変復調装置、及びそれを備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ公衆回線網へ接続し、アナログ公衆回線網を用いてファクシミリ通信を行うアナログファクシミリ通信機能と、IP網に接続し、IP網を用いて画像情報を送受するネットワークファクシミリ通信機能を備えたネットワークファクシミリ装置が知られており、さらに、IP電話の通話機能も備えたものも提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されたネットワークファクシミリ装置では、G3ファクシミリモデム内のコーデックが内部バスを介してシステム制御部に接続されており、システム制御部がコーデックの制御を行うため、システム制御部の負荷が大きいという問題がある。
【0004】
また、公衆回線網制御装置及びネットワーク伝送制御部も内部バスを介してシステム制御部に接続されており、システム制御部がそれらの制御を行う構成を有する、つまり公衆回線網制御及びIP網に対する制御を行う部分が分散されているため、その制御が複雑になるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、アナログファクシミリ通信機能と、ネットワークファクシミリ通信機能を備えた通信装置において、アナログ公衆回線網及びIP網に対する制御のための構成を単純にするとともに、システム制御部の負荷を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の変復調装置は、ファクシミリデータの変復調部と、VoIPデータの処理部と、アナログファクシミリ通信用のコーデックの接続及びVoIP用コーデックの接続が可能なコーデックインタフェースとを有する変復調装置である。
本発明の通信装置は、本発明の変復調装置を有する通信装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コーデックの制御を変復調装置内のコーデックインタフェースが行うので、本発明の変復調装置を通信装置に実装することで、通信装置のアナログ公衆回線網及びIP網に対する制御のための構成を単純にし、システム制御部の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるファクシミリ用コーデックインタフェースの内部構成及びファクシミリ用コーデックとの接続関係、並びにVoIP用コーデックインタフェースの内部構成及びVoIP用コーデックとの接続関係を示すブロック図である。
【図3】図1におけるファクシミリモデムによるファクシミリ用コーデックのデータと、VoIP用コーデックのデータ間のデータフォーマット変換動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の通信装置のファクシミリモデムの機能を用いて通信相手装置の電話/ファクシミリ自動切り替えを行う手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5におけるファクシミリ/VoIP用コーデックインタフェースの内部構成、並びにファクシミリ用コーデックとの接続関係及びVoIP用コーデックとの接続関係を示すブロック図である。
【図7】図5のファクシミリモデムのマスター/スレーブ切り替え動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以後の説明では、ファクシミリをFAX、インタフェースをI/Fと記載する。
【0010】
[第1の実施形態]
〈通信装置の構成〉
図1は、本発明の第1の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。
この通信装置は、バス1と、それぞれがバス1に接続された操作部2、スキャナ3、プリンタ4、LAN(Local Area Network)I/F5、ホストCPU(Central Processing Unit)6、ROM(Read Only Memory)7、RAM(Random Access Memory)8、FAXモデム9を備えている。また、この通信装置は、FAX用コーデック10、DAA(Data Access Arrangement)11、VoIP用コーデック13、電話機I/F(SLIC:Subscriber Line Interface Circuit)14、及び電話機15を備えている。
【0011】
FAXモデム9は、H/S(ハンドシェイク部)91、変復調部92、VoIPデータ処理部93、FAX用コーデックI/F94、VoIP用コーデックI/F95、DAA制御I/F96、及び電話機制御I/F97を備えている。
【0012】
H/S91は、バス1に接続されており、ホストCPU6とFAXモデム9のデータ及びコマンドのハンドシェイクを行う。
【0013】
変復調部92は、信号送出時は、ホストCPU6からのFAXデータ(MMR(Modified Modified READ)等で符号化されたデジタルデータ)をPCM(Pulse Code Modulation)データに変調してFAX用コーデックI/F94に出力し、信号受信時は、FAX用コーデックI/F94からのPCMデータをFAXデータに復調してホストCPU6に出力する。
【0014】
VoIPデータ処理部93は、コーデックフォーマット変換機能及び信号レベル変換機能を備えており、信号送出時はホストCPU6からのVoIPデータ(G.711符号化データ)をH/S91を介して受け取り、VoIP用コーデック13がG.711対応であれば、そのままVoIP用コーデックI/F95に出力し、VoIP用コーデック13がG.711非対応であれば、PCMデータに変換してVoIP用コーデックI/F95に出力する。また、信号受信時は、VoIP用コーデック13がG.711対応であれば、VoIP用コーデックI/F95から受け取ったデータをそのままH/S91を介してホストCPU6に出力し、VoIP用コーデック13がG.711非対応であれば、G.711符号化データに変換し、H/S91を介してホストCPU6に出力する。さらに、必要な場合には送受信信号レベルの変換を行う。なお、以後の説明では、VoIP用コーデック13がG.711対応とする。
【0015】
FAX用コーデックI/F94は、FAX用コーデック10が扱うデジタルデータのSP(シリアル−パラレル)変換機能及びPS(パラレル−シリアル変換)機能、並びにタイミング調整機能を持つモジュールである。VoIP用コーデックI/F95は、VoIP用コーデック13が扱うデジタルデータのSP変換機能及びPS変換機能、並びにタイミング調整機能を持つモジュールである。
【0016】
DAA制御I/F96は、DAA11に接続されている一般公衆網(アナログ公衆回線網)12の制御を行うモジュールである。電話機制御I/F97は、電話機I/F14を制御して、電話機I/F14に接続されている電話機15を用いた通話を実現するためのモジュールである。
【0017】
FAX用コーデック10は、FAX用コーデックI/F94に接続されており、FAXモデム9が扱うデジタルデータと、一般公衆網12でG3FAX通信を行うためのアナログ信号との変換を行うモジュールである。一般にFAX用コーデックはPCMデータを扱い、コーデックがマスターとなるシリアルI/Fを持つ。
【0018】
VoIP用コーデック13は、VoIP用コーデックI/F95に接続されており、FAXモデム9が扱うデジタルデータと、電話機15用のアナログ信号との変換を行うモジュールである。一般にVoIP用コーデックはG.711符号化データを扱い、コーデックがスレーブとなるシリアルI/Fを持つ。
【0019】
DAA11は、一般公衆網12に対するアナログ信号伝送と網I/F(2線−4線変換、フック制御、呼出し信号検出など)を行うモジュールである。電話機I/F14は、電話機15の制御(給電、2線−4線変換、呼出音発生、フック検出など)を行うモジュールである。
【0020】
以上の構成を有する通信装置はG3FAX通信とVoIP通話を同時に行うことができる。まず、G3FAX通信の信号処理について説明する。ホストCPU6からFAXモデム9に送られたFAXデータは、変復調部92で変調されてPCMデータとなり、FAX用コーデックI/F94でパラレル−シリアル変換されて、FAX用コーデック10にシリアル出力される。このシリアルデータはFAX用コーデック10でアナログ信号に変換され、このアナログ信号はDAA11で2線−4線変換されて一般公衆網12に送出される。一方、一般公衆網12から受信されたアナログ信号はFAX用コーデック10でPCMデータに変換された後、FAXモデム9のFAX用コーデックI/F94にシリアル入力さる。このシリアル入力データはFAX用コーデックI/F94でシリアル−パラレル変換され、このパラレルデータは変復調部92で復調されて、ホストCPU6に送られる。
【0021】
次に、VoIP通話の信号処理について説明する。電話機15からの送話アナログ信号は電話機I/F14で2線−4線変換された後にVoIP用コーデック13でG.711符号化データに変換されFAXモデム9内のVoIP用コーデックI/F95にシリアル入力される。このシリアル入力データはVoIP用コーデックI/F95でシリアル−パラレル変換され、このパラレルデータはVoIPデータ処理部93で所要のデジタル信号処理を受けた後にホストCPU6に送られ、LANI/F5からLANに出力される。一方、LANからLANI/F5に入力されたVoIPパケットはホストCPU6からFAXモデム9に送られる。FAXモデム9ではVoIPデータ処理部93で所要のデジタル信号処理を受けた後にVoIP用コーデックI/F95でパラレル−シリアル変換され、VoIP用コーデック13にシリアル出力される。このシリアル出力データはVoIP用コーデック13でアナログ信号に変換され、このアナログ信号は電話機I/F14を通って電話機15に送られる。
【0022】
〈FAX用コーデックI/F、VoIP用コーデックI/F〉
次に、図1におけるFAX用コーデックI/F94、VoIP用コーデックI/F95について詳しく説明する。図2は、図1のFAX用コーデックI/F94の内部構成及びFAX用コーデック10との接続関係、並びにVoIP用コーデックI/F95の内部構成及びVoIP用コーデック13との接続関係を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、FAX用コーデックI/F94は、SP/PS変換レジスタ941、内部タイミング発生器942、SCK(シリアル同期クロック)検出部943、バッファ944〜947、及び端子T1〜T4を備えている。端子T3、T4は入出力の切り替えが可能な双方向端子である。
【0024】
前述したように、一般的にFAX用コーデックはコーデックがマスター(クロック供給側)となるシリアルI/Fを持つ。図2においては、FAX用コーデック10がマスターとなり、クロックを発生してFAX用コーデックI/F94に供給する。FAX用コーデックI/F94内のSP/PS変換レジスタ941がスレーブ(クロック受取側)となる。内部タイミング発生器942、バッファ945,947、及びSCK検出部943は動作しないように設定されており、端子T3、T4は入力モードに設定されている。
【0025】
クロックにはSCKとFS(フレーム同期クロック)がある。FAX用コーデック10が生成したSCK,FSは、それぞれ端子T3,T4からFAXモデム9に入力され、バッファ944,946を通って、SP/PS変換レジスタ941に入力される。
【0026】
データにはSOD(シリアル出力データ)とSID(シリアル入力データ)がある。SODは、SP/PS変換レジスタ941から出力され、端子T1からFAXモデム9外に送出され、FAX用コーデック10に入力される。SIDは、FAX用コーデック10から出力され、端子T2からFAXモデム9に入力され、SP/PS変換レジスタ941に送られる。
【0027】
VoIP用コーデックI/F95は、SP/PS変換レジスタ951、内部タイミング発生器952、SCK検出部953、バッファ954〜957、及び端子T5〜T8を備えている。端子T7、T8は入出力の切り替えが可能な双方向端子である。SCK検出部953は動作しないように設定されており、端子T7、T8は出力モードに設定されている。
【0028】
前述したように、一般的にVoIP用コーデックはコーデックがスレーブとなるシリアルI/Fを持つ。図2においては、VoIP用コーデックI/F95内の内部タイミング発生器952がマスターとなり、クロックを発生してVoIP用コーデック13に供給する。
【0029】
内部タイミング発生器952が生成したSCK,FSは、それぞれバッファ957,955を通り、端子T8,T7を通って、VoIP用コーデック13に供給されるとともに、バッファ954,956を通ってSP/PS変換レジスタ951に供給される。SODはSP/PS変換レジスタ951から出力され、端子T5からFAXモデム9外に送出され、VoIP用コーデック13に入力される。SIDはVoIP用コーデック13から出力され、端子T6からFAXモデム9に入力され、SP/PS変換レジスタ951に送られる。
【0030】
つまり、FAX用コーデックI/F94、VoIP用コーデックI/F95は、マスター、スレーブの切り替えが可能な同じ構成のコーデックであり、接続相手がマスターかスレーブかに応じて、予めスレーブ又はマスターに設定される。そして、マスターに設定されるかスレーブに設定されるかに応じて、内部タイミング発生器、バッファ、双方向端子の状態が変化する。なお、SCK検出部は、SCKが入力されるか否かに基づいて接続相手がマスターであるかスレーブであるかを自動検出する際に使用する。この機能については第2の実施形態において説明する。
【0031】
〈FAX用コーデック、VoIP用コーデック間のデータフォーマット変換〉
FAXモデム9内でFAX用コーデック10のデータとVoIP用コーデック13のデータとの間のデータフォーマット変換機能を持っている。この機能を用いることで、スイッチを設けることなくVoIP通話だけでなく、一般公衆網12を使う通話も可能となる。
【0032】
図3は、図1におけるFAXモデム9によるFAX用コーデック10のデータと、VoIP用コーデック13のデータ間のデータフォーマット変換動作を説明するための図である。VoIPデータ処理部93は、信号レベル変換レジスタ931を備えている。また、コーデックフォーマット変換機能、及び信号レベル変換機能を備えている。
【0033】
前述したようにFAX用コーデック10はPCMデータを扱い、VoIP用コーデック13はG.711符号化データを扱う。FAXモデム9内のVoIPデータ処理部93のコーデックフォーマット変換機能は、PCMデータとG.711符号化データとの間の変換を行う機能である。この機能を用いることで、送話信号については、VoIP用コーデック13から入力されるG.711符号化データをPCMデータに変換してFAX用コーデック10に出力し、受話信号については、FAX用コーデック10から入力されるPCMデータをG.711符号化データに変換してVoIP用コーデック13に出力する。
【0034】
また、信号レベル変換機能は、VoIP用コーデック13のデータの信号レベルを一般公衆網12の信号レベルに合わせることで通話品質を向上させるための機能である。即ち、一般公衆網12には無装荷ケーブルが存在するため、信号レベルの減衰がVoIP通話と比べて大きい。そこで、それを補正するため、信号レベル変換レジスタ931に保持されている変換値を用いて、送話信号については、VoIP通話の信号よりもレベルを高め、受話信号については、レベルを低下させてVoIP通話の受話信号レベルに合わせている。
【0035】
〈受信側装置のTEL(電話)/FAX自動切り替え〉
本実施形態の通信装置では、FAXモデム9がVoIPデータを扱うことにより可能となる機能として、受信側装置のTEL/FAX自動切り替え機能がある。この機能について、図4のフローチャートを用いて説明する。この図において、VoIP通信側が本実施形態の通信装置であり、受信FAX側が図1のLANの先の図示しないIP網又はゲートウェイを介した一般公衆網に接続されている受信側装置である。
【0036】
まずVoIP通信側の電話機15に対するユーザーの発呼操作が電話機I/F14、VoIP用コーデック13、FAXモデム9、及びバス1を通ってホストCPU6に通知される。ホストCPU6はこの通知を受けると、発呼信号を生成し、LANI/F5からLANに出力する。この発呼信号は受信FAX側に着呼する(ステップS11)。受信FAX側では予めTELモードに設定されているので、着呼の後にTEL側に接続する(ステップS12)。
【0037】
次にVoIP通信側では、電話機15から入力された送話信号が電話機I/F14を通り、VoIP用コーデック13によりVoIPデータ(G.711符号化データ)に変換され、FAXモデム9内のVoIP用コーデックI/F95からVoIPデータ処理部93に入力される。
【0038】
VoIPデータ処理部93に入力されたVoIPデータは、ここでCNG成分のカット処理を受け(ステップS2)、ホストCPU6に送られ、LANI/F5からLANに出力され、受信FAX側に伝送される。
【0039】
受信FAX側では、VoIPデータからCNGを検出したか否かを判断し(ステップS13)、検出しなかった場合は(ステップS13:No)、電話機側の接続を継続し(ステップS14)、検出した場合は(ステップS13:Yes)、FAX側に切り替える(ステップS15)。
【0040】
一般的にTEL/FAX自動切り替え機能を持つ通信装置(例.FAX電話装置)は、送信側装置が送出したCNGを検出してTELモードからFAXモードに切り替える。このため、通話信号にCNG成分が含まれていると、電話通信であるにもかかわらずFAXモードに切り替えてしまうおそれがある。本実施形態では、CNG成分(1100Hz)をカットしたVoIP通話データを送ることで、誤検出(S13:Yes)に基づく切り替え(S15)を防止することができる。
【0041】
以上、詳細に説明したように、本発明の第1の実施形態の通信装置には下記(1)〜(7)の効果がある。
(1)FAX用コーデック、VoIP用コーデックの制御をFAXモデム内のFAX用コーデックI/F、VoIP用コーデックI/Fが行うので、システム側(ホストCPU)の負荷を軽減することができる。
(2)汎用的なFAX用コーデック及びVoIP用コーデックをFAXモデムに接続することができる。
(3)FAX用コーデックが扱うデータとVoIP用コーデックが扱うデータとの間の変換機能をFAXモデムが持っているので、VoIP通話及び一般公衆網を使う通話を、スイッチを設けずに行うことができる。
(4)一般公衆網を用いる通話の際、FAXモデムにより一般公衆網の特性に合わせてVoIP通話よりも信号レベルを高くすることで、一般公衆網を通るときの信号レベルの減衰を補正し、通話品質を向上させることができる。
(5)FAXモデムによりVoIP送話データからCNG成分を除去するので、送話データを受信した通信装置のTEL/FAX自動切り替えの誤動作を防止することができる。
(6)FAXモデムがDAA制御I/F及び電話機制御I/Fを備えているので、DAA制御及び電話機制御をシステム側とFAXモデム側とで分担する構成と比べると、両制御機能の集約により、シンプルなシステム構成となる。
(7)DAA制御と電話機I/F制御を同時に行えるので、VoIP通話とG3FAX通信とを同時に行うことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
〈通信装置の構成〉
図5は、本発明の第2の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。この図において、図1(第1の実施形態)と同一の部分又は対応する部分には図1と同じ参照符号を付した。
【0043】
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態におけるFAX用コーデックI/F94及びVoIP用コーデックI/F95の代わりにFAX/VoIP用コーデックI/F98を有し、DAA制御I/F96及び電話機制御I/F97の代わりにDAA/電話機制御I/F99を有する。
【0044】
FAX/VoIP用コーデックI/F98は、FAX用コーデック10及びVoIP用コーデック13を択一的に接続することができ、接続されたコーデックを検出し、そのコーデックに応じた動作を行うモジュールである。即ち、FAX用コーデック10が接続されたときはFAX用コーデックI/Fとなり、VoIP用コーデック13が接続されたときはVoIP用コーデックI/Fとなる。
【0045】
DAA/電話機制御I/F99は、DAA11及び電話機I/F14を択一的に接続することができ、接続相手に応じた動作を行うモジュールである。即ち、DAA11が接続されたときはDAA制御I/Fとなり、電話機I/F14が接続されたときは電話機制御I/Fとなる。
【0046】
ここで、DAA11はFAX用コーデック10に接続されており、電話機I/F14はVoIP用コーデック13に接続されているので、FAX用コーデック10がFAX/VoIP用コーデックI/F98に接続されればDAA11がDAA/電話機制御I/F99に接続され、VoIP用コーデック13がFAX/VoIP用コーデックI/F98に接続されれば電話機I/F14がDAA/電話機制御I/F99に接続されることになる。
【0047】
〈FAX/VoIP用コーデックI/F〉
図6は、図5におけるFAX/VoIP用コーデックI/F98の内部構成、並びにFAX用コーデック10との接続関係及びVoIP用コーデック13との接続関係を示すブロック図である。ここで、図6AはFAX用コーデック10が接続されているときであり、図6BはVoIP用コーデック13が接続されているときを示す。
【0048】
図6AにおけるFAXモデム9内のFAX/VoIP用コーデックI/F98の内部状態及びFAX用コーデック10との接続関係は、図2におけるFAX用コーデックI/F94の内部状態及びFAX用コーデック10との接続関係と同じである。即ち、FAX用コーデック10がマスター、FAXモデム9側(SP/PS変換レジスタ981)がスレーブとなるように、FAX/VoIP用コーデックI/F98の内部状態及びFAX用コーデック10との接続関係が設定される。
【0049】
また、図6BにおけるFAXモデム9内のFAX/VoIP用コーデックI/F98の内部状態及びVoIP用コーデック13との接続関係は、図2におけるVoIP用コーデックI/F95の内部状態及びVoIP用コーデック13との接続関係と同じである。即ち、FAXモデム9側(内部タイミング発生器982)がマスター、VoIP用コーデック13がスレーブとなるように、FAX/VoIP用コーデックI/F98の内部状態及びVoIP用コーデック13との接続関係が設定される。
【0050】
〈FAX/VoIP用コーデックI/F98の内部状態の自動設定〉
上述したように、FAX/VoIP用コーデックI/F98は、FAX用コーデック10が接続されたときはスレーブとなり、VoIP用コーデック13が接続されたときはマスターとなる。即ち、FAX用コーデック10が接続されたか、VoIP用コーデックが接続されたかを判別し、その結果を基に自動的に切り替わる。この切り替え動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートの処置は、ホストCPU6から検出指令を受けたときにFAXモデム9内の図示されていないDSP(Digital Signal Processor)が実行する。
【0051】
まず、内部タイミング発生器982のクロックを停止するように設定するとともに、双方向端子T13及びT14を入力モードに設定し(ステップS21)、SCK検出部983によりSCKが検出されたか否かを判断する(ステップS22)。
【0052】
SCKが検出された場合(ステップS22:Yes)、接続されたコーデックがマスターとなるシリアルI/Fを持つ(ここではFAX用コーデック)と判断し(ステップS23)、判断結果をホストCPU6に通知する(ステップS24)。
【0053】
一方、SCKが検出されなかった場合(ステップS22:No)、接続されたコーデックがスレーブとなるシリアルI/Fを持つ(ここではVoIP用コーデック)と判断し(ステップS25)、内部タイミング発生器982がクロックを発生するように設定するとともに、双方向端子T13及びT14を出力モードに設定する(ステップS26)。そして、判断結果をホストCPU6に通知する(ステップS24)。
【0054】
なお、DAA/電話機制御I/F99の自動切り替えについては、DAA11はFAX用コーデック10に接続されており、電話機I/F14はVoIP用コーデック13に接続されているので、FAX/VoIP用コーデックI/F98の自動切り替えに連動させればよい。ここで、DAA/電話機制御I/F99はFAX/VoIP用コーデックI/F98のようにマスター、スレーブの切り替えを行うものではなく、接続端子以外はDAA制御I/Fと電話機制御I/F用回路が併設されており、接続端子以外の部分が択一的に接続端子に接続される。
【0055】
本実施形態のFAXモデム9は、FAX用コーデック10、VoIP用コーデック13の択一的に接続できるので、ピン数の少ない低コストのFAXモデムが実現できる。また、FAX用コーデック10、VoIP用コーデック13のどちらが接続されたかを自動的に判別し、内部状態を設定するので、ユーザーによる設定操作が不要となる。
【0056】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態の通信装置の構成を示すブロック図である。この図において、図1(第1の実施形態)と同一の部分又は対応する部分には図1と同じ参照符号を付した。
【0057】
本実施形態の通信装置は、第1の実施形態におけるVoIP用コーデック13、電話機I/F14の代わりにISDN(Integrated Service Digital Network)用コーデック16、ISDN網I/F17を有する。また、FAXモデム9内の変復調部92の代わりに変復調部100を有する。変復調部100は変復調部92の機能に加えて、FAXデータとG.711符号化データとの変換機能を備えており、FAX用コーデックI/F94に加えて、VoIP用コーデックI/F95にも接続されている。FAXモデム9内の電話機制御I/F97は使用されないため、設けなくてもよい。なお、ISDN用コーデック16はVoIP用コーデックと同様、コーデックがスレーブとなるシリアルI/Fを持つ。
【0058】
この通信装置はG3FAX通信機能とG4FAX通信機能を有する。G3FAX通信の信号処理は第1の実施形態(図1)と同じであるから、G4FAX通信の信号処理について説明する。
【0059】
ホストCPU6からFAXモデム9に送られたFAXデータは、変復調部100でG.711符号化データに変換され、VoIP用コーデックI/F95でパラレル−シリアル変換され、ISDN用コーデック16にシリアル出力される。そして、ISDN用コーデック16でISDNデータに変換され、ISDN網I/F17を通ってISDN網18に送出される。
【0060】
一方、ISDN網18からのISDNデータは、ISDN網I/F17を通ってISDN用コーデック16に入力され、G.711符号化データに変換される。このG.711符号化データはVoIP用コーデックI/F95でシリアル−パラレル変換され、変復調部100でFAXデータに復調され、ホストCPU6に送られる。
【0061】
本実施形態の通信装置によれば、G3FAX通信及びG4FAX通信を同時に行うことができる。なお、本実施形態において、VoIP用コーデックを追加し、VoIP通話ができるように構成することもできる。また、ISDN用コーデックとVoIP用コーデックを択一的に接続するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0062】
9…FAXモデム、10…FAX用コーデック、13…VoIP用コーデック、92,100…変復調部、93…VoIPデータ処理部、94…FAX用コーデックI/F、95…VoIP用コーデックI/F、96…DAA制御I/F、97…電話機制御I/F、98…FAX/VoIP用コーデックI/F、99…DAA/電話機制御I/F。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2004−147244号公報(図8)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリデータの変復調部と、
VoIPデータの処理部と、
アナログファクシミリ通信用のコーデックの接続及びVoIP用コーデックの接続が可能なコーデックインタフェースと
を有する変復調装置。
【請求項2】
請求項1に記載された変復調装置において、
前記コーデックインタフェースは、アナログファクシミリ通信用のコーデックの接続が可能なアナログファクシミリ用コーデックインタフェースと、VoIP用コーデックの接続が可能なVoIP用コーデックインタフェースとからなる変復調装置。
【請求項3】
請求項1に記載された変復調装置において、
前記コーデックインタフェースは、アナログファクシミリ通信用のコーデックと、VoIP用コーデックを択一的に接続可能な一つのコーデックインタフェースである変復調装置。
【請求項4】
請求項3に記載された変復調装置において、
前記コーデックインタフェースは、接続されるコーデックに応じて機能の切り替えが可能である変復調装置。
【請求項5】
請求項4に記載された変復調装置において、
接続されたコーデックがアナログファクシミリ通信用のコーデックであるかVoIP用コーデックであるかを判別するコーデック判別手段と、当該コーデック判別手段の判別結果に応じて、前記コーデックインタフェースの機能を切り替える手段を有する変復調装置。
【請求項6】
請求項1に記載された変復調装置において、
VoIP用コーデックが扱うデータのデータフォーマットと、アナログファクシミリ通信用のコーデックが扱うデータのデータフォーマットとの変換手段を有し、VoIP用コーデックとアナログファクシミリ通信用のコーデックとの間のデータ送受が可能な変復調装置。
【請求項7】
請求項6に記載された変復調装置において、
フォーマット変換を行うときに、アナログ公衆回線網とIP網との特性の相違に応じて信号レベル変換を行う手段を有する変復調装置。
【請求項8】
請求項1に記載された変復調装置において、
アナログファクシミリ通信用のDAAの接続及びVoIP通話用の電話機I/Fの接続が可能な制御I/Fを有する変復調装置。
【請求項9】
請求項1に記載された変復調装置において、
VoIPデータからCNGの周波数成分を除去する手段を有する変復調装置。
【請求項10】
請求項1に記載された変復調装置において、
前記コーデックインタフェースは、ISDN用のコーデックを接続可能である変復調装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載された変復調装置を有する通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−114551(P2012−114551A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259901(P2010−259901)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】