説明

変性櫛形共重合体

本発明は、特殊な構造単位を含む変性櫛形共重合体に関する。変性櫛形共重合体は、少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと少なくとも1種のアミノアルコールとの混合物を用いて、または少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンとの混合物を用いて、または少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンと、モノヒドロキシ末端ポリアルキレンオキシド類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類、およびポリアルキレンオキシドとポリエステルブロックとを含むモノヒドロキシ末端ブロック共重合体を含む群から選択される少なくとも1種の重合体との混合物を用いて、SMA樹脂および任意選択的にABブロック共重合体構造を有する特殊な共重合体を転化することによって生成され、それら変性櫛形共重合体のモノヒドロキシ末端側鎖がリン酸エステル基に転化しているか、それら変性櫛形共重合体のN,N−二置換アミノ末端側鎖が第四級アンモニウム塩に転化している。また本発明は、湿潤分散剤としてのそれら変性櫛形共重合体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載されている特殊な構造単位を含む変性櫛形共重合体に、少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと少なくとも1種のアミノアルコールとの混合物を用いて、または少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンとの混合物を用いて、または少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンと、モノヒドロキシ末端ポリアルキレンオキシド類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類、およびポリアルキレンオキシドとポリエステルブロックとを含むモノヒドロキシ末端ブロック共重合体を含む群から選択される少なくとも1種の重合体との混合物を用いて、SMA樹脂および任意選択的に特殊な共重合体(copolymerisate)を転化することによるそれら変性櫛形共重合体の生成に関し、その後に続く、モノヒドロキシ末端側鎖からリン酸エステル基への、またはN,N−二置換アミノ末端側鎖から第四級アンモニウム塩へのそれら変性櫛形共重合体の少なくとも部分的な転化に関し、また湿潤分散剤としてのそれら変性櫛形共重合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
湿潤分散剤として複数の櫛形共重合体を使用することができることが知られているが、櫛形共重合体は、それらの構造に合った水溶液系において、または有機溶媒系においてのみ所望の効果を伴って使用することができる。
【0003】
したがって、櫛形共重合体は先行技術から既に公知であり、水溶液系において、または有機溶媒系において溶解性がもたらされるように、側鎖におけるコモノマーを選択することによって、溶解度特性を調節することができる。このように、側鎖がポリアクリレートまたはポリエステルで構成され、末端基としてのリン酸エステル基、アミン基または第四級アンモニウム塩により変性され、また水中または有機溶媒中におけるその溶解度を側鎖におけるコモノマーを選択することによって調節することができる櫛形共重合体が、米国第6472463号および独国特許発明第60016758号に記載されている。しかしながら、これでは水性媒体における溶解度も有機溶媒における溶解度も共に十分に調節することはできず、したがって、たとえばカラーフィルタ生産プロセスにおいて、湿潤分散剤としてこのような櫛形共重合体を使用すると、加工時間が過度に長くなってしまうことがあるだけである。
【0004】
ポリエーテル側鎖を有するが結合基(adhesion group)を有していないスチレン/無水マレイン酸樹脂(SMA樹脂)に基づいている櫛形共重合が、米国特許出願第6406143号または米国特許第6528593号に記載されている。これらの分散剤には、溶媒を含む調合物中の有機顔料を十分に安定させることができないという不利な点がある。
【0005】
ポリエーテル側鎖を有し、湿潤分散剤としてアミンオキシド基で修飾され得る、米国特許第6423785号に開示されているSMA樹脂に基づく櫛形共重合体の使用は、必ずしも貯蔵安定性を有する顔料の分散体についての要求を満たすとは限らない。
【0006】
このことは、不飽和カルボン酸により塩に転化される、ポリエーテル側鎖およびアミノ基を有し得るSMA樹脂に基づく櫛形共重合体の使用にも当てはまる(米国特許第7078464号参照)。というのは、記載されている結合基が、すべての適用分野に適した結合基を示しているわけではないからである。湿潤分散剤としての使用に伴いさらに考慮すべきことは、不飽和カルボン酸による塩化(saltification)の結果、貯蔵中の湿潤分散剤の重合、ひいては望ましくない塩化の危険性があるということである。
【0007】
したがって、一般的な着色ペースト、加工しやすい顔料の製造のための顔料表面改質、カラーフィルタ用カラーレジストなど多くの適用分野で湿潤分散剤に対して高まっている要求を満たすために、先行技術に基づき、固形物分散体、特に顔料分散体の優れた安定性の他に、水性媒体における溶解度も有機媒体における溶解度も共に優れている湿潤分散剤を入手可能にする必要があった。特に、これらの要求の場合、着色された塗料の非常に低い粘度も要求され、この非常に低い粘度は一般に、貯蔵中も顔料分散体の安定性が非常に優れている湿潤分散剤によってのみ実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6472463号
【特許文献2】独国特許発明第60016758号
【特許文献3】米国特許第6406143号
【特許文献4】米国特許第6528593号
【特許文献5】米国特許第6423785号
【特許文献6】米国特許第7078464号
【特許文献7】米国特許第6291620号
【特許文献8】国際公開第98/01478号
【特許文献9】国際公開第98/58974号
【特許文献10】国際公開第99/31144号
【特許文献11】米国特許第4597794号
【特許文献12】欧州特許出願公開第154678号
【特許文献13】米国特許出願公開第4647647号
【特許文献14】欧州特許出願公開第0270126号
【特許文献15】米国特許第6849679号
【特許文献16】米国特許第4656226号
【特許文献17】米国特許第4755563号
【特許文献18】米国特許第5085698号
【特許文献19】米国特許第5160372号
【特許文献20】米国特許第5219945号
【特許文献21】米国特許第5221334号
【特許文献22】米国特許第5272201号
【特許文献23】米国特許第5519085号
【特許文献24】米国特許第5859113号
【特許文献25】米国特許第6306994号
【特許文献26】米国特許第6316564号
【特許文献27】米国特許第6413306号
【特許文献28】国際公開第01/44389号
【特許文献29】国際公開第03/046029号
【特許文献30】欧州特許第0438836号
【特許文献31】欧州特許第1416019号
【特許文献32】独国特許発明第3527038号
【特許文献33】独国特許発明第3641581号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Polym.Int.2000,49、993
【非特許文献2】Aust.J.Chem.2005,58,379
【非特許文献3】J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.2005,43,5347
【非特許文献4】Chem.Rev.2001,101,3661
【非特許文献5】W.Herbst、K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、1997(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28836−8)
【非特許文献6】G.Buxbaum「Industrial Inorganic Pigments」、1998(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28878−3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、水性媒体のほかに有機媒体にも高溶解性の櫛形共重合体であって、これを用いて、粘度が低く貯蔵安定性を有する固形物分散体が湿潤分散剤として得られる櫛形共重合体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、任意選択的に置換されたスチレンと、以下に示す下記構造単位I〜Xの組合せを有する無水マレイン酸単位とを含む少なくとも1種の共重合体に基づく本発明による櫛形共重合体を提供することによって実現される。
【0012】
【化1】

(式中、
〜は連鎖結合(chain linkage)を表し、
RがH、ハロゲン、好ましくは塩素、ニトロ基、1〜15個のC原子を有するアルキル基または6〜18個のC原子を有するアリール基を表し、
が、1〜24個のC原子を有するアルキレン基または6〜18個のC原子を有する置換もしくは無置換アリーレン基を表し、
がHまたはアルキル基を、好ましくはHまたはCHを表し、Rの0〜95%、好ましくは30〜70%がアルキル基、好ましくはメチル基を示し、
zが3〜70の整数を表し、
がNHおよび/またはOを表し、
が任意選択的に置換された、1〜30個のC原子を有する任意選択的に単不飽和または多価不飽和のアルキル基、6〜18個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリール基、4〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキル基を表し、
およびRが、同一または異なっており、1〜15個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン基、4〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキレン基、または6〜18個のC原子を有する置換もしくは無置換のアリーレン基を表し、
がリン酸エステル基またはヒドロキシル基を表し、Xの0〜75%がヒドロキシル基を表すことができ、
が、下記一般式AのN,N−二置換型アミノ基、
【0013】
【化2】

または下記一般式Bの第四級アンモニウム基
【0014】
【化3】

(式中、
が、エチレン性不飽和ではないカルボン酸残基、硫酸残基、またはハロゲン化物、好ましくは塩化物、臭化物もしくはヨウ化物を表し、
、RおよびRが、同一または異なっており、1〜15個のC原子を有するアルキル基、6〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、または6〜18個のC原子を有する置換もしくは無置換のアリール基、好ましくはメチル基、エチル基および/またはベンジル基を表す。)
を表し、Xの0〜75%が、前記一般式AのN,N−二置換型アミノ基を表すことができ、
が、2〜15個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン残基、6〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキレン残基および/または6〜18個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリーレン残基を表し、
10が、任意選択的に単不飽和もしくは多価不飽和であってよい1〜30個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキル残基、および/または任意選択的に置換されたアリール残基を表し、
xが1〜70の整数を表し、
x’が3〜70の整数を表し、
yが1〜70の整数を表し、
前記櫛形共重合体が、
1.構造単位II中のXがNH基を表すのみである、構造単位I〜VおよびVIIIの組合せ、
2.構造単位I〜IIIおよびVI〜VIIIの組合せ、または、
3.構造単位I〜IIIおよびVI〜VIIIと構造単位IXおよび/またはXとのの組合せ
を有し、任意選択的に置換されたスチレンおよび無水マレイン酸から形成されるAブロックと、任意選択的に置換されたスチレンおよび/またはアクリルレート(メタクリレート)モノマーから形成されるBブロックとを含むABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体と任意選択的に混合されて存在する。前記ABブロック共重合体構造の無水マレイン酸基は、以下の組合せ、
4.構造単位II中のXがNH基を表すのみである、構造単位II〜VおよびVIIIの組合せ、
5.構造単位II〜IIIおよびVI〜VIIIの組合せ、あるいは、
6.構造単位II〜IIIおよびVI〜VIIIと構造単位IXおよび/またはXとの組合せ
のうちの1つの中の構造単位として、少なくとも70%まで存在する。
【0015】
本発明による櫛形共重合体と、前記ABブロック共重合体構造に基づく櫛形共重合体とから構成される混合物は、以下櫛形共重合体混合物と称される。
【0016】
構造単位の表示された組合せにおいて、本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、好ましくは以下のような構造単位を有する。
RがHであり、
が、1〜6個のC原子を有するアルキレン基であり
がHまたはCHであり、
構造単位IIおよび構造単位IIIにおけるエチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対するモル比が、30:70〜70:30の範囲内にあり、
が、少なくとも50%までリン酸エステル基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキル基、または6個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリール基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキレン基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキレン基であり、
が、前記一般式Bの残基として100%まで存在し、
、RおよびRが、同一または異なっており、1〜8個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキル基、好ましくはメチル残基、エチル残基またはベンジル残基であり、
が、3〜8個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン基であり、
10が、4〜20個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン残基であり、
zが5〜60の整数であり、
yが2〜60の整数であり、
xが2〜60の整数であり、
x’が5〜60の整数であり、
構造単位II、IIIおよびIXおよび/またはXの構造単位VIおよびVIIに対するモル比が、25:75〜75:25になる。
【0017】
表示した構造単位I〜Xが以下の構造を有すると、特に好ましい。
R=H、
がエチレン残基、プロピレン残基および/またはイソプロピレン残基であり、
が水素またはCH残基であり、
エチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対するモル比が、70:30〜30:70となり、
が水素またはCH残基またはC残基であり、
zが25〜50の整数であり、
がNHおよび/またはOであり、
、Rが、同一または異なっており、2〜4個のC原子を有するアルキル残基であり、
、RおよびRが、同一または異なっており、CH残基、C残基またはベンジル残基で、Mが塩化物または臭化物であり、
が、4個および/または5個のC原子を有するアルキレン残基であり、
10が、4〜20個のC原子を有するアルキル残基であり、
xが4〜30の整数であり、
x’が25〜50の整数であり、
yが4〜30の整数である。
【0018】
本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、
a)任意選択的に置換されたスチレンおよび無水マレイン酸から形成される少なくとも1種のAブロックと、任意選択的に置換されたスチレンおよび/またはアクリレート(メタクリレート)モノマーから形成されるBブロックとからなるABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる共重合体と任意選択的に混合された、少なくとも1種の任意選択的に置換されたスチレン/無水マレイン酸共重合体塩(SMA樹脂)の転化であって、
a1) 第一級アミノ末端基を有する少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のアミノアルコールとの混合物、または、
a2) 第一級アミノ末端基を有する少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンとの混合物、または、
a3) a2)と、モノヒドロキシ末端ポリアルキレンオキシド類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類、およびモノヒドロキシ末端ポリエステル−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体を含む群から選択される少なくとも1種の重合体とを含む混合物を用いる転化、および
b)その後に続く少なくとも部分的な転化であって、
b1) a1)に従って得られる櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の遊離ヒドロキシル基のリン酸エステル基への転化、または、
b2) a2)もしくはa3)に従って得られる櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の遊離N,N−二置換アミノ基の、少なくとも1種のアルキル化化合物による第四級アンモニウム基への転化によって得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
転化において基本重合体として使用されるSMA樹脂は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であり、このスチレンは任意選択的に、メチルなど1〜15個のC原子を有するアルキル基、6〜18個のC原子を有するアリール基、ハロゲン、好ましくは塩素、または少なくとも1種のニトロ基で置換することができる。任意選択的に置換されたスチレン単位の無水マレイン酸単位に対するモル比は、好ましくは1:1〜8:1にある。高密度の側鎖および結合基を得るためには、1:1〜2:1のモル比が特に好ましい。使用するSMA樹脂の数平均分子量は、好ましくは1000g/mol〜20000g/molにある(GPCを用いて決定される)。
【0020】
本発明によれば、用語SMA樹脂の「S」は、置換および無置換のスチレンを共に表すと理解される。SMA樹脂は、統計的、交互型、傾斜型またはブロック型の構造を有することができる。それらSMA樹脂は、たとえばアゾ開始剤または過酸化物開始剤を用いて、ラジカル開始重合プロセスによって生成することができる。所望の分子量を設定するために、たとえばチオール類、第二アルコール類、または四塩化炭素などのハロゲン化アルキル類などの連鎖移動剤を、重合中に添加することができる。SMA樹脂の生成に適している制御されたラジカル重合プロセスは、下記公報に記載されている。これらの公報の対応する開示を、本願の開示の一部として本明細書に援用する。
たとえばPolym.Int.2000,49、993、Aust.J.Chem 2005,58,379、J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.2005,43,5347、米国特許第6291620号、国際特許出願公開第WO98/01478号、国際特許出願公開第WO98/58974号および国際特許出願公開第WO99/31144号における、特定の連鎖移動剤を使用する場合にはMADIXおよび付加開裂連鎖移動とも呼ばれるが、本発明にしたがってRAFTとだけ称される可逆的付加開裂連鎖移動プロセス(RAFT)、あるいは
たとえばChem.Rev.2001,101,3661に開示されている、連鎖移動剤(NMP)としてニトロキシル化合物を用いる制御された重合である。無水物を含む重合体に基づく湿潤分散剤の生成のためにスチレンなどの芳香族コモノマーを追加で有利に使用することは、米国特許第4597794号に既に記載されている。
【0021】
エチレンオキシドとプロピレンオキシドとから形成され、末端基として第一級アミノ基を有するC〜Cアルコール開始ポリエーテル類を、本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の製造のためのポリアルキレンオキシドモノアミン類として好ましくは使用する。エチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対する重量比は、好ましくは5:95〜100:0、特に好ましくは30:70〜70:30である。ポリアルキレンオキシドモノアミン類の数平均分子量は、好ましくは500g/mol〜3000g/molにある(アミン価またはH−NMR分光法によって決定される)。
【0022】
必要に応じて、ポリアルキレンオキシドモノアミン類に加えて、モノヒドロキシ末端ポリエーテル類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類および/またはモノヒドロキシ末端ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体を、ポリアルキレンオキシドモノアミン類に対して0mol%〜80mol%使用することができる。
【0023】
モノヒドロキシ末端ポリエーテル成分のエチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対する重量比は、好ましくは0:100〜100:0、特に好ましくは30:70〜70:30である。数平均分子量は、好ましくは200g/mol〜300g/molにある(H−NMR分光法によって測定される)。
【0024】
モノヒドロキシ末端ポリエステルおよびモノヒドロキシ末端ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体は、1種以上の任意選択的にアルキル置換されたヒドロキシカルボン酸および/またはそのラクトン類、たとえばプロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの重合を、欧州特許出願公開第154678号(米国特許出願公開第4647647号)に記載されているようにモノヒドロキシ出発成分を用いて行うことによって得ることができるものである。これらは、150〜5000g/molの数平均分子量Mnを有する(OH数またはH−NMR分光法によって決定される)。出発成分として使用する単官能アルコールは、好ましくは1〜30個、特に好ましくは4〜14個の炭素原子を有する。一例として、n−ブタノール、プロパルギルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコールなどより長鎖の飽和および不飽和アルコール類、オキソアルコール類、シクロヘキサノール、フェニルエタノール、ネオペンチルルコールを、またフッ素化アルコール類も挙げることができる。上述のタイプのアルコール類あるいは置換および無置換のフェノール類を、公知の方法を用いたアルコキシル化によって、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを用いて、ポリオキシアルキレンモノアルキル、ポリオキシアルキレンモノアリール、ポリオキシアルキレンアラルキルおよびポリオキシアルキレンモノシクロアルキルエーテルへと転化することもでき、これらのヒドロキシポリエーテル類を、ラクトン重合用の出発成分として使用することができる。いずれの場合にも、上記化合物の混合物を使用することもできる。ラクトン重合は、公知の方法で開始され、たとえばp−トルオールスルホン酸またはジブチルスズジラウレートを用いて、約70℃〜180℃の温度で行われる。場合によってはδ−バレロラクトンと組み合わせたε−カプロラクトンをベースとするポリエステル類が特に好ましい。
【0025】
第一級アミノ官能基を有し、ヒドロキシル基を有する脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素化合物を、好ましくはアミノアルコールとして使用する。1〜15個のC原子を有する置換されている場合があるアルキレン基を有するアミノアルコール類、4〜10個のC原子を有する置換されている場合があるシクロアルキレン基を有するアミノアルコール類、または6〜18個のC原子を有する置換されている場合があるアリーレン基を有するアミノアルコール類を好ましくは使用する。2−アミノエタノールや3−アミノプロパノールなどの短鎖脂肪族アミノアルコール類の使用が特に好ましい。
【0026】
櫛形共重合体の遊離ヒドロキシル官能基をリン酸エステルに転化する場合には、ポリリン酸や塩化ホスホリルなど、通常のリン酸化剤を使用する。
【0027】
使用するN,N−二置換ジアミンは、好ましくは下記一般構造を有する。
【0028】
【化4】

式中、Rが、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素残基を、好ましくは、1〜15個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン基、4〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキレン基、または6〜18個のC原子を有する置換または無置換アリーレン基を、特に好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、シクロヘキシレン、ベンジレンまたはフェニレン残基を、とりわけ最も好ましくはエチレン、プロピレンおよび/またはブチレン残基を表す。
【0029】
同じまたは異なるアミノ置換基RおよびRは、脂肪族炭化水素残基、脂環式炭化水素残基または芳香族炭化水素残基を表し、好ましくは、1〜15個のC原子を有するアルキル基、6〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、または6〜18個のC原子を有する置換アリール基もしくは無置換アリール基を表し、特に好ましくは、メチル残基、エチル残基、プロピル残基、2−エチルヘキシル残基、シクロヘキシル残基、ベンジル残基またはフェニル残基を表し、とりわけ最も好ましくはメチル残基またはエチル残基を表すことができる。したがって、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミンおよび/またはN,N−ジエチルアミノプロピルアミンなどのN,N−ジアルキルアミノアルキルアミン類の、N,N−二置換ジアミンとしての使用がとりわけ最も好ましい。一般式Aの櫛形共重合体のN,N−二置換アミノ基を、アルキル化剤により一般式Bの第四級アンモニウム基に転化した場合、RまたはRと同一または異なるRは、残基Rおよび残基Rについて上で特定した意味を有する。一般式Bの第四級アンモニウム基への転化は、公知の方法を用いてアルキル化剤により行うことができ、C〜C15の塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキルなどのハロゲン化アルキル、特に好ましくはヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化エチルおよび/または塩化ベンジルを、好ましくはアルキル化剤として使用する。オキシランおよび飽和カルボン酸を用いて四級化を行うこともできる。
【0030】
加えて、任意選択的に置換されたスチレンおよび無水マレイン酸単位の共重合体を含むブロックAと、任意選択的に置換されたスチレンおよび/または少なくとも1種のアクリレート(メタクリレート)モノマーの(共)重合体を含むブロックBとによって形成されるABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる共重合体と混合して、SMA樹脂を使用することができる。
【0031】
アクリレート(メタクリレート)類の例は、たとえばアクリル酸(メタクリル酸)メチル、アクリル酸(メタクリル酸)エチル、アクリル酸(メタクリル酸)n−ブチル、アクリル酸(メタクリル酸)i−ブチル、アクリル酸(メタクリル酸)t−ブチル、アクリル酸(メタクリル酸)ラウリル、アクリル酸(メタクリル酸)2−エチルヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)ステアリル、アクリル酸(メタクリル酸)シクロヘキシル、アクリル酸(メタクリル酸)イソボルニル、メタクリル酸ベンジルなどのアクリル酸(メタクリル酸)アリールアルキル、アクリル酸フェニルなど、1〜22個の炭素原子を有する直鎖、分岐または脂環式アルコール類のアクリル酸(メタクリル酸)アルキルなどの、アクリル酸アルキルまたはアクリル酸アリール、メタクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アリールであり、これらのアリール残基はそれぞれ無置換であっても、最大四置換であってもよく、たとえばメタクリル酸4−ニトロフェニル、たとえば6〜20個の炭素原子を有するアクリル酸(メタクリル酸)ペルフルオロアルキルなどのハロゲン化アルコール類のアクリル酸塩(メタクリル酸塩)などでよい。
【0032】
AブロックのBブロックに対する重量比は、好ましくは95:5〜5:95、特に好ましくは90:10〜10:90の範囲内にある。
【0033】
本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、好ましくは、初めに適切な溶媒に溶解させた少なくとも1種のSMA樹脂と、任意選択的に少なくとも1種の上記さらなる共重合体とによって得られる。このために、少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと少なくとも1種のアミノアルコールとの混合物、あるいは上記モノヒドロキシ末端ポリエーテル類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類および/またはモノヒドロキシ末端ポリエーテル/ポリエステルブロック共重合体のうち少なくとも1種と混合されている場合がある少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンとの混合物を添加し、これらを、それぞれの基本共重合体またはブロック共重合体構造を有する基本共重合体の無水物構造の好ましくは少なくとも70%が転化されるまで、好ましくは20℃〜200℃、特に好ましくは30℃〜170℃の温度で転化する。この場合、第一級アミノ基がこれら共重合体の無水物構造と反応してアミドおよび/またはイミドを形成する。アミド形成は低い反応温度で促進され、イミド形成は上昇する反応温度で促進される。したがって、20℃〜50℃の反応温度では、ほぼ例外なくアミド結合が形成され、140℃を超える温度ではイミド結合が有利である。イミド形成の場合には水が放出されるため、基本(ブロック)共重合体のさらなる無水物構造をカルボン酸官能基に転化させることができる。これらの転化のいずれの場合にも、最初に添加した溶媒を、必要に応じ共沸蒸留によって再度蒸留して、イミド形成によって生成される水も取り除くことができる。
【0034】
転化の間、アミノ成分および任意選択的に存在するモノヒドロキシ末端成分と共に、基本(ブロック)共重合体用の溶媒を使用すると、基本(ブロック)共重合体塩の無水物基すべてが確実に、転化の最初からほぼ同等に反応することができる。この結果、より均質な生成物が得られる。
【0035】
ポリアルキレンオキシドモノアミン成分および任意選択的に存在するモノヒドロキシ末端ポリエーテル、モノヒドロキシ末端ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、および/またはモノヒドロキシ末端ポリエステル成分の、アミノアルコール成分またはN,N−二置換ジアミン成分に対するモル比は、25:75〜75:25の範囲にある。
【0036】
アミノアルコールを用いる転化の場合に最初に得られる櫛形共重合体のOH官能基を、さらなる転化においてリン酸エステル基へと部分的または完全に転化する。このために、たとえばP、ポリリン酸または塩化ホスホリルを使用することができる。アルコール官能基の転化率は、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%となるべきである。
【0037】
本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の生成において、N,N−二置換ジアミンをアミン成分として使用する場合、後に続くアルキル化反応において、第三級アミノ官能基を第四級アンモニウム塩へと部分的または完全に転化させる。たとえば塩化ベンジル、ヨウ化メチル、またはtert−ブチルフェニルグリシジルエーテルやスチレンオキシドなどのオキシランの組合せなどの通常のアルキル化剤を、アルキル化のために、非エチレン性不飽和カルボン酸と共に使用することができる。第三級アミノ官能基の第四級アンモニウム塩への転化率は、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%となるが、エチレン性不飽和でないカルボン酸残基、硫酸残基、または塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物が、好ましくは対イオンとして存在することができる。
【0038】
本発明によれば、櫛形共重合体または櫛形ブロック共重合体またはブロック共重合体構造を有する櫛形(共)重合体は、その共重合体またはブロック(共)重合体またはABブロック構造を有する共重合体が、基本重合体として、エステル結合、アミド結合および/またはイミド結合を介して線状重合体側鎖に結合している重合体を意味すると理解される。
【0039】
本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、先行技術から公知であるすべての使用目的で湿潤分散剤として適している。したがって、これら共重合体または共重合体混合物は、たとえば、塗料、印刷インク、インクジェットプリンタ用などインクジェットプロセス用のインク、コーティング、革および織物染料、ペースト、顔料コンセントレート、セラミックス、化粧品を製造または加工するために使用することができ、好ましくは顔料および/または充填剤などの固形物が存在する場合はいつでも使用することができる。本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、たとえばポリ塩化ビニル類、飽和または不飽和のポリエステル類、ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリアクリレート類、ポリアミド類、エポキシ樹脂、ポリエチレン類やポリプロピレン類などのポリオレフィン類など、合成、半合成または天然の高分子に基づく鋳造および/または成形用の化合物を製造または加工するために使用することもできる。たとえば、本発明による櫛形共重合体は、鋳造用化合物、PVCプラスチゾル、ゲルコート、コンクリートポリマー、印刷回路板、工業用塗料、木材および家具用ワニス、車両用塗料、船舶用塗料、防食塗料、缶およびコイル用コーティング、装飾用および建築用塗料の製造のために使用することができ、場合によっては、結合剤および/または溶媒、顔料、任意選択的に充填剤など通常の補助剤を、本発明による櫛形共重合体またはその櫛形ブロック(共)重合体との混合物に添加する。
【0040】
通常の結合剤の例は、ポリウレタン類、硝酸セルロース、セルロースアセトブチレート類、アルキド、メラミン、ポリエステル類、塩化ゴム、エポキシおよびアクリレートに基づく樹脂である。
【0041】
本発明による櫛形共重合体または本発明による櫛形共重合体混合物は、たとえば自動車の車体用のカソードまたはアノードのエレクトロコーティングなど、水性コーティングの製造用の湿潤分散剤としても適している。分散剤としての使用のさらなる例は、プラスタ、ケイ酸塩塗料、分散液塗料、水で希釈可能なアルキドに基づく水性塗料、アルキドエマルション、ハイブリッド系、2成分系、ポリウレタン分散体およびアクリレート分散体である。
【0042】
構造単位の第4、第5および/または第6の組合せの本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物はまた、特に、固形物コンセントレート、好ましくは顔料コンセントレートの製造に適している。このために、これら櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物は、有機溶媒、軟化剤および/または水などの支持媒体中に存在し、撹拌されながら分散固形物に添加される。さらに、これらのコンセントレートは、結合剤および/または他の補助剤を含むことができる。しかし、有利には、本発明による櫛形共重合体および本発明による櫛形共重合体混合物を用いて結合剤を含まない安定な顔料コンセントレートを製造することも可能である。同様に、本発明による櫛形共重合体および本発明による櫛形共重合体混合物を用いて、顔料プレスケーキから流動性を有する顔料コンセントレートを製造することも可能である。この場合、本発明による櫛形共重合体またはこれらの上記混合物を、水をまだ含むことができるプレスケーキに添加し、このように得られた混合物を分散させる。その後、このような固形物コンセントレート、好ましくは顔料コンセントレートを、たとえばアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの異なる様々な基質中に加工することができる。本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物に溶媒なしで直接分散している顔料が、着色用の熱可塑性プラスチック調合物および熱硬化性プラスチック調合物には特に適している。
【0043】
本発明による櫛形共重合体混合物または本発明による上記櫛形共重合体混合物は、サーマルインクジェットやバブルジェット(登録商標)プロセスなどの「ノンインパクト」印刷プロセス用のインクの製造においても有利に使用することができる。これらのインクは、たとえば、水性インク調合物、溶液型インク調合物、紫外線用途向けの溶媒を含まないインクもしくは低溶媒インク、また熱溶融性インク(waxy type ink)でよい。
【0044】
本発明による櫛形共重合体または本発明による上記櫛形共重合体混合物は、それらの有利な分散特性のために、カラーフィルタ、カラーフィルタ用塗料の製造において使用することができ、液晶ディスプレイ、液晶スクリーン、色解像デバイス、センサ、プラズマスクリーン、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)に基づくディスプレイ、またはマイクロチップおよび印刷回路板の製造において使用されるMLCC(多層セラミック化合物)に使用されるこれらカラーフィルタおよびカラーフィルタ用塗料の製造においても使用することができる。この場合、液状カラーフィルタ用塗料は、カラーレジストとも称され、スピンコーティング、ドクターブレード塗布、両者の組合せなど多種多様な塗布プロセスによって、またはたとえばインクジェットプロセスなどの「ノンインパクト」印刷プロセスを用いて塗布することができる。
【0045】
本発明による湿潤分散剤が、水性媒体にも有機溶媒にも十分および迅速に可溶性であることが、特にこれらの使用分野においては重要である。
【0046】
本発明による櫛形共重合体または本発明による上記櫛形共重合体混合物は、ファンデーション、おしろい、口紅、染髪料、クリーム、マニキュアおよび日焼け止め製剤の製造のためなど、化粧品の製造においても使用することができる。これらの化粧品は、W/OエマルションまたはO/Wエマルション、溶液、ゲル、クリーム、ローション、スプレーの形など、通常の調合物で存在することができる。この場合、本発明による櫛形共重合体または本発明による上記櫛形共重合体混合物は、これら化粧品の製造のために使用する分散体中の分散剤として、既に使用されていることがある。これらの分散体は、たとえば水、ヒマシ油、シリコーン油など通常の化粧品支持媒体、ならびにたとえば有機顔料および二酸化チタンや酸化鉄などの無機顔料などの固形物を有することができる。
【0047】
さらに、本発明はまた、本発明による櫛形共重合体または本発明による上記櫛形共重合体混合物の湿潤分散剤としての使用にも関する。これら湿潤分散剤は、好ましくは上述の使用目的で使用される。
【0048】
さらなる使用目的は、基板上への着色コーティングの製造でもあり、基板に顔料用塗料が塗布され、塗布された顔料用塗料が燃焼または硬化または架橋される。
【0049】
本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物の使用目的では、先行技術による通常の結合剤と共に、これら櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物を使用することができる。ポリオレフィン類を使用する場合、たとえば、少なくとも1種の本発明による櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物と共に、対応する低分子量ポリオレフィンを支持材料として使用することが有利となることがある。
【0050】
本発明による使用は、とりわけ粉末粒子および/または繊維状粒子の形の分散性固形物の製造に、特に分散性顔料またはプラスチック充填剤の製造にもあり、本発明による櫛形共重合体でこれらの粒子を被覆することができる。有機固形物または無機固形物のこのようなコーティングは、たとえば、欧州特許出願公開第0270126号などのように、公知の方法で行われる。この場合、溶媒または乳化剤は取り除かれているか、混合物中に残存してペーストを形成することができる。このようなペーストは、場合によっては結合剤、ならびに補助剤および添加剤を含むことができる現在の商品である。
【0051】
特に顔料の場合は、顔料表面の改質、すなわち、コーティングは、顔料の合成中または合成後に本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物を添加することによって、すなわち、顔料懸濁液に、または顔料仕上げ時もしくは顔料仕上げ後にそれら櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物を添加することによって進めることができる。
【0052】
このようにして前処理を施した顔料は、表面処理されていない顔料と比較して、より容易に加工される能力によって、またより高い色強度によって区別される。
【0053】
本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物は、モノ−、ジ−、トリ−およびポリアゾ顔料、オキサジン、ジオキサジン、チアジン顔料、ジケトピローロピロール、フタロシアニン、ウルトラマリンおよび他の金属錯体顔料、インジゴイド顔料、ジフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、アクリジン、キナクリドン、メチン顔料、アントラキノン、ピラントロン(pyranthrone)、ペリレンおよび他の多環式カルボニル顔料など、複数の顔料用の湿潤分散剤として適切である。本発明による分散性有機顔料のさらなる例は、モノグラフ:W.Herbst、K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、1997(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28836−8)に見られるものである。本発明による分散性無機顔料の例は、カーボンブラック、黒鉛、亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、鍾乳石(lithophone)、酸化鉄、ウルトラマリン、リン酸マンガン、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、酸化アンチモン、硫化アンチモン、酸化クロム、クロム酸亜鉛、ニッケル、ビスマス、バナジウム、モリブデン、カドミウム、チタン、亜鉛、マンガン、コバルト、鉄、クロム、アンチモン、マグネシウム、アルミニウムに基づく混合金属酸化物(たとえば、ニッケルチタニウムイエロー、バナジウム酸ビスマスモリブデン酸塩イエローまたはクロムチタンイエロー)に基づく顔料である。さらなる例は、モノグラフ:G.Buxbaum「Industrial Inorganic Pigments」、1998(出版社:Wiley−VCH、ISBN:3−527−28878−3)に明記されている。無機顔料が、純鉄、酸化鉄および酸化クロムあるいは混合酸化物に基づく磁性顔料、アルミニウム、亜鉛、銅または黄銅で構成される金属効果顔料、ならびに真珠光沢顔料、蛍光性顔料および燐光性発光顔料であってもよい。金属または半金属の酸化物または水酸化物で構成される一定のカーボンブラックタイプまたは粒子、ならびに金属および/または半金属の酸化物または水酸化物の混合で構成される粒子などのナノスケールの、粒径が100nmを下回る有機固形物または無機固形物を、本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物を用いて分散させることもできる。このための適切な酸化物は、アルミニウム、シリコン、亜鉛、チタンの酸化物および/または酸化水酸化物であり、これらの酸化物および/または酸化水酸化物は、このような極めて微粒子の固形物の製造に使用することができる。これらの酸化物粒子もしくは水酸化物粒子または酸化−水酸化物粒子の製造は、様々なプロセス、たとえば、イオン交換プロセス、プラズマプロセス、ゾル−ゲルプロセス、沈殿、破砕(たとえば、ミル粉砕による)または火炎加水分解等を用いて行うことができる。これらナノスケールの固形物は、無機コアと有機シェルとで、またはその逆で構成される所謂「ハイブリッド」粒子であってもよい。
【0054】
本発明によれば、分散性の、粉末状または繊維状の充填剤は、とりわけ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、珪藻土、シリカ、石英、シリカゲル、滑石、カオリン、雲母、パーライト、長石、スレート粉、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、方解石、ドロマイト、ガラスまたは炭素の粉末状粒子または繊維状粒子から形成される充填剤である。分散性顔料または充填剤のさらなる例は、欧州特許出願公開第0270126号にも見られるものである。たとえば水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃剤、ならびにたとえばケイ酸などのつや消し剤を同様に、本発明による櫛形共重合体または上記櫛形共重合体混合物を用いて見事に分散させ安定させることができる。
【0055】
したがって本発明はさらに、本発明による少なくとも1種の櫛形共重合体または本発明による少なくとも1種の櫛形共重合体混合物と、少なくとも1種の顔料と、有機基質および/または水と、また必要に応じて結合剤および通常の補助剤とを含む塗料、ペーストおよび成形組成物に関する。
【0056】
したがって、本発明はさらに、本発明による少なくとも1種の櫛形共重合体、または本発明による少なくとも1種の上記櫛形共重合体混合物で被覆された上記顔料に関する。
【0057】
本発明による櫛形共重合体または本発明による上記櫛形共重合体混合物は、必要に応じて、特殊な要件を満たすためにさらなる公知の湿潤分散剤と混合して使用することもできる。このために、それら櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物を、たとえば米国特許第6849679号、米国特許第4656226号、米国特許第4755563号、米国特許第5085698号、米国特許第5160372号、米国特許第5219945号、米国特許第5221334号、米国特許第5272201号、米国特許第5519085号、米国特許第5859113号、米国特許第6306994号、米国特許第6316564号、米国特許第6413306号、国際公開第01/44389号、国際公開第03/046029号、欧州特許第0438836号、欧州特許第1416019号、独国特許発明第3527038号、独国特許発明第3641581号に開示されている湿潤分散剤と共に、顔料または固形物の常温転写(cold transfer)の前または常温転写時にそれら櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物をこれら湿潤分散剤と混合することによって使用することができる。これらの公報における対応する開示を、本願の開示の一部として本明細書に援用する。
【実施例】
【0058】
[側鎖を有するSMA共重合体の生成]
重合体1
SMA2000合成樹脂65g(187mmolの無水物基を有する)を、メトキシプロピルアセテート65gに溶解させ、94mmolのJeffamin M2070および94mmolのN,N−ジメチルアミノプロピルアミンの混合物とゆっくり混ぜ合わせる。この混合物を170℃で4時間反応させる。この間に、メトキシプロピルアセテートを蒸留して除去する。
【0059】
重合体2
SMA1000合成樹脂60g(254mmolの無水物基を有する)を、メトキシプロピルアセテート90gに溶解させ、127mmolのJeffamin M2070および127mmolのN,N−ジメチルアミノプロピルアミンの混合物とゆっくり混ぜ合わせる。この混合物を170℃で4時間反応させる。この間に、メトキシプロピルアセテートを蒸留して除去する。
【0060】
重合体3
SMA2000合成樹脂65g(187mmolの無水物基を有する)を、メトキシプロピルアセテート65gに溶解させ、94mmolのJeffamin M2070とゆっくり混ぜ合わせる。この混合物を170℃で4時間反応させる。この間に、メトキシプロピルアセテートを蒸留する。その後、94mmolのN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを添加し、50℃でさらに4時間撹拌する。
【0061】
重合体4
SMA2000合成樹脂65g(187mmolの無水物基を有する)を、メトキシプロピルアセテート65gに溶解させ、94mmolのJeffamin M2070とゆっくり混ぜ合わせる。この混合物を170℃で4時間反応させる。この間に、メトキシプロピルアセテートを蒸留して除去する。
【0062】
重合体5
SMA2000合成樹脂65g(187mmolの無水物基を有する)を、メトキシプロピルアセテート65gに溶解させ、94mmolのJeffamin M2070および94mmolの2−アミノエタノールの混合物とゆっくり混ぜ合わせる。この混合物を170℃で4時間反応させる。この間に、メトキシプロピルアセテートを蒸留して除去する。
【0063】
湿潤分散剤1(アミン結合基を有する比較例)
重合体1を40wt%まで、30%のメトキシプロピルアセテートおよび30wt%のブチルグリコールに溶解させる。
【0064】
湿潤分散剤2(米国特許第6528593号に関連する比較例)
80gの重合体1を、メトキシプロピルアセテート60gおよびブチルグリコール60gに溶解させ、50wt%過酸化水素水溶液3gと室温で8時間反応させ、その後2時間で100℃まで加熱して余分な過酸化物を破壊する。
【0065】
湿潤分散剤3(米国特許第7078464号に関連する比較例)
80gの重合体1を、メトキシプロピルアセテート62gおよびブチルグリコール62gに溶解させ、メタクリル酸2.6gを用いて対応する塩に転化させる。
【0066】
湿潤分散剤4
80gの重合体1を、メトキシプロピルアセテート62.85gおよびブチルグリコール62.85gに溶解させ、塩化ベンジル3.8gと8時間反応させる。
【0067】
湿潤分散剤5
80gの重合体2を、メトキシプロピルアセテート63gおよびブチルグリコール63gに溶解させ、塩化ベンジル4.1gと8時間反応させる。
【0068】
湿潤分散剤6
80gの重合体2を、メトキシプロピルアセテート62.85gおよびブチルグリコール62.85gに溶解させ、塩化ベンジル3.8gと8時間反応させる。
【0069】
湿潤分散剤7(比較例)
独国特許出願公開第3527038号からの実施例12。
【0070】
湿潤分散剤8(比較例)
80gの重合体4を、ブチルグリコール80gに溶解させる。
【0071】
湿潤分散剤9(比較例)
80gの重合体5を、ブチルグリコール80gに溶解させる。
【0072】
湿潤分散剤10
80gの重合体5を酢酸ブチル100gに溶解させ、ポリリン酸2.7gを用いて80℃で3時間にわたって転化させる。その後蒸留によって酢酸ブチルを取り除き、得られた重合体をブチルグリコールに50wt%まで溶解させる。
SMA 2000合成樹脂 スチレン−無水マレイン酸共重合体、製造業者Cray Valley
Jeffamin M2070 アミン末端EO/POポリエーテル、製造業者Huntsman
【0073】
[適用試験]
溶解度試験
すべての湿潤分散剤1〜10はそれぞれ、水、メトキシプロピルアセテート、酢酸ブチル、ブチルグリコールまたはメトキシプロパノールに5wt%まで均一に可溶性である。
【0074】
溶媒を含有する塗料
wt%
粉砕材料:
樹脂 14.3%
n−ブタノール 5%
湿潤分散剤 5%(固形物に対して)
顔料 15%
PMA(メトキシプロピルアセテート)を100%になるまで足す

樹脂:メトキシプロピルアセテート中に35%のメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体、酸価53、製造業者Byk−Chemie
顔料:Irgaphor Red BT−CF DPP Pigment PR254、製造業者 Ciba Speciality Chemicals
PMA:メトキシプロピルアセテート
分散:Paintshaker DAS 200(1.4〜1.7mmのZirconoxパレット)30℃で3時間
【0075】
溶解試験:
1200nm±200nmの層厚が得られるように、スピンコータを用いてガラス板に塗料を塗布する。乾燥させたガラス板をその後、現像剤溶液またはメトキシプロピルアセテート中で保持する。
【0076】
現像剤:
この液体を、磁気攪拌機を用いて流動させる。ガラス板から塗料膜が完全に溶解してしまうまでの時間を測定する。
【0077】
メトキシプロピルアセテート:
ガラス板をメトキシプロピルアセテート中に10分間漬浸し、この液体をその後、磁気攪拌機を用いて流動させる。ガラス板から塗料膜が完全に溶解してしまうまでの時間を測定する。
【0078】
この塗料の評価は以下のとおりである。
【0079】
【表1】

【0080】
現在は、比較例7の湿潤分散剤が、カラーレジスト中の湿潤分散剤として使用されている。それら湿潤分散剤により、現像剤中のカラーレジストの分解時間が比較的長くなり、塗料は不完全にしか現像剤に溶解しない。
【0081】
比較例1〜3による湿潤分散剤を用いた場合、カラーレジストに必要とされる非常に低い粘度が達成されない。本発明の実施例4〜6による、結合基を有する湿潤分散剤を用いることによって、粘度を所要の程度までさらに低下させることができる。
【0082】
水性顔料コンセントレート
wt%
水 26.5%
湿潤分散剤 12%
顔料(Bayferrox 130M) 60%
BYK−024消泡剤 1%
BYK−420レオロジー添加剤 0.5%
100%
顔料:Bayferrox 130M(酸化鉄顔料、製造業者 Lanxess)
BYK−024:消泡剤、製造業者:Byk Chemie
BYK−420:レオロジー添加剤、製造業者:Byk Chemie
分散:Dispermat CV、8000rpm、40℃で分散時間40分
【0083】
【表2】

【0084】
顔料Bayferrox 130Mと湿潤分散剤8または9を有する顔料コンセントレートは、イオン性結合基を含まず、高い粘度を示す。しかしながら、本発明による湿潤分散剤10を使用すると、顔料コンセントレートの明らかに低い粘度が実証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意選択的に置換されたスチレン/無水マレイン酸共重合体に基づく櫛形共重合体であって、以下に示す下記構造単位I〜Xの組合せを含み、
【化1】

(式中、
〜は連鎖結合を表し、
RがH、ハロゲン、好ましくは塩素、ニトロ基、1〜15個のC原子を有するアルキル基または6〜18個のC原子を有するアリール基を表し、
が、1〜24個のC原子を有するアルキレン基または6〜18個のC原子を有する置換もしくは非置換のアリーレン基を表し、
がHまたはアルキル基を表し、Rの0〜95%、好ましくは30〜70%がアルキル基を示し、
zが3〜70の整数を表し、
がNHおよび/またはOを表し、
が任意選択的に置換された、1〜30個のC原子を有する任意選択的に単不飽和または多価不飽和のアルキル基、6〜18個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリール基、4〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキル基を表し、
およびRが、同一または異なっており、1〜15個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン基、4〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキレン基、または6〜18個のC原子を有する置換もしくは非置換のアリーレン基を表し、
がリン酸エステル基またはヒドロキシル基を表し、Xの0〜75%がヒドロキシル基を表すことができ、
が、下記一般式AのN,N−二置換アミノ基、
【化2】

または下記一般式Bの第四級アンモニウム基
【化3】

(式中、
が、エチレン性不飽和ではないカルボン酸残基、硫酸残基、またはハロゲン化物、好ましくは塩化物、臭化物もしくはヨウ化物を表し、
、RおよびRが、同一または異なっており、1〜15個のC原子を有するアルキル基、6〜10個のC原子を有するシクロアルキル基、または6〜18個のC原子を有する置換もしくは非置換のアリール基、好ましくはメチル基、エチル基および/またはベンジル基を表す。)
を表し、Xの0〜75%が、前記一般式AのN,N−二置換アミノ基を表すことができ、
が、2〜15個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン残基、6〜10個のC原子を有する任意選択的に置換されたシクロアルキレン残基および/または6〜18個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリーレン残基を表し、
10が、任意選択的に単不飽和もしくは多価不飽和であってよい1〜30個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキル残基、および/または任意選択的に置換されたアリール残基を表し、
xが1〜70の整数を表し、
x’が3〜70の整数を表し、
yが1〜70の整数を表す。)
前記櫛形共重合体が、
1.構造単位II中のXがNH基を表すのみである、構造単位I〜VおよびVIIIの組合せ、
2.構造単位I〜IIIおよびVI〜VIIIの組合せ、あるいは、
3.構造単位I〜IIIおよびVI〜VIIIと構造単位IXおよび/またはXとの組合せ
を有し、任意選択的に置換されたスチレンおよび無水マレイン酸から形成されるAブロックと、任意選択的に置換されたスチレンおよび/またはアクリルレート(メタクリレート)モノマーから形成される少なくとも1つのBブロックとを含むABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体と任意選択的に混合されて存在し、前記ABブロック共重合体構造の無水マレイン酸基が、以下の組合せ、
4.構造単位II中のXがNH基を表すのみである、構造単位II〜VおよびVIIIの組合せ、
5.構造単位II〜IIIおよびVI〜VIIIの組合せ、あるいは、
6.構造単位II〜IIIおよびVI〜VIIIと構造単位IXおよび/またはXとの組合せ
のうちの1つの中の構造単位として、少なくとも70%まで存在する櫛形共重合体。
【請求項2】
RがHであり、
が、1〜6個のC原子を有するアルキレン基であり、
がHまたはCHであり、
構造単位IIおよび構造単位IIIにおけるエチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対するモル比が、30:70〜70:30の範囲内にあり、
が、少なくとも50%までリン酸エステル基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキル基、または6個のC原子を有する任意選択的に置換されたアリール基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキレン基であり、
が、1〜8個のC原子を有するアルキレン基であり、
が、前記一般式Bの残基として100%まで存在し、
、RおよびRが、同一または異なっており、1〜8個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキル基、好ましくはメチル残基、エチル残基またはベンジル残基であり、
が、3〜8個のC原子を有する任意選択的に置換されたアルキレン基であり、
10が、4〜20個のC原子を有するアルキル残基であり、
zが5〜60の整数であり、
yが2〜60の整数であり、
xが2〜60の整数であり、
x’が5〜60の整数であり、
構造単位II、IIIおよびIXおよび/またはXの構造単位VIおよびVIIに対するモル比が、25:75〜75:25になる、請求項1に記載の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項3】
構造単位Iの、1.〜3.の組合せ中に存在する前記櫛形共重合体の他の全構造単位に対するモル比、または構造単位Iの、4.〜6.の組合せ中に存在する前記さらなる櫛形共重合体の他の全構造単位に対するモル比が、1:1〜8:1、好ましくは1:1〜2:1となる、請求項1または2に記載の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項4】
構造単位I〜Xにおいて、
R=H、
がエチレン残基、プロピレン残基および/またはイソプロピレン残基であり、
が水素またはCH残基であり、
エチレンオキシド単位のプロピレンオキシド単位に対するモル比が、70:30〜30:70となり、
が水素またはCH残基またはC残基であり、
zが25〜50の整数であり、
がNHおよび/またはOであり、
、Rが、同一または異なっており、2〜4個のC原子を有するアルキル残基であり、
、RおよびRが、同一または異なっており、CH残基、C残基またはベンジル残基で、Mが塩化物または臭化物であり、
が、4個および/または5個のC原子を有するアルキレン残基であり、
10が、4〜14個のC原子を有するアルキル残基であり、
xが4〜30の整数であり、
x’が25〜50の整数であり、
yが4〜30の整数である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項5】
櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物であって、
a)任意選択的に置換されたスチレンおよび無水マレイン酸から形成される少なくとも1種のAブロックと、任意選択的に置換されたスチレンおよび/またはアクリレート(メタクリレート)モノマーから形成されるBブロックとからなるABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる共重合体と任意選択的に混合された、少なくとも1種の任意選択的に置換されたスチレン/無水マレイン酸基共重合体(SMA樹脂)の転化であって、
a1) 第一級アミノ末端基を有する少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のアミノアルコールとの混合物、または、
a2) 第一級アミノ基を有する少なくとも1種のポリアルキレンオキシドモノアミンと、少なくとも1種のN,N−二置換ジアミンとの混合物、または、
a3) a2)と、モノヒドロキシ末端ポリアルキレンオキシド類、モノヒドロキシ末端ポリエステル類、およびモノヒドロキシ末端ポリエステル−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体を含む群から選択される少なくとも1種の重合体とを含む混合物を用いる転化、および
b)その後に続く少なくとも部分的な転化であって、
b1) a1)に従って得られる櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の遊離ヒドロキシル基のリン酸エステル基への転化、または、
b2)a2)もしくはa3)に従って得られる櫛形共重合体または櫛形共重合体混合物の遊離N,N−二置換アミノ基の、少なくとも1種のアルキル化化合物による第四級アンモニウム基への転化によって得られる、櫛形共重合体またはその混合物。
【請求項6】
それぞれa)による前記転化の前に、前記SMA樹脂またはそのABブロック共重合体構造に基づく少なくとも1種のさらなる共重合体との混合物が、有機溶媒に溶解して存在する、請求項5に従って得られる櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項7】
a)による前記転化が、20℃〜200℃、好ましくは30℃〜170℃の温度で行われる、請求項5または6に従って得られる、櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項8】
それぞれa1)、a2)またはa3)による前記転化の間に、前記ポリアルキレンオキシドモノアミン成分の前記アミノアルコールまたはN,N−二置換ジアミン成分またはポリアルキレンオキシドモノアミン成分に対するモル比、および前記モノヒドロキシ末端ポリアルキレンオキシド、ポリエステルおよび/またはポリエステルポリアルキレンオキシドブロック共重合体成分の、前記N,N−二置換ジアミン成分に対するモル比が、25:72〜75:25、好ましくは40:60〜60:42の範囲内にある、請求項5〜7のいずれか一項に従って得られる櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項9】
b1)またはb2)による前記転化における転化率が、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%となる、請求項5〜8のいずれか一項に従って得られる櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の、または請求項5〜9のいずれか一項に従って得られる少なくとも1種の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物の、少なくとも1種のさらなる通常の湿潤分散剤と任意選択的に混合した湿潤分散剤としての使用。
【請求項11】
固形物、好ましくは、顔料および/または充填剤用の、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
固形物コンセントレート、好ましくは、顔料コンセントレートまたは顔料ペーストを製造および/または加工するための、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
塗料、印刷インク、インクジェットプロセス用のインク、コーティング、革および/または織物染料、セラミックス、化粧品を製造および/または加工するための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
合成、半合成または天然の高分子に基づく鋳造用および/または成形用化合物を製造および/または加工するための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
カラーフィルタ塗料(=カラーレジスト)を製造および/または加工するための請求項10〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
液晶ディスプレイ、液晶スクリーン、色解像デバイス、センサ、プラズマスクリーン、SEDに基づくディスプレイ、またはMLCC用のカラーフィルタの製造のための、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
通常の補助物質、好ましくは通常の結合剤も使用される、請求項10〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
湿潤分散剤として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の、または請求項5〜9のいずれか一項に従って得られる少なくとも1種の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物と、少なくとも1種の固形物、好ましくは顔料と、任意選択的に有機溶媒または水性媒体と、任意選択的に少なくとも1種の結合剤、および/または任意選択的にさらなる通常の補助物質と、好ましくは少なくとも1種のさらなる通常の湿潤分散剤とを含む塗料、ペーストまたは成形用化合物。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の、または請求項5〜9のいずれか一項に従って得られる少なくとも1種の櫛形共重合体またはその少なくとも1種のさらなる櫛形共重合体との混合物でその表面が改質された顔料。

【公表番号】特表2010−514863(P2010−514863A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543387(P2009−543387)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011329
【国際公開番号】WO2008/080580
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】