説明

変換装置および変換方法

【課題】フロッピーディスク装置を他の同等機能の補助記憶装置に置き換える。
【解決手段】変換装置は、FD用I/F部(40)から転送されるライトデータを受信する受信手段(11,13)と、受信手段が受信したライトデータを復調する復調手段(22)と、復調手段が復調したデータのうち各セクタのデータフィールドに含まれるデータを第1のデータ群と第2のデータ群に分けた上で、第1のデータ群と第2のデータ群とを記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換する変換手段(23)と、変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第1のデータ群を記憶媒体の第1の領域に書き込んだ後に、第1の変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第2のデータ群を記憶媒体の第1の領域の後の第2の領域に書き込む書込手段(18,19)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロッピー(登録商標)ディスクのフォーマットのライトデータを他の記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換して記憶媒体に書き込む変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントや建物設備機器を監視する監視システムは、24時間稼動すると共に長期にわたって使用される。例えばBA(ビルディングオートメーション)システムは建物の付帯設備として15年の耐用年数となっており、長期にわたって使用され、その間のメンテナンスを要求されている。このようなシステムは、一般OA機器や個別の設備機器のように変更することは困難である。BAシステムのような監視システムで用いる監視装置は、データバックアップのための補助記憶装置としてフロッピーディスク装置を使用していた(非特許文献1参照)。
【0003】
近年、フロッピーディスクの生産中止が相次ぎ、フロッピーディスクの供給が途絶える可能性が出てきたため、システムを継続して使用するために、フロッピーディスク装置から他の補助記憶装置へ代替えすることが急務となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】意匠登録第1074245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、長期間使用されている旧型のシステムでは、フロッピーディスク装置から他の補助記憶装置へ代替えすることが急務となっているが、インタフェース方式の違いや記憶容量の違い、ファイル管理(フォーマット)の違いなどが存在するため、フロッピーディスク装置を他の同等機能の補助記憶装置に単純に置き換えることはできないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、フロッピーディスク装置を他の同等機能の補助記憶装置に容易に置き換えることが可能な変換装置および変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フロッピーディスクのフォーマットのライトデータを他の記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換して記憶媒体に書き込む変換装置であって、フロッピーディスク用のインタフェースから転送されるライトデータを受信する受信手段と、この受信手段が受信したライトデータを復調する復調手段と、この復調手段が復調したデータのうち各セクタのデータフィールドに含まれるデータを第1のデータ群と第2のデータ群に分けた上で、前記第1のデータ群と前記第2のデータ群とを前記記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換する第1の変換手段と、この第1の変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第1のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域に書き込んだ後に、前記第1の変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第2のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域の後の第2の領域に書き込む書込手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の変換装置の1構成例において、前記書込手段は、前記第1の変換手段が変換したライトデータをイメージファイルの形で前記記憶媒体に書き込むことを特徴とするものである。
また、本発明の変換装置の1構成例は、さらに、前記記憶媒体に記憶されているリードデータを読み出す読出手段と、この読出手段が読み出したリードデータをフロッピーディスクのフォーマットのライトデータに変換する第2の変換手段と、この第2の変換手段が変換したライトデータを変調する変調手段と、この変調手段が変調したライトデータを前記フロッピーディスク用のインタフェースへ転送する転送手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の変換装置の1構成例は、さらに、変換装置に前記記憶媒体が装着されていて、前記記憶媒体に問題がないかどうかを確認する確認手段を備え、前記確認手段は、前記記憶媒体が装着されていないか、あるいは前記記憶媒体に問題がある場合、前記記憶媒体への書き込み処理を中止することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の変換装置の1構成例において、前記第1のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDATAであり、前記第2のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトとCRCである。
また、本発明の変換装置の1構成例は、前記フロッピーディスク用のインタフェースを搭載した機器のフロッピーディスク装置のスロットに装着可能であることを特徴とするものである。
また、本発明の変換装置の1構成例において、前記記憶媒体は、コンパクトフラッシュ(登録商標)カードである。
【0010】
また、本発明は、フロッピーディスクのフォーマットのライトデータを他の記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換して記憶媒体に書き込む変換方法であって、フロッピーディスク用のインタフェースから転送されるライトデータを受信する受信ステップと、この受信ステップで受信したライトデータを復調する復調ステップと、この復調ステップで復調したデータのうち各セクタのデータフィールドに含まれるデータを第1のデータ群と第2のデータ群に分けた上で、前記第1のデータ群と前記第2のデータ群とを前記記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換する第1の変換ステップと、この第1の変換ステップで変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第1のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域に書き込んだ後に、前記第1の変換ステップで変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第2のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域の後の第2の領域に書き込む書込ステップとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のフロッピーディスク用のインタフェースを変更することなく、フロッピーディスク装置を他の同等機能の記憶媒体に容易に置き換えることができる。これにより、本発明では、補助記憶装置の耐用年数を延長することができ、フロッピーディスク用のインタフェースを搭載する機器の長期間のメンテナンスの要求に対応することができる。本発明では、フロッピーディスク用のインタフェースを搭載する機器側からは従来のフロッピーディスク装置と同様に扱うことができる。また、本発明では、従来のフロッピーディスク用のインタフェースで接続するため、旧型のシステムのように最新の補助記憶装置とのインタフェースを持たない機器にも適用することができる。
【0012】
また、本発明では、第1の変換手段が変換したライトデータをイメージファイルの形で記憶媒体に書き込むことにより、フォーマットという概念がなくなるので、フロッピーディスクのフォーマットに関係なく記録することができる。
【0013】
また、本発明では、変換装置に記憶媒体が装着されていて、記憶媒体に問題がないかどうかを確認する確認手段を備えているので、書き込み前に異常の有無を判断することができ、効率よくデータ保存、転送を行なうことが可能となる。
【0014】
また、本発明では、フロッピーディスク用のインタフェースを搭載した機器のフロッピーディスク装置のスロットに変換装置を装着可能とすることにより、フロッピーディスク用のインタフェースを搭載した機器を変更することなく、フロッピーディスク装置を他の同等機能の記憶媒体に容易に置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視装置の外観図である。
【図2】監視装置内部のフロッピーディスク用インタフェース基板と本発明の実施の形態に係る変換装置との接続方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る変換装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る変換装置の書き込み時の動作の概要を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る変換装置の読み出し時の動作の概要を示すフローチャートである。
【図6】フロッピーディスクのフォーマットを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態においてコンパクトフラッシュカードに作成されるイメージファイルのフォーマットを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る変換装置の書き込み処理の特徴を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る監視装置の外観図である。図1の例では、プラントや建物の設備機器を監視する監視装置1としてコンピュータを採用しており、コンピュータには、データバックアップのための補助記憶装置としてフロッピーディスク(以下、FD)装置2が搭載されている。
【0017】
図2は監視装置1内部のFD用インタフェース(以下、I/F)基板と本実施の形態の変換装置との接続方法を説明する図である。本実施の形態では、FDの代わりの記憶媒体としてコンパクトフラッシュカード(以下、CF)を用いる。本実施の形態の変換装置4に設けられたスロット6には、CF3が装着される。変換装置4の信号コネクタ7はFD用I/F基板5の信号コネクタ9と信号ケーブルを介して接続され、変換装置4の電源コネクタ8はFD用I/F基板5の電源コネクタ10と電源ケーブルを介して接続されている。このように、変換装置4は、監視装置1内部のFD用I/F基板5と信号のやり取りをすると共に、FD用I/F基板5から電源供給を受ける。なお、変換装置4の外形寸法をFDと同一にすれば、FDと同様に、FD装置2のスロットに変換装置4を装着することが可能である。
【0018】
以下、本実施の形態では、FD用I/F基板5から従来のFDに書き込もうとするデータをFDライトデータ、従来のFDから読み出したデータに相当するデータをFDリードデータ、CF3に書き込もうとするデータをCFライトデータ、CF3から読み出したデータをCFリードデータと呼ぶ。
【0019】
図3は本実施の形態の変換装置4の構成を示すブロック図である。変換装置4は、FD用I/F基板5内のFD用I/F部40とデータの送受信を行うドライバ/レシーバ部11と、FD用I/F基板5から供給される電源電圧を所定の電圧(図3の例では+3.3Vと+1.2V)に変換する電源部12と、ドライバ/レシーバ部11を制御するFD用I/F制御部13と、FD用I/F基板5から転送されるFDライトデータを所定のフォーマットのCFライトデータに変換すると共に、CF3から読み出されたCFリードデータを所定のフォーマットのFDリードデータに変換するMFM(Modified Frequency Modulation)転送データ送受信部14と、CF3に書き込むCFライトデータおよびCF3から読み出したCFリードデータを一時的に蓄積するための送信/受信バッファRAM(Random Access Memory)15と、送信/受信バッファRAM15を制御する送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16と、変換装置4のスロット6に装着されたCF3と電気的に接続されるCF用I/F部17と、CF用I/F部17を介してCF3とデータの送受信を行うドライバ/レシーバ部18と、ドライバ/レシーバ部18を制御するCF用I/F制御部19と、変換装置全体を制御するMPU(Microprocessing Unit)20と、情報表示のためのLED21とを有する。
【0020】
MFM転送データ送受信部14は、FD用I/F基板5から転送されるMFM変調されたFDライトデータを復調するMFM復調部22と、MFM復調部22によって復調されたシリアル形式のFDライトデータをパラレル形式のCFライトデータに変換するS/Pデータ変換部23と、FD用I/F基板5から転送されるFDライトデータの同期検出を行うフォーマット/SYNC検出部24と、フォーマット/SYNC検出部24が検出したタイミングに基づいてCFライトデータの送信/受信バッファRAM15への転送を制御するフォーマット/SYNC制御部25と、MPU20からの指示に従ってFDライトデータの変換および転送を制御するライトデータ制御部26と、送信/受信バッファRAM15から転送されるパラレル形式のCFリードデータをシリアル形式のFDリードデータに変換するP/Sデータ変換部27と、送信/受信バッファRAM15から転送されるCFリードデータのうちDAM(Data Address Mark)およびCRC(Cyclic Redundancy Check)データをシリアル形式のFDリードデータに変換するアドレスマークデータ変換部28と、P/Sデータ変換部27およびアドレスマークデータ変換部28によって変換されたシリアル形式のFDリードデータをMFM変調するMFM変調部29と、MPU20からの指示に従ってCFリードデータの変換および転送を制御するリードデータ制御部30とを有する。
【0021】
ドライバ/レシーバ部11とFD用I/F制御部13とは、受信手段および転送手段を構成し、S/Pデータ変換部23は、第1の変換手段を構成し、ドライバ/レシーバ部18とCF用I/F制御部19とは、書込手段および読出手段を構成し、P/Sデータ変換部27とアドレスマークデータ変換部28とは、第2の変換手段を構成している。また、MPU20は、変換装置4にCF3が装着されていて、CF3に問題がないかどうかを確認する確認手段を構成している。
【0022】
以上のような変換装置4は、ドライバ/レシーバ部11とFD用I/F制御部13とを含むICと、ドライバ/レシーバ部11とCF用I/F制御部19とを含むICと、MPU20と、その他の構成を含むFPGA(Field-Programmable Gate Array)で実現することができる。
【0023】
図4は本実施の形態の変換装置4の書き込み時の動作を概要を示すフローチャート、図5は変換装置4の読み出し時の動作の概要を示すフローチャート、図6(A)、図6(B)はFDのフォーマットを示す図、図7はCF3に作成されるイメージファイルのフォーマットを示す図である。なお、図6(A)、図6(B)、図7は2DDのFDの場合で記載している。
【0024】
FDの場合、図6(A)に示すように1トラック毎(FDの1回転毎)に制御信号であるINDEX信号がFD用I/F基板5から出力される。そして、長さが6250バイトの1トラックは、プリアンブル50と、9つのセクタ51−1〜51−9と、ポストアンブル52とからなる。さらに、各セクタ51−1〜51−9は、それぞれIDフィールド53と、Gapフィールド54と、データフィールド55と、Gapフィールド56とからなる。1セクタの長さは658バイトである。
【0025】
図6(B)はプリアンブル50とセクタ51−1〜51−9とポストアンブル52の詳細なデータ構造を示している。図6(B)のデータの欄の各数値の末尾に記載される「H」は各数値が16進数表記であることを示している。
【0026】
プリアンブル50に書き込まれる値は、Gap4aと、SYNCと、IAM(Index Adress Mark)と、Gap1とからなる。Gap4aの中身は80回連続の4EHからなる。SYNCの中身は12回連続の00Hからなる。IAMの中身は、3回連続のC2Hと、FCHとからなる。Gap1の中身は50回連続の4EHからなる。
【0027】
各セクタ51−1〜51−9のIDフィールド53に書き込まれる値は、SYNCと、IDAM(Id Adress Mark)と、シリンダ番号Cと、ヘッド番号Hと、セクタ番号Rと、セクタ長Nと、2バイトのCRCデータとからなる。SYNCの中身は12回連続の00Hからなる。IDAMの中身は、3回連続のA1Hと、FEHとからなる。シリンダ番号Cは00H〜4FHのいずれかの値をとる。ヘッド番号Hは00H〜01Hのいずれかの値をとる。セクタ番号Rは01H〜09Hのいずれかの値をとる。セクタ長Nの値は、本実施の形態のようにデータフィールド55に書き込まれるDATAの長さが512バイトの場合、02Hとなる。
【0028】
各セクタ51−1〜51−9のGapフィールド54に書き込まれる値は、Gap2であり、このGap2の中身は22回連続の4EHからなる。
各セクタ51−1〜51−9のデータフィールド55に書き込まれる値は、SYNCと、DAMまたはDDAM(Deleted Data Address Mark)と、512バイトのDATAと、2バイトのCRCデータとからなる。SYNCの中身は12回連続の00Hからなる。DAMの中身は、3回連続のA1Hと、FBHとからなる。DDAMの中身は、3回連続のA1Hと、F8Hとからなる。
【0029】
各セクタ51−1〜51−9のGapフィールド56に書き込まれる値は、Gap3であり、このGap3の中身は84回連続の4EHからなる。
ポストアンブル52に書き込まれる値は、Gap4bであり、このGap4bの中身は182回連続の4EHからなる。
【0030】
図7に示すようにCF3に作成されるイメージファイルは、720Kバイトのデータフィールド60と、DAM(DDAM)・CRCフィールド61とからなる。データフィールド60に書き込まれるのは、各セクタのデータフィールド55のDATAの部分である。FDの全トラック分のDATAがデータフィールド60に書き込まれる。
DAM(DDAM)・CRCフィールド61に書き込まれるのは、各セクタのデータフィールド55のDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトの部分と、CRCの部分である。図7のCRC HighはCRCの上位バイトを示し、CRC LowはCRCの下位バイトを示している。FDの全トラック分のDAMまたはDDAMとCRCとがDAM(DDAM)・CRCフィールド61に書き込まれる。
【0031】
なお、CF3にイメージファイルが作成されるのは、CF3が変換装置4のスロット6に装着されたとき、あるいはCF3をFAT(File Allocation Table)フォーマットするときである。いずれかのときに、MPU20は、イメージファイルを作成するようCF用I/F制御部19に指示する。
【0032】
次に、図4を参照して、本実施の形態の変換装置4の書き込み時の動作を説明する。まず、FD用I/F基板5から転送されるFDライトデータをCF3に書き込もうとするときには、上記のとおりFDの1トラック分毎に1パルスのINDEX信号がFD用I/F基板5から出力される。MPU20は、ドライバ/レシーバ部11およびFD用I/F制御部13を介してINDEX信号を検出すると(図4ステップS100においてYES)、MFM転送データ送受信部14のライトデータ制御部26に対してFDライトデータの変換および転送を指示する。
【0033】
ライトデータ制御部26は、MPU20からの指示に従ってFDライトデータの変換および転送を制御する。具体的には、ライトデータ制御部26は、FD用I/F基板5からドライバ/レシーバ部11を介して転送されるMFM変調されたFDライトデータをMFM復調部22によって復調させ、MFM復調部22が復調したシリアル形式のFDライトデータの同期タイミングをフォーマット/SYNC検出部24に検出させる(ステップS101)。
【0034】
S/Pデータ変換部23は、フォーマット/SYNC検出部24の同期タイミング検出結果に基づいて、MFM復調部22が復調したシリアル形式のFDライトデータから、図6(B)の57で示したデータフィールドの部分、すなわちDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトとDATAとCRCとを抽出し(ステップS102)、この抽出したデータをDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトの部分と、DATAの部分と、CRCの部分に分離した上で、分離したデータをそれぞれパラレル形式のCFライトデータに変換する(ステップS103)。
【0035】
続いて、S/Pデータ変換部23は、変換したCFライトデータを送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16へ転送するが、この転送はフォーマット/SYNC制御部25の指示に基づいて行われる(ステップS104)。
送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16は、受信したCFライトデータを送信/受信バッファRAM15へ転送して記憶させるが、このときDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトの部分と、DATAの部分と、CRCの部分とを分離した形で送信/受信バッファRAM15の別の場所に記憶させる(ステップS105)。
【0036】
次に、MPU20は、変換装置4のスロット6にCF3が装着されていて、CF3に問題がないかどうかを確認する(ステップS106)。MPU20は、CF3が装着されていないか、あるいはCF3に問題がある場合(ステップS106においてNO)、CF3への書き込み処理を中止して、LED21を点灯させ、エラー表示を行う(ステップS107)。
MPU20は、CF3が装着されていて、CF3に問題がない場合(ステップS106においてYES)、CF用I/F制御部19に対してCFライトデータ(DATA)のCF3への書き込みを指示する。
【0037】
CF用I/F制御部19は、MPU20の指示に従ってCFライトデータ(DATA)のCF3への書き込みを制御する。具体的には、CF用I/F制御部19は、送信/受信バッファRAM15に記憶されているDATAを送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16に読み出させ、このDATAをCF3のイメージファイルのデータフィールド60に書き込むようドライバ/レシーバ部18に指示する。これにより、ドライバ/レシーバ部18は、CF用I/F部17を介してCF3のイメージファイルのデータフィールド60にDATAを書き込む(ステップS108)。
以上のようなステップS101〜S108の処理がFDのセクタ毎に繰り返し実行される。したがって、各セクタのデータフィールド55のDATAがCF3のイメージファイルのデータフィールド60に連続して書き込まれていくことになる。
【0038】
FDの1トラック(9セクタ)分の処理が終わり、かつ全トラック分の処理が終了していない場合には(ステップS110においてNO)、ステップS100に戻る。こうして、FDの全トラック分の処理が終了するまで、ステップS101〜S108の処理がセクタ毎およびトラック毎に繰り返し実行される。なお、2DDのFDの場合、全トラック数は160(2ヘッド×80シリンダ)である。
【0039】
次に、MPU20は、CF用I/F制御部19に対してCFライトデータ(DAMまたはDDAMとCRC)のCF3への書き込みを指示する。
CF用I/F制御部19は、MPU20の指示に従ってCFライトデータ(DAMまたはDDAMとCRC)のCF3への書き込みを制御する。具体的には、CF用I/F制御部19は、送信/受信バッファRAM15に記憶されている全トラック分のDAMまたはDDAMとCRCとを送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16に読み出させ、このDAMまたはDDAMとCRCとをCF3のイメージファイルのDAM(DDAM)・CRCフィールド61に書き込むようドライバ/レシーバ部18に指示する。これにより、ドライバ/レシーバ部18は、CF用I/F部17を介してCF3のイメージファイルのDAM(DDAM)・CRCフィールド61にFDの全トラック分のDAMまたはDDAMとCRCとを書き込む(ステップS111)。
以上で、CF3への書き込み処理が終了する。
【0040】
CFには、書き込み速度が遅くなる場合があり、特に書き換えが頻繁に発生する場合に書き込み速度が遅くなるという特性がある。また、CFには、書き換え寿命がある。
通常は、FDの1セクタ分のDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトと512バイトのDATAと2バイトのCRCとを続けてCFに書き込む。しかし、図8(A)に示すようにCFのセクタ80は512バイトの長さなので、このような書き込み方法によると、CFの2セクタ分が必要になる。
【0041】
そこで、本実施の形態では、図8(B)に示すように、FDの各セクタのデータフィールド55のデータを、DAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトと2バイトのCRCの部分と、512バイトのDATAの部分とに分けて、最初に各セクタのDATAの部分をCF3のセクタ80に連続して書き込んでいき、次に全トラック分のDAMまたはDDAMとCRCとをまとめてCF3に書き込むようにしている。さらに、本実施の形態では、CF3に上書きする場合には、書き込もうとするデータとCF3に既に書き込み済みのデータとの差異を抽出し、差分データのみを書き換えるようにしている。
こうして、本実施の形態では、CF内部での書き換えの発生を最小限にし、CFの書き込み速度の遅延回避とCFの長寿命とを実現している。
【0042】
次に、図5を参照して、変換装置4の読み出し時の動作を説明する。CF3からCFリードデータを読み出そうとするときには、MPU20は、変換装置4のスロット6にCF3が装着されていて、CF3に問題がないかどうかを確認する(図5ステップS200)。MPU20は、CF3が装着されていないか、あるいはCF3に問題がある場合(ステップS200においてNO)、CF3からの読み出し処理を中止して、LED21を点灯させ、エラー表示を行う(ステップS201)。
MPU20は、CF3が装着されていて、CF3に問題がない場合(ステップS200においてYES)、CF用I/F制御部19に対してCF3からのCFリードデータの読み出しを指示する。
【0043】
CF用I/F制御部19は、MPU20の指示に従ってCF3からのCFリードデータの読み出しを制御する。具体的には、CF用I/F制御部19は、CF3からイメージファイルを読み出すようドライバ/レシーバ部18に指示する。これにより、ドライバ/レシーバ部18は、CF用I/F部17を介してCF3からイメージファイルを読み出し(ステップS202)、このイメージファイルを送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16へ転送する(ステップS203)。
【0044】
送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16は、受信したイメージファイルを送信/受信バッファRAM15へ転送して記憶させる(ステップS204)。
次に、MPU20は、MFM転送データ送受信部14のリードデータ制御部30に対してCFリードデータの変換および転送を指示する。
【0045】
リードデータ制御部30は、MPU20からの指示に従ってCFリードデータの変換および転送を制御する。具体的には、リードデータ制御部30は、送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部16を介して、送信/受信バッファRAM15に記憶されているイメージファイルからFDの1セクタ分のDATAをP/Sデータ変換部27に読み出させると同時に、イメージファイルからP/Sデータ変換部27が読み出したDATAと同一のセクタに対応するDAMまたはDDAMとCRCとをアドレスマークデータ変換部28に読み出させる(ステップS205)。
【0046】
P/Sデータ変換部27は、読み出したDATAをシリアル形式のFDリードデータに変換し、アドレスマークデータ変換部28は、読み出したDAMまたはDDAMとCRCとをシリアル形式のFDリードデータに変換する(ステップS206)。
続いて、MFM変調部29は、P/Sデータ変換部27とアドレスマークデータ変換部28とが変換したデータを用いて、図6(B)に示す1セクタ分のFDリードデータを再生した上で、このFDリードデータをMFM変調する(ステップS207)。このとき、シリンダ番号C、ヘッド番号H、セクタ番号Rおよびセクタ長Nには、当該セクタに対応する値が書き込まれる。セクタ内のその他の値は図6(B)で説明したとおりである。
【0047】
次に、MPU20は、FD用I/F制御部13に対してFDリードデータのFD用I/F基板5への転送を指示する。
FD用I/F制御部13は、MPU20の指示に従ってFDリードデータのFD用I/F基板5への転送を制御する。具体的には、FD用I/F制御部13は、MFM転送データ送受信部14のMFM変調部29から送出されたMFM変調されたFDリードデータをFD用I/F基板5へ転送するようドライバ/レシーバ部11に指示する。これにより、ドライバ/レシーバ部11は、FD用I/F部40を介してFDリードデータをFD用I/F基板5へ転送する(ステップS208)。
【0048】
以上のようなステップS205〜S208の処理がFDのセクタ毎およびトラック毎に繰り返し実行される。
FDの全トラック分の処理が終了した時点で(ステップS209においてYES)、CF3からの読み出し処理が終了する。なお、MFM変調部29は、各トラックの先頭に図6(A)、図6(B)に示したプリアンブルを付加し、各トラックの末尾にポストアンブルを付加した上で、MFM変調を行う。
【0049】
以上で、CF3からの読み出し処理が終了し、CF3から読み出して変換したFDリードデータを監視装置1のFD用I/F基板5へ転送することができる。監視装置1は、FDリードデータを基に表示を行ったり、FDリードデータを書き換えたりすることができる。
【0050】
本実施の形態によれば、従来のFD用I/Fを変更することなく、FD装置を他の同等機能のCFに容易に置き換えることができる。これにより、補助記憶装置の耐用年数を延長することができ、監視装置1の長期間のメンテナンスの要求に対応することができる。また、CFのフォーマットに変換したライトデータをイメージファイルの形でCFに書き込むことにより、フォーマットという概念がなくなるので、FDのフォーマットに関係なく記録することができる。監視装置1側からは従来のFD装置と同様に扱うことができる。また、CFの中に、複数のFDのデータを保管できるので、CFの容量を有効に使用できる。また、本実施の形態では、従来のFD用I/Fで接続するため、旧型のシステムのように最新の補助記憶装置とのI/Fを持たない機器にも適用することができる。また、本実施の形態では、変換装置にCFが装着されていて、CFに問題がないかどうかを確認する確認手段を備えている。FD装置では書き込み完了後にエラー有無で判断していたが、本実施の形態では、書き込み前に異常の有無を判断することができ、効率よくデータ保存、転送を行なうことが可能となる。また、本実施の形態では、変換装置でCFのフォーマット機能を持っており、FDのように本体やPCで事前にフォーマットしておく必要がない。
なお、本実施の形態では、記憶媒体としてCFを用いたが、CFでなくてもよいことは言うまでもない
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、FD装置を他の同等機能の補助記憶装置に置き換える技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…監視装置、2…FD装置、3…CF、4…変換装置、5…FD用I/F基板、6…スロット、7〜10…コネクタ、11,18…ドライバ/レシーバ部、12…電源部、13…FD用I/F制御部、14…MFM転送データ送受信部、15…送信/受信バッファRAM、16…送信/受信バッファRAMリード/ライト制御部、17…CF用I/F部、19…CF用I/F制御部、20…MPU、21…LED、22…MFM復調部、23…S/Pデータ変換部、24…フォーマット/SYNC検出部、25…フォーマット/SYNC制御部、26…ライトデータ制御部、27…P/Sデータ変換部、28…アドレスマークデータ変換部、29…MFM変調部、30…リードデータ制御部、40…FD用I/F部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロッピーディスクのフォーマットのライトデータを他の記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換して記憶媒体に書き込む変換装置であって、
フロッピーディスク用のインタフェースから転送されるライトデータを受信する受信手段と、
この受信手段が受信したライトデータを復調する復調手段と、
この復調手段が復調したデータのうち各セクタのデータフィールドに含まれるデータを第1のデータ群と第2のデータ群に分けた上で、前記第1のデータ群と前記第2のデータ群とを前記記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換する第1の変換手段と、
この第1の変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第1のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域に書き込んだ後に、前記第1の変換手段が変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第2のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域の後の第2の領域に書き込む書込手段とを備えることを特徴とする変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変換装置において、
前記書込手段は、前記第1の変換手段が変換したライトデータをイメージファイルの形で前記記憶媒体に書き込むことを特徴とする変換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の変換装置において、
さらに、前記記憶媒体に記憶されているリードデータを読み出す読出手段と、
この読出手段が読み出したリードデータをフロッピーディスクのフォーマットのライトデータに変換する第2の変換手段と、
この第2の変換手段が変換したライトデータを変調する変調手段と、
この変調手段が変調したライトデータを前記フロッピーディスク用のインタフェースへ転送する転送手段とを備えることを特徴とする変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変換装置において、
さらに、変換装置に前記記憶媒体が装着されていて、前記記憶媒体に問題がないかどうかを確認する確認手段を備え、
前記確認手段は、前記記憶媒体が装着されていないか、あるいは前記記憶媒体に問題がある場合、前記記憶媒体への書き込み処理を中止することを特徴とする変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変換装置において、
前記第1のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDATAであり、
前記第2のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトとCRCであることを特徴とする変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の変換装置において、
前記フロッピーディスク用のインタフェースを搭載した機器のフロッピーディスク装置のスロットに装着可能であることを特徴とする変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の変換装置において、
前記記憶媒体は、コンパクトフラッシュカードであることを特徴とする変換装置。
【請求項8】
フロッピーディスクのフォーマットのライトデータを他の記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換して記憶媒体に書き込む変換方法であって、
フロッピーディスク用のインタフェースから転送されるライトデータを受信する受信ステップと、
この受信ステップで受信したライトデータを復調する復調ステップと、
この復調ステップで復調したデータのうち各セクタのデータフィールドに含まれるデータを第1のデータ群と第2のデータ群に分けた上で、前記第1のデータ群と前記第2のデータ群とを前記記憶媒体のフォーマットのライトデータに変換する第1の変換ステップと、
この第1の変換ステップで変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第1のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域に書き込んだ後に、前記第1の変換ステップで変換した、フロッピーディスクの全トラック分の第2のデータ群を前記記憶媒体の第1の領域の後の第2の領域に書き込む書込ステップとを備えることを特徴とする変換方法。
【請求項9】
請求項8に記載の変換方法において、
前記書込ステップは、前記第1の変換ステップで変換したライトデータをイメージファイルの形で前記記憶媒体に書き込むことを特徴とする変換方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の変換方法において、
さらに、前記記憶媒体に記憶されているリードデータを読み出す読出ステップと、
この読出ステップで読み出したリードデータをフロッピーディスクのフォーマットのライトデータに変換する第2の変換ステップと、
この第2の変換ステップで変換したライトデータを変調する変調ステップと、
この変調ステップで変調したライトデータを前記フロッピーディスク用のインタフェースへ転送する転送ステップとを備えることを特徴とする変換方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の変換方法において、
さらに、前記記憶媒体が装着されていて、前記記憶媒体に問題がないかどうかを確認する確認ステップを備え、
前記確認ステップは、前記記憶媒体が装着されていないか、あるいは前記記憶媒体に問題がある場合、前記記憶媒体への書き込み処理を中止することを特徴とする変換方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載の変換方法において、
前記第1のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDATAであり、
前記第2のデータ群は、ライトデータの各セクタのデータフィールドに含まれるDAMの末尾1バイトまたはDDAMの末尾1バイトとCRCであることを特徴とする変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−89027(P2013−89027A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228970(P2011−228970)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】