説明

変速歯車装置

【課題】構成を単純化することにより、簡易に高い変速比を得られるとともに、伝達効率を向上し小型化することが可能な変速歯車装置を提供することを目的とする。
【解決手段】変速歯車装置1は、内歯歯車11が形成されたハウジング10と、入出力軸線Lo方向に連設され、同一の内歯歯車11と噛合し入力軸から出力軸への回転を変速する複数の変速ユニット31,32と、を備える。変速ユニット31,32は、入出力軸線Lo方向に突出するピン41および挿入孔62のうち一方を有する回転部材40と、入出力軸線Loに対して偏心した偏心軸線Laを中心とする偏心部材51と、偏心部材51が入出力軸線Loを中心に回転することにより揺動回転する揺動部材60と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速歯車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変速歯車装置は、モータなどにより入力される回転を変速する減速装置または増速装置として用いられている。このような変速歯車装置において、高い変速比を得るために、例えば、特許文献1,2に示すように、遊星歯車機構を利用した減速装置が知られている。特許文献1の減速装置は、入力軸の回転により1組の遊星歯車を同位相となるように揺動回転させ、各遊星歯車の外歯歯車とそれぞれ噛合する内歯歯車との回転数差を減速比として出力している。特許文献2の減速装置は、入力軸の回転により遊星歯車を揺動回転させ、遊星歯車の自転成分のみを伝達して出力している。このような構成により、特許文献1,2の減速装置は、一段で高い変速比を得ることができる。
【0003】
しかし、変速歯車装置は、変速比を高く設定するほど駆動力の伝達効率が低下することから、より高い変速比を得るために装置が大型化することがあった。また、特に高い伝達効率を要する増速装置の場合に、セルフロックが生じるおそれがあるため、一段で得られる増速比には限りがある。そこで、例えば、特許文献3の段落[0031]、図5などに示すように、同一の構成からなる減速装置を直列に配置する構成が知られている。特許文献3の減速装置は、複数段に亘り減速することにより、全体の変速比の増加を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−127150号公報
【特許文献2】特開2002−266955号公報
【特許文献3】特開2010−019286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献3に記載の構成では、それぞれの減速装置を連結する部材などを要し、装置全体として構成が複雑となり大型化する傾向にある。また、このような変速歯車装置は、変速比の増加、伝達効率の向上、および小型化などの要請がある。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、構成を単純化し高い変速比を得られるとともに、伝達効率を向上し小型化することが可能な変速歯車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、
共通の入出力軸線を中心として入力軸および出力軸を回転可能に支持し、内周面に内歯歯車が形成されたハウジングと、
前記入出力軸線方向に連設され、同一の前記内歯歯車とそれぞれ噛合し前記入力軸から前記出力軸への回転を変速する複数の変速ユニットと、
を備える変速歯車装置であって、
前記変速ユニットは、
前記ハウジングにより前記入出力軸線を中心として回転可能に支持され、前記入出力軸線方向に突出するピンおよび前記ピンが挿入される挿入孔のうち一方を有する回転部材と、
前記入出力軸線に対して偏心した偏心軸線を中心とする偏心部材と、
環状からなり、前記偏心部材の外周側に回転可能に支持され、外周面に形成され前記内歯歯車と噛合可能な外歯歯車と、前記ピンおよび前記挿入孔のうち他方と、を有し、前記偏心部材が前記入出力軸線を中心に回転することにより揺動回転する揺動部材と、
を有し、
複数の前記変速ユニットのうち隣り合う一側、他側変速ユニットにおいて、
前記一側変速ユニットの前記偏心部材は、前記入力軸および前記出力軸のうち一方に連結され、
前記一側変速ユニットの前記回転部材は、前記他側変速ユニットの前記偏心部材に連結され、
前記他側変速ユニットの前記回転部材は、前記入力軸および前記出力軸のうち他方に連結されることである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、
複数の前記変速ユニットのうち少なくとも一の前記変速ユニットは、
前記ピンを有する回転部材と、
前記入出力軸線方向に連設される複数の前記偏心部材と、
前記挿入孔を有し、複数の前記偏心部材にそれぞれ支持される複数の前記揺動部材と、
を有することである。
【0009】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、
前記変速ユニットにおける複数の前記偏心部材は、複数の当該偏心部材によりそれぞれ支持される各前記揺動部材が前記入出力軸線を中心とした回転の周方向に等間隔で配置されるように、前記入力軸および前記出力軸のうち一方に連結されることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、少なくとも三以上の前記変速ユニットを備えることである。
【0010】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜4の何れか一項において、
複数の前記変速ユニットのうち少なくとも一の前記変速ユニットにおいて、当該変速ユニットの前記回転部材が前記ピンを有するとともに、当該変速ユニットの前記揺動部材が前記挿入孔を有し、
当該変速ユニットの前記偏心部材に対して前記ピンの突出方向に配置されるとともに、前記ハウジングにより前記入出力軸線を中心として回転可能に支持され、前記揺動部材の前記挿入孔を貫通した前記ピンを支持するピン支持部材をさらに備えることである。
【0011】
請求項6に係る発明の特徴は、請求項5において、前記ピン支持部材は、前記変速歯車装置の駆動状態において高回転側となる前記変速ユニットの前記回転部材の前記ピンを支持することである。
【0012】
請求項7に係る発明の特徴は、請求項1〜6の何れか一項において、複数の前記変速ユニットは、同一形状の前記回転部材、前記偏心部材、および前記揺動部材をそれぞれ有することにより、互いに同一の構成からなることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によると、複数の変速ユニットは、各揺動部材の外歯歯車が同一の内歯歯車とそれぞれ噛合するように、入出力軸線方向に連設される。そして、隣り合う一側、他側変速ユニットにおいて、一側変速ユニットの回転部材は、他側変速ユニットの偏心部材と連結される構成としている。
【0014】
ここで、「変速ユニット」とは、回転部材、偏心部材および揺動部材から構成されるユニットである。そして、例えば、偏心部材が入力軸側の場合に、偏心部材の回転による揺動部材の揺動回転から自転成分のみを出力軸側の回転部材に伝達するものである。一方で、回転部材が入力軸側の場合に、回転部材の回転を揺動部材の自転成分として伝達し、揺動部材の揺動回転により出力軸側の偏心部材を回転させるものである。これにより、変速ユニットは、ハウジングの内歯歯車と揺動部材の外歯歯車の歯数差に基づく変速比で入力軸側の部材と出力軸側の部材との間で変速している。
【0015】
本発明の変速歯車装置は、上述した変速ユニットを入出力軸線方向に連設している。そして、上記構成とすることにより、直列に連結された複数の変速ユニットによって高い変速比を得ることができる。さらに、各揺動部材の外歯歯車が噛合する内歯歯車は、ハウジングに形成された内歯歯車を共有している。これにより、高い変速比を得るために変速ユニットを連設した場合においても、従来において同構成の変速歯車装置を直列に連結した場合と比較して、変速歯車装置として部品点数を低減し単純化することができる。よって、変速歯車装置が駆動力を伝達している駆動状態において、伝達による機械的損失を低減し伝達効率を向上できる。
【0016】
また、複数の変速ユニットを入出力軸線方向に連設することで、簡易に高い変速比を得ることができる。そして、この場合に、各変速ユニット間を直接的に連結するため、変速歯車装置全体として小型化できる。ここで、一般に高い変速比を得ようとすると伝達効率が低減することが知られている。そこで、複数の変速ユニットにより所定の変速比を得るように設定することにより、各変速ユニットにおいて高い伝達効率を維持できるため、従来と比較して同じ変速比であっても伝達効率を向上できる。
【0017】
請求項2に係る発明によると、複数の変速ユニットのうち少なくとも一の変速ユニットは、入出力軸線方向に連設される複数の偏心部材と、複数の偏心部材にそれぞれ支持される複数の揺動部材と、を有する構成としている。また、このような変速ユニットでは、回転部材がピンを有し、揺動部材が当該ピンを挿入される挿入孔を有する構成としている。これにより、変速ユニットにおける各揺動部材の外歯歯車の負荷を分散させることができる。従って、変速ユニットは、機械的に伝達可能な最大駆動力を向上させることができる。
【0018】
請求項3に係る発明によると、変速ユニットにおける複数の偏心部材は、複数の当該偏心部材によりそれぞれ支持される各揺動部材が入出力軸線を中心とした回転の周方向に等間隔で配置されるように、入力軸および出力軸のうち一方に連結される構成としている。つまり、変速ユニットが2つの揺動部材を有する場合には180(deg)間隔、3つの揺動部材を有する場合には120(deg)間隔で各揺動部材が配置されるように、同数の偏心部材が入出力軸線方向に連結されることになる。これにより、各偏心部材の回転により生じたアンバランス回転を互いに打ち消すことができる。よって、変速ユニットおよび変速歯車装置全体として振動を抑制することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によると、変速歯車装置は、少なくとも三以上の変速ユニットを備える構成としている。これにより、変速歯車装置は、入出力軸線方向に連設される三以上の変速ユニットが直列に連結され、より高い変速比を得ることができる。また、三以上の変速ユニットにより所定の変速比を得るように設定することにより、従来の減速装置が一段階で所定の変速比を得られるように構成する場合と比較して、各変速ユニットにおいて高い伝達効率を維持することができる。よって、同じ所定の変速比であっても従来と比較して伝達効率を向上できる。
【0020】
また、本発明の変速歯車装置は、各変速ユニットにおける揺動部材の外歯歯車がハウジングに形成された同一の内歯歯車にそれぞれ噛合する構成となっている。これにより、当該変速歯車装置は、ハウジングの内側に変速ユニットを簡易に連設することができる。つまり、各変速ユニットにおける外歯歯車と噛合する内歯歯車を共通化することにより、三以上の変速ユニットとするように変速ユニットの増設を簡易化することができる。よって、高い変速比を得るため、または伝達効率を向上させるために三以上の変速ユニットを備える構成としても部品点数の増加を抑制することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によると、変速歯車装置は、揺動部材の挿入孔を貫通したピンを支持するピン支持部材をさらに備える構成としている。このピン支持部材は、変速ユニットの偏心部材に対してピンの突出方向に配置されている。よって、偏心部材は、回転部材とピン支持部材の間に介在することになる。また、ピン支持部材は、回転部材と同様に、ハウジングにより入出力軸線を中心として回転可能に支持されている。
【0022】
このような構成により、回転部材のピンは、その両端部を回転部材およびピン支持部材により両持ちで支持されることになる。回転部材のピンは、偏心部材の挿入孔に挿入され、揺動回転する偏心部材の自転成分を出力または入力する。そのため、回転部材は、変速歯車装置の駆動状態において、偏心部材の回転数が増大すると、これに伴い揺動部材の揺動回転に影響されて回転ブレが生じるおそれがある。そこで、ピン支持部材により回転部材のピンを両持ちで支持することにより、回転部材などの回転ブレを防止し、高回転の駆動力の伝達に適用することができる。
【0023】
請求項6に係る発明によると、ピン支持部材は、変速歯車装置の駆動状態において高速回転側となる変速ユニットの回転部材のピンを支持する構成としている。例えば、内歯歯車の歯数を外歯歯車の歯数よりも多くなるように設定したとする。この場合に、変速歯車装置において、変速ユニットの偏心部材側に連結されている一方の軸部材は、回転部材側に連結されている他方の軸部材よりも高回転となる。つまり、一方の軸部材を入力軸とした場合に変速歯車装置は減速装置に適用され、一方の軸部材を出力軸とした場合に変速歯車装置は増速装置に適用されていることになる。
【0024】
そして、このような変速歯車装置では、駆動状態において、複数の変速ユニットのうち上記一方の軸部材側に位置する変速ユニットが最も高回転となっている。ここで上述したように、回転部材は、偏心部材の回転数の増大に伴う揺動部材の揺動回転に影響を受けやすくなる。そこで、複数の変速ユニットのうち少なくとも最も高回転の回転部材のピンをピン支持部材により支持することにより、この回転部材などの回転ブレを防止し、より高回転の駆動力の伝達に適用することができる。
【0025】
請求項7に係る発明によると、複数の変速ユニットは、互いに同一の構成からなるものとしている。つまり、各変速ユニットは、同一形状の回転部材、偏心部材、および揺動部材をそれぞれ有し、変速ユニットとして変速比などの特性も同一となっている。このような構成により、各変速ユニットの各部材は、部品を共通化することができる。よって、装置全体の構成を簡易化することができる。従って、変速歯車装置の組み立てを容易にするとともに、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態:減速装置1の構成を示した断面図である。
【図2】減速装置1の基本構成を示す概念図である。
【図3】第一変速ユニット31の一部を透視する図2におけるA方向矢視図である。
【図4】伝達比と伝達効率の関係を示すグラフである。
【図5】変速ユニットの数(n)に対する伝達比、減速効率および増速効率を示す表である。
【図6】第二実施形態:減速装置101の構成を示した断面図である。
【図7】減速装置101の基本構成を示す概念図である。
【図8】第一、第二実施形態の第一変形態様:減速装置1の基本構成を示す概念図である。
【図9】減速装置101の基本構成を示す概念図である。
【図10】第一、第二実施形態の第二変形態様:減速装置1の構成を示した断面図である。
【図11】減速装置101の基本構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の変速歯車装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<第一実施形態>
本実施形態において、本発明の変速歯車装置を適用した減速装置1について、図1〜図5を参照して説明する。図1は、減速装置1の構成を示した断面図である。図2は、減速装置1の基本構成を示す概念図である。図3は、図2におけるA方向矢視図である。図4は、伝達比と伝達効率の関係を示すグラフである。図5は、変速ユニットの数(n)に対する伝達比、減速効率および増速効率を示す表である。
【0029】
(減速装置1の構成)
減速装置1は、主として、ハウジング10と、入力軸部材21と、出力軸部材22と、第一変速ユニット31と、第二変速ユニット32と、ピン支持部材81と、ピン留め部材82と、軸受け91〜93とから構成される。ハウジング10は、図1に示すように、共通の入出力軸線Loを中心として入力軸部材21および出力軸部材22を回転可能に支持し、複数の変速ユニットである第一、第二変速ユニット31,32を収容するケースである。また、ハウジング10は、内周面に入出力軸線Loの方向に延伸する内歯歯車11が形成されている。
【0030】
入力軸部材21は、図示しないモータのロータに連結され、モータが駆動することで回転する入力軸である。この入力軸部材21は、後述するピン支持部材81を介してハウジング10に回転可能に支持される。これにより、入力軸部材21は、入出力軸線Loの回りに回転可能となっている。また、入力軸部材21は、減速装置1の一方側(図1,2の左側)に配置され、他方側の端部が後述する第一変速ユニット31のクランク軸50に連結されている。
【0031】
出力軸部材22は、第一、第二変速ユニット31,32により減速された回転を出力する出力軸である。この出力軸部材22は、減速装置1の他方側(図1,2の右側)に配置され、一方側の端部が後述する第二変速ユニット32の回転部材40に連結されている。つまり、出力軸部材22は、後述する第二変速ユニット32の回転部材40を介してハウジング10に回転可能に支持される。これにより、出力軸部材22は、入出力軸線Loの回りに回転可能となっている。
【0032】
第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、図1,2に示すように、回転部材40、クランク軸50、第一揺動部材60および第二揺動部材70からそれぞれ構成されるユニットである。第一、第二変速ユニット31,32は、このような構成により、入力側のクランク軸50に入力される回転を変速(本実施形態においては減速)させて出力側の回転部材40から出力している。
【0033】
また、減速装置1において、入力側に配置された変速ユニットを第一変速ユニット31、出力側に配置された変速ユニットを第二変速ユニット32としている。つまり、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、入出力軸線Loの方向に隣り合うように連設され、第一変速ユニット31が本発明の「一側変速ユニット」に相当し、第二変速ユニット32が本発明の「他側変速ユニット」に相当する。以下、第一変速ユニット31の構成について説明する。
【0034】
回転部材40は、図1に示すように、軸受け91を介してハウジング10により入出力軸線Loを中心として回転可能に支持される円盤状の部材である。この回転部材40は、減速装置1の一方側の盤面から入出力軸線Loの方向に突出するピン41と、転がり軸受け42を有する。本実施形態において、図3に示すように、6本のピン41が回転部材40の周方向に等間隔となるように上記盤面に固定されている。また、他方側の盤面は、第二変速ユニット32のクランク軸50と連結されている。つまり、第一変速ユニット31の回転部材40は、第二変速ユニット32を介して出力軸部材22に連結されている。
【0035】
ピン41は、回転部材40に固定される円柱状の部材である。転がり軸受け42は、ピン41に回転可能な状態で外挿された円筒状の軸受け部材である。ピン41は、後述する第一、第二揺動部材60,70の各挿入孔62,72に挿入され、ピン41に外挿された転がり軸受け42の一部分がこれら各挿入孔62,72の内周面と当接する。
【0036】
クランク軸50は、第一偏心部51と、第二偏心部52を有する。この第一偏心部51および第二偏心部52は、本発明の「偏心部材」に相当する。第一偏心部51は、クランク軸50の軸心(入出力軸線Lo)に対して偏心した偏心形状をなしている。この第一偏心部51は、回転部材40に対してピン41の突出方向(図1の左方向)に配置され、クランク軸50に一体的に形成されている。また、第一偏心部51の断面形状は、入出力軸線Loに対してクランク軸50の径方向に偏心した第一偏心軸線Laを中心とした真円状に形成されている。そして、第一偏心部51は、入出力軸線Loを中心としたクランク軸50の回転に伴い、入出力軸線Loを中心として回転する。
【0037】
第二偏心部52は、第一偏心部51と同様に、クランク軸50の軸心(入出力軸線Lo)に対して偏心した偏心形状をなしている。この第二偏心部52は、回転部材40に対してピン41の突出方向(図1の左方向)に配置され、且つ第一偏心部51に対して出力側(図1において第一偏心部51の右側)に配置されている。そして、第二偏心部52は、第一偏心部51と連結されるとともに、クランク軸50に一体的に形成されている。また、第二偏心部52の断面形状は、入出力軸線Loに対してクランク軸50の径方向に偏心した第二偏心軸線Lbを中心とした真円状に形成されている。そして、第二偏心部51は、入出力軸線Loを中心としたクランク軸50の回転に伴い、入出力軸線Loを中心として回転する。
【0038】
このように、第一変速ユニット31は、クランク軸50において入出力軸線Loの方向に連設される第一偏心部51および第二偏心部52を有している。また、第一偏心部51と第二偏心部52は、入出力軸線Loに対する偏心方向が互いに逆方向となるように連結されている。換言すると、本実施形態において、2つの偏心部材である第一偏心部51と第二偏心部52は、入出力軸線Loを中心とした回転の周方向に等間隔となるように、180(deg)間隔で連結される。
【0039】
また、第一変速ユニット31のクランク軸50は、その一方側(図1の左側)の端部が入力軸部材21と連結されている。これにより、クランク軸50は、入力軸部材21の回転に伴い入出力軸線Loを中心として回転する。また、このような構成により、一側変速ユニットである第一変速ユニット31の第一偏心部51および第二偏心部52は、クランク軸50を介して入力軸部材21に連結されている。
【0040】
第一揺動部材60は、環状からなり、図1,2に示すように、外歯歯車61と、挿入孔62を有し、第一偏心部51の外周側に回転可能に支持される遊星歯車である。外歯歯車61は、第一揺動部材60の外周面に形成されハウジング10の内歯歯車11と噛合可能な歯車である。挿入孔62は、回転部材40のピン41が挿入される孔である。この第一揺動部材60の挿入孔62の内径は、挿入されるピン41の直径と、第一揺動部材60の偏心量(入出力軸線Loと第一偏心軸線Laの離間距離)との和にほぼ等しい。ここで、本実施形態におけるピン41には転がり軸受け42が外挿されることから、上記の「ピン41の直径」とは、転がり軸受け42の直径に相当する。
【0041】
より詳細には、第一揺動部材60の挿入孔62の内周面は、減速装置1の駆動状態において、ピン41に外挿された転がり軸受け42の外周面と当接し駆動力を伝達する。このような構成により、第一揺動部材60は、入出力軸線Loを中心とする第一偏心部51の回転に伴い、第一偏心軸線Laの回りに自転しながら入出力軸線Loの回りを公転するように揺動回転することになる。そして、揺動回転する第一揺動部材60の自転成分がピン41に伝達され、第一揺動部材60の自転の回転数で回転部材40が回転する。
【0042】
第二揺動部材70は、第一揺動部材60と同様に、環状からなり、図1,2に示すように、外歯歯車71と、挿入孔72を有し、第二偏心部52の外周側に回転可能に支持される遊星歯車である。外歯歯車71は、第二揺動部材70の外周面に形成されハウジング10の内歯歯車11と噛合可能な歯車である。挿入孔72は、回転部材40のピン41が挿入される孔である。この第二揺動部材70の挿入孔72の内径は、挿入されるピン41の直径と、第二揺動部材70の偏心量(入出力軸線Loと第二偏心軸線Lbの離間距離)との和にほぼ等しい。この「ピン41の直径」は、上述したように、本実施形態においては、転がり軸受け42の直径に相当する。
【0043】
より詳細には、第二揺動部材70の挿入孔72の内周面は、減速装置1の駆動状態において、ピン41に外挿された転がり軸受け42の外周面と当接し駆動力を伝達する。このような構成により、第二揺動部材70は、入出力軸線Loを中心とする第二偏心部52の回転に伴い、第二偏心軸線Lbの回りに自転しながら入出力軸線Loの回りを公転するように揺動回転することになる。そして、揺動回転する第二揺動部材70の自転成分がピン41に伝達され、第二揺動部材70の自転の回転数で回転部材40が回転する。
【0044】
また、クランク軸50の第一偏心部51と第二偏心部52は、入出力軸線Loを中心とした回転の周方向に等間隔となるように連結されている。よって、第一、第二偏心部51,52の外周側にそれぞれ支持される第一、第二揺動部材60,70は、入出力軸線Loを中心とした回転の周方向に等間隔に位置する関係となる。ここで、減速装置1の駆動状態において、クランク軸50の回転により第一、第二偏心部51,52が回転し、この回転に伴い第一、第二揺動部材60,70が揺動回転したとする。この場合に、第一、第二揺動部材60,70の各自転軸(第一偏心軸線Laおよび第二偏心軸線Lb)は、上記の位置関係により、入出力軸線Loに対称の位置を維持しつつ入出力軸線Loの回りを回転する。
【0045】
上述したように、第一変速ユニット31は、回転部材40、クランク軸50、第一揺動部材60および第二揺動部材70から構成される。また、第二変速ユニット32は、減速装置1において、第一変速ユニット31に対して出力側に隣り合うように連設されている。この第二変速ユニット32は、第一変速ユニット31と同一形状の回転部材40、クランク軸50、第一揺動部材60および第二揺動部材70から構成される。
【0046】
第二変速ユニット32の回転部材40は、軸受け92を介してハウジング10により入出力軸線Loを中心として回転可能に支持される円盤状の部材である。この回転部材40は、減速装置1の一方側の盤面から入出力軸線Loの方向に突出するピン41を有する。また、他方側の盤面は、出力軸部材22と連結されている。
【0047】
また、第二変速ユニット32のクランク軸50は、その一方側(図1の左側)の端部が第一変速ユニット31の回転部材40と連結されている。つまり、第二変速ユニット32のクランク軸50は、第一変速ユニット31を介して入力軸部材21に連結されている。そして、上述したように、第一変速ユニット31の回転部材40は、第二変速ユニット32のクランク軸50と連結される。つまり、第二変速ユニット32のクランク軸50は、第一変速ユニット31の回転部材40の回転に伴い入出力軸線Loを中心として回転する。第二変速ユニット32における他の構成については、第一変速ユニット31の構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0048】
このように、ハウジング10の内部において、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、入出力軸線Loの方向に隣り合うように位置している。そして、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、各第一揺動部材60の外歯歯車61および各第二揺動部材70の外歯歯車71が同一の内歯歯車11とそれぞれ噛合するように連設されている。即ち、第一揺動部材60の外歯歯車61および第二揺動部材70の外歯歯車71は、ハウジング10の内周面において入出力軸線Loの方向に延伸するように形成された内歯歯車11を共有している。このように、第一、第二変速ユニット31,32は、同一の内歯歯車11とそれぞれ噛合し入力軸部材21から出力軸部材22への回転を変速するものである。
【0049】
ピン支持部材81は、軸受け93を介してハウジング10により入出力軸線Loを中心として回転可能に支持される円板状の部材である。このピン支持部材81は、第一変速ユニット31の第一、第二偏心部51,52に対して、回転部材40のピン41の突出方向に配置される。そして、ピン支持部材81は、複数のピン41と同数のピン孔が形成され、第一、第二揺動部材60,70の挿入孔62,72を貫通したピン41の端部と圧入または隙間嵌めにより連結される。これにより、ピン支持部材81は、回転部材40に固定された6本のピン41を支持するとともに、回転部材40の回転に伴い回転部材40と同じ回転数で回転する。また、ピン支持部材81は、円筒内面に配置された軸受けを介して入力軸部材21を回転可能に支持している。
【0050】
ピン留め部材82は、プレート82aと、留め輪82bを有する。このピン留め部材82は、第二変速ユニット32の第一、第二偏心部51,52に対して、回転部材40のピン41の突出方向に配置される。
【0051】
プレート82aは、ハウジング10の内歯歯車11の歯先円筒よりも小径からなる環状部材である。このプレート82aは、偏心回転する偏心部材(第一偏心部51)と接触しないように、入出力軸線Loを中心とした円筒内面が形成されている。そして、プレート82aは、複数のピン41と同数のピン孔が形成され、第一、第二揺動部材60,70の挿入孔62,72を貫通したピン41の端部と隙間嵌めにより連結される。これにより、プレート82aは、回転部材40に固定された6本のピン41を互いの間隔が保持されるように留めている。このプレート82aは、回転部材40の回転に伴い回転部材40と同じ回転数で回転する。
【0052】
留め輪82bは、ハウジング10の内歯歯車11の歯先円筒とほぼ同径からなる環状部材である。留め輪82bは、内歯歯車11に対して固定され、減速装置1の駆動状態において回転するプレート82aと滑り接触し、ピン41を留めるプレート82aを入出力軸線Lo方向の所定位置に位置決めしている。
【0053】
このような構成により、回転部材40の複数のピン41は、減速装置1の駆動状態において伝達する駆動力が加えられてもプレート82aによって互いの間隔を保持される。これにより、複数のピン41に加えられる駆動力が所定のピン41に偏ることを防止し、駆動状態を安定化させることができる。
【0054】
ここで、本実施形態の減速装置1において、ハウジング10の内歯歯車11の歯数は、何れの外歯歯車61,71の歯数よりも多くなるように設定されている。これにより、減速装置1に適用された変速歯車装置は、その駆動状態において入力軸部材21が出力軸部材22よりも高回転となる。そして、このような構成において、ピン支持部材81は、第一、第二変速ユニット31,32における複数の回転部材40のうち入力軸部材21側に位置する第一変速ユニット31の回転部材40のピン41を支持している。即ち、ピン支持部材81は、減速装置1の駆動状態において高回転側となる第一変速ユニット31の回転部材40のピン41を支持する構成としている。
【0055】
(減速装置1の動作)
続いて、本実施形態の減速装置1の動作について説明する。まず、図示しないモータを作動させると、モータのロータに連結された入力軸部材21が回転する。入力軸部材21が回転すると、入力軸部材21に連結された第一変速ユニット31のクランク軸50が入出力軸線Loを中心として回転する。これにより、クランク軸50を構成する第一偏心部51および第二偏心部52が回転することになる。
【0056】
そうすると、第一偏心部51の外周側に支持される第一揺動部材60は、第一偏心部51の回転に伴い揺動回転する。同様に、第二偏心部52の外周側に支持される第二揺動部材70は、第二偏心部52の回転に伴い揺動回転する。この時、第一揺動部材60および第二揺動部材70は、それぞれの外歯歯車61,71の円周上の一部のみがハウジング10の内歯歯車11と噛合し、内歯歯車11との歯数差に基づく回転数で入力軸部材21の回転方向とは反対方向(入力軸部材21が時計回りであれば反時計回り)に自転している。
【0057】
ここで、回転部材40のピン41は、第一、第二揺動部材60,70の各挿入孔62,72に挿入されている。そして、ピン41に外挿された転がり軸受け42の外周面は、円周上の一部のみが各挿入孔62,72の内周面と当接し駆動力を伝達する。これにより、第一、第二揺動部材60,70が揺動回転すると、自転成分がピン41に伝達される。そうすると、回転部材40は、第一、第二揺動部材60,70の自転の回転数で回転する。このようにして、第一変速ユニット31は、回転部材40がピン41および転がり軸受け42を介して第一、第二揺動部材60,70の揺動回転から自転成分を取り出し、クランク軸50に入力された回転を減速して回転部材40から出力している。
【0058】
次に、第一変速ユニット31の回転部材40が回転すると、回転部材40に連結された第二変速ユニット32のクランク軸50が入出力軸線Loを中心として回転する。これにより、第二変速ユニット32のクランク軸50を構成する第一偏心部51および第二偏心部52が回転することになる。そして、第二変速ユニット32は、第一変速ユニット31と同様に、クランク軸50に入力された回転数を減速して回転部材40から出力している。そうすると、第二変速ユニット32の回転部材40に連結された出力軸部材22が入出力軸線Loの回りに回転する。
【0059】
上述したように、本実施形態の減速装置1は、複数の変速ユニットである第一変速ユニット31および第二変速ユニット32により、入力軸部材21に入力される回転を二段階で減速し、出力軸部材22から出力するものである。また、このような減速装置1における各歯車の歯数の設定について説明する。
【0060】
ここで、ハウジング10の内歯歯車11の歯数をZ1、第一変速ユニット31の第一、第二揺動部材60,70の外歯歯車61,71の歯数をZ2とする。この時、第一変速ユニット31の減速比R1は、式(1)により算出される。同様に、第二変速ユニット32の第一、第二揺動部材60,70の外歯歯車61,71の歯数をZ3とすると、第二変速ユニット32の減速比R2は、式(2)により算出される。そして、減速装置1の減速比Rは、式(3)により算出される。
【0061】
[数1]
R1 =(Z1−Z2)/Z2 ・・・ (1)
R2 =(Z1−Z3)/Z3 ・・・ (2)
R =R1×R2 ・・・ (3)
【0062】
ここで、変速歯車装置または変速ユニットの伝達比は、図4に示すように、その値が大きくなるほど伝達効率が低下することが知られている。この伝達比は、減速比の逆数として算出され、変速歯車装置の変速比を示すものである。また、伝達効率は、一定以下まで低下すると変速歯車装置がセルフロックするおそれがあり、なるべく高い値であることが好ましい。
【0063】
ここで、例えば、減速装置1として、169の伝達比(減速比では、1/169)を要するものとする。この場合に、一段階でこの伝達比を得られる歯数を設定すると、伝達効率は約50%となる。そこで、本実施形態では、内歯歯車11の歯数Z1を126、第一、第二変速ユニット31,32の各外歯歯車61,71の歯数Z2,Z3を117に設定している。
【0064】
これにより、図5に示すように、第一、第二変速ユニット31,32(n=1)は、13の伝達比、約92%の伝達効率(減速効率)をそれぞれ得ることができる。そして、減速装置1(n=2)は、169の伝達比(減速比Rは、1/169)、約85%の伝達効率を得ることができる。図5のnは、変速ユニットの数を示している。このように、減速装置1は、複数段に亘る減速を勘案し、所定の伝達比Rを得られるように歯数を設定される。
【0065】
(減速装置1の効果)
本発明の変速歯車装置が適用された減速装置1によると、複数の変速ユニットである第一、第二変速ユニット31,32は、第一、第二揺動部材60,70の各外歯歯車61,71が同一の内歯歯車11とそれぞれ噛合するように、入出力軸線Loの方向に連設される。そして、隣り合う一側変速ユニット(第一変速ユニット31)および他側変速ユニット(第二変速ユニット32)において、入力側に位置する第一変速ユニット31の回転部材40は、出力側に位置する第二変速ユニット32のクランク軸50を介して第一偏心部51と連結される構成としている。
【0066】
これにより、直列に連結された複数の第一変速ユニット31および第二変速ユニット32によって高い変速比を得ることができる。さらに、それぞれの第一、第二揺動部材60,70の外歯歯車61,71は、当該外歯歯車61,71が噛合する内歯歯車をハウジング10に形成された内歯歯車11により共有している。これにより、高い変速比を得るために第一、第二変速ユニット31,32を連設した場合においても、従来において同構成の変速歯車装置を直列に連結した場合と比較して、減速装置1として部品点数を低減し単純化することができる。よって、減速装置1が駆動力を伝達している駆動状態において、伝達による機械的損失を低減し伝達効率を向上できる。
【0067】
また、第一、第二変速ユニット31,32を入出力軸線Lo方向に連設することで、複数の減速装置を連結する構成と比較して、簡易に高い変速比を得ることができる。そして、この場合に、第一、第二変速ユニット31,32の間を直接的に連結するため、減速装置1は、全体として小型化できる。ここで、一般に高い変速比を得ようとすると伝達効率が低減することが知られている。そこで、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32により所定の変速比を得るように設定することにより、第一、第二変速ユニット31,32において高い伝達効率を維持できるため、従来と比較して同じ変速比であっても伝達効率を向上できる。
【0068】
また、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、入出力軸線Lo方向に連設される複数の第一、第二偏心部51,52と、これらそれぞれ支持される第一、第二揺動部材60,70と、を有する構成としている。これにより、第一、第二変速ユニット31,32における第一、第二揺動部材60,70の外歯歯車61,71の負荷を分散させることができる。従って、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32は、機械的に伝達可能な最大駆動力を向上させることができる。
【0069】
さらに、第一変速ユニット31における複数の第一偏心部51および第二偏心部52は、これらにそれぞれ支持される第一、第二揺動部材60,70が入出力軸線Loを中心とした回転の周方向に等間隔で配置されるように、クランク軸50を介して入力軸部材21に連結される構成としている。つまり、第一偏心部51と第二偏心部52は、第一、第二揺動部材60,70が180(deg)間隔で配置されるように、入出力軸線Loの方向に連結されることになる。これにより、第一偏心部51と第二偏心部52の回転により生じたアンバランス回転を互いに打ち消すことができる。
【0070】
また、第二変速ユニット32の第一偏心部51および第二偏心部52においても同様に配置されるように、クランク軸50および第一変速ユニット31を介して入力軸部材21に連結される構成となっていることから同様の効果を奏する。従って上記の構成により、第一、第二変速ユニット31,32および減速装置1全体として振動を抑制することができる。
【0071】
減速装置1は、第一変速ユニット31の第一、第二揺動部材60,70の各挿入孔62,72を貫通したピン41を支持するピン支持部材81をさらに備える構成としている。このピン支持部材81は、第一変速ユニット31の第一偏心部51に対して回転部材40のピン41の突出方向に配置されている。よって、第一偏心部51は、回転部材40とピン支持部材81の間に介在することになる。また、ピン支持部材81は、回転部材40と同様に、ハウジング10により入出力軸線Loを中心として回転可能に支持されている。
【0072】
このような構成により、回転部材40のピン41は、その両端部を回転部材40およびピン支持部材81により両持ちで支持されることになる。回転部材40のピン41は、第一、第二揺動部材60,70の各挿入孔62,72に挿入され、揺動回転する第一、第二偏心部51,52の自転成分を出力または入力する。そのため、回転部材40は、減速装置1の駆動状態において、クランク軸50の回転数が増大すると、これに伴い第一、第二揺動部材60,70の揺動回転に影響されて回転ブレを生じるおそれがある。そこで、ピン支持部材81により回転部材40のピン41を両持ちで支持することにより、回転部材40などの回転ブレを防止し、高回転の駆動力の伝達に適用することができる。
【0073】
また、ピン支持部材81は、回転部材40によりピン41を両持ち支持するとともに、複数のピン41を互いの間隔が保持されるように支持している。これにより、複数のピン41は、減速装置1の駆動状態において伝達する駆動力が加えられても互いの間隔を保持され、複数のピン41に加えられる駆動力が所定のピン41に偏ることを防止することができる。よって、減速装置1の駆動状態を安定化させることができる。
【0074】
さらに、ピン支持部材81は、本実施形態において、複数の第一、第二変速ユニット31,32のうち入力側に位置する第一変速ユニット31の回転部材40のピン41を支持する構成としている。ここで、減速装置1は、内歯歯車11の歯数Z1が第一変速ユニット31の外歯歯車61,71の歯数Z2よりも多くなるように設定され、その駆動状態において入力軸部材21が出力軸部材22よりも高回転となる。
【0075】
このような減速装置1では、駆動状態において、第一変速ユニット31と第二変速ユニット32のうち入力軸部材21側に位置する第一変速ユニット31の方が高回転となっている。ここで上述したように、回転部材40は、第一、第二偏心部51,52の回転数の増大に伴う第一、第二揺動部材60,70の揺動回転に影響を受けやすくなる。そこで、複数の第一、第二変速ユニット31,32のうち少なくとも高回転側の回転部材40のピン41をピン支持部材81により支持することにより、この回転部材40などの回転ブレを防止し、より高回転の駆動力の伝達に適用することができる。
【0076】
<第二実施形態>
第二実施形態の構成について、図6,7を参照して説明する。図6は、減速装置101の構成を示した断面図である。図7は、減速装置101の基本構成を示す概念図である。ここで、第二実施形態の構成は、主に、第一実施形態の第一、第二変速ユニット31,32の構成が相違する。なお、その他の構成については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
【0077】
(減速装置101の構成)
減速装置101は、主として、ハウジング10と、入力軸部材21と、出力軸部材22と、第一変速ユニット131と、第二変速ユニット132と、ピン支持部材81と、ピン留め部材82と、軸受け91〜93とから構成される。第一変速ユニット131および第二変速ユニット132は、図6,7に示すように、回転部材40、クランク軸150、および第一揺動部材60からそれぞれ構成されるユニットである。本実施形態における第一、第二変速ユニット131,132は、第一実施形態の第一、第二変速ユニット31,32が複数の揺動部材60,70を有する構成としたのに対して、揺動部材を単数としている点が相違する。
【0078】
第一、第二変速ユニット131,132のクランク軸150は、クランク軸150に一体的に形成された第一偏心部51を有する。つまり、第一実施形態におけるクランク軸50から第二偏心部52を除去した形状となっている。第一変速ユニット131のクランク軸150は、その一方側(図6の左側)の端部が入力軸部材21と連結されている。これにより、クランク軸150は、入力軸部材21の回転に伴い入出力軸線Loを中心として回転する。
【0079】
第二変速ユニット132のクランク軸150は、その一方側の端部が第一変速ユニット131の回転部材40と連結されている。つまり、隣り合う第一、第二変速ユニット131,132において、入力軸部材21側に位置する第一変速ユニット131の回転部材40は、出力軸部材22側に位置する第二変速ユニット132の第一偏心部51とクランク軸150を介して連結される。これにより、第二変速ユニット132のクランク軸150は、第一変速ユニット131の回転部材40の回転に伴い入出力軸線Loを中心として回転する。
【0080】
また、第一実施形態におけるクランク軸50は、第一偏心部51と第二偏心部52をそれぞれの偏心方向が逆方向となるように連結することにより、アンバランス回転を互いに打ち消すものとした。これに対して、本実施形態のクランク軸150は、第一偏心部51のみを有するものとしている。そこで、第一偏心部51は、例えば、偏心方向の一部を肉抜きする構成、または偏心方向と逆方向の部位にカウンターバランサを設ける構成としてもよい。
【0081】
第一、第二変速ユニット131,132の各第一偏心部51は、その外周側において第一揺動部材60を回転可能に支持している。この第一揺動部材60は、減速装置101の駆動状態において、挿入孔62の内周面がピン41に外挿された転がり軸受け42の外周面と当接し駆動力を伝達する。このような構成により、第一揺動部材60は、入出力軸線Loを中心とする第一偏心部51の回転に伴い、自転しながら入出力軸線Loの回りを公転するように揺動回転することになる。そして、揺動回転する第一揺動部材60の自転成分がピン41に伝達され、第一揺動部材60の自転の回転数で回転部材40が回転する。
【0082】
(減速装置101の効果)
このような構成の減速装置101によれば、第一実施形態の減速装置1と同様の効果を奏する。また、第一、第二変速ユニット131,132は、複数の場合に入出力軸線Loの方向に連接される揺動部材を単数とすることにより、入出力軸線Loの方向の長さを短縮することができる。これにより、減速装置101は、複数の第一、第二変速ユニット131,132により簡易に高い変速比を得られるとともに、装置全体として小型化することができる。
【0083】
また、変速ユニットの揺動部材を単数または複数とする構成は、変速歯車装置の駆動状態において、その変速ユニットが伝達する駆動力、変速比、または回転数などにより選択的に設定される。例えば、伝達する駆動力が大きい場合には、各外歯歯車の負荷を軽減するという観点から複数の揺動部材を有する構成が好ましい。そして、変速歯車装置が備える複数の変速ユニットのうち、駆動状態における低回転側(高トルク側)の変速ユニットのみが複数の揺動部材を有する構成としてもよい。その他、偏心部材および揺動部材の回転によるアンバランスを打ち消すという観点から、複数の変速ユニットのうち、駆動状態における高回転側(低トルク側)の変速ユニットのみが複数揺動部材を有する構成としてもよい。
【0084】
<第一、第二実施形態の第一変形態様>
第一、第二実施形態の第一変形態様について、図8,9を参照して説明する。図8は、減速装置1の基本構成を示す概念図である。図9は、減速装置101の基本構成を示す概念図である。第一、第二実施形態において、減速装置1,101は、2つの変速ユニットである第一変速ユニット31,131および第二変速ユニット32,132を備えるものとした。これに対して、減速装置1,101は、図8,9に示すように、4つの変速ユニットを備える構成としてもよい。
【0085】
つまり、本発明の変速歯車装置が適用された減速装置1(101)は、第一変速ユニット31(131)〜第四変速ユニット34(134)を備える構成としている。これにより、減速装置1(101)は、入出力軸線Lo方向に連設される4つの第一変速ユニット31(131)〜第四変速ユニット34(134)が直列に連結される。そして、これらの第一変速ユニット31(131)〜第四変速ユニット34(134)のうち隣り合う2つの変速ユニットは、本発明の「一側変速ユニット」および「他側変速ユニット」に相当する。
【0086】
また、上記の一側変速ユニットおよび他側変速ユニットは、第一変速ユニット31および第二変速ユニット32と同様に連結される。例えば、一側変速ユニットを第二変速ユニット32(132)とし、他側変速ユニットを第三変速ユニット33とする。この場合に、第二変速ユニット32の第一、第二偏心部51,52は、第二変速ユニット32のクランク軸50および第一変速ユニット31を介して、入力軸部材21に連結される。また、第二変速ユニット32の回転部材40は、第三変速ユニット33のクランク軸50を介して、第三変速ユニット33の第一、第二偏心部51,52に連結される。そして、第三変速ユニット33の回転部材40は、第四変速ユニット34を介して、出力軸部材22に連結される。
【0087】
このように変速ユニットを増設することによって、より高い変速比を得ることができる。また、このように少なくとも三以上の変速ユニットにより所定の変速比を得るように設定することにより、従来の減速装置が一段階で所定の変速比を構成する場合と比較して、各変速ユニット31〜34(131〜134)において高い伝達効率を維持することができる。よって、同じ所定の変速比であっても従来と比較して伝達効率を向上できる。
【0088】
より具体的には、例えば、各変速ユニットの伝達比を13(減速比では、1/13)と設定した場合に、図5に示すように、減速装置1,101(n=4)は、28561の伝達比(減速比Rは、1/28561)、約72%の伝達効率を得ることができる。このように、本発明の変速歯車装置では、高い伝達効率を維持しながら非常に高い変速比を得ることができる。
【0089】
また、減速装置1(101)は、各変速ユニット31〜34(131〜134)における第一、第二揺動部材60,70の外歯歯車61,71がハウジング10に形成された同一の内歯歯車11にそれぞれ噛合する構成となっている。このように、本発明の変速歯車装置が適用された減速装置1(101)は、ハウジング10の内側に複数の変速ユニットを簡易に連設することができる。つまり、各変速ユニット31〜34における外歯歯車61,71による内歯歯車11の共有により、三以上の変速ユニットを有するように簡易に増設することができる。よって、高い変速比を得るため、または伝達効率を向上させるために三以上の変速ユニットを備える構成としても部品点数の増加を抑制することができる。
【0090】
さらに、複数の変速ユニットである第一変速ユニット31(131)〜第四変速ユニット34(134)は、同一形状の回転部材40、第一、第二偏心部51,52、および第一、第二揺動部材60,70をそれぞれ有することにより、互いに同一の構成からなるようにしてもよい。これにより、各変速ユニット31〜34(131〜134)の各部材は、部品を共通化することができる。よって、装置全体の構成を簡易化することができる。従って、変速歯車装置の組み立てを容易にするとともに、製造コストを低減することができる。
【0091】
これに対して、変速歯車装置が非常に高い駆動力を発生させる場合には、変速歯車装置の駆動状態において各変速ユニット31〜34(131〜134)のうち高トルク側(低回転側)の変速ユニットの外歯歯車61,71の歯幅を厚くするように、当該変速ユニットの第一、第二偏心部51,52および第一、第二揺動部材60,70の入出力軸線Loの方向の厚さを増加させる構成としてもよい。このように、各変速ユニットの各部材は、伝達する駆動力や回転数に応じて材質や寸法などを適宜設定される。但し、何れの構成においても各変速ユニットは、同一の内歯歯車11とそれぞれ噛合し入力軸部材21から出力軸部材22への回転を変速するものである。
【0092】
<第一、第二実施形態の第二変形態様>
第一、第二実施形態の第二変形態様について、図10,11を参照して説明する。図10は、減速装置1の構成を示した断面図である。図11は、減速装置101の基本構成を示した断面図である。第一、第二実施形態において、減速装置1,101は、ピン支持部材81およびピン留め部材82を有するものとした。これに対して、減速装置1,101は、図10,11に示すように、複数のピン留め部材82を有する構成としてもよい。
【0093】
つまり、本発明の変速歯車装置が適用された減速装置1(101)の第一変速ユニット31(131)および第二変速ユニット32(132)は、それぞれの回転部材40のピン41の端部が共にピン留め部材82により留められている。ピン留め部材82は、上述したように、プレート82aと、留め輪82bとから構成される。ピン留め部材82は、プレート82aの複数のピン孔に各ピン41が隙間嵌めされ、各ピン41の互いの間隔を保持している。これにより、複数のピン41に加えられる駆動力が所定のピン41に偏ることを防止し、減速装置1(101)の駆動状態の安定化を図ることができる。
【0094】
また、ピン41を両持ち支持するためのピン支持部材81がハウジング10により回転可能に支持されていたのに対して、ピン留め部材82はプレート82aを留め輪82bにより位置決めしている。これにより、図10,11に示すように、複数のピン留め部材82を適用した減速装置1,101は、ピン支持部材81を適用した場合と比較して、入出力軸線Lo方向の幅を短縮することができる。
【0095】
但し、減速装置1,101の駆動状態において、より確実に回転ブレを防止し、動作の安定化を図るためにはピン支持部材81を適用する構成が好適である。このように、減速装置1,101は、その形態や用途などにより、ピン支持部材81およびピン留め部材82を適宜適用するように構成される。また、例えば、駆動状態の回転数が低く回転ブレが微小である場合や伝達する駆動力が比較的小さい場合は、ピン支持部材81およびピン留め部材82を含めない構成としてもよい。
【0096】
<その他>
以上、本発明の変速歯車装置について、減速装置1,101として説明した。その他に、入力軸部材21および出力軸部材22の入出力の関係を逆方向とすることにより、本発明の変速歯車装置を適用した増速装置とすることもできる。特に増速装置においては、図4に示すように、伝達比の値が大きくなるほど伝達効率が低下することが知られている。増速装置における伝達比は、増速比と等しく、変速歯車装置の変速比を示すものである。そして、増速装置における伝達効率は、減速装置と比較してさらに伝達比が大きくなるほど低下することから、高い変速比を得る場合に、高い伝達効率を維持することが必要とされる。
【0097】
そこで、本発明の変速歯車装置を増速装置に適用することにより、従来と比較して所定の増速比に対して高い増速効率を得ることができる。具体的には、例えば、各変速ユニットの伝達比を13となるように内歯歯車11および外歯歯車61,71の歯数を設定したとする。この時、増速装置が2つの変速ユニット(n=2)を備える場合に、図5に示すように、169の伝達比(増速比は、169)、約83%の伝達効率を得ることができる。変速ユニットの数を3,4とした場合においても同様に、図5に示すように、伝達比に対して高い増速効率を得ることができる。
【0098】
また、第一、第二実施形態において、回転部材40がピン41を有するとともに、第一、第二揺動部材60,70がピン41を挿入される挿入孔62,72を有するものとした。これに対して、第二実施形態の減速装置101のように、第一、第二変速ユニット131,132の有する揺動部材が単数の場合には、ピンと挿入孔を配置する部材を入れ替えてもよい。つまり、第一揺動部材60がピンを有するとともに、回転部材40が当該ピンを挿入される挿入孔を有するものとする。
【0099】
このような構成においても、揺動回転する第一揺動部材60の自転成分のみを回転部材40との間で入力または出力することができる。但し、上記構成の場合には、第一揺動部材60と共に揺動回転するピンの揺動幅を許容するように挿入孔が形成されるため、挿入孔が形成される回転部材40が大径化する傾向にある。よって、変速歯車装置として小型化を図る場合や伝達可能な最大駆動力を向上させるために複数の揺動部材を有する構成とする場合には、第一、第二実施形態において例示した構成が好適である。
【符号の説明】
【0100】
1,101:減速装置(変速歯車装置)
10:ハウジング、 11:内歯歯車
21:入力軸部材、 22:出力軸部材
31,131:第一変速ユニット、 32,132:第二変速ユニット
33,133:第三変速ユニット、 34,134:第四変速ユニット
40:回転部材、 41:ピン、 42:転がり軸受け
50,150:クランク軸
51:第一偏心部(偏心部材)、 52:第二偏心部(偏心部材)
60:第一揺動部材、 61:外歯歯車、 62:挿入孔
70:第二揺動部材、 71:外歯歯車、 72:挿入孔
81:ピン支持部材
82:ピン留め部材、 82a:プレート、 82b:留め輪
91〜93:軸受け
Lo:入出力軸線、 La:第一偏心軸線、 Lb:第二偏心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の入出力軸線を中心として入力軸および出力軸を回転可能に支持し、内周面に内歯歯車が形成されたハウジングと、
前記入出力軸線方向に連設され、同一の前記内歯歯車とそれぞれ噛合し前記入力軸から前記出力軸への回転を変速する複数の変速ユニットと、
を備える変速歯車装置であって、
前記変速ユニットは、
前記ハウジングにより前記入出力軸線を中心として回転可能に支持され、前記入出力軸線方向に突出するピンおよび前記ピンが挿入される挿入孔のうち一方を有する回転部材と、
前記入出力軸線に対して偏心した偏心軸線を中心とする偏心部材と、
環状からなり、前記偏心部材の外周側に回転可能に支持され、外周面に形成され前記内歯歯車と噛合可能な外歯歯車と、前記ピンおよび前記挿入孔のうち他方と、を有し、前記偏心部材が前記入出力軸線を中心に回転することにより揺動回転する揺動部材と、
を有し、
複数の前記変速ユニットのうち隣り合う一側、他側変速ユニットにおいて、
前記一側変速ユニットの前記偏心部材は、前記入力軸および前記出力軸のうち一方に連結され、
前記一側変速ユニットの前記回転部材は、前記他側変速ユニットの前記偏心部材に連結され、
前記他側変速ユニットの前記回転部材は、前記入力軸および前記出力軸のうち他方に連結されることを特徴とする変速歯車装置。
【請求項2】
請求項1において、
複数の前記変速ユニットのうち少なくとも一の前記変速ユニットは、
前記ピンを有する回転部材と、
前記入出力軸線方向に連設される複数の前記偏心部材と、
前記挿入孔を有し、複数の前記偏心部材にそれぞれ支持される複数の前記揺動部材と、
を有することを特徴とする変速歯車装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記変速ユニットにおける複数の前記偏心部材は、複数の当該偏心部材によりそれぞれ支持される各前記揺動部材が前記入出力軸線を中心とした回転の周方向に等間隔で配置されるように、前記入力軸および前記出力軸のうち一方に連結されることを特徴とする変速歯車装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
少なくとも三以上の前記変速ユニットを備えることを特徴とする変速歯車装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
複数の前記変速ユニットのうち少なくとも一の前記変速ユニットにおいて、当該変速ユニットの前記回転部材が前記ピンを有するとともに、当該変速ユニットの前記揺動部材が前記挿入孔を有し、
当該変速ユニットの前記偏心部材に対して前記ピンの突出方向に配置されるとともに、前記ハウジングにより前記入出力軸線を中心として回転可能に支持され、前記揺動部材の前記挿入孔を貫通した前記ピンを支持するピン支持部材をさらに備えることを特徴とする変速歯車装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記ピン支持部材は、前記変速歯車装置の駆動状態において高回転側となる前記変速ユニットの前記回転部材の前記ピンを支持することを特徴とする変速歯車装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、
複数の前記変速ユニットは、同一形状の前記回転部材、前記偏心部材、および前記揺動部材をそれぞれ有することにより、互いに同一の構成からなることを特徴とする変速歯車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−231801(P2011−231801A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100157(P2010−100157)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】