説明

外動片引き窓

【課題】ビス頭部を覆うビスキャップ35が振動等によって脱落するのを有効に防止することができる外動片引き窓。
【解決手段】窓枠に、FIX用内障子11と開閉可能な外障子8とを設けた外動片引き窓において、FIX用内障子11の下框11bと上記窓枠の下枠1bに設けた内障子11用案内レール4との間に固定ピース18を配置し、固定ピース18を下框11bと案内レール4とに室内側からビス止め固定するとともに、上記下框11bと案内レール4の室内側から上記ビスの頭部を覆うように合成樹脂製のビスキャップ35を配置し、このビスキャップ35には上記下框11b側に係止する係止片41とこの係止片41を常に上方に付勢する弾性部42とを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠の内側に屋内側内障子と屋外側外障子とを設けるとともに、内障子を固定し、外障子を摺動自在に保持した外動片引き窓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、窓枠の内側には屋内側の内障子と屋外側の外障子とが設けられている。そのほかにも、内障子と外障子の間に中間障子を設けた3枚引きの窓や、内障子と外障子を2枚ずつ設けた4枚引きの窓も知られている。
【0003】
ところで、これらの窓の中には、内障子をFIXとして固定し、外障子のみを開閉自在に設けた外動片引き窓もある(特許文献1、2参照)。このように内障子をFIXとする場合でも、窓枠の上下枠は、内障子用の案内レールが形成されたものが兼用されている。そして、内障子をFIXとする場合は、FIX用内障子の下框と下枠の内障子用案内レールとの間に固定ピースを配置し、固定ピースを下框と案内レールとに室内側からビス止め固定することにより、内障子が開閉作動できないように固定していた。この場合、固定ピースを固定するためのビスの頭部が室内側に露出するので、内観が損なわれる原因となっていた。そこで、ビス頭部を覆うキャップが係止装着されていた。
【特許文献1】特開平7−127339号公報
【特許文献2】特開平8−74478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキャップは内障子の振動が繰り返されると、係止が外れてキャップが脱落してしまうことがあった。
【0005】
本発明は上記問題点を解消し、ビス頭部を覆うビスキャップが振動等によって脱落するのを有効に防止することができる外動片引き窓を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、窓枠に、FIX用内障子と開閉可能な外障子とを設けた外動片引き窓において、FIX用内障子の下框と上記窓枠の下枠に設けた内障子用案内レールとの間に固定ピースを配置し、固定ピースを下框と案内レールとに室内側からビス止め固定するとともに、上記下框と案内レールの室内側から上記ビスの頭部を覆うように合成樹脂製のビスキャップを配置し、このビスキャップには上記下框側に係止する係止片とこの係止片を常に上方に付勢するバネ片とを形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記ビスキャップに弾性部を形成することに代えて、ビスキャップと上記下枠との間に弾性部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、FIX用内障子の下框と案内レールの室内側から上記ビスの頭部を覆うように合成樹脂製のビスキャップを配置したから、ビスの頭部が室内側に露出して内観が損なわれることがない。また、このビスキャップには下框側に係止する係止片とこの係止片を常に上方に付勢するバネ片とを形成したから、振動等によりビスキャップが下がるような力が作用しても、バネ片が常時係止片を常に上方に付勢して係止片が下框側に係止する状態を保持することができるから、係止が外れることはない。したがって、ビスキャップが振動等によって脱落するのを有効に防止することができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、ビスキャップと上記下枠との間に適宜の弾性部材を配置すればよいので、ビスキャップ自体の成形が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の最良の実施形態を図面によって説明する。
【0011】
図1は外動片引き窓の内観正面図、図2は図1のX−X線上の断面図であり、図3は図1のY−Y線上の断面図である。
【0012】
同図において符号1は窓枠を示す。窓枠1はアルミニウムの押出型材からなる上枠1aと下枠1bと左右の縦枠1cとを方形に枠組みしてなるものであり、上枠1aにはそれぞれ屋内側から屋外側に摺動溝6と上レール7とが互いに平行に設けられている。下枠1bにはそれぞれ屋内側から屋外側に内レール4と外レール5とが互いに平行に設けられている。上部の摺動溝6、上レール7と下部の各レール4、5はそれぞれ上下に対応する位置に配置されている。
【0013】
また、上下枠1a、1bの上レール7と外レール5には、外障子8が摺動自在に案内されている。上枠1aの上レール7は外障子8の上端に形成された摺動溝9に係合している。また、下枠1bの外レール5には、外障子8の戸車10が転動自在に支持されている。これに対し、上枠1aの摺動溝6と下枠1bの内レール4との間には、内障子11が固定されている。また、内障子11の縦框11cの中央突片12の先端16は直角に屈曲している。
【0014】
すなわち、内障子11は上下框11a、11bと左右の縦框11cとを方形に框組みし、内側にガラス13を取付けたものである。そして、上框11aの上部の摺動溝6と窓枠1の上枠1aとの間には合成樹脂製の充填部材15が充填されている。また、内障子11の縦框11cの中央突片12の屈曲片16と窓枠1の縦枠1cとは重合し、ビス17で固定されている。
【0015】
これに対し、内障子11の下框11bには通常は戸車が取付けられているが、戸車に代えて、固定ピース18が取付けられている。固定ピース18は、水平部20の一端から下方に向かって垂直に屈曲した第1の取付部21と他端から下方に向かって垂直に屈曲した間隔保持部23とを下開口の凹字形に形成するとともに、間隔保持部23の下方から斜め内側に傾斜した傾斜部24を介して第2の取付部22を延出してなるもので、第1の取付部21と第2の取付部22とは平行に形成され、間隔保持部23の下端には直角の係合部25が形成されている。第1の取付部21の高さは、下框11bの下面26から屋外端の垂下縁27の下端屈曲部28までの高さと略同じである。第1の取付部21の屋外側の水平部20の幅は下框11bの下端に形成された溝部30に嵌まり合う大きさで、その厚さ(高さ)は、下框11bに戸車がついている状態で下框11bと下枠1bの内レール4との間に生じる間隔と略同じに形成されている。間隔保持部23の高さは、下框11bの下端に形成された溝部30の溝底と下框11bの屋内側の傾斜縁31の下端に形成されたL形部32の先端との間の間隔と略同じに形成されている。
【0016】
固定ピース18を下框11bに取りつけるときは、固定ピース18を内障子11の下框11bと下枠1bの内レール4との間からスライドさせ、内レール4上に配置した水平部20を下框11bの溝部30に嵌め込み、間隔保持部23を下框11bの屋内側の傾斜縁31の下端に形成されたL形部32の先端上に載置した後、第1の取付部21を下框11bの屋外側の端部から下方に垂下した垂下縁27の裏側(屋内側)に重合して屋外側からビス33で固定し、さらに、第2の取付部22を下枠1bの内レール4の裏側に重合して屋外側からビス34で固定すればよい。
【0017】
上記構成によれば、上下部のビス33、34と下框11bの下端溝部30に嵌合した第1の取付部21、第2の取付部22及び水平部20とによって、内障子11は戸車が付いた場合と同じ高さに保持される。また、内障子11の縦框11cと縦枠1cとはビス17によって結合されているとともに、内障子11の下框11bと下枠1bとは上下部のビス33、34によって結合されているから、内障子11はFIX状態となる。さらに、内障子11の上框と上枠1aとの間には充填部材15が充填されているから、風圧などにより内障子11ががたつくのが確実に防止される。
【0018】
次に、上記固定ピース18を固定した上下部のビス33、34は屋外側に露出するので、ビスキャップ35によって覆われている。このビスキャップ35は、図5及び図6(a)(b)に示されるように、上部ビス33を覆う上部覆い部36と下部ビス34を覆う下部覆い部37とを水平の連結部38で連結したZ字形の合成樹脂製部材で、上部覆い部36と下部覆い部37の各覆い面にはリブ40が形成されているとともに、連結部38の上部には係止片41が形成されている。
【0019】
さらに、ビスキャップ35の下端にはアーチ形の弾性部42が形成されている。このようなアーチ形弾性部42は、成形時に成形してもよいが、成形時には下側に脹らみをもたせておき、この部分にスリットを入れて形成してもよい。なお、この部分は弾性を有していればよく、必ずしもアーチ形に限定されない。
【0020】
上記ビスキャップ35によって上下部のビス33、34を覆うときは、図4及び図6に示されるように、ビスキャップ35を下枠1bの上面と下框11bの屋外側垂下縁27の下端との間から押しこむ。これにより、ビスキャップ35の係止片41が上記垂下縁27の下端屈曲部28の端部に弾性的に係止する。
【0021】
上記構成によれば、上部覆い部36によって上部ビス33が覆われ、下部覆い部37によって下部ビス24が覆われる。また、ビスキャップ35の下端にはアーチ形の弾性部42が形成されているので、ビスキャップ35自体が常に上方に付勢される。したがって、係止片41による係止状態が保持される。係止が外れてビスキャップ35が外れることはない。
【0022】
なお、上記ビスキャップ35に弾性部42を形成することに代えて、ビスキャップと上記下枠との間にゴム等の弾性部材(図示せず)を配置してもよい。この場合、ビスキャップの下面に弾性部材を接着等により一体化しておくのが好ましい。
【0023】
また、上記ビスキャップ35の係止片41は、下框11bの垂下縁27ではなく、固定ピース18の第1の取付部21の下端に係止させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】外動片開き窓の一実施形態を示す内観正面図
【図2】図1のX−X線上の断面図
【図3】図1のY−Y線上の断面図
【図4】図2の要部の拡大図
【図5】ビスキャップの斜視図
【図6】ビスキャップの取り付け状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0025】
1a 上枠
1b 下枠
1c 縦枠
4 内レール
5 外レール
18 固定ピース
33、34 ビス
35 ビスキャップ
41 係止片
42 弾性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に、FIX用内障子と開閉可能な外障子とを設けた外動片引き窓において、FIX用内障子の下框と上記窓枠の下枠に設けた内障子摺動用の内レールとの間に固定ピースを配置し、固定ピースを下框と内レールとに室内側からビス止め固定するとともに、上記下框と内レールの室内側から上記ビスの頭部を覆うように合成樹脂製のビスキャップを配置し、このビスキャップには上記下框側に係止する係止片とこの係止片を常に上方に付勢する弾性部とを形成したことを特徴とする外動片引き窓。
【請求項2】
上記ビスキャップに弾性部を形成することに代えて、ビスキャップと上記下枠との間に弾性部材を配置したことを特徴とする、請求項1に記載の外動片引き窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−24621(P2010−24621A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183582(P2008−183582)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】