説明

外国語学習支援システム

【課題】学習者の発音がモデル音声と比較してどの程度のレベルにあるかを客観的に判断できる外国語学習支援システムを提供する。
【解決手段】モデル文章に含まれる音声データ及びテキストデータを関連させてデータベース20に予め記憶させ、音声データに基づいてモデル音声を出力し、テキストデータに基づいてモデル文章をテキスト表示するとともに、モデル文章に含まれる単語を単語ごとにブロック画像として表示し、モデル音声に対応して学習者の読みあげた文章を音声認識処理して音声データ及びテキストデータとして学習者学習メモリ24に記憶させ、テキスト表示するとともに読みあげた文章に含まれる単語を単語ごとにブロック画像として表示し、モデル文章の音声データを読み出すとともに、読みあげた文章の音声データを読み出し両者を比較し、その音声近似度判定結果を学習者の単語ごとのブロック画像のブロック高さに反映して表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に英会話をはじめとする外国語等の言語の発音の学習のための音声認識機能を応用した外国語学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、英会話等の学習のための外国語学習支援システムは多数開発されている。例えば、コンピュータが一方の話者となり、コンピュータ画面上に話者の相手となる教師役が表示され、教師の質問に対して話者が回答をすると、回答音声がコンピュータに入力され音声認識される。そして、回答が正しい内容と一致すると所定の表示がなされ、次の問いかけに進み、外国語会話が進行する仕組みとなっている。
しかし、このシステムは、回答が予め記憶されている内容と一致する必要があり、単なる発音の繰り返し学習には向かないシステムである。すなわち、回答が予め記憶されているの内容と不一であると会話が先に進まず、この場合、話者は回答内容が間違っていたのか、発音が悪かったのか判断できないという問題がある。
また、回答が正しかったかどうかの判定は、回答内容を示す一種類の正解音声データとの比較であり、判定が固定的であり、回答内容は一致しており発音だけが一致しない場合、どの程度発音が悪かったのか分からず、自分の発音がどの程度外国人に伝わるのかを客観的に認識することができない。
【特許文献1】特開平5−165494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、学習者の発音がモデル(ネイティブ)音声と比較してどの程度のレベルにあるかを客観的に判断できる外国語学習支援システムを提供することである。
本発明の他の目的は、同じ文章を繰り返して発音学習でき、その都度モデル発音にどの程度近づいたかを表示し、効果的に発音の学習ができる外国語学習支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に記載の外国語学習支援システムは、モデル文章に含まれる、音声データ及びテキストデータを関連させてデータベースに予め記憶させ、該モデル文章の音声データに基づいてモデル音声を出力し、該モデル文章のテキストデータに基づいてモデル文章をテキスト表示するとともに該モデル文章に含まれる単語を該単語ごとにブロック画像として表示し、該モデル音声に対応して学習者の読みあげた文章を音声認識処理して音声データ及びテキストデータとして学習者学習メモリに記憶させ、前記学習者の読みあげた文章をテキスト表示するとともに該学習者の読みあげた文章に含まれる単語を該単語ごとにブロック画像として表示し、該データベースに記憶されたモデル文章の音声データを読み出すとともに、該メモリに記憶された学習者の読みあげた文章の音声データを読み出して両者を比較し、その音声近似度判定結果を、前記学習者の単語ごとのブロック画像のブロック高さに反映して表示することを特徴とする。
請求項2に記載の外国語学習支援システムは、請求項1において、前記学習者の再学習の音声近似度判定結果を、すでに表示したブロック画像に重ねて再表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、自分の発音がモデル文章のネイティブが発声した発音にどれだけ近いかの近似度判定ができ、発音学習を繰り返し行うことにより、学習者にその効果を客観的に示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の外国語学習支援システムの実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る外国語学習支援システムの構成を説明するための概略ブロック図である。図2は、本実施形態の複数のモデル文章のテキスト画面である。図3は、学習者の発音学習の結果を示す説明図である。図4は、学習者の再学習の結果を示す説明図である。
なお、以下の説明では、外国語として、英語を例として説明するが、以下の説明で明らかとなるように、本発明はこの説明に限定されることなく、母国語以外の言語を学習者が学習する際に一般的に適用可能なものである。
【0007】
図1において、外国語学習支援システム10は、学習者の音声を取得するためのマイクロフォン等の音声入力装置11と、学習者が読みあげる文章を表示し、単語や文章ごとに求められた学習者の発音に対する評価点を表示するためのディスプレー13や、I/O14を介してマウス15、キーボード16が接続されるとともに、スピーカ17も備える。
【0008】
また、外国語学習支援システム10には、外部ドライブ18が接続されており、外部ドライブ18に挿入されたCD−ROM等の記憶媒体に格納されたソフトウェアを学習制御装置40が実行することにより実現される。
さらに、外国語学習支援システム10には、ネイティブが読みあげるモデル文章の音声データや、学習者が読みあげた学習文章の音声データ等を記憶するデータベース20や学習者学習メモリ24が接続されている。
【0009】
また、外国語学習支援システム10には、外国語学習支援システムの動作全体を制御するための学習制御装置40と、学習制御装置40により制御されて、音声入力装置11から出力される音声について音声認識処理を行うための音声認識部30と、を備え、学習者が文章を読みあげた音声データを認識処理して、該文章中に含まれる単語ごとの近似度を判定評価する。
【0010】
音声認識部30は音声入力装置11からの出力を受けて、学習者が発音した文章に対応する入力音声波形を分析して、この文章中に含まれる単語ごとの音声データに変換する。
音声認識部30は、音声入力装置11から与えられた音声データをもとに、単語の音韻識別のために音声近似度を演算する為の音声近似度演算装置34と、音声近似度演算装置34の演算結果に基づいて、文章中の音韻や単語を分解抽出する為の分解装置32と、分解装置32の分解結果や構文解析に基づき、音声の認識処理を行うための音声認識装置36を備える。
【0011】
一方、データベース20は、学習者に対してモデル文章を提示するためのモデル文章データを保持するモデル文章データベース22と、モデル文章データを構成する単語についての単語データベース25と、単語データベース25に含まれる音韻に関するデータを保持する音韻データベース26とを含む。
【0012】
さらに、データベース20は、学習者の学習履歴を記憶する学習者学習履歴データベース28を備える。
なお、音声認識部30は、モデル文章からの音声データを得てデータベース20に記憶した時に使われたものと、学習者が読みあげた音声を処理するものとは、同じ分析処理を行う必要がある。
【0013】
本発明の実施形態を実施したときの流れを図2〜4を参照して説明する。
まず、学習制御装置40は、図2に示すような複数のモデル文章のテキストをディスプレー13に表示する。
モデル文章の各テキストの左側にはテキストの選択を促す正方形のアイコンが表示されるので、学習者は、この中から学習すべきモデル文章のテキストをマウスを用いて選択する。
図2の例では、2番目の″All right, I’m ready.″が選択されている。
【0014】
次に、このモデル文章のテキストが選択されると、学習制御装置40は、対応するモデル文章のモデル音声データを、データベース20のモデル文章データベース22、単語データベース25、音韻データベース26から読み出し、スピーカ17から手本の音声として出力するとともに、ディスプレー13に、単語ごとの音韻を表示する。
手本の音声は1回だけではなく、数回発声させてもよく、さらに数回の発声の際に速さを変えてもよい。これらの指示は画面上で行うことができる。
【0015】
次に、学習者はこの手本の音声を真似て発音する。この学習者による音声波形は音声入力装置(マイクロフォン)11及び学習制御装置40を介して音声認識部30に取得される。
続いて、音声認識部30の中の分解装置32は、学習者によって読みあげられた文章を、単語、音韻に分解し、文章に対応する音声データを音韻ごとに対応する音声データとして認識する処理を実行する。
【0016】
続いて、音声認識装置36は、単語データベース25及び音韻データベース26に記録されているモデル文章データに基づいて、取得した単語や音韻に対する音声データとモデル文章の単語や音韻と比較し、単語や音韻ごとの音声データの認識を実行する。
【0017】
そして、学習制御装置40は、認識された音声データについて、モデル文章データベース22、単語データベース25及び音韻データベース26に記憶されたデータとに基づいて、音声近似度演算装置34に演算させた近似度をディスプレー13に表示する。
【0018】
図3は、学習者の発音学習の近似度の演算結果を示す。図3に示すように、学習制御装置40は、下記の一連の動作を制御する。
まず、モデル文章のテキストデータに基づいてモデル文章をテキスト表示(51)するとともにモデル文章に含まれる単語(52)を単語ごとにブロック画像(53)として表示し、モデル音声に対応して学習者の読みあげた文章を音声認識部30によって認識処理して、音声データ及びテキストデータとして学習者学習メモリ24に記憶させ、学習者の読みあげた文章をテキスト表示(61)するとともに学習者の読みあげた文章に含まれる単語(62)を単語ごとにブロック画像(63)として表示し、データベース20に記憶されたモデル文章の音声データを読み出すとともに、学習者学習メモリ24に記憶された学習者の読みあげた文章の音声データを読み出して両者を比較し、その音声近似度判定結果を、学習者の単語ごとのブロック画像のブロック高さHに反映させて表示する。
この近似度が高い程、すなわちブロック高さHが高い程、学習者の発音がネイティブ音声に近い、すなわち上手であり、発声した学習者の発音が外国人にきちんと伝わり、正しく認識される可能性が高いことを示す。
さらに、1つのテキストについて学習すると、図2の画面にもどり別のテキストを選択し発音学習を繰り返す。
【0019】
以上のように、本実施形態は、コンピュータを用いてモデル文章のテキストを表示するとともにモデル発音を発声させ、学習者がその発音を真似てマイクロフォン11から入力するものである。
そして、コンピュータ内で学習者の入力音声データがどれだけモデルの音声データと近似しているかが判定される。近似度が所定の基準値以下の場合は、発音学習を繰り返し行わせ、基準値以上になると、合格マークを表示させることもできる。
【0020】
また、同じテキストを繰り返し発音学習(再学習)させ、その都度、発音レベルの近似度判定結果を表示させることができる。
図4は、発音学習の再学習の結果を示す図面である。図4に示すように、本発明の外国語学習支援システムにおいては、学習者の再学習の音声近似度判定結果を、すでに表示したブロック画像に重ねて再表示することができる。
学習者の再学習の結果、単語"all" 及び、"ready"で、ブロック高さHが先の高さ(破線で示す高さ)よりも向上していることが分かる。
また、日本人が不得意とする、r、l、v、bを含んだ文章を用意し、特にそれらを重点的に学習させることもできる。
【0021】
本発明は上述した実施例に限定されず、種々変形して実施可能である。例えば、学習時において、モデル音声と学習者の音声を別々に発声させたが、初心者にとってはモデル音声を聞きながら同時に学習者に発声させることも好ましい。
また、学習の対象としては、英語に限らず中国語等でもよく、さらに外国語に限らず日本語(自国語)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明によれば、自分の発音が相手に認識されるかどうかの判定ができる外国語学習支援システムを提供することができる。
また、同じモデル文章を何度も繰り返して発音学習でき、その都度、モデル音声と比較し、どの程度近似するかを判定し、モデル発音とどの程度似ているかを表示することにより、所定の近似度が得られるまで一人で効果的に発音の学習ができる外国語学習支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による外国語学習支援システムの実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の複数のモデル文章のテキスト画面である。
【図3】学習者の発音学習の結果を示す説明図である。
【図4】学習者の再学習の結果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 外国語学習支援システム
11 音声入力装置(マイクロフォン)
13 ディスプレー
14 I/O
15 マウス
16 キーボード
17 スピーカ
18 外部ドライブ
20 データベース
22 モデル文章データベース
24 学習者学習メモリ
25 単語データベース
26 音韻データベース
28 学習者学習履歴データベース
30 音声認識部
32 分解装置
34 音声近似度演算装置
36 音声認識装置
40 学習制御装置
51,61 テキスト表示
52,62 単語
53,63 ブロック画像
H ブロック高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モデル文章に含まれる、音声データ及びテキストデータを関連させてデータベースに予め記憶させ、
該モデル文章の音声データに基づいてモデル音声を出力し、
該モデル文章のテキストデータに基づいてモデル文章をテキスト表示するとともに該モデル文章に含まれる単語を該単語ごとにブロック画像として表示し、
該モデル音声に対応して学習者の読みあげた文章を音声認識処理して音声データ及びテキストデータとして学習者学習メモリに記憶させ、
前記学習者の読みあげた文章をテキスト表示するとともに該学習者の読みあげた文章に含まれる単語を該単語ごとにブロック画像として表示し、
該データベースに記憶されたモデル文章の音声データを読み出すとともに、
該メモリに記憶された学習者の読みあげた文章の音声データを読み出して両者を比較し、
その音声近似度判定結果を、
前記学習者の単語ごとのブロック画像のブロック高さに反映して表示することを特徴とする、外国語学習支援システム。
【請求項2】
前記学習者の再学習の音声近似度判定結果を、すでに表示したブロック画像に重ねて再表示することを特徴とする請求項1に記載の外国語学習支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−148170(P2007−148170A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344730(P2005−344730)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(503088770)株式会社シーエーアイメディア共同開発 (2)
【Fターム(参考)】