説明

外壁リフォーム構造と外壁リフォーム方法

【課題】既存の外壁はそのままに、しかも、エアコンの室外機および排気パイプを取り外すことなく新しい外壁材を重ね張りして、外壁を簡便に品質良くリフォームすることのできる外壁リフォーム構造を提供すること。
【解決手段】エアコンの室外機5と、室外機に接続された排気パイプ6とのそれぞれの側方に、一定間隔離して胴縁4が既存外壁2の外壁面2aに取り付けられ、その胴縁の正面に、係止部12を有する固定金具9が取り付けられ、弾性を有し、固定金具の係止部に弾性的に嵌合する被係止部18を備えるとともに、少なくとも正面側に外壁材3と同じ外壁材3aが取り付けられた室外機カバー7およびパイプカバー8が、それぞれの被係止部を係止部に弾性的に嵌合させて固定金具に固定され、室外機および排気パイプをその正面側から覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の外壁を、新しい外壁材を張り付けてリフォームする外壁リフォーム構造と外壁リフォーム方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物の外壁については、表面部の劣化の修復や新規意匠への変更などを行い、リフォームすることが広く行われている。この外壁のリフォームは、たとえば、モルタル壁や、建物の躯体にパネル状の外壁材を張り付けて形成されるなどの既存の外壁を取り壊すことなく、そのままの状態でその上に新しい外壁材を重ね張りして行われることがしばしばある。
【0003】
このような外壁のリフォームにおいて、施工上の問題となるのが、居室などの雰囲気温度をコントロールするエアコンディショナー(以下、エアコンと略記する)の室外機と、外壁を貫通し、室外機に接続された排気パイプとの存在である。通常、外壁のリフォームでは、室外機と排気パイプを一旦取り外し、新しい外壁材を張り付けた後、再度室外機と排気パイプを取り付けている。このエアコンの室外機と排気パイプの取り外しおよび取り付けは、煩わしく、面倒な作業となっている。
【0004】
一方、下記特許文献1には、エアコン室外機用カバーが記載されている。
【0005】
このエアコン室外機用カバーは、エアコン室外機の外周を覆う壁板により直方体状に形成され、内部に室外機を収容する収容室を有し、この収容室の上部に、前方に向けて下り傾斜となる天板に開閉ドアを設けた密封可能な収納ボックスを備えている。上記壁板は、建築物の外壁の質感と調和する素材感または色調を有する化学樹脂素材により成形されている。
【0006】
このようなエアコン室外機用カバーは、室外機を外部環境に対して保護することができ、また、室外機の点検時には、収容室の開放された底面および背面を介して取り付けおよび取り外し作業を行うことを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3134755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたエアコン室外機用カバーは、外壁のリフォームの際には、新しい外壁材の張り付けと関係なく、別作業として室外機およびその周辺に取り付けられる。したがって、外壁のリフォームにおいて、室外機および排気パイプの取り外しは何ら解消されない。また、排気パイプおよびその周辺を避けて外壁材を張り付けることはできるが、その部分だけ既存の外壁がむき出しになり、外観不良となる。さらに、室外機および排気パイプの再度の取り付け後にエアコン室外機用カバーを取り付けることになり、その分施工の手間が増えることになる。その上、エアコン室外機用カバーは、外壁の質感との調和を図る壁板の取り付けのために、軽量型鋼の接合によって形成する枠組み構造体の設置を必要とするものであり、エアコン室外機用カバーの取付作業は、必ずしも簡便なものではない。しかも、壁板は、化学樹脂素材で形成されたものであり、外壁材として一般に使用されているセメント板や、表面材が金属製であるいわゆる金属サイディングなどとの違和感は否めない。
【0009】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、既存の外壁はそのままに、しかも、エアコンの室外機および排気パイプを取り外すことなく新しい外壁材を重ね張りして、外壁を簡便に品質良くリフォームすることのできる外壁リフォーム構造と外壁リフォーム方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の外壁リフォーム構造は、既存の外壁の外壁面に複数本の胴縁が外壁面の高さ方向に所定間隔で取り付けられ、パネル状の外壁材が、胴縁間に跨るように取り付けられ、既存の外壁の上に外壁材が重ね張りされる外壁リフォーム構造において、エアーコンディショナーの室外機と、既存の外壁からその外側に引き出され、室外機に接続された排気パイプとのそれぞれの側方に、一定間隔離して胴縁が既存の外壁の外壁面に取り付けられ、その胴縁の正面に、係止部を有する固定金具が取り付けられ、弾性を有し、固定金具の係止部に弾性的に嵌合する被係止部を備えるとともに、少なくとも正面側に外壁材と同じ外壁材が取り付けられた室外機カバーおよびパイプカバーが、それぞれの被係止部を係止部に弾性的に嵌合させて固定金具に固定され、室外機および排気パイプをその正面側から覆うことを特徴とする。
【0011】
この外壁リフォーム構造においては、固定金具は、胴縁の正面に固定可能な平板状の固定部と、この固定部の一側端縁から立ち上がり、先端部が固定部側に向かって折り曲げられている係止部とを有し、室外機カバーおよびパイプカバーは、ともに、その正面側に取り付けられた外壁材と、この外壁材の左右両端から背面側に向かって延びる平板状の側面部とを有し、この側面部は金属製であり、その背面側の部分は、正面側に折り返され、側面部の外側面に重ねられるとともに、先端部が、折り重ねられた部分の外側に折り曲げられて被係止部を形成しており、室外機カバーおよびパイプカバーが固定金具に固定される際に、被係止部の内側に固定金具の係止部が挿入され、被係止部が係止部に弾性的に嵌合することが好ましい。
【0012】
本発明の外壁リフォーム方法は、既存の外壁の外壁面に複数本の胴縁を外壁面の高さ方向に所定間隔で取り付け、パネル状の外壁材を、胴縁間に跨るように取り付け、既存の外壁の上に外壁材を重ね張りする外壁リフォーム構造において、エアーコンディショナーの室外機と、既存の外壁からその外側に引き出され、室外機に接続された排気パイプとのそれぞれの側方に、一定間隔離して胴縁を既存の外壁の外壁面に取り付け、その胴縁の正面に、係止部を有する固定金具を取り付け、弾性を有し、固定金具の係止部に弾性的に嵌合する被係止部を備えるとともに、少なくとも正面側に外壁材と同じ外壁材が取り付けられた室外機カバーおよびパイプカバーを、それぞれの被係止部を係止部に弾性的に嵌合させて固定金具に固定し、室外機および排気パイプをその正面側から覆うことを特徴とする。
【0013】
この外壁リフォーム方法においては、固定金具は、胴縁の正面に固定可能な平板状の固定部と、この固定部の一側端縁から立ち上がり、先端部が固定部側に向かって折り曲げられている係止部とを有し、室外機カバーおよびパイプカバーは、ともに、その正面側に取り付けられた外壁材と、この外壁材の左右両端から背面側に向かって延びる平板状の側面部とを有し、この側面部は金属製であり、その背面側の部分は、正面側に折り返され、側面部の外側面に重ねられるとともに、先端部が、折り重ねられた部分の外側に向かって折り曲げられて被係止部を形成しており、室外機カバーおよびパイプカバーを固定金具に固定する際に、被係止部の内側に固定金具の係止部を挿入し、被係止部を係止部に弾性的に嵌合させることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の外壁リフォーム構造と外壁リフォーム方法によれば、既存の外壁はそのままに、しかも、エアコンの室外機および排気パイプを取り外すことなく新しい外壁材を重ね張りすることができ、外壁を簡便に品質良くリフォームすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の外壁リフォーム構造によるリフォーム外壁の一実施形態を示した要部正面図である。
【図2】図1に示したリフォーム外壁の要部断面図である。
【図3】図1に示したリフォーム外壁のA−A断面図である。
【図4】図3に示した固定金具を拡大して示した斜視図である。
【図5】図3に示したパイプカバーを拡大して示した斜視図である。
【図6】本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態を、図1に示したリフォーム外壁に基づいてその一工程を示した要部正面図である。
【図7】本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態の、図6に示した工程に次ぐ工程を示した要部正面図である。
【図8】本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態の、図7に示した工程に次ぐ工程を示した要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記のとおり、図1は、本発明の外壁リフォーム構造によるリフォーム外壁の一実施形態を示した要部正面図である。図2は、図1に示したリフォーム外壁の要部断面図であり、図3は、図1に示したリフォーム外壁のA−A断面図である。
【0017】
リフォーム後の外壁であるリフォーム外壁1は、モルタル壁や、建物の躯体にパネル状の外壁材を張り付けて形成されるなどの既存の外壁(以下、既存外壁と略記する)2が取り壊されることなく、そのままの状態でその上にパネル状の新しい外壁材3が重ね張りされて形成されている。
【0018】
この外壁材3の重ね張りでは、既存外壁2の外壁面2aに、木製で縦長の胴縁4が、複数本、外壁面2aの高さ方向に、外壁材3の幅などに対応する所定間隔で取り付けられ、外壁材3が、隣り合う胴縁4間を跨るように取り付けられている。
【0019】
胴縁4の固定方式は、既存外壁2の下地の構造に対応して適宜なものを選択することができる。釘やネジなどの固着具を用いる方式が一般的であり、簡便である。外壁材3については、特にその種類が制限されるものではなく、たとえば、セメントなどを主成分とする無機質板を用いることができる。また、外殻部が、アルミニウムなどの軽金属の板金加工により形成され、その内部に、ウレタンフォームなどの発泡樹脂が芯材として充填されて形成された、金属サイディングなどと称される金属製外装材を用いることもできる。さらに、外殻部が、耐久性などを有する樹脂により形成された樹脂製外装材を用いることもできる。これらの外壁材3は、胴縁4に固定されている。その固定方式についても特に制限はなく、外壁材3の種類などに対応して釘やネジなどの固着具を用いたり、固着具の頭部の露出を抑え、見栄えを向上させる取付金具を用いたりすることができる。
【0020】
このようなリフォーム外壁1では、既存外壁2の外側に設置されたエアコンの室外機5と、既存外壁2からその外側に引き出され、室外機5に接続された排気パイプ6とに対応する部分には、それぞれ、室外機カバー7とパイプカバー8が取り付けられている。室外機カバー7およびパイプカバー8は、ともに、その正面側に、リフォーム外壁1を形成する外壁材3と同じ外壁材3aが取り付けられている。このような室外機カバー7およびパイプカバー8は、胴縁4の正面に取り付けられた固定金具9に固定され、リフォーム外壁1の一部を形成している。
【0021】
なお、排気パイプ6は、配管の見栄えを向上させるために、樹脂製などの化粧カバーの内部に収められることがしばしばあるが、本発明では、その場合の化粧カバーも排気パイプに含まれるものとしている。
【0022】
既存外壁2の外壁面2aに取り付けられる胴縁4は、室外機5と排気パイプ6の近くでは、それぞれの側方に、室外機5と排気パイプ6から一定間隔離して取り付けられる。すなわち、胴縁4は、室外機5と排気パイプ6を挟んで左右両側に一定間隔をあけ、既存外壁2の外壁面2aに取り付けられる。固定金具9は、このように取り付けられた胴縁4の正面に取り付けられている。
【0023】
図4は、図3に示した固定金具を拡大して示した斜視図である。
【0024】
固定金具9は、金属製であり、折曲などの板金加工によって一体に形成されている。固定金具9は、図3に示した胴縁4に釘やネジなどの固着具10によって固定可能な平板状の固定部11と、固定部11の一側端縁11aから正面側に立ち上がり、先端部12aが、固定部11側に向かって鋭角状に折り曲げられている係止部12とを有している。また、固定金具9では、一側端縁11aと反対側に位置する固定部11の他側端側の部分11bは、正面側に折り返され、固定部11の正面に重ねられるとともに、先端部11cが、折り重ねられた部分にさらに折り重ねられている。固定部11の他側端側の部分11bは、固定部11の強度向上や水返しなどとして機能する。
【0025】
このような固定金具9は、左右一対として胴縁4の正面に取り付けられ、また、室外機5および排気パイプ6を挟んで左右対称に配置される。すなわち、係止部12が、胴縁4において、室外機5または排気パイプ6に近い方に位置する一端縁上に配置されるように、固定部11がその背面を胴縁4の正面に重ね合わせて配置される。この配置状態において、固着具10が、固定部11の正面側から胴縁4の内部に向かって打入、ねじ込みなどされて、固定金具9は、胴縁4の正面に取り付けられる。
【0026】
図5は、図3に示したパイプカバーを拡大して示した斜視図である。
【0027】
パイプカバー8は、その正面側に取り付けられた外壁材3aと、外壁材3aの左右両端から背面側に向かって延びる平板状の側面部13とを有している。パイプカバー8では、側面部13は、金属製の取付金具14により形成されている。取付金具14は、外壁材3aの左側端部と右側端部を別々に保持可能とした左右一対の部材として設けられており、また、取付金具14は、折曲などの板金加工によって一体に形成されている。
【0028】
取付金具14では、パイプカバー8の正面側に位置する部分に、断面略コ字形の形状に折り曲げられて形成された外壁材保持部15が設けられている。外壁材保持部15の内側の幅は、外壁材3aの厚さと等しいか、若干狭くなっており、外壁材保持部15が有する弾性によって、外壁材3aの左側端部または右側端部を弾性的にしっかりと保持することができる。外壁材3aは、たとえば、左側端部と右側端部をそれぞれの取付金具14の外壁材保持部15に上方から挿入し、下方にスライドさせて、パイプカバー8の正面側に取り付けることができる。このような外壁材3aの下方へのスライドによる取り付けを簡便に行うために、左右一対の取付金具14は、その長さ方向の一部において相互に連結することができる。
【0029】
外壁材保持部15においてパイプカバー8の背面側に位置する一端部15aは、外壁材保持部15の内側に折り返され、重ねられている。一端部15aは、外壁材保持部15の強度向上や水返しなどとして機能する。
【0030】
また、取付金具14では、外壁材保持部15の正面側の一端部15bが外側に折り返され、鍔部16が形成されている。鍔部16は、外壁材3aの左右両側端部をその正面側から覆い隠し、側端面を露出させず、外壁材3aの側端部を美麗に収める機能を有する。
【0031】
そして、側面部13は、取付金具14では、鍔部16の外側端縁からパイプカバー8の背面側に向かって略直角に折り曲げられて形成されている。
【0032】
側面部13は、平板状の形状を有しているが、パイプカバー8の背面側の端部において、外側に向かって略直角に折り曲げられ、見切り縁17が形成されている。見切り縁17では、その先端部17aが、パイプカバー8の背面側に鈍角状に折り曲げられている。また、見切り縁17では、側面部13が二重に折り重ねられ、強度の向上が図られている。
【0033】
また、側面部13では、見切り縁17よりもさらにパイプカバー8の背面側の部分13aが、正面側に向かって折り返され、外側面に重ねられるとともに、先端部13bが、折り重ねられた部分13cの外側に鋭角状に折り曲げられて被係止部18が形成されている。被係止部18は、弾性を有し、被係止部18では、先端部13bが外側に広がるように押し広げられたとき、初期状態に戻る方向、すなわち、折り重ねられた部分13cに向かう方向に弾性力が発現する。
【0034】
このようなパイプカバー8は、図3に示したように、上記のとおりの固定金具9に固定され、リフォーム外壁1において、排気パイプ6をその正面側から覆う。その固定は、被係止部18の内側に固定金具9の係止部12が挿入され、被係止部18が係止部12に弾性的に嵌合することによって実現される。すなわち、固定金具9の係止部12が、挿入にともない被係止部18を先端部13bが外側に広がるように押し広げると、被係止部18に弾性力が発現し、被係止部18が係止部12に弾性的に嵌合する。この弾性的な嵌合により、パイプカバー8は、固定金具9により固定される。
【0035】
パイプカバー8が固定金具9により固定されると、側面部13に形成された見切り縁17が、外壁材3の側端部の表面上に重なり、外壁材3の側端部をその正面側から覆い隠す。このように、見切り縁17は、外壁材3の側端面を露出させず、外壁材3の側端部を美麗に収める機能を有する。
【0036】
室外機カバー7も基本的にパイプカバー8と同様の構成および構造を有している。一部異なる点は、室外機5の横幅と厚さが排気パイプ6よりも拡大されているため、室外機カバー7の側面部の面積が大きくなっていることである。そこで、室外機カバー7では、側面部にも外壁材3aが取り付け可能とされ、たとえば、上記のとおりの外壁材保持部15に相当する部位を側面部に備えることができる。
【0037】
図1に示したリフォーム外壁1では、室外機5および排気パイプ6に対応する部分に室外機カバー7およびパイプカバー8が取り付けられ、室外機カバー7およびパイプカバー8は、それぞれ、室外機5、排気パイプ6をその正面側から覆う。この室外機カバー7およびパイプカバー8の取り付けは、上記のとおり、固定金具9への嵌め込み式であり、しかも、ワンタッチ式となっている。
【0038】
このように、外壁リフォーム構造は、既存外壁2はそのままに、しかも、室外機5および排気パイプ6を取り外すことなく新しい外壁材3、3aを重ね張りして、外壁を簡便に品質良くリフォームすることができる。
【0039】
なお、リフォーム外壁1において、パイプカバー8の上端部には、開閉自在な蓋を取り付け、雨水などの浸入を抑制することができる。室外機カバー7の上端部にも、パイプカバー8の下端を除いた部分に取外自在に被着可能な上カバーを取り付けることができる。この上カバーは、室外機5の大きさに応じて複数に分割したものとすると、室外機カバー7の上端部への取り付けおよび取り外しが容易となる。一方、室外機カバー7の下端部は、開放させておく。これは、室外機5からの排気を外気に放出するためである。排気の放出をよりスムーズに行うためには、たとえば、室外機カバー7の正面側に取り付けられる外壁材3aに、スリット状の通気孔を複数形成することができる。この通気孔は、外壁材3aの表面模様などに応じて見栄え良く配列することができる。
【0040】
図6は、本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態を、図1に示したリフォーム外壁に基づいてその一工程を示した要部正面図である。
【0041】
図7は、本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態の、図6に示した工程に次ぐ工程を示した要部正面図である。図8は、本発明の外壁リフォーム方法の一実施形態の、図7に示した工程に次ぐ工程を示した要部断面図である。
【0042】
図1に示したリフォーム外壁1を形成する際には、まず、図6に示したように、モルタル壁や、建物の躯体にパネル状の外壁材を張り付けて形成されるなどの既存外壁2の外壁面2aに、木製で縦長の胴縁4を取り付ける。胴縁4は、複数本を、外壁面2aの高さ方向に、外壁材3の幅などに対応する所定間隔で取り付ける。室外機5と排気パイプ6の近くでは、胴縁4は、室外機5と排気パイプ6からそれぞれの側方に一定間隔離して取り付けられる。胴縁4の固定方式は、既存外壁2の下地の構造に対応して適宜なものを選択することができ、一般的には、釘やネジなどの固着具を用いる方式が例示される。
【0043】
次いで、室外機5と排気パイプ6の近くに取り付けられた胴縁4の正面に、図4に示した固定金具9を左右一対として釘やネジなどの固着具10を用いて取り付ける。固定金具9の固定部11を、その背面を胴縁4の正面に重ね合わせて配置し、係止部12を室外機5と排気パイプ6に近い側の胴縁4の一端縁上に配置する。こうして、固定金具9は、室外機5と排気パイプ6を挟んで左右両側に左右対称に配置されて既存外壁2の外壁面2aに取り付けられる。
【0044】
この後、図7に示したように、外壁材3を、隣り合う胴縁4間を跨るように取り付ける。外壁材3については、上記のとおり、たとえば、セメントなどを主成分とする無機質板や、金属製または樹脂製の外装材を用いることができる。外壁材3は、釘、ネジなどの固着具や取付金具を用いて胴縁4に固定され、既存外壁2に重ね張りされる。このような外壁材3の重ね張りは、室外機5および排気パイプ6の周辺を除いた部分に対して行われる。
【0045】
そして、室外機5および排気パイプ6に対応する部分に、図5に示したパイプカバー8と、パイプカバー8と基本的に構成および構造を同じくする室外機カバー7を取り付ける。
【0046】
パイプカバー8について説明すると、図8に示したように、パイプカバー8を排気パイプ6の前方に対向させた後、排気パイプ6に近づけるように後方へ押し込む。このとき、パイプカバー8の側面部13の背面側に形成された被係止部18の内側に固定金具9の係止部12が挿入され、被係止部18が係止部12に弾性的に嵌合する。この弾性的な嵌合は、固定金具9の係止部12が、挿入にともない被係止部18を先端部13bが外側に広がるように押し広げ、被係止部18に初期状態に戻る方向に弾性力が発現することにより実現される。被係止部18の係止部12への弾性的な嵌合によって、パイプカバー8は固定金具9により固定される。パイプカバー8の取り付けは、このように嵌め込み式であり、しかも、ワンタッチ式である。
【0047】
パイプカバー8が固定金具9により固定されると、パイプカバー8の側面部13に設けられた見切り縁17が、外壁材3の側端部の表面上に重なり、外壁材3の側端部をその正面側から覆い隠す。外壁材3の側端面を露出せず、外壁材3の側端部が美麗に収められる。
【0048】
室外機カバー7の取り付けもパイプカバー8と同様に行われる。室外機5および排気パイプ6は、それぞれ、室外機カバー7、パイプカバー8によってその正面側から覆われる。
【0049】
こうして、図1に示したリフォーム外壁1が形成される。リフォーム外壁1は、室外機5および排気パイプ6を取り外すことなく、そのままの状態で施工される。このように、外壁リフォーム方法は、既存外壁2はそのままに、しかも、室外機5および排気パイプ6を取り外すことなく新しい外壁材3、3aを重ね張りして、外壁を簡便に品質良くリフォームすることができる。
【0050】
なお、パイプカバー8の上端部には、開閉自在な蓋を取り付け、雨水などの浸入を抑制することができる。室外機カバー7の上端部にも、パイプカバー8の下端を除いた部分に取外自在に被着可能な上カバーを取り付けることができる。一方、室外機カバー7の下端部は、開放させておき、室外機5からの排気を外気に放出可能とする。
【0051】
もちろん、本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。たとえば、外壁材の種類、構成および構造、また、固定金具、室外機カバーおよびパイプカバーの構成および構造などについては、様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 既存外壁(既存の外壁)
2a 外壁面
3、3a 外壁材
4 胴縁
5 室外機
6 排気パイプ
7 室外機カバー
8 パイプカバー
9 固定金具
11 固定部
11a 一側端縁
12 係止部
12a 先端部
13 側面部
13a 背面側の部分
13b 先端部
13c 折り重ねられた部分
18 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の外壁の外壁面に複数本の胴縁が外壁面の高さ方向に所定間隔で取り付けられ、パネル状の外壁材が、胴縁間に跨るように取り付けられ、既存の外壁の上に外壁材が重ね張りされる外壁リフォーム構造において、
エアーコンディショナーの室外機と、既存の外壁からその外側に引き出され、前記室外機に接続された排気パイプとのそれぞれの側方に、一定間隔離して前記胴縁が既存の外壁の外壁面に取り付けられ、その胴縁の正面に、係止部を有する固定金具が取り付けられ、弾性を有し、前記固定金具の係止部に弾性的に嵌合する被係止部を備えるとともに、少なくとも正面側に前記外壁材と同じ外壁材が取り付けられた室外機カバーおよびパイプカバーが、それぞれの被係止部を前記係止部に弾性的に嵌合させて固定金具に固定され、前記室外機および排気パイプをその正面側から覆う
ことを特徴とする外壁リフォーム構造。
【請求項2】
前記固定金具は、前記胴縁の正面に固定可能な平板状の固定部と、この固定部の一側端縁から立ち上がり、先端部が固定部側に向かって折り曲げられている前記係止部とを有し、
前記室外機カバーおよびパイプカバーは、ともに、その正面側に取り付けられた前記外壁材と、この外壁材の左右両端から背面側に向かって延びる平板状の側面部とを有し、この側面部は金属製であり、その背面側の部分は、正面側に折り返され、側面部の外側面に重ねられるとともに、先端部が、折り重ねられた部分の外側に折り曲げられて前記被係止部を形成しており、
室外機カバーおよびパイプカバーが固定金具に固定される際に、被係止部の内側に固定金具の係止部が挿入され、被係止部が係止部に弾性的に嵌合する
ことを特徴とする請求項1に記載の外壁リフォーム構造。
【請求項3】
既存の外壁の外壁面に複数本の胴縁を外壁面の高さ方向に所定間隔で取り付け、パネル状の外壁材を、胴縁間に跨るように取り付け、既存の外壁の上に外壁材を重ね張りする外壁リフォーム構造において、
エアーコンディショナーの室外機と、既存の外壁からその外側に引き出され、前記室外機に接続された排気パイプとのそれぞれの側方に、一定間隔離して前記胴縁を既存の外壁の外壁面に取り付け、その胴縁の正面に、係止部を有する固定金具を取り付け、弾性を有し、前記固定金具の係止部に弾性的に嵌合する被係止部を備えるとともに、少なくとも正面側に前記外壁材と同じ外壁材が取り付けられた室外機カバーおよびパイプカバーを、それぞれの被係止部を前記係止部に弾性的に嵌合させて固定金具に固定し、前記室外機および排気パイプをその正面側から覆う
ことを特徴とする外壁リフォーム方法。
【請求項4】
前記固定金具は、前記胴縁の正面に固定可能な平板状の固定部と、この固定部の一側端縁から立ち上がり、先端部が固定部側に向かって折り曲げられている前記係止部とを有し、
前記室外機カバーおよびパイプカバーは、ともに、その正面側に取り付けられた前記外壁材と、この外壁材の左右両端から背面側に向かって延びる平板状の側面部とを有し、この側面部は金属製であり、その背面側の部分は、正面側に折り返され、側面部の外側面に重ねられるとともに、先端部が、折り重ねられた部分の外側に向かって折り曲げられて前記被係止部を形成しており、
室外機カバーおよびパイプカバーを固定金具に固定する際に、被係止部の内側に固定金具の係止部を挿入し、被係止部を係止部に弾性的に嵌合させる
ことを特徴とする請求項3に記載の外壁リフォーム方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−46947(P2012−46947A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189578(P2010−189578)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】