説明

外壁縦目地の止水構造

【課題】外壁材の建込みの作業負担を軽くすることができ、しかも、帯板状止水材を、確実かつ施工容易に、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができる外壁縦目地の止水構造を提供する。
【解決手段】帯板状止水材3を柱1の正面部に落下阻止状態となるように柱1に保持させる保持機構5と、保持機構5により柱1に保持された帯板状止水材3を、柱1の正面部から屋外側に離間変位させて、縦目地8を挟む両外壁材2a,2aの背面部に押し付け状態にする押し付け機構6,6とが備えられ、押し付け機構6は、柱1を反力部とし、柱1の背面側からの操作で、帯板状止水材3を、外壁材2aの背面部に押し付け状態にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁縦目地の止水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量鉄骨軸組構造の建物において、鋼製柱の正面部に帯板状の止水材をあらかじめ貼り付けておき、外壁パネルの建方によって、柱を挟む左右の外壁パネルの外壁材の側部背面部を前記帯板状止水材に押付け状態にして外壁材間の縦目地を二次的に止水し、外壁材間の縦目地内には屋外側から一次止水用のガスケットを嵌め込んだ外壁縦目地の止水構造は、従来より提供されている。
【特許文献1】特許第2960405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような止水構造では、左右の外壁パネルをそれらの外壁材が帯板状止水材に対して押付け状態となるように建て込む必要があり、外壁パネルの建込みのための作業負担が大きいという問題があった。
【0004】
また、帯板状止水材は柱の正面部に貼り付けられているため、付属棟などの下屋との接続部においては、水切りの前に帯板状止水材を出すことができず、湿式リーリングを余儀なくされているという問題もあった。
【0005】
更に、狭小地では、一次止水用のガスケットを屋外側から外壁縦目地に嵌め込むのが困難な場合もある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、外壁材の建込みの作業負担を軽くすることができ、しかも、帯板状止水材を、確実かつ施工容易に、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができる外壁縦目地の止水構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、外壁材間の縦目地の背後に柱が備えられると共に、縦目地と柱との間に帯板状の止水材が縦向きに配置され、該帯板状止水材が縦目地を挟む両外壁材の背面部にわたされ該背面部に押し付け状態にされて縦目地を止水するようになされた外壁目地の止水構造において、
帯板状止水材を柱の正面部に落下阻止状態となるように柱に保持させる保持機構と、
該保持機構により柱に保持された帯板状止水材を、柱の正面部から屋外側に離間変位させて、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にする押し付け機構と
が備えられ、該押し付け機構は、柱を反力部とし、柱の背面側からの操作で、帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができるようになされており、
該押し付け機構が、前記保持機構により保持された帯板状止水材を柱の正面部から離間させて縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしていることを特徴とする外壁縦目地の止水構造によって解決される(第1発明)。
【0008】
この構造では、保持機構によって柱の正面側に保持されている帯板状止水材を、柱の背面側からの押し付け機構に対する操作によって、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができる構造となっているので、外壁材の建込みと、外壁材背面部への帯板状止水材の押し付けとが切り離され、外壁材の建込み作業を負担軽く行うことができ、しかも、外壁材の建込み後においても、帯板状止水材は保持機構によって柱と外壁材との間に保持され、柱の背面側からの操作で、帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができるようになされているので、その押し付けを確実かつ施工容易に行うことができる。
【0009】
また、帯板状止水材は、外壁材の背面部に押し付けられた止水状態において、柱の正面部から離間するようになされているので、付属棟などの下屋との接続部においてこの止水構造を適用した場合は、水切りの前に帯板状止水材を出すことができて、下屋の接続部の止水の乾式化に寄与することができる。
【0010】
第1発明において、前記保持機構が、柱側に螺合され柱の正面部から屋外側に突出する保持用ネジ軸からなり、該保持用ネジ軸が、帯板状止水材を貫通保持すると共に、縦目地内の一次止水用のガスケットに連結され、該ガスケットは、前記保持用ネジ軸に対する屋内側への螺動操作によって屋外側から縦目地内に引き入れられて挿入されている構造となっているのもよい(第2発明)。
【0011】
この構造では、外壁材の建方後、屋内側から保持用ネジ軸を屋内側に螺動操作することによって一次止水用のガスケットが屋外側から縦目地内に引き入れられて挿入されるので、狭小地においても、一次止水用のガスケットを外壁縦目地内に施工容易に嵌め込むことができる。
【0012】
また、第1,第2発明において、前記押し付け機構が、前記保持機構を兼ねずに柱側に螺合された押し付け専用のネジ軸からなり、該押し付け専用ネジ軸が柱側から屋外側に螺動され、その先端部が帯板状止水材の背面部を押して、該帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしているのもよい(第3発明)。
【0013】
この場合は、押し付け専用のネジ軸を屋内側からの操作で屋外側に螺動させることによって、帯板状止水材を外壁材の背面部に対して施工容易に押し付け状態にすることができると共に、押し付け専用のネジ軸でしっかりとした適正な押し付け状態にすることができる。
【0014】
また、第2発明において、前記帯板状止水材と柱の正面との間に押し付け機構を構成する圧縮バネが備えられ、
前記保持用ネジ軸は、柱側に螺合すると共に帯板状止水材と螺合して柱の正面部への帯板状止水材の保持と圧縮バネの圧縮保持を可能にするネジ部と、それよりも先端側の無ネジ部とを備え、
帯板状止水材は、保持用ネジ軸を屋内側に螺動させてガスケットを縦目地内に引き込んでいくことにより、保持ネジ軸のネジ部との螺合が解除されて無ネジ部に位置し、圧縮バネの復元力で外壁目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にされる構造となっているのもよい(第4発明)
この場合は、保持用ネジ軸を屋内側に螺進させて一次止水用ガスケットを外壁目地内に引き込んでいく操作を行えば、その過程で、帯板状止水材が、圧縮バネの復元で外壁材の背面部に押し付けられ、一次止水用ガスケットの挿入と、帯板状止水材の押し付けを、能率良く行うことができる。
【0015】
また、第4発明において、前記保持用ネジ軸の無ネジ部の先端側に、押し付け機構を構成する第2のネジ部が備えられ、圧縮バネが復元すると帯板状止水材が第2ネジ部と螺合可能となり、保持用ネジ軸に対する回転操作で帯板状止水材が第2ネジ部によるネジ送り作用で外壁目地を挟む両外壁材の背面部に押し付けられているのもよい(第5発明)。
【0016】
この場合は、一次止水用ガスケットの挿入と、帯板状止水材の押し付けを、能率良く行うことができ、しかも、第2ネジ部の作用でしっかりとした適正な押し付け状態を形成することができる。
【0017】
また、第2発明において、前記保持用ネジ軸が、帯板状止水材を螺合させる、向きが逆のネジ部を備え、該保持用ネジ軸に対する屋内側への螺動操作によって、帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしているのもよい(第6発明)。
【0018】
この場合は、保持用ネジ軸だけの簡素な構造により、一次止水用ガスケットの挿入と、帯板状止水材の押し付けを行うことができる。
【0019】
第1発明において、前記押し付け機構が、保持機構を兼ねて柱側に螺合された押し付け保持兼用のネジ軸からなり、該ネジ軸に帯板状止水材が保持されると共に、該ネジ軸が柱側から屋外側に螺動され、帯板状止水材を押して、該帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしているのもよい(第7発明)。
【0020】
この場合は、押し付け保持兼用のネジ軸だけの簡素な構造により、帯板状止水材の保持と外壁材背面部への帯板状止水材の押し付けを行うことができ、しかも、ネジ軸の作用でしっかりとした適正な押し付け状態にすることができる。
【0021】
また、第1〜第7発明において、下屋の接続部において、止水用の水切りが、柱と帯板状止水材との間に差し込まれて同接続部が止水されているのもよい(第8発明)。この場合は、上にも述べたように、下屋の接続部の止水の乾式化に寄与することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のとおりのものであるから、外壁材の建込みの作業負担を軽くすることができ、しかも、帯板状止水材を、確実かつ施工容易に、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1及び図2に示す第1実施形態の外壁縦目地の止水構造は、第1、第2、第3発明の技術思想が用いられたもので、図1(ロ)において、1は柱、2,2は左右の外壁パネル、3は帯板状止水材、4は一次止水用のガスケット、5は保持機構としての保持用ネジ軸、6は押し付け機構としての押し付け専用ネジ軸である。
【0025】
柱1は、屋内側に開口する内部空洞の鋼製柱からなっており、外壁パネル2は、面状の外壁材2aの背面部にパネルフレーム2bが取り付けられたものからなっている。また、帯板状止水材3は、硬質の帯板状プレートの片面又は両面にゴムや樹脂等による弾性層が設けられ、外壁材2aの背面部と向き合う面部にゴムや樹脂等による弾力性を備えた立ち上がり状のヒレが備えられたものなどが用いられてよい。
【0026】
施工は、まず、図2(イ)に示すように、柱1の正面部中央に形成された貫通のネジ孔7(図1(ロ)参照)に、屋内側から保持用ネジ軸5を螺合し、屋外側に螺動させて柱1の正面部から突出させ、該突出部で帯板状止水材3を貫通保持状態にし、該突出部の先端にガスケット4をボールジョイント機構などにより回転可能に連結する。
【0027】
なお、保持用ネジ軸5の突出長さは、図2(ロ)に示すように、外壁パネル2,2の建込みを終了した状態で、ガスケット4が縦目地8の外に位置するような寸法にしておく。帯板状止水材3は、外壁パネル2,2の建込みを容易にするため、柱1の正面部に沿うように寄せ込んでおくとよい。その寄せ込み状態で柱1に軽く仮止めしておくのもよい。保持用ネジ軸5は、帯板状止水材3を貫通しているだけで帯板状止水材3と螺合はしていない。以上までの準備は、工場等において、建てる前の柱材に対してあらかじめ行ってもよいし、建築の現場に建てられた柱に対して行ってもよい。
【0028】
次いで、図2(ロ)に示すように、柱1をパネルフレーム2b,2bで左右から挟むように左右の外壁パネル2,2の建込みを行い、柱1とパネルフレーム2b,2bをボルト9等で一体化する。この建込みでは、帯板状止水材3が外壁材2a,2aの背面部に押し付け状態となるようにする必要はなく、従って、外壁パネル2の建込みを作業負担軽く行っていくことができる。
【0029】
しかる後、図2(ハ)に示すように、保持用ネジ軸5を、柱1の背面側、即ち、屋内側からの回転操作で、屋内側に螺動させ、ガスケット4を屋外から外壁材2a,2a間の縦目地8内に引き込んで挿入する。
【0030】
そして、図2(ニ)に示すように、柱1の正面部中央を挟む左右両側に形成された貫通のネジ孔10,10(図1(ロ)等参照)に、屋内側から、ビスなどによる押し付け専用ネジ軸6,6を螺合し、屋内側からの回転操作によって、該押し付け専用ネジ軸6,6を屋外側に螺動させ、その先端部で帯板状止水材3の背面部を押し、該帯板状止水材3を、縦目地8を挟む両外壁材2aの背面部に押し付け状態にすれば、図1に示すような外壁縦目地の止水構造が形成されている。
【0031】
なお、保持用ネジ軸5と帯板状止水材3との間の止水は、帯板状止水材3に備えさせたゴム状の環状止水部をその復元力で保持用ネジ軸5の外周部に押し付けるなどの手段によって行われてもよい。
【0032】
このように、上記の構造では、外壁パネル2,2の建込みと、外壁材2a,2aの背面部への帯板状止水材3の押し付けとが切り離されているので、外壁パネル2,2の建込み作業を負担軽く行うことができ、しかも、外壁パネル2,2の建込み後においても、帯板状止水材3は保持用ネジ軸5によって柱1と外壁材2aとの間に保持され、柱1の背面側、即ち屋内側からの操作で、帯板状止水材3を、縦目地8を挟む両外壁材2a,2aの背面部に押し付け状態にすることができるようになされているので、その押し付けを確実かつ施工容易に行うことができ、また、押し付け専用ネジ軸6でしっかりとした適正な押し付け状態を形成することができ、狭小地においても、一次止水用のガスケット4を屋内側からのアクセスで目地8内に施工容易に嵌め込むことができる。
【0033】
図3及び図4に示す第2実施形態の外壁縦目地の止水構造は、第1,第2,第4、第5発明の技術思想が用いられたもので、帯板状止水材3と柱1の正面との間に押し付け機構を構成するコイルスプリングなどによる圧縮バネ11が備えられている。
【0034】
また、保持用ネジ軸5には、柱1に螺合すると共に帯板状止水材3と螺合して柱1の正面部への帯板状止水材3の保持と圧縮バネ11の圧縮保持を可能にする第1ネジ部5aが備えられていると共に、それよりも先端側に無ネジ部5bが備えられ、更にその先端側に、押し付け機構を構成する第2ネジ部5cが備えられたものからなっている。
【0035】
施工は、まず、図3(ロ)に示すように、柱1の正面部中央に形成された貫通のネジ孔7(図3(イ)参照)に、屋内側から保持用ネジ軸5を貫通させて第1ネジ部5aを螺合すると共に、該保持用ネジ軸5を柱1の正面側において圧縮バネ11に通し、保持用ネジ軸5を帯板状止水材3の孔12(図3(イ)参照)に通して該孔12に同保持用ネジ軸5の第1ネジ部5aを螺合し、圧縮バネ11を柱1と帯板状止水材3との間で圧縮変形させた状態にする。また、保持用ネジ軸5の先端部には、第1実施形態と同様に、一次止水用のガスケット4を回転自在に連結しておく。
【0036】
次いで、図3(ハ)に示すように、左右の外壁パネル2,2の建込みを行い、しかる後、図4(ニ)に示すように、保持用ネジ軸5を屋内側からの回転操作で、屋内側に螺動させ、ガスケット4を屋外から外壁材2a,2a間の縦目地8内に引き込んで挿入していく。すると、その過程で、保持用ネジ軸5の第1ネジ部5aと帯板状止水材3との螺合が解除されて帯板状止水材3が無ネジ部5bに位置し、それによって、図4(ホ)に示すように、帯板状止水材3が圧縮バネ11の復元で、縦目地8を挟む左右の外壁材2a,2aの背面部に押し付けられた状態になる。
【0037】
その時点で、ガスケット4も目地8の所定の深さに位置して、施工を完了し、外壁縦目地の止水構造が形成されるようにしてもよい(第4発明の実施形態)が、本実施形態では、更に、帯板状止水材3は、圧縮バネ11で外壁材2aの背面部に押し付けられると、保持用ネジ軸5の第2ネジ部5cと螺合し、図4(ヘ)に示すように、保持用ネジ軸5に対する回転操作により帯板状止水材3が第2ネジ部5cによるネジ送り作用で外壁目地8を挟む両外壁材2a,2aの背面部に押し付けられるようになされて押し付けられ、そして、ガスケット4も目地8の所定の深さに位置して、施工を完了し、外壁縦目地の止水構造が形成されている(第5発明の実施形態)。
【0038】
この構造では特に、保持用ネジ軸5を屋内側に螺進させてガスケット4を目地8内に引き込んでいく操作を行えば、その過程で、帯板状止水材3が、圧縮バネ11の復元で外壁材2a,2aの背面部に押し付けられ、一次止水用ガスケット4の挿入と、帯板状止水材3の押し付けを、能率良く行うことができる。また、第2ネジ部5cの作用でしっかりとした適正な押し付け状態を形成することができる。
【0039】
図5に示す第3実施形態の外壁縦目地の止水構造は、第1、第2,第6発明の技術思想が用いられたもので、保持用ネジ軸5が、柱1側と螺合してガスケット4を引き込む第1ネジ部5dと、帯板状止水材3を螺合させる、第1ネジ部5dとはネジの向きが逆の第2ネジ部5eとを備え、該保持用ネジ軸5を屋内側に螺動させ、ガスケット4を目地8内に引き込んで挿入していくのと併せて、帯板状止水材3を、縦目地8を挟む両外壁材2a,2aの背面部に押し付け状態にしているものである。
【0040】
なお、1aはプレートで、該プレート1aに柱1側のネジ孔7が明けられ、柱1には無ネジの孔13が明けられ、該プレート1aを柱1に取り付けることにより、柱1側にネジ孔7が形成された構造となっている。この構造は、上の第1,第2実施形態の構造においても採用されてよい。
【0041】
この構造では特に、保持用ネジ軸5だけの簡素な構造により、一次止水用ガスケット4の挿入と、帯板状止水材3の押し付けを行うことができる。
【0042】
図6に示す第4実施形態の外壁縦目地の止水構造は、第1、第7発明の技術思想が用いられたもので、押し付け保持兼用のネジ軸14が備えられ、該押し付け保持兼用ネジ軸14は、柱1側のネジ孔7に螺合され、該押し付け保持兼用ネジ軸14の先端部に帯板状止水材3が回転可能に連結保持され、押し付け保持兼用ネジ軸14が柱1側から屋外側に螺動され、帯板状止水材3を押して、該帯板状止水材3を、縦目地8を挟む両外壁材2a,2aの背面部に押し付け状態にしているものである。一次止水用のガスケット4は、屋外側からの押し込みによって目地8内に挿入される仕様となっている。
【0043】
この構造では特に、押し付け保持兼用ネジ軸14だけの簡素な構造により、帯板状止水材3の保持と外壁材2a背面部への帯板状止水材3の押し付けを行うことができ、しかも、押し付け保持兼用ネジ軸14の作用でしっかりとした適正な押し付け状態にすることができる。
【0044】
図7に示す第5実施形態は、第8発明の技術思想が用いられたもので、下屋の接続部において、止水用の水切り15が、柱1と帯板状止水材3との間に差し込まれて同接続部が止水されているものである。即ち、帯板状止水材3は、図7(イ)に示すように、柱1の側に寄せ込まれた状態から、外壁材の背面部に押し付けられることによって、図7(ロ)に示すように柱1から離間され、これによって形成された柱1と帯板状止水材3との間の隙間16を利用して上記の水切り15が差し込まれ、帯板状止水材3が水切り15の前に配置されたものである。なお、外壁縦目地の止水構造それ自体は、第1〜第4実施形態のものなどが用いられてよい。この構造では特に、帯板状止水材3が水切り15の前に位置していることで、下屋の接続部の止水の乾式化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の外壁縦目地の止水構造を示すもので、図(イ)は断面平面図、図(ロ)は分解平面図である。
【図2】図(イ)〜図(ニ)は、施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図3】第2実施形態の外壁縦目地の止水構造を示すもので、図(イ)は分解平面図、図(ロ)及び図(ハ)は、図4(ニ)〜(ヘ)と共に施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図4】図(ニ)〜図(ヘ)は、図3(ロ)(ハ)と共に施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図5】第3実施形態の外壁縦目地の止水構造を示すもので、図(イ)は分解平面図、図(ロ)は施工完了状態の断面平面図である。
【図6】第4実施形態の外壁縦目地の止水構造を示すもので、図(イ)〜図(ホ)は施工方法を順次に示す断面平面図である。
【図7】第5実施形態を示すもので、図(イ)は下屋の接続部において帯板状止水材を外壁材に押し付ける前の状態の断面側面図、図(ロ)は押し付けた状態の断面側面図、図(ハ)は水切りが設置された状態の断面側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…柱
2a…外壁材
3…帯板状止水材
4…一次止水用ガスケット
5…保持用ネジ軸(保持機構)
5a…第1ネジ部
5b…無ネジ部
5c…第2ネジ部
5d…第1ネジ部
5e…第2ネジ部
6…押し付け専用ネジ軸(押し付け機構)
8…縦目地
11…圧縮バネ
14…押し付け保持兼用ネジ軸(保持機構、押し付け機構)
15…水切り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁材間の縦目地の背後に柱が備えられると共に、縦目地と柱との間に帯板状の止水材が縦向きに配置され、該帯板状止水材が縦目地を挟む両外壁材の背面部にわたされ該背面部に押し付け状態にされて縦目地を止水するようになされた外壁目地の止水構造において、
帯板状止水材を柱の正面部に落下阻止状態となるように柱に保持させる保持機構と、
該保持機構により柱に保持された帯板状止水材を、柱の正面部から屋外側に離間変位させて、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にする押し付け機構と
が備えられ、該押し付け機構は、柱を反力部とし、柱の背面側からの操作で、帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にすることができるようになされており、
該押し付け機構が、前記保持機構により保持された帯板状止水材を柱の正面部から離間させて縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしていることを特徴とする外壁縦目地の止水構造。
【請求項2】
前記保持機構が、柱側に螺合され柱の正面部から屋外側に突出する保持用ネジ軸からなり、該保持用ネジ軸が、帯板状止水材を貫通保持すると共に、縦目地内の一次止水用のガスケットに連結され、該ガスケットは、前記保持用ネジ軸に対する屋内側への螺動操作によって屋外側から縦目地内に引き入れられて挿入されている請求項1に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項3】
前記押し付け機構が、前記保持機構を兼ねずに柱側に螺合された押し付け専用のネジ軸からなり、該押し付け専用ネジ軸が柱側から屋外側に螺動され、その先端部が帯板状止水材の背面部を押して、該帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしている請求項1又は2に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項4】
前記帯板状止水材と柱の正面との間に押し付け機構を構成する圧縮バネが備えられ、
前記保持用ネジ軸は、柱側に螺合すると共に帯板状止水材と螺合して柱の正面部への帯板状止水材の保持と圧縮バネの圧縮保持を可能にするネジ部と、それよりも先端側の無ネジ部とを備え、
帯板状止水材は、保持用ネジ軸を屋内側に螺動させてガスケットを縦目地内に引き込んでいくことにより、保持ネジ軸のネジ部との螺合が解除されて無ネジ部に位置し、圧縮バネの復元力で外壁目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にされる構造となっている請求項2に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項5】
前記保持用ネジ軸の無ネジ部の先端側に、押し付け機構を構成する第2のネジ部が備えられ、圧縮バネが復元すると帯板状止水材が第2ネジ部と螺合可能となり、保持用ネジ軸に対する回転操作で帯板状止水材が第2ネジ部によるネジ送り作用で外壁目地を挟む両外壁材の背面部に押し付けられている請求項4に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項6】
前記保持用ネジ軸が、帯板状止水材を螺合させる、向きが逆のネジ部を備え、該保持用ネジ軸に対する屋内側への螺動操作によって、帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしている請求項2に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項7】
前記押し付け機構が、保持機構を兼ねて柱側に螺合された押し付け保持兼用のネジ軸からなり、該ネジ軸に帯板状止水材が保持されると共に、該ネジ軸が柱側から屋外側に螺動され、帯板状止水材を押して、該帯板状止水材を、縦目地を挟む両外壁材の背面部に押し付け状態にしている請求項1に記載の外壁縦目地の止水構造。
【請求項8】
下屋の接続部において、止水用の水切りが、柱と帯板状止水材との間に差し込まれて同接続部が止水されている請求項1乃至7のいずれか一に記載の外壁縦目地の止水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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