説明

外張り断熱用二重通気のための断熱材

【課題】屋根や外壁の外張り断熱構造において、二重通気層を実現するための断熱材を提供する。
【解決手段】垂木6間に配置される断熱材1であって、断熱材1は第一の通気層Aとなる中空部4を有し、かつ垂木6間への配置状態で断熱材1の上側に設けられる平板7との間に第二の通気層Bを形成する凹部5を有する断熱材1。断熱材1は、第一部材2と第二部材3とからなり、第一部材2は、第二部材3とともに第一の通気層Aとなる中空部4を形成する凹部5を有し、第二部材3は、第一部材2とともに第一の通気層Aとなる中空部を形成し、かつ平板と第二の通気層Bを形成するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重通気のための断熱材に関する。詳しくは、屋根や外壁などの外張り断熱工法で二重通気を実現するための断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根などの外張り断熱工法では断熱材の外側に、遮熱や湿気の排出を目的として通気層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−132025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、通気層内の空気が高温になると十分な遮熱効果が得られないといった問題があった。
【0005】
そこで、更に一層の通気層を設け、二重通気層とすることで遮熱効果を高める提案がなされているが、二重通気層を設けるために、断熱材やスペーサーなど余分に部材が必要となり、さらに、施工も複雑になり手間がかかるといった問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、屋根や外壁の外張り断熱構造において、二重通気層を実現するための断熱材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、桟木間に配置される断熱材であって、該断熱材は第一の通気層となる中空部を有し、かつ、桟木間への配置状態で該断熱材の上側に設けられる平板との間に第二の通気層を形成する凹部を有することを特徴とする断熱材により解決される。
【0008】
この断熱材は、断熱材自体に第一の通気層となる中空部と、桟木間への配置状態で断熱材に接して設けられる平板との間に第二の通気層と形成する凹部を有しているので、屋根や外壁の下地となる垂木や柱などの桟木間へこの断熱材を取り付けたあと、野地板や外壁面材などの平板を取り付けるだけで、二重の通気層を有する外張り断熱構造とすることができる。
【0009】
特に、この断熱材を使用することで、外張り断熱構造での2重通気層を、断熱材とスペーサーとの組み合わせによらず実現できるので、少ない部品点数で、しかも、施工容易に実現することができる。
【0010】
さらに、この断熱材が、第一部材と第二部材とからなり、第一部材は、第二部材とともに第一の通気層となる中空部を形成する凹部を有し、第二部材は、第一部材とともに第一の通気層となる中空部を形成し、かつ前記平板と第二の通気層を形成するとよい。
【0011】
この断熱材の第一の通気層となる中空部を第一部材と第二部材により形成するため、一つの部材で中空部を実現する場合と異なり、部材自体に中空部が必要でないため、部材の製造工程において、中空部を設けるための押し出し成型やくりぬき作業が必要でなく、部材の製造の自由度を高めることができる。特に、断熱材の素材として発泡ポリスチレン等の製造工程に発泡工程を含む材料を利用するときに、より効率的に本断熱材を製造することができる。また、第一部材、第二部材それぞれ分割することで、運搬や施工時に中空部に荷重がかかることによって断熱材が破損するおそれもない。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりであるから、本断熱材を利用することにより、部品点数が少なく施工容易に、屋根や外壁の外張り断熱工法において、二重通気層を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の断熱材を示す図であって、図(イ)は断面正面図、図(ロ)は断面側面図、図(ハ)は、分解断面正面図である。
【図2】断熱材を屋根に用いた場合を示す図であって、図(イ)は断面正面図、図(ロ)は分解断面正面図、図(ハ)は、断熱材が用いられる建物全体の斜視図である。
【図3】断熱材を外壁に用いた場合を示す断面正面図である。
【図4】図(イ)乃至(ハ)は、本発明の他の実施形態を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す本発明の実施形態である屋根の外張り断熱工法で二重通気を実現するための断熱材1において、2は第一部材、3は第二部材である。
【0016】
第一部材2は、ベース部2aと、ベース部2aの左右両側に、対の立ち上がり部2b,2bが設けられ、各立ち上がり部2b,2bの上端部に外方に張り出す水平な対の水平部2c,2cが設けられており、ベース部2aと対の立ち上がり部2b,2bにより凹部2dが形成されている。一方、第二部材3は、ベース部3aとベース部2aの左右両側に、対の立ち上がり部3b,3bが設けられており、ベース部3aと対の立ち上がり部3b,3bにより凹部3dが形成されている。
【0017】
第一部材2と第二部材3は、それぞれ凹部2d,3d同士を向かい合わせにして嵌め合わすことで、第一の通気層となる断熱材1の中空部4を形成する。また、第一部材2の凹部2dの深さより、第二部材3の厚みが小さいため、第1部材2に第二部材3を嵌め込んだ状態で、断熱材1の上に設けられる野地板とともに第二の通気層を形成する、断熱材1の凹部5が形成される。なお、第2部材3の幅寸法を、第一部材2の凹部の2dの幅寸法と等しくしておくことで、第一部材2と第二部材3との一体化を締結具や接着剤などを使うことなく実現することができる。
【0018】
断熱材1の屋根への取り付けは、図2に示すように、垂木6,6上に第一部材2の水平部2c,2cを載せて垂木6,6間に取り付けていく。その上から平板としての野地板7を載せ、断熱材1とともにビス8,8で垂木7,7に固定する。なお、9は断熱材下地合板、10は下地桟、11は内装材である。
【0019】
断熱材1を垂木6,6間に取り付けることで、断熱材1の中空部4による第一の通気層Aと、断熱材1の凹部5と野地板7により形成される第二の通気層Bを有する外張り断熱構造が、部品点数が少なく、施工容易実現することができる。なお、第一部材2と第2部材3との一体化は、垂木への取り付け前に行ってもよいし、垂木に第一部材2を取り付けた後で、第二部材と一体化してもよい。
【0020】
図3は本発明を外壁における外張り断熱構造に適用した場合について示したものである。15は柱、16は平板としての外壁面材、17は外壁面材16,16間に充填されるシーリング材、18は内装材である。外壁における外張り断熱構造においても、本断熱材1を使用することで、部品点数すくなく、施工容易に、外張り断熱構造において、二重通気層を実現することができる。
【0021】
図4は、本発明の他の実施形態を示すものであって、図(イ)は、一部品からなる断熱材である。この断熱材を一体成型してもよいし、2部品若しくは3部品以上を結合して一体化してもよい。
【0022】
図(ロ)は、断熱材が第一部材22と第二部材23とからなり、第一部材22の凹部22dの左右両端部には、立ち上がり部22b,22b側にそってそれぞれ支持部22e,22eが設けられ、水平な板状の第二部材23を支持するようになされている。
【0023】
図(ハ)は、第一部材32と第二部材33を一体化させるために、突起部33f,33fと突起部が嵌め込まれる孔部32g,32gが設けられている。
【0024】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、断熱材として発泡ポリスチレンを使用した場合について示したが、断熱材の素材はこれに限定されることはなく、断熱性能を有し、本発明の形態を実現できるものであれば特に限定はない。
【符号の説明】
【0025】
1・・・断熱材
2・・・第一部材
3・・・第二部材
4・・・中空部
5・・・凹部
6・・・垂木(桟木)
7・・・野地板(平板)
15・・・柱(桟木)
16・・・外壁面材(平板)
A・・・第一の通気層
B・・・第二の通気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桟木間に配置される断熱材であって、
該断熱材は第一の通気層となる中空部を有し、
かつ、桟木間への配置状態で該断熱材の上側に設けられる平板との間に第二の通気層を形成する凹部を有することを特徴とする断熱材。
【請求項2】
第一部材と第二部材とからなり、
第一部材は、第二部材とともに第一の通気層となる中空部を形成する凹部を有し、
第二部材は、第一部材とともに第一の通気層となる中空部を形成し、かつ前記平板と第二の通気層を形成する請求項1に記載の断熱材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−122360(P2011−122360A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281047(P2009−281047)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】