説明

外用貼付剤およびその製造方法

【課題】 製造工程中における揮発性あるいは熱分解性薬物の蒸気発生、分解、引火、さらにはそれに伴う火災などの危険がなく、しかも長時間にわたって該薬物を安定に放出することのできる外用貼付剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 薬物不透過性の支持体と、膏体基剤中に粘着剤を含有し、第1の膏体層と第2の膏体層との2層からなる膏体層と、剥離ライナーとより構成される外用貼付剤であって、第1および/または第2の膏体層が揮発性あるいは熱分解性薬物を含有するものであり、さらに、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの合計が300μm以上であり、かつ、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比が0.03〜0.67であることを特徴とする外用貼付剤並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物として揮発性あるいは熱分解性薬物を含有する外用貼付剤およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、製造工程中における揮発性あるいは熱分解性薬物の蒸気発生、分解、引火、さらにはそれに伴う火災などの危険がなく、該薬物の経皮吸収速度をコントロールすることにより治療に有効な薬物吸収量を長時間維持させることが可能な外用貼付剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外用貼付剤は、経口剤を服用した場合に問題となる薬物の副作用の発現や、生物学的利用率の低下等がなく、かつ薬物を持続的に投与できる点で、非常に優れた投与形態の一つである。例えば、薬物としてインドメタシンなどの消炎鎮痛薬、ニトログリセリンなどの狭心症/心不全治療薬、エストラジオールなどの更年期障害/骨粗鬆症治療薬、ツロブテロールなどの気管支拡張作用薬を含有した外用貼付剤が開発され、市販されている。
【0003】
外用貼付剤は、その構成として、必要な薬物を貯蔵するための薬物含有手段と、該薬物含有層を皮膚上に固定するための固定手段とを含む必要がある。代表的な貼付剤として、薬物を含有する薬物貯蔵層と皮膚に固定するための粘着剤層の2層からなるリザバー型貼付剤、また、該2層が一体であり、薬物と粘着剤とを含む薬物含有粘着剤層からなるマトリックス型貼付剤が挙げられる。
【0004】
薬物の中には、沸点が比較的低い揮発性あるいは熱分解性の高い薬物が存在する。例えば、揮発性液状薬物であるニコチンの場合、揮発による損失があり、また加熱すると蒸気が発生し、蒸気は空気と爆発性の混合気体を生成することもある。また、熱分解性および爆発性のあるニトログリセリンにおいても、揮発による損失や、加熱による分解、爆発の危険が生じる。そのため、製造時に薬物含有層に熱処理を施すような製造方法は避ける必要がある。
【0005】
また、ニコチンやニトログリセリンは、経皮吸収性が非常に高い薬物であるため、徐放により吸収速度を一定に維持することが難しいという問題もあった。例えば、裏当て層と、ニコチンを含有する高分子物質層からなる製剤が知られているが(特許文献1、特許文献2)、該製剤は貼付初期のニコチン吸収量が多く、急激なニコチン吸収による副作用発現や、治療に有効なニコチン吸収量を長時間持続することができないなどの問題がある。
【0006】
一方、裏当て層、固定接着層、(薬物)吸着性主体層および皮膚接触接着層からなる皮膚透過性投与具等のリザバー型貼付剤に関する発明も知られており(特許文献3〜6)、該発明は薬物吸着性の主体層と皮膚接触接着層を使用することにより、急激な薬物吸収を抑制し、その吸収を長時間持続させることを特徴としている。しかしながら、主体層と皮膚接触接着層を使用することにより製剤設計が複雑となり、高価な材料を使用する場合にはコストも上昇するという問題があり、また、貼付剤が破損した場合に高濃度の薬物が流出し、皮膚刺激などの副作用が問題となることも考えられる。
【0007】
更に、裏当て層、ニコチン補給層および薬物コントロール手段(制御層など)からなる皮膚透過性ニコチン膏薬に関する発明も公知であり(特許文献7)、この発明はマトリックス型貼付剤とリザバー型貼付剤の両方の形態を含み、薬物コントロール手段によりニコチンを持続的に投与することが特徴である。しかしながら、前記のリザバー型貼付剤と同様に、薬物コントロール手段を使用することにより製剤設計が複雑となり、高価な材料を使用する場合にはコストも上昇するなどの問題がある。
【0008】
更にまた、裏当て層、デポ剤(薬物含有)、放出制御用マトリックスおよび感圧接着構造体からなる皮膚透過性ニコチン膏薬に関するリザバー型貼付剤も知られている(特許文献8)。この貼付剤は、マトリックス内部にデポ剤を配置するリザバーマトリックスの薬物補給層を有することが特徴であり、液状の薬物含有層等が使用可能で、薬物吸収量をコントロールし、かつ貼付剤が破損した場合の薬物流出を防ぐことができる。しかしながら、前記のリザバー型貼付剤と同様に、リザバーマトリックスを使用することにより製剤設計が複雑となり、高価な材料を使用する場合にはコストも上昇するなどの問題がある。
【0009】
上記の通り、公知のニコチンを含有する貼付剤の多くはリザバー型貼付剤であるが、リザバー型貼付剤は構造が複雑であるため、その製造方法が煩雑であり、特殊な製造装置が必要になるという欠点がある。これに対し、マトリックス型貼付剤であれば製造方法は比較的容易であり、工業的には好ましいが、揮発性のニコチンを含有するマトリックス型貼付剤を得るためには、加熱しない製造方法と、治療に有効なニコチン吸収量を長時間持続的に投与させるための製剤設計が必要とされている。
【0010】
ところで、外用貼付剤の製造方法の代表的な方法として、例えば、薬物及びその他の膏体層成分を酢酸エチル、ヘキサン、トルエン等の有機溶媒に溶解させ、この溶解物を剥離ライナー上に展延し、該溶解物中の溶媒を留去させ膏体層を形成した後、支持体を貼り合わせる方法(以下、溶剤法とする)や、薬物及びその他の膏体層成分を加熱溶融させ、この溶融物を剥離ライナー上に展延し、膏体層を形成した後、支持体を貼り合わせることによって得る方法(以下、ホットメルト法とする)が挙げられる。なお、上記溶剤法には、溶解物を支持体上に展延し、溶媒を留去させ膏体を形成した後、剥離ライナーを貼り合わせる方法を含み、また、上記ホットメルト法には、溶融物を支持体上に展延し、膏体を形成した後、剥離ライナーを貼り合わせる方法を含む。
【0011】
ホットメルト法は、薬物および膏体層成分を融解する際に加熱するため、揮発性あるいは熱分解性の高い薬物の場合、揮発、蒸気発生による薬物含量の低下、さらには分解、引火などの危険が伴うものであり、低温ホットメルト法によるニコチン貼付剤の製造方法も報告されているが、該製造方法の製造時の加工温度は40〜80℃であり、やはり薬物の揮発または分解の可能性は避けられない(特許文献9)。これに対し、溶剤法では溶媒により薬物および膏体成分を溶解し、剥離ライナーまたは支持体上に展延後、ほぼ室温にて溶媒を留去できるため、薬物の揮発または分解等の問題はない。仮に生産効率を向上させるため加熱する場合でも短時間で溶媒の留去が可能であり、薬物の揮発または分解は極めて少ない。ただし、膏体層の厚さが200μmを超えた場合、膏体層中から溶媒を完全に留去させることは困難な場合が多い。
【0012】
一方、ニコチンを含有するマトリックス型貼付剤から治療に有効なニコチン吸収量を長時間持続的に投与させるための製剤設計の一つの方法として、膏体層を比較的厚くすることにより薬物の経皮吸収速度をコントロールする方法が挙げられる。具体的には、膏体層の成分量を増量して単純に厚さを増やす方法、2層以上の膏体層を積層して厚さを増やす方法が挙げられる。前者の場合、膏体層の厚さが厚くなると、溶剤法による製造では、膏体層から溶剤(溶媒)を留去する際に膏体中に溶媒が残留する問題が発生する。一方、後者の場合、例えば、裏当て層、高分子物質層、薬物含有担体および感圧性接着剤層からなる複合医薬製剤の製造方法が開示されている(特許文献10)。該発明は、組成の異なる3層を積層させるため、加温熟成により薬物を拡散させる必要があり、また、製造工程が煩雑になるなどの問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開昭61−251619号公報
【特許文献2】特表平9−505028号公報
【特許文献3】特表平3−505044号公報
【特許文献4】特開平8−81364号公報
【特許文献5】特表平8−502727号公報
【特許文献6】特開2004−168734号公報
【特許文献7】特開平2−174714号公報
【特許文献8】特表平1−503706号公報
【特許文献9】特表平2−500569号公報
【特許文献10】特開昭58−148815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記した各問題点を解決するものであり、膏体層中に含有する揮発性あるいは熱分解性薬物を長時間にわたり安定に放出することができ、かつ、製造工程中における該薬物の蒸気発生、分解、引火、さらにはそれに伴う火災などの危険がないマトリックス型外用貼付剤およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、第1の膏体層と、第2の膏体層の2層からなる膏体層中に揮発性あるいは熱分解性薬物を含有させ、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの合計を300μm以上とし、かつ、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比を0.03〜0.67とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
すなわち本発明は、薬物不透過性の支持体と、膏体基剤中に粘着剤を含有し、第1の膏体層と第2の膏体層との2層からなる膏体層と、剥離ライナーとより構成される外用貼付剤であって、第1および/または第2の膏体層が揮発性あるいは熱分解性薬物を含有するものであり、さらに、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの合計が300μm以上であり、かつ、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比が0.03〜0.67であることを特徴とする外用貼付剤である。
【0017】
また本発明は、次の工程、
(1)薬物不透過性の支持体上に、溶剤法により、粘着性を有し、揮発性あるいは熱分解性薬物を含有する第1の膏体層を形成する工程
(2)剥離ライナー上に、ホットメルト法により、粘着性を有し、第1の膏体層中に含まれる揮発性あるいは熱分解性薬物が移行可能な第2の膏体層を形成する工程
(3)形成した第1および第2の膏体層を貼り合わせる工程
を含む外用貼付剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、揮発性あるいは熱分解性薬物の揮発、分解等がなく、薬物の経皮吸収速度をコントロールすることにより治療に有効な薬物吸収量を長時間維持させることが可能なマトリックス型外用貼付剤を提供することができる。従って、この外用貼付剤はニコチン、ニトログリセリンの他、多くの揮発性あるいは熱分解性薬物のための貼付剤として利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の貼付剤において使用される薬物は、揮発性あるいは熱分解性薬物である。本明細書における揮発性薬物とは、沸点が50℃以上250℃未満の薬物であり、製造工程において加熱により揮発しやすい薬物を指す。また、本発明における熱分解性薬物とは、製造工程において加熱により分解しやすい薬物を指す。本発明における揮発性薬物あるいは熱分解性薬物の代表例としてはニコチンが挙げられるが、これに留まらず、他の薬物として、例えばニトログリセリン、硝酸イソソルビド、リドカイン、ツロブテロール、ベンゾカイン、メカミラミン、セレギリン、サリチル酸、メントールなども挙げられる。本発明の貼付剤では、それらを単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明の貼付剤において、揮発性あるいは熱分解性薬物は、第1の膏体層に配合することが好ましい。第2の膏体層中に配合、または一部を配合することもできるが、該薬物の蒸気発生、分解、引火、さらにはそれに伴う火災などの危険性や、また、これに伴う膏体層中の薬物含有量、および薬物の経皮吸収量の低下などの問題があり、あまり好ましくない。このときの揮発性あるいは熱分解性薬物は、第1の膏体層組成物全体に対して5〜50質量%(以下単に「%」という)、好ましくは10〜30%の範囲の量で用いられる。5%未満では、十分な薬物の経皮吸収量が得られないことがあり、好ましくない。また、50%を超える量では、薬物の影響により膏体層の凝集性が低下し、良好な膏体層が得られないことがある。
【0021】
本発明の貼付剤における、第1の膏体層の厚さは30〜200μm、好ましくは50〜150μmである。厚さが30μm未満では、膏体層の厚さを精度良く調整することが困難であり、良好な膏体層が得られない。また、200μmを超えると、乾燥工程において膏体層中から溶媒を留去することが困難である。
【0022】
一方、本発明の貼付剤における第2の膏体層の厚さは、300〜1000μm、好ましくは500〜800μmである。該第2の膏体層の厚さを300μm以上にすることにより、薬物の急激な皮膚吸収を抑制し、かつ、治療に有効な薬物吸収量を長時間維持することが可能となる。300μm未満では、治療に有効な薬物吸収量を長時間持続することができない。また、1000μmを超えると薬物の経皮吸収性およびその利用率が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明の貼付剤における膏体層は、揮発性あるいは熱分解性薬物を長時間にわたり安定に放出するため、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの合計が300μm以上であることが好ましい。合計の厚さが300μm未満では、治療に有効な薬物吸収量を長時間維持することができない。
【0024】
さらに、本発明の貼付剤における第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比は、0.03〜0.67であることが好ましい。第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比が0.03未満では、第1の膏体層の厚さが薄くなり膏体層の厚さの調整が困難となる場合があり、また、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比が0.67を超えると、第1の膏体層の厚さが厚くなり、第1の膏体層を調製する際に、乾燥工程において膏体層から溶媒を留去することが困難となる場合がある。
【0025】
本発明の第1および/または第2の膏体層の基剤中には粘着剤が含まれ、粘着性を有するものであり、この粘着性によって両膏体層の十分な強度での積層が可能となる。これらの膏体層中に含まれる粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。その中でもゴム系粘着剤が好ましく、該ゴム系粘着剤のエラストマーとして天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびポリイソブチレンから選ばれた1種を単独で使用する、あるいは2種以上を併用することが好ましい。
【0026】
本発明の第1および/または第2の膏体層の基剤中に含まれるゴム系粘着剤は、それぞれ適当なものを使用することができるが、第1および第2の膏体層中に共にゴム系粘着剤を使用し、さらにこれらが同じエラストマーである場合、第1の膏体層と第2の膏体層との相性が高まり、それら膏体層間における優れた接着性が得られるので好ましい。
【0027】
本発明の外用貼付剤の膏体層中には、上記に記載の成分に加え、公知の任意成分を加えることができる。該任意成分としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤、流動パラフィン、ひまし油、ラノリンなどの軟化剤、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤などが挙げられる。
【0028】
本発明の外用貼付剤において使用される、薬物不透過性で伸縮性または非伸縮性の支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂フィルム又はシートあるいはこれらの積層体、多孔質体、発泡体、紙、及び不織布などが挙げられる。この支持体は、第1の膏体層と十分に接着できるものであることが好ましい。
【0029】
また、本発明の外用貼付剤には、第2の膏体層上(皮膚に貼付する面)に、薬物不透過性の剥離ライナーを使用することが望ましい。このような剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子材料で作られたフィルムや、フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、紙の上にシリコーンオイル等を塗付したものなどが挙げられる。
【0030】
本発明の貼付剤の製造は、薬物不透過性の支持体(以下、「支持体」ということがある)上に、粘着剤を含む基剤中に揮発性あるいは熱分解性薬物(以下、「薬物」ということがある)を含有させてなる第1の膏体層を溶剤法により形成し、一方で剥離ライナー上に、第1の膏体層中に含まれる揮発性あるいは熱分解性薬物が移行可能な第2の膏体層をホットメルト法により形成し、それら第1および第2の膏体層を貼り合わせることにより行われる。
【0031】
より具体的には、次の工程を経ることにより製造される。
(1)薬物不透過性の支持体上に、溶剤法により、粘着性を有し、揮発性あるいは熱分
解性薬物を含有する第1の膏体層を形成する工程
(2)剥離ライナー上に、粘着性を有し、第1の膏体層中に含まれる揮発性あるいは熱
分解性薬物が移行可能な第2の膏体層を形成する工程
(3)形成した第1および第2の膏体層を貼り合わせる工程
【0032】
上記工程のうち、工程(1)は、まず、薬物、粘着剤および他の膏体層成分をヘキサン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒に溶解させ、この溶解物を支持体上に展延し、該溶解物中の溶媒を留去させることにより行われ、第1の膏体層が得られる。なお、このとき、該溶解物をプラスチックフィルムなどのシート上に展延し、該溶解物中の溶媒を留去させた後に支持体を膏体層側に貼り合わせ、シートを取り除く方法などを用いてもよい。また、溶媒の留去に要する時間を短縮するため、乾燥工程にて、薬物の揮発または分解の影響が少ない範囲で、膏体層温度を室温よりもやや高い温度に維持させても良い。
【0033】
一方、工程(2)は、薬物を含まず、粘着剤を含む膏体層組成物を加熱溶融させ、この溶融物を剥離ライナー上に展延することにより行われ、第2の膏体層が得られる。なお、このとき、該溶融物をプラスチックフィルムなどのシート上に展延し、それから剥離ライナーを膏体層側に貼り合わせ、シートを取り除く方法により第2の膏体層を得る方法などを用いてもよい。
【0034】
工程(3)は、得られた第1の膏体層と第2の膏体層のそれぞれ膏体層側を貼り合わせ、ることにより行われる。そしてその後、第1の膏体層中に含まれる薬物を第2の膏体層へ十分に拡散させることにより、目的とする外用貼付剤を得ることができる。このように、溶剤法により得られる薬物を含む第1の膏体層と、ホットメルト法にて得られる薬物を含まない第2の膏体層を貼り合わせ、目的とする外用貼付剤を得ることができる。
【0035】
上記製造法において、第1の膏体層をホットメルト法で製造することは、揮発性あるいは熱分解性薬物および他の膏体層成分を加熱溶融させる際に該薬物の蒸気発生、分解などの問題があり、好ましくない。
【0036】
また、上記製造法において、第2の膏体層を溶剤法で製造することは、膏体層の厚さが200μmを超えると該膏体層中に溶媒が残留するなどの問題があり、好ましくない。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【0038】
実 施 例 1
ニコチン含有外用貼付剤の調製(1):
下記に示す組成、製法により、ニコチン含有外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 40部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0039】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、これを溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが600μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品1)を得た。
【0040】
実 施 例 2
ニコチン含有外用貼付剤の調製(2):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)水添テルペン樹脂 40部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)ポリイソブチレン 20部
(商品名:エクソンブチル065、エクソン化学社製)
(3)水添テルペン樹脂 30部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0041】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および水添テルペン樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、水添テルペン樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが600μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品2)を得た。
【0042】
実 施 例 3
ニコチン含有外用貼付剤の調製(3):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 30部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(3)ロジンエステル 30部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−172、カネダ社製)
【0043】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品3)を得た。
【0044】
実 施 例 4
ニコチン含有外用貼付剤の調製(4):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−90、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:SIS5002、JSR社製)*20部
(2)ポリイソブチレン 20部
(商品名:エクソンブチル007、エクソン化学社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−90、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−172、カネダ社製)
【0045】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品4)を得た。
【0046】
実 施 例 5
ニコチン含有外用貼付剤の調製(5):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−90、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(2)ポリイソブチレン 10部
(商品名:エクソンブチル065、エクソン化学社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−90、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−172、カネダ社製)
【0047】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが300μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品5)を得た。
【0048】
実 施 例 6
ニコチン含有外用貼付剤の調製(6):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 30部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0049】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品6)を得た。
【0050】
実 施 例 7
ニコチン含有外用貼付剤の調製(7):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1112、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンD−1112、シェルジャパン社製)
(2)ポリイソブチレン 20部
(商品名:エクソンブチル065、エクソン化学社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0051】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品7)を得た。
【0052】
実 施 例 8
ニコチン含有外用貼付剤の調製(8):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)ポリイソブチレン 10部
(商品名:エクソンブチル065、エクソン化学社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 30部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0053】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが300μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品8)を得た。
【0054】
実 施 例 9
ニコチン含有外用貼付剤の調製(9):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0055】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが300μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品9)を得た。
【0056】
実 施 例 10
ニコチン含有外用貼付剤の調製(10):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)アクリル系感圧接着剤 80部
(商品名:DURO−TAK 87−2516、
ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0057】
( 製 法 )
ニコチンをアクリル系感圧接着剤に溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、溶剤を留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが600μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(本発明品10)を得た。
【0058】
実 施 例 11
リドカイン含有外用貼付剤の調製(1):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)リドカイン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 40部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0059】
( 製 法 )
リドカイン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に7日間保存し、外用貼付剤(本発明品11)を得た。
【0060】
実 施 例 12
リドカイン含有外用貼付剤の調製(2):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)リドカイン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(3)ロジンエステル 40部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0061】
( 製 法 )
リドカイン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に7日保存し、外用貼付剤(本発明品12)を得た。
【0062】
実 施 例 13
ツロブテロール含有外用貼付剤の調製(1):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ツロブテロール 10部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 45部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 45部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0063】
( 製 法 )
ツロブテール、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが300μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に7日間保存し、外用貼付剤(本発明品13)を得た。
【0064】
実 施 例 14
ツロブテロール含有外用貼付剤の調製(2):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ツロブテロール 10部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 45部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(3)ロジンエステル 45部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:SIS5002、JSR社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−172、カネダ社製)
【0065】
( 製 法 )
ツロブテロール、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが300μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に7日保存し、外用貼付剤(本発明14)を得た。
【0066】
比 較 例 1
ニコチン含有比較外用貼付剤の調製(1):
( 組 成 ) 重量部
A.第1の膏体層
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
B.第2の膏体層
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)脂環族飽和炭化水素樹脂 30部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0067】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが100μmになるように剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層に第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装し、25℃条件下に2日保存し、外用貼付剤(比較品1)を得た。
【0068】
比 較 例 2
ニコチン含有比較外用貼付剤の調製(2):
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 20部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 40部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
【0069】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体および脂環族飽和炭化水素樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるように支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に展延し、トルエンを留去させて膏体層を得た。それから、該膏体層の膏体側に剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を貼り合わせ、裁断・包装し、外用貼付剤(比較品2)を得た。
【0070】
試 験 例 1
皮膚透過試験:
膜透過セルを用い、上記処方及び製法で得られた本発明品1、比較品1および比較品2の外用貼付剤並びに市販のニコチン含有リザバー型貼付剤(比較品3)について、それらのニコチン皮膚透過性を検討した。試験は、膜透過セルにヘアレスマウス背部から摘出した皮膚を取り付け、この皮膚の角層側に本発明品または比較品の貼付剤を貼付した後、インビトロ膜透過試験器に装着し、レセプター液中へ移行したニコチンの量を測定することにより行った。なお、レセプター液としては、pH7.4リン酸緩衝液を使用し、ニコチンの定量はHPLC法により行った。この結果を図1に示す。
【0071】
図1から明らかなように、本発明品1および比較品3は試験開始時より徐々にニコチンが放出されて経時的にニコチン累積皮膚透過量が増大したのに対し、比較品1および比較品2は試験開始2時間後に高いニコチン累積皮膚透過量を示したものの、2時間後以降のニコチン累積皮膚透過量の増加は比較的に少なかった。すなわち、本発明品は、現在市販されているリザーバー型貼付剤と同様な、持続的なニコチンの経皮吸収が認められたのに対し、比較品1および2では、経時的にニコチンの皮膚透過速度が低下し、持続的なニコチン経皮吸収は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の外用貼付剤は、薬物の経皮吸収速度をコントロールすることができ、治療に有効な薬物を長時間徐放することが可能なマトリックス型貼付剤である。例えば、薬物としてニコチンを含有する場合、第1の膏体層における薬物含有量や第2の膏体層の厚さを調整することにより、市販のニコチン含有リザバー型貼付剤と同等以上の経皮吸収性および効果の持続性を示し、ニコチン置換療法(喫煙習慣がある喫煙者の禁煙を補助するため、喫煙者が喫煙を中止すると同時に、ニコチン製剤などの代替ニコチン源を投与する方法)のための禁煙補助剤として使用することができるものである。
【0073】
また、本発明の外用貼付剤の製造方法によれば、薬物として揮発性あるいは熱分解性を有するものであっても、薬物の蒸気発生、分解、引火、さらにはそれに伴う火災などの危険を防ぐことが可能である。更に、特殊な加工を必要とせず、従来の一般的な製造設備等を利用できるため、低コストで外用貼付剤を製造することが可能であり、経済性の高い方法である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】試験例1の皮膚透過試験における、本発明品1、比較品1、比較品2および比較品3の外用貼付剤のニコチン累積皮膚透過量を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物不透過性の支持体と、膏体基剤中に粘着剤を含有し、第1の膏体層と第2の膏体層との2層からなる膏体層と、剥離ライナーとより構成される外用貼付剤であって、第1および/または第2の膏体層が揮発性あるいは熱分解性薬物を含有するものであり、さらに、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの合計が300μm以上であり、かつ、第1の膏体層と第2の膏体層の厚さの比が0.03〜0.67であることを特徴とする外用貼付剤。
【請求項2】
第1の膏体層の厚さが30〜200μmであり、第2の膏体層の厚さが300〜1000μmである請求項第1項記載の外用貼付剤。
【請求項3】
第1の膏体層が溶剤法により調製され、第2の膏体層がホットメルト法により調製されたものである請求項第1項または第2項に記載の外用貼付剤。
【請求項4】
薬物不透過性の支持体、第1の膏体層、第2の膏体層および剥離ライナーを、この順に積層させることにより得られ、第1および/または第2の膏体層中に含有される揮発性あるいは熱分解性薬物は積層後に第1および第2の膏体層間を移行可能である請求項第1項ないし第3項の何れかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項5】
薬物不透過性の支持体、揮発性あるいは熱分解性薬物を膏体中5〜50質量%含有する第1の膏体層、前記薬物を含有しない第2の膏体層および剥離ライナーをこの順に積層させることにより得られ、第1の膏体層中に含有される揮発性あるいは熱分解性薬物は積層後に第2の膏体層へ移行可能である請求項第1項ないし第4項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項6】
第1および/または第2の膏体層の基剤中に含まれる粘着剤の少なくとも1種が、ゴム系粘着剤である請求項第1項ないし第5項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項7】
第1および/または第2の膏体層の基剤中に含まれるゴム系粘着剤が、エラストマーとして天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびポリイソブチレンから選ばれた少なくとも一種を使用するものである請求項第6項記載の外用貼付剤。
【請求項8】
第1および第2の膏体層の基剤中に含まれるゴム系粘着剤が、同じエラストマーを使用するものである請求項第6項または第7項に記載の外用貼付剤。
【請求項9】
揮発性あるいは熱分解性薬物がニコチン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、リドカイン、ツロブテロールである請求項第1項ないし第8項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項10】
揮発性あるいは熱分解性薬物がニコチンである請求項第1項ないし第8項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項11】
次の工程、
(1)薬物不透過性の支持体上に、溶剤法により、粘着性を有し、揮発性あるいは熱分解性薬物を含有する第1の膏体層を形成する工程
(2)剥離ライナー上に、ホットメルト法により、粘着性を有し、第1の膏体層中に含まれる揮発性あるいは熱分解性薬物が移行可能な第2の膏体層を形成する工程
(3)形成した第1および第2の膏体層を貼り合わせる工程
を含む外用貼付剤の製造方法。
【請求項12】
第2の膏体層が揮発性あるいは熱分解性薬物を含有しないものである請求項第11項記載の外用貼付剤の製造方法。
【請求項13】
第1の膏体層における揮発性あるいは熱分解性薬物濃度が、膏体中5〜50質量%である請求項第11項記載の外用貼付剤の製造方法。
【請求項14】
第1の膏体層の厚さが30〜200μm、第2の膏体層の厚さが300〜1000μmである請求項第11項ないし第13項のいずれかの項に記載の外用貼付剤の製造方法。
【請求項15】
第1および/または第2の膏体層の基剤中に含まれる粘着剤の少なくとも1種が、ゴム系粘着剤である請求項第11項ないし第14項のいずれかの項に記載の外用貼付剤の製造方法。
【請求項16】
第1および/または第2の膏体層の基剤中に含まれるゴム系粘着剤が、エラストマーとして天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびポリイソブチレンから選ばれた少なくとも一種を使用する請求項第15項記載の外用貼付剤の製造方法。
【請求項17】
第1および第2の膏体層の基剤中に含まれるゴム系粘着剤が、同じエラストマーを使用するものである請求項第15項または第16項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項18】
揮発性あるいは熱分解性薬物がニコチン、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、リドカイン、ツロブテロールである請求項第11項ないし第17項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。
【請求項19】
揮発性あるいは熱分解性薬物がニコチンである請求項第11項ないし第17項のいずれかの項に記載の外用貼付剤。


【図1】
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【公開番号】特開2006−169160(P2006−169160A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363358(P2004−363358)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(390000929)祐徳薬品工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】