説明

外装材及び外装構造

【課題】積み重ねた状態で、搬送したり保管することができ、しかも通常の外装構造にも適用でき、敷設状態で連続波状を呈する外装材及び外装構造を提供する。
【解決手段】本発明の外装材1は、ベース面部11から表面側に突出する凸状部12が複数形成されて連続波状を呈するものであって、左右方向の一方の端部には、ベース面部11の先端を裏面側に折り返してさらに一方側へ延在させた折り返し係合部13を備え、他方の端部には、その敷設状態において前記折り返し係合部13に挿入する挿入部14を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねた状態で、搬送したり保管することができ、しかも通常の外装構造にも適用でき、敷設状態で連続波状を呈する外装材及び外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続波状を呈する外装材としては、角波状、丸波状などを呈するものが知られており、それらを横桟などの支持材に固定すると共に、一部を重合させて横方向に接続する構造のものは例えば駐輪場などの簡易屋根としてよく知られ、搬送や保管に際して積み重ねが可能であり、さらに容易に施工できるという利点がある。
しかし、上記簡易屋根は、隣り合う外装板の端部同士を重合したに過ぎないので、簡易屋根などに使用が限定されるものであって、強度面及び雨仕舞い面で高いレベルを必要とされる通常の外装構造には決して適用できないものであった。また、その強度面や雨仕舞い面での性能を向上するためには、別の部材を取り付ける必要があり、コスト面で不利となり、さらに施工性の利点をも失うものであった。
【0003】
そこで、例えば図2(b)に示すように、一方の端部に平面部21から表面側に突出する凸状部22の裏面側に形成される空間b側へ折り返した折り返し係合部23を設け、他方の端部に外側へ延在する挿入部23を設け、これらの折り返し係合部23と挿入部24とを係合させて接続する構造の外装材2が知られている。
この外装材2は、外装材2自体に、折り返し係合部23及び挿入部24が設けられているため、接続のための別部材を取り付ける必要がないため、コスト面では不利とならないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記図2(b)に記載の外装材2では、その搬送などに際して積み重ねようとしても、前記折り返し係合部23が、端部における裏面空間bへの凸状部22の嵌挿を阻害するため、積み重ねることができず、搬送や保管が面倒となるという問題があった。また、無理に積み重ねようとすると、外装材2の変形をまねくことがあった。
【0005】
そこで、本発明は、積み重ねた状態で、搬送したり保管することができ、しかも通常の外装構造にも適用でき、敷設状態で連続波状を呈する外装材及び外装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、ベース面部から表面側に突出する凸状部が複数形成されて連続波状を呈する外装材であって、左右方向の一方の端部には、ベース面部の先端を裏面側に折り返してさらに一方側へ延在させた折り返し係合部を備え、他方の端部には、その敷設状態において前記折り返し係合部に挿入する挿入部を備えることを特徴とする外装材に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記外装材を接続した外装構造であり、複数の凸状部を流れ方向に沿わせて配設すると共に、左右方向の一方の端部に設けた折り返し係合部に、一方側に隣接する外装材の他方の端部に設けた挿入部を挿入して接続してなることを特徴とする外装構造をも提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の外装材は、折り返し係合部がベース面部の先端に設けられるだけの極めて簡易な構成であって、積み重ねた状態で、搬送したり保管することができ、しかも通常の外装構造にも適用できる。
すなわち、前記折り返し係合部がベース面部の裏面側に位置するため、凸状部の裏面側への重ね合わせを全く阻害することがない。また、前記折り返し係合部に挿入部を挿入して接続されるため、屋根構造を含む通常の外装構造にも適用できる。
【0009】
また、上記の外装材を用いた本発明の外装構造は、外装材自体が折り返し係合部と挿入部とを備えて接続できるので、前記駐輪場などの簡易屋根に加えてより多くの内外装構造を含む外装構造に適用することができる。また、例えば接続部分の裏面側に継手捨板などの一般的な接続部材を配設することにより、外装材自体が備える折り返し係合部と挿入部との接続部分と二重の雨仕舞いが果たされるものとなり、屋根構造を含む通常の外装構造にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の外装材は、簡易屋根に限らず、各種の外装構造に適用することができるものであって、ベース面部から表面側に突出する凸状部が複数形成されて連続波状を呈し、左右方向の一方の端部には、ベース面部の先端を裏面側に折り返してさらに一方側へ延在させた折り返し係合部を備え、他方の端部には、その敷設状態において前記折り返し係合部に挿入する挿入部を備える。
【0011】
前記ベース面部とは、角波状を呈する外装材であれば、略平坦状部分を指すが、このベース面部は、必ずしも平坦面である必要もなく曲面状であってもよい。例えば丸波状を呈する外装材であれば、このベース面部とは、凹状曲面である谷状部分を指す。
【0012】
前記凸状部とは、角波状を呈する外装材であれば頂面(平坦状横面)とその左右の起立面(縦面)とから部分を指すが、丸波状を呈する外装材であれば、この凸状部とは、凸状曲面である山状部分を指す。
この凸状部の裏面側には空間が形成され、積み重ねる際には、凸状部が嵌挿される空間となる。
【0013】
すなわち本発明の外装材は、前記ベース面部と前記凸状部とが交互に連続して形成される構成であって、その敷設状態において連続波状の外装面を形成する。
そして、最も大きな特徴は、前述のように、一方の端部に、ベース面部の先端を裏面側に折り返して一方側へ延在した折り返し係合部を備える構成にある。
【0014】
なお、前記従来の外装材にも、係合部(折り返し係合部)自体は存在するが、前述のように凸状部の裏面側に形成される空間側へ折り返して設けられたものであって、本発明における折り返し係合部のようにベース面部の先端を裏面側に折り返して形成されたものではない点で明らかに異なる。言い換えれば、本発明の外装材は、凸状部の裏面空間を確保しつつ折り返し係合部を設けた構成である。
【0015】
前記構成の外装材を接続して形成される本発明の外装構造は、複数の凸状部を流れ方向に沿わせて配設すると共に、前記折り返し係合部に、一方側に隣接する外装材の前記挿入部を挿入して接続した構成である。
【実施例1】
【0016】
図1に示す本発明の外装材1は、連続角波状を呈するものであり、略平坦状のベース面部11から表面側に突出する凸状部12が複数形成され、前記ベース面部11と前記凸状部12とが交互に連続して形成される構成である。
そして、左右方向の一方(図面では右側)の端部には、ベース面部11の先端を裏面側に折り返してさらに一方側へ延在させた略Z字状の折り返し係合部13を備え、他方(図面では左側)の端部には、その敷設状態において前記折り返し係合部13に挿入する挿入部14を備える構成である。
【0017】
前記凸状部12は、略平坦状横面である頂面121とその左右の傾斜状起立面(縦面)122,122となり、その裏面側には空間aが形成され、積み重ねる際には、凸状部12が嵌挿される空間となる。
【0018】
前記折り返し係合部13は、前述のように一方の端部のベース面部11の先端に設けられるものであって、前記裏面空間aへの嵌挿を阻害するものではない。
すなわち、図2(b)には前記従来の外装材2を示したが、この従来の外装材2では、折り返し係合部23が凸状部22の基端から裏面空間b側へ設けられているため、積み重ねようとしても、裏面空間bへの裏面側の外装材2の凸状部22の嵌挿が阻害され、積み重ねることができなかった。
【0019】
また、図示実施例の折り返し係合部13は、一方側へ延在させた横片の途中に表面側へ隆起する水返し部131が設けられ、仮に折り返し係合部13と挿入部14との係合部分から雨水等が浸入してもそれ以上の浸入を防止している。
【0020】
このような構成を備える本発明の外装材1は、図1(a)に示すように、隣り合う外装材1の折り返し係合部13に挿入部14を挿入して接続することで、図1(b)に示す外装構造を構築することができ、連続角波状の外装面を呈するものとなる。なお、本発明の外装構造は、前記外装材1における複数の凸状部12を流れ方向に沿わせて配設するが、図面では流れ方向は、奥側から手前側へということになる。
【0021】
そして、この外装材1は、図2(a)に示すように、複数枚を積み重ねた状態で保管、搬送することができ、詳しくは凸状部12の裏面空間aに裏面側の外装材1の凸状部12が嵌挿する状態で積み重ねることができ、この状態でズレ動いたりすることがなく安定に保管、搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)本発明の一実施例である外装材を接続する状態を示す断面図、(b)外装材を接続して施工した外装構造を示す断面図である。
【図2】(a)図1の外装材を積み重ねた状態を示す断面図、(b)従来の外装材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 外装材
11 ベース面部
12 凸状部
13 折り返し係合部
14 挿入部
a 裏面空間
2 外装材
21 ベース面部
22 凸状部
23 折り返し係合部
24 挿入部
b 裏面空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面部から表面側に突出する凸状部が複数形成されて連続波状を呈する外装材であって、
左右方向の一方の端部には、ベース面部の先端を裏面側に折り返してさらに一方側へ延在させた折り返し係合部を備え、他方の端部には、その敷設状態において前記折り返し係合部に挿入する挿入部を備えることを特徴とする外装材。
【請求項2】
請求項1に記載の外装材を接続した外装構造であり、
複数の凸状部を流れ方向に沿わせて配設すると共に、左右方向の一方の端部に設けた折り返し係合部に、一方側に隣接する外装材の他方の端部に設けた挿入部を挿入して接続してなることを特徴とする外装構造。

【図1】
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【図2】
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