説明

外装用ランプ

【課題】気密性検査を容易に行うことが可能で小型な外装用ランプを低コストに提供する。
【解決手段】ランプ本体11は、発光素子16が実装される回路基板15と、回路基板16が取付固定されるケース13と、発光素子16の光照射側に配置されたレンズ本体18aを備え、回路基板16を覆うようにケース13に取付固定されるレンズカバー18と、ケース13と一体形成された底部14aと筒体14bとを備える有底筒状の雄側コネクタ14と、底部14aに挿通されて一端部が筒体14b内に突出すると共に他端部が回路基板16に接続されるコネクタピン14cと、筒体14b内とケース13内とを連通する気密性検査用孔14dとを有する。雌側コネクタ12は、ランプ本体11に取付固定されて雄側コネクタ14と接続され、気密性検査用孔14dを閉塞する先端部12aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外装用ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で曝露されて使用される外装用ランプでは、内部に雨水などが浸入しないように防水構造をとる必要がある。
特許文献1には、バルブが取り付けられるソケット本体と、そのソケット本体のバルブ装着部の周囲を覆うレンズカバーとを液密状態に取付固定するため、ソケット本体とレンズカバーとを溶着する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、回路部品が収容されるケーシングに設けられた防水構造のコネクタと、そのコネクタのソケット穴内に開口して形成されケーシング内の空間と連通する通気孔とを備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−315559号公報
【特許文献2】特開2004−356286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外装用ランプでは、要求される防水性能が得られているかどうかを調べるため、ランプ本体(ケーシング)内の気密性を検査する必要がある。
そのため、通常は、ランプ本体に気密性検査用孔を開けておき、気密性検査装置を用いて、気密性検査用孔からランプ本体内の空気を引き抜きながら、ランプ本体内の空気圧を測定し、その空気圧が設定値以下であれば、ランプ本体からの空気漏れが無く、ランプ本体の気密性は十分に高いとの検査結果を得るようにしている。
そして、気密性検査用孔をランプ本体の外壁面に開口する場合には、気密性検査用孔を閉塞するためのシール部材を別途用意して取付固定する必要があるため、シール部材に係る部品コストおよび製造コストが増大する上に、シール部材がランプ本体の外壁面から突出するため外形寸法が大きくなるという問題がある。
【0006】
しかし、特許文献1および特許文献2には、気密性検査および気密性検査用孔について一切開示されていない。
尚、特許文献2の通気孔は、ケーシング内の空間と外部との間で通気を行うためのものであり、それ以外の用途に使うことについては一切開示されていない。
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、気密性検査を容易に行うことが可能で小型な外装用ランプを低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0008】
<第1の局面>
第1の局面は、ランプ本体と、前記ランプ本体に取付固定される雌側コネクタとを備える外装用ランプであって、
前記ランプ本体は、
発光素子が実装される基板と、
前記基板が取付固定されるケースと、
前記発光素子の光照射側に配置されるレンズ本体を有し、前記基板を覆うように前記ケースに取付固定されるレンズカバーと、
前記ケースと一体形成された底部および筒体を有する有底筒状の雄側コネクタと、
前記底部に挿通され、一端部が前記筒体内に突出され、他端部が前記基板に接続されるコネクタピンと、
前記筒体の内部と前記ケースの内部とを連通する気密性検査用孔と
を備え、
前記雌側コネクタは、前記雄側コネクタと接続された状態で、前記気密性検査用孔を閉塞する閉塞部を備える。
【0009】
第1の局面では、ケースとレンズカバーとを液密状態に取付固定することにより、ケースとレンズカバーとの接続部分から雨水が浸入するのを確実に防止できる。
そして、雌側コネクタを雄側コネクタと接続された状態では、雌側コネクタの閉塞部が気密性検査用孔を閉塞する。
そのため、ランプ本体を液密状態にすることが可能になり、外装用に適した防水構造の外装用ランプが得られる。
【0010】
また、気密性検査用孔は雌側コネクタによって閉鎖されるため、気密性検査用孔を直接覆って閉塞するためのシール部材を別途用意してランプ本体に取付固定する必要が無いことから、当該シール部材に係る部品コストおよび製造コストを削減できる上に、当該シール部材がランプ本体の外壁面から突出しないため小型化できる。
【0011】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、前記雄側コネクタは、前記基板の下方側にて前記ケースに接続される外装用ランプである。
そのため、雄側コネクタをランプ本体の横側に接続する場合に比べて、ランプ本体をコンパクトにすることが可能になり、外装用ランプを更に小型化できる。
【0012】
<第3の局面>
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、
前記ケースと前記レンズカバーとは溶着され、
前記ランプ本体にて、前記コネクタピンが挿通される部分と、前記気密性検査用孔が形成される部分とが、前記ケースと前記レンズカバーとの溶着部分の内側に配置される外装用ランプである。
【0013】
合成樹脂材料の超音波溶着では、異種材料や空隙が溶着断面に存在すると確実な溶着を行うことが困難になるため、異種材料であるコネクタピンや、空隙である気密性検査用孔が溶着断面に存在すると、ケースとレンズカバーとを確実に溶着できないおそれがある。
第3の局面によれば、コネクタピンが挿通される部分と、気密性検査用孔が形成される部分とが、溶着部分の内側に配置されるため、溶着断面に配置されないことになり、ケースとレンズカバーとを確実に溶着することができる。
【0014】
<第4の局面>
第4の局面は、第1〜3の局面において、
前記気密性検査用孔は、前記筒体の周壁面に開口し、
前記閉塞部は、前記筒体の周壁面に対して摺動する摺動面を備え、当該摺動面が前記気密性検査用孔に当接して閉塞する外装用ランプである。
【0015】
第4の局面では、雌側コネクタを雄側コネクタに接続する際に、雌側コネクタの閉塞部は雄側コネクタの筒体に対して摺動しながら挿入され、閉塞部の外周面である摺動面が、筒体の周壁面に開口する気密性検査用孔に当接するため、閉塞部による気密性検査用孔の閉塞を確実に行うことができる。
【0016】
<第5の局面>
第5の局面は、第1〜4の局面において、
前記ケースは、前記基板の裏面側を支持する柱状部を備え、
前記雌側コネクタは、
前記雄側コネクタを取り囲む筒状のハウジングと、
前記柱状部に嵌合するように前記ハウジングに切り欠かれた切欠部とを備える外装用ランプである。
第5の局面によれば、雌側コネクタが防水構造を備える大型のものであっても、外装用ランプを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の外装用ランプ10の分解斜視図。
【図2】図2(A)は、外装用ランプ10のランプ本体11の上面図。図2(B)は、ランプ本体11の縦断面図であり、図2(A)におけるX1−X1矢線断面図。
【図3】図3(A)は、ランプ本体11の縦断面図であり、図2(A)におけるX2−X2矢線断面図。図3(B)は、ランプ本体11の縦断面図であり、図2(A)におけるX3−X3矢線断面図。
【図4】外装用ランプ10の縦断面図であり、図3(A)に対応する断面図。
【図5】本発明を具体化した第2実施形態の外装用ランプ50の分解斜視図。
【図6】外装用ランプ50の斜視図。
【図7】図7(A)は、外装用ランプ50の左側面図。図7(B)は、外装用ランプ50のランプ本体51の左側面図。
【図8】図8(A)は、外装用ランプ50の上面図。図8(B)は、外装用ランプ50の縦断面図であり、図8(A)におけるX4−X4矢線断面図。
【図9】図9(A)は、ランプ本体51の縦断面図であり、図8(A)におけるX5−X5矢線断面図。図9(B)は、ランプ本体51の縦断面図であり、図9(A)におけるX6−X6矢線断面図。
【図10】外装用ランプ50の縦断面図であり、図9(A)に対応する断面図。
【図11】外装用ランプ50のレンズカバー56の下面図。
【図12】外装用ランプ50のケース53の上面図。
【図13】外装用ランプ50のケース53に回路基板55を取り付けた状態の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態の外装用ランプ10について、図1〜図4を参照して説明する。
外装用ランプ10は、ランプ本体11、雌側コネクタ12(先端部12a、ピン嵌合穴12b、接続端子12c)、ケーブルKなどから構成されており、自動車の外装品として使用される。
【0020】
ランプ本体11は、ケース13(開口部13a、係合溝13b、基板取付枠13c、雌ねじ穴13d、収容凹部13e、係合爪13f)、雄側コネクタ14(底部14a、筒体14b、コネクタピン14c、気密性検査用孔14d)、回路基板15(取付孔15a、スルーホール15b、ハンダ15c)、発光素子16、電子部品17、レンズカバー18(レンズ本体18a)、雄ねじ19などから構成されている。
【0021】
ケース13は、上方が開口された略直方体箱状を成し、開口部13aを取り囲む外周縁部には係合溝13bが穿設され、基板取付枠13cと雌ねじ穴13dと収容凹部13eとが開口部13aから露出され、左右両側の外壁には係合爪13fが突設され、左右対称形状になっている。
基板取付枠13cは、ケース13の左右外周壁に沿って形成されている。
雌ねじ穴13dは、ケース13内の前方側に配置され、開口部13aに対して垂直方向に開口するように形成されている。
収容凹部13e内には、L字型に折り曲げ加工された金属棒材から成るコネクタピン14cが収容され、コネクタピン14cの第1端部が開口部13a側を向くように配置されている。
係合爪13fは、取付対象物の係合凹部(図示略)に係合させることにより、外装用ランプ10を取付対象物に取付固定するために設けられている。
【0022】
雄側コネクタ14は、不透明な合成樹脂材料の射出成形によりケース13と一体形成されており、外部に開口する有底筒状を成し、略平坦な底部14aと、角部分にアールが設けられた略四角筒状の筒体14bと、断面矩形状の気密性検査用孔14dとを備える。
底部14aはケース13の後端側に接続され、底部14aには2本のコネクタピン14cがインサート成形により横方向に間隔を設けた状態で並べて挿通固定され、コネクタピン14cの第2端部は底部14aから筒体14b内に突出している。
底部14aにおけるコネクタピン14cの挿通箇所の下側には、気密性検査用孔14dが筒体14bの内部とケース13の収容凹部13eとを連通するように横方向に貫通形成されている。
【0023】
回路基板15の上面側には、発光素子16および電子部品(例えば、ツェナーダイオード、ダイオード、抵抗など)17が実装されている。
回路基板15はプリント配線基板であり、回路基板15の上面には銅箔から成る回路パターン(図示略)が形成され、この回路パターンにより発光素子16および電子部品17が接続されて発光素子16を点灯させるための電子回路が構成される。
尚、発光素子16は、例えば、LED素子、無機EL素子、有機EL素子などの光半導体素子(半導体型光源)から構成されている。
回路基板15は、略矩形状を成し、前方側に取付孔15aが貫通形成されている。
回路基板15の後方側には、回路パターン(図示略)と接続されるスルーホール15bが貫通形成されている。
【0024】
レンズカバー18は、下方が開口された略直方体箱状を成し、上面側の略中央部には円形の凸レンズであるレンズ本体18aが突設され、透明または半透明な合成樹脂材料の射出成形により一体形成されいる。
【0025】
外装用ランプ10を組み立てるには、まず、ケース13の開口部13aから回路基板15の上面側が露出するように、ケース13の基板取付枠13cに回路基板15を嵌め込む。
すると、ケース13の雌ねじ穴13dと、回路基板15の取付孔15aとが合致した状態になるため、取付孔15aの上方から取付孔15aおよび雌ねじ穴13dに雄ねじ19を挿通し、雌ねじ穴13dに雄ねじ19を螺着させることにより、ケース13に対して回路基板15を取付固定する。
【0026】
また、図3(B)に示すように、ケース13の基板取付枠13cに回路基板15を嵌め込むと、回路基板15のスルーホール15bに対してコネクタピン14cが挿通され、コネクタピン14cの先端が回路基板15の上面側の回路パターン(図示略)から突出した状態になるため、コネクタピン14cの先端と回路パターンとをハンダ付けすることにより、コネクタピン14cと回路基板15とをハンダ15cを介して電気的に接続する。
【0027】
続いて、ケース13の開口部13aにレンズカバー18を被着して覆い、ケース13の係合溝13bに対してレンズカバー18の周縁部を嵌合させ、超音波溶着装置を用いて係合溝13bとレンズカバー18の周縁部とを超音波溶着して密着させることにより、ケース13とレンズカバー18とを液密状態で取付固定する。
【0028】
ケース13にレンズカバー18を取り付けた状態では、回路基板15に実装された発光素子16の上方にレンズ本体18aが位置して両者の光軸が合致することになり、発光素子16は回路基板15から上方へ光を照射(放出)し、発光素子16および回路基板15の上方が光照射側となるため、発光素子16の光照射側および回路基板15の上面側がレンズカバー18で覆われ、発光素子16の照射光はレンズ本体18aで集光されて外装用ランプ10の外部へ照射される。
【0029】
図1に示すように、雌側コネクタ(端子)12は、合成樹脂材料の射出成形により一体形成されており、角部分にアールが設けられた四角柱状を成し、略平坦な先端部12aと、先端部12aに開口されたピン嵌合穴12bと、ピン嵌合穴12b内にインサート成形された接続端子12cとを備える。
雌側コネクタ12の後端側にはケーブルKが取付固定されており、ケーブルK内に設けられた配線材(図示略)は、雌側コネクタ12内にて接続端子12cに対して電気的に接続されている。
【0030】
外装用ランプ10を組み付けるには、ランプ本体11における雄側コネクタ14の筒体14bに雌側コネクタ12を挿入することにより、ランプ本体11と雌側コネクタ12とを離脱不能に取付固定する。
すると、雄側コネクタ14のコネクタピン14cが雌側コネクタ12のピン嵌合穴12bに挿入され、コネクタピン14cと雌側コネクタ12の接続端子12cとが接触して電気的に接続される(図示略)。
このとき、図4に示すように、雌側コネクタ12の先端部12aが、雄側コネクタ14の底部14aに開口する気密性検査用孔14dに当接して閉塞される。
【0031】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の外装用ランプ10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0032】
[1]図3および図4に示すように、ケース13の開口部13aの外周縁部を取り囲む係合溝13bに対して、レンズカバー18の周縁部が嵌合され、係合溝13bとレンズカバー18の周縁部とが超音波溶着されて密着させるため、ケース13とレンズカバー18とが液密状態に取付固定される。
そのため、ケース13とレンズカバー18との接続部分から雨水が浸入するのを確実に防止できる。
尚、係合溝13bとレンズカバー18の周縁部とを接着剤によって接着固定してもよく、その場合でも超音波溶着と同様の効果が得られる。
【0033】
[2]図4に示すように、ランプ本体11に雌側コネクタ12を取付固定し、雄側コネクタ14に雌側コネクタ12を接続した状態では、雌側コネクタ12の先端部12aが、ランプ本体11における雄側コネクタ14の底部14aに開口する気密性検査用孔14dに当接して閉塞される。
そのため、前記[1]と[2]の協働により、ランプ本体11を液密状態にすることが可能になり、外装用に適した防水構造の外装用ランプ10が得られる。
【0034】
[3]ランプ本体11が必要な防水性能を備えているかどうかを調べるための気密性検査では、気密性検査装置(図示略)を雄側コネクタ14に接続し、気密性検査用孔14dからランプ本体11内の空気を引き抜きながら、ランプ本体11内の空気圧を測定し、その空気圧が設定値以下であれば、ランプ本体11からの空気漏れが無く、ランプ本体11の気密性は十分に高いとの検査結果が得られる。
【0035】
気密性検査用孔14dは、前記[2]のように雌側コネクタ12によって閉鎖されるため、気密性検査用孔14dを直接覆って閉塞するためのシール部材を別途用意してランプ本体11に取付固定する必要が無いことから、当該シール部材に係る部品コストおよび製造コストを削減できる上に、当該シール部材がランプ本体11の外壁面から突出しないため小型化できる。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態の外装用ランプ50について、図5〜図13を参照して説明する。
外装用ランプ50は、ランプ本体51、雌側コネクタ52(閉塞部52a、ピン嵌合穴52b、接続端子52c、ハウジング52d、切欠部52e、係合孔52f、シール部材52g)、ケーブルKなどから構成されており、自動車の外装品として使用される。
【0037】
ランプ本体51は、ケース53(開口部53a、係合溝53b、基板取付枠53c、雌ねじ穴53d、収容凹部53e、係合爪53f、柱状部53g、係止用リブ53h)、雄側コネクタ54(コネクタピン14c、底部54a、筒体54b、接続部54c、気密性検査用孔54d、収容凹部54e、係合爪54f)、回路基板55(取付孔55a、スルーホール55b、ハンダ55c)、収容凹部S、レンズカバー56(レンズ本体56a、係止用リブ56b)、発光素子16、電子部品17、雄ねじ19などから構成されている。
【0038】
ケース53は、上方が開口された略直方体箱状を成し、開口部53aを取り囲む外周縁部には係合溝53bが穿設され、基板取付枠53cと雌ねじ穴53dと収容凹部53eと柱状部53gと係止用リブ53hとが開口部53aから露出され、左右両側の外壁には係合爪53fが突設され、左右対称形状になっている。
基板取付枠53cは、ケース53の左右外周壁に沿って形成されている。
略円柱状の柱状部53gはケース53内の中央後方寄りに配置形成され、柱状部53gの上面には雌ねじ穴53dが穿設され、雌ねじ穴53dは開口部53aに対して垂直方向に開口するように形成されている。
【0039】
収容凹部53e内には、L字型に折り曲げ加工されたコネクタピン14cが収容され、コネクタピン14cの第1端部が開口部53a側を向くように配置されている。
係合爪53fは、取付対象物の係合凹部(図示略)に係合させることにより、外装用ランプ50を取付対象物に取付固定するために設けられている。
図9(A),図12,図13に示すように、係止用リブ53hは、係合溝53bの内側と開口部53aとの間に突設され、ケース53の前方側・左右両側・後方側にそれぞれ1個ずつ配置形成されている。
【0040】
雄側コネクタ54は、不透明な合成樹脂材料の射出成形によりケース53と一体形成されており、外部に開口する有底筒状を成し、略平坦な底部54aと、角部分にアールが設けられた略四角筒状の筒体54bと、外形略直方体状の接続部54cと、断面円形状の気密性検査用孔54dと、収容凹部54eとを備える。
接続部54cは筒体54bとケース53との間に接続され、ケース53の柱状部53gの基端部は接続部54cに接続されて一体化している。
接続部54c内に設けられた収容凹部54eは、ケース53の収容凹部53eと合体して1個の収容凹部Sを形成しており、雄側コネクタ54は接続部54cを介してケース53の下側に配置形成されている。
【0041】
底部54aは収容凹部53eと筒体54bとの隔壁を構成し、底部54aには2本のコネクタピン14cがインサート成形により横方向に間隔を設けた状態で並べて挿通固定され、コネクタピン14cの第2端部は底部54aから筒体54b内に突出している。
図9(A),図10,図12に示すように、底部54a近傍における筒体54bの上側には、気密性検査用孔54dが筒体54bの内部と収容凹部S(収容凹部53e,54e)とを連通するように上下方向に貫通形成されている。
係合爪54fは、筒体54bの下側に突設されている。
【0042】
回路基板55の上面側には、発光素子16および電子部品17が実装されている。
回路基板55はプリント配線基板であり、回路基板55の上面には銅箔から成る回路パターン(図示略)が形成され、この回路パターンにより発光素子16および電子部品17が接続されて発光素子16を点灯させるための電子回路が構成される。
回路基板55は、略矩形状を成し、中央後方寄りに取付孔55aが貫通形成されている。
回路基板55の前方側には、回路パターン(図示略)と接続されるスルーホール55bが貫通形成されている。
【0043】
レンズカバー56は、下方が開口された略直方体箱状を成し、上面側の中央前方寄りには円形の凸レンズであるレンズ本体56aが突設され、透明または半透明な合成樹脂材料の射出成形により一体形成されいる。
また、図9(A)および図11に示すように、レンズカバー56の下面側にて、レンズカバー56の外周縁部の内側には係止用リブ56bが突設されている。
係止用リブ56bは、レンズカバー56の前方側に2個、同左右両側および後方側にそれぞれ1個ずつ配置形成されている。
【0044】
外装用ランプ50を組み立てるには、まず、ケース53の開口部53aから回路基板55の上面側が露出するように、ケース53の基板取付枠53cに回路基板55を嵌め込む。
すると、ケース53の雌ねじ穴53dと、回路基板55の取付孔55aとが合致した状態になるため、取付孔55aの上方から取付孔55aおよび雌ねじ穴53dに雄ねじ19を挿通し、雌ねじ穴53dに雄ねじ19を螺着させることにより、ケース53に対して回路基板55を取付固定する。
ここで、回路基板55の裏面側は、雌ねじ穴53dが穿設されている柱状部53gによって支持固定される。
【0045】
また、図9(B)に示すように、ケース53の基板取付枠53cに回路基板55を嵌め込むと、回路基板55のスルーホール55dに対してコネクタピン14cが挿通され、コネクタピン14cの先端が回路基板55の上面側の回路パターン(図示略)から突出した状態になるため、コネクタピン14cの先端と回路パターンとをハンダ付けすることにより、コネクタピン14cと回路基板55とをハンダ55cを介して電気的に接続する。
【0046】
続いて、ケース53の開口部53aにレンズカバー56を被着して覆い、ケース53の係合溝53bに対してレンズカバー56の周縁部を嵌合させ、超音波溶着装置を用いて係合溝53bとレンズカバー56の周縁部とを超音波溶着して密着させることにより、ケース53とレンズカバー56とを液密状態で取付固定する。
【0047】
ケース53にレンズカバー56を取り付けた状態では、回路基板55に実装された発光素子16の上方にレンズ本体56aが位置して両者の光軸が合致することになり、発光素子16は回路基板55から上方へ光を照射(放出)し、発光素子16および回路基板55の上方が光照射側となるため、発光素子16の光照射側および回路基板55の上面側がレンズカバー56で覆われ、発光素子16の照射光はレンズ本体56aで集光されて外装用ランプ50の外部へ照射される。
【0048】
図5および図10に示すように、雌側コネクタ(端子)52は、閉塞部52a、ピン嵌合穴52b、接続端子52c、ハウジング52d、切欠部52e、係合孔52f、シール部材52gなどを備える。
閉塞部52aは角部分にアールが設けられた四角柱状を成し、閉塞部52aの先端にはピン嵌合穴52bが開口され、ピン嵌合穴52b内には接続端子52cがインサート成形されている。
【0049】
ハウジング52dは略楕円筒状を成し、ハウジング52dと閉塞部52aとは合成樹脂材料の射出成形により一体形成されており、ハウジング52dは閉塞部52aを間隙を設けて覆うように配置され、ハウジング52dの基端部と閉塞部52aの基端部とは接続されている。
ハウジング52dの上側には端面から略矩形状に切り欠かれた切欠部52eが形成され、ハウジング52dの下側には略矩形状の係合孔52fが貫通形成されている。
シール部材52gは、リング状のゴム材料から成り、閉塞部52aの基端部側に挿通固定されている。
雌側コネクタ52の後端側にはケーブルKが取付固定されており、ケーブルK内に設けられた配線材(図示略)は、雌側コネクタ52内にて接続端子52cに対して電気的に接続されている。
【0050】
外装用ランプ50を組み付けるには、ランプ本体51における雄側コネクタ54の筒体54bに雌側コネクタ52を挿入することにより、ランプ本体51と雌側コネクタ52とを取付固定する。
すると、雄側コネクタ54のコネクタピン14cが雌側コネクタ52のピン嵌合穴52bに挿入され、コネクタピン14cと雌側コネクタ52の接続端子52cとが接触して電気的に接続される(図示略)。
【0051】
このとき、図10に示すように、雌側コネクタ52の閉塞部52aが、雄側コネクタ54の筒体54bに対して摺動しながら挿入され、閉塞部52aの外周面(摺動面)が筒体54bに開口する気密性検査用孔54dに当接して閉塞される。
また、図6,図7(A),図10に示すように、雌側コネクタ52におけるハウジング52dが雄側コネクタ54を取り囲み、ハウジング52dの切欠部52eが雄側コネクタ54の接続部54c(ケース53の柱状部53g)に嵌合される。
【0052】
また、図10に示すように、雄側コネクタ54の係合爪54fが、雌側コネクタ52におけるハウジング52dの係合孔52fに係合され、ランプ本体51と雌側コネクタ52とが離脱不能に取付固定される。
そして、雄側コネクタ54の筒体54bが、雌側コネクタ52の閉塞部52aとハウジング52dとの間隙に挿入され、筒体54bの先端側の内周壁面がシール部材52gに当接されるため、雄側コネクタ54と雌側コネクタ52とが液密状態で取り付けられる。
【0053】
[第2実施形態の作用・効果]
第2実施形態の外装用ランプによれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0054】
[1]図9および図10に示すように、ケース53の開口部53aの外周縁部を取り囲む係合溝53bに対して、レンズカバー56の周縁部が嵌合され、係合溝53bとレンズカバー56の周縁部とが超音波溶着されて密着させるため、ケース53とレンズカバー56とが液密状態に取付固定される。
そのため、ケース53とレンズカバー56との接続部分から雨水が浸入するのを確実に防止できる。
尚、係合溝53bとレンズカバー56の周縁部とを接着剤によって接着固定してもよく、その場合でも超音波溶着と同様の効果が得られる。
【0055】
[2]図10に示すように、ランプ本体51に雌側コネクタ52を取付固定し、雄側コネクタ54に雌側コネクタ52を接続した状態では、雌側コネクタ52の閉塞部52aが、ランプ本体51における雄側コネクタ54の筒体54bの周壁面に開口する気密性検査用孔54dに当接して閉塞する。
【0056】
このとき、雌側コネクタ52の閉塞部52aは、雄側コネクタ54の筒体54bに対して摺動しながら挿入され、閉塞部52aの外周面(摺動面)が筒体54bの気密性検査用孔54dに当接するため、閉塞部52aによる気密性検査用孔54dの閉塞を確実に行うことができる。
そのため、前記[1]と[2]の協働により、ランプ本体51を液密状態にすることが可能になり、外装用に適した防水構造の外装用ランプ50が得られる。
【0057】
[3]ランプ本体51が必要な防水性能を備えているかどうかを調べるための気密性検査では、気密性検査装置(図示略)を雄側コネクタ54に接続し、気密性検査用孔54dからランプ本体51内の空気を引き抜きながら、ランプ本体51内の空気圧を測定し、その空気圧が設定値以下であれば、ランプ本体51からの空気漏れが無く、ランプ本体51の気密性は十分に高いとの検査結果が得られる。
【0058】
気密性検査用孔54dは、前記[2]のように雌側コネクタ52によって閉鎖されるため、気密性検査用孔54dを直接覆って閉塞するためのシール部材を別途用意してランプ本体51に取付固定する必要が無いことから、当該シール部材に係る部品コストおよび製造コストを削減できる上に、当該シール部材がランプ本体51の外壁面から突出しないため小型化できる。
【0059】
[4]ランプ本体51において、雄側コネクタ54は、回路基板55の下方側にて、接続部54cを介してケース53の下側に接続されている。
そのため、雄側コネクタをランプ本体の横側に接続する場合に比べて、ランプ本体51をコンパクトにすることが可能になり、外装用ランプ50を更に小型化できる。
【0060】
[5]図9に示すように、コネクタピン14cが挿通される雄側コネクタ54の底部54a(コネクタピン挿通部)と、気密性検査用孔54dが貫通形成される雄側コネクタ54の底部54a近傍における筒体54bの上側(気密性検査用孔形成部)とが、ケース53とレンズカバー56との溶着部分(ケース53の開口部53aの外周縁部を取り囲む係合溝53b)よりも内側に配置形成されている。
換言すると、前記コネクタピン挿通部と前記気密性検査用孔形成部とが、ケース53とレンズカバー56との溶着部分の縦断面(溶着断面:図9に示す一点鎖線α)上に配置されていない。
【0061】
合成樹脂材料の超音波溶着では、異種材料や空隙が溶着断面に存在すると確実な溶着を行うことが困難になるため、異種材料であるコネクタピン14cや、空隙である気密性検査用孔54dが溶着断面α上に存在すると、ケース53とレンズカバー56とを確実に溶着できないおそれがある。
しかし、外装用ランプ50では、前記コネクタピン挿通部と前記気密性検査用孔形成部とが溶着断面α上に配置されていないため、ケース53とレンズカバー56とを確実に溶着することができる。
【0062】
[6]ケース53は、回路基板55の裏面側を支持する柱状部53gを備える。また、雌側コネクタ52は、雄側コネクタ54を取り囲む略楕円筒状のハウジング52dと、ケース53の柱状部53gに嵌合するようにハウジング52dに切り欠かれた切欠部52eとを備える。
そのため、雌側コネクタ52が防水構造を備える大型のものであっても、外装用ランプ50を小型化できる。
【0063】
[7]図9(A)に示すように、気密性検査用孔54dは、雄側コネクタ14の底部54a近傍における筒体54bの上側に貫通形成されている。
一方、コネクタピン14cは、雄側コネクタ14の底部54aに挿通されている。
そのため、雄側コネクタ14の底部54aに気密性検査用孔54dを貫通形成する場合に比べて、コネクタピン14cが固定される底部54aの強度を高めることが可能になり、コネクタピン14cに外力が印加されても底部54aが変形し難いことから、外装用ランプ50全体の強度を向上できる。
【0064】
[8]図9(B)に示すように、ケース53の柱状部53gに支持固定された回路基板55の側面側は、レンズカバー56に覆われている。
換言すると、回路基板55の側面側がレンズカバー56に覆われるように、回路基板55を柱状部53gによって持ち上げた状態で支持固定している。
そのため、図9(B)の矢印βに示すように、スルーホール55dを通じて回路基板55の表裏両面側に山形に盛り上がったハンダ55cのフィレットを、レンズカバー56を通して目視することが可能になり、ハンダ55cのフィレット形状が良好であれば確実なハンダ付けが行われていることを確認できる。
【0065】
[9]図9(A),図11〜図13に示すように、ケース53の係合溝53bにレンズカバー56の周縁部を嵌合すると、係合溝53bの内側に突設されている係止用リブ53hと、レンズカバー56の係止用リブ56bとが当接して係止される。
そのため、ケース53とレンズカバー56とを超音波溶着する際に、レンズカバー56の周縁部がケース53の係合溝53b内に沈み込もうとする力が働いても、その力は係止用リブ53h,56bの係止によって解除されるため、レンズカバー56の周縁部がケース53の係合溝53b内に沈み込むのを防止できる。
従って、係止用リブ53h,56bを設けることにより、ケース53に対してレンズカバー56を正確に位置決めした状態で溶着できる。
【0066】
本発明は、前記各局面および前記実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0067】
10,50…外装用ランプ
11,51…ランプ本体
12,52…雌側コネクタ
12a…雌側コネクタ12の先端部(閉塞部)
13,53…ケース
13e…収容凹部(ケースの内部)
14,54…雄側コネクタ
14a…雄側コネクタ14の底部
14b…雄側コネクタ14の筒体
14c…コネクタピン
14d,54d…気密性検査用孔
15,55…回路基板
16…発光素子
18,56…レンズカバー
18a,56a…レンズ本体
52a…雌側コネクタ52の閉塞部
52d…雌側コネクタ52のハウジング
52e…雌側コネクタ52の切欠部
54a…雄側コネクタ54の底部
54b…雄側コネクタ54の筒体
S…収容凹部(ケースの内部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプ本体と、前記ランプ本体に取付固定される雌側コネクタとを備える外装用ランプであって、
前記ランプ本体は、
発光素子が実装される基板と、
前記基板が取付固定されるケースと、
前記発光素子の光照射側に配置されるレンズ本体を有し、前記基板を覆うように前記ケースに取付固定されるレンズカバーと、
前記ケースと一体形成された底部および筒体を有する有底筒状の雄側コネクタと、
前記底部に挿通され、一端部が前記筒体内に突出され、他端部が前記基板に接続されるコネクタピンと、
前記筒体の内部と前記ケースの内部とを連通する気密性検査用孔と
を備え、
前記雌側コネクタは、前記雄側コネクタと接続された状態で、前記気密性検査用孔を閉塞する閉塞部を備える外装用ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の外装用ランプにおいて、
前記雄側コネクタは、前記基板の下方側にて前記ケースに接続される外装用ランプ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の外装用ランプにおいて、
前記ケースと前記レンズカバーとは溶着され、
前記ランプ本体にて、前記コネクタピンが挿通される部分と、前記気密性検査用孔が形成される部分とが、前記ケースと前記レンズカバーとの溶着部分の内側に配置される外装用ランプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の外装用ランプにおいて、
前記気密性検査用孔は、前記筒体の周壁面に開口し、
前記閉塞部は、前記筒体の周壁面に対して摺動する摺動面を備え、当該摺動面が前記気密性検査用孔に当接して閉塞する外装用ランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の外装用ランプにおいて、
前記ケースは、前記基板の裏面側を支持する柱状部を備え、
前記雌側コネクタは、
前記雄側コネクタを取り囲む筒状のハウジングと、
前記柱状部に嵌合するように前記ハウジングに切り欠かれた切欠部とを備える外装用ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−221862(P2012−221862A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88759(P2011−88759)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】